蟇目檀(鉄鍋のジャン)

登録日:2025/10/04 Sat 00:30:00
更新日:2025/10/14 Tue 14:46:37
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料理は才能だ!

才能が全てなんだ 年なんか関係ねえよ
そうだろ!? 総料理長様よ



蟇目(ひきめ)(だん)とは『鉄鍋のジャン!』に登場する料理人である。

概要

秋山醤が入店する2年半前から中国に留学していた五番町飯店の若手料理人。
見た目はタレ目で腰まで届く長髪をオールバックに撫でつけた長身の男。高級感あるスーツに身を包んでおり、見た目はインテリヤクザ感あふれる。
後述の行動といい、小柄で痩躯、鋭い目付きのジャンと対比になる外見になっている可能性が高い。
年齢は弥一が「三十前の小僧」と言っていたことから、28歳〜29歳ぐらいであると推測される。

霧子を含めた飯店の従業員達からは「蟇目(あに)さん」(ないし「蟇目さん」)と慕われる兄貴分*1であったようだが、中国での留学を経て人格が変貌。
傲岸不遜な振る舞いと才能を何より重視する鼻持ちならない人物へと変わり果て、挙句大谷日堂が顧問を務める高級中華料理店「蜃気楼」の料理長への引き抜きを快諾。
結果、五番町飯店の資金援助で留学したのに、中国で学び身に着けた技術や知識を五番町飯店に一切還元せず、独占したまま嬉々として店を出奔する最悪の不義理をしでかしたとんでもない男。

しかし帰国後ジャンに勝負を挑み敗北した後ジャンを蜃気楼に引き抜こうとした行為が大谷の逆鱗に触れ、五行と入れ替わる形で料理長の座を解任。
憤慨するも、元々大谷に対する悪感情を持っていたこともあって大谷と喧嘩別れする形で物語からフェードアウトしていった。
コレ、蟇目としては丸損のような気がするが…。


天才はいつの世も凡人には理解されないもんさ
天才・地動説のガリレオも 白熱電球のエジソンも 初めは一般大衆にはその言動は理解されなかった
料理は「才能」!!

だからお前らバカな凡人はつべこべ言わずオレのやることを見守っていればいいんだ
“龍王”蟇目檀様のな!!
ハハハハハハハハハハ

その後の消息が不明だったが最終回付近にてジャンの祖母・桃明輝が中国で経営している店にて再修業していることが明らかとなり、続編の『R』でスグルグループの食品部門で五行や尾藤リュウジと働いていることが判明。
再修業により実力を付けたが尊大さも膨れ上がり、結果自らを「龍王」と自称するまでに至った。
なおこの時期に秋山と 何度も勝負して全て引き分けだった と言っているため強さのインフレに置いて行かれたわけではない模様。
他人をバカ扱いするなど態度は相変わらず尊大でアレだが、スグルからは「彼のあの自信満々な所が好きなんだよね~~~」と好感を持たれている。


人物

ジャン以上にプライドの高い、他者を等しく見下す苛烈で尊大な実力至上主義者。
不味い料理を食わせた者や自身の料理を馬鹿にした相手には全く容赦がなく、自分の神経を逆撫でした相手に対して殴る・蹴る・指や利き腕をへし折るなど過剰な暴力行為に走る五行とは違った意味で作中屈指の危険人物。
「自分の評価基準に満たなかった不味い料理」を提供した相手の経験や年季は全く考慮されず、他店の料理人であろうと躊躇いなく顔面を流血するレベルでブン殴る通り魔めいた行動を取りながら渋々五番町飯店まで戻るという、ジャンが温く見えるレベルの問題児。
料理の腕前がド素人だった見習い時代の小此木が練習で作った『青椒牛肉絲』を食べた際には、小此木をカスと見下し「(オレの舌をダメにする気か!?)」「(犬のエサにも劣る!)」とブチギレ。周囲の制止すらガン無視して無言で執拗に小此木の顔面を殴り続けるなど、態度は暴君のごとしであった。
おまわりさんこいつです。

とはいえ通り魔めいた態度で東京各地の中華料理店を荒らしていたのは、(自分基準で)味も不味く、料理の技術も成っていないのに堂々と高額な値段で店の看板を掲げている料理人達への失望によるもの。
「東京の中華料理店が一流なのは値段だけかよ!?いつからこんなになっちまったんだ」「カスばっか」と毒づくなど根は高すぎる向上心を持つが故の悪い意味で超意識高い系の人物。
営業時間の過ぎた五番町飯店に無理矢理来店し炒飯を注文してボロカスにこき下ろす(作ったのは例によって望月)辺りジャンと似通った部分もある。

