ドラムス(楽器)

登録日:2025/09/14 Sun 22:30:25
更新日:2025/09/15 Mon 06:09:48NEW!
所要時間:約 15 分で読めます



概要

ドラムス(またはドラムやドラムセット)とは、クラシック音楽などで使われる打楽器(太鼓、シンバルなど)を一人で演奏できるようにしたものであり、バンドにおけるパートの一つである。
バンドにおけるリズムの要であり、奏者のことをドラマーと呼ぶ。
バンドの土台となる重要なパートであり、曲に躍動感を与え様々なフィルインで盛り上げる名脇役。
楽器の中でも特に体力を必要とするパートであり、ドラマーはトレーニングが欠かせない。しかし、それを逆手にっとてアニメでは華奢で小柄な女の子が担当することも多い。

使われる楽器

※奏者によって様々なセッティングが存在し、中には楽器類を大量に配置して要塞のようにしてしまう人たちもいるが、ここでは基本的なセッティング(右利き、左利き問わず右利き用でセッティングする人が多い)を解説。

太鼓類

・スネアドラム

ドンッターンドドターン
のターンの部分。

ドラムにおける主役的存在でセッティングでは両足の間に置かれる。スネアとも略される。
裏側にスナッピーと呼ばれる針金でできた線が張ってあり、これにより歯切れのいい音を出す。主にバックビートとフィルインで用いる。
ドラマーはこのスネアドラムは自前を用意することが推奨される。

・バスドラム

ドンッターンドドターン
のドン、ドドの部分。

クラシックにおける大太鼓であり、ドラムセットで最も大きい太鼓。バスドラとも呼ばれる。
打面を手前側にして床に設置しキックペダルを踏みこんで演奏する。
スネアと同じくキックペダルも自前を持つことが推奨される。
リズムにおけるビートを担当し、曲のノリを決定する重要な楽器である。
例えば
ドンッターンドドターン
ドンドッドドドン
ドンドドンッタン
下線を引いた場所がバスドラだが印象が変わるのがわかるだろう。
特にベース(楽器)との相性は抜群で、ベースとバスドラをユニゾンさせることも多い。
しかし、携帯、スマホなどの安いスピーカーでは物理的に聞こえなくなることも多い悲しい宿命を背負っている(この辺もベースと同じである)。

タム類

タカタカドコドコドコドコジャーン!
のドコドコの部分。

丸みを帯びた正に太鼓という音を出し、主にフィルインに使われる。
幾つか種類はあるが、主に使われるのは三種類。
  • ハイタム
バスドラムの左上に配置される。最も高い音を出すタム。
  • ロータム
バスドラムの右上に配置される中音域のタム。ドラマーによっては設置しない者もいる。
  • フロアタム
最も大きいタムであり、唯一床に設置される。設置場所は奏者のすぐ右側が多い。
フィルイン以外にもハイハットの代わりにリズムを刻んだり、スネアとユニゾンさせて音に厚みを出したりする。

シンバル類

ハイハット

チッチッチッチ…
小さなシンバルを二枚重ね合わせ、足のペダルで開閉できるようにしたもの。セッティングは奏者のすぐ左側。
主に八分音符を刻み、曲のテンポを決定する。ドラムスはハイハットの速さを基準に他を叩いていることが多い。
他にもペダルを操作して、
ハイハットを開いた状態でリズムを刻んだり(ハイハットオープン)
ハイハットを閉じて音を出したり(ジャズではこちらで使われることが多い)
一時的に開いてサウンドにアクセントをつける
等幅広い使い方がある。

クラッシュシンバル

タカタカドコドコドコドコジャーン
のジャーンの部分。

よく小節の頭やアクセントとなる位置でジャーンとシンバルが鳴ることがあるが、それはこのクラッシュシンバルの音である。奏者から見て左側、ハイハットの右上あたりに設置することが多い。
タムと同じくハイとローの二枚を設置していることも多い。

ライドシンバル

チャーンチャーンチャーン…

クラッシュシンバルよりも巨大で分厚いシンバル。セッティングは奏者の右斜め前に置くことが多い。
主にリズムを刻む点でハイハットと役割が似ているが、ハイハットよりも大きな音量が鳴るため曲のサビなどで盛り上げるために使う。ジャズではこいつでリズムを刻むことが多い。

