ミハル・ラトキエ

登録日:2025/05/06 Tue 08:58:04
更新日:2025/05/07 Wed 12:20:31NEW!
所要時間:約 4 分で読めます




ミハル・ラトキエとは『機動戦士ガンダム』の登場人物。
CV:間嶋里美


【概要】

連邦軍基地が置かれているベルファストに住む少女。
親はおらず、弟のジルと妹のミリーを養うために物売りをしている。
かなり生活は困窮しているらしく、今住んでいる場所も空き家に勝手に住んでいるとの事。
見た目は可憐な美少女だが、喋り方は意外と男っぽく、荒事にも慣れている節がある。
そして彼女はもう1つの秘密も持っており…。


以下、ネタバレあります。

【来歴】

第27話「女スパイ潜入!」第28話「大西洋、血に染めて」に登場。
ホワイトベース隊として戦っていたが、終わらない戦乱に飽き飽きして下船したカイ・シデン
そんな彼に「兵隊さん、なんか買ってくれない?」と声を掛けたのがミハルであった。
カイも突如声を掛けてきた少女に同情したのか、彼女の家に行き色々と話す。
そんな中でホワイトベースの場所まで話してしまったが…実はこれがミハルの狙い。

そう、ミハルはジオンの現地スパイ107号であり、連邦軍の情報を売って生活費を賄っていたのだ。
(ちなみにこの数値から「他にもスパイが106人もいる」という推測もあるが、実際は不明。例えば「ガンキャノンC-108」があるからと言って別にガンキャノンが他に107機も量産されているわけではないように、「現地スパイ107号」は「(ベルファストにおける)1エリアの7人目のスパイ」ぐらいの意味とも考えられるし、スパイのナンバーなのでそもそも適当かもしれない)

ジオン兵の工作員と接触した彼女は再び任務を与えられる。それはホワイトベースへの潜入であった。
ミハルはそれを了承するも、内心ではそんな生活には罪悪感も覚えていたこともあり「この任務を最後にする」と決意を新たにする。
弟と妹を抱きしめて別れを惜しんだ後、彼女は戦艦に乗り込むこととなる。

だが、そこには艦を降りたはずのカイがいた。
どうにもミハルに惚れてしまったらしいカイは、彼女がスパイだということは他の皆には黙っていた。
実はアムロ・レイにも目撃されたが、「カイさん、恋人でもできたのかな」ぐらいで特に口外はしなかった(アムロ自身が成り行きで乗り込んだので、そういうものとしか思わなかったのかもしれない)。
またその隙にミハルはジオンの連絡員に「木馬の行き先は南米」という情報を渡すことに成功した。
彼女の持つ無線機では長距離通信はできないが、ジオン側は「ジオンに遊び半分で襲われた民間の漁業用飛行機」を偽装して木馬に乗り込み、ミハルと通信のやりとりをしたのである。

しかしその直後にホワイトベースを狙うジオン公国軍の攻撃が始まる。
(ちなみにジオン側としてはミハルが巻き添えで死ぬことぐらいは許容範囲だった模様。要は使い捨て)

スパイではあっても戦争を直接に体験したことはなく、更にホワイトベースの中にはカツ、レツ、キッカといった幼い子どもまでいたことにショックを受ける。
自分の売り渡した情報で、弟や妹と同じ年頃の子どもたちが死ぬ…それに耐えきれなかった彼女は罪滅ぼしの為にホワイトベースを助ける為に奮戦する。
その事から分かる通り、彼女は戦争で荒んだだけの、心優しい少女なのだ。

折しもカイは水中用MSを叩くべく、ガンペリーに乗って出撃するところだった。
ミハルは彼に同行し、ミサイルの発射を担当する。
しかし被弾によりコックピットからのミサイル発射ができなくなり、ミサイル発射管の傍にある予備の発射装置で直接操作することにした。

「カイ! 向こうから来てくれたよ!」

が、そのミサイルが発射された際の爆風で彼女は吹き飛ばされ、そのまま大西洋へ落ちていった…。

実はカイはミハルに「レバーは一つずつ押すんだ」と伝えている。
しかしミハルはレバーを三つ同時に下げており、これによって噴射の衝撃が本来の想定を超えたものになったと考えられる。


彼女の死後、号泣するカイの精神の中にミハルは現れ、励ましの言葉を掛ける。
それは幻か、亡霊か…。
正体は不明であるが、この経験を持ってカイはホワイトベース隊に復帰。
それどころか「ジオンは徹底的に叩く」と戦意を大きく高めるのであった。

この話はカイ・シデンという、軟弱だった男が決意を固めるための重要なキーパーソンと言えるだろう。
また、以降もカイはパートナーを作ること無かった。


【ジルとミリー】

さて残されたこの2人。
上記のカイの精神に現れたミハルは「2人はあたし達よりずっとうまくやっていけるって」と言っていた…が
小説『機動戦士Ζガンダム フォウ・ストーリー そして、戦士に…』ではジルはムラサメ研究所に拾われ強化人間にされて死亡、ミリーは誘拐されて行方不明という悲惨な末路を迎えていた。
漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』ではセイラ・マスの援助の元、ベルファストの家で過ごしている形となった。作者の安彦良和は「放ってはおけない問題って、1stにはいくつもあるんだよ」「ジルとミリーもそう」と発言している。

『機動戦士Zガンダム Define』では、ジャーナリストとなったカイのサポートをミリーが行っている。
ジルは出ていないが、『フォウ・ストーリー』とも『ORIGIN』とも矛盾しない為だろうか。



【外伝作品】

カイのターニングポイントとなった女性の為に登場回数は多い。
…と言いたいが余り戦闘が絡まない回でもある為オミットされる事も多く、なんかいきなりカイが物騒になったようにも見える作品もある。


「ギレンの野望シリーズ」

カイを総大将にすると生存し結婚するifエンドが語られることが多い。


「スーパーロボット大戦シリーズ」

1stストーリーが再現されることが少ない為に登場回数は多くない。
「第3次」ではロンド・ベルに潜伏するものの死亡しない。
一方で「GC(XO)」では他作品や別の時系列を巻き込んだ凄まじい展開となっており必見と言える。



【余談】

板野一郎曰く、第28話「大西洋、血に染めて」は富野監督と安彦良和の2人が絵コンテを見て男泣きしたというほど会心の出来となっているらしい。
その為か、話をスムーズにした劇場版でもミハルのエピソードはカットされていない。
また、『THE ORIGIN』においてもジャブロー戦とオデッサ戦が前後してはいるがやはりその間のエピソードとして(グラブロのパイロットがトクワンに変更され更にはボラスキニフのゾックとも同時に交戦してはいるが)収録されている。
それまでよそよそしかったカイが真のホワイトベースクルーとなる為に必須のエピソードだからかもしれない。








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最終更新:2025年05月07日 12:20