「それがし…本部以蔵と申す者です」
板垣恵介の漫画『
グラップラー刃牙』シリーズの登場人物。名前の読みは「もとべ いぞう」。
アニメ版の声優は2001年の『グラップラー刃牙』では
小室正幸
氏、2018年の『バキ』では
稲葉実
氏。
外見のモデルは
将棋棋士の升田幸三氏、もしくは格闘家の堀辺正史氏とも。
柔術家。どの流派にも属さず、超実戦流柔術を磨き上げた本部流柔術の元締め。
空手家潰しには定評があるらしく、
愚地独歩からは「この男に壊された空手家は10人や20人ではきかんぞ」と評されている。
弟子にプロレスラーの花田純一がいる他、2014年から連載の『刃牙道』では伝説の傭兵
ガイアも弟子筋だった事が判明した。
後付けとか言っちゃダメなんだから!
その無闇やたらと深い知識に基づく詳細な解説ぶりと、超実戦流柔術という設定、
「生きる伝説」と呼ばれる登場当初の存在感に対して作中の闘いでは全く勝った事が無いという看板倒れぶりから、
親しみを込めて「解説王」「本部流解説術」「史上最高の解説者」と呼ばれた。
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作中での活躍 |
シリーズ初期からの登場人物で、地下闘技場編で初登場。
登場当初はさながら ラスボスのような風格を持ち、独歩に対し 「今の貴様なら一分以内に殺せる」と啖呵を切ったりと、
作中トップクラスの実力を持った達人として描かれていた。
……が、ストーリーが進むに連れ次第に ヘタレ化&親しみやすいオッサンに変わっていき、
地下闘技場での闘いではその深い格闘技の造詣を客席で披露する、解説役としてのポジションを獲得する。
所謂 テリーマンや雷電と同じ役割だが、戦闘の出番が無い分彼ら以上の解説特化型と言える。
同じく客席にいたモブキャラからも 「なんでも知っとるわァ~この人ォ……」などと言われていた。
また刃牙の父・ 範馬勇次郎はかつて闘い敗れた因縁の相手であり、腕を上げて 公園で再び彼に挑んだ。
かつては見切る事が出来なかった勇次郎の攻撃を受け止めていたりと、実力は確かに向上していたのだが、
結局は完全に子ども扱いされあっさり敗北していた。
最大トーナメント編においても選手として出場。1回戦で現役の横綱・金竜山と当たる。
現役の横綱という強力な相手に対しても特に動じる事なく、
「こういうのがオイシイんだよな」と不敵に挑むも、
力士を相手に(一番力士がマワシにかける指で力が入る)小指を取るという失策によってやっぱりあっさり敗れる。
その後は再び解説役に収まり、驚き役の加藤清澄と共に数々の名勝負を観客席から盛り上げた。
ちなみにアニメ版では 原作では加藤や勇次郎が行った解説を奪ってさらに活躍(?)度が増している。
が。最大トーナメント終了後、解説の場が無くなった事でしばらく出番の無くなっていた本部は、
死刑囚編においてまさかの再登場を果たし、同時にバキ読者を混乱と爆笑の渦に巻き込む事になる。
最大トーナメントにおいて武神・愚地独歩を破り、ベスト4進出を果たした達人・渋川剛気。
その昔年の宿敵であり、渋川の片眼を潰した男、柳龍光が最凶死刑囚編で登場する。
柳は一度は刃牙を破り、二度目は刃牙にあしらわれたものの 毒手で数日後に生死の境を彷徨わせるなど、
死刑囚編初期にその強さを存分にアピールしていた。
その柳が渋川と決着をつけるために待っていた公園に、颯爽と現れたのは 何故か本部以蔵。
予想外の再登場に読者が呆気に取られる内に、本部は日本刀や鎖分銅などの武器を駆使して柳を圧倒。
「磨いた五体以外の何ものかに頼みを置く……そんな性根が技を腐らせる 」
お前が武器使ってんじゃねーかよ!という読者の総ツッコミを全力で無視して柳の毒手を切り落とした。 *1
止めこそ乱入した勇次郎に持って行かれたが、実質的に本編での初勝利を渋川と互角のはずの柳から挙げた事で、
