ノトーリアス・B・I・G(ジョジョの奇妙な冒険)

登録日:2012/06/30(土) 00:32:44
更新日:2024/04/10 Wed 20:58:53
所要時間:約 5 分で読めます





ピッツァマルガリータが食べたい。


「『ピッツァマルガリータ』か……そういやぼくもピッツァが食べたいな……」
「故郷ネアポリスに帰って……シンプルなマルガリータ(チーズとトマトだけの種類)*1を…」

死ねバカ

ハナ毛を切らなくては

[チクシォー]


「なんだ……?ラクガキが多いな……まるで駅のトイレみたいだな…………」
「この小型ジェット……金持ちのものだろうに……」

女の子と南の島へ

サルディニアに行きたい。


ぼくたちは






死体に喰われる。

助けてくれ。


あの男はカワイソーにゾウキンのように捨てられた。
恨んで死んでいった。
恨みこそがヤツのエネルギー。
殺されることによって始めて作動するエネルギー。
死ぬ前のあの男さえもみたことのなかったエネルギー。


死体だからもう殺すことはできない。









敵スタンドの名は
「ノトーリアスB.I.G」

助けてくれ お願いだ もう助からない








死ぬ前に 故郷ネアポリスのピッツァが食べたい


「だ…!!!」
「誰が書いたんだッ!?」
「いつ!!こんな事を誰が書いたのだ!!」

「はっ」

ジョルノ・ジョバァーナ

「なにィィ~」






ノトーリアス・B・I・Gとは、『ジョジョの奇妙な冒険 Part5 黄金の風』に登場したスタンド能力
よく間違えられるがノートリアスではない。
B・I・Gの読みはジャンプ掲載時と単行本では「ビー・アイ・ジー」。後に文庫版では「ビッグ」と改められ、以降は「ビッグ」で統一されている。アニメ版でも「ビッグ」が採用された。


【概要】

何と言ってもこのスタンドの最大の特徴は本体が死んでから真価を発揮する能力だということ。(能力の詳細は後述)
あまりにも極端な性能はファンの間でも印象深く、シリーズ内でも知名度の高いスタンドの1つ。


本体であるカルネの生前/死後に対応するように、このスタンドのヴィジョンも本体の生死によって大きく変化しており、
カルネが生きていた頃は本体に似た太めの体型の人型スタンドで顔の半分に縞模様のマスクがついているのを除けばシンプルなデザインをしていた*2が、
カルネが死亡し、その真の能力が発動してからはぼこぼこと腫れ上がった腐肉のような不気味な質感の不定形な肉体に、生前のようなマスクとランプ状の双眼、ローラーのような車輪を備えた前肢を持つ非人型のヴィジョンへと変化しており、
探知対象を追って這いずったり跳びあがるようにして移動する。
単体での飛行能力はないが、探知対象が飛んでいる場合、それを追跡してオートで攻撃するため、離れた位置から攻撃できるからといって決して安心はできない。
本体の制御を離れてるせいか、「肉」を食う習性故、実体化してしまっている可能性が極めて高い。*3

なお、どうやって知ったのかは不明だが、ボスと彼から情報を得たセッコ及びそのパートナーのチョコラータは、
カルネの生前からこのスタンドの特徴を把握していたらしく、ブチャラティに意外な反撃を受けたセッコが『B・I・G』を例に挙げてチョコラータにとある質問をするシーンがある。


◆パラメーター

破壊力-A
スピード-
射程距離-
持続力-
精密動作性-E
成長性-A

◆能力

動く物体を感知して肉体やスタンドエネルギー、金属や飛行機の燃料等、あらゆるものを取り込む遠隔自動操縦型のスタンド。
一応自我はあるが知能は低いようで言葉は一切話さず、「GYYYAAAAAAHHHHHッ!」「WOOOOGYYAAAAHHHッ!」といった不気味な鳴き声をあげる。
冒頭の謎のラクガキはこのスタンドがジョルノの腕にこっそりへばりついて機内に侵入した後、彼に気付かれないように描いていたものだが、
本体のカルネやジョルノの意志を代弁するかのような文面から察するに、接触した相手の意志を読み取る能力があるように見える。

