#1 連邦接触計画
ーー連邦に出会う1ヶ月前ーー
「くそっ、また殺されたのか...!」
俺は怒りで一枚の手紙を握りつぶす。
内容は、ノルメルによってまた貴族が処刑された内容だ。
市民が耐え切れず、反乱をおこし、負けてしまったのだ。
そのせいで、俺ら貴族が責任をとらされ、こんなことになってしまった。
俺のいるスローヴェ家に矛先が向く日も近いだろう...
そんなことを考えていると、部屋のドアが叩かれ開き、影が見えた。
「殿下、ロスナ・ゼスナディ様がお見えになりました。」
と、来たのはメイドだった。
どうやらゼスナディが情報を仕入れたらしい。
ロスナ・ゼスナディは、寄宿学校時代に出会った友人で、ノルメルの支配から脱したいという心持で意気投合し、今でも関係が続いている。
貴族間でこのような親しい関係が続いているのはかなり珍しいだろう。
彼の家、ロスナ家はかなりノルメルの核心部分に近く、諜報をしている。
その情報を共有し、機会を窺っているわけだ。
俺は、彼を部屋の端の小さな丸机に座らせ、話を聞いた。
「アシュテ(アシュタフィテスのこと)、朗報を手に入れた!早く見てくれ!」
ゼスナディは、興奮した様子で小さな紙を手で振り、机に弱く叩きつけた。
「一体、何があったんだ?」
「どうやら、スィレフの辺境付近に
連邦が来るらしい!」
連邦?聞きなれない言葉だ...
しかも、
スィレフか...正直言って少し怪しいところもある。
「なぁ...それは大丈夫か?誰か何かも分からないのに。最悪、ゼマフェロスの窮状を悪化させるやつらかもしれない...」
俺は不安から少し小さい声でそう言った。しかし、彼はそれを打ち壊すような発言をした。
「大丈夫だ。彼らは中立的な立場をとっているし、それにおそらくケートニアーだと思う、高い技術も持っているだろう。」
「ケートニアーに高技術?なんでそう思うんだ?」
俺は後の言葉に疑問を持って、尋ねる。
「なにしろ、連邦は空中からこの地に降り立つらしい。」
ゼスナディが手に入れた情報は、かなり興味深く、信じがたい情報だった。
空中に人がいて、ここが分かって来ると言ってるのだからだ。
是非会ってみたい。信じられないが、そう思った。
今の状況を打破できる唯一の希望だ。
何としても、これに頼るしかなかったのだ。
「ゼスナディ、俺に行かせてくれ。俺ならスィレフにも近いし、あまりノルメルにも目をつけられてない、どうせ辺境貴族だと言って舐めているだろう。」
「ああ、俺もそうしたい、協力させてくれ。連邦が来るのは一か月後。絶対に成功させよう。」
俺は、この状況を打破すべく、連邦に会う計画を練った...
最終更新:2023年06月21日 01:23