何らかの行動を取り消す、または中断する事。
格闘ゲームでは動作を中断して強制的に次の動作に移行するテクニックを指し、
特に
技の硬直中に次の技を成立させる事で、連続技を組むのに用いる。
元々は『
ストリートファイターII』の開発段階で発見されたバグだったが、
「面白いから」という理由で仕様として導入されたと言われている。
『ストII』以降の殆どの2D格闘ゲームで採用されており、今や2D格闘の基本テクニックと言っても過言ではない。
ただし何でもかんでもいつでもキャンセルできる訳ではなく、キャンセル可能な動作やタイミング、
またキャンセルして行える動作が制限されている事が殆ど。
キャンセルが掛かる動作やタイミングの事を「キャンセルポイント」、
キャンセルを受け付ける時間の長さの事を「キャンセル受け付け時間」または「キャンセル猶予」などと呼ぶ。
キャンセルによる連続技を成立させるには、短時間の内に正確な
コマンド入力を必要とする事が多いため、
受け付け時間が長ければ操作が簡単、短ければ操作がシビアになる傾向にあり、
先行入力が可能なゲームではキャンセルミスが
暴発に繋がってしまう事もある。
当然ながらキャンセルすれば必ず連続技になる訳ではなく、相手の仰け反りが終了するまでに次の技が発生する事と、
次の技の攻撃判定が相手に触れる事が連続技成立の条件となる。
キャンセルポイントは攻撃動作以外の硬直時間に設定されている事もあり、この場合は主に隙を消すのに利用する
(着地硬直キャンセル、ダッシュ硬直キャンセルなど)。
「
ガードキャンセル」の項も参照されたし。
キャンセルのルール
キャンセルが掛かる技の制限はゲームやキャラによって異なるが、
多くの場合は「通常技→必殺技」のように、下位の技から上位の技への一方通行という基本ルールが存在する。
例外はあるが、技の優先順位を大まかに説明すると以下のようになる。
右から左へのキャンセルが掛かるケースは非常に稀。必殺技で必殺技をキャンセルする
事例も存在する。
これは上位の技から下位の技に繋ぎ、さらに上位の技に繋ぐといった単純な
ループ、
永久を防ぐためである。
特に通常技や特殊技から必殺技に繋ぐ「必殺技キャンセル」と、通常技や特殊技から超必殺技に繋ぐ「超必殺技キャンセル」が基本連続技となる事が多い。
また同じ技にキャンセルが掛かる場合もあり、小足連打などの連打キャンセルも代表的なキャンセルである。
『
THE KING OF FIGHTERS』などでは通常技を特殊技でキャンセルが可能で、
キャンセルで出した場合のみ性能が変化する特殊技が多い
(
中段やガード不能、吹っ飛びといった属性がなくなる代わりに、必殺技にキャンセルが掛かるようになるなど)。
逆にキャンセルを使わず、技の有利
フレームを利用して繋ぐ事を「ノーキャンセル」「
目押し」などと呼ぶ。
連打キャンセル(連キャン)
ボタン連打で同じ技にキャンセルする事。
厳密には「ヒット、ガードを問わず特定のタイミングでのみキャンセルが掛かる」ものと、
「ヒットまたはガードされた時のみ硬直にキャンセルが掛かる」ものがある。
『ストリートファイターII』から存在し、後続の殆どの格闘ゲームで搭載されている。
適当に連打するだけでキャンセルが掛かる猶予の長いものが多いが、
中には『
ストIII』の
いぶきのように
目押しに近いシビアなタイミングでしかキャンセルが掛からないものや、
『
GUILTY GEAR』シリーズのように小技以外に特定タイミングでのキャンセルが設定されている物もある。
『ストリートファイターII』に存在するテクニック。「同時押しアッパー」「同時押しスペシャル」とも。
連打キャンセルと同時押し優先順位の複合。
「連キャン可能技→立ち屈みを切り替え→連キャン可能技と他ボタン同時押し」とする事で、
チェーンコンボのように通常技間のキャンセルを行う(「小足>弱K+強Pで小足>アッパー」など)。
『ストII』では他にも、連キャン後は原則必殺技キャンセル不可、
連キャンでジャンプキャンセルが可能、と特殊な性質が多い。
また、『
ヴァンパイアセイヴァー』では連キャンすると仰け反り時間が3F伸びるなんて性質も。
連打キャンセルと空振りキャンセルの複合で、「小足>連キャン小足>空キャン必殺技」といった具合に、