第4部で登場した吉良吉影『シアーハートアタック』同様、探知能力を有し、特定の人物の追跡は出来ない。
ただ、こちらは「動き」を探知して攻撃する能力を持ち、弾丸だろうと時速八百キロの飛行機だろうと関係なく、動きが速ければ速いほど、それと同じ速度で追ってくる。
「動くもの」が複数存在する場合は、より速いものを優先して追跡する。
ただ、あくまでも「探知」するのは「動き」だけなので、目はあるが視覚は無いも同然。
なので、「動いている」のであれば敵味方の区別はおろか、有機物か無機物か、物体か自然現象かの区別すらできない。
その場で一番早く動くものを自動的に察知してそれが停止するまで延々と攻撃を加えるため、この性質を利用して攻撃対象となったものより遅く動くことで攻撃の矛先をかわしつつ行動することが可能である。
また、攻撃手段は純粋な物理攻撃であるため、それで破壊しきれないもの*4を攻撃対象とした場合は、
それよりも早く動くものを察知しない限り、永久にそれを攻撃し続けることになる。

また、このスタンドの攻撃をブチャラティ一行は既に離陸し、安定した姿勢で航行し始めた飛行機内で受けたが、
通常、如何なるスタンドだろうと、数千~一万メートル上空を時速八百キロのスピードで飛ぶ飛行機を追い掛ける事は不可能である。

では何故このスタンドはそんな『出来ない』事が出来るかと言うと、本体が死んでいるからである。
既に死んでいるので『ゴールド・エクスペリエンス』でも生命エネルギーが感知出来なかった。
つまりこのスタンドは本体の亡霊のようなもので、だからこそこんな芸等が可能なのだ。

何気にシリーズ屈指のチートスタンド、『メイド・イン・ヘブン』に「物理的に」勝ちうる可能性を持っている数少ないスタンド。
相手が無限に加速しようが「その場で一番速いもの」に自動的に追いつく、という性質を持っているため、プッチ神父がどれだけ時間の流れを早めても、それに追いつき攻撃を加えることが可能なためである*5
ただ、流石に「世界を一巡させる」という能力までは対処できないだろうし、プッチがこの法則を見抜いて動かなければ、他の高速化した自然現象を追いかけてどこかに行ってしまうのでやり過ごせるだろうが……。

アヌビス神』、『チープ・トリック』と今までも本来の本体が死んだとしても消滅せずに独立して活動したスタンドはいたが、
どちらも行動には第三者を本体にする必要があった。
これに対しこのスタンドは、本体がいないからこそその性能を発揮出来る。
これをチートと言わずしてなんと言う。

3部で登場した『イエロー・テンパランス』とはスタンドも含めて取り込んだものを食らいつくす能力という点が共通している。もし、イエロー・テンパランスとがっぷり四つで組み合った場合どちらの能力が勝つのかは興味がわくところである。


弱点

…と、一見無敵に見えるスタンドだが、あらゆる物体をエネルギーとして取り込むという特性もあってか、スタンドを介さずとも「自分から静止している物にぶつかった」「自分が攻撃対象として認識できない方法で攻撃された」場合はダメージを負ってしまうという意外かつ特異な弱点を持っている。*6
なお、スタンド使いでなくても認識できるような実体を持つかは不明。

また、物を取り込もうとしている最中にその動きよりもゆっくりと、超スローに、スピードを出さず、そして万力のような力を込めて攻撃した場合もダメージを負う。
但しその場合も、僅かでもエネルギーを取り込めば簡単に復活してしまう。
劇中では本当に襲われた場所が最悪過ぎた。

