九喇嘛(NARUTO)

登録日:2021/11/22 Mon 07:17:36
更新日:2025/01/04 Sat 14:16:28
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昔 妖狐ありけり

その狐 九つの尾あり


九喇嘛(クラマ)とは、漫画『NARUTO‐ナルト‐』及び続編の『BORUTO‐ボルト‐』の登場人物。
CV:玄田哲章


◆概要

オレンジ色の体毛と血走った瞳を持つ小山のようなサイズの狐の姿をした生物。
九本の長い尻尾を持つことから「九尾の妖狐」と称されている。
忍の祖とされる六道仙人の手によって生み出された九体の尾獣のうちの一体であり、古くから災厄として恐れられてきた。
本編の12年前に木ノ葉隠れの里を襲い、四代目火影によって陰陽に分けられ、陽のチャクラがナルトの中に封印された。

本編以前にうちはマダラトビ写輪眼で使役され無理矢理に木ノ葉隠れの里を襲わされるなど人間の悪意に利用されてきたため、尾獣の中でもひときわ人間を嫌っている*1


名前の由来は、数字の「九」にチベット語で聖人を意味する「喇嘛(ラマ)」を合わせたものが有力。
もしくは、天狗で有名な「鞍馬」の当て字。
なお、存在は第1話から明かされ第1部の中盤には直接登場もしているが基本的に「九尾」「化け狐」などと呼ばれており、「九喇嘛」という名が判明したのは第2部後半の第四次忍界大戦と作品終盤になってからである。


◆戦闘能力

他の尾獣のように特徴的な力は持っていないが、尾獣の中で最も膨大なチャクラを有する。
が尾獣達を封印していた時にも、「九尾を封印するのは最後にしないと、外道魔像内でのチャクラのバランスが狂って封印に支障を来す」と注意していた程である。
歴代で三指に入る万華鏡写輪眼の使い手であるうちはマダラでさえ、幻術で強引に従えながら戦う場合は負担が大きく、短期決戦に臨まざるを得なかった。


◆術

  • 尾獣玉
尾獣なので当然扱える。
九喇嘛単体ではマダラやトビの幻術に操られる形で使用していた。

  • 虚狗砲(きょくほう)
尾獣玉を飲み込み、黒いレーザーとして吐き出す。

  • 尾獣モード
九尾の人柱力に見られる特殊な尾獣化。
九喇嘛の姿を形取った半透明の巨大なチャクラの塊で、九喇嘛自身もこの状態なら喋る事が出来る。
『THE LAST』ではナルトから独立して九喇嘛の意志で動けるようにもなっている。

  • 重粒子(バリオン)モード
『BORUTO』にて見せたナルトと九喇嘛の新たな形態。
一時的ではあるがあの大筒木一族を単騎で圧倒できる程にパワーアップする。
しかしその代償は重く、術者は絶命してしまうとされているが…?


◆作中の活躍

◇本編以前

陰陽遁によって十尾から九つに分割され、他の尾獣達と共に生を受ける。
この頃は誕生したてという事もあってか(サイズは規格外だが)子狐のような幼い風貌であり、性格もまだ純真だった様子。
六道仙人の事は慕っており、仙人との別れ際には涙を浮かべていた。

その後は仙人の手によって各地に分散され、解放された世界でそれぞれ生きていく事に。
だが、自分たち尾獣の事を「強大な力」「厄災」としてしか見ない人間たちと触れていく内に、いつしか憎悪の権化のようになってしまった。

マダラ・柱間の時代

この時代でも圧倒的な力の持ち主として相変わらず狙われており、自身を捕えんとする雲隠れの金角・銀角兄弟に挑まれた際には二人を食らったものの、腹の中でなお肉を貪る彼らに堪えかねて吐き出してたりしていた。*2

そんな日々を送っていたある時、力を求めていたうちはマダラ写輪眼による幻術に捕らわれ、千手柱間との決戦に利用されてしまう。
戦闘自体は九尾を封印術で沈静化させた上でマダラを制した柱間の勝利に終わったものの、
柱間「九尾…お前の力は強大すぎる、悪いが野放しにはしておけん」お前が言うな
その力を危険視され、柱間の妻であるうずまきミトが己の体内に九尾を封印し、九尾の人柱力となった。
これを機に柱間は各地の尾獣を捕え、大国間のパワーバランスを保つために条約と協定の元で各国に分配し、人柱力の制度が確立するようになる。

