綿月 依姫

登録日:2010/04/30 Fri 17:56:39
更新日:2024/01/25 Thu 23:49:58
所要時間:約 15 分で読めます





―――燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや



綿月 依姫(わたつきのよりひめ)とは東方Projectの登場キャラクター。
東方Project書籍版「東方儚月抄」にてロケットで月に到着した霊夢達の前に立ち塞がった。
東方儚月抄』のロケット組ラスボス(EXボス)であると同時に月勢自機という立ち位置の人物。

【概要】

種族 月人
二つ名 神霊の依り憑く月の姫
テーマ曲 綿月のスペルカード

月の姫にして、“月の頭脳”八意永琳のかつての教え子の一人。曰く「非常に頭が切れ、私の言うことを何でも吸収していった」とのこと。
永琳とは又甥夫婦の息子の嫁というなんとも遠い親戚関係にある。
これは元ネタの神武天皇の母親タマヨリビメ(玉依毘売命)に由来する。彼女は姉のタマトヨビメの息子を育て、後にその妻になるというsneg
とはいえ「人間風に言うと」という前置きがあるので実際に依姫が既婚者かどうかは不明。


現在は姉の豊姫と共に月の使者のリーダーとして活動しており、地上に落とされた罪人の監視や玉兎達への教育を行っている。

稽古は厳しいわ、サボればきついお仕置きが待っているわで、兎達からは豊姫の方が好かれている様子。
初代レイセンこと鈴仙・優曇華院・イナバも元は綿月姉妹の元で働いていた玉兎である。

職務上、地上に逃走した永琳及び輝夜を捕まえなくてはいけないのだが、師を敬愛する綿月姉妹にその意思は無く、現在では完全に放置状態となっている。
だがこの事が原因で月の民からの信用は薄く、第二次月面戦争時には謀反の疑いをかけられる羽目になった。
鈴仙の逃亡に関しては時効扱い。


真面目な性格で、恩師の意思を継いで月の都の役に立つために、常に危機感を絶やさないしっかり者。
1500年前の浦島の一件から浅はかな判断は月の民にも地上の民にも悲劇を招くことを知り、地上からの訪問者への態度は厳しいものになっている。

基本的に厳格だが、二代目レイセンの逃亡罪を「月の使者として働くこと」にして許してくれるなど、本人曰く「甘い」一面もある。








【戦闘力】


※最強系のコメントはヘカーティア・ラピスラズリ登場前のものなので注意。
決して編集が面倒な訳では無い

月の民ということで基礎スペックの高さは言うまでもなく、立場上他の月の民以上の戦闘力を誇る(と思われる)。
また永琳の評価通り頭も切れ、戦闘中の洞察力に優れる。
咲夜戦では時間操作能力を数少ない情報から推理し、全貌は見抜けずとも弱点を見抜き破ってみせた。
レミリア戦でもヴァンパイアという存在を知らず*1とも、
日傘からはみでていた翼が煙を上げていたことから、弱点は日光であると看破。天照大神を降ろして勝利した。


◆武器:長刀
能力の触媒に使う一方で、魔理沙のマスタースパークを神降ろしの能力付加なしで軽々と切り裂くなど剣呑な代物。
刀自体が特別なものであるためか依姫の剣術が達人の域にあるためか、その両方か。曰く光を斬るのは水を斬るより簡単であるそうな。

また妖夢の祖父の教えでは剣術の修行に二百年掛ければ時を斬れる様になるらしいので、その目安よりも遥かに永い時間を修行に費やした彼女の技量もまた推して知るべし。

八雲 紫が語った「神の剣を扱う者」とは恐らく依姫のことを指していると思われる。





◆能力:神降ろし(正式名称不明)
八百万の神々を呼び出し、その力を借りて行使する能力。簡単に言えばシャーマンキングの憑依合体みたいなもの。
本来は巫女が正式な手順を踏んで行う術だが依姫は手順を省略して素早く行うことができる。