なお、今となっては検証のしようがないが、亜空間のような、「動くもの」が存在しない密閉空間に閉じ込められた場合では、流石に無力化してしまう可能性が高い。
飛行機という逃げ場のない密室でなければ、ブチャラティの『スティッキィ・フィンガーズ』のジッパーで岩の中等に閉じ込めて封印する、という攻略法で倒せたかもしれない。
暗殺チームならば、イルーゾォの『マン・イン・ザ・ミラー』で「の中の世界」に封じる事も出来ただろう。
他の部なら、ヴァニラ・アイスの『クリーム』が最大の天敵。
亜空間から攻撃出来る『クリーム』には、そもそも探知できても攻撃しようがない為、もしも対峙していたら、『ノトーリアス・B・I・G』と言えども一方的に削られて消滅してしまうものと思われる。*7
また、「写真の中に閉じ込める」吉良吉廣の『アトムハート・ファーザー』も天敵となり得たかもしれない。

このように、劇中みたいな飛行機や船舶、屋敷の中などと言った密室や限定された空間でこそ真価を発揮するスタンドであり、屋外であれば倒せる可能性もゼロではないと思われる。
だが、例にあげた通り、倒せる可能性のあるスタンドでもチートクラスの能力の持ち主ばかりであり、本格的に倒す事は超困難。
まさに怨霊の如きスタンドである。


【本体】

名前は『カルネ』
CV:阪口大助(アニメ版)
名前の由来は『肉(Carne)』。
ちょっと地味だけど大女優なポケモンチャンピオンとは、名前が偶然被っただけで一切関係ない。*8
飛行機を手に入れるために空港に来ていたブチャラティチームを追うように現れた
首が肉に埋まっているぶよぶよした肥満体型の不気味な男。
頭に巻いたバンダナと目の周りのクマやルージュといったゴス系のメイクが特徴。
「ボス親衛隊」の一人である。

何も喋らないまま呆気なくやられたので詳しい素性や性格は分からないが、
忠誠心が高いのか怯える様子もなく撃たれながらも飛行機を盗もうとするジョルノ達に接近していた。(更にアニメでは不気味に笑っている。)
そしてミスタによって、名前の通りの物言わぬ肉塊になるまで全身に銃弾をぶちこまれて射殺される。
あまりにあっけない「まるで死にに来た」ような様子をミスタは遥か格下と見做していたが
カルネの今わの際の怨念により、そのスタンドの真の能力は既に発動されていた…


【活躍】


本体のカルネがミスタに蜂の巣にされて死んだ事で発動し、生死の確認の為死体に近付いたジョルノに取り憑いた。
この時カルネの指も三本持ち込んで何を思ってか冷蔵庫に入れ、自身も指に変身した。
(『ゴールド・エクスペリエンス』での確認の時、よく見たら一本だけ植物の根が張ってない
その後ジョルノの右腕を食っている所を見つかり、ミスタ、ナランチャ、そしてジョルノをも戦闘不能にする。

あえて素早い動きをした自身の腕にスタンドを喰いつかせて即座に腕ごと切断し機外に放逐することで排除するというジョルノの覚悟により
一時的に飛行機から追い出されるもすぐに追い付き、今度はトリッシュを攻撃。
トリッシュは土壇場で自身のスタンド『スパイス・ガール』に覚醒。
『スパイス・ガール』自身のアドバイスを借りた攻略方法を用いて反撃し、この時一度『ノトーリアスB・I・G』は細切れにされて倒された。

…が、エンジンのエネルギーを取り込み、機内の後ろ半分を埋め尽くすほどのサイズに巨大化して復活。
ブチャラティとトリッシュの機転でティレニア海に落下し、その後はすぐそばで動き続ける波しぶきを永遠に自動追跡し続ける存在となった。

