グティマウン型爆撃機

ぐてぃまうんがたばくげきき

グラ・バルカス帝国特殊殲滅作戦部のみ配備されている超重爆撃機。外見は旧日本軍の超重爆撃機富嶽に近い。
名称は「グティマウン」「グティーマウン」と本文中でも頻繁に表記揺れするが、後半から「グティーマウン」表記に統一されていく。

乗員
全長 46m
全幅 63m
動力 6,000馬力(少なくとも過給機を装備) 6発
巡航速度
最高速度 780km/h
実用上昇限度 15,000m以上
航続距離 19,400km
武装 旋回機銃 多数
無誘導爆弾

グラ・バルカス帝国の新型超重爆撃機で、転移直前にこれを主力とする爆撃連隊が編成されている*1

最新鋭機という事もあって、軍でも極秘扱いで一般隊員には具体的な性能が伏せられている。

富嶽との差異は不明だが、少なくとも長大な航続距離とアンタレス型艦上戦闘機以上の高度をアンタレス以上の速度で飛行可能な性能を持っており、迎撃機や対空砲が届かない超高空からの敵勢力圏奥深くにある重要施設に対する無差別爆撃を主任務としている。したがってこの爆撃機を護衛可能な戦闘機はグラ・バルカス帝国にはない。
理論上、バルチスタ沖大海戦で存在が明らかになった空中戦艦パル・キマイラアトラタテス砲の射程外から爆撃できるため、対抗兵器として活用する事も考えられている。*2

グラ・バルカス帝国の技術力では実用化が困難なはずの超技術がふんだんに使われている事もあり、財務担当大臣が頭を抱える程の開発費がかけられている*3

(史実)同クラス爆撃機と比較

機体名(メーカー名略) B-29A 富嶽 グティマウン B-36B B-36D
出典 史実 史実(計画のみ) 日本国召喚 史実 史実
全長 30.18m 46.00m 46.00m 49.40m
全幅 43.04m 63.00m 63.00m 70.00m
動力 R-3350×4 ハ54×6 6,000馬力級×6 R-4360×6 R-4360×6
J47-GE×2
実用上昇限度 12,344m 15,000m+ 15,000m+ 13,300m 13,500m
最高速度 575km/h/9,144m 780km/h/10,000m 780km/h/- 626km/h/10,500m 700km/h/10,500m
航続距離 6,380km(標準) 19,400km+ 19,400km 13,145km(標準) 11,627 km(標準)
特記事項等 核運用可 計画値 - 核運用可

冷戦期以降の爆撃機と比較

機体名(メーカー名略) B-52H Tu-95 グティマウン B-1B BP-3C
出典 史実 史実 日本国召喚 史実 日本国召喚
全長 47.55m 49.50m 46.00m 44.81m 35.6m
全幅 56.39m 51.10m 63.00m 41.67m 30.4m
動力 TF33-P-3×8 NK-12MV×4 6,000馬力級×6 F101-GE-102×4 T56-A-14×4
実用上昇限度 14,539m 12,000m 15,000m+ 18,000m 8,600m
最高速度 1,028km/h/6,309m 925km/h 780km/h/- 1,489km/h 761.2km/h
航続距離 16,316km 15,000km 19,400km 12,000 km 6,751km
特記事項等 核運用可 核運用可 - 核運用可 核運用可(原型のP-3Cは可能だった)

本作の読者である飛燕治三郎@吾唯足知氏が空力設計を考慮せずにエンジン出力だけを用いた最高速度の試算では、火星(1,800馬力級)6基で500km/h、ハ43改良型(2,300馬力級)6発で548㎞/h、5,000馬力級6発で700km/hとなっている*4

グラ・バルカス帝国アンタレス型戦闘機は、零戦と比較して防弾装備を追加した分だけ重くなった機体に零戦と同等以上*5の性能を発揮させる事ができるエンジンを開発する技術力があるため、電子機器だけではなくエンジン関連を含めた産業基盤そのものがユグドの他の大国や太平洋戦争中の日本より高いと推測できる。

それよりも本機の最大の考察点は、最大上昇高度と航続距離が現代の戦略爆撃機以上の性能になっている点である。
というのも元ネタの富嶽は試作エンジンすら形になっておらず、50万トン戦艦やラーテといった計画倒れの超兵器と同じ枠の兵器なのである。
特にぶっ飛んでいるのが航続距離で19,400kmという数値は、地球で実用化された爆撃機で最長の航続距離を誇るB-52の16,316kmを大幅に上回っている。
また比較表の通り戦後に実用化されたジェットエンジンを使用しているB-36よりも性能で上回っている。

