マウアー・ファラオ

登録日:2025/02/15 Sat 10:53:00
更新日:2025/04/08 Tue 12:10:07
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貴方について行くって決めたのよ……死なないわ。貴方が守ってくれるから。



マウアー・ファラオは、宇宙世紀ガンダムシリーズの登場人物の一人。
登場作品は『機動戦士Ζガンダム』で、主人公カミーユ・ビダンと最も長く敵対したジェリド・メサのパートナーとして知られる。

CV:榊原良子(旧TV版)/林真里花(新訳『Ζ』)

【人物】

ティターンズ所属のMSパイロット。
階級は少尉。
深い緑色のセミロング(ミドルボブ)のスレンダーな美女で、その冴えた美貌は自軍の仕掛けた核爆弾から這々の体で輸送船に逃げ込もうとして手を伸ばしたジェリドを(手を離されれば死ぬ)状況が状況なのにぼーっとさせた程。

ライラ・ミラ・ライラとは彼女の戦死でカクリコンとは同性で奴がすでに彼女持ちだから未遂におわってしまっていたジェリドがやっと得られた公私の相棒にして自分を大きく成長させてくれる恋人であった。

その過去は明確にされている訳ではないのだが、ジャブロー内に設けられていたニュータイプ研究所で訓練を積んでいたとする記述もある。

上述の経緯でジェリドと知り合ってからは自分より上の階級、かつ士官候補生として生きていれば出世の見込みがあり、上述の設定通りならば訓練続きだった自分に対して外からやって来たジェリドを利用して己の力試しと立身出世を目指す━━という、高学歴でバリキャリを目指す新人女子のような考え方をしていた。

その後、宇宙に上がった後にティターンズの実働部隊として働くことになったジュピトリスを率いるパプテマス・シロッコには、その美貌と野心を気に入られたのか自分の側に付くようにとあからさまなアプローチを受けることになる。
当初こそ、顔を合わせたばかりの自分達に快く新型可変MSガブスレイを与えるなど厚遇してくれたと思っていたシロッコに自身の腕前を示した上で素直に礼を言うなど値踏みをしているような様子も見られたものの、
自分への待遇とは反対に、シロッコがジェリドの性格を利用して上手く焚き付けていたのは確かとはいえ、
ジェリドのことを“小僧”と呼ぶなどあからさまに存在を軽く扱っているのが透けて見えたことで、いつの間にか情が移っていたのか本気で反感を持つようになる。(尚、当人はこのことを特に“意外だ”とも思っておらず、以降はジェリドへの好意を自覚するようになる……あれだ、高学歴女子が期待されて就職したらいきなり恋人みつけていきなり寿退社してったみたいな話だ。)


その後、ティターンズの前線部隊による月面都市フォン・ブラウンを制圧する「アポロ作戦」が決行。
ここで、敢えてドゴス・ギアを前進させずに機を窺っていたシロッコは、通常の艦隊行動を取らずに戦場が展開された後に暫く待機して注意を逸らした後に戦場を突き抜け、
更に月面まで近づいてからやっとジェリド隊を発進させたのだが、このことで月面に最も接近した位置に出されたジェリドはエゥーゴの主力であるクワトロとカミーユの追撃を受けることに。
百式Ζガンダムのパイロットならば、自分の奇襲にも対応してくると踏んだ上で、更にジェリドがカミーユ=Zガンダムのパイロットにしか興味が向かない習性(●●)を利用したのである。
この時にマウアーは、第2陣として待機させられていた自身の指揮するマウアー隊と共に格納庫でブリッジでのシロッコの会話を聞いていたのだが、会話の内容のみでジェリドが“当て馬”として置かれた状況を把握すると一人だけで発進。
案の定で自分の身の危険も顧みずにカミーユのみを落とそうとしていたジェリドを狙う百式の右腕を破壊するが、クワトロは冷静にジェリド機を背後から拘束。
そんな状況にもかかわらず、尚も逃げるZガンダムを狙ったジェリドの射線上に自らを晒すことで漸く目を覚まさせ、その後で百式に月面に打ち付けられて転がされているジェリド機を百式を拘束して救出→が、背面バインダーを外して百式が自由になった所でZガンダムが戻ってきたことで痛み分けとなり、双方の陣営共に強引にフォン・ブラウンに着陸するドゴス・ギアの姿を見送ることになった。

