サラ・ザビアロフ

登録日:2025/02/15 Sat 21 :15:20
更新日:2025/03/07 Fri 15:08:45
所要時間:約 7 分で読めます






「でも私は、あなたよりも先にシロッコに出会ったのよ!仕方のない事よ!」


「サラ・ザビアロフ」は宇宙世紀ガンダムシリーズの登場人物の一人。
登場作品は『機動戦士Ζガンダム』で、同作の重要人物の一人ながら案外と謎の多いキャラクターである。
同作に於いてラスボスとなったパプテマス・シロッコの懐刀でありながらも、主人公カミーユ・ビダンカツ・コバヤシとの短いながらも確かな交流を描かれたことで視聴者の心にも非常に複雑な感情を抱かせた。

CV:水谷優子(旧TV版)/池脇千鶴(新訳『Ζ』:『恋人たち』)/島村香織(新訳『Ζ』:『星の鼓動は愛』)/守野かおり (ゲーム:2009年~2016年)/弓場沙織 (ゲーム:2017年~)

【人物】

ティターンズのMSパイロット。
及び、潜入工作員。
階級は曹長。
年齢は旧TV版と劇場版(新訳『Ζ』)では15歳。

野心を秘めつつも、ティターンズの前線部隊として動くことを約束して地球圏へとやって来たパプテマス・シロッコこと“パプテマス様”が懐刀として連れてきた少女。

髪色は淫乱ピンクで、少し癖のあるボブカット(おかっぱ)の襟足部分をうなじのあたりに集める(?)という形でまとめている。

見た目の可愛さなら宇宙世紀ガンダムシリーズでも屈指の美少女だが、とにかく劇中でのフラフラ具合と所業から小悪魔やそれに留まらない悪女と捉えられることもある。

初登場は22話だが、その時はメタ的にも名前が明かされず、配属されてシロッコへの面通しを済ませたマウアー・ファラオも不自然にも紹介されないことを訝しんでいた。

その後、シロッコ秘蔵のニュータイプ部隊の一人という情報が出てくると共にジェリド・メサの配下として付けられ、この華奢なお手々で人殺しが出来るのかと問われるが「私は人殺しはしません」と発言━━まぁ、普通にマラサイを駆ってジェリドに帯同してたが。
初の戦場では経験の少なさと感受性の高さから撤退命令も出ていないのに逃げ帰るというエゥーゴなら鉄拳制裁案件の失態を起こすがシロッコに笑って許される。*1
このこともあってか、ジェリドやマウアーもサラを怒りにくくなったのか、
意外にも彼等との付き合いは長くなっていったのに伴い、困った娘くらいの扱いで割と世話を焼いてもらってる描写すら見られた。

その後、白旗を持ったハイザックによりティターンズの作戦情報を餌にアーガマに潜入工作を仕掛ける。
一応は、持ってきた情報は信憑性のあるものだったもののそれを含めても作戦であり、またアーガマでも普通に警戒をする人間は多かったものの、その可愛さの虜となったカツとカミーユが不必要に接近してきたのを見て取り(特にカツ)*2、戦闘が開始された後にMSに乗りたいのに乗せてもらえない鬱憤を抱えるカツの心を利用して自分の乗ってきたハイザックまで連れていかせた後にカツを捨てて脱出した。*3

その後も相変わらずジェリドの下に付けられていたようだったのだが、何処かのタイミングでシロッコに戻され、以降は本当の意味で彼の懐刀として使われることになる。
シロッコの命でアーガマを巻き添えにするためだけにフォン・ブラウン市の広範囲に被害を及ぼす爆弾を仕掛けるなど中々にエグい作戦も実行しているのだが、
ここで、以前のアーガマへの潜入にて強い印象を残していたカミーユに見つかってしまうことに。
ここで、サラにかつて心を通い合わせたフォウ・ムラサメと似たものを感じることに気づいたカミーユの方から歩み寄り、じっくりと話をする機会を得ることに。
そして、奢られたアイスクリームのお礼という訳ではなかったのだろうが、作戦の内容を自ら明かしてしまった上に危険を顧みずに爆弾の撤去に挑むカミーユに付き合っていた。
結局、爆弾を仕掛けられた場所から外せはしたもののカミーユは爆弾そのものは落としてしまう。
元の計画からは小規模になったとはいえ爆発は必至の事態となり、それを見届けた後にカミーユに労いの言葉をかけつつ帰投しようとした所を捕まり、強姦紛いの体勢から腹パンを食らいアーガマに連れて行かれる。
しかし、爆弾の爆発から始まった混乱と共に開始された戦闘の最中に目を覚まして脱出。
それを見咎めたカミーユは“サラは居る(た)環境が悪いだけ”と見切っていたこともあってか、(勘違いとはいえ)憎々しげに見つめていたファとは対象的に本気で嘆いていた。

