スペック


「分かるかね看守諸君ッ 私はねッ

      敗れ去りたいのだよッッ」

板垣恵介の格闘ギャグ漫画『グラップラー刃牙』シリーズの登場人物。原作では第2部『バキ』の最凶死刑囚編から登場。
2018年のTVアニメ版『バキ』での担当声優は 茶風林 氏。PV版では 伊丸岡篤 氏。

日本にやってきた5人の最凶死刑囚の一人で、初登場は昼食のトマトケチャップを利用し血を吹いたフリをして、
カウンセラーを食事受け渡し口に近付けパンチ一発で顔を潰す、という悪行を既に行っていた。
そのため彼の独房の周囲には金属製品を付けて近付く事すら許されないという。
シンクロニシティーにより空手のブラックベルト(黒帯)のカウンセラー、ジム教授と警備員数名を殺害後、
金歯を使って鍵を外し、水深200mの潜水艦を利用した海底刑務所より脱獄。

看守諸君ッ 世話になったッ スペックはたった今から東京へ向かうッ

陸に上って監視員を皆殺しにしてタバコをふかし、意気揚々と東京に赴いた。
その後は警察にあっさり捕まるも、留置所のぶち破って逃げ出した…かと思いきや、律儀に戻ってくる*1などやりたい放題やらかしていた。

「気の毒だがボウヤ こいつ(・・・)は使わねェ……………………
 言ってることがワカるかいボウヤ
 俺にとって凶器の使用はむしろ相手に気遣ってるということさ」

得意とする戦闘スタイルは文字通りの「凶器攻撃」。
振る舞い・残虐性・色々目に付くが、本当に突筆すべき点は恐ろしく発達した心肺機能であろう。
最高5分間無呼吸で全力の運動・活動が出来るという特性を生かした前述の200mの潜水艦からの脱出、
更には無呼吸状態から放つ、敵が物言わぬ骸と化すまで打撃の集中砲火を浴びせる「無呼吸連打」を使い、自由の女神に素手で殴打痕を残すという大暴挙に出る。
海兵達の「戦争以上に国防的な作戦」が無ければ自由の女神は本気で粉砕されていた。
加えて死刑囚軍団特有の周囲のあらゆる物品・道具を利用した凶器攻撃、不意打ち騙し討ち上等の卑劣でダーティーな戦法も痛烈。
神を素手で破壊した彼にとっては「武器の使用は相手を気遣っている」と豪語していた程であり、その実力は確かな物だったのだろう。
実際読者からも「死刑囚最強の男」と呼び声も高い。最凶死刑囚編、最初からクライマックスだった件

デートしている範馬刃牙を襲おうとした所を横から花山薫に奇襲を仕掛けられ、彼と戦闘。
街灯に叩き付ける、公園のベンチ、脱いだ花山の靴、落ちていた石などの凶器攻撃、前述の無呼吸打撃で追い詰めたかに見えたが、
桁外れのタフネスさに物を言わせて攻撃される中、お構い無しの強引な一撃を喰らってしまい形勢逆転。
流石のスペックもこれには動揺を隠せず、再度問い掛ける花山に怖気付いた様子で降参した。
……かに思われたが、隙を突いて警察から拝借していた5発の銃弾を噛ませ、花山の顔面を爆破する。
だが、顔面を爆破されても倒れない花山に今度こそ本当に怖気付き、攻撃を仕掛けるも強烈なカウンターを叩き込まれてしまう。
殴り飛ばされたスペックは街灯にぶつかり電線に接触した状態で感電し昏倒。そのまま警視庁に土産として送り届けられたが……。

すぐさま復活し、園田警視正を除くその場にいた警官を皆殺しにした後、警察署で警棒・拳銃・閃光弾などの武器を強奪。
怪力でパトカーを転倒させると、先制で特殊警棒が飴のように曲がるまで滅多打ちにした上、
拳銃で両膝を撃ち抜き強烈な前蹴りを喰らわせ、頭を足でアスファルトにしこたま叩き付け、花山の口内に拳銃を突っ込み勝利を確信するが、
かつてのトラウマを思い出した花山が覚醒し、またも形勢逆転。
しかし、最も信頼に足る武器である自らの肉体を駆使した裸締めで首を締め上げ、挙げ句中指を根元まで耳に刺す(これは脳まで達する程)も、
それでも止まらない花山に握撃の連発で左腕・内腿・喉を次々と握り潰され完全に敗北。*2
以降身体がわずか一週間内に急激に衰弱しミイラのようになってしまう。
そしてなんと実年齢97歳の老人であった事が発覚。
初めて敗北を知った充足感からか、その顔は満足した笑みを浮かべており、
アニメ第6話においては、彼の治療にあたった医師らの話からも彼の夢が実現した事を推測できる内容となっている。

「げ……
 元気……イッパイ…………だぜ……ヘッ……」

最凶死刑囚の中では最初に敗北し退場したスペックではあるが、その凶暴性と確かな実力、
そして作中屈指の怪物である花山と文字通りの死闘など印象に残る場面も多く、
死刑囚の中でも特に際立っている存在感から、バケツの似合うロシア人や、負けを認めずにすぐ報復しにくるアメリカ人
全身に凶器を仕込んだイギリス人、公園最強の生物に敗北した日本人も見習って欲しいなどとよく比較されがち。

上記の通り物語からフェードアウトしたかに思われたスペックだったが、
新装版で描かれた後日談にて、寝たきり状態だが何故か全身の筋肉の温度が上がっている事が判明。
調査の結果、水を遥かに超える超高密度の液体の海をバタフライで泳いでいる状態だと判明する。何を言ってるのかわからねーと思うが(ry
彼は一体どこに向かっているのだろうか……。


MUGENにおけるスペック

刃牙キャラに定評のあるtokage氏が製作したものが存在する。
現在は氏のOneDriveに繋がらなくなっているため、茉莉氏によって代理公開されている。
3DCGを2Dに落とし込んで製作されており、火力と体力が高めに設定されている。
原作でも使ったベンチ叩き付けや、無呼吸連打といった原作再現もしっかりされている。
AIもデフォルトで搭載済み。

この他に、史上最強の弟氏による改変版も公開されている。


「オマエノ愛スル者ノ手ダゼェェッ!」

出場大会



*1
この外出は本人曰く「肉まんを手に入れるためにコンビニに立ち寄った」との事だが、その際に店員を殺害している。
死刑囚である以上他のメンバーも殺人を犯しているのは言うまでもないが、無関係の一般人を手に掛けた事がはっきりと描写されているのはスペックのみである。
そんな突拍子の無い殺人行為すら平気で行える残虐性と異常性は、読者も戦慄させる程だった。

*2
ここまでの一部始終は、傍で目撃していた片平恒夫巡査の供述によるもの。
このモブキャラの目線と語りで話を進める展開は、後の戦いでも採用され、新手のギャグ一種の様式美ともなっている。
ちなみに余談だが、アニメ版では片平巡査のボイスをお笑いコンビ「キャイ~ン」の天野ひろゆき氏が務めていたりする。


最終更新:2025年01月25日 22:52