『黄金夢想曲』(おうごんむそうきょく、英題:Umineko: Golden Fantasia)は、
同人サークル「07th Expansion」が製作及び販売した同人ゲームであり、対戦格闘アクションゲーム。
無印『黄金夢想曲』は2010年12月のコミックマーケット79にてPC用の同人ソフトとして頒布され、
翌年の2011年10月、アルケミストを販売元としてバージョンアップ版の『黄金夢想曲X』がXbox 360で発売。
Xbox Liveでは使用できるキャラクターの人数を絞った体験版を配信していたが、現在はプレイ不可能。
同年のコミックマーケット81では無印版のアペンドディスクであり完全版の『黄金夢想曲†CROSS』が頒布された。
それから6年ほど経った2017年、MangaGamerを販売元とし『CROSS』がSteamで発売された。
また2021年、PS4及び
Nintendo Switchで発売された『うみねこのなく頃に咲 ~猫箱と夢想の交響曲~』には、
移植された『CROSS』を特典としてダウンロードできるプロダクトコードが同梱され、最新ハードでも遊べるようになった。
概要
ネットを中心として人気を博したサウンドノベルゲーム『ひぐらしのなく頃に』等を世に送り出したサークル「07th Expansion」による、
同サークルのサウンドノベル『うみねこのなく頃に』の世界観を基にしたタッグ式2D対戦格闘アクション。
企画原案は竜騎士07氏。開発元は現時点では非公開。
『
MVC』『
NBC』『
レイドラ』『BBTAG』等に代表される2on2のスイッチタッグ形式を採用しており、
予め二人のキャラクターを選択し、試合中に「タッチ」でキャラを交代させつつ戦う。
原作で戦人や魔女達が繰り広げた推理・魔法バトルを今度はプレイヤーの手で構築するという触れ込みで、
各キャラの個性が大きく反映された「アビリティ」や「メタ世界」などの特徴的なシステムが存在する。
元は同人として発売されたゲームながらシステム・演出・声優のどれをとっても豪華であり、
ほぼ商業レベルの完成度と言っても過言ではない。
基本的には『うみねこ』本編に繋がっているような重要なストーリーは存在しないのだが、
特定のキャラクターの組み合わせでアーケードモードに挑戦すると
ストーリーモードが開始される。
本編のストーリーをなぞるようなシナリオがあれば、ギャグ多めのIFルートを描いた書き下ろしシナリオも存在。
プロローグ
魔女伝説に包まれた孤島「六軒島」 。
この島で繰り返される1986年10月4日、5日。
今回の物語はいつもの「うみねこ」とは少し違ったゲームになっているようだ。
「今回ばかりはお前と手を組んでやるぜ……!」
「強がりを言いおって!素直に妾の力を貸して欲しいと懇願すればいいものを!」
魔女は貴方と共に戦うのを心より楽しみにしております。
貴方の手で、新たな物語を紡いで下さい。
ようこそ、黄金夢想曲の世界へ!
『X』ではかねてより要望の多かったキャラクター達が参戦し、それに伴いシナリオ・CGが追加。
『CROSS』は『X』での追加要素が含まれている他、キャラ・新要素の追加及びバランス調整が施されている。
参戦キャラクター
主なゲームシステム
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ゲージ類 |
ゲージ類
- HPゲージ
- お馴染みライフバー。「タッグチームは運命共同体」との事で、HPは二人で共有する。
- 『CROSS』からはダメージを受けた際にゲージの一部が黒く表示されるようになり、
- この時に後述のノーマルタッチをすると体力の回復ができる。いわばヴァイタルソース。
- ブレイクゲージ
- 相手の攻撃をガードすると増加するゲージ。最大まで溜まるとガードブレイクを起こしてしまう。
- そうなると当然隙だらけになり、下記のタッチゲージも消費してしまう。
- パートナーと交代する事でゲージを減少させる事ができるため、潮時を見極めて交代する事を心掛けるべし。
- SPゲージ
- 主にSP必殺技やメタ宣言を発動するためのパワーゲージ。最大5まで溜まる。
- 操作しているキャラが持つものと控えのパートナーキャラが持つものの二種類がある。
- 戦えば戦うほど増加していくのは他作品のパワーゲージと同じではあるが、
- その場合増えるのは「パートナーキャラの」SPゲージであり、「操作キャラの」SPゲージは全く増えないという事に注意。
- つまりひたすら一人だけで戦っていては自分のSPゲージは溜まらずジリ貧に陥ってしまい、
- そのままだとメタ宣言もメタ返しも出来なくなるため、小まめな交代は大切である。
- メタゲージ
- メタ宣言が可能かどうかを確認するためのゲージ。
- 時間経過で増加していき、半分以上になると赤く点灯しメタ宣言が可能となる。
