マーベルランド(ゲーム)

登録日:2024/10/06 Sun 19:50:00
更新日:2025/07/21 Mon 07:10:08
所要時間:ステージの詳細な解説を除けば約 18 分、全体を通した場合約 36 分で読めます





マーベルランド(Marvel Land)*1は、1990年にアーケードとしてナムコが開発した横スクロールアクションゲームである。




【概要】

ドラゴン族の王子パコを操作し、地底族の魔王モウルの手に落ちた大遊園地マーベルランドと4人の守護精を救出するべく戦うアスレチックアクションゲーム。

本作のキャラクターデザインを担当したのは、後に漫画家としてガンダムシリーズを題材とした様々な作品を手がける事になるときた洸一氏。*2
氏の手によって生み出された、可愛らしい見た目のデフォルメされたキャラクター達に加え、ステージの主な舞台は様々なアトラクションが織り成すカラフルな遊園地
さらにステージの最後で待ち構えるボス達との戦いも、ほぼ全てがミニゲーム形式となっているという、どこかメルヘンでファンシーな雰囲気が特徴的。

しかし、そうしたデザインに反して、元々はコイン投入式のアーケードゲームというだけあって難易度の高さはかなりのもの。
随所でシビアなジャンプテクニックを要求され、またギミックや敵の配置は苛烈かつ初見殺し感満載と、間違いなく一筋縄ではいかない。

1991年にはメガドライブへの移植版が発売され、
オープニングや新しいステージ、多数の新規BGMが追加された他、既存のステージにも手が加えられ、分身ブランコを始めとする新たなステージギミックを導入。
更にいくつかのミニゲームについても、互いに内容被りにならないよう新しいものへと差し替えられている。
また、流石に難し過ぎたという事なのか、全体的に容赦の無かったギミックや敵の配置はアーケード版と比べればややマイルドになり、
パスワードコンテニューの導入による繰り返しプレイのしやすさの他アイテムの数も増やされ残機アップの条件も緩和されたりと、ステージが追加された点以外は概ね難易度を抑える方向に調整されている。

そして2009年には、アーケード版がWiiのバーチャルコンソールとして、
2022年には、同じくアーケード版がアーケードアーカイブスの収録作品の一つとして、PlayStation4およびNintendo Switchにて配信が開始された。

ちなみに、やはりこの頃の年代のゲームの常というべきか、メガドライブ版が海外で発売された際には、パッケージのデザインが色々ものすごい事になってしまってたりもする。


【ストーリー】

ドラゴン族、妖精族、翼族、地底族…
これらの4つの種族を始めとする様々な種族が共存する光と平和の国「コニーランド」
この国の中央、平和の丘の頂上に築かれた大遊園地「マーベルランド」は、
コニーランドの住民にとっての憩いの場であり、代々、温厚な妖精族の手によって守られていた。
しかし、地底族の魔王、モウルは、自分よりずっと力の弱い妖精族がマーベルランドを守り、
そのために自身の支配が地底にしか及ばない事に不満を募らせていた。

———マーベルランドを支配する者は、コニーランドをも支配する。

モウルは古くから伝わるその言い伝えに則ってコニーランドを手中に収めるべく、
他種族をそそのかしてマーベルランドを守る4人の守護妖精を捕らえさせ、
彼女達が代々受け継ぐ至宝であるトライデントスター共々闇の水晶球へと封じ込め、ついにマーベルランドを制圧してしまった。
捕らえられた4人の中には、ドラゴン族の王子、パコの幼馴染である妖精族の長、ルクシー姫の姿も…

かくして、ルクシーら4人の守護妖精を救い出し、モウルの野望を打ち砕いて平和を取り戻すべく、パコは単身マーベルランドへと乗り込むのであった。



【主な登場人物】

メインキャラクター

パコ (PRINCE PACO - 海外名:TALMIT)
本作の主人公。コニーランドに住む7種族のひとつ、ドラゴン族の王子。
名前の由来は、ラテン語で「平和」を意味する単語「PAX」。
パッと見た感じは人間の男の子そのものだが、ドラゴンというだけあって、頭からは二本の小さな角、お尻からは緑色の長い尻尾が伸びており、
顔の両側には耳の代わりに、水かきのような見た目の小さな翼が付いている。
髪は茶色でそこそこ長く、頭の後ろで束ねたポニーテール風なヘアースタイル。
ドラゴン族は強い力を持つ種族であり、自由自在に空を飛び、様々な魔法を操る事もできるのだが、
彼はまだ子どもなので分身の魔法を行使するのがやっとで、空を飛ぶことも含めてアイテムの力を借りなければならない。

主人公らしく勇敢で正義感の強い性格であるが、女の子に対してはウブなところもあるようで、
助け出した妖精にお礼のキスをされた際には、赤面しながら困惑する姿を見られたりもする。かわいい。
どうも泳げないらしく、水溜まりへの落下はもちろん、乗り込んだリフトが水溜りに降りて足場が水に浸っただけでも問答無用でミスとなってしまう。
(泳げないというよりは水自体が弱点なのだろうか?)

デザインについては、ときた氏が複数用意したビジュアルの中から取捨選択するという形で決められ、
最終的に二つにまで絞られた上で、こちらの見た目が採用されたとの事。
ちなみに不採用となったもう一方については、顔のパーツこそ概ね共通しているものの、
「デフォルメされたドラゴンの被り物をした男の子」といった感じで、大分印象が異なる外見となっていた。

+ デザインに関するちょっとニッチな性癖の話
ゲーム中のドット絵だけだと少しわかりづらいが、肩の鎧などの装飾を除けば、彼が身に着けている服は古代ギリシア風のノースリーブの白いチュニック。
腰から下はスカートみたいに裾をヒラヒラさせており、しかもパッケージやメガドライブ版の説明書内のイラストで確認する限り、裾の丈はふとももの半分くらいの長さしかない。
つまり男の子なのに膝上丈のミニスカ生足スタイル(見た目としてはこの作品の主人公である彼や、FC時代のなんかがそれに近い)という、
ショタコン大歓喜な大変際どい格好をしている。
実際、当時のゲーメストの読者コーナーには、ちょっとソッチ系な雰囲気のイラストもチラホラ投稿されていた模様。
あちらの主人公の下着事情が、デザインを担当した冨士宏氏の発言のせいで 色々 とんでもない事 *3になってしまったのもあって、こちらもヒラヒラの下が気になってしまう感じだが、
アーケードアーカイブス発売時に配信された特集で、ときた氏が公開した原画資料によると、チュニックの下にはちゃんとパンツをはいているとの事。
尚、誠に残念な話であるが当然ながらゲーム中でパンチラを披露してくれたりはしない。ボーナスステージに出てくるあの子*4のパレードフロートはしっかりチラ見せしてるのに…