時折波より速く動く船舶を沈没させる事もあるようで、このスタンドのいる海域は後に地元の漁師から「ティレニアの胃袋」と呼ばれるようになった……。*9



【余談】

◎スタンド名の元ネタは、アメリカの黒人ラッパー「ノトーリアスB.I.G」。
彼は1997年3月9日、本体のカルネと同様に射殺されている。
そして、その死後に出されたアルバムが大ヒットしたということから着想を得た模様。
これについて、作者の荒木飛呂彦氏は週刊少年ジャンプの巻末にコメントを寄せている。

◎1度機外に追い出されたこのスタンドが再び空中を動いている飛行機を追ってきた際に、
翼の上をサッカーボールが転がっている、という描写があったが、これは、
「不自然な物を見つけてなんだろう?と思って顔を近づけたら実はスタンドだった!」
という「ホラーあるある」系の演出でしかなく、そうした擬態能力があるとかではない。
あまりに唐突で不可解な描写だったためか、アニメでは球状の肉塊のようなものに改変されている。


◎カルネ本人の死に様や、チョコラータとセッコの会話から、「生前からノトーリアスの特性は把握されていた」ことはほぼ確実。
一方で何故『死んでから発動する(あるいは完成する)能力』だと知っていたかは謎である。
シンプルに「本能で理解していた」説、絶命前の様子から「元から恨みで強化される能力で、そこから予測していた」説、スタンドが明確な自我を持つ事から「本体が健在な頃は知能もあり、スタンド自身から教えてもらった」説など、様々な意見が揚げられている。

ただ、カルネが自身のスタンド特性を理解していたのなら、一部の人間がノトーリアスについて把握してるのも納得である。
なにせカルネ本人が口頭で伝えればいいだけの話なのだから。
「自分のスタンド能力を知られることは、身の安全に関わる」とはアバッキオの言だが、カルネのスタンドは例外的に本体が死亡した後の方が厄介な特性を発揮するタイプ。
つまりスタンド特性を知っている者ならば迂闊にカルネの命を奪えなくなるため、却って身の安全が保障されるのである。
無論、カルネが命を賭して葬らねばならない敵にまで知られてしまっては本末転倒なため、教える必要があると判断した者にだけ伝えていたと考えるのが妥当。
忠誠を誓うボスはもちろんの事、仲間の命だろうと興味本位で平然と奪いかねないゲスコンビには是非とも知っていてもらいたかったハズである。




全員無事生き残って追記・修正したければ・・・

この飛行機は!!ブッ壊スッ!!

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最終更新:2024年04月10日 20:58

*1 名称が似ているので間違われやすいが、正しくは「マルゲリータ」であり、「マルガリータ」はカクテルの一種。アニメ版だと「マルゲリータ」と正しい発音となっている。

*2 アニメでは体部分も少し描かれたが、後の姿のような、皮を剥いだ「肉」っぽい妙に生々しすぎるカラーリングで、更に不気味な印象を与えていた。

*3 少なくともアニメでは後述の理由で実体化している模様。

*4 『スパイス・ガール』の能力で「機能を保ったまま柔らかくなった物体」や、元から形の無い海上の波など

*5 ただ、この考察は『B・I・G』のスピードの上限がステータス通り「∞」である前提に立っている。「あくまで一般的な物理加速の範疇で追いつけないものがない、というだけで時間の流れそのものを無制限に加速する『メイド・イン・ヘブン』に追いつくのは不可能だろう」と見る向きもある。

*6 動かない床の上を這いずるのは問題ないのか?という疑問が生じるが、劇中では登場したのが飛んでいる飛行機内、という特殊な状況だったため考証は難しい。まぁそもそもスタンド能力は「その理屈だとこれが出来る/出来ないのはおかしい」というツッコミが入るものが多いので、考えるだけ野暮だろう。

*7 似たようなスタンドの億泰の『ザ・ハンド』では、本体が露出してしまってる為、流石に分が悪いと思われる。

*8 そもそもあちらの名前の由来は「カーネーション(Carnation)」である。

*9 アニメでは実際に神話の化け物の如く客船を襲って乗客を喰っている姿が描かれており、もはや完全に実体化しているようである。