とはいえジャンも蟇目も望月の炒飯を捨てたことこそ共通してるが、ジャンでさえ「望月“以外”の従業員の清掃の手間など迷惑を考えて」ゴミ箱に捨てる(上から目線とはいえ)気配りができているのに、蟇目はなんと床にぶち撒けると、まるで配慮も後先も考えないあたり、上から目線ながらも根は仲間想いなジャンと、かたやその仲間すらも慮って顧みることすらしない本当の意味で傍若無人な精神の蟇目との対比がよく現れている。

反面自分の眼鏡にかなった実力のある料理人に対しては割と寛容。
特にジャンとは敗北後非常にフレンドリーに接しジャンの事をわざわざ引き抜きに来るなど最大限にその実力を評価。
(尤もジャンから「おまえは自分以外の人間を料理人だとは認めていないヤツだ!!」「オレの事をいい料理人だとか才能があるとか言ってるのも全部デマカセだな。オレを自分の手足に出来るヤツと考えたからだ!」と指摘され、才能があることは認めているが、だからこそ身も心もヘシ折って下につかせようとしていたようだが)
続編の『R』でもジャンをライバル視していた他、最初期にはマジギレして暴力の嵐を見舞った小此木に対しても、チョコレート回鍋肉を作ったと知った際は評価を改めたのか「小此木くん」と呼ぶなど友好的な態度を見せていた。
ただ、チョコレート回鍋肉自体はかなり突飛すぎるアイディア故に新メニューとして載せられるような代物ではないことから「オレたちから見たらまるで子供の遊びだぜ」と厳しい評価を下していたが(小此木も「ごもっとも!」と肯定している)。


留学前の元々の性格は不明。
五番町飯店勤務時代からちょくちょく手の出るタイプ*2ではあったものの、兄貴分として慕われていた辺りまだ冗談やコミュニケーションの範疇に抑えたレベルであった様だが、帰国後は自分を慕う飯店の料理人たちを笑顔の裏で内心クズ扱いした挙句しれっと「クズ料理人」と見下したりと終始小馬鹿にしていたので、だいぶ猫を被っていた可能性が高い。*3
望月はアレだし、日本の中華料理界で最高峰の名店とされているはずなのに五番町飯店の料理人達が微妙な奴ばっかりなのは事実だけど、流石にそこまでされる謂れは無い。
そしてここまで悪辣な人物になるとは弥一も想定外であったようで、「おまえを中国に留学させたのは間違いだった」「中華料理はおまえが考えているよりずっと深いものだ。三十前の小僧がのぼせるなよ!」と彼を憤慨させている。

仮説だが、実は中国留学時代に陸一族あたりにボコボコにされて性格が歪んだんじゃなかろうか、とも言われている。
本編ではそんな話は出ていないので仮説に過ぎないが。後述の「中国全土に広まっている料理レシピ約5万種類以上を極めた」のが事実ならその過程で陸一族と激突しそうではある。明輝さんに見つかって修行させられてたほうが幸せだったと思う。
陸一族なら五番町飯店関係者と対峙した際に「お前のとこの蟇目とかいう奴は弱かったぜ!」と挑発するだろうから違う可能性もあるが。


料理人として

信念は「料理は才能」
中国留学中に中国全土に広まっている料理レシピ約5万種類以上を極めたと豪語するだけあって技量は文句なしに超一流。
  • 目隠しをしたまま箸で白髪ネギ10gを正確に連続で掴み取る
  • 鉄製のオタマで塩45gを正確無比に掬い続ける
など曲芸じみた行為すら易々こなして見せる域。
ただしこれらの並外れた技巧は両手の指と手が疲労骨折を繰り返しタコまみれかつボロボロになる程の過酷な修練の結果会得したものであり、生まれ持った才能が全てと嘯くも実際は自身の血のにじむ努力の産物。
劇中では全く褒められた行為を行わなかった蟇目も、その修練で培った技術と執念だけは高く評価されていた。

技量は確かに凄いし、実戦でも役立つもの揃い。五番町飯店でも小此木や望月など全然できてない者も多いため、蟇目の会得した技巧は評価されるべきだろう。ただ、曲芸のように人に見せつけるのは微妙な話である。

なお『R』では彼の料理スタンスが若干掘り下げられており、「課題はどうクリアーするかが重要なんだ。大事なのはその方法だ」と他者の及びもつかないような発想を閃き、効率よく実行に移せることこそが才能と考えている様子。