その後、左眼のあたりを負傷して搬送されるジェリドの下へと駆けつけ、さっきの自分の行動を怒っているのではないかといじらしい態度を見せつつ改めてシロッコの裏切りを伝えたマウアーに対し、愛すべきバカ男のジェリドは「それが任務さ」と笑顔で応える。
何れにしろ、このことでシロッコの下には居られなくなったジェリドとマウアーは揃ってジャマイカンの下に。
あからさまに冷遇されてしまうが、それならデートを楽しんでやると地下都市に降りた所で潜入任務を行っていたカミーユを発見。
最初は子供と侮っていたがジェリドから目の前の優男な少年が例のニュータイプと知らされ(ジェリドの奇行に敵であるカミーユ共々困惑しつつも)二人で監禁しようとするも、命令を無視してカミーユの後を付いてきたカツ・コバヤシに邪魔をされて逃げられてしまう。
後を追った所で月面にてMS戦闘が始まってしまい、互いにシェルターに逃げ込むという少々気まずい状況となってしまうが、カツや市民からのティターンズ批判に怒りつつも以前のような軽率な態度を取らなかったジェリドを褒めるなど、以前とは打って変わって好きな男子を全肯定する女子のようなムーブをかましていた。

その後、一時的に離れ離れとなっていたようなのだが、ジャマイカンがヤザン・ゲーブルに謀殺された後に修復されたアレキサンドリアの艦長としてガディ・キンゼーが就任すると、マウアー曰くガディの計らいでマウアーもアレキサンドリアに着任して再び組むことに。
こうなると、マウアーの側から積極的なアプローチをかけることとなり、当初は相変わらず硬派を気取ろうとしていたジェリドも流石にマウアーの気持ちに応えざるを得なくなり初キッスをゲット
なお、マウアーによればこの期に及んでシロッコからジュピトリスに誘われていたらしい。

その後、サイド2の25バンチへの毒ガス注入作戦の指揮を任されたジェリドにミーティングでは常識の範囲として苦言を呈しつつ、その後は辛い作戦と分かっていながら実行を決意したジェリドをサポート。……もう嫁やん。
しかし、着々と濃厚なフラグを積み重ねる2人に視聴者もいい加減に先の展開がキュピーンと走るのだった。

毒ガス作戦を阻止された後に、ガディはヤザン隊を囮にしてアーガマの戦力を丸裸にした所でアーガマ自体を落とす作戦をジェリドとマウアーに授ける。
フラグも最高潮で、この時のジェリドとマウアーのやり取りは切なくてとても良い。
ガディの作戦は見事に当たり、ジェリドとマウアーが出るまでもなくアーガマにも被害が及び、逃げ込んできた所で遂にジェリドとマウアーが襲いかかる。
しかし、悪い予感を感じとったカミーユが駆けつけ交戦。
過去の戦闘では押す場面もあったものの、今回の戦いではジェリドと思わせない程の気迫によるプレッシャーを与えたのにもかかわらず、カミーユとZガンダムの熟練度が上がっていたためか反撃を受けてしまう。
そうして距離が空いた所で、自分が先に撃ったメガ粒子砲にメガビームランチャーを合わせられて相殺される。
更に、その衝撃で無防備になってしまったジェリドに対して、そのままの態勢を保っていたカミーユは冷静に2発目を発射。
逃げ場もなく遂に撃墜されるかと思いきや、ここでマウアーが射線に入り、悟ったかのような後悔もない顔で愛し抜いた男を守る形で命を落とした


守ってみせるって言ったろ? ジェリド……


その直後、最終回でのカミーユに先駆けるように死に逝くマウアーの意思を受け取ったジェリドは、満身創痍になった筈のガブスレイで信じられない猛攻を仕掛ける。
異常性を察知したカミーユは、アーガマの防衛に専念していたエマのmk2の下に駆けつけて援護。
2機で集中砲火を浴びせて何とか撃退させたものの、もう少しジェリド機の損傷が少なかったら━━と思わせる事態であった。

そして、同回のラストにてカミーユはナメてた部分もあったジェリドの異常な能力の上昇に思うところがある一方で、確かに届いていたジェリドとマウアーの魂の叫びを感じ取っており、この経験が終盤までのカミーユの高まり続けるニュータイプとしての感応力と、それに比例して進行していく壊れ具合の最初の兆候となった。

【パイロットとして】

前述の“ニュータイプ研究所に居た”という話は記述されることこそ多いものの、実は明確に定められた設定ではないようなのだが、実戦経験が無かっただけで出会った当初のパイロットとしての技量や兵士としての練度はジェリドを越えていたと思われる。
実際、ガブスレイを支給された21話では模擬戦でシロッコ相手に白星を取っており、可変MSの格闘戦と言う分野ではこの時点では最強候補と言っても過言ではない。
しかし、自身の内助の功によりマウアーがジェリドを大いに成長させたのは間違いなく、2人のコンビで幾度もカミーユとクワトロを相手にして生き延びた上に、カミーユを度々に追い詰めている。誰だ、ジェリドが変に決着のさせ方に拘ってなければ何回も勝ってたとか言うやつは。