古来より日本では、人の力を超えた自然界におけるあらゆる現象を「神」と見なし信仰してきた。
また人間であっても人々に讃え崇められることで「神」として扱われた。

謂わば信仰の数、人の数だけ神が存在する訳でその数は「八百万」の枠に収まりきれるものではない。
手数が多ければ多い程強いのは今更言うまでもないが、単純に手数が多いだけでなくそれぞれの神が司る能力の性質も多岐に亘る。


畏れ多いのから親しみやすいやすいの、高貴なのから下賤なの、ピンからキリまでよりどりみどりな神様連中。
中でも有名所となればその力は相当なものになる。

これは神の力が信仰に比例するためで、八咫烏くらいメジャーな神ならばただの地獄鴉を最終核兵器少女へとパワーアップさせることも可能。


恐ろしいのはそういった神話に登場する神々や果ては最高神までも、リスク無しでポンポン呼び出しているところである。







以上をまとめると、ありとあらゆる敵、状況に対応して神様パワーをぶっ放す素敵無敵なチート能力。
STGで言うなら性質の違う強力なボムを800万発以上持ってるようなもん。
火属性の相手に水属性の神といった具合に相手の弱点を突いたり、剣術使いに対して剣術の神を降ろすなど相手の土俵で勝負し圧倒することもできる。
例えれば「歩く神様図鑑」であり、依姫と戦うことは日本神話と戦うことに等しいのである(キリッ

依姫はこの能力により 戦闘だけでなく文武芸能あらゆる分野で東方キャラの頂点に立つチートキャラ となる。
・・・はずだった。
東方紺珠伝で同レベルのキャラや格上まで出てきたので概ね上位陣の一人としての扱いになる。
見上げても見下ろしてもきりが無いのがこの世界である。




例えば大国主命を降ろせば力自慢の鬼であろうが英傑であろうが腕力で勝てる。
天目一箇神を降ろせば最高の鍛冶屋となり、田道間守を降ろせばとても美味しいお菓子をつくる職人になれる。
神とはそれぞれの分野の象徴であり最高位の幻想。故にその力を身に宿し自在に振るう彼女に敵うキャラはいないのである(キリリッ




因みに紫の策略で霊夢もこの力を習得している。第二次月面戦争の切っ掛けになったり、空飛ぶ神社の動力源になったりした。
依姫との力の差は歴然らしいが、依姫曰く「勉強不足」「修行が足りない」とのことなので頑張れば意外と差は縮まるかもしれない。
…しかし人と神では修行に費やせる時間が違いすぎる上に、あの子は基本的に頑張らない子なので縮まらないかもしれない。まあ霊夢だし。

霊夢の説明によると、「宿る場所があれば、オリジナルと同等のコピーを無限に増やすことができる」という日本の神霊の特性を利用した力らしい。

その為他所の国・宗教の神々、道具に宿った付喪神、人でありながら神である現人神といったもの達を呼び出せるかどうかは不明。
神仏集合の例があるので毘沙門天とかは大丈夫そう。魔界神はシラネ(゚⊿゚) 魅魔様は……まず、あの人は神様になれたのかなあ……?

便利系としては神としての能力のストッパーがついておらず、新しく神も作れる純狐がいるのでダントツ便利キャラとまではいかない。










【依姫無双】



儚月抄本編にて月面を侵略しに来た霊夢魔理沙咲夜レミリアを依姫一人で迎え撃った際の一連の事に対する通称。
月に到着した4人は祇園様の剣であっさり拘束され、勝ち目が無いと判断した魔理沙が降参宣言しスペルカード戦を提案する。