ただ、ここで要注意なのがB-36。B-36は一般にレシプロ×6+ジェット×2の8発機として知られているが、量産型各機の中で大きく占めるB-36Bはジェットエンジンを搭載していない(ただし、後に大部分がD型に改造される。最大時で85機存在したB-36Dのうち新規製造は26機)。加えて、メーカーのコンベア自身が常にボーイングと競っては飛行性能で完敗という有様で*6*7*8、上記に示した通り本当に5,000hp級エンジンが造れるのであればボーイングならこれぐらいの性能は実現できたかもしれない*9でも中島じゃムリぽ……*10

はっきり言ってしまうと本機を量産するには、コストを度外視したとしても大戦期の日本より高いくらいの技術では作るのは難しい。ターボプロップではない純粋なレシプロで作るとなると最低でも50年代の米ソぐらいの技術力はないと200機も製造するのは困難である。
ただし上記の考察のように最高速度が780km/hまで出るだけの重爆撃機ならグラ・バルカス帝国での技術力で200機用意するのは何とか可能だと思われる。
またグラ・バルカス帝国は、帝国人が日本人と違い微量ながら魔力が存在する上に未だに兵器が旧日本軍にそっくりな理由が開示されないなど、何かと謎が多いので今後の展開次第では、本機の謎が語られる日が来るかもしれない。

作中での活躍...ではなく末路


召喚世界では、その秘匿性と過剰戦力故にほとんど出番がなかった。
しかし、日本本土侵攻作戦時にグラ・バルカス帝国連合艦隊司令長官カイザルからの要請を受けて、東京を爆撃するため200機を超える編隊が帝国本土から出撃する。
うち1機が故障のためレイフォルのルブ基地に引き返す事になるが、「他国の戦闘機はこの高度まで上がれない」と判断してムーの先進技術試験基地近くを通過、防空レーダーシステムと地上設置型ECM装置に支援された震電改試作機に撃墜される。
リーム王国到着後の作戦会議において、「さすがに首都は警戒が強い」との判断から爆撃目標を名古屋に変更。
しかし、超重爆撃連隊203機の出撃は離陸と同時に日本側に探知され、日本海上空に待機していたF-15J改20機に加え、情報を受けてスクランブル発進したF-15J改80機とF-2 50機の迎撃を受け、先行していた陸軍航空隊345機共々全機撃墜されてしまう。

このように帝国の航空戦力の切り札とも言うべき存在であったにも関わらず、何一つ戦果を上げること無く日本ムーの攻撃により一方的に撃墜されて出番終了という、祟り鬼神に次ぐ不遇な扱いで退場となった*11