本来必殺技キャンセルが掛からない技から擬似的に必殺技キャンセルを実現する。
『
餓狼 MARK OF THE WOLVES』の
マルコなどは小足にキャンセルが掛からないため必須技術となっている。
また、逆に「キャンセルで出す事ができない必殺技」を通常技からスムーズに出す場合に使われる事もある。
スーパーキャンセル(スパキャン、SC)
本来キャンセルを掛ける事ができない状態でキャンセルを掛けられるシステム。
とりわけ
必殺技から
超必殺技以上の技へのキャンセルを指す。
3D格闘ゲームの『ストリートファイターEX』シリーズで初めてシステムとして導入され、
以降の2D格闘ゲームにも数多く輸入されている。
大ダメージコンボを組む事ができるのはもちろん、派手な見た目や爽快感といった演出面でも重宝されるが、
強力故に対応する技が限定されている、
ゲージ消費などの条件が設定されている、
ダメージ
補正が大きく掛かるなどのデメリットが設定されている事も多い。
SCで出す事により、性能が変化する超必殺技もある(発生が早くなる、
当て身技に攻撃判定が出るなど)。
例として『ストリートファイターEX』のスーパーキャンセルは、ヒットorガードさせれば可能で所謂空キャンは不可。
波動拳→真空波動拳の場合、波動拳がヒットorガードされた時点で初めてSCが可能である。
スーパーコンボ→スーパーコンボのSCも可能。ただし真空波動拳→真空波動拳など同一のものは不可。
また、SCをすると以降の技には削り能力が一切無くなるという制限がある。
反確状況でもSCを使う事で逆に主導権を取られない戦術も可能。
特殊なキャンセル
攻撃動作以外でキャンセルを掛けるなど、特別なキャンセルシステムを組み込んでいる作品も見られる。
スーパーキャンセル同様、何らかのコストが設定されているも場合もある。
発動から一定時間、本来キャンセルが掛からない技にキャンセルが掛かったり、
自動的に前進する事などにより、通常では組む事ができないコンボを可能にするシステム。
『
ジョジョの奇妙な冒険』の「
タンデムアタック」や『
KOF2002UM』の「どこでもキャンセル」、
『月華の剣士』の「乱舞奥義」(一幕)などもこれの一種。
詳しくは
こちらを参照。
単に「ジャンプキャンセル」と言った場合、以下の2種類の意味がある。
また、ハイジャンプで行う場合は「ハイジャンプキャンセル(HJC)」と言う。
- 主に通常技の硬直をジャンプでキャンセルするシステム。
コンボはもちろん、低空ダッシュなどと組み合わせて固めを継続するのにも使える。
所謂コンボゲーによく見られるが、意外にも初出は初代『ワールドヒーローズ』らしい。
斬鉄の「流影刃」のように、少数ながら必殺技で可能なものもある。
- ジャンプ移行モーションを必殺技や超必殺技でキャンセルするテクニック。
一見無意味に思えるが、この操作により技に空中判定ないし投げに対する無敵が付加されたり、
暗転返しの要領で反撃に使用できる場合がある。
手元が忙しくなりそうだが、操作自体は昇りツバメのように、
コマンド入力の最後にレバーを上方向に入れてからボタンを押す事で成立する事が多い。
1のジャンプキャンセルの移行モーションを更に必殺技などでキャンセルするテクニック。
この操作により、本来キャンセルが掛からない技に繋げられる場合がある。
通常技の硬直を地上ダッシュでキャンセルするシステム。
ノックバック補正などが無い限り永久コンボや永久ガードの原因となりかねないため、
対応しているゲームや技は少ない。
ジャンプ攻撃を空中ダッシュでキャンセルするシステム。
受身不能時間や高度の関係で地上ダッシュキャンセルに比べて永久コンボを作りにくいためか、比較的多くのゲームで見られる。
レイの「南斗迅襲嘴斬」は、必殺技だが空中ダッシュでキャンセル可能な珍しい技。
『CAPCOM VS. SNK 2』の
Cグルーヴ固有システム。
Lv.2スーパーコンボのみ必殺技やLv.1スーパーコンボでキャンセルが掛かるという、キャンセルの原則に逆らった代物。
火力の底上げやゲージ回収、割り込みや
ぶっぱのフォローなど、様々な活用方法がある。
