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ミハル・ラトキエ

登録日:2025/05/06 Tue 08:58:04
更新日:2026/07/13 Mon 12:23:09
所要時間:約 4 分で読めます




ミハル・ラトキエとは『機動戦士ガンダム』の登場人物。
CV:間嶋里美


【概要】

地球連邦軍基地が置かれているベルファストに住む少女。
親はおらず、弟のジルと妹のミリーを養うために物売りをしている。
かなり生活は困窮しているらしく、今住んでいる場所も空き家に勝手に住んでいるとの事。
見た目は可憐な美少女だが、喋り方は意外と男っぽく、荒事にも慣れている節がある。
そして彼女はもう1つの秘密も持っており…。


以下、ネタバレあります。

【来歴】

第27話「女スパイ潜入!」第28話「大西洋、血に染めて」に登場。
ホワイトベース隊として戦っていたが、終わらない戦乱に辟易して下船したカイ・シデン
そんな彼に「兵隊さん、なんか買ってくれない?」と声を掛けたのがミハルであった。
カイも突如声を掛けてきた少女に同情したのか、彼女の家に行き色々と話す。
そんな中でホワイトベースの場所まで話してしまったが…実はこれがミハルの狙い。

そう、ミハルはジオン公国軍の現地スパイ107号であり、連邦軍の情報を売って生活費を賄っていたのだ。
※ちなみにこの数値から「他にもスパイが106人もいる」という推測もあるが、実際は不明。
例えば「ガンキャノンC-203」があるからと言って別にガンキャノンが203機以上も量産されているわけではないように、
「現地スパイ107号」は「(ベルファストにおける)1エリアの7人目のスパイ」ぐらいの意味とも考えられるし、スパイのナンバーなのでそもそも適当かもしれない。*1

ジオン兵の工作員と接触した彼女は再び任務を与えられる。それはホワイトベースへの潜入であった。
ミハルはそれを了承するも、内心ではそんな生活には罪悪感も覚えていたこともあり「この任務を最後にする」と決意を新たにする。
弟と妹を抱きしめて別れを惜しんだ後、彼女は戦艦に乗り込むこととなる。

だが、ホワイトベースの情報を探り始めた矢先に、艦を降りたはずのカイに見つかってしまう。
相手が顔見知りでなければ「見慣れないクルー」くらいで流されたかもしれないが、
自身の素性をある程度知っているカイには、自身がスパイであることとその目的をあっさり見抜かれてしまった。

しかし、どうやらミハルに惚れてしまっていたらしいカイは、ホワイトベースクルーに通報することはせず、
ミハルを自身の部屋に匿った上で「通報はしないが、そちらも変な動きはするな(意訳)」と警告するに留めた。
なお、ミハルを部屋に匿う際にたまたま廊下にいたアムロ・レイに目撃されているが、
カイの言い訳もあって、「カイさん、恋人でもできたのかな」くらいで流されている。
これについては、アムロ自身が成り行きで乗り込んだので、そういうものとしか思わなかったのかもしれない。

そして、カイとクルーの会話から「ホワイトベースの行き先が南米である」ことを知ったミハルは、
後に秘密裡に接触してきたジオンの連絡員にその情報を渡すことに成功した。
カイは「ミハルの持っている無線機では長距離通信はできない」と踏んでさほど厳重には彼女の行動を監視していなかったが、
連絡員側は「ジオンに遊び半分で襲われた民間の漁業用飛行機」を偽装してホワイトベースに乗り込み、ミハルと通信のやりとりをしたのである。
カイはミハルの無線機を見てジオンの作戦に気付きブライトに民間の飛行機がジオンの手のものだと訴えるが、
ミハルがジオンのスパイであることを知っているのはカイだけであり、それを口外できないカイは根拠を挙げられず、まんまと飛行機は飛び去った。

そして、その直後にホワイトベースを狙うジオン公国軍の攻撃が始まる。
未だミハルが乗り込んでいることを理解した上で攻撃していることから、
ジオンとしては、この攻撃でミハルが巻き添えを食って死んでしまっても仕方ないと考えていた様子。

しかし、スパイではあっても実際に戦争に参加した経験はないミハルはジオンの攻撃に狼狽し、
さらに、ホワイトベースにはカツ、レツ、キッカといった幼い子どもが乗り合わせていたことにショックを受ける。
自分が売り渡した情報で、弟や妹と同じ年頃の子どもたちが巻き添えとなって死ぬかもしれないという事実を痛感したミハルは、
罪滅ぼしの意識もあって、ホワイトベースがジオンの攻撃を潜り抜けられるように協力することを選ぶ。
この行動からも分かる通り、ミハルは戦争で荒んだだけの、心優しい少女なのだ。

折しもカイは水中用MSを叩くべく、ガンペリーに乗って出撃するところだった。
ミハルは彼に同行し、ミサイルの発射を担当する。
しかし被弾によりコックピットからのミサイル発射ができなくなり、ミサイル発射管の傍にある予備の発射装置で直接操作することにした。

「カイ! 向こうから来てくれたよ!」

が、そのミサイルが発射された際の爆風で彼女は吹き飛ばされ*2、そのまま大西洋へ落ちていった…。

実はコックピットでの操作の際にカイはミハルに「レバーは一つずつ押すんだ」と伝えている。
しかしカタパルトでミハルはレバーを三つ同時に下げており、これによって噴射の衝撃が本来の想定を超えたものになったと考えられる。
そもそもカタパルトに入った時点で危険な程の突風が吹き荒れているので、飛行中の直接操作は想定されていない使い方なのかもしれない。