Q.YOU(グティマウン)は何しに日本へ?
A.全機撃墜されに来た
某大尉「只の案山子(移動標的)ですな」

関連項目
兵器グラ・バルカス帝国アンタレス型艦上戦闘機シリウス型爆撃機リゲル型雷撃機

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過去のコメント
  • B-36にでもなるんじゃないの?3500hp位なら爆弾搭載量も航続距離もクリアできるし - 名無しさん (2020-08-08 23:20:48)
  • 態々B-29クラス作るなら、富嶽じゃなくキ-91作ると思うぞ - 名無しさん (2020-08-12 17:46:28)
  • ストーリー上のIFとして、もしこの超重爆撃連隊が最初に懲罰部隊として日本に向かって出撃していたら、グ帝ももう少し早く「日本は喧嘩売っちゃいけないヤバい国」だと気づいて、海軍がガタガタになるような被害を出さずに済んだのかもしれないねえ…… - 名無しさん (2020-08-17 19:10:01)
  • 編集氏がグティマウンはカットするって言ったらしいけど、話の展開をどうするかの決定権を作者じゃなくて編集が持ってるってこと? - 名無しさん (2020-08-18 11:41:10)
    • 普通は作者、(あまり言いたかないが)編集氏も日本国召喚(=みのろう氏)の看板借りて、GM以上のガバガバ設定(外伝1の戦艦)やらかしてるのに、GMだけ目の敵にして叩いたら、物書きなら誰でも怒るぞ。 - 名無しさん (2020-11-07 06:34:23)
  • やっぱ富嶽は、かの自由博愛連合所属機と同じ役所って事か - 名無しさん (2020-10-23 19:15:29)
  • B-29の速度が648kmになってるけど、多分英語版wikiの575km/hの方が正しいのでは? - 名無しさん (2020-10-25 12:25:37)
    • 日本語wikiは海里とマイルを間違えている様な…。B-36の航続距離も桁間違えてない?B型のあそこだけ文字通り桁違いに長い。 - 名無しさん (2020-10-25 21:00:19)
    • B-17のスピードを530km辺りと書かれてるし、日本語wikiの米軍スペックは最近間違えてると思う - 名無しさん (2020-10-25 21:22:04)
  • こんな化け物持っといて初手オタハイト空襲やらなかった辺り、戦略爆撃の考えはなかったのかな?前にも似た様なこと話してたの見たけど。 - 名無しさん (2020-10-25 15:21:15)
    • 秘匿して最終兵器扱いなのにムー如きの雑魚国家に使うか普通? - 名無しさん (2020-10-29 23:09:31)
    • 6巻で石油資源が枯渇気味とあったので、おいそれと動かせなかったが正解かも知れない……リーム備蓄分は、密輸の前科がある石油元売りが日本に居るし…… - 名無しさん (2020-11-15 09:34:30)
  • 転移してから設計されたのならどこかの遺跡を掘り当てたって設定で押し通せると思うんだが。エンジンも一緒に発掘されたことにすれば完璧だ。 - 名無しさん (2020-10-31 18:28:48)
    • 残念ながらGMはユグドで作られたのだ… - 名無しさん (2020-10-31 18:43:07)
  • 「ブログだとグディマウンという名前だが、小説家になろう版だとグティーマウン」ってありますけどブログ版も表記揺れしてません? - 名無しさん (2020-12-14 20:19:44)
    • 続き:第99話超空の要塞P5まではグティマウンですけど、それ以降はほとんど全てグティーマウン表記です - 名無しさん (2020-12-14 20:20:21)
  • スペックとかうんぬんより、星座や星の名前で統一してたグ帝兵器でこいつだけ「グ帝マウンテン」ってダジャレみたいな名前なのが嫌い。単行本でそこだけ直されれば何の文句もないなあ - 名無しさん (2021-01-09 01:20:45)
    • グ帝の命名則から外れ、自国の名を冠した秘蔵兵器と考えることが出来て、自分は非常に気に入っているのだが - 名無しさん (2021-05-22 22:19:46)
  • 商業仮想戦記だと幻の超重爆撃機「富嶽」ってまんまなタイトルの作品があったような。 - 名無しさん (2021-03-14 22:43:40)
  • 旧日本軍富嶽機燃料とても大食い - 名無しさん (2021-03-20 21:08:49)
  • 大東亜戦争時に亡くなった日本人技術者がユグドに転生して作られたとしか思えない - 名無しさん (2021-05-12 21:13:13)
    • 定番ものとは言え、グ帝の兵器群が瓜二つ過ぎるから本編以前に何らかの形で関わってるかも - 名無しさん (2021-12-20 17:30:22)
    • もし転生者が2000年代からだったら次ははたかぜ型護衛艦とか第一世代のジェット戦闘機出てきたりするかもね - 名無しさん (2022-01-27 19:27:38)
    • PW中の技術者なら陸海空全部かつマイナー兵器まで愚帝に揃ってるのが不思議だし現代から転生した技術にも詳しい日本軍オタではないか - 名無しさん (2022-05-28 15:24:10)
  • グティマウン→グテイマウン→グラ・バガルスマウンテン - 名無しさん (2022-02-07 15:22:02)
    • 富岳→富士の山   グティーマウン→グラ・バガルス帝国の山 - 名無しさん (2022-02-07 15:23:18)
  • こいつを転移前に作っているのに戦闘機は零戦という謎 - 名無しさん (2022-05-04 11:39:53)
    • そのせいでこいつを護衛(同伴)できる戦闘機がグ帝にすらないという……。だからこそムー上空で迎撃機が来て驚いたのかもしれないが - 名無しさん (2022-05-12 16:32:43)
      • スピード的に一応キ87や20試甲戦、あとは陣風が(GM側が)巡航速度で飛行すればなんとか護衛できそう 高度も愚帝なら15000mまで上がれるような過給器を作れるそうだし - 名無しさん (2022-05-28 15:10:19)
        • もちろん航続距離はほぼ無視で、それでもコイツらの航続距離は長い方だけど - 名無しさん (2022-05-28 15:13:54)
  • 何度見ても航続距離がイカれてんな。 - 名無しさん (2022-05-27 22:03:21)
    • レシプロでこの大出力とtu-95以上の航続距離を両立させるって現代の技術でも作れないのでは? - 名無しさん (2022-05-27 22:21:25)
  • グ帝の兵器が大日本帝国のものに酷似している理由が、完全にきちんと説明されたら、それで面白いのかな? ある程度の謎にしておいて、理由を匂わせる位でいいんじゃないか? - 名無しさん (2022-05-28 15:30:27)
  • 書籍でカットされたみたいだけどコミックの方は是非設定弄ってでも登場して欲しい だってカッコいいもの。 - 名無しさん (2022-06-02 18:03:09)
    • デザイン魔改造されそう - 名無しさん (2022-10-27 17:05:54)
  • こいつでパル・キマイラを撃沈するっていう二次創作がハーメルンにあったな - フランカー8081 (2023-01-08 01:06:38)
  • 現代の爆撃機と比較すると如何に富嶽の計画値が絵空事だったか分かる。teka - 名無しさん (2024-12-12 00:11:16)