『THE KING OF FIGHTERS』シリーズのシステム。『2002』『'98UM』『2002UM』に搭載。
技をヒットまたはガードさせた瞬間にMAX発動する事で硬直をキャンセルし、
ニュートラル状態に戻る。
パワーゲージを1本余分に消費するが、通常では不可能な連続技が組めるなど、ロマンキャンセルに性質が似ている。
『'98UM』のものはヒットストップのみをキャンセルするため、技によって硬直軽減の度合いは異なる。
また技そのものはキャンセルされないので、技の途中で発動してもそのまま動作は続く。
『THE KING OF FIGHTERS』シリーズのシステム。『2002』『XI』『'98UM』に搭載(『'98UM』では「クイック攻撃避け」との選択制)。
通常技や特殊技をキャンセルして回避行動を取り、相手の反撃を避けたり硬直を軽減したりする。
「
当て投げ」ならぬ「当て避け」と言った所だが、ゲージ消費のコストは掛かる。
『'98UM』の「クイック攻撃避け」はそのまま避け攻撃も出せるので、連続技にも活用できる。
『
サムライスピリッツ』や『月華の剣士』に存在するシステム(と言えるかどうか微妙だが)。
武器攻撃をガードされた際に発生する(例外有り)弾かれモーションにキャンセルポイントが存在するというもの。
作品ごとにキャンセル猶予が異なったり各種技によってタイミングが違ったりと一種のテクニックと化している事が多い。
後述の空キャンセルと組み合わせて、隙のフォローや間合を詰めようとした相手への反撃に利用する。
特に通常技による差し合いがメインの『サムスピ』では重要な要素である。
文字にすると略称が同じだが、
シェン・ウーの「弾拳キャンセル」とは別物。
『餓狼 MARK OF THE WOLVES』のシステム。『
NBC』や『
KOF XII』の一部キャラにも採用されている。
キャラごとに設定されている対応技の動作中、特定のタイミングでABボタンを同時押し。
成功すると強制的に残りの動作をキャンセルして戻りの動作を取り、硬直時間を軽減する事ができるというもの。
主に隙が大きい
対空系の技に対応しているが、
ロックの「
真空投げ」のような特殊な例もある。
普通はガードされると
反撃が確定するような技でも五分に持ち込めたり、ものによっては有利Fが取れるようになるので、
使いこなせるようになればゲージ溜めやコンボパーツ、固め、牽制とあらゆる場面で威力を発揮する。
ロックの シフト真空BR>シャインナックル のコンボや、
テリーのパワーダンクBRによる対空CHコンボなどが分かりやすい例。
入力に成功さえすれば使用制限は無いが、総じて入力タイミングがシビア、かつMOWは処理落ちが比較的多い作品なため、
トッププレイヤーでも完全にミスをなくすのは難しい。
隙の大きい技のブレーキングに失敗すれば当然痛い反撃は免れないので、リスクと背中合わせの要素である。
ほぼ同様のシステムとして後述のフォースロマンキャンセルがあるが、あちらにはゲージ消費のコストが存在する。
『GUILTY GEAR XX』におけるロマンキャンセルの派生システム。
打撃だけでなく飛び道具も対応しており、空振りキャンセルが掛かる他、
テンションゲージの消費も25%とロマンキャンセルの半分で済むというメリットがある。
ただし対応技が制限されており、キャンセル猶予はいずれも2~3F前後しかないため非常に入力がシビア。
キャンセル成立時は青いエフェクトおよびロマンキャンセルと共通の専用のコールが掛かる。
類似システムとして『Eternal Fighter Zero』の「フリッカーインスタントチャージ」(FIC)がある。
『
北斗の拳』のシステム。
ブーストゲージを消費する事で、通常技や必殺技をキャンセルして高速で前進する。
ダッシュキャンセルやジャンプキャンセルの概念に、ゲージという明確なコストを設定したものにあたる。
また特徴が似ているクイック緊急回避と違い、移動中の無敵判定やすり抜けが無い代わりに攻撃が可能。
もちろん割り込みのフォローなど防御面でも活用できるが、どちらかと言えば攻撃的なシステムと言える。
類似のシステムとして『アルカナハート』の「ホーミング」や『PARTY'S BREAKER』の「イニシアティブダッシュ」(ID)、
『