彼女の死後、号泣するカイの精神の中にミハルは現れ、励ましの言葉を掛ける。
それは幻か、亡霊か…。
正体は不明であるが、この経験を持ってカイはホワイトベース隊に復帰。
それどころか「ジオンは徹底的に叩く」と戦意を大きく高め、戦場では余裕を見せつつも敵に容赦をしない「エース」となっていく。

この話はカイ・シデンという、軟弱だった男が決意を固めるための重要なキーパーソンと言えるだろう。
また、以降もカイはパートナーを作ること無かった。

なお、カイがふさぎ込んでいたことで「彼と親しかったミハルという人物が戦闘中に行方不明になったこと」と、
「そんな人物がホワイトベースに乗り込んだ記録がどこにもないこと」がホワイトベースクルーに露見するが、
その死に人目もはばからず涙するカイに当該人物の素性を問い質すことは流石に出来なかったことと、
唯一ミハルを目撃したアムロが「密航者だった」と証言したことで、ミハルは「カイが匿っていた密航者」として扱われた。
そのため、ミハルがジオンのスパイであったことはホワイトベースクルーに知られずに済み、
同時に、「カイがスパイを引き入れた」とか「カイもジオンへの内通者である」という疑いを掛けられることもなかったようである。


【ジルとミリー】

ミハルがこうして死亡したことで、最愛の姉を喪うことになったこの2人。
上記のカイの精神に現れたミハルは「2人はあたし達よりずっとうまくやっていける」と言っていた…が、
小説『機動戦士Ζガンダム フォウ・ストーリー そして、戦士に…』では、
ジルはムラサメ研究所に拾われ強化人間にされて死亡、ミリーは誘拐されて行方不明という悲惨な末路を迎えていた。
漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』ではセイラ・マスの援助の元、ベルファストの家で過ごしている形となった。
作者の安彦良和は「放ってはおけない問題って、1stにはいくつもあるんだよ」「ジルとミリーもそう」と発言している。

『機動戦士Zガンダム Define』では、ジャーナリストとなったカイのサポートをミリーが行っている。
ジルは出ていないが、『フォウ・ストーリー』とも『ORIGIN』とも矛盾しない為だろうか。



【外伝作品】

カイのターニングポイントとなった女性の為に登場回数は多い。
…と言いたいがあまり戦闘が絡まない回でもあり、また一年戦争や『機動戦士ガンダム』というアニメの重要局面という話でもなかったためにオミットされる事も多く、
なんかいきなりカイが物騒になったようにも見える作品もある。


「ギレンの野望シリーズ」

カイを総大将にすると生存し結婚するifエンドが語られることが多い。


スーパーロボット大戦シリーズ

1stストーリーが再現されることが少ない為に登場回数は多くない。
「第3次」ではロンド・ベルに潜伏するものの死亡しない。
一方で「XO」で追加されたサブストーリーでは他作品や別の時系列を巻き込んだ凄まじい展開となっており必見と言える。


「SDガンダム外伝 円卓の騎士編」

『ヴァトラスの剣』で、ベルファスト村のスミス村長の娘という設定で弟妹を連れて登場。HP20。
聖なる指輪には双身の力があるという情報をくれる。
ちなみにカイもベルファスト村の盗賊として登場しており、密かにミハルを愛しているらしい。

「タマロイド 超Cガンダム」

次元バリアーによる鎖国により江戸時代で時が止まったコロニー持怨憎苦(じおにっく)の住人として、
寺で孤児たちの面倒を見ているジム系の顔立ちをした尼さん美春尼(みはるに)が登場。
主人公達を案内する博徒のきゃの吉が度々差し入れをしている。
きゃの吉の正体は実は伝説の初代ガンキャノン…というのはもう予想がついたと思うが、
主人公達の旅への加入を断る際に「戦いに明け暮れていた昔こいつらの姉さんを死なせてしまった」
とガンペリーからグラブロのいる海へ墜落する連邦軍服を着たミハルの髪型のジムを回想しており、
ここにきて美春尼さんのモチーフが微妙に謎となっている。

機動戦士Gundam GQuuuuuuX

登場していないが、「こんにちは、お急ぎですか」「別に急いでいませんよ」という符牒が使用されている。
また、第9話で登場しマチュに影響を与えるキャラとしてカイ・シデンと共に登場が検討されていた。
結局その役目はララァ・スンが担うこととなったが、初期構想から設定が変わっていなければこの世界でも何らかの方法でカイと出会い、そして生存していたのだろう。


【余談】

板野一郎曰く、第28話「大西洋、血に染めて」は富野監督と安彦良和の2人が絵コンテを見て男泣きしたというほど会心の出来となっているらしい。
その為か、話をスムーズにした劇場版でもミハルのエピソードはカットされていない。
また、『THE ORIGIN』においてもジャブロー戦とオデッサ戦が前後してはいるが、
やはりその間のエピソードとして(グラブロのパイロットがトクワンに変更され、更にはボラスキニフのゾックとも同時に交戦してはいるが)収録されている。
それまでよそよそしかったカイが真のホワイトベースクルーとなる為に必須のエピソードだからかもしれない。





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最終更新:2026年07月13日 12:23

*1 ジオン国民でもないミハルに忠誠心などなく、連邦軍に情報を流すこともあり得るので、「人数」などが把握できるような数値をわざわざ与えるとは考えにくい。

*2 漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では爆風に吹き飛ばされた際にガンペリーの内壁に後頭部を打ち付けられた。