このような尾獣達の扱いを受け、九尾の中では人間に対する憎悪と不信感がますます膨れ上がっていった。

九尾の妖狐襲撃事件

ミトの後任の人柱力となったうずまきクシナが出産の時を迎える。
人柱力の出産は尾獣の封印が弱まるため、夫の四代目火影こと波風ミナトも同伴し厳戒態勢で執り行われる事に。

出産自体は滞りなく終わったものの、そこへうちはマダラと思わしき仮面の男が突如侵入してクシナを攫い、写輪眼の幻術で緩んでいた封印を無理やりこじ開け九尾を解放してしまう。
仮面の男のコントロール下に置かれた九尾は口寄せによって木ノ葉の里へと呼び出され、里内で暴走し破壊の限りを尽くす。
先代の三代目火影主導の元忍達が総出で防衛に当たったが、この暴走が原因で多数の死者を出してしまう事に…。

ミナトの活躍によって幻術は解かれたものの、人間を憎悪する九尾は己の意志で破壊活動を再開。
しかし飛雷神の術で里外に引き離された上に、クシナの最期の尽力で身動きが取れなくなったところをミナトの屍鬼封尽によって陰のチャクラを死神に食われ、半分に弱体化してしまう。
それでも隙を突いて自身が封印されようとしている赤子を殺害しようとするが、ミナトとクシナが串刺しになりながら盾となり、八卦封印によって二人の息子━うずまきナルトへと再封印された。

◇第一部

封印されているため本体が直接出たことはないが、序盤からナルトが九尾のチャクラを使う度に背景にスタンドになって出てくる。
自来也との修行では初めてナルトと会話をし*3、彼からチャクラを寄越すよう言われたため力を貸し与える。
その後もネジ、我愛羅、君麻呂、サスケとの戦いで彼に力を貸し、ナルトを間接的に守っていた*4

本人(?)としてはナルトの感情の高まりを利用して少しずつチャクラを分け与えて軟化させたように見せ掛け、ナルトが自ら封印を解くように仕向けていたに過ぎず、窮地に陥った際に助けているのも『ナルトが死ねば九尾も死ぬ』ので、この時点では利害の一致の上での関係ではあったのだが。

◇第二部

天地橋にてナルトが大蛇丸と遭遇。因縁の敵を目の前にしたことでナルトの怒りを利用させ、尾を4本目まで暴走させた。その後アジトでサスケとナルトが再会した際、成長したサスケに歯が立たないナルトに力を与えると誘惑するも、先の戦いで暴走した際サクラを傷つけたことにショックを受けていたナルトからは拒絶され、なおナルトの弱みをついて乗っ取ろうとする。その時ナルトの精神世界に現れたサスケを見て「そのワシ以上に禍々しいチャクラ……かつてのうちはマダラと同じだな」とつぶやいたがサスケに潰されてしまう。

ペイン編

ペイン天道の手で日向ヒナタを目の前で倒され、怒りと憎しみを抑えきれなくなったナルトの激情につけ込み暴走させた*5
これまでで最多の六本の尾を発現させてペインを圧倒し、切り札の地爆天星をも八本目まで引き出して強引に破り、精神世界のナルトをそそのかして封印の解術まであと一歩のところまで持っていったが…そこへ四代目火影*6が出現。
自身を封印した張本人を前にして珍しく声を荒げるが、四代目の手で場所を移され即行でフェードアウト。
八卦封印も再度組み直されてしまい、封印解除は失敗に終わった。

第四次忍界大戦

ナルトと対話する機会が増えるにつれ、ナルトの精神的成長もあって少しずつ態度が軟化。
忍界大戦でのマダラとの遭遇を機に「あいつに呼ばれるくらいならナルトの方がマシだ」とチャクラの収奪を止め、協調を見せ始める。
そして570話で遂に「九喇嘛」の名を呼んだナルトと完全に和解、共闘することになる。これに伴い封印は無くなり、自由にチャクラ体として出てこられるようになった。
封印を解除した上でナルトから出てこない、つまり九喇嘛が自分自身の意志でナルトの中にいる事を選んでいるという事が分かる(出ていけばナルトが死ぬというのもあるが)。

