飛雷神の術

登録日:2024/12/28 Sat 23:59:02
更新日:2025/03/12 Wed 22:37:20
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飛雷神の術!!




飛雷神(ひらいしん)の術とは、漫画アニメNARUTO‐ナルト‐』に登場する忍術の一つである。


◆概要

二代目火影・千手扉間が開発・考案した。後に同じ火影の波風ミナトも習得している。
続編ではミナトの孫であるボルトも同名かつ極めて近しい効果の術を会得した。

取得難易度はSランク
時空間忍術に分類される術であり、チャクラによるマーキングを施した物体へと一瞬でワープできる。
原理としては口寄せの術を応用したもので、マーキング先の座標に自分自身を口寄せする形で瞬間移動を実現している。

扉間が編み出した術の中では影分身の術穢土転生に並ぶ代表的な忍術。
それらの術とは、個人の努力ではどうにもならない血継限界や性質変化等と異なり、資質に左右されない点で共通している。
一方で習得・運用は高難易度な代わりに応用性が非常に高いという、二代目様の開発してきた忍術を象徴するかのような好例でもある。


◆使用条件

術の発動に必要な印は「未」の一手だけ
開発者が同じ影分身の術を彷彿とさせる簡易性であり、術者の力量次第では片手印での発動も可能で、更に突き詰めると印自体を省略できてしまう
作中では扉間もミナトも当然のように省略して扱っていたので、そもそも印が必要な事自体があまり知られていないが、一応ミナトが結ぶ場面もわずかながらに描かれている。*1
これらの特性によって、ほぼ完全な瞬間移動でありながら実質ノーモーションでの発動が可能となり、奇襲性・速攻性の面で非常に優れている。

ワープの対象は自身の他にも、自分の体かチャクラが間接的に触れている物体や生物を自身と共に、あるいは一方的に転送させる事ができる。
この「間接的に」というのが肝で、単純に接触するのは勿論、複数人に分け与えたチャクラを自身のチャクラと連結して共鳴させる事で、全員まとめてワープさせるといった芸当も可能にしてくれる。
作中では忍連合に予め分け与えていたナルト九尾チャクラとの繋がりを利用し、扉間とミナトがそれぞれ連合の忍達を転送させた。

また、指定の地点にワープするためにはそれぞれの座標に刻まれたマーキングを識別して感じ取る事が求められるため、高度な感知系の能力も必須となる。

チャクラ消費に関しては、いずれの使い手も自分一人がワープするだけなら連発しても大して消耗しておらず、基本的な消費量は然程でもない模様。
その反面、他者や物体を転送する場合には、対象の質量や保有チャクラに依らず単純な体積に比例して消耗が激しくなっていく。

欠点(?)として、影分身でのワープは本体よりも転移速度が落ちてしまう事が挙げられる。
また、神威空間のような空間を隔てた特殊な領域には行き来できず、空間に引きずり込まれた場合には脱出不可能となる事が示唆されている。


◆マーキング

飛雷神の術で移動先に設定したい対象に刻む術式、及び術式を対象に刻む行為の総称。
術式の模様は術者によって異なる。

主な運用としては自前の刀やクナイ等に予めマーキングを施し、それらを投擲する事で戦場におけるワープ箇所を確保している。
マーキング自体は手で一瞬触れるだけでも付加可能な為、戦闘の最中でも背後を取って攻撃した時にマーキングを仕込むことで、クナイを投げずとも何時でも背後を取れるようになる。
敵とのすれ違い様や別の攻撃のついでに体表や装飾品にマーキングを刻み、次の瞬間に飛んで多段攻撃を仕掛けるといった動きも可能であり、相手からすれば最早二段構え所の話ではなくなる。

また、術者によっては自身と異なる飛雷神使いが刻んだマーキングもリンクさせて使用でき、飛べる範囲を大幅に拡張できる。

なお、一度刻んだマーキングは基本的に決して消えない*2
飛雷神を操ってきた術者の死後にも残り続け、転生忍術などで術者が復活した場合には生前刻んだマーキングを引き続き使用できる。
この特性に関しては作中でも殆ど知れ渡っておらず、第四次忍界大戦では十六年も前にミナトの遺したマーキングが意外な効果を発揮した。


◆応用術

  • 飛雷神二の段
マーキング済みのクナイによる攻撃が敵に避けられたり弾かれたりした際、飛雷神でクナイに向けて飛ぶ事で対象の背後に回り込んで不意打ちを仕掛ける術。
命中したのならば良し、回避されても相手の背後が取れるため、術名通り二段構えの戦法が取れるのは実に強力。
また、敵視点では自身の攻撃が避けられたかと思えば死角に回られる形となり、回避と不意打ちが同時に行われるので非常に厄介である。
あの神威の攻略に初めて成功した技でもある。

  • 飛雷神・導雷
敵からの攻撃をマーキング済みのクナイが配置された別の場所へと飛ばす術。
主に大勢の味方を大規模な破壊攻撃から守るために使用される。
飛ばせる対象の範囲が極めて広く大きいのが特徴で、なんと十尾の尾獣玉にまで対応している。

