旧神ノーデン(遊戯王OCG)

登録日:2014/07/05 (土) 11:35:40
更新日:2025/03/26 Wed 12:07:39
所要時間:約 7 分で読めます




遊戯王OCGのカード。
韓国版PRIMAL ORIGINで先行登場しており、日本ではEXTRA PACK -KNIGHTS OF ORDER-で来日した。



テキスト

融合・効果モンスター
星4/水属性/天使族/攻2000/守2200
SモンスターまたはXモンスター+SモンスターまたはXモンスター
(1):このカードが特殊召喚に成功した時、
自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚する。
このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは除外される。



変わった素材を要求する融合モンスター。特殊召喚時に墓地の下級モンスターを蘇生させる効果を持つ。
効果を使い終わったS・Xモンスターを使えるとはいえ、正規融合するのは基本的に無駄が多い。





……しかし、何か忘れてないだろうか?
遊戯王の広いカードプールには、正規の融合素材を使わずとも、融合モンスターを特殊召喚する手段も存在する。



通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):1000LPを払って発動できる。
レベル5以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊される。

このカード、《簡易融合》1枚から特殊召喚できるのである。
このカードはレベル4、その上でレベル4以下のモンスターを特殊召喚できる。
レベル4モンスターを蘇生させれば《旧神ノーデン》と蘇生させたモンスターとでランク4Xが可能だし、チューナーを蘇生させればレベル5~8のS召喚が可能。
蘇生させたモンスターを除外させるデメリットも、エクシーズは言わずもがな、シンクロでも《旧神ノーデン》と同時にS素材にすれば、除外されることはない。

運用するためのEXデッキの圧迫はあるものの、リターンはそれを補って余りある。



単純に《簡易融合》1枚からS・Xができるだけでも強力だが、このカードの効果は融合召喚以外でも発動でき、同名カードの1ターンに1度の制限もない
《簡易融合》は融合召喚扱いで蘇生制限も満たすため、蘇生して使い回せば1ターンに2回以上の効果発動も可能。
インチキ効果もいい加減にしろ!

どんなデッキにも入っている《死者蘇生》以外にも、融合モンスター専用の《早すぎた埋葬》である《再融合》などで特殊召喚できる。
《再融合》は装備魔法であるため、サーチ手段も豊富。

《再融合》をデッキに3枚投入していて手札にない場合、レベル3チューナーとで《パワー・ツール・ドラゴン》をシンクロ召喚すれば効果で確実に手札に加えることができ、
またチューナーに《ヴァイロン・キューブ》を使って光属性シンクロモンスターをシンクロすることで、墓地発動効果によりサーチも可能。

特に《ヴァイロン・キューブ》とこのカードでレベル7シンクロをすれば、《再融合》から再びシンクロができる。
光属性Sモンスターには、汎用性の高い除去効果を持つ《月華竜 ブラック・ローズ》や、他力本願竜エンシェント・フェアリー・ドラゴン》などがいる。
特に《エンシェント・フェアリー・ドラゴン》は《旧神ノーデン》を繰り返し融合できる《フュージョン・ゲート》のサーチや、手札からモンスターを特殊召喚する効果、さらには《旧神ノーデン》の素材になったりと、ソリティアの中核パーツとしても使われる。

他にはこのカードが水属性であることから、ループコンボ御用達である《氷結界の虎王ドゥローレン》のシンクロもできる。



そんなこんなで、現在考察されている段階でも、最低手札2枚や3枚から先攻ワンキル、ループコンボなどが考案されている。
重爆撃禽 ボム・フェネクス》などによるバーン、無限ドローによるエクゾディア、複数の《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》を並べるなど、その悪用方法は多岐に渡る。
とはいえ、初手で三枚積みのカードを引く確率は四割弱ぐらいだから成功率もそんぐらいだろう、と思いきやそもそも《簡易融合》無しのルートも山程ある
素材指定がゆるいため、《フュージョン・ゲート》張っとけば《ソウル・チャージ》《召喚僧サモンプリースト》《ヒーローアライブ》……そんな一般的なカードでさえも起点となりうるのだ。
構築によっては必要な手札の組み合わせも複数あり、相手の妨害を考えなければ事故率も極めて少ない。というか複数組み合わせがある手札2枚で先攻1キル。それ以外のカードでも複数組み合わせのある3枚で先攻1キルが「全て同じデッキに搭載できる」という成功率7割を越える脅威の先攻1キル率を誇り、過去の【ガエル】【DDB】【現世冥界マキュラ】【ドグマブレード】などの凶悪な先攻1キルよりも成功率が高い。禁止制度が導入される前の初期エクゾディアに匹敵するキル率である。

