機動戦士ガンダムSEED ASTRAY R

登録日:2009/07/28 Tue 04:02:46
更新日:2024/08/25 Sun 20:29:40
所要時間:約 7 分で読めます





日本刀(ポントー)片手に大暴れ!!

こんなガンダムありえない!?



『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY R』とは、月刊少年エースに連載されていた漫画。

全4巻

原作:矢立肇・富野由悠季
シナリオ:千葉智宏
作画:戸田泰成


ガンダムエース月刊少年エース、電撃HOBBY MAGAZINE、月刊スニーカーで同時展開された機動戦士ガンダムSEED ASTRAYシリーズの1作。
荒木飛呂彦風の豪快な絵柄と独特な台詞回しを特徴とする戸田泰成が描いたことで、今までのガンダムらしくない濃い作風が特徴。
というか千葉先生の話を信じるならスタジオオルフェ側にすら直前まで戸田先生がやるのを伏せてたらしい

しかし、分かりやすいストーリー展開とキャラクターから人気が高く、明らかに本編と違う毛色ながら、1/144HGレッドフレームの取説やスーパーロボット大戦Wなどに強い影響を与えている。
またASTRAYシリーズ全体名義での参戦になっているゲーム作品でも「レッドフレームのうち特定verのみ*1」「ときた版やミニアニメ版に近い演技で言う*2」「劾はやらないけど彼に関わるやりこみ要素の称号パーツにある*3」など、ごく一部に絞る形で戸田先生の作画やセリフ回しに近い・引用したものが収録されていることも増えてきている。


あらすじ
コズミック・イラ71。
人類は地球連合とザフト軍に分かれ、激しい戦いを繰り広げていた。
だが、この戦いの時代にあっても人々は必死に生き抜こうとしていた。
物語はとあるジャンク屋、ロウ・ギュールがあるモビルスーツを手に入れたことから始まる。



【主な登場人物】
  • ロウ・ギュール
ジャンク屋の青年。
他作品に比べるとかなり豪快で自信家だが少し単細胞で無鉄砲。
凄腕のメカニックでもあり独特のセンスで様々なメカを開発している。

「合点 承知。」
「これが俺の、赤い一撃(レッド・フレイム)だッ!!!」


  • 山吹樹里
ジャンク屋のメンバー。
けしからん美乳の持ち主。
ドジっ娘で散々失敗してきたため性格はやや悲観的(ロウに比べれば現実的な先読みをしているともいえる)。
ジョージ・グレンマニアで自室はグッズでひしめいている。
ロウに惹かれているが、彼が鈍感なためイマイチ報われない。


  • リーアム・ガーフィールド
ジャンク屋のメンバーでロウの相棒的存在。
コーディネイターで合理主義者。
無茶苦茶なロウに始終ツッコんでいるが、なんだかんだ言って愚痴りながら協力している。
指揮能力の高さ、ナチュラルへの偏見や差別意識がないのは他作品同様。


  • プロフェッサー
ジャンク屋のメンバーで母艦の艦長も務める。
けしからん谷間の持ち主。
謎の多い美女で、シーンでテンションが違うことも多い。
風呂上がりには濡れてスケスケの白衣というけしからんファッションで登場している。
「やってしまいなさい。」
「ブルーフレームカモーン!!!レッドフレームカモ~ン!!!」

ちなみにSEED一期OP“INVOKE”に一瞬だけ映る謎の乳揺れ女性は彼女であるというが、真相は不明。



傭兵部隊サーペントテールのリーダー。
第1話から登場しているが、顔見せは後半から。
冷静沈着なクールガイだが、戸田の手にかかればなんか濃いクールガイ(?)になっている。
もちろん本気・任務なの前提でやればロウなど足元にも及ばない戦闘能力を持ってるのは相変わらず。

クルクルウウ~ッ「俺は傭兵部隊サーペントテール……叢雲劾!!!」シュピン!!
「それは無理だな。なぜならお目当ての"予備パーツ"はさっき見つけてすべて破壊してしまったからだ~!!!」


  • イライジャ・キール
サーペントテールのメンバー。
他作品だとヘタレの印象が強いが、本作では劾には及ばないものの普通に有能である*4


  • ロレッタ・アジャー
サーペントテールのメンバー。
けしからん乳首の持ち主。
潜入工作を得意とする。
本作では娘の風花は登場しない(ジオラマ版の単行本収録の番外編には登場。やっぱ濃い)。