ここを編集
〔最終更新日:2025年01月27日〕

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最終更新:2025年01月27日 11:13

*1 本文中では「その歴史は新しく、この世界に転移する直前に発足した」と記されているが、部隊員が「ユグドにおいても無敵」とまるで転移前に実戦投入されていたかのような台詞を述べており、いつ創設されたのかハッキリしない。爆撃連隊自体は転移直前に発足したが前身部隊が実戦投入されていた、転移直前に創設と同時に実戦投入された、という可能性もあるが果たして。

*2 そんな非効率な攻撃方法より大口径の機関砲を搭載して攻撃した方が効率いいような...

*3 本機の登場当時に編集者を務めていた髙松氏は、グラ・バルカス帝国の工業力に対して性能過剰なので、書籍版では何だかの変更を加える事も考慮する趣旨の発言をしている

*4 フィクションにおける先行事例では、商業仮想戦記である『巡洋戦艦「浅間」』(横山信義著)において、同盟国のイギリスやナチス体制ではないドイツとお互いに得意とする分野を分担する事で富嶽を実用化している。なろう系仮想戦記の『航空エンジニアのやり直し』(御代出実葉著)では、転生者によって開発エンジンの絞り込みによる信頼性向上、1940年代の日本で再現可能な21世紀レベルの流体力学とガソリンの高オクタン価化によるエンジン出力向上、物資輸送用の余剰空間と尾部以外の銃座を廃止等のジェット世代の爆撃機の設計思想を取り入れることで、史実から250km/h近い高速化と倍近い航続距離となり、武人の蛮用に耐えられる信頼性を確保した深山が登場する

*5 航続距離は零戦以上

*6 B-17『フライングフォートレス』とB-24『リベレーター』では、レシプロ双発戦闘機と格闘できてしまうほどの機動性を誇ったB-17(E型以降)に対し、B-24は防弾・運動性の点ではB-17に劣っていた。ただ、搭載力と航続距離が優位だったため、制空権が自軍優位に移るに連れて、ボーイングのリソースがB-29にシフトしたこともあってB-24が主役となったが、搭乗員にしてみればたまったものではなく欧州でも太平洋でも「未亡人製造機」の1機とされてしまっている。

*7 B-29『スーパーフォートレス』の競作機であるB-32『ドミネーター』に至っては、与圧キャビンに欠陥があり気密性を保てない状態で、解決の目処は遂に立たず、大戦末期にコンベアの顔を立てる形で制式化され、ポツダム宣言受諾表明後(日本では勘違いされているが、この時点では日本は正式に降伏していない)の8月18日に関東偵察をやって日本機17機(紫電改3機、零戦14機。あの坂井三郎も参加していたという)から迎撃を受け損傷、出発地の沖縄に帰りつけたものの、この戦争における米軍最後の戦死者を出し、長く米陸軍航空隊の黒歴史とされていた。当然、日本側はB-29だと思っていた。

*8 この体たらくの結果、戦後早くも1953年にコンベアはジェネラル・ダイナミクスに身売り。しかしその後もボーイングやマグドネル・ダグラスに対して技術的にもセールス的にも一度も優位に立てず、実質的には1965年にクローズ。その後、権利をカナダ政府に売り飛ばした。この後、カナデアを経て現在のボンバルディアになるが、本格的な活動はその数年後、川西→新明和の師匠筋であるショート・ブラザーズが合流してから。以降、軽~中型機で実績は出しているものの、大型機とは縁のない会社となっている。

*9 とは言えボーイングもこの後B-47『ストラトジェット』で割りかしやらかしていたりするが

*10 中島飛行機は当時の日本においてもどちらかと言うと小型機メーカーと認識されていて、陸軍の虻蜂取らずな要求もあったとは言えキ-49 一〇〇式重爆撃機『呑龍』は、性能に不満足があり、本来後継になるはずだった三菱キ-21 九七式重爆撃機を置き換えるには至らず、三菱キ-67 四式重爆撃機『飛龍』を待たなければならなかった(逆に三菱は九六艦戦までは攻撃機・多発機メーカーだと思われていた)。だが、海軍は中島がダグラス機のライセンス生産をやっていたことや、創始者の中島知久平が海軍技術士官出身だったこともあり、中島に大型機を任せては失敗し、三菱に中型機をやらせては要求に対してブツクサ言われる、を繰り返した。もっとも、中島知久平も海軍の頭の悪さには辟易したようで、戦中には陸軍閥になったという話もあるが。

*11 祟り鬼神の方が600体と数が多いにも関わらず、戦う前に自衛隊の空爆により全て瞬殺されたので、本機は不遇の順位でいえば2位が妥当か