BIGBANG BEAT』の「Bダッシュ」がある。
『
戦国BASARA X』のシステム。
援軍攻撃ヒット時に、本体の行動をジャンプ、前後ダッシュ、パーフェクトガード、通常技、特殊技でキャンセルする。
誤解されやすいが、トリガーは援軍で、キャンセルは本体に掛かる。
援軍攻撃がキャンセルされる訳ではない。
援軍ヒット時のみ可能で、援軍がガード・空振りでは不可能。原則としてコマンド技ではキャンセルできない。
逆にキャンセルされる本体の行動は発生前・硬直中・ガード・空振りを問わない。
技だけではなく、ジャンプ・空中ダッシュ・ブーストなど移動にもキャンセルが掛かるのも特徴。
上記のように性質が特殊で、別スレッドで動く援軍攻撃がトリガーのためタイミング・操作感に非常に癖がある。
成功時にボーナスが加算される点も珍しい。
『
大乱闘スマッシュブラザーズ』のシステム。ただし搭載されているのは初代と『DX』のみ。
原理は非常に単純で「空中攻撃を出しながら地面に着地する3F以内に、RボタンかZボタンを押すと着地硬直が軽減される」と言うもの。
特に初代では、
「膨大な着地硬直が発生する技でも、着キャンすれば着地硬直がほぼ皆無になる」と非常に強力で、
コンボや差し込みにおいても
「これが出来て当たり前」と、使用する事が大前提の必須テクニックである。
『DX』では軽減できる隙は技によって変わるのだが、それでも必須なのは変わらない。
「『スマブラ』は
バッタが強い」と言われるのはこのシステムがあるからと言っても過言ではない。
ちなみにこのシステムはバグの類ではなく、公式サイトでも紹介されているれっきとした仕様(ただし説明書には載っていない)。
『スマブラ』は格闘ゲームではないが、この着キャンの他にも「シールドをキャンセルして、掴みを行える」
「シールド硬直はジャンプでキャンセルできる」など数多くのキャンセル行動が実装されており、
随所で正統派格闘ゲームのキャンセルシステムを参考に作られているのがよく分かる。
なお、この着キャンは
「そもそもスマブラは敷居の高い格ゲーに物申すために作ったのに、おもいっきり格ゲー並に複雑になっているのはどうよ?」
というプロデューサーの意向で『X』以降は無くなってしまった。
キャンセルを利用したテクニック
本来想定されていなかった(であろう)システムやバグを利用する事で開発され、広まったキャンセルテク。
以下、代表的なものをいくつか紹介。
相手に当たっていない技にキャンセルを掛けるテクニック。「すかしキャンセル」などとも。
以下の2種類が存在する。非コンボゲーの格闘ゲームに多く、コンボゲーの類には少ない。
- 文字通り空振りした技にキャンセルを掛けるもの。
大抵のゲームでは相手に接触(ヒット・ガード問わず)した場合にキャンセルポイントが発生するが、
これが可能なゲームでは相手に接触せず空振りでもキャンセルポイントが発生する。
下段技を振ってしゃがみガードを意識させてから中段技を出してガードを揺さぶる(あるいはその逆)、
相手の反応を誘っての反撃、飛び道具のタイミングをずらすなど、様々な使い方ができる。
- 技の攻撃判定が発生する前にキャンセルを掛けるもの。
こちらもフェイントとして利用でき、前や後ろに移動しながら出す技に掛ける事で技のリーチを伸ばしたり、
相手の攻撃をギリギリでかわしながらの反撃などに応用できる。
特に移動する通常技や特殊技に必殺技キャンセルを掛ける事を「スライド必殺技」、
通常投げを出す事を「スライド投げ」と呼ぶ。
前者は空キャンが無い場合牽制であっても隙を晒し、隙が小さいとはいえ確定する攻撃(俗にこれを
スカ確と言う)も出てくる。
こうなるとガン待ちからの後出しジャンケンが有利になりすぎる事から実装されたと思われる。
後者の場合は主に同時押しの入力補助(1F同時ビタ押しは入力が厳しすぎる)のために各通常・特殊技の出掛かり数Fに限定的にキャンセルが掛かる仕様と、
移動する行動は1F目で既にある程度移動し始めているという仕様が組み合わさったために起こった偶然である。
通常技をスカりモーションの無い
コマンド投げでキャンセルし、隙を消すテクニック。
「騙しキャンセル」(ダマキャン)、「投げキャンセル」(投げキャン)などとも呼ばれる。