- なおメタ世界を展開している間は残り時間を表示するようになる。
- タッチゲージ
- 時間経過で増加していき、最大まで溜まるとパートナーと交代を行える。
- タッチ及びダッシュキャンセルを行うか、ガードブレイクを起こすと消費される。
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基本操作(右向き基準) |
基本操作(右向き基準)
弱攻撃、中攻撃、強攻撃、タッチ、アピール、スタートの6ボタンが存在する。
投げ、SP必殺技、メタ宣言はゲームパッドの設定で1ボタン化が可能。
- ジャンプ
- ↓を押してから↑を素早く押す事で通常のジャンプよりも高いハイジャンプとなる。
- またダッシュ中にジャンプをしてもハイジャンプが発動する。
- ダッシュ
- 「→→」で前方に素早く移動、「←←」で後方にバックステップ。
- 立ち強攻撃がヒットした瞬間にダッシュをするとダッシュキャンセルとなり、
- タッチゲージを消費して強攻撃をキャンセルする事ができる。
- ただし一部の通常技はキャンセル不可。
- ガード
- 相手の攻撃中に←を押す事でガードできる。
- ガードする度に上記のブレイクゲージが溜まっていくため油断は禁物。
- 『CROSS』では空中技に対応するための空中ガードが実装された。ただし地上技や必殺技は防げない。
- 投げ
- 相手の近くで中+強ボタン(投げボタン)を押すと投げ攻撃を出せる。
- また相手の投げを食らった瞬間にタイミング良くこちらも投げボタンを押す事で投げ弾きとなり、
- 投げ攻撃を回避する事ができる。
- ちなみに、このゲームにおける投げ技の発生はたった1Fである。
- アピール
- 試合中にアピールボタンを押すと、キャラ特有のアピール行動を取る。
- いわば挑発行為のようなもの。行動中はHPが僅かに回復する。
- 受身
- 相手に吹き飛ばされた際にタイミングよく攻撃ボタンを押す事で受け身を取る。
- ただし一部の技は受け身不可。
- カウンターヒット
- 相手の攻撃動作中に攻撃を当てると、通常より多いダメージを与える。
- 成功時は赤いエフェクトが表示される。
- タッチ
- 試合中にタッチボタンを押すと、タッチゲージを消費し控えのパートナーキャラと交代する。
- 詳しくは「タッチシステム」で。
- SP必殺技
- 必殺技を弱+中ボタン(SP必殺技ボタン)で発動するとSPゲージを消費し強力な必殺技を出せる。
- いわば超必殺技。
- メタ宣言
- 弱+中+強ボタン(メタ世界ボタン)を押すとメタ世界を展開する。
- 詳しくは「メタ世界」で。
- メタ必殺技(→←↙↓↘→+強)
- 自らのメタ世界が発動している間に出せる必殺技。
- 隙は大きめだが、範囲が広く威力も高いのでゴリ押し向きな技が多い。
- ダウン攻撃
- 『CROSS』で実装された、ダウンした相手にできる追い打ち攻撃。
- 相手にSPゲージを与えないという仕様がある。
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アビリティシステム |
アビリティシステム
各キャラクターには固有の「アビリティ」が設定されており、
後述のノーマルタッチ、アサルトタッチ、メタ展開を行う事で一定時間付与される。
ノーマルタッチ及びアサルトタッチは直前まで操作していたキャラのアビリティをパートナーへ付与し、
メタ展開発動時は操作キャラへ二人のアビリティが同時に付与される。
アビリティの持続する時間はキャラクターによって異なる。
なお本作のキャラランクはアビリティについて考慮されていない暫定的なものであり、
選択するパートナーのアビリティによっては 大きく強さが変化する場合もある。
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タッチシステム |
タッチシステム
「タッチ」を行う事でパートナーキャラと交代できるのだが、その場の状況やレバーの入力によって種類が変化する。
- ノーマルタッチ
- 通常時にボタンを押すとこのタッチになる。
- 若干の隙があるが、退場時はパートナーにアビリティを付与する事ができる。
- アタックタッチ
- 攻撃時にボタンを押すとコンボを継続したまま交代する。
- この時登場するパートナーの攻撃は中段判定を持つ。
- ガードタッチ
- パートナーのSPゲージを1消費。
- ガード時にボタンを押すと攻撃中の相手を仰け反らせつつ交代する。
- 飛び道具とSP必殺技をガードしている際は使用不可。
- 『CROSS』では相手の隙が減少したのだが、その代わりレバーを前方に倒す事で、
- 通常より大きく仰け反らせる「ガードタッチフォワード」が実装された。
- ダメージタッチ
- パートナーのSPゲージを2消費。
- 被ダメージ時にボタンを押すと相手をバリア(演出的にはサイクバーストに近い)で弾き飛ばしつつ交代する。