  • リード・ウェラー
サーペントテールのメンバー。
空気。


  • 蘊・奥(うん・のう)
廃衛星、グレイブヤードの住人で技術やMSサイズの日本刀ガーベラストレートを守っている。
日本刀の使い手で、生身でビームサーベルやライフルの先っぽを切り落とすC.E.の東方先生
ロウを気に入り、剣術の指南をする。
ジャンク屋がガーベラストレートの修理で再び訪れた時に侵入してきたゲイツと交戦、重傷を負い死亡する。
そして後の作品で若返る。


  • ケナフ・ルキーニ
凄腕の情報屋。
世界一の情報通を自負しており、ハッキングも得意。
ロウに興味を持っており、しばしば遠巻きながら関わる。
甘党で登場シーンではよくポッキーやプリンなどを食べている。
なんかジョジョアレッシーに見た目が似ている気がする。

今作ではまあまあやらかしたりもしたが、濃いキャラゆえかその後の続編でも「サーペントテールメンバーが情報を買いに訪れる」「明らかにヤバイ話を見つけたため、ロウたちに忠告や自衛の推奨として連絡しようとする」など出番が設けられている。

「健康には気を遣ってます」


  • エリサ・アサーニャ
ルキーニが懇意にしているフリーのMS乗り。
かなり派手派手しいファッションが特徴。
専用のジンに乗り子分のオタークを連れてロウを襲うが、敗れた後は特にMSに乗るわけでもなくルキーニのそばをチョロチョロしている。


  • モンド
ロウがプラントで会った怪僧。
ジョージ・グレンを信奉するGG友の会のメンバーでエヴィデンス01を訪れるためにロウに協力を要請する。
テロリストの銃弾からエヴィデンス01を守るために盾となり、ロウにG・Gユニットを託して息を引き取る。


  • マーチン・ダコスタ
本編でも登場しているアンドリュー・バルトフェルドの副官。
放棄されていたレセップスを買い取ったロウと出会い何度か協力した。


  • ジョージ・グレン
言わずと知れたファーストコーディネイター。
暗殺されたが、脳だけがG・Gユニットに保管されており、後にプロフェッサーの技術でホログラムとして復活し、新艦長となる。こっちはこっちで生命倫理…
ざっくり言うとあまりにも人の善性を信じすぎていたとしか思えない性格(ただし反省そのものはしている)。
近年ではこの作品…というかASTRAYシリーズにおけるキャプテンとしての描写から、「生前もロウのような『天才かつ好漢のナチュラル』の知人が大半だったため、コーディネイター技術を公開すること自体が対立煽りになることなど(グレンの周囲の人々含めて)微塵も発想できなかった」とする解釈もある*5


  • ロンド・ギナ・サハク
ゴールドフレームのパイロット。
貴族主義的な思考の持ち主。
本作ではミナの設定には触れられず、死亡シーンも描かれていない。なので、作画上はその後に登場するミナ様とほぼ同キャラ扱い。(ミナ様のはずのシーンでも体つきがどう見ても男)。戸田版のセクシーなミナも見てみたry


  • ジャン・キャリー
工学博士にして、かつては連合でMSパイロットをして「煌めく凶星『J』」の異名で知られたコーディネーター。
ロウと意気投合し、後にパワードレッドを完成させる。
MSV設定画より英国紳士風味が強い。


  • アッシュ・グレイ
ザフト軍、特殊防衛部隊のパイロットで本作のラスボス
どう見てもMSパイロットと言うより新手のスタンド使いな外見で、非常に攻撃的で見境ない危険人物。

ラクス・クラインは戦況を攪乱し、戦いを長引かせた!!あの女は『死人』を増やしているのだ!!!」

ガンダムSEEDシリーズを通じて珍しく、「政争」ではなく個人として一応筋の通るラクス批判をした人物。もっともこいつ自身、ただの殺人狂である。
散々大暴れしたが最後はレッドにぶっ飛ばされ、その後……