ルクシー (LUXCIE - 海外名:WONDRA)
妖精族の姫君。光の妖精にしてマーベルランドを守る4人の守護精のリーダー。パコにとっては大切な幼なじみでもある。
魔王モウルのアジトに囚われた彼女を救い出し、マーベルランドを解放することがパコの冒険の最終目標となる。
MD版では「青のトライデントスター」の所持者であり、トライデントスターを用いて
暗雲に覆われたマーベルランドに光を取り戻す姿が描かれている。

外見は、金髪のロングヘアー某桃姫様を彷彿とさせるピンクのドレスを身に着けている少女であり、
髪の色と同じ金色のティアラを頭に被り、背中からは服と一体になったマントのような見た目の白い羽根が伸びている。かわいい。
また、ドット絵では省略されているが、妖精族なので頭からは二本のオレンジ色の触角が伸びている。

開発初期においては今と名称が異なっており、ティアリィという名前が与えられていた。


フローリー (FLORRIE - 海外名:FROLA)
ワールド1「花の国」を守護する花の妖精。翼族の長グレートコンドルに捕えられている。
助けると「パープルトライデントスター」を授けてくれる。

緑色のショートヘアーと、赤色の花弁をひっくり返したような見た目の被り物、背中から生えた紫の蝶の羽根、そして、肩と腰にピンクの花びらをあしらい、
胸元にはトレードマークの赤い花をつけた紫色のレオタードというけしからん格好*5が特徴的な少女。かわいい。
こちらも妖精族なので頭からは二本のオレンジ色の触角が(ry

開発初期においては今と名称が異なっており、ファーリィという名前が与えられていた。


シルフィー (SYLPHIE - 海外名:SIRCA)
ワールド2「森と水の国」を守護する森と水の妖精。水棲族の長ヨロイアンコウに捕えられている。
助けると「グリーントライデントスター」を授けてくれる。

水色のウェーブがかかったロングヘアーに星形のヘアピン、背中から伸びる羽根は薄緑の魚のヒレのような見た目で、
そしてなにより、紺色のハイレグ水着じみた見た目のレオタード一丁という主人公を遥かに上回る圧倒的な露出度を誇る格好に、
健康的な褐色肌という青少年のナニかが危なくなる事ウケあいな組み合わせが大変刺激的な少女。エr…かわいい。
またドット絵の他、説明書のイラストからも確認できるが、胸部のボリュームもかなりのものであるかのように見える。
もちろん妖精族なので頭からは二本のオレンジ(ry

開発初期においては今と名称が異なっており、ドゥーリィという名前が与えられていた。


スウィーティー (SWEETIE)
ワールド3「お菓子と夢の国」を守護するお菓子と夢の妖精。夢魔族のボス、プリンセス・ア・ラ・モードに捕えられている。
助けると「オレンジトライデントスター」を授けてくれる。

茶色の髪の上に黄色い三角帽を被り、背中にはトンボのような見た目の同じく黄色い羽、服装は赤と黄色のブラウス青色のスカート、そして両肩の白いフリルに腰に付けたエプロンと、
どことなくパティシエのような雰囲気を醸し出している少女。かわいい。
当然妖精族なので頭から二本の(ry

開発初期においては今と名称が異なっており、ローリィという名前で呼ばれていた。


おたすけバニー*6 (おたすけ BUNNY*7 - 海外名:BUNNY*8
パコの冒険をサポートする守護精見習いの少女。
ミニゲーム対決の際、どこからともなく現れてルールの説明やゲーム進行を担当する。
バニーというだけあって外見はバニーガールそのもの。水色の髪赤色のバニースーツとタイツを着用し、頭にはウサミミを付けている。かわいい。
胸元の戦闘力についても、見たところシルフィーと肩を並べられる程度のものが備わっている。
まだ見習いであるため羽根は生えていない。
うさ耳もうさしっぽもあくまで衣装の一部のため妖精としての厳密な種族は不明だが、まごうことなき妖精族なので頭から(ry

アーケード版では名無しのモブキャラ扱いだったためエンディングのキャラクター紹介でも唯一ハブられてしまっていたが、
メガドライブ版では公式絵に加えて正式なキャラクター名とキャラ設定が追加され、新規追加オープニングで
パコにマーベルランドとルクシーの危機を伝える役回りで登場したり、2面の新規ミニゲーム「風船割」にて
水風船の中身をぶちまけられる人質役として体を張ってくれたりと、存在感がぐっと増した。
エンディングのキャラ紹介でもしっかりと登場する。

ちなみに海外ではバニーガール=性的なものというイメージが強いこともあって海外版ではうさ耳が削除されている*9
その代わりなのか、メガドライブ版の海外版ではオープニングデモと2面のミニゲームで登場するバニーのドット絵に修正が施され、
髪型が微妙に違っていたり陰影や体の立体感(特にミニゲーム時のグラの下半身)が強調されていたりと力の入れようが明らかに違っており、国内版よりもかなりセクシーになってたりする*10

ボスキャラクター

モウル(KING DEMON MOLE)
地下深くにて地底族を統べる地底魔王。自在に宙を浮遊する能力と破壊の魔法を操る。本作のラスボス。
地上に自らの支配の手が及ばない事に対して不満を募らせ続けた末、
「マーベルランドを支配する者は、コニーランドをも支配する。」という言い伝えに動かされ、
他種族をそそのかして守護精たちを捕獲し、マーベルランドを支配下に置くという凶行に及んだ。
マーベル城の地下に密かに建造した帝国に居を構え、捕えたルクシーを幽閉している。

地底族の住人はほとんどが二足歩行するモグラのような見た目であり、当然彼もそうである…はずなのだが、
その顔つきはどちらかと言えばオオカミアナグマのそれに近く、モグラとは幾分か離れた感じの外見となっている。いかつい。


グレートコンドル(GREAT CONDOR)
魔王モウルの配下として彼の企みに協力する翼族の長。フローリーを捕え花の国を乗っ取った。
見た目は名前が示す通り紫色のコンドル…と思いきや、よく見るとヒポグリフよろしく足が四本になっている。
グレートとは言うが、結局どこがどうグレートなのかについては特に語られる場面はない。


ヨロイアンコウ(DEMON ANGLE)
魔王モウルの配下として彼の企みに協力する水棲族の長。シルフィーを捕え森と水の国を乗っ取った。
鎧兜で武装した、二足歩行するアンコウの半魚人。
EASYモードではグレートコンドルに代わりワールド1のボスとして登場する。


プリンセス・ア・ラ・モード (PRINCESS DEMON A LA MODE)
モウルの配下として彼の企みに協力する、夢魔族のボス。
肌が特徴的な妖艶な雰囲気の女性で、名前が示す通り下半身は胴体がブッ刺さるような形でプリンと一体化している。
無機物に命を吹き込んで自在に操る能力を持ち、ワールド道中に自ら使役する魔法生物を多数放っている。

旧サントラのブックレット掲載のキャラクター紹介によれば元々はスウィーティと同じ夢の妖精だったが、
モウルに唆されて彼女を捕え、お菓子と夢の国を乗っ取ってしまった。
また、そちらで「細腕だがオバタリアンパワーは侮れない」とか書かれているあたりかなりご年配の模様。