その後もシロッコの側に仕えつつ戦局を見守っていたのだが、その中で着実にニュータイプ能力を育てている描写が見られた。

そんな中で、シロッコが自分と並ぶ駒として元エゥーゴのレコア・ロンドを迎え入れると敵愾心を剥き出しているが、これは基本的に他者を肯定はともかく否定しないサラとしては唯一の例外と言えるものだった。
その後、エゥーゴが失敗した隙に同盟を結べたと高を括っていたアクシズとシロッコが敵対。

ボリノーク・サマーンに搭乗して、ハマーンの駆るキュベレイと戦うシロッコをパラス・アテネに搭乗したレコアと共に援護していたものの、その途中でシロッコを諸悪の根源として狙ってきたカツのシロッコですら予測できないタイミングで狙ってきた攻撃から主を庇う形で戦死した。
尚、この時に劇中にて他人を嘲ることしかしてこなかったシロッコが初めて激昂しており、手前勝手ながらもシロッコが想定した女が統治する世界に必要不可欠な存在としてサラを捉えていたのが窺える。*4
ここで、感情のままにカツを殺害しようとしたシロッコだったが、サラは幻影(魂)として現れてカツを逃がした。

ある意味では肉体から解放されたことで自分の意志で動くことが出来るようになったのか、シロッコの下に居た時には近づくことを憚っていたカミーユとカツの下に自分から現れるようになり、カミーユにはシロッコと敵対することを止めるように訴えるもカツの説得を聞き入れて退いている。

そして、カツまでもが戦死した際には彼の魂を迎えに現れており、色々と迷惑な子達だったが死後にようやく結ばれた模様。パプテマス様なんか要らんかったんや!*5
続編の『機動戦士ガンダムΖΖ』では、ジュドー・アーシタとハマーンの最終決戦にて散っていったニュータイプの一人として共に現れてΖΖガンダムの再合体を助けている。

【過去】

『機動戦士Zガンダム』では、ラスボスの側近ポジ&敵ながら主人公(&本命ながらオマケ)と心の交流をするという重要な立ち位置なのに、前述の通りで特に詳しいバックボーンが明かされていない。
一応はニュータイプであることと、パプテマス様に見込まれたことからティターンズに与しているだけで、実際にはジュピトリスというかシロッコに仕えているだけで出身もスペースノイドであるとされている。
一方で、ジェリド隊に居た時には同じく側にいたヤザンから“何か”を感じ取っていたのか“半端な戦闘人形”呼びされており、サラもそれを明確に否定するというよりは戸惑う様子を見せるという不自然なやり取りがあった。
その直後には、ヤザンは恐らくはサラを指して「強化人間」の話題をしている他、暴走するサイコガンダムMk-Ⅱとの戦いにてロザミア・バダムを止めようとしたカミーユ・ビダンは、フォウ・ムラサメはともかく、何故かサラの幻影までも見ている。

……このことから、前述のカミーユが“フォウに似たもの”を感じていたことも含めて、実はサラもまた生粋のニュータイプではなく正体を強化人間とする(若しくは、明確にそうだった)案があったと考察されることも。
尚、『Z』には実際に放映されていく中で当初の予定から変えられた要素、伏線を張っていたが死に設定となった要素もあるために、このサラ周りの伏線も回収されないままとなってしまった可能性が高いとも言われるし、実際にそう考察も出来る。

【小説版】

小説版では年齢設定が17歳に引き上げられており、*6此方では裏切らないレコアの要素も引き継いだ設定になっている。
戦災孤児だったが自分のニュータイプ能力を 接客業に活用して 14歳で入ったファーストフード店のバイトからすぐに店長を任されるという異彩を示し
有能さを見込まれてティターンズのニュータイプ研究所にスカウトされたが ニュータイプ研究所なのに被験者を研究するだけで非人道的な強化措置などをされることなく済んでいる。
本人もそれが気に入っておりハンバーガー屋の副業でニュータイプ研に通っていたが軍人の方が性に合ったようで自分の意思でこちらを本業にし、その後にシロッコと出会っている。
宇宙世紀のニュータイプ研究所出身者でここまでポジティブな扱われ方をされる人物は珍しい。
それ以外の経歴は相変わらず不明瞭だが、その状況を考えるとこちらではアースノイドなのかもしれない。
さすがに接客業、しかも部下の監督指導をする店長経験者ということでアニメ版よりはコミュニケーション能力はマシになっており海千山千の軍人たちに一歩引くことはあっても珍妙な言動は少ない。
ただし言動は真っ当でも「戦闘や操縦経験がないと主張した下士官の少女がハイザックを盗んで投降してきたが 操縦がめちゃくちゃ上手い 」という点を 似たようなことをした経験のあるカミーユに怪しまれる という自分の有能さを客観的に把握できなかったのでバレたという皮肉な結果に終わる。