死別する前には互角かジェリドの方が上回っていた可能性もあり、プライベートでの関係を反映したのが初めだったのかもしれないが、ジェリドの背中を守る存在として戦闘面でも完璧にサポート役に徹しており、相変わらずカミーユを驚かせる程に腕前こそ上がったものの熱しやすいジェリドの命を幾度も救っている。『Zガンダム』では間違いなく最高のあげまん。……その惚れた男が+要素を-にする位のさげちんだが。

【小説版での活躍】

キリマンジャロ戦とアクシズの帰還イベントが前後しているが、彼女の場合はジャブロー攻略戦時にジェリドに手を差し伸べ、のちに彼とともにガブスレイのパイロットとなり、最終的にはカミーユに討たれそうになったジェリドをかばって戦死すると、TV版との差異は全くといっていいほどない。

【他媒体での活躍】

SDガンダム外伝 機甲神伝説にて登場。
ネオジオン族デラーズ王国の魔物使いで、召喚士ルーのライバル。

MPは100*1
但し召喚できる存在ではルーにかなり見劣りするというかMP5000クラスの精霊を次々使いこなすルーがおかしすぎる

【ゲームでの活躍】

【スパロボシリーズ】

基本的に中堅クラスの敵で死亡してフェードアウトすることが多い。

【ギレンの野望シリーズ>ギレンの野望(シリーズ)】

一年戦争限定シナリオでは登場せず、ジオンの系譜やアクシズの脅威などグリプス戦役も取り扱うナンバリングで登場する。
その場合連邦版の白いノーマルスーツ姿とティターンズ版の黒いノーマルスーツ姿の二つのグラフィックがある。
能力値は大体中の上レベル。

シロッコを除くティターンズキャラの宿命で、レビル本編ではエゥーゴ路線の方がメリットが多くなかなか使われない。

一方アクシズの脅威でのジャミトフ率いるティターンズではライラやカクリコンや現場の暴走を抑えた場合は何とか離脱を思いとどまらせられるエマと違い死亡や離脱イベントがないので、どのルートでも気軽に使えるパイロットとして重宝する。
残念ながらシロッコ率いるティターンズではすでに死亡しているためか登場しない。

ちなみにジオンの系譜では離脱イベントのないキャラとしてティターンズ・ジャミトフとティターンズ・シロッコの双方で使える。

【Gジェネシリーズ】

能力値はオールドタイプとしてはまぁまぁでヤザンとかガトーには劣り、カミーユなどのNTには歯が立たないレベルぐらい。

…が、GジェネDSでは宇宙世紀ルートでこそ原作通り死んでしまうものの、ライバルルートだとムルダ・アズラエルの暴走に流石に危機感を抱いたジェリドがアズラエルに反旗を翻しマウアーも彼を支えることを表明、シーマナタルもこれに同調し部隊を結成、カミーユを含むそれまで敵対していたエゥーゴと強調する路線に舵取りしてシナリオを戦い抜いた。

スパロボでもなかなか実現しないまさかのマウアー生存ルートが実現し、EDでは互いに謝罪し和解したジェリドとカミーユを穏やかに見守っていた。

【余談】

  • というわけで、初登場時のクールで計算高いキャラが何だったのかという位に途中からジェリド大好き想いも的確に言葉で伝えられます女子と化してしまうマウアーだが、演じた中の人(榊原良子)は「こんなの私のキャラじゃない!」と、収録の度に悶絶してたそうな。
    なので、世間からの人気とは裏腹に当時は途中で退場してくれて良かったとまで思っていたのだとか。
    ……そして、マウアーの戦死から数回後に中の人は言わずと知れたハマーン・カーンを演じることになる訳だが、当人曰く(同じトーンに聞こえるものの)悪役全開で打って変わって演じやすかった━━とのこと。一応はハマーン様も恋する乙女設定なのですがそれは。

  • ゲーム作品などでは50話相当の最終話付近まで登場しているような印象を受けがちだが、初登場が12話・再登場が21話・退場が30話と退場が早い上に出番も意外と短い。

  • 実はTV版では年齢設定がハッキリしていない。
    一応、21歳とする記述が多く、劇中の描写からもそれで正しいと思われるのだが、劇場版(新訳『Ζ』)では17歳とされてしまい、流石にそれは無いだろうと総ツッコミが入った。
    新訳『Ζ』では中の人が林真里花に変更となったが、どっちにしても格好いい系の女の人の声なので違和感しかないのは変わらない。後、年下なのは変わらないとしても7つも下の彼女に主導されるジェリドって一体……。

  • ギャグ漫画『アラサーOLハマーン様』ではティターンズ社の経営統合の煽りを受けてアクシズ社営業部広報課(課長はハマーン様)勤務になっている。



「追記修正してみせるって言ったろ…ジェリド」

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最終更新:2025年04月08日 12:10

*1 術師タイプはHPではなくMPで強さが表示されるため