その他

ドラム椅子

楽器ではないが、奏者を支える最重要なパーツである。座面が丸いものが多いが、自転車のサドルの様な座面のものや、背もたれを付けた物もある。
演奏中は背筋を伸ばして座っているので、背もたれがあると長時間の演奏でも腰が非常に楽である。
個人差はあるが、座ったときに膝が直角になるか、かかとがやや浮くぐらいの高さに調整する。

ドラムスティック

ドラムを叩くための棒状の物。先端にはチップと呼ばれる丸まった突起が作られている。
ドラムスティックを持つときにはチップとは逆の側で、全長の約1/3の部分を持つ。持ち方には大きくマッチドグリップ(両手共に人差し指と親指の間に持つ)とレギュラーグリップ(利き手でない方のみ鉛筆持ち)の2種があるが、レギュラーグリップは習得に時間がかかるためマッチドグリップを使う奏者の方が多い。

パーカッション類

カウベルやタンバリン、チャイナシンバル、スプラッシュシンバルなどを追加する奏者も多い。




日本のドラマー事情

ふぅ…真面目な解説はこれくらいでいいだろう…
実は我が国の音楽業界は圧倒的なドラマー不足である。
どれくらいかと言うと、「ドラムができます!」となっただけで即バンドに採用されるレベル。
何故そうなったかというと、

練習場所

ドラムは電気を用いないアコースティック楽器では最大の音量を誇る。ハイハットクローズですらアコギと同じ音量が出るのだ。
そのため生のドラムを家で練習するなんてもっての外である。
「なら、消音パッドや電子ドラムでよくね?」と思ったそこの君、甘いぞ!
騒音には空気を伝わるものと、壁などの物体を伝わる音がある。前者は手拍子や話し声など、後者は車の揺れや工事現場の音などである。消音パッドでは前者は防げても後者は防げない。キックペダルを踏もうものならすぐに下の階に響く。
我が国の住宅事情ではドラムを練習するには、中々の金持ちか、かなり工夫するかしかないのである。
「自分の家がド田舎だったら…」と妄想するのはドラマーあるあるである。

ドラム本体

初期投資が比較的安いエレキギターなんかと比べ、一式揃えるにはかなりの出費が必要である。そのため、自前のものはスティック、キックペダル、スネアしか持っておらず、他はスタジオやライブハウスで借りるドラマーも多い。
さらに家に置いておくのも一苦労ですぐに部屋がいっぱいになります。マジで。
運搬もキャリーか車での運搬を余儀なくされる。

その他の事情

さらに吹奏楽部や軽音楽部でもバンドにつき一人、良くても控えでもう一人という形でそもそも経験させてもらえる機会が少ない。
レコーディングも一苦労でマイキングは複雑怪奇であり、準備に恐ろしく時間がかかるため演奏してみた動画を撮るのも一苦労である。
また、バンドの解散後に一番苦労することが多いのはドラマーと言われている。ドラムはその性質上ステージを動くなどのアクションをしにくく、ボーカルかギターに転向してしまう元ドラマーも多い。しかし、ファンとしてはドラマーとしての姿が見たいという板挟みの状態になっている。

名ドラマー達

バディ・リッチ

最も偉大なジャズドラマーに上がることも多い名ドラマーであり、素人でもわかる高速ドラムプレイは他の追随を許さなかった。

リンゴ・スター

ご存じビートルズ(バンド)のドラマー。
そこまで技巧的なプレイはないが、独特のドラムスタイルは現在も影響を与え続けている。

キース・ムーン

The whoのドラマーであり、リズム無視で常時フィルインと形容される破天荒スタイルは後世のドラマー達に多大な影響を与えた。

ジンジャー・ベイカー

クリームのドラマーであり、力強く情熱的なプレイは後のハードロックドラマーの基礎を作り上げた。本人の性格もかなり気難しかったことで有名。

ジョン・ボーナム

LED ZEPPELIN(バンド)のドラマーであり、もっとも偉大なロックドラマーとしてしばしば名前が挙がる。力強く叩きまくる中でも技巧的かつ多彩なフレーズの数々はLED ZEPPELINになくてはならないものだった。

YOSHIKI

X JAPANのリーダー。彼のドラムプレイは見る者を圧倒するスピードと激しくパワフルなプレイを特徴とし、やりすぎて体を壊した。

関連項目



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最終更新:2025年09月15日 06:09