「ガード硬直中の相手は投げる事ができない」という2D格闘ゲームの原則(
例外あり)を逆手に取ったもので、
隙の大きい技を出した際にコマンド投げを入れ込んでおくと、
ガードされていたり間合いが遠ければ硬直のみがキャンセルされ
ニュートラルポーズに戻るか、押したボタンに対応する通常技が出る。
これを利用する事で、「強攻撃>強攻撃」などの普通は繋がらない連続技が可能になる(特に『サムスピ』は必殺技より強斬りの方が威力が高かった為)。
由来は
服部半蔵の「
モズ落とし」で、初代~『真』では半蔵および
ガルフォード(ストライクヘッズ)の必須テクニック。
『KOF'95』では
ラルフ・ジョーンズ(スーパーアルゼンチンバックブリーカー)の凶悪な即死連続技を生み出し、
ジョー東は「爆裂拳」の追加入力技「爆裂拳フィニッシュ」で同様のテクニックが可能だった。
ただしスカりモーションがある投げ技だと、成立したところでスカりモーションに変化して隙を晒すだけなので、
コマンド投げにスカりモーションが有るのが一般的となった現代では殆ど無意味なテクニックとなっている。
類似のテクニックとして、『
ファイターズヒストリーダイナマイト』の「投げキャン」がある。
このゲームでは通常技キャンセルで出したコマンド投げが成立しなかった場合、コマンドに使ったボタンの通常技が出る。
この投げキャンで出た通常技に投げキャンを掛ける事も可能で、
コマンド投げがコンボになるシステムと相まって強力な行動となっている。
初期『KOF』シリーズでは、ボタン連打で出せる必殺技が全ての通常攻撃をどこからでもキャンセルでき、
さらに他の必殺技より優先順位が低いため、コマンド入力と連打系必殺技を同時に成立させる事で、
本来キャンセルの掛からない攻撃からコマンド技を繋ぐ事ができた。
これを利用すると『'94』では
ラルフ・
クラークで7割減らして気絶確定・もう1セット入れて昇天の即死級連続技が成立し、
『'95』では
ジョー東・
チャン・コーハンはボタン同時押しによる必殺技停止と併用する事で、
全ての攻撃が当てて有利になったり大攻撃×nが入ったりと大変な事になる。
この名残りなのか、『KOF2002』のジョーは全ての通常技・特殊技を爆裂拳でキャンセル出来るようになっている。
さらに家庭用『XIII』ではクラークとビリーのみ、
「連打技でどの通常技でもキャンセルでき、さらに連打技の出がかりを他の必殺技でキャンセルできる」
という形で再現されている。
山崎竜二の「蛇キャン」や
ジョニーの「ミスキャン」など、
「キャンセルで出した必殺技の動作解除」を利用して硬直を軽減するテクニック。
必殺技キャンセルの延長線上にあるが、操作が忙しくなったり、タイミングを取る事が難しかったりと、得てして上級者向けな傾向にある。
基本的に各キャラクターの固有技で行う事が多いが、『
餓狼伝説』シリーズの「フェイントキャンセル」のように共通システムを経由して行えるものも存在する。
聖騎士団ソルの「チャージキャンセル」や
霧島佳乃の「詠唱キャンセル」なども類似テクニックと見なして良いだろう。
後述する初代『GUILTY GEAR』の「チャージキャンセル」はこれの最もやりすぎてしまったパターンと言える。
『KOF'94』『KOF'95』『CAPCOM VS. SNK』に存在するテクニック。
先述した構えキャンセルの一種とも言えるもので、連打キャンセルの掛かる通常技のみ何故かパワー溜め動作でキャンセルが掛かり、
さらに一瞬パワー溜めコマンドを入力してすぐに離すと、ボタンの優先順位の関係でCの技が暴発する事を利用して、
「弱K>強P」などの通常では有り得ない連続技を成立させるテクニック。
『CAPCOM VS. SNK』のモリガンはチェーンコンボからも可能。
『GUILTY GEAR』に存在するテクニック。これも構えキャンセルの一種。
初代では
アクセルと隠しキャラを除き必殺技の一部にコマンドのボタン入力を敬意押し続けにする事で、
チャージして必殺技を強化する「チャージアタック」が存在した。
最大でレベル3までチャージできレベル3のチャージアタックは強力なのだが、
このチャージは必殺技扱いなので通常技をキャンセルして出せる。