小説という媒体上内面心理の描写が増えているため、 シロッコはサラのうなじの部分の美しい肌を見るのが好き という設定がありちょくちょく艦内で目の保養をしていただけでなく時たま彼はサラのうなじにじかに触れていた。いい趣味だな
それに対するサラの反応も満更ではなく『私はこの人にこうされるのが好きなんだ』と心の中で独白するなど密かに悦びを感じていた模様。どっちもどっちである

というわけで、レコアがいないおかげでプライベートでも水入らずで構ってもらえるシロッコの公私にわたる従者という立場が強調されており、女としてカツと決別してシロッコを選んでいる他、最終決戦前に“女”にもしてもらったと思われるなど、シロッコも何処となくムッツリなアニメ版に比べると“男”をしている印象である。
最終決戦では、アニメとは少し別の形で精神を摩耗して狂気を帯びていたカミーユにヤザンが倒された直後に、サラもついでのように殺害されてしまっている。

【キャストの変遷】

劇場版で一部キャストが刷新されたΖガンダムのキャラクターの中でも声優の変更が非常に多いキャラクターである。
TV版では今作のモブでデビューした水谷優子が務めていたが、劇場版Ⅱ「恋人たち」では俳優の池脇千鶴がキャスティングされた。
しかし次回作の劇場版Ⅲ「星の鼓動は愛」では続投せず、声優の島村香織に変更となった。
劇場版以降のゲーム作品では発売のスーパーロボット大戦Z(2008年)まで劇場版Ⅲと同じく島村香織がキャスティングされていたが、氏の事務所退所に伴いGジェネレーションWARS(2009年)より守野かおりが後任となり、GジェネレーションGENESIS(2016年)まで務めた。
島村香織と守野かおりに関しては声質と息遣いが非常に似通っているため事務所の退所に伴い名義が変わったという説もあるが、明言はされていない。
2017年に発売されたガンダムバーサス以降は弓場沙織に変更となり、2025年時点でも同氏がキャスティングされている。



「カツ…人は項目立てしすぎてはいけないのよ、でもそれは追記修正すればいいことだって私に教えてくれたのはあなたよ……」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • サラ・ザビアロフ
  • ピンク髪
  • 小悪魔
  • 美少女
  • パプテマス様
  • ガンダム
  • ガンダム登場人物項目
  • 宇宙世紀
  • 宇宙世紀キャラクター項目
  • 軍人
  • 地球連邦軍
  • ティターンズ
  • パイロット
  • 曹長
  • 水谷優子
  • 池脇千鶴
  • 島村香織
  • 守野かおり
  • 弓場沙織
  • 工作員
  • ボリノーク・サマーン
  • ハイザック
  • ニュータイプ
  • 機動戦士Ζガンダム
  • 故人
最終更新:2025年03月07日 15:08

*1 シロッコにとっては「完全に初陣の新兵2人+教官と指揮官を初めて任されたジェリド」が「シロッコから見ても木星のようなプレッシャーを放つ歴戦のアーガマ」と出会った時点で救援を出すべきところをあえて動向を見守っており、撤退を即断したサラと部下1人を死なせて生還したジェリドのどちらも想定以上の結果を出したと思っていたらしい。

*2 カミーユについてはアニメ小説両方ともに「年齢が近いしカミーユの直感で何か掴めるかもしれない」とブライトやハサンが命令や許可を出した上で尋問をしているのでカミーユが独断でサラの独房に入ろうとしてわけではない。

*3 もしこの時カツを宇宙空間側に押していれば他のクルーは戦闘中で気づいていなかったのでカツは死んでいたが、サラは故意に甲板方向に押していた。

*4 ここからシロッコの“本命”だった説も根強い。

*5 小説『機動戦士ガンダム ヴァルプルギス』ではパプテマス様も迎えに行ってることにそれてるけど。

*6 正確には「16、17歳に見える少女」「カミーユと年が近そう」であって17歳と断定はしていない。