【ゲーム内容】

※以下、特に補足が無ければアーケード版における仕様を記載しているものとする。


基本事項
基本操作は左右移動+しゃがみ+ジャンプというシンプルなもの。
上下入力は後述する分身を振り回す際に使用し、また、下入力によって身体の判定が大幅に小さくなるのと後ろから覗いたら絶対色々見えちゃいそうな四つん這いの格好になり、
さらにそのまま左右入力でゆっくりとではあるが這って移動できる。
大半の敵はジャンプによる踏みつけで倒せるが、一部の敵は倒せず、そのまま足場に乗るような形となり、また、逆にこちらがダメージを受けてしまうパターンもある。

敵を倒したりアイテムを取得する事でスコアが増えていき、一定値以上に達すれば残機が1つ増加(エクステンド)。
逆に、水や溶岩に落ちたり、トゲに触れたりする他、敵からダメージを受けただけでも即座にミスとなり、残機が1減ってしまう。
また、画面下部の中央、時計型のバーで示されている制限時間が尽きてしまってもミスとなる。

ミスになった際にもパコは様々なリアクションを見せるが、
その中で比較的多く見られるのは、両手と両足を広げ、そのまま回転しながら遥か彼方に向かって吹っ飛んでいくというどこかコミカルなもの。
屋外ステージのみならず建物の中や後ろが壁になっている地点であっても関係なくすっ飛んでいくのが少々シュール。
しかし、例えばマリオシリーズにおけるスーパーキノコのような、被弾を誤魔化してくれる効果を持つアイテムは本作には一切存在せず、その点に関してはかなりシビアであると言える。
魔界村でさえ最初に鎧が支給されてる温情さがあるのに…

一つ重要な点として、本作では能動的なダッシュができない。
また、傾斜による加減速が中々にキツく作られており、特に上り坂だとジャンプで敵を倒しつつ先へ進むのも一苦労といった具合。
一方で下り坂では大きく加速する事ができ、そのスピードを維持したままジャンプする事で、遠くまで一気に飛んでいける。
これが本作におけるダッシュジャンプに該当し、こうしたテクニックが必要になる場面もステージの各所に存在する。

そしてもう一つ、
例えば空中で動いている足場など、左右に動くオブジェクトの上でジャンプする際、足場の移動方向に合わせる形でかなり強めの慣性がかかる*11仕様が存在しており、
後述する仕掛けによる大ジャンプができるのもこれのおかげであるが、逆に挙動の制御はかなり難しく、本作の難易度の高さを理由づける一因となっている。


マーベルランド内部は特色の異なる計4つのワールドに分けられ、
その上で、各ワールドは更に複数のエリアに分割されており、このエリア1つで1ステージという形を取る。
エリア数は、ワールド1、3、4が4つ、ワールド2が5つの合計17エリア。メガドライブ版ではワールド1~3が7つ、ワールド4が6つの合計27エリア*12となる。

ワールド1~3では最後に待ち構えるボスを撃破後、救出した妖精からご褒美のキスとトライデントスターを受け取り、
最後のワールド4でラスボスであるモウルとの決戦に向かう、という形となっている。

トライデントスターを受け取った後はボーナスステージ「スターパレード」に突入。
夜の遊園地にて、パックマンやディグダグ、ゼビウス等といった当時のナムコゲーのキャラクター達を模した、ネオンで彩られたパレードフロートが流れていく中、
終了までの間、空から降ってくる流れ星を拾う事で大量のスコアを獲得できる。


難易度選択
難易度はEASYNORMALの二種類から選べる。
EASYだと敵の数が減少すると共に敵の配置も緩和され、攻撃用ギミックの配置もNORMALより若干多い。
更にステージ数も短縮*13され、7ステージ目でモウルに挑む事ができるようになる。また、ステージ数に制限があるためトライデントスターは最初から2つ所持した状態で始まる。
その代わりにタイムボーナス・全面クリアボーナスが1/2に減少し、エンディングが敵キャラ紹介のみの短縮版に差し替えと寂しいものになってしまう。


コンティニューとワールドセレクト
内部設定次第でコンティニューが可能となるが、仕様が若干複雑となっている。
ゲームオーバー後のコンティニューでは到達済みのエリアの中から好きなエリアを選んで再開が可能。
その代わりに制限が設けられており、最後に到達したエリアよりも前のエリアを再度プレイした上でゲームオーバーになると、選んだエリアよりも先の到達済みエリアが一覧から消滅してしまい、再度クリアしなくてはならなくなる*14
先に進んでいればいる程、前のエリアに戻るリスクが増えてしまうので要注意。

ワールドセレクト設定がONの際はゲーム開始時に各ワールドのエリア1の中から好きな地点を選んで開始が可能で、コンティニュー設定と併用が可能。この場合は上記のコンティニュー時のエリアの出現状況に関わらず、各ワールドのエリア1のみ常に開放された状態となる。また、初回ゲーム開始時にワールド2以降からプレイ開始した場合、選択したワールドよりも前のワールドはクリア済みとして扱われコンティニュー時に全てのエリアが選択可能な状態となる*15
アケアカ版でも設定が可能なので中断機能と組み合わせることで練習に利用できる。


《アイテム》

アイテムはステージの各所に置かれている他、
宝箱をジャンプで開けたり、一部のゴミ箱を横から押す事でも手に入れられる。

  • ブーツ
赤色の靴が描かれたパネル。
坂道や凍りついた地面といった足場の悪い場所でも、滑ったりずり落ちたりせずに歩く事ができるようになる。

  • ウイング
ドラゴンの翼が描かれたパネル。
パコの背中から翼が生え、一定時間ジャンプ力が大幅に上昇し、更にジャンプ中ボタンを連打することで落下速度を遅くするホバリングが使えるようになる。

ただし、小ジャンプでもかなりの高さに飛ぶので、ジャンプで足場を渡っていくところでは却って細かい制御が難しくなる。
設置されているのは特定のエリアのみで、攻略上これが必須となるところには必ず設置してあるのだが、大抵は足場や空間の状況が悪い場所ばかりである(ほんの少しジャンプしただけでとげ天井にぶつかってしまうところでジャンプを開始しなければならなかったり……)。

  • 分身
パコの顔が描かれたパネル。
5体の分身が現れる。分身は残像よろしくパコの動きに追従する挙動を示し、また上下入力で鞭やワイヤーを振り回すように自身の周囲をグルグルと回転させる事ができる。
離れたところにあるアイテムも分身で触れれば回収できる他、敵に直接ぶつければダメージも与えられる。