  • 飛雷神互瞬回しの術
通称「飛雷神回し」。
マーキングを刻んだ者同士が互いの場所へ同時に飛び、一瞬にして場所を入れ替えるという術。
片方が味方の大技の前に飛び込み、もう片方が敵と接触した状態でこの術を使う事により、味方の大技が敵に当たる寸前の状況を作り出せる。
作中で使用された際にはミナトが穢土転生体だったため、大技に当たる寸前ではなく当たった状態で入れ替わり、既に大技が命中した状況を敵に押し付けるというより凶悪な術となっていた。
なお、扉間とミナトは「飛雷神回し」の一言でこの術の概要を通じ合っていたため、おそらく二人とも生前は自身の影分身と行っていた事が推測される。

  • 飛雷神斬り
主に扉間が使用した術。別名「卑劣斬り」
飛雷神で相手の死角に向かって飛び、刀やクナイで急所を一突きするという不意打ちに特化した術である。
使うタイミングが吟味される術であり、相手が勝利を確信する等して無防備なスキを晒した瞬間に急所ごと不意を突く事が求められる。
作中ではマダラ・イズナのうちは兄弟に対して二度使用されており、弟に対しては致命傷を与える事に成功したものの、兄には昔からの常套手段と認識されていたために通じなかった。

  • 螺旋閃光超輪舞吼参式(らせんせんこうちょうりんぶこうさんしき)
ネーミングで分かる通り主にミナトが使用した術。
作中では全て不発に終わっており、複数本のマーキング済みクナイを使用する事しか分かっていない。
そうした特徴とネーミングから推察するに、恐らくは「打ち込んだクナイを目標に連続で飛雷神を発動、高速移動しながら螺旋丸で敵を攻撃し続ける」術と思われる。


◆類似術

  • 瞬身の術
飛雷神の術のように一瞬で移動できる忍術。
こちらはチャクラによる肉体活性を駆使した高速移動であり、飛雷神の術のように空間を越えて瞬間的にワープしているものではない。
ただし、作中では開発者の扉間自身も飛雷神の事を「瞬身の術」と呼ぶ場面があり、明確に区別されている訳でもない模様。

  • 飛雷陣(ひらいじん)の術
ミナトが自身の護衛小隊のメンバーであるゲンマ・イワシ・ライドウ達に伝授した術。
飛雷神の応用技…というよりもダウングレード版で、こちらは対象を囲うようにして三人がかりで転送する。
ミナトならば自身のみで他人を連れて転送できる事、ゲンマが「俺らではこれが精いっぱい」と語っていた事から、単身では飛雷神の術を行使できない実力の者同士が協力して発動させる術の模様。

  • 亜流の飛雷神
続編に登場した術で、うずまきボルトが使用する飛雷神の術に対する呼称。
」によって発現した不安定な時空間忍術を制御するべく、ボルト個人が六年かけて試行錯誤した末に編み出した独自の忍術。
つまり本家の飛雷神を習得しようとして覚えた訳ではなく、制御の過程でたまたま飛雷神に限りなく近い効果に至ったという代物であり、祖父の得意としていた術に肖ってボルトが「飛雷神の術」と名付けた経緯がある。
このように同名ながら厳密には異なる術である事から、作中では扉間の開発した飛雷神と区別する形で「亜流」として扱われている。

大まかな使い勝手は扉間式と同様で、マーキングの有無から術の印まで共通しているが、細かな仕様で異なっており、
  • マーキングは術式ではなくボルトのチャクラを付与して行う
  • マーキングできる媒体は金属に限る
  • マーキングには最低でも一分以上を要し、対象物の大きさに比例して所要時間も増える
  • 術の発動時には最低でも片手で「未」の印を結ぶ必要あり
  • 遠隔移動の際には場所毎に専用の形のマーキング済み金属を用いる必要あり
  • 大筒木一族しか出入りできないような異空間にも跳躍可能
等の相違点がある。

  • 爪痕
同じく続編に登場した術で、大筒木一族が宿していた数ある神術の一つ。
血中の鉄分とチャクラを混ぜ合わせた暗器「爪痕」をマーキングとして配置し、爪痕間を自在に移動できるという飛雷神の術に近い性質の能力である。
作中でも爪痕と似通った術としてミナトの飛雷神が挙げられており、「神術と同じ現象を再現したものが忍術」という両者の関係性を考えるなら、爪痕の忍術版が飛雷神の術なのだと思われる。


◆主な使い手

開発者。
術式の模様は円と括弧に複数本の線が交差した独特な幾何学模様。

使い手としては自分よりミナトの方が上手であることを認めているが、扉間自身の実力も折り紙つきである。
二度目の穢土転生で生前に近い実力が備わった際には、十尾の人柱力となったオビトの攻撃速度にも反応してマーキングする手の速さに加え、マーキングリンクを初めとした柔軟な応用力も見せた。
全盛期の速度は仇敵のマダラをして「忍一の速さを誇った」と認める程であり、スピード面では兄の柱間をも超えていた模様。

