#10 提案
「最悪......」
居留区から届いた知らせは私を悩ませるに十分すぎるものであった。
ついに職員に犠牲を出してしまったのだ。軍人が死ぬのとは話が違う。
とにかく、今は居留区の情況を把握することだ。
「話は聞いた。今回は流石にホットラインっていう訳にも行かなくてな」
聞きなれた声がする。ウォルツァスカイユだ。
「わざわざお疲れ様です。どうしたんですかこんなところまで。」
「どうしたもないだろう。連邦に死者が出たらしいじゃないか。」
「選挙対策とはいえ対応を間違えました。」
「いや、仕方ない。こちらにも責任がある。」
彼の方が申し訳なさそうにしている。タリェナフ派がクラナに上陸するなんて予想もできないのに
「失礼します。」
「あぁ、メブロ。お疲れ様」
ターフ・メブローデャがウォルツァスカイユに話しかける。彼女は元は連邦の軍人だったがウォルツァスカイユを追いかけて南サニスに行ったらしい。
「いったいなぜ彼女がきてるんです?」
ウォルツァスカイユか彼女のどちらかは常時南サニスに居て対応できるようになっているはずだ。2人が同時に連邦に来るなんてありえない。
「いや、少し連邦と話されなければいけないことがありまして。」
「かなり重要なことなので2人で来た。」
重要なこと.......?何をしでかすつもりだ?
「選挙対策であまり連邦軍に殺傷はさせたくないんだったよな?」
「まぁ、そうですね。今は流石に考え直さないといけないですけど。」
そう答える。意図が読めない。
「そこでだ。汚れ役はこちらで引き受けさせてもらおうって訳」
「それだと南サニスが......」
「大丈夫。そう簡単に倒れる君主制じゃない。」
「それなら.......頼みます」
「それに、タリェナフ派を何とかしないといけない」
最終更新:2023年07月16日 03:54