一部の厄介な敵配置への対応策となる非常に強力なアイテムであるが、
分身には個別に耐久値が設定されており、敵にぶつけるか攻撃を受ける度に黄色と分身の色が変わっていき、赤色の時に敵や攻撃にぶつかると消えてしまう。
入力キーの都合でパコを普通に動かしているだけでも身が発動し易い上に、敵が投げてくる弾や敵本体との接触で意図せずにダメージをもらい易いため、普通に使っているとすぐ効果が切れてしまいがち。
アイテムが設置されているのは一部のエリアのみで、下記のラッキーアイテムをこまめに取得しながら進めば次のエリアにも持ち越せるが、そんなこんなで活用が少々難しい。

メガドライブ版では分身の耐久力が点滅の速度で表されるようになり、また分身の最大所持数も8体に増やされた。

  • ラッキー
赤色のLが描かれたパネル。
全ての分身の耐久値を回復させることができる。

メガドライブ版では、さらに分身の数が+1される効果も追加された。

  • 1UP
ナムコの他作品でも見かけるスペシャルフラッグが描かれたパネル。
文字通り、取得すると残機が1増える。
アーケード版ではごく限られた数しか配置されていなかったが、メガドライブ版では大幅に配置数が増えた。

  • ドクロ
その名の通り、灰色のドクロが描かれたパネル。
いわゆるマイナスアイテムであり。取得するとその時点で最も耐久値の低い分身が一体消滅し、さらに分身が一人もいなければ今度はブーツの効果が消滅する。
分身もブーツも持っていなければ何も起こらない。


  • スコアアイテム

シェイク - 300
アイスクリーム -500
ハンバーガー - 700
ホットドッグ - 1000
イチゴ - 3000

また、フワフワと宙を漂う「浮遊シェイク」が特定エリアの特定地点に配置(一部条件をを満たすことで出現するものもある)されており、取得すると近くに5つのシェイクが出現する。

  • トライデントスター
マーベルランドの守護精たちが代々受け継いできた、「悪を退け所持者を守る」とされるマーベルランドの至宝。
三叉槍(トライデント)の穂先を模った紋章が刻まれた3つの宝玉で、紫、緑、オレンジの3色に分かれている。
守護精を救出するごとに1つずつ手渡され、画面下部の情報欄の右側にアイコンが表示されていく。
モウルとの真剣勝負の際にはパコの周囲を守るように回転し、モウルに当てることでダメージを与えられるようになる。
1度手に入れればコンティニュー後も失われずに保持される*16
EASYでは遊べるステージ数に制限があるため最初から2つ所持した状態で始まるが、NORMALで直接ワールド4から始めた場合は丸腰のままモウルに挑むことになる。

なお、演出が強化されたMD版では4つ目の青のトライデントスターの存在が説明書で明かされており、こちらはエンディングデモで登場する。

《仕掛け》
  • タル
横倒しになった、どことなく転がしやすそうな見た目のタル。
その外見通り、左右から押す事で地面を転がっていき、軌道上にいる敵を巻き込む形で倒す事ができる。
一部ステージでは水面に浮いているタルもあり、こちらは上に乗ってからの左右入力で、入力した向きと逆方向に水面を移動する。

  • ボール
バネとセットで置かれている、黒い鉄球。
横から押し込んだ後にジャンプで離す事で、解放されたバネの力で転がっていき、こちらも巻き込んだ敵を倒す事ができる。

  • 砲弾
こちらもバネとセットで置かれている、鋭い目と口がペイントされた砲弾
ボールと同じように横から押し込んでからジャンプで射出する仕組みとなっているが、こちらは敵もしくは壁に当たると破裂し、着弾地点の範囲内に存在する他の敵を1度に巻き込んで倒せる。

  • シーソーブロック
水面や空中に設置されている巨大なシーソー。
パコが上に乗る事で重心が移動し、左右へと傾く。
アクションゲームでよく見られるこの手の仕掛けだが、本作は傾きの挙動がかなり敏感に作られており、傾斜による足回りへの影響もあって思い通りに制御するのは中々難しい。

  • スプラッシャー
左右に振り子運動を続ける三日月型の大きな船のアトラクション(いわゆる「バイキング」)。
船の加速に合わせて移動しながらジャンプする事で、下り坂を利用した時と同様の大ジャンプを決められる。

  • フライングカーペット
反対側に重りのついた中央の軸を支点として、グルグルと時計回りに回転を続けるゴンドラのアトラクション。
こちらの仕掛けについても、ゴンドラが加速するタイミングを利用して大ジャンプを行うことができる。

  • 回転魔法陣
画面奥でゆっくりと回転を続ける魔法陣。
足場が取り付けられており、魔法陣と連動する形で動いている。

  • 回転迷路
回転魔法陣と同じく画面奥でゆっくりと回っているが、こちらはまるでピンボールの役物のように、円盤上にブロックが張り巡らされている。
回転に合わせてブロックの傾斜が少しずつ変化するため足場はかなり悪く、
特に中央付近ではしっかり頂点に陣取り続けないと簡単に落ちてしまう。

  • 蒸気船
上下に揺れながら、水上を左右に行き来している大きな船。
一言でいうなら動く足場の超巨大版…つまり、前述したあの独特な慣性もそのまま。
そして敵の方も船に合わせて動いているので、敵を踏みつけたり飛び越そうとジャンプすれば、同時に左右にフラフラと大きく揺さぶられてしまい、非常に危なっかしい。
また、空を飛んでいる一部の敵は船の動きの影響を受けないので、
船の上を移動していたら、上下の揺れのせいで飛来する敵に頭をぶつけたり、あるいは左右の動きのせいでいきなり加速して正面衝突したり…と、シンプルな見た目以上にずっと厄介なギミック。

メガドライブ版では左右移動と揺れがオミットされ、ただ水の上に浮かんでいるだけの足場となっており、難易度が大きく下がっている。

  • ジェットコースター
三両編成のジェットコースター。
一部のステージにのみ登場し、始まりから終わりまでコースターに乗ってレールの上を進む、所謂強制スクロールの形で進行する。
車両連結部の隙間は足場になっておらず、飛び移る際にうっかり足を滑らせるとそのまま落下してしまう。

  • ゴールターゲット
ワールド1~3のエリア1と2、および2-4と4-1のゴール直前に置かれた、巨大なダーツの的のような見た目のパネル。
某テレビ番組のどろんこクイズよろしく、パコ自身が体当たりしてパネルを破って通り抜ける形となっており、通り抜けた位置によって得点が加算される。
中央に近いほど高得点であり、最高得点は真ん中の7650点。
高いジャンプを必要とするためスプラッシャーやフライングカーペットなどのギミックが直前に併設されている。

  • 分身ブランコ
メガドライブ版で新たに登場した仕掛けその1。
分身を持っている場合、伸ばした分身を引っかける事で、さながらターザンジャンプのように空中を渡る事ができる。

  • 動く床
メガドライブ版で新たに登場した仕掛けその2。
乗るとベルトコンベアよろしく、自動で横方向へと進んでいく。
エスカレーターのような見た目の、斜めに移動するバージョンも存在する。