制作料理

◆無印

  • 香酥古嚕肉(ヒョンスゥクゥロゥヨッ)(フルーツ入り薬膳酢豚
ジャンとの対決の際、「酢豚」の課題で作った料理。
五番町飯店で作られている酢豚の発展形のような酢豚で、肉以外の具材はマンゴー、パパイヤ、パイン、甘酢漬けのラッキョウ。
糖醋(タンツウ)*4には山査子(サンザシ)*5を使用して甘酸っぱい味わいと香りを演出。
広東省の伝統的な味を踏まえつつも、蒸して潰した山査子の風味と薬効にツブツブした食感、フルーツの爽やかさ、ラッキョウの歯ごたえで新しさとオリジナリティを出力。
肉は揚げる直前に一度片栗粉をまぶしたことで餡を絡めても尚パリッとした衣になるよう仕上げている。
ジャンが作った「柚子橙香肉」とは新しさも込みで互角の出来栄えではあったが、そのことをジャンに挑発されたことで「オレの料理の悪口は許さねえ!」真顔でジャンの左腕(より正確には肘)をへし折り、出会い頭に既に折っていた右腕(の指)も合わせて両腕を使えなくさせる暴挙に出た。もはや料理勝負関係無い。*6


  • 三不粘(サンプーチャン)
腕をへし折られても尚自分に歯向かってくるジャンに力量の差を分からせるための余興で作った、と粉と油の芸術」とも評される実在する中国伝統料理の一皿。
卵黄・砂糖・緑豆でんぷんをラードで練り上げて弱火でじっくり炒めて作る甘い点心で、「皿にも箸にも歯にも粘りつかない」というのが名前の由来。
見た目は卵でできた柔らかいスライムのようで、口に含むと歯の上を滑っていくような独特の舌触りと共に口の中いっぱいに卵の香りと旨味が広がっていく。
調理のシンプルさ故に作るには熟練の技量が必須な高難度料理だが、蟇目は軽々と作って見せた。
ベテランの柏原位しか知らないマニアックさも相まってこの時点ではジャンはおろか霧子ももこの料理を知らず、何が出来るかわからない様子だった。


  • ユズとオレンジ風味のシメジ入り牛肉酢豚(仮称)
中国に旅立つ2年半前、新メニューの提案として弥一に提出したという料理。
豚肉の代わりに牛肉を使った以外はジャンの作った「柚子橙香肉」と全く同じもの。
「ユズには牛肉の方がよく合う」という理由で牛肉をチョイスしたが「この時代ではユズは中華料理には早すぎる」という判断を弥一に下され没となったという。
なお「そもそもこれじゃ酢豚ではなく酢牛ではないか」という疑問が湧くが、本編では特に言及されなかった。
自信満々に出したものが偶然にもアイデア被りしていた挙句、単純な味ではこっちの方が上位互換だったとジャンもやや衝撃を受けたようで「(ヤツがオレと同等以上の料理を作っていただと!?)」とジャンも内心キレながら2戦目に入っていた。


おまえらね クズ料理人なんだからヘタな考えはしなくていいんだよ
いい物を見せてやるぜ!

ジャンとの2戦目「魚料理」のお題で作成。
湖南省の伝統料理の中でも珍品中の珍品とされる料理で、楊ですら父から聞いたことがあるだけで霧子も生で見るのは初めてという超マニアック料理。
生きた鯉丸ごと1匹を中華鍋に張った大量の油でじっくり揚げ、その揚げた鯉に醤油とトマトケチャップベースの甘酸っぱい五目餡をかけている。
餡の具材は1cm角に細かく切ったエビのむき身・パイナップル・リンゴ蹄筋(テイジン)*7

生きた鯉を暴れさせずにこんがり揚げる高等技術もさることながら、肝となるのは「生きづくり」の名を冠しているだけあって油でしっかり揚げた筈の鯉が生きていること。このため頭だけ生の状態となっている。
  1. 肛門を1か所だけ切って内臓を傷付けないよう全て取り出す
  2. 脱脂綿で取り出した全ての内臓を1つに纏めるようにくるみ、高温の油に触れないよう保護
  3. 暴れないよう胴体に的確に切れ込みを入れておいて、高温の油が鯉の頭に触れないよう濡れタオルで保護しながら内臓をくるんだ脱脂綿を保持しつつ揚げる
という、卓越した技巧なくしては完成不可能な蟇目の優れた調理技術を存分に発揮させた皿。楊も「あんたホンマたいした技術持っとるんやね!」と憎々し気に評価している。