本部=弱い、とされていたバキ世界のパワーバランスを一気に混乱の渦に陥れた。
ちなみにこの読者の反応を聞いた作者のコメントは「 本部が強くて何が悪い」だったという。
まぁ、他作品で強いと言う理由で ムエタイが常時かませになるぐらいだから、この程度は……。
それ以降は『バキ』最終盤で姿を見せたものの、第3部『範馬刃牙』では残念ながら未登場に終わった。
『刃牙道』では新たな敵の出現を予感し、単身山籠もりしている姿が確認されていた。
後に 宮本武蔵復活の報を受けると、武蔵が現代の格闘士とは次元の違う危険な存在だと察知し、
「勇次郎を含めて現代格闘士達は武器を使った本当の殺し合いに慣れておらず、武蔵に対抗できるのは唯一武芸百般を修めた自分だけ」
「守護らねばならぬ」
と発奮。
武蔵に挑戦しようとする歴戦の強敵(とも)を実力行使でもって守護すべく行動している。
(以上、ニコニコ大百科より転載、改変)
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……本部以蔵の徒手の実力はどうなんだ?
60点?70点?……どう甘めに採点しても、80点は越えねェ。
ところがだ……剣、槍、杖、鎌、縄、忍に至るまで……
全て合わせりゃ300点は下らねェ
メタな事を言ってしまうと、彼の場合
現実世界及び作劇上の事情に応じてモデルがコロコロ変わっていくので、
当人や流派のモデルが特定できない、というのが本当の所である。
彼の流派もまた然りであり、元々は
骨法をイメージに置いた「我流の柔術」だったのだが、
その後、現実世界で骨法の有効性に疑問が呈されるに従い「古流の流れを汲む柔術」に変わり、
柔術に関してはほぼ上位互換の「達人」渋川剛気が登場して以降は、
「武器まで含めた古流武術の達人であり、格闘家として使っている徒手の柔術はあくまでその一部」という形に落ち着いている。
彼の強さや言っている事の主旨が支離滅裂と言っていいほどコロコロ変わる原因もここにあり、
作者の気まぐれや作品外の事情に振り回された結果、ひたすらネタ度が高まっていくという、
ある意味当作品で一、二を争うギャグキャラであるとも言える。
「ここまで変わってしまうともはや別のキャラじゃないのか?」と突っ込みたくなるだろうが、
実際ファイトスタイルも、キャラの人格も、ついでに外見もモデルが変わる度にほぼ別物と化しているので、
現在の彼は登場当初とは実質別キャラと考えて良い。
柳戦以降「素手戦闘においては一歩劣るが、武器を含めた戦闘なら他の者より遥かに先を行く達人」としての立ち位置は一貫している。
その証拠…という訳ではないが、『刃牙道』における彼は
ガイアに師と呼ばれ、
烈海王を(武器も
公園も無しで)戦慄させ、
ジャック・ハンマーを圧倒し、そして主人公の範馬刃牙でさえも手玉に取った。
さらにあの
範馬勇次郎からも「武蔵を一番理解している」と評価され、後に本部の説得に激昂するも煙幕で逃亡されて仕留め損ねる…と、
最強トーナメントの頃の「史上最高の解説者」とは別次元の強さを誇る。
愚地克巳曰く
「本部以蔵とはこんな水準(レベル)だったのか!!?」
…はい、僕らも同じ気持ちです。
だが、様々な事情に翻弄される彼の事である。次の週にはあっさり無様な敗北を喫しても不思議ではない。
本部以蔵とはそんなキャラである。
MUGENにおける本部以蔵
「剛体術……
打撃の瞬間、体を極限まで硬直させ、
正拳突きの際に使用する全ての関節を固定する。
極めて至難だが、成功させたなら自己の体重を
そのまま拳に乗せることが出来る。
くぐり抜けた修羅場だけがそのタイミングを教える……
誰にも真似できん技だ……ッッ」
※ちなみに原作では勇次郎の台詞
キャベツ太郎氏による手描きのものがニコろだで公開されていた。