  • ワープの扉
メガドライブ版で新たに登場した仕掛けその3。
ステージ内のあちこちに存在しており、入る事で先にあるステージのスタート地点まで一気にワープできる。

【ステージ紹介】

+ ワールド1
《ワールド1: 花の国》

パコの冒険の始まりの舞台となる、フローリーが囚われているワールド。
レンガのブロックのような床が一面に広がり、所々に色鮮やかな花が飾られ、背景にはテントや観覧車といった遊園地の様々なアトラクションが並ぶ、とても賑やかな雰囲気の場所。
その更に向こう側には、マーベルランドの中心に築かれた城、マーベル城を臨む事ができるが、今はモウルが作り出した巨大な岩山に覆われてしまっている。

最初のワールドという事で、難易度はそこまで高くない。
しかし、高くないというのはあくまで本ゲームを基準とした話であり、ゲーム序盤というカテゴリで考えるのならば、その難易度は中々のもの。

  • エリア1
最初のステージ。それだけあってまだまだ良心的な難易度。
とはいえ、水平に空を飛びながら、着弾後しばらく地面に残る槍を投げ落としてくる敵「ジェットモグル」
水面から飛び出してくる、踏みつけられない敵「ピラワニ」に注意しながら飛び移っていく足場、
そして最後に姿を現すのは、ブーメランのように帽子を投げて攻撃する、2ダメージ与えないと倒せない強敵「キャプテンモグル」と、本作の難しさの片鱗が垣間見える作りともなっている。

  • エリア2
概ね前ステージの延長といった感じで、そこまで大きな変化はない。
トゲ玉に守られた小部屋にあるウイングを取れば、ホバリングで地上の敵たちを一気に飛び越す事ができる。
ゴール直前にはスプラッシャーがあり、大ジャンプでゴールターゲットに突っ込んでクリアという形。

  • エリア3
ジェットコースターステージ。
のコースターに乗って進み、レール上にはアイテムとドクロパネルが置かれており、中盤にはシャトルループも設けられている。
2Dアクションに出てくる乗り物ステージという事で、ステージそのものは比較的短いが、やはりというか初見殺し要素が満載。
並走する形でジェットモグルが飛んでくる他、そこかしこに障害物として設置された看板が、パコをコースターから叩き落そうと連続で迫ってくる。

  • エリア4
ワールド1最終ステージ。多数の敵が待ち構える城塞の中を進んでいく。
踏みつけで逆にダメージを受けてしまい、さらに一定間隔ごとに正面長距離にレーザーを照射してくる難敵「メデューサヘッド」が、ここで初めて姿を見せる。
終盤には回転魔法陣があるが、実は下に落ちてもそのまま先へ進む事ができる。

最奥にある扉へと入れば、ワールドボス「グレートコンドル」と対戦

ミニゲームの内容はポカスカじゃんけん。
リール式のスロットでじゃんけんを行い、勝った方がハンマーで攻撃し、負けた方は盾で攻撃を防ぐ…要は叩いて被ってじゃんけんぽん。
3回勝負して、最終的にポイントが多い方の勝ちになる。
…のだが、ポイントを獲得できるのはじゃんけんに勝った上で攻撃を通せた時と、あいこや負けの時に相手が間違って攻撃を出してお手つきになった時の2つのみ。
つまり、防御している限り、相手のポイントが増える事はないので、先に一回でもこちらの攻撃を通してしまえば、
後はじゃんけんの結果に関わらず防御し続けているだけで簡単に勝つことができたりする。

ちなみに3回勝負してポイントが同じ場合は引き分け…にならず、相手側の勝利扱いになってしまう。理不尽。

メガドライブ版でも同様のミニゲームとなっているが、こちらは同点でも相手の勝ちにならず、
どちらかがポイントを取った時点で勝敗が決まる、サドンデス形式でゲームが続く形へと変更されている。

+ ワールド2
《ワールド2: 森と水の国》

マーベルランド北側の大部分を占める、シルフィーが囚われているワールド。
前のワールドから一転して、足元には芝生に覆われた土が広がる、自然豊かな雰囲気のロケーションで、
背景にも人工物は少なく、緑の生い茂った小高い山がどこまでも続いている。

ワールド1と比べても難しさは格段に上がり、特に水場が多めで、全体的に足場の悪さが際立つ形となっている。

  • エリア1
青いリフトが登場。
他のリフトと同じように上下に動いているのは同じだが、下降した際に水没するような挙動となっており、
また、水面に浮かんでいるボールのような見た目の足場は、ずっと乗り続けてると沈んでしまう。
ゴールターゲット直前にはマジックカーペットが設置されている。

  • エリア2
この辺りから本格的にアクション面で要求されるテクニックが高度になりはじめる。
坂道ジャンプ+シーソーブロックから始まり、スプラッシャーから大ジャンプした後は、視点の都合上足元がロクに見えない中での着地を決めなければならない。
そこを抜けた先にある橋は、レーザーと小型メカで武装した強敵「メカモグル」が上の足場に居座り、下の狭い通路にはジェットモグルの大群が飛来してくる、中々の難所。

  • エリア3
ジェットコースターステージ再び。
コースターが2つに増え、レールも2本となり、更にクリアまでにコースを2周する形となる。
2本のレールのうち、1周ごとにどちらか一方が「当たり」のルートとなっており、当たりの場合は分岐後、アイテムの置かれたシャトルループへと突入する。
当たりのレールは各周回でそれぞれ決まっているので適宜コースターを乗り換えていきたい…が、敵や看板が飛び交う中での乗り換えはかなり危険であり、うっかり足を滑らせて落下する事もしばしば。

  • エリア4
ステージのほぼ全域に渡って水場が広がっており、水面や空中に浮かぶ足場を渡って進んでいく。
崩れる足場地帯は最速でジャンプすると向かってきたジェットモグルの編隊にぶつかってしまう、非常に嫌らしい作りとなっており、
そして終盤、フラフラとした揺れでこちらの足回りを乱してくる遊覧船が登場。

  • エリア5
城塞ステージ。
最初に上へ上へと登るのだが、かなり足場が悪く、中々スムーズには登らせてくれない。
その先にある回転迷路からはかなり複雑にルートが分岐しており、しかも大半のルートでは、メデューサヘッドを始めとする左右からの容赦無い敵の攻撃にさらされる。
最後は、水面から飛び出すピラワニをかわしながら動く足場を乗り継いでいくという、1-1のそれを更に難しくしたような作り。

そこを抜けた先の扉に入れば、ワールドボス「ヨロイアンコウ」と対峙。

ミニゲームの内容は綱引き。
お互いに全力で綱を引っぱり合い、相手を中央の穴に落とした方が勝ちとなる。
ジャンプボタン連打で綱を引き、また、連打しながら上下左右のいずれかを入力すると両足で踏ん張る格好となり、
引っぱる速度がやや落ちる代わり、相手の引き返しに耐えられるようになる。
相手の引く力は中々に強く、勝つためにはボタンを破壊しない程度の範囲である程度高い連打力が求められる。

