登録日:2024/09/10 Tue 01:17:00
更新日:2025/04/14 Mon 17:34:21
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テッポウウオとは
スズキ目テッポウウオ科に属する7種の魚の総称である。
学名は
Toxotesといい、英語では
Archerfishと呼ぶ。
【概要】
模様は種によって微妙に異なるが全般的にやや銀色がかった白い体色と黒いまだら模様を持った平べったい体型で共通する。
主に東南アジアやその周辺の温暖な地域の淡水域~汽水域に生息している言わば熱帯魚。
彼らを一躍有名にしているのが、
鉄砲魚の名の通り、
口から水を飛ばし、水上の獲物を撃ち落として食べる生態である。
テッポウウオは魚の中でも数少ない水上の空間をはっきりと認識できる種の一つであり、
さらにそこから水上の獲物を狩りやすいように水を発射する能力を進化の過程で得たと言われている。
学名Toxotesはギリシャ語で射手を意味し、英語名の直訳も読んで字のごとく射手魚だが、
これは水を飛ばして獲物を打ち落とす生態が
弓を射る者…即ち射手に例えられたからである。
その平べったい外見から想像しにくいが、遺伝子の解析の結果、実は
アジやカマスに近い系統の魚であることが判明している。
《水を発射する仕組みと驚きの能力》
上で述べたようにテッポウウオの仲間は口から水を発射する事で有名な魚である。
では、どうやって発射しているのか?というと、意外と複雑なプロセスを経ていることが近年明らかになっている。
まず、彼らは上顎に細い溝が通っているのだが、獲物を見つけると
1、口の中に水を溜める。
2、その溝に合わせるように舌を当てることで水の発射口を作る。
3、その状態で勢いよく鰓蓋を閉じる事で水を打ち出す。
という段階を経て水を発射しているのだ。
更に上で述べたように、テッポウウオは水上の空間を認識できる数少ない魚なのだが、
それでも水の中と実際の水上の獲物の位置は本来ならばブレてしまうので、そうそう当たらないように思える。
だが、テッポウウオはなんとそれも計算した上で当ててしまえる。
しかも、獲物の大きさや距離によって威力の調整が可能という事までもが、最近の研究で明らかになっているのだ。
【飼育】
口から水を放つという変わった生態から水族館で展示されることが多い。
勿論、個人が
ペットとして飼育する事も可能。
熱帯魚に強い店であれば入荷される事もあるが、その生態の関係上水が飛びやすいので蓋は必須。
しかしアクアテラリムにしているなどで蓋を使用できない場合は
パソコンやテレビなどの精密機械を
水槽の近くに絶対に置かないように気を付けたい。
ただ、飼育下だと面倒臭がるのか何故かなかなか水を飛ばさず、ジャンプして餌に喰いつくことが多いとも言われるが……。
ノーマルのテッポウウオは海水~
汽水魚の為、長生きさせる為には塩分は必須であり、淡水で飼うと状態を崩しやすくなってしまう。
それ以外の種は淡水で飼育する事も出来るようだ。
餌は昆虫やエビ等生き餌を好むが慣らせば人工飼料も食べる。
【主な種類】
テッポウウオ科の代表種。
英語名“banded”の通り縞模様のような模様を持っており、一般的にテッポウウオと言えばこの種を指す。
(
間違えやすいカタカナ英単語のページにもあるが、「
盗賊」等を意味する“
bandit”ではない。)
マングローブの生えた汽水域から沿岸部に生息している。
かつてテッポウウオの仲間は全種が日本にはいない外国の魚だとされていたのだが、
1980年代にこの種が西表島で発見された事によってそれが覆されるきっかけを生んだ種でもある。
平均して20cm程だが西表島に生息するものは30㎝にもなるとのこと。
名前の通り黒い模様が七つあるのが特徴の種。
テッポウウオ科最大種でもあり、なんと40㎝にもなるという。
ここまで大きくなると放つ水の威力も凄まじいらしく、普通の種が「ピュッ」ならばこの種の放つそれは「ビシャッ!」となる程。
なので顔に当たると少し痛みを感じる程だという…
こちらも汽水域に生息しているが淡水への適応力はテッポウウオよりもあるようで上流の方で発見される事も珍しくない。
尚、大型になる種の為現地では食用にされる事もある。
金色に輝く体色が特徴の種。
黄金のアーチャーではない。
主にミャンマーに生息しているが海や汽水域に生息するテッポウウオとしては珍しく、純淡水性の種。
そのため、上の2種と違って塩を入れなくても長期飼育が可能であることから人気である。
ただ、生息地が限られているのかやや高価。
模様がシマウマのように見えるとも言われ、ゼブラアーチャーという呼称で呼ばれる事も。
近年発見されたばかりの新種。
上述したバンデッドアーチャーに酷似している。
だが、よく見ると鱗が小さくて細かく、体の後ろの部分が黒みがかってる点、腹部にも黒い模様がある点で違う。