- このバリアは威力はないがガード可能であり、相手に反撃のチャンスを与えてしまう可能性があるため注意。
- アサルトタッチ(↓↘→+タッチ)
- パートナーのSPゲージを2消費。
- 全身無敵かつ攻撃判定のあるバリアを纏いつつ相手に突進し、ぶっ飛ばしながら交代する。
- 『CROSS』では退場時にパートナーにアビリティが付与される。
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メタ世界 |
メタ世界
『うみねこ』の多層的な世界観を格ゲーに落とし込んだシステムであり、本作を象徴する特殊システム。
- メタ宣言
- 弱+中+強ボタン(メタ世界ボタン)を同時に押すと操作キャラのSPゲージを1消費し、
- 直前の行動のキャンセル・暗転が起こり一定時間、自分だけの「メタ世界」を展開する事ができる。
- メタ世界発動中はステージ背景が禍々しいものへと変化し、
- メタ必殺技が無コストで撃ち放題になる
- 操作キャラとパートナーキャラのアビリティが同時に付与される
- 相手に4Fほどの隙ができる
- などの恩恵を得られる。
- メタ返し
- 相手がメタ宣言を発動した瞬間、重ねてメタ世界ボタンを押すとSPゲージを2消費し、相手のメタ宣言を妨害できる。
- 妨害に成功した場合は相手より21Fほど先に動け、また失敗したとしてもメタ世界の発動時間を25%減少させる効果がある。
- メタ再展開
- 相手のメタ返しにさらに重ねてボタンを押すとSPゲージを2消費し、直ちにメタ展開の再宣言ができる。
- いわばメタ返し返し。
- メタ再反論
- 相手のメタ再展開にさらにさらに重ねてボタンを押すとSPゲージを2消費し、メタ宣言を妨害できる。
- メタ返し返し返し。
- 失敗したとしてもメタ世界の発動時間を50%減少させる効果がある。
- メタ強制展開
- 相手のメタ再反論にさらにさらにさらに重ねてボタンを押すとSPゲージを2消費し、強制的にメタ展開ができる。
- メタ返し返し返し返し。
メタ世界は他のシステムに比べても格段に強く、一度発動してしまえばこちらのものであるため、
上級者の間でも(相手よりゲージ量が勝っていれば) とにかく擦るのが最適解と言われている。
そろそろメタがゲシュタルト崩壊してきた頃合いだろうか
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MUGENにおける黄金夢想曲
無印から『CROSS』までのキャラクター全19人が製作されている。
原作はキャラを二人ずつ選び、交代しつつ闘うタッグ形式の格ゲーであるが、やはりこのシステムをMUGEN上で完全再現するのは難しい。
そのため
原作再現志向で製作するとなると、
- 他タッグゲーキャラのようにタッチシステムそのものを撤廃してしまう
- パートナーを固定とする事で2人を1キャラ分の容量に詰め込んで再現する
- パートナーを交代先ではなくストライカーとして召喚できるようにする
(交代出来ないためパートナーキャラだけでなく操作キャラのSPゲージも溜まるようになる)
という三つのパターンに分けられる。
最後のパターンの場合は用意するスプライトの必要量も減るため、原作には参戦しなかったキャラがパートナーとして使える事もある。
……ただし、MUGENデフォルトのタッグ機能を利用するならばこの限りではない。
本作の最大の特徴たるメタ宣言システムについては、
特にそれといった対応作業をしなくとも自動的にメタ返し&メタ再反論が可能になっている事が多い。
ただしその際は
カットインや
ボイスが再生されず、またゲージ消費量も原作と異なる。
対応させたいならば縁寿・譲治・ウィラードの製作者であるゆ~とはる氏がサイトで対応方法を公開しているので、そこを参照する事。
なお、ゆ~とはる氏以外の各キャラは別途ステートを追記する必要があるため、それぞれのReadmeには目を通しておこう。
『うみねこ』はニコニコ動画においても高い人気を持つ作品(流石に同サークルの『ひぐらし』よりも知名度は劣るが……)だが、
現時点で製作されている『黄金夢想曲』キャラは半数以上が
MUGEN1.0以降専用であるため、
縁寿やヱリカなどWinMUGENで使用できるキャラ以外はニコMUGENの大会動画ではあまり見かける機会が無いかもしれない。
しかし最近は新MUGENを採用する大会も増加しつつあるため、他のキャラ達の活躍を見る機会も増えるだろう。
ちなみにMUGENにおける『うみねこ』キャラとしては、
無印が発売される以前からbaggy氏による
黄昏風手描きドットのベアトリーチェ・戦人・ルシファーなどが製作されていた。
またベルンカステルも『CROSS』へ参戦するより前に製作されている。
最終更新:2023年01月26日 19:42