十尾復活の前後でナルトの中に元々いたほうの陽の九喇嘛は一度引き抜かれてしまうが、無事再会した後はナルトに「寂しかったんじゃないの」とからかわれる。
そしてそれに対して「バカヤロウ!もう片方のワシがそっちにいただろうが!」と焦って否定するが、九喇嘛がこんなに照れて焦るのは他の尾獣や六道仙人さえめったに見た事が無いらしい。
全てが終わった後に六道仙人に改めて「もうナルトの中にいるのは苦痛ではなかろう」と言われた時も否定しなかった。

また、ナルトに封印される際に陰のチャクラが波風ミナトの方に封印されており、そちらと一人漫才状態で対話したりしている。

◇THE LAST

劇場版「THE LAST NARUTO」では、仕事をさぼっているのか色恋沙汰の為に空気を読んでいるのか、幻術にかかったナルトを放置したりと余り積極的に仕事をしていない。
しかし、ナルトが呼びかければちゃんと応じ、ナルトが成長したお陰もあってナルトから完全に分離してポケモンの如く独立して戦闘することも可能になった。
巨岩の怪物を投げ飛ばしたり、マウントとられてボッコボコにされたりとかなり体を張っている。
本人曰く「字を書くのが下手」。

BORUTO‐ボルト‐

主人公が次世代に移ったので出番はあまり多くないが、モモシキ・キンシキ襲来時にはナルトと共に木ノ葉を守り抜き、アニメではとある事情でうずまき家にやって来た守鶴と互いに憎まれ口を叩きながらも談笑する姿を見せている。

その後も木ノ葉に保護された少年カワキの相談に密かに乗り、彼の心の闇を解していた。
ジゲンとの戦いでは、敵に激昂するナルトを諫めようとする冷静沈着な一面も。

そして、ついに顕現した大筒木イッシキとの決戦。
時間稼ぎすらままならない圧倒的な強敵を前に玉砕覚悟で戦闘に臨もうとするナルトに対し、九喇嘛は正真正銘・究極の奥の手として「死と引き換えに大筒木を倒せる術」を提案する。
元より火影になった日から…火影を目指したあの日から覚悟していたナルトはそれを了承し、最終・最強形態となる重粒子(バリオン)モードへと変身。
イッシキをも圧倒する絶大な戦闘力に加え、命が削られるデメリットをチャクラの性質で逆に利用して残り少ない寿命を削り取り、ナルトと共にイッシキ撃破に大きく貢献した。


TWO BLUE VORTEX

イッシキとの闘いで既に消滅したはずだったのだが、新たな脅威である「人神樹」の1体・十羅によって九尾のチャクラ反応が感知され、意外な真相が明らかになった。


◆おもな人間関係

人柱力。
生まれてすぐに九尾事件が発生したため、クシナに代わりミナトによって陽の半身を封印されている。
当初は互いにいがみ合っていたが、成長に伴い九喇嘛の憎しみを少しずつ理解し始め、その凍てついた心を遂に解きほぐし、共闘関係に。これによって特殊な形だが尾獣化が可能になり、尾獣玉も使用可能となった。その威力は5体の尾獣による尾獣玉を相殺するほど。さらに尾獣チャクラと仙術との併用を覚えて益々強化され、更には九体の尾獣のチャクラを扱う六道仙術を得る。

人柱力。
ミトの後任としてやって来た渦潮隠れのくノ一。一族秘伝の封印術「金剛封鎖」で九喇嘛を完全に押さえ込み、生涯暴走することはなかった。
だが、月の目計画遂行に備えて木ノ葉にダメージを与えるため、襲撃してきたオビトに九喇嘛を引き抜かれてしまった。

人柱力。
ナルトに九喇嘛を封印した際、屍鬼封尽で陰の半身を道連れに己を死神の腹の中に封印していた。そして、大蛇丸によってその封印が解かれ、穢土転生で呼び出された結果、塵芥で構成された肉体に陰の半身が封印され、人柱力として転生されることになった。同調率は陰の半身が陽の半身と情報共有をしていたのか協力的であるため、ナルト同様の完璧な人柱力となっている。
またこれにより、結果的に親子三人が全員九喇嘛の人柱力という事態が発生している。
当初ミナトのことは彼の顔を見るなり「ズタズタにしてやる!」と憎悪していたが、ナルトと和解して以降は「このワシを分けてでも封印しきった男」と高く評価していたことが判明。