メガドライブ版でのミニゲームは風船割り。
9つのポンプの中から当たりのものを見つけ出し、綱引きと同様にボタン連打で相手の水風船を膨らませ、先に割った方が勝ちとなる。
この時、水風船の真下で降り注ぐ水を浴びる役をお互いに用意するのだが、
パコの方はというと半泣きでピョンピョン飛び跳ねるリアクションがかわいいのと後ろ手に拘束されているのをなんとか解こうと必死に身体をよじってもがく姿が妙にエロいお助けバニーなのに対して、
相手側からはマダムアンコウなる謎の新キャラクターが唐突に現れる形となる。

+ ワールド3
《ワールド3: お菓子と夢の国》

ワールド1から岩山を挟んで丁度反対側に位置する、スウィーティーが囚われているワールド。
背景にはキャンディケインアイスクリーム型のオブジェが並び、地面はピンク色のスポンジ、そして建物はケーキやシェイクのような見た目、
さらにオレンジ色のジュースが水の代わりに満たされていたりと、こと、ファンシーさとカラフルさについては随一。

しかしその雰囲気に反して、難易度は前2つのワールドを更に上回る。
ステージ構成は嫌らしさを増し、時に一瞬の素早い判断が求められる。

  • エリア1
空中に浮かぶエクレア型の足場を乗り継いでジュースの海…もとい水場を越え、
屋根を隔てて上下二層に分かれた地上を進む、という流れを前半と後半でそれぞれ繰り返すステージ構成。
上層はジェットモグルの槍に加えて煙突から吐き出される黒煙が行く手を阻み、下層は強敵メカモグルが複数体巡回しており、どちらを選んでも過酷な道程となる。

  • エリア2
このステージ限定のギミックとなる、水面に浮かぶタルが開始直後に登場。
慣れない操作に苦戦しながらも空と水中から襲い掛かる敵の大群を突破すれば、待ち受けるのは二艘の巨大な遊覧船。
相変わらず揺れで安定しないジャンプの挙動に加え、特に二艘目の船内は、挟まれれば当然即アウトな3基のピストンシリンダーをはじめとして非常に殺意が高い構造となっている。
実はスタート直後の水場については、敵を乗り継ぐように連続でジャンプする事でタルのギミックを無視して先に進めたりする。
二艘目の船も、左右の動きに合わせてタイミングよくジャンプすれば、船内を丸々スルーして一気に屋根上へと登る、という形で大幅なショートカットが出来たりも。

  • エリア3
ジェットコースターステージその3。
コースターはコースターがに加えての3つ。レールも3本となり、概ね予想はつくであろうがコースも3周する形となる。
各周回で3つのルートのうちどれかが当たりとなっているのも同じで、
どれが当たりのルートかについては、合流した際にレールの上に並ぶシェイクで示されているので、多少ではあるが見分けやすい。
逆にハズレのルート2つのうち更にどちらか一方は、急加速と同時に看板がいくつも迫ってくるかなり危険なルート。

  • エリア4
城塞ステージ…なのだが、それまでの2つの城塞の内装が灰色の無機質な石造りだったのに対して、
こちらはワールドのファンシーな世界観に合わせて小麦色のビスケットやクッキーを全体に敷き詰めた、まるでお菓子の家の内部のような雰囲気の見た目となっている。
しかしやはりというか、難易度の高さはそんな外見に反比例するかのごとし。
特に、道中の長さに関しては全ステージの中でもトップクラスであり、印象に残るギミックだけを挙げても、
  • 連続ジャンプで飛び移って進む、崩れる足場。
  • そこかしこから敵が現れる、上へと続く巨大な空洞。
  • このステージにしか出てこない、ネームプレートで飾られたスポンジケーキのような見た目の回転足場。
  • 上下に動くトゲ玉が行く手を阻む狭い通路。
  • 最後にウイングを取得し、一面のトゲ床とメデューサヘッドの攻撃を避けながら慎重に降下。
と、かなりの長丁場。

特に最後の二つについてはイライラ棒的な要素が強く、タイミングを見定める力と精密な操作が要求される。

降りた先の扉に入れば、ワールドボス「プリンセス・ア・ラ・モード」と対決。

ミニゲームの内容はヨロイアンコウと同じく綱引き。
あちらと比べて引っ張る力が上がっており、更に高い連打力が必要となる。そしてボタンにかかる負荷もヤバい。

メガドライブ版ではヨロイアンコウのミニゲームが変更されたので、綱引きは彼女が担当…とはなっておらず、こちらのミニゲームもカード探しに変更されている。
2回連続でボタン連打がメインのミニゲーム、という流れはやはりよろしくなかったのだろうか。
ルールは、4×4の16枚のカードの中から、お助けバニーが提示する記号と同じものが描かれたカードを相手より先に見つけ、先に3回見つけた方が勝利、というもの。
記号はランドルト環(視力検査なんかで使われるアレ)と斜めの棒を組み合わせたような見た目で、似たような記号がずらりと並ぶので慣れないうちは惑わされてしまいがち。

+ ワールド4
《ワールド4: マーベル城》

冒険最後の舞台となる、ルクシーが囚われているワールド。
中央の岩山入口へと繋がる氷漬けのアトラクションを突破して岩山から地下へと降り、マーベル城を覆い隠す形で作られた魔王モウルの拠点、モウル城へと潜入する。

最後のワールドという事で、当然ながら攻略難度はトップクラス。
ありとあらゆるギミックや敵の配置が、ここまで来たプレイヤーの心を徹底的にへし折らんとばかりに牙を剥く。
アケアカ版の中断機能を使った疑似クイックセーブを駆使してもかなりの回数リトライすることに…

  • エリア1
地獄その1。
まず目に飛び込んでくるのは、スタート地点から一面に広がる凍りついた足場。
当然、ブーツ無しだと滑ってしまうため、足回りに関しては劣悪そのもの。
そんな状況の中でこちらを待ち構えるのは、ピラワニに加え同じように水面から飛び出してくる敵「オトシゴン」が前後から炎を飛ばしてくる狭い足場、
凍った上り坂の頂上に陣取るメデューサヘッドを始めとするガチガチの防衛ライン、そして下り坂で一気に加速してからの、足を踏み外したら即アウトな連続ダッシュジャンプetc…と、
それまでの3つのワールドがまだずっと有情だった、という事実を改めて思い知らされる羽目になる。

ちなみに最後のスプラッシャーはあろうことか一部が水没しており、そこにちょっと触れただけでも当然のごとくミスになってしまう。河童じゃ!河童の仕業じゃ!

