バグスターは本作の怪人の呼称。 某亀忍者の悪役ではない
ゲームメーカー「幻夢コーポレーション」が開発していたゲームのプログラムから生まれたコンピューターウイルスが、
諸事情で人間にも感染する能力を獲得し、病状の進行に伴い感染者の消滅と引き換えに生命体として実体化した存在である。
基本的に外見や能力は作中に実在するゲームの敵キャラクターやNPCが元になっており、
ゲーム好きが見れば元となったキャラは一目瞭然のようである。
バグスターは「ゲームキャラとして生まれ、ルールに則った上でゲームキャラとしての役割を全うする」という死生観を持っており、
そのためバトル系のゲームを媒体として生まれた個体は
「プレイヤー(人間)に襲い掛かるエネミーや対戦相手としての役割」を果たそうとするため、人類に敵意を抱き滅ぼすべく行動する。
( 平和的な内容のゲームから生まれたバグスターの中には自発的に敵意を抱かない個体もいるが、後天的に改造されるなどして敵対する場合もある)
感染者のストレスにより症状が進行し、感染者を消滅させれば人間の姿(感染者とは容姿は異なる)を獲得し、宿主なしで生きられる完全体となる。
特に厄介なのが不死性であり、完全体になった個体は倒されてもバックアップされているデータが消滅するか、
特殊な倒され方をしない限り何度でも復活する。それ故、「命」への価値観が人間のそれとはとあまりにかけ離れている。
また完全体になれず倒されても別の患者が同じウイルスに感染すれば別個体が再出現するが、
その際にレベルアップ(=ウイルスとしての進化)する性質があり、性質の変異が非常に速い。
始めは感染者に分離手術をしなければ実体化しなかったものが、すぐに自発的に実体化するようになり、
さらに感染者の肉体を乗っ取って活動したり肉体を取り込んだまま実体化できるようになるなど、より感染者にストレスを与えやすい方向へ変質している。
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本編ネタバレ |
劇中終盤ではこのバグスターのバックアップで復活する性質を応用する事で、
データ化した人間を 人の姿をしたバグスターとして事実上蘇生できる技術が確立されている。
ただしこれは「バグスター人間は本当に消滅した人本人なのか( 同じ記憶を持っただけの別個体ではないか)?」というスワンプマン問題を孕んでおり、
作中でも一度ゲーム病で消滅しバグスターとなった者は生きているのか否かと議論されている。
他にも、プログラミングに長けた人間であればバグスターウイルスを使い任意のデータ生命体を生み出す事が可能なため、
劇場版では パックマンのバグスターを生み出した敵が存在する他、
『平成ジェネレーションズ FINAL』ではバグスターウイルスと『ビルド』のネビュラガスを素材に作られた生体兵器「カイザーシステム」が登場するなど、「兵器」としての価値も備えている。
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ただ、パラドという個体は少々特殊であり、
世界最初の感染者である 主人公の宝生永夢の「ゲームの遊び相手が欲しい」という願望から生まれたバグスターである。 *1
このため、「ゲームで遊ぶ」という本能に忠実であり、
彼にとっては人類と敵対するのも、ゲームの中でプレイヤーとエネミーが戦う事の延長戦でしかない。
人間はもちろん、他のバグスターもゲームで言う「他プレイヤー」のように見なしており、場合によっては自ら手にかける事すらあった。
ただし、これらの行いはバグスターの不死性を知っていた事や、
「ゲームのルールに従い、競い合って勝敗を決めるのがバグスターの生き様」という自らの矜持のためであり、
(元となったゲームのルール上)倒す必要の無かったバガモンバグスターを倒したゲンムに対し激怒しながら詰め寄る事もあった。
また、肉体的には分離しているが、現在もウイルスとして永夢に感染したまま繋がりを保った状態で完治もしておらず、
人間の姿をしてはいるが完全体ではない。
そのため倒されれば個体としては復活はできず消滅してしまうものと思われる。
そのため、仮面ライダー達とは中盤まで敵対していたが、バグスターを完全消滅させる事が可能な仮面ライダークロノスが現れた事で状況は一変する。
クロノスにより仲間であるラヴリカバグスターの「死」、即ち コンティニューできないという命の現実を見せられ、
さらにムテキゲーマーの力を得た永夢に
主人公とは思えない猛攻で本気で殺されかけた
事で、死の 恐怖を知る。
自分が本当にこの世から いなくなる思いを味わった事で、ゲーム感覚で命を奪っていた自分の行動がいかに非道であったかをようやく悟り、
永夢に諭されて生命を守るために共にクロノスに立ち向かう事を誓った。
しかし同時に生命の重みを悟った事で、大勢の命を奪った罪悪感のため贖罪を求めるようになる。
クロノスが破れかぶれでゲムデウスと融合した終盤の決戦で、永夢の攻撃でクロノスとゲムデウスが分離した際に、
ゲムデウスワクチンを備えていたパラドは、自らへのダメージも顧みずワクチンを流し続けゲムデウスを道連れにするが、同時に自分も粒子化し、
永夢に出会えた事への感謝を呟きながら完全消滅した。
しかし、上述の一粒の粒子で再び永夢に感染していた事が判明し、後日談において再び永夢の体内から実体化し、再会を果たす事になる。
その後はCRにてゲーム病患者の治療に協力、2017年公開の映画『平成ジェネレーションズFINAL』などでの戦いを経て、
Vシネマ向け三部作『仮面ライダーエグゼイド トリロジー アナザー・エンディング』では主人公の一人に抜擢。
命を守る為に戦う、一人の仮面ライダーとしての成長と活躍が描かれている。
このように、ライダーでも稀な敵勢力のリーダー格でありながら、最終的に主人公と和解して味方となったキャラである。
当初から仲間入りは予想されてはいたが、仮面ライダークロニクル編に入って多数の一般人を手にかけるようになった時点で、
もはや簡単に改心させたり許してはいけない相手だと思われた。
しかし、永夢のあまりに容赦のない躾を受け、泣きながら土下座して謝罪するパラドの哀れな姿を目にした視聴者は誰も異議を差し挟む事はできなかった。
他のバグスターと異なり怪人態は見せたことがなかったが(仮面ライダーパラドクスはあくまで外付け)、
バグスターとして実体化した直後から人間の姿をしていたことと、
仮面ライダー図鑑の財前の項目で「パラドバグスターを分離させることに成功」と解説されていることから、
人の姿がパラドバグスターとしての元々の姿らしい。
ちなみに永夢と並ぶと永夢がやや小柄に見えるが、実はパラド役の甲斐翔真氏は身長185cmと非常に長身であり、しかも 撮影中も伸び続けていた。
そのため身長178cmで本来なら十分長身と言える永夢役の飯島寛騎氏が甲斐氏と比較すると小柄に見えてしまう、というのが真相。
両者共に童顔気味な事などもこのギャップに拍車をかけており、周囲の人物との身長差に注目して見ると新たな発見がある……かもしれない。
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