  • うずまきミト
人柱力。
初代火影・千手柱間の妻。同調率はまあまあだったらしく、悪意を感知する能力を発現していた。
クシナの幼少期に寿命が近付いて来たことに伴い、人柱力の座を後継のクシナに譲ることとなり、不安を抱えていた彼女を励ました。

初代火影。
マダラとの戦闘を通して幻術の支配から救ったが、強大な力を持つ九喇嘛をそのまま放逐する事はできず妻に封じさせて人柱力に。
その後は九喇嘛の経験を通して各地の尾獣を捕獲し売買するなど、尾獣たちにとってはある意味元凶とも言える人物。
柱間が人柱力になれば良かったとか言ってはいけない

うちは一族伝説の男。
その絶大な力に目を付けられ、幻術によって柱間との決戦に駆り出されてしまった。
マダラの事は憎悪しているものの*10、口寄せの感覚を思い出して身震いするなどある種のトラウマとして九喇嘛に刻まれている。

十尾からチャクラを分散・創造した尾獣たちの生みの親。
人間を憎悪する九喇嘛も仙人だけは例外的に慕っており、「六道のジジイ」と軽口を叩きながら呼んでおり、別れの際は涙を流していた。

  • 守鶴
一尾の尾獣。
尾獣の強さを尾の数で計る九喇嘛と守鶴は昔から仲が悪く、「バカ狐」「クソ狸」と呼ぶ合う程。
また、その仲の悪さから過去に戦った事もあるらしい。
木ノ葉崩しで九尾に化けたガマブン太を見た守鶴の気持ちを知りたい…

  • うずまきヒマワリ
ナルトの娘にして「BORUTO」第二部における新たな人柱力。
昔、ナルトの火影就任式の時にヒマワリが白眼に目覚めた際、彼女の攻撃が偶然にもナルトの急止の点穴を突き、そのダメージが九喇嘛にまで響いた。*11それ故、この出来事は九喇嘛にとって軽いトラウマとなっている。

六道仙人の次男で、回想にて九喇嘛リンクモードを使用していた事から人柱力疑惑がある人物。
何らかの形で九尾チャクラを用いており、忍界大戦終盤のナルトと同レベルで使いこなしていたことが推察される。


◆余談

  • 九喇嘛のサイズについて、かつてはマダラの完成体須佐能乎とのサイズの比較から「陰陽が片方のみの状態の九喇嘛はサイズが小さい」と推察されていた。
    しかし、後の映画で完全な姿となった九喇嘛もサイズは特に変わりは無かったので、単に作中における描写のブレによるものの模様。
    ペイン戦にて尻尾八本の尾獣化で地爆天星を突き破った際にも山のような大きさを誇る地爆天星に近いサイズの巨体であったことからもそれがうかがえる。
    ただし、ナルトに封印される際に明確に小型化していたのも事実なので、単なるブレなのかチャクラ量に左右されるのかは不明。

  • ナルトとの別れが描かれたBORUTOの218話『相棒』が放送された10月3日は、奇しくも2002年から放映されたNARUTOのアニメ放送開始日と合致している。



追記・修正は、九喇嘛と心を通わせてからお願いします。

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最終更新:2025年01月04日 14:16

*1 ゲロ寅からは「憎しみの塊」とまで言われている

*2 その後、尾獣の肉に適応した金角と銀角は九尾の力を得ている。

*3 それ以前にナルトの境遇は知っていたが…

*4 カブト戦ではナルトが死にかけたため一時的に力が弱まるが、綱手のお陰で事なきを得た

*5 それ以前にフカサクとナルトの融合を拒絶したりもした。理由は「カエルとルームシェアしたくないから」らしい

*6 封印の術式に自身のチャクラを予め組み込んでおり、封印が解けそうになった時に自分が現われるように仕込んでおいた。

*7 アニメ288話の描写にて。

*8 「尾獣は死んでも復活する」こと自体は「NARUTO」の時点で設定が存在し、たびたび言及されている。

*9 少なくともナルトが生きている間には蘇れないと考えていた模様。

*10 曰く「ナルトの方がマシ」

*11 アニメ版の描写にて。