そしてさらにチャージ自体も一瞬だけして中断(キャンセル)する事ができる。
これにより通常技を出した後チャージ→一瞬でキャンセル→ダッシュ→通常技…と続ける事であっさり永久が完成してしまった。
ただでさえ一撃必殺技などの存在によりかなりの即死度を持つ初代『GG』だが、これがほぼ全キャラに存在するものだから大変な事に。
この頃から
世紀末とは、流石アークだと
言わざるを得ない。
まあ当時はスタッフも少なかったし粗削りでも仕方のない部分はあるけれど。
続編である『GGX』以降はチャージアタックそのものが無くなったので使えない。
また、『
GGXX/』以降に登場する
聖騎士団ソルには必殺技の一つとしてチャージがあり、
登場したての『GGXX/』では通常技からキャンセルで出せないのでこれは使えなかったが、
『
Λ-CORE』では必殺技キャンセルが不可能な技以外ならば全てチャージキャンセルが出来るようになっている。
ただしこれを利用した初代のような永久は当たり前であるが存在しない。
- フォルトレスディフェンスキャンセル(フォルキャン、FDC)
『GUILTY GEAR X』『GUILTY GEAR XX』に存在するテクニック。
D以外の技の出掛かりから2F以内にフォルトレスディフェンス(FD)を入力すると成立(『GGXX』以降はガトリング中は不可能)。
技の硬直軽減、通常投げ失敗時の
暴発防止、ジャンプの軌道修正、着地硬直のキャンセルなど用途は多彩。
同様の着地硬直キャンセルは、『
北斗の拳』や『
戦国BASARA X』にも見られる。
特に『GGX』ではガトリングからの足払いをFDCする事が可能で、
足払いへガトリング可能な通常技限定とはいえ、実質通常技がキャンセルし放題となっていた。
これに先行入力ダッシュを絡めた「フォルトレスディフェンスキャンセルダッシュ」(FCD)は、
『GGX』を
世紀末たらしめた最大の要因と言われる。
『GUILTY GEAR XX』に存在するテクニック。『#RELOAD』時代に発見された。
蔵土縁紗夢の「祓斧」(
ブロッキング系の当身技)のガードストップ、
または
デッドアングルアタックを入力直後にサイクバーストでキャンセルし、
さらにサイクバーストを入力直後にFDでキャンセルすると成立する。(入力例:6S+HS押しっぱなし>ずらしD>4)
成功すると、サイクバーストの無敵時間が付与された状態で自由に動く事が可能となる。
難易度やコストの問題から紗夢以外が活用するのは難しいと言われており、
さらに『Λ-CORE』でFDの優先度が変更されて難易度が上昇したため、現在ではあまり使われない。
『
MELTY BLOOD』シリーズのテクニック。
マジックサーキット(パワーゲージ)が50%以上ある状態で
GCシールドバンカーを入力してから発生するまでに別のコマンドを完成させる事で成立。
本来出す事ができない必殺技や、ダッシュやバックステップ、ハイジャンプなどの移動動作、条件が揃っていればEXエッジやアークドライブを出す事も可能。
バグから生まれたものだが、標準テクニックの一つとして普及している。
流石にあんまりだと思われたのか、『Actress Again』ではあえなく削除された。
『CAPCOM VS. SNK 2』に存在するテクニック。
対戦事情を一変させてしまった有名なバグ。詳しくは
こちら。
『餓狼 MARK OF THE WOLVES』のテクニック。
相手の超必殺技や潜在能力の暗転を確認してから、空キャンセルで無敵技などを出して切り返すというもの。
ただしこのゲームは暗転中のレバー入力を認識しない仕様なため、所謂「
暗転返し」とは異なり
あらかじめ出したい技のレバー入力を済ませてから同時押しで通常技を出し(必殺技の暴発を防ぐため)、
暗転確認後にボタンを押してコマンドを完成させるという手順が必要。
高度な先行入力と先読みを必要とするが、
起き攻めをローリスクに行う事ができる他、
ガード不能な状況で出された0F技(着地0F重ねなど)はこれでしか返す事ができないため、
上級者の間では必須技術の一つとなっている。
何故これで暗転確定なはずの0F技に割り込めるかというと、
『MOW』の0F技には「相手が何らかの技を出していた場合、相手に1Fだけ無敵判定が発生する」という謎の現象があるため。