同所の閉鎖後は入手不可であったが、現在は弾丸マックス氏によって代理公開されている。
神奈子や
メラン子などの手描き東方キャラで知られる氏の新キャラが、
まさかの本部。
最大トーナメント編を再現した、恐らくMUGEN史上初の
解説キャラ。
何をやるのかというとひたすら
背景で解説をするだけである。基本的に戦闘力とかそんなものは無い。
食らい判定も無い。
ただし最大トーナメント編で独歩が殺人技を連発した試合を再現した解説が
5つ続くと、
相手が即死する
即死解説が発動するので
「攻撃技の無いキャラ」ではない。解説で即死ってどういう事なの…。
あと解説と言っても
「逃げろー独歩ー!」「その手があったか!」とか好き勝手言ってるだけで、
試合の解説には全くなっていない。
更にタッグで対決すると
解説が五月蠅すぎてもう何を言っているのか分からない。
sndファイルが
55.2MBもあるため見かけによらず結構重いが、
カッ昏倒氏によって13.8MBにまで軽量化された物がニコろだにて公開されたが、同所の閉鎖後は入手不可。
また、有志によって作成された
「本部増殖パッチ」も同じくニコろだで公開されていた。
こちらは軽量化前の本体と同じく、弾丸マックス氏が代理公開中。
出場大会
出演ストーリー
*1
一応柔術は武器使用も含んだ武術であり、その旨を本部自身が解説している。
また柳や他の死刑囚は素手の相手にこれでもかと言うほど武器を使用しているのに対し、
本部の武器使用はこの柳戦と直後の勇次郎との立会い(持っていた刀を構えただけ)ぐらいなので遙かにましである。
さらにもう少し真面目に考えると、そもそも作中本部が武器を使用したのはこれが初めてであり、
彼は一度も「素手の相手に」対して武器の使用を敢行していない
(これは長年に亘って勝利を望んでいた勇次郎相手でも同様である。
その時の本部は自分から勝負を仕掛けており、武器を用意しようと思えば十分可能だった)。
逆に柳は作中で素手の相手に対し武器の使用を一切躊躇っておらず(刃牙を襲った時など)、
この両者のスタンスの違いは武器に対し本部が言うように「頼みを置く」かどうか、
本部はあくまで相手と対等に戦うための条件として武器使用を解禁しているに過ぎず、
柳のように優位な環境を整えるため武器に頼っているのとは違うのだとも言える。
なお余談ながら、勇次郎戦で本部は柔術家である自分が有利な環境と言える、
コンクリートの硬い地面という条件も放棄している。
加えて言えば、あくまでも空手家、空道家として徒手空拳の武術を修めていたにもかかわらず、
相手と有利に戦うために素手以外の武器(毒手を含む)に頼っているのが死刑囚編の敵役達である。
これに対して本部以蔵は最初から武器を用いた武術を修めており、格闘技はその中の一つに過ぎない。
本部が実際に言及している通り、あくまでも素手のみの格闘家として戦っていたなら柳の勝利は間違いなく、
意図せず本部の得意とする公園武器を用いた戦いに踏み込んでしまった事が柳の敗因だと言える。
……と色々擁護しても不条理には違いなく、またこの発言の面白さの問題はそこではない。
本部が武器においても技量に勝る柳を圧倒できたのは見るからにそんな理由ではなく、
一歩間違えば
自爆技の奇策で主導権を握った事が大きい。
まぁ多分作者もそこまで深く考えてな(ry
なおそんな深く考えると(考えなくても)混乱しがちな本部VS柳戦であるが、
技量は相手が上だと認める余裕を見せつつ、刃牙すら独力で突破し得なかった柳の鎖鎌を、
状況を利用する事で完全に制圧する本部は素直に強者臭を匂わせている。
そして、見開きで今までの板垣先生にはなかったタッチで柳の腕を切り落とす本部のカットは格好いい。
……うん、だから細かい事は気にしないであげるといいんじゃないかな!せっかくの活躍だし!
最終更新:2023年08月12日 00:20