また仮に征竜よろしくこれらのカードがまとめて巻き添えに規制されたとしても、「先攻1キルがなくなるだけで手札2・3枚から後攻1キル」するのは変わらない。
軽く100枚を越えるカードとの組み合わせがあり、とても規制できる量ではない。

似たような悪用がなされた《霞の谷の神風と《A・ジェネクス・バードマン》が制限カード、同じく《簡易融合》から特殊召喚できる《サウザンド・アイズ・サクリファイス》が禁止カードになっていることからも、このカードが危うい立場にあることが窺える。


ところで《簡易融合》から出せる事ばかり取り上げて来たが、こいつの融合素材をもう一度見て欲しい。
SモンスターまたはXモンスター+SモンスターまたはXモンスター
なんだこのゆるゆるな素材指定は。

効果だけならまだよかった。上記ソリティアに使われるパーツは簡易以外かなり地味で、そいつらが制限になってもそこまで困りはしなかっただろうから。
《重爆撃禽 ボム・フェネクス》や他力本願竜は元々他にも複数体必要なワンキルが存在したので制限の危機はあったし、《フュージョン・ゲート》は《E・HERO エリクシーラー》ループなどでも使われるし、再融合なんて覚えてる決闘者の方が少なかったろう。

緩い素材指定の融合が出ると言う事は、超融合》の除去範囲が広がると同義である。
今更決闘者諸兄には言うまでもない、遊戯王界最強の除去の一角であるあのカードのである。

今までの《超融合》は相手の場だけで融合するのは難しかったと言うのに、S・Xを複数並べるだけで射程範囲。
機械族に対する《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》の比じゃない、前触れの一切無い防御不能の除去の圧力が多くのデッキにのしかかるのである。
《超融合》を恐れるなら、自分はSモンスターかXモンスターを1体ずつしか使用できず、相手のフィールドにどちらかが立っていれば、一切立てることができなくなる。


先行発売した韓国では(当然ながら)猛威をふるっており、
「今の韓国の環境はカップ麺早食い大会(先に《簡易融合》を発動した者が勝てるという意味)」と揶揄されていた。

海外で暴れてたものが来日前に規制された前例もあるし、流石に来日直後に規制が入るだろう……と思いきや

2014年10月改訂
メインギミックノータッチ。
知ってた。

それどころか来日する際にレアリティをスーパーレアに設定する横暴までする始末。
(遊戯王OCGでは封入割合の都合上スーレアが一番高価になりやすい。尚韓国での登場時は字レア。)

初見殺しの面もあったのだろうが既に発売日翌日から大会優勝報告があがっており、日本でもカップ麺早食い大会が始まる予兆をまざまざと見せつけてくれてくれた。

だが、ノーデン1キルデッキはワンキル率は非常に高く一度回り始めたらどうしようもないのだが、逆に言えばそれしか出来ない。
五割の確率でジャンケンに勝って、7割の確率で殺せるカードを引いて、やっとワンキル。
当然先攻をとってもヴェーラーで止まる危機はある(逆に言えばヴェーラー無きゃ止められないとも言うが)。
結局初見殺しであってワンキル型はそこまで流行はしなかった。

そうは言っても、《簡易融合》1枚からランク4エクシーズorレベル5~8のシンクロを出せる事に代わりはなく、間違いなく壊れカードである。
1キルを狙わず、単純に展開の補助として投入すればこれ以上なく強いカードである事は明らかである。
やはり環境はカップ麺一食一色になるのは避けられないだろう……




クリフォート「なんてこと言うとでも思ったか!」

影霊衣「とんだロマンチストだな!」



ところがOCG環境は「自分は「クリフォート」モンスターしか特殊召喚できない」と効果を持つ上級ペンデュラムモンスター「クリフォート」と、エクシーズやシンクロなんか呼ばなくても同じ手間でもっと強力なモンスターが呼べる儀式モンスター「影霊衣」が席巻。

もちろんこれらのデッキは1ターンキルなど行わない。
しかしそれらのデッキには多くのデッキを封殺する強力メタカードが通常搭載されているため、それらを出されれば1キルしかできないノーデン1キルは完全に黙り込む。
「クリフォート」は自身でメタを張らない物の《スキルドレイン》や《虚無空間》と言った《旧神ノーデン》を潰せるカードが標準搭載され、「影霊衣」に至っては《旧神ノーデン》絶対殺すマンの《ユニコールの影霊衣》が息をする様に出て来る時点で、ノーデン1キルが暴れられる道理は無いであろう。

こいつよりさらに強いデッキを作ると言う斜め上の方法で《旧神ノーデン》環境は回避され、カップ麺早食い大会は実現せずに終わった。
……確かに環境の一極化は避けられたが、こいつよりもさらに強いデッキが有るってどうなんだ。