魔理沙「ま いくら力の差があろうと スペルカード戦なら負ける気がしないがな(キリッ」


軽くルール説明した後勝負開始。しかしその結果は…










咲夜→時止めの性質とタイミングを見切られ、金山彦命によって自分が放ったナイフ+火雷神の雷で体を通す隙間を封じられ降参。

魔理沙→お得意の星の弾幕を見切られる。ファイナルスパークを一刀両断、ダブルスパークを石凝姥命の八咫鏡で反射される。

レミリア→スペルカードを放つも弾幕を全て回避される。
直後に体当たり(曰く最強の体術)をかますが効かず、その後天照大御神により一撃ダウン。

霊夢→穢れを持ち込まれるのを嫌う月人に対し、大禍津日の力で避けるわけにはいかない(避ければ月に当たる)穢れ弾を撃ち出す。
主人公らしからぬ倒されるべき悪のような所業だが、伊豆能売で穢れを全て祓われる。



と、依姫は相手の土俵で戦い月の民らしく 完全勝利 を収める。

しかし 既存の人気キャラを新キャラが設定的にも描写的にも圧倒する という展開になったため当時の界隈は大いに荒れた。
だが依姫からすれば、 侵略者が提案してきた地元ルールの決闘を無血の解決を望むがゆえに受け入れ、その上で真っ当に叩きのめしただけ である。
実力の差は歴然であったため少々大人げなかったかもしれないが 彼女の行動に非はない。 真面目すぎる性格が災いしてしまったのだ。







なお本編が終了した後ウドンゲッショーにて姉妹共々再登場。八意様に会いたかった。1号、2号に訓練をつけたり、落とし穴に落ちたりした。
ギャグ漫画とはいえ、割りと気軽に地上に降りてきていたりするのでこれからの活躍に期待できそうである。









【東方最強議論】


結論的に言うと最強は紺珠伝の変Tで幕を下ろしてしまっているため、こちらは古くからの経緯となる。

儚月抄の発売以降は東方最強議論スレの様相も大きく変わった。
不動の最強クラスと思われた霊夢や紫が転落し、代わりに月人の4人が最強クラスに収まり下位陣との間に不可侵の壁を作ったのだ。



幻想郷派のスレ住民はなんとかして依姫を倒す方法を日夜考えるも、
強い設定、実際の戦闘描写、過去の実績、他者からの高い評価が全て揃っている依姫を切り崩すのは困難であったようで

「月人は蓬莱人みたいに不滅じゃないしフランの能力でいける!」
「霊夢の無想天生なら干渉無効化できる!」
「ゆかりんが宇宙の果てに捨ててくる!」
「時止めか無意識暗殺最高!」
「神降ろし使わず身動きもせず黙って穢れ玉とゆゆ様のザキをくらえ!!」

など月の光に当てられた無駄に熱い最強議論を盛り上げてきた。当時のログを漁ると楽しいかもしれない。




そもそも東方キャラの能力設定は実際作中の「弾幕ごっこ」にはほとんど使われないため、ファンが勝手に想像することで楽しむものだとも言える。明確な答えがないからこそキャラの台詞や設定などから考察し、それが二次創作の燃料になっている。

有名どころではレミリアの「運命を操る程度の能力」などはわかりやすく使われたといえる事例がないし、弾幕ごっこでは吸血鬼のスピード&パワーなども意味はない。
極論、プレイヤーが単なるSTGとして原作ゲームを楽しむなら、どんなキャラ設定やストーリーがあろうが関係ないのだ。


しかし漫画という媒体はキャラのアクションとストーリーの起承転結があって成り立つものである。
儚月抄において依姫はスペルカードに則りながら目に見える形で能力を行使し、幻想郷の実力者達を一蹴した。
これにより「もしかしたら最強」、「本気出せば強いのかもしれない」といった彼女らの曖昧な強さに線を引くこととなったのだ。
「設定でどんな能力を持っているか説明され、口で強さを語っているキャラ」と「実際に劇中でできることを表現したキャラ」、どちらに強さの説得力があるかは言うまでもない。


妖怪は正体がわからない事こそ怖さ(強さ)に繋がるので明確な事実(描写)に弱い。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」というわけではないが、稗田 阿求著の「幻想郷縁起」(東方求聞史紀)で紹介される妖怪が実物よりもっと恐ろしく強いもの(設定)として八雲紫の検閲によって書かれているのもこの辺が理由なのかもしれない。