この1Fの間にキャンセルが成立するという訳である。
ちなみにこのテクニックが確立されたのは実に稼動から6年後の事。
それまでは特定のガー不0F技に対してのみ有効なバックステップや上段避け空キャンセルによる回避法しかなく、
グラントの「魔神円月輪」などはこのどちらも通用しなかったため、事実上完全回避不能と言われていた。
プレイヤーのやり込みが仕様の壁を打ち破った一例である。
『THE KING OF FIGHTERS』の
キム・カッファン固有のキャンセルテクニック。
元々はバグであったが、条件がシビアでありリスクも高かった事もありいつのまにか恒例となり実質仕様扱いされている。
必殺技である「覇気脚」は超必殺技である「鳳凰脚」でのみキャンセル可能となっているのだが、
この操作をゲージが足りない状態で行うとゲージは空になるが鳳凰脚が出ず、ニュートラルに戻り、硬直が無くなる。
スーパーキャンセルの延長線上にある珍しいテクニック。
コマンドの性質上操作が非常に難しく、ゲージ依存度の高いゲーム中でゲージが空でないと使えない事等のリスクから、
覇気キャンを有効活用したラッシュを組めるプレイヤーは極めて少ない。
『
北斗の拳』のキャンセルテクニック。
キャンセルを掛ける究極奥義の入力時、本来のボタンとブーストボタンを同時押しにする事で成立
(この時ブーストゲージが1本以上溜まっている必要はあるが、ブーストゲージは消費しない)。
『北斗の拳』に限らず、通常格ゲーには攻撃がヒットした際に操作キャラが止まる「ヒットストップ」という現象がある。
HSCはこのヒットストップをキャンセルする事で通常より早く必殺技を出し、本来であれば繋がらないような必殺技でも繋げられるようになる。
原理的にはブーストキャンセルがヒットストップをキャンセルする仕様のため、同時押し入力でHSCが出来るのだと考えられる。
有名なのは
トキの2Dキャンセル
北斗有情断迅拳が有名。
また必殺技でもHSC自体は出来るのだが、こちらはブーストゲージを消費する。ラオウの近Dキャンセルブー地サイが有名。
MUGENにおけるキャンセル事情
当然のようにMUGENでもキャンセルは再現可能で、
主にキャンセルを掛ける動作のトリガーにStateNoを指定する事でキャンセルが掛かる動作を設定し、
TimeやAnimElemなどでキャンセルポイントを設定する方法が取られる。
また、技のステート内に直接キャンセルの記述を含ませる方法もあり、派生技の場合によく見られる。
ちなみに完成度の高い
原作再現キャラであってもキャンセルの条件がmovecontactのみになっている事が多く、
実際にtimeやanimelemなどに制限が加えられているケースは非常に少ない。
そのためmugenの原作再現キャラクターのキャンセル猶予はかなり長めになっている事が多いが、
再現のためには先行入力の導入が必須になるケースが多い事と、
そもそも
発生などに比べてキャンセル受付フレームの測定が難しい事を考えれば仕方ない事である。
とはいえディレイキャンセルの猶予があまりに長いと、
相手の反撃をキャンセル無敵技で返せるためフレーム上は不利なのに
確反が成立しなかったり、
場合によっては
永久の原因になったりする事も有り得る。
AIによってキャラの動きを制御する際も同様の記述が行われるが、
注意すべきはAIはヒット確認やコマンド入力をフレーム単位で行う事ができるため、
その気になれば一切キャンセルミスや確認ミスをしないAIを簡単に作れるという事。
人操作では入力が難しかったり、ヒット確認が不可能なため読みによる入れ込みを行わざるを得ないものでも
AIならばその瞬間で最適な判断と最速の操作ができてしまうという事である。
その顕著な例が
ケビンの神速ヘルキャンで、行き過ぎた反応を見せるAIはしばしば
超反応とも言われる。
このためAIでよりリアルな動きを再現するためには、キャンセル精度を敢えて下げたり
状況に応じてキャンセルしない、
暴発を起こすなどの工夫も必要になってくる。
キャンセルに限った事ではないが、時には「いかに手加減させるか」を考える事もAI製作において重要である。
関連項目
最終更新:2024年09月07日 23:18