どのような経緯で飛雷神の術を開発したのかは明らかになっていないが、扉間が過ごした当時の情勢を考慮するなら対・写輪眼用に編み出したという説が有力。
戦国時代における千手一族のライバルだったうちは一族の写輪眼は動体視力に優れており、その脅威的な捕捉を瞬間移動で振り切れる飛雷神の術は大いに有効なためである。
実際、うちは一族との戦いでは飛雷神の術で万華鏡写輪眼をも出し抜く活躍を見せている。

二人目の使い手。
術式の模様は「忍愛之剣」の字体を崩して書いたもの。上忍時代は模様が若干異なっており、後半の二文字が判読不可能となっている。

その頭髪と飛雷神の術で瞬く間に戦場を駆けた姿を由縁として、「木ノ葉の黄色い閃光」の二つ名を持つ。
上述の通り使い手としては開発者の扉間をも上回る程で、事実上最も飛雷神の術を使いこなせた忍である。
ミナトの場合、事前にマーキングを仕込んだ特製のクナイを用いている。

習得に至った経緯や時期などは作中でも関連書籍でも掘り下げられておらず、扉間と同じく詳細不明。
少なくとも『渦の中のつむじ風』の頃には実戦で扱えるレベルに至っており、この時点ではまだ術の発動に印を必要としていた。
意外なことに習得したのは螺旋丸の開発よりも前である。

なお、扉間からだいぶ間が空いて現れた使い手である事に加え、この二人以外でまともに運用できる忍もいなかったためか、後世における飛雷神は実質「四代目火影の術」として知れ渡っている。
「ワシが作った術だ!ワシの術だ!」

「亜流の飛雷神」の使い手。
厳密には異なる術だが、ミナト以来の単身で飛雷神を扱える忍でもあるため、三人目の使い手として記述する。

そもそも術の開発経緯が異なるという事もあってか、必ず印を結ばなければならなかったりマーキングできる媒体が限られていたりと上二人に比べて劣る点が多く、作中でも「四代目(じいちゃん)みたく器用じゃない」と零す場面もあった。
とは言え、これはミナトに対する扉間が劣っているのと同じ相対的な力関係であって、ボルト自身も非常に類稀な忍である。
亜流でも従来の飛雷神と同様に咄嗟の回避や死角への瞬間移動に活用されている他、ボルト自身が追われている身という事もあって、敵地ど真ん中からの撤退や味方の窮地への推参など戦闘面以外での活躍も目立っている。
また、遠隔移動の際には視覚共有できる果心居士の蛙と連携してマーキング自体を移動させ、任意の地点にワープするといった独自の工夫で欠点をカバーしている。

開発経緯に関しては上述の通り六年かけて行われたが、実はこれを成し遂げたのは「起こり得る未来」の一つで観測された世界線のボルトである。
では、本編におけるボルトはどうしたかというと、未来視できる果心居士から未来の自分自身が構築するはずだった術のシステムを教わった結果、大幅に前倒ししてわずか二年足らずで修めるに至った。
やはり……天才か。


◆余談

  • 術名の由来は、落雷による被害から建築物などを守るために設置される棒状の導体「避雷針」の捩り。
    落雷で発生した電流を誘導して地面に反らすという仕組みの設備であり、瞬間移動の忍術に対するネーミングとしては少々ピンと来ないようにも感じられる。
    とはいえ、応用術の「飛雷神・導雷」では様々な攻撃を別の場所へ反らして味方の安全を確保する避雷針の如き役割がこなせる他、第四次忍界大戦でも大規模な破壊攻撃から大勢の連合軍を守るために飛雷神の術が活用されており、両者ともに「災厄から人々を守る」という点では共通している。
    NARUTO世界の戦国時代にも避雷針が存在していたかは不明だが、もしかしたら避雷針のように同胞や次世代を守らんとする扉間の思いが込もった命名なのかもしれない。

  • 習得難易度がべら棒に高いだけで個人の資質に拘らず身に付けられる術のため、設定上は「木ノ葉隠れの里に存在する術を全て解き明かし習得した」とされる猿飛ヒルゼンも飛雷神を覚えているはずだが、作中では特に使える素振りを見せていない。
    ヒルゼンの場合、火影として自身の先代・後継を務める扉間とミナトの両名とも覚えているので術の詳細を知らないという事はあり得ず、これ程までに有用な術を使わない選択肢もないため、使用しなかった事が不可解な謎を呼んでいる。
    辻褄を合わせるとするなら、明らかになっていない全盛期の頃には使えたが老化に伴う弱体化で使用できなくなった、あるいは使える事には使えたが実戦に投入できる水準ではなかった、等の可能性が考えられる。



追記・修正は体にマーキングされていないか確認してからお願いします。

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最終更新:2025年03月12日 22:37

*1 人柱力化したオビトから離れるべく、自身と共にガマ吉・ナルト・サスケ達を転送した場面。

*2 マーキング対象が十尾を取り込んで十尾の人柱力になったために体表から消失した、などの例外は存在する。