そして数年の時が経ち発売された東方求聞口授のおまけインタビューにて

ZUN「彼女はチートキャラですからね。あれは科学力ではなくて純粋に彼女の能力なんです。
   降ろす神様が強い分だけ強くなれる。強すぎて漫画じゃないと出せませんね。
   ゲームはどんなボスでも倒せなきゃいけませんから。ゲームだからこそのキャラクターの制限ですね。」

と言われてしまい、長く続いた不毛な最強議論が一旦終息する。

その後は紺珠伝で同じくらいのキャラやもっと強いキャラもゲームに出てきたため、最強の看板は降ろした。
どちらかというとボム頼りのスタイルがゲームに出れない原因ではないか、遊びでも弾幕ごっこをちまちま行うような性格だろうか、というところで疑念が持たれている。

正直最強云々はヘイトを集める呪いに過ぎなかったので、看板を降ろせたことでせいせいするだろう。
強すぎたらゲームに出れないという発言は実質消えてしまったのでまだまだ出れるチャンスはある。
期待して待とう。

余談だが新作紺珠伝が月に関わってくることが発覚した当初はボスとして再登場するのではないかと期待が持たれた。
結果としてはゲームの出演はやはりかなわなかったものの、新キャラ稀神 サグメとともに書籍で数年ぶりにその姿を見せることとなった。



黄昏フロンティア制作の新作として発表された15.5弾「東方憑依華」では
「最強の二人が手を組んだ」
「一人では手に負えない敵が現れたのか」
などという見出しで「最強の二人」を決めるのがテーマのようでタッグ戦を予感させている。

「今までに動かしたことのないキャラを出す」との発言、
月人の稀神 サグメの作ったパワーストーンが深く関わった異変らしく、身内の不始末を片づけるなど出てくる動機は用意できそうなど
綿月姉妹としてのゲーム登場がまたまた期待された。
テーマにまさかの「エロ」が含まれているため、二次での印象の強さも一押しである
しかし、やはりというか、参戦はかなわなかった。

【二次設定】



カップリングは豊姫、レイセン、うどんげ、永琳、霊夢、サグメなど。
愛称はよっちゃん。こらそこよっちゃんイカゆーな。


以前は前述の要因や書籍キャラという理由で二次創作の数も少なかったのだが、儚月抄のストーリーが一段落したことで徐々に増えてきている。
内容は主に、第一次月面戦争だったり、地上に遊びに来るものだったり。ウドンゲッショーの件もあることだし扱いやすくなりそうだ。

特に紺珠伝で月に関わるキャラがどっと出てきたため、二次創作のしやすさに拍車がかかっている。


能力を使って、色々な神様を呼び出したりしている。ネタにされがちなのはだいたい秋姉妹。
一切の穢れを許さない選民見下し系キャラにされることもたまにあるが、彼女自身は堅物のきらいはあるものの温和で真面目な人である。小説版で霊夢に対しお姉さんぶるシーンは必見。

姫騎士くっころ気の強い女はア◯ルが弱いなど、戦闘面でチートな反動か性的には非情に弱い。
おねショタ属性もそのイメージを加速させる。

星食べは勿論ネタにされています。姉妹揃って食べ物ネタか。

バトルには正直出しにくい強さだったが、純狐という強敵が出てきたので他の人物と共闘して立ち向かうような話が増えた。
霊夢と組んでのダブル主人公などの熱い流れにもできるので、強い相手がでてきたのは喜ばしい事である。

二次創作ゲームに登場する場合、馬鹿みたいに強いチートキャラか微妙な能力のキャラかのどちらかになることが多い…気がする。







追記修正は初見のゲームで熟練者を4タテしてからお願いします


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最終更新:2024年01月25日 23:49

*1 もし依姫がヴァンパイアの存在を知っていた場合、初手で天照大神を降ろしてレミリアが体術どころかスペカを披露する間もなく瞬殺されただろう。