口をパクパクさせ、ギョロギョロ目玉が動く鯉の頭を眺めながら、しっかりと揚がった鯉の身を箸でつまんで食べていくという日本人の常識を外れた食体験を体感できる。
しかしジャンと小此木が共同で作った『紅龍童魚』の生き作りを凌駕する斬新さの後だと「生きてる鯉でも死んでる鯉でも味は変わらない」「中国で修業した料理をここで紹介しただけだろ」とジャンと審査を取りまとめた柏原から苦言を呈され、その後「新しい味を見つけた秋山に軍配を上げたい」と柏原に結論づけられ敗北を喫した。
元々『鯉の丸揚げの甘酢あんかけ』という料理自体が作中で「今では誰も見向きもしない古臭い料理」とされている時代だったということもマイナス要因。*8
対決ということもあって劇中では指摘されなかったが、楊の『㧓雪蛤焗布旬』と同じく結構マニアックな類の料理であるため、万人受けするかが微妙な点も難だと思われる。


無印時代最後の料理。曰く「原点の味」「原点の材料を使った身も心もとろける料理」
反抗的なジャンを屈服させ蜃気楼に引き入れるために作った料理で、見た目や表向きの材料は四川省の麻婆豆腐と変わらないオーソドックスな麻婆豆腐。
最大の特徴は舌の痺れる四川山椒に麻薬成分が含まれた特殊なケシの実の粉末を大量にブレンドすることにより、一口食べると特殊なケシの粉末の麻薬成分で盛大にトリップしブッ倒れる事。
ただジャンもジャンで食べると意識はハイなまま血糖値が急低下してぶっ倒れる特製蔘鶏湯を作っていたため、結果としてドローとなった。

蟇目によるとこのケシの実は成熟しても麻薬成分が消えない、中国修行中に奥地で違法栽培されているのを発見した特別品とのこと。*9
そして税関や麻薬探知犬をもダマせて国内に持ち込めてしまったというとんでもないドラッグ。
もしこんなモノが世に出回ったら……想像するだに恐ろしすぎる。
しかも蟇目はこの麻薬麻婆豆腐を使ってジャンを麻薬漬けにするつもりであった。ヤバすぎる。やっぱコイツおまわりさん呼んだ方がいい。

麻薬入り中華料理というとんでもないインパクトの料理であるが、中国では2016年には調味料にケシの粉末を混入させていたレストラン35店が摘発された他、2025年には湖北省で料理の隠し味にケシの実の粉末を混入して客を呼び込んでいたレストランが摘発されている。

無印での蟇目の料理はこれで打ち止めとなった。
料理レシピ約5万種類以上を極めたと豪語するだけあって珍品も多く凄いことは凄い。
ただ、法的に怪しい代物が混じってる点といい、インパクトは凄いが玄人相手以外には出しにくいメニューが混じっている点といい、悪い意味で超意識高い系の人物であるのが表現されている気がする。
後に登場する五行が本性を出すまではメディア向けの温厚で冷静沈着な人物として振る舞えていたことを考慮すると、『ジャンのライバル』としては割と微妙な存在だったのも否めない。


◆R頂上決戦

  • 新波外婆熬鍋肉(シンバイワイボアオグオロウ)回鍋肉のヌーベルバーグ*10・お婆ちゃんの回鍋肉オレ流)
続編の『R』で制作した回鍋肉。
「ヨーロッパで米は主菜ではなく野菜として扱われている」という解釈から米を野菜と定義し、豚肉と麦芽米を一緒に炒めた回鍋肉。
見た目は完全に回鍋肉炒飯だが、炒飯として見た場合は米の量が少ない。
ちょっとパサつく麦芽米が豚肉の脂を纏うことでパラパラと食べやすい食感と味に変化し、米の旨味と甘みもアップ。一口食べるとほっとするような満足感を与えてくれる。
付け合わせは肉の茹で汁をベースにレタス・かき卵・トマトの浮き実を加えた、夏に合った爽やかな味わいのスープ。

本人は「王道すら超えた極道回鍋肉」と自負する一品だが、ジャンと五行からは「ペテンまがいの米の解釈」「所詮回鍋肉炒飯じゃねえか」と皮肉られた。
ジャンや霧子、弥一、李さん位しか解釈の真価が伝わらず、それ以外の飯店のメンバーからの評価も満場一致で回鍋肉炒飯扱いだったので、一般的にはどうしても米=野菜とはとらえて貰いづらかったかもしれない。本当に再修業したのかコイツ…
「天才はいつの世も凡人には理解されないもんさ」という想いに酔ってるようにも解釈できるが。