【主なメカ】
主人公機。
日本刀「ガーベラ・ストレート」が特徴で本作でも何度となく敵を撃退した切り札的存在。
グーンの外装を改造して着こんだ水中即席装備も登場。

  • 150ガーベラ
深海から回収したレアメタル全部使って作り上げた超巨大なガーベラ・ストレート。
戦艦もデブリもコロニーのシャフトも刀の錆。
素のレッドフレームでは腕が損傷してしまうため使えず、以降の作品でもロウは「これを扱う」ためにいろいろと腕部パーツを見直している。
「どぅぶれあ!!!」

ロウがミーティアからヒントを得て開発した支援メカ。
合体したレッドフレームとシンクロして動き、150ガーベラも自在に操る。
巨体ゆえに被弾率も高く、リジェネレイトとの戦いで破壊された。

  • パワードレッド
ジャン・キャリーが持ってきたパワーシリンダーを搭載した腕を付けたレッドフレーム。
パワーローダーなしで150ガーベラを振ることができるほか、その豪腕から繰り出される鉄拳すら…ロウによる「強度的に弱い」部分の見切り*6もあって…凶器。

  • ホーム
ジャンク屋の母艦。
作業用アームで防御から攻撃までこなす。

  • リ・ホーム
新しい母艦。
アークエンジェルと同時期に開発された連合軍補給船コーネリアス級ライアンが元でAAと形が似ている。
作業用アームを使った戦法は相変わらず。

砂漠での戦いでダコスタからイライジャに提供されて参戦。レッドフレームを背に乗せて活躍した。
その後でジャンク屋に渡り樹里の機体となり、それを見たバルトフェルドは「恐ろしい虎が可愛い猫になった」とコメントした。

その名の通り。
ロウと会う半年前に損傷していたが、再会時に改修されており、日本刀のタイガー・ピアスでゲイツにもひけをとらない戦いを繰り広げた。

ザフトが開発した11番目の核稼働MS。
イージスのデータを元に作られており、MS形態、巡航形態、砲撃形態に変形する。
実はコクピットのあるバックパックが本体で、他の部分が損傷しても予備パーツと交換することが可能。
さらにMSのコネクターから侵入し操作系をハッキングすることもできる。
しかも巡航形態ではジェネシスα(本編のジェネシスとは別のもの)からのレーザーを後部から受け超加速を得て突撃する技、ライトクラフト・プロバルジョンを使用し、ミラージュコロイドも搭載と、プロヴィデンスがかわいく見えてくるほどの化け物ガンダム。

でも相手が悪かった。
コイツのデータがインパルスガンダムの分離合体に生かされたという裏設定がある。


「それは無理だな。なぜならお目当ての"項目"はさっき見つけてすべて追記・修正してしまったからだ~!!!」


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最終更新:2024年08月25日 20:29

*1 EXVSシリーズ

*2 同じくEXVS、「それは無理だな。なぜならお目当てのものはすべて見つけて破壊した!」と口調もときた版の劾に寄ったものにアレンジ

*3 アーセナルベース、本作における登場時の擬音「クルクル」「シュピン」が収録。実はEXVSでもブルーフレームSLの勝利モーションにこれらしきものがある

*4 劾の部隊たるサーペントテールにいる理由付け自体はこの作品ではなくノベライズでなされた。いわく「一般人や正規の兵士に近い感性を持っている・努力することで強いパイロットになる(可能性が高い)とある意味劾とは正反対のパーソナリティを持っているため、別視点を提供してくれる相方を求めていた劾のお眼鏡に適った」。

*5 実際に交渉や商談、あるいは交友が可能であればナチュラル/コーディネイターの区別など最初からつけないロウに対して「君はナチュラルだけど、本当は君のような『高い能力を使って人々のニーズ同士や交友を取り持つ存在』をコーディネイターと考えていた」と発言しており、少なくとも千葉先生の解釈では最初から遺伝子調整の有無関係なく混在する社会が成立すると考えていたと思われる。ASTRAYシリーズで言えば「事前選抜と現地テストのいいとこどりがベスト。遺伝子調整のみが絶対じゃないけど重要ではある」と結論したアグニスの考え方が近いか。

*6 PS装甲でも過度の衝撃は防げないのは本編公式設定。レイダーガンダムのニョルニルなどもそうだが、あまりに過大な衝撃が加わると装甲より先に内部が破損する設定は当時から言及されることがあった