ゴールデンアーチャーと同じく淡水性が強い種のようで海まで下りる事はまずないらしい。
【テッポウウオをモチーフにした/名を関するあれこれ】
モチーフ元と同じく口から水を発射するキャラクターになったり、
鉄砲魚という名前から連想して銃使いなキャラ付けがされる事も。
進化すると何故か
タコになる事で有名なふんしゃ
ポケモン。
名前の由来及びポケモン自体のモチーフはこのテッポウウオである。
『
ヨッシーアイランド』シリーズに登場する魚。
てっぽーうおは水のあるステージで度々出現し、水中から水を噴射してヨッシーを押し出してくる、
水自体にダメージ判定は無いが、本体に横から触れるとダメージを受ける。
踏んだり卵を投げつけるだけでは倒せず、完全に倒すには特定のアイテムが必要。
あつあつてっぽーうおはなんと
溶岩の中に生息しているウンババのような謎の生物で、水ではなく溶岩を噴き出してくる。
吹き出す溶岩に降れると当然
即死。てっぽーうおに比べ溶岩を噴き出す勢いが弱いので焦らず飛び越えてしまおう。『newiアイランド』では普通のダメージになった。
『
ヨッシーストーリー』に登場。本来プクプクは
フグトビウオなのだが、この青プクは水を吹きかけてヨッシーを落として食べるという、食生活までテッポウウオそっくり。食べられたら当然
即死。
アメリカ海軍が保有する潜水艦。
名前はテッポウウオの英語名からである。
『
それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』に登場した一人乗り戦闘艦。
主人公山本洋子の駆る高機動艦「TA-29ヤマモト・ヨーコ」の強大なる火力と対比するように製造されており、まずパイロットに「兄が(ゲーセンの
ゲーム対戦で)洋子から受けた恨みを晴らす」と意気込む少女高取集を選定し、集の弓道スキルを活かすため火力の殆どをTA-29の主砲を上回る火力の砲に注ぎ込んだ機体と化した。
…但し
法の限界に挑戦して主砲を超える火力のチート武装2つを載せたTA-29に通常武装の増強のみで対抗した代償か、一定回砲撃ごとに動力炉ごと交換する必要が出る程燃費が悪く、一応同時に製造された魚の名を持つ姉妹機達のサポートで補えなくはないがそれでも隙を敵につかれた事があり、結果微妙に不遇な機体にもなってしまった…。
長いキャノン砲を備えた
ゾイド。
厳密にはディプロカウルスとのキメラで普段は三角形の頭部をしているが、
この頭部は武器として飛ばす事が可能で、テッポウウオ型ゾイドとしての真の頭部が露わになる仕組みになっている。
『
獣拳戦隊ゲキレンジャー』に登場した怪人。
海の拳魔ラゲクの弟子で、テッポウウオを手本にした「臨獣アーチャーフィッシュ拳」の使い手。
手で水鉄砲を作り、臨気を込めて威力を増す訓練を繰り返す内に腕は水鉄砲そのものへと変化している。
ニヒルなガンマン気取りの性格で、好きな言葉は「水を得た魚」。
『
テラフォーマーズ』第2部で登場する
M.O.型テラフォーマー。
アネックス1号の第6班クルー「マルシア」の死体から作られた
テラフォーマーで、掌から水の弾丸を超高速で射出することにより狙撃を行う。
生前のマルシアをはるかに凌駕する長距離射撃が可能で、相手の弱点を即座に見抜いて撃ち抜くなど頭脳派でもある。
【余談】
愛知県知多郡にある水族館の南知多ビーチランドではテッポウウオ用の餌があり、自由にテッポウウオの水の発射を体感することができる。
展示している水族館は数あれど、体感できる水族館は少ないのでお近くの方は行ってみてはいかがだろうか。
追記・修正は虫を撃ち落としてからお願いします。
- 一芸のやり方が分かりやすいからか、テッポウエビより敵や能力のモチーフに選ばれやすい気がする -- 名無しさん (2024-09-10 01:56:03)
- ヨッシーアイランドにも「てっぽーうお」という敵キャラが出てきますよ -- 名無しさん (2024-09-10 03:02:12)
- テッポウウオ(本物) -- 名無しさん (2024-09-10 20:22:32)
- ↑ゼニガメ(本物)ほど面白さが -- 名無しさん (2024-09-11 07:36:33)
- ミス 面白さが無いな。本物以上に有名だからこそのネタだし -- 名無しさん (2024-09-11 07:37:56)
- 宇宙戦艦ヤマモトヨーコで超長距離狙撃艦アーチャーフィッシュってのが出てたな -- 名無しさん (2024-09-12 22:45:19)
- テッポウオはテッポウウオとは見た目あまり似てないのね -- 名無しさん (2024-09-14 08:47:50)
- 英語だと弓引く魚。日本語だと鉄砲を撃つ魚 -- 名無しさん (2024-09-14 09:13:07)
最終更新:2025年04月14日 17:34