  • 龍飛鳳舞(ロンフェイフェンウ)(レンゲの白いキャンバスで繰り広げる龍と鳳凰の至福の舞い)
「1皿1000円のフカヒレ料理」というお題で作った料理。
「1皿1000円」への回答として1皿1レンゲ盛りに仕上げてある。
  1. ほぐしたアオザメの尾びれのフカヒレをボウルに入れる
  2. タワシを加工して作ったタイヤを装着させたラジコンカーをボウル上で走らせてフカヒレをズタズタに傷付け加工
  3. 煮沸消毒したワンカップ酒の空き瓶に少量のスープと傷だらけのフカヒレを入れ、上にラップをかけて湯煎し真空状態を作ってフカヒレにスープを纏わせ真空調理を再現
  4. ③で作ったフカヒレを金華ハムの極微塵切りを混ぜた鶏茸*11を潜らせ蒸し上げる
という複雑な工程を経て、蒸しあがったフカヒレを1レンゲに3本づつ乗せて完成したシンプル過ぎる皿。そんな都合よくラジコンカーあったのかというのはさておき
レンゲの底には真空調理時に使ったスープを煮詰めてトロミをつけて餡とし、ラディッシュっぽい野菜をトッピングしている。
一口食べれば強烈なフカヒレの存在感を味わえ、フカヒレに纏わせた鶏茸が味の広がりを演出。餡と合わせて喉越しも良いシンプルイズベストな一品で、五行が作ったフカヒレ料理と比べて純粋な旨さだけで満足感に満たされていく。
純粋な旨みという点でリュウジや五行の解釈を凌いでおり、「たった3本なのに今までで一番フカヒレの存在感を感じる料理」と審査員から絶賛されたが、リュウジや五行共々1000円以内のフカヒレ料理という課題の解釈を誤り*12、3人揃ってジャンに敗北した。

結局敗北している辺り、「他者の及びもつかないような発想を閃き、効率よく実行に移す」ことに引っ張られている側面が否定できない。
五番町飯店にて月給12万でこき使われることになったわけだが、『2nd』では本人も関係者も登場しなかったので蟇目がどうなったのかは不明。




フフン! 追記・修正は才能だよ 練習しても出来ねーヤツは出来ねーよ
オレや山ザルには生まれつき才能があるんだ なぁ山ザル?

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最終更新:2025年10月14日 14:46

*1 一応、彼より年上の従業員もいるのだが、明確に呼び捨てにしている描写があるのは年長者の柏原くらい

*2 望月曰く「変わってないですね。人をすぐ殴るんだから~」とのこと。ただ言ってる当人の人間性がアレなので殴られても仕方ない振る舞いしてたような気もするが

*3 キリコも内心「あんな人じゃなかった。そりゃあいいかげんな料理を作る者を叩いたりしたけど厳しさに心があった」「まるっきり別人だ。昔の蟇目さんじゃない!」と思ったほど。が、これも彼女目線での話である。正直キリコは人を見る目があんまり良くない…。

*4 甘酸っぱい餡のこと

*5 バラ科の植物を乾燥させた生薬

*6 作劇上の都合というか漫画的展開もあって対決後には治っていたが、通り魔行為の件も含めてどう考えても傷害事件である。

*7 干した牛や鹿のアキレス腱

*8 実際当初は「なんて古臭い料理を作るんだ今更〜〜」「20〜30年前ならともかく」と飯店の皆から内心こき下ろされていた。

*9 食用のケシの実は、成熟すると麻薬成分は含まれない。もしかしたら未だ公的には未発見の新種のケシなのかもしれない。

*10 1950年代からフランスに起こった映画運動のこと。「ニュー・ウェーブ」とも呼ぶ

*11 卵白を加えた鶏肉のすり身

*12 レンゲ1杯の中にフカヒレ料理を作り、これがおかわりされる事を前提で提供した五行と蟇目、満足させられないと判断して前菜として割り切って作ったリュウジだったが、結局おかわりをしてしまうのであれば食べ手の出費は1000円では留まらない=普通に数千円する料理をただ小皿に分割しただけに過ぎないし、リュウジも前菜である=他のメインを頼む事が前提ならば結局出費は1000円では留まらない。ジャンは同じくレンゲ1杯で提供しつつ、その1杯で完成、満足できるよう工夫を凝らしていた