  • エリア2
地獄その2。
中央の岩山内部から地下へと降り、モウルの居城を目指していく。
いきなり行く手を阻むのは天井のトゲとシーソーブロックのコンビネーション。
その先にある大きな縦穴は本ステージ随一の鬼門であり、上からは敵「ドカタント」がひっきりなしに降らせてくる岩、左右からはメデューサヘッドの放つレーザーにさらされ、
そして当然のように穴の底に見えるのはトゲ床。
さらに縦穴から先へと進める抜け道には、一面の凍りついた坂道ランダムなタイミングで落ちてくる氷柱がセットで仕掛けられているという鬼畜っぷり。

そこを突破しても、凍った下り坂+角で待ち構えるメデューサヘッド、一面に広がる溶岩の上に点在する狭い足場と続き、
最後に立ちはだかるのは半分溶岩に浸かった回転魔法陣と、どこまでも容赦の無いステージ構成。

とどめとして制限時間までも非常にタイトに設定されており、中間地点を挟まない場合だと、余程スムーズに進まない限り途中で時間切れになるのは必定。

  • エリア3
地獄その3。
初っ端からランダムなタイミングで降り注ぐ鍾乳石をかわしながら足場を乗り継いでいき、それから非常にシビアな一マス足場の連続ジャンプ。
狭い縦穴の左右に多数配置されたメデューサヘッドを掻い潜れば、
天井には一面のトゲ、左側からは敵が撒き散らす炎の弾幕、そして下は当たり前のように溶岩に沈みかけている回転迷路を下から上に登り、
最後には敵を連続で踏みつける形でのチャンスは一度きりな溶岩渡り、そしてゴール直前、溶岩渡りが成功して安心したプレイヤーを初見殺し全開で仕留める気満々なメデューサヘッドの配置と、
ラストバトル直前というだけあってその道中は過酷そのもの。

  • エリア4
それまでと一転して、ステージ自体は非常に短い…が、その短い道のりの中で、待ち受ける敵の群れがこれでもかと言わんばかりの苛烈な弾幕を繰り出してくる。
分身があれば対処は楽だが、無いのならばしゃがみ移動を駆使して安全地帯を渡り歩くように進まない限り、突破は容易ではない。

そして最深部にある扉へと入れば、ルクシーを攫った本作のラスボス、魔王モウルとの決戦の火蓋が遂に切って落とされる。





オレとポカスカで勝負だ





…しかし、ここまで来ておきながら勝負内容はまたもやミニゲーム。しかもワールド1のグレートコンドルと同じポカスカじゃんけん。
ラスボスともあろうお方がそれでいいのか…?
とはいえ、最後のミニゲームというだけあってじゃんけんから入力までの猶予はワールド1のそれと比べて格段に短くなっており、刹那の見斬りの後半戦もかくやといった具合。
前述した通り、1回でも先制できればこちらの勝利が確定するので、
リールがゆっくりになったタイミングで、出目の動きから勝てそうな手が出てくれるかどうかをあらかじめ予想しておき、
勝てると確信した時点で全力で攻撃ボタンを連打、というやり方なら、攻撃は比較的間に合いやすくなる。
コンシューマ機ならポーズ連打で堂々とイカサマする、という手も。

メガドライブ版でのミニゲームはモグラ叩き。
パコとモウルがBGMに合わせて9つの穴を出入りし、
BGMが止まったタイミングで、お互いに隣り合っているならハンマーで相手を叩いて先制した方がポイント獲得、3ポイント先取で勝ち。という椅子取りゲームのようなルールとなっている。

ともかく、ミニゲームをクリアすれば、地上の支配を目論むモウルの野望も御破算。
無事にルクシーを救い出し、マーベルランドには再び平和が訪れたのでした。

これにてゲームクリア!
めでたしめでたし……









と、すんなり終わってくれるはずもなく…









くそー!おれの方が
ポイントが少ない!!

ポカスカじゃけん*17
お前の勝ちだ!!

しかし!こんな事で
このモウル様を

たおせると思っているのか

今度は
しんけん勝負だ!





むしろミニゲームに負けた程度であっさり引き下がる他のボス達が不甲斐なさ過ぎるのではないのか、とツッコミを入れたくなる上記の台詞と共に、
魔王モウルとの直接対決が幕を開ける。

モウルの攻撃パターンは二つ。
上空をフワフワと左右に飛び回りながら、パコと距離が近ければ、
高速で短くスライドしつつ、真下と斜めの三方向に撃ち分けられるレーザーを手にした杖から放ち、
逆に距離が離れていると、突然動きを止めてから、こちらに向かって地形をすり抜ける突進を単発で繰り出してくる。

そしてパコの方も最終決戦という事で、3人の妖精から託されたトライデントスターが宙に浮かび、クルクルと自身の周囲を回り始める。
モウルには踏みつけの他、このトライデントスターを当ててもダメージを与えられ、また上下入力で回転の半径を調節する事ができる。

しかし攻撃を当てるのは中々大変。
左右にフラフラと動くせいでトライデントスターは半径の調節が難しい

加えてモウルはパコに対して一定の高さを保とうとする特性を持ち、
こちらが踏みつけを狙おうと空中に浮かぶ足場に陣取っても、それに合わせて更に高空へと逃げられてしまう。

更に撃ち下ろしてくるレーザーは予備動作が短いうえにスライド移動も合わせて思いの外攻撃範囲が広く、
下からすれ違う際の事故要因となりがちで非常に厄介。
また、足場の上で攻撃を当てようとした拍子に画面外にとんすらこいてレーザー攻撃を放って反撃したり
中段当たりでビーム攻撃を繰り出した直後に飛びあがって画面外に消え間髪いれずにビーム攻撃を繰り出すなどの
反則級のムーヴもかましてくる。

そして何より、台詞が終わって戦闘開始までのインターバルがほとんど無く、更にお互い間合いが状態で戦闘が始まる為、


台詞が終わるとともに突然カメラがズームアウトして戦闘開始。

困惑したままのプレイヤーに向かってオジギ終了から僅かコンマ2秒のタイミングでレーザーを繰り出して不意打ち。

そのまま回避する間もなく攻撃を喰らってミス。


という凄まじい初見殺しが起こったりする事も珍しくない。




では、逆に最大の攻撃チャンスはどこかとなると、それは相手の突進の終わり際。
突進の際に高度が下がるので、カウンター気味にこちらの踏みつけを当てられ、さらに踏みつけと同時に相手は下方向へと大きくノックバックする。
とどめにモウルは自分より上にいる相手への攻撃手段を持ってないため、上手く左右に移動すれば、
ひたすら上昇しようとするモウルを何度も何度も踏みつけてそのままハメ殺してしまえたりもする。まさにモグラ叩き。

ただし、踏みつける際のジャンプの角度や突進中の相手の軌道によっては自キャラ側の反動が大きく
横方向に弾き飛ばされることもある上に足場が邪魔なので連続で踏み続けるには慣れがいる。
また、踏みつけられた際のノックバックの反動を利用して一瞬で画面外に消えた直後に反撃してくることもあるので注意が必要。
ワールドセレクトで直接ワールド4から始めた場合、当然ながらトライデントスター抜きで丸腰のまま挑むことになり、
相手へのけん制もできなくなる分、対応がより難しくなる。






直接対決の末、遂にパコはモウルを打ち倒し、闇の水晶球に囚われていたルクシーも解放される。
これにて、今度こそゲームクリア…











モウルじょうが
くずれはじめた!