その結果、1キル要員ではなく単に展開を補助するカードとして《旧神ノーデン》は使われるようになり、「中堅以下を強力にサポートする良カードなのでは」と言う人も多い有様であるが、もちろんそんな訳はない
現状は中堅程度のデッキではガチデッキのメタカードを突破しながら《旧神ノーデン》を通す事など夢のまた夢であり、極論強力なメタで他の多数のデッキもろとも《旧神ノーデン》を押さえつけているだけと言うだけである。
実際、クリフォートや影霊衣がいなければ間違いなく大暴れしていたことは、渡日前の韓国環境を見ればわかる。

また逆に言うと、このカードが規制されない限り、環境デッキはこのカードを前提に調整される事になる。
つまり「《旧神ノーデン》が入るデッキの新カードは《旧神ノーデン》前提で弱く調整される」か「次の環境トップも、《旧神ノーデン》がいても気にならないほどぶっ壊れている」か、「《旧神ノーデン》の事なんて忘れたKONAMIが適当にカードを出して、《旧神ノーデン》が大暴れする」かのいずれか。どれであるにせよあまり幸せな事にはならない。

そういう訳で、2015年1月改訂にて規制。このカード自体は無制限であるものの、《簡易融合》《超融合》が制限カード入りした。
EXデッキがカツカツである昨今、制限カードのためだけにこのカードを投入するのはリスクが大きいため、良カードの域に収まった筈である(多分)。

と思ったら《RR-フォース・ストリクス》の登場でまた手札2枚からの1キルが復活した。《簡易融合》《重爆撃禽 ボム・フェネクス》共に使用しない1キルであり1月の改訂は無意味となったのである。どうしてこうなった。
……しかし《氷結界の虎王ドゥローレン》の裁定変更でこのループは消滅してしまったのであった。やれやれ、ようやく悪用されなくなってめでたしめでたしと言ったところか。
→ガガガガンマン(とアトランタル)を使った手札2枚からの先攻1キルが新たに誕生。まるで意味がわからんぞ!

……そして時は流れ2015年10月改訂、《星守の騎士 プトレマイオス》とともに制限をすっ飛ばして禁止カードへ。
上記のようなオーバーなスペックを考えれば妥当であるが、このせいでクトゥルフネタのカードである《禁断のトラぺゾヘドロン》の効果の1つが実質使用不可能となるという、何とも残念な事態に陥ってしまう(もう1体の《旧神ヌトス》は召喚条件の関係で非対応なため)。

ちなみに同改訂では《簡易融合》が制限解除となっており、対応先であった他の融合モンスター達も相対的に価値を取り戻す結果となった。



汎用性の高いカードであり、2025年1月改定時点でも禁止カードのままなのだが、現役のデュエリストの中には「意外と大丈夫なんじゃね?」という声もある。
というのも、
  • 一番の相方であった《簡易融合》は現在は制限カードになっており、今後の環境次第では禁止カードになってもなんらおかしくない立場なので禁止になった当時と比べて出しにくくなっている。
    • さらにノーデンの効果は事前準備が必要な吊り上げ効果なのでただ出すだけでは何も起こらないことがある*1
  • 制限改定やエラッタによって当時の1キルルートはそのほとんどが潰されている上、単純に先攻1キルをしたいのであればギミック・パペットなどテーマ単位で1キルをしやすいテーマも存在しているので、わざわざノーデン1キルを選ぶ必要性は薄い。
  • 現在は汎用性も高いリンクモンスターも多いので、多くのデッキはエクストラデッキの枠がカツカツであることが多く、《簡易融合》ないしは《超融合》を引かなければ出せない上振れ札になるノーデンにエクストラの枠を割けるかどうかが怪しい。

という複数の理由があげられている。
とはいえ、同名ターン1制限がないため、ちゃんと事前準備を整えて複数回出せれば相当なリソースを生み出すことができるのもまた事実である。
このため、エラッタをして効果に同名ターン1制限をつければ余裕で帰ってこれる、と見るデュエリストは少なくない。




このカードの元ネタはクトゥルフ神話旧神ノーデンス。
戦車に乗る白髪白髭の老人の姿だったとされ、イラストでは白髪の老人と、戦車を引いているであろう馬が描かれている。




追記・修正は墓地のモンスターを蘇生させながらお願いします。

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最終更新:2025年03月26日 12:07

*1 実際、守護竜リンク1モンスターの中で吊り上げ効果持ちの《守護竜ピスティ》のみが無制限で他2枚は共に禁止カードである点も現代遊戯王において吊り上げ効果が軽視されている証左と言えるだろう。