はやくここから
にげるんだ






  • エリア4(脱出パート)
エンディングを迎えるのはまだ早い。

これもある種のお約束と言うべきか、城の主が倒されたのと同時に崩壊を始めるモウル城。
二人で地上へと帰還するべく、パコはルクシーの手を取り、溶岩の中へと崩れゆく地下空間を駆け抜ける…


ここが真の最終ステージということで、全体の長さこそそれ程ではないものの、やはり難易度は相応に高い。

開始直後、落下する鍾乳石から逃げるような形で、崩れる足場の道をまっすぐ進むのは序の口。
段々と足場の数がまばらになっていき、鍾乳石から逃げ切ったかと思えば今度は足場を飛び移って上へ上へと登っていく。特に最後の方の足場の間隔はかなりギリギリ。
そうしたらまたしても崩れる足場の道と落下する鍾乳石。しかもこちらはランダムなタイミングで降ってくるので、短い猶予の中での状況判断が求められる(さらに嫌らしいことに、足場が画面上に近い位置にあるため、鍾乳石が画面ギリギリに見切れていてとっさに判断しづらい)。
そこを突破して最後に巨大なスプラッシャーに飛び乗り、勢いをつけて頭上高くの縦穴へと大ジャンプする事で、本ステージはクリアとなる。

何より無慈悲なのが、モウル戦勝利後のラウンドクリア演出にてパコの残機が全てスコアに変換されるため、
本ステージはミスの許されない一発勝負となっている点である。
一応ミスしてもゲームクリアとして扱われるが、エンディングは難易度EASYでクリアしたものと同じ、敵キャラ達が紹介されるだけの寂しいものになってしまう*18

メガドライブ版では大きく仕様が異なり、脱出パートそのものがワールド5として扱われている。
上に登るときの足場スペースが広くなり鍾乳石のランダム落下が無くなったので、慣れればほぼノンストップで進むことができる。
崩れる足場を抜けた先の最後のスプラッシャーが無くなっており、そのまま先に進むと前半パートであるエリア1が終了。
ジェットコースターに乗り、追加された後半パートであるエリア2が始まる形となっている。
また、残機のスコア変換も無くなっているため、残機がある限りミス後も各エリアのスタート地点からやり直すことができる。

脱出シーンのBGMは、前半の危機感を煽る曲調から希望を感じさせる曲調へと変化し、最後のスプラッシャー(ジェットコースター)のシーンでクライマックスを迎える、と大いに盛り上げてくれる。
無事に脱出に成功すれば、ようやく本当のエンディングへと移行。


地下のモウル城と共に崩れ去っていく、中央の大きな岩山。
その中から姿を現すのは、モウルに支配される前の、マーベルランドの本来のシンボルであったマーベル城
そして、遠く離れた丘の上で手を繋ぎながら、その光景を眺めるパコとルクシー…


かくして、本作「マーベルランド」は完全クリアとなる。




【余談】

当時発行されていたゲーメストでは高い評価を与えられており、
読者投票式企画「ゲーメスト大賞」では、1990年開催の第4回にて5位に入賞。
それ以外にも同時に様々な賞を受賞し、主人公であるパコも、ベストキャラクター賞にて4位となっている。

同じナムコだが『ワルキューレの冒険』のマーベルランドとは特に関係無い。
PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』ではその繋がり(?)からか、本作のマーベルランドがステージとして登場した。

前述した通り、アーケード版についてはある程度世代が下ったコンシューマ機においても、ダウンロード販売という形で何度か復刻の機会に恵まれているが、
アーケード版からの移植にあたり内容に色々と手を加えられているメガドライブ版の方は そうした機会にさっぱり恵まれず、
手に取って遊ぶのは中々難しい状態となっている。



項目を助けたければ
オレとついき、しゅうせいで勝負だ


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最終更新:2025年07月21日 07:10

*1 ヨーロッパ版でのタイトルは『Talmit’s Adventure』

*2 ナムコでは主に移植や家庭用作品のイラストを担当。氏の画集『任務・了解』に本作含めいくつか収録されている。

*3 あくまで雑誌のインタビュー内で冗談交じりに飛び出した発言である、という点については留意の事。

*4 ワンダーモモは元々お色気要素全開だからだって?それはそう。

*5 説明書のイラストとはカラーリングが大きく異なっており、そちらでは背中の蝶の羽は赤とピンク、レオタードも赤色で、胸元の花と腰の装飾はオレンジ色となっている。ファンアートでは後者のカラーリングで描かれる事が多い。

*6 メガドライブ版の2面新規ミニゲーム「風船割」ルール説明時のキャラ名表記より。説明書では「バニー」名義。

*7 メガドライブ版エンディングキャラ紹介より。説明書では「バニー」名義。

*8 海外メガドライブ版のキャラクター紹介では「見習い妖精 バニー(APPRENTICE FIARY BUUNY)表記」

*9 海外版の説明書のストーリー解説ではオープニングデモの内容を受ける形で、ルクシーに使える侍女が巻き添えでモウルにさらわれたところを唯一逃げ出しパコの元へ駈け込んできた、という趣旨の文が書かれているため、ルクシーの侍女という扱いになっている模様。

*10 公式絵ではタイツを着用しているが、ゲーム中では配色の都合で足が肌色(=生足)なので、2面ミニゲームでの高頭身グラはぶっちゃけ説明書のイラスト以上にエロい。また2面のミニゲームに敗北して頭から水をかぶった際のグラは、国内版と比べてグショ濡れになっているのがより明確に分かる描写となっておりこれまた国内版よりもエロイ

*11 同時期のメジャーなアクションゲームでは、こういった足場の慣性はジャンプの瞬間に消滅するか、または非常に小さいかのどちらかであり、本作の仕様はかなりマイナーな部類。

*12 ワールド4・4エリア最後の脱出面がワールド5扱いの2エリア構成となったため実質29エリア。

*13 ワールド1全エリア、ワールド2-1・2、ワールド4-4前半(真剣勝負まで)のみの全7面。

*14 例:1-1から3-4まで到達した状態でゲームオーバーになった後に2-3から再開し、クリアできずにゲームオーバーになった場合、2-4から3-4までが選べなくなる。

*15 例:ワールド4-1からゲーム開始した場合、コンティニュー後はワールド3までの全エリアが開放状態となる。

*16 エリアセレクトでゲームオーバーになったエリアよりも前のエリアを選び直した場合も含む。上述のラウンドセレクト時における選択可能エリアの減少が起きた場合も同じ。

*17 原文ママ。おそらく「じゃんけん」の誤字。…モウル様?

*18 ネームエントリーにおけるクリアラウンド表記も、ここをクリアできれば「ALL」なるが失敗した場合は「END」と中途半端なものになる。