鬼舞辻無惨


「違う違う違う違う 私は限りなく完璧に近い生物だ」

週刊少年ジャンプに連載されていた漫画『鬼滅の刃』の登場人物にして同作のラスボス
「きぶつじ むざん」と読む。「ざん」を「ざん」と間違えた方はこちら。
アニメでの担当声優は『仮面ライダー電王』のモモタロス役等で知られる 関俊彦 氏。
海外版では『熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls』において、くにおの声を担当した Greg Chun 氏。

作中における人を食らう闇夜の怪物である生物「」の始祖にして、竈門炭治郎の家族を惨殺した張本人。
自らの血によって人間を鬼に造り変える能力を持ち、それにより竈門禰󠄀豆子を鬼に変貌させたのを始め、
数々の人間を鬼化させて支配下に置き、多くの悲劇を引き起こした全ての元凶。炭治郎及び鬼殺隊にとって最大の宿敵である。
元々は平安時代の貴族で生来病弱な体故に死に直面していたのだが
(母親の胎内で何度も死にかけている他、出産時息が無く死産と思われ火葬される寸前で息を吹き返し助かったレベル)、
そんな無惨を何とか救おうととある医者が手を尽くし、最終的には開発中だった「青い彼岸花」と称する秘薬を施した。
秘薬はやがて無惨の体を鬼に作り替え、無惨は命こそ助かったものの人を喰わねばならぬ生態と、日光に当たると塵になるという問題を抱えてしまう
(医者としてはあくまで時間稼ぎであり、この後に根治治療を試みるつもりだった)。
人喰いに関しては何の問題視もしなかったが、日光という弱点が出来た事は我慢できずに日光の克服を目論むようになる。
自分を鬼に変えた「青い彼岸花」に関しては当事者である医者を、治りが遅いからという理由だけで殺害してしまった事で手がかりが途絶えてしまったため、
仕方なく配下として鬼を創り出し、青い彼岸花の捜索と共に日光を克服する鬼が出る事を期待するようになり、
これが後に千年にも渡る惨劇と悲劇の根となってゆく。

+ 千年の因縁 ※ネタバレあり
実は、鬼殺隊を率いる「お館様」こと産屋敷の家と鬼舞辻家は縁戚であり、産屋敷の一族もまた代々病弱で短命である。
これが無惨の死病と同じ由来とすると一種の遺伝病なのであろうが、産屋敷家ではこれは「血縁から鬼を出してしまった事への呪い」
と伝えられており、鬼舞辻無惨打倒の大きな動機となっている。
それ自体は或いは単なる迷信であるのかも知れない。だが、鬼殺の剣士が彼の家に集うのは、無惨が無分別に生み出した鬼や無惨自身が、
あちこちで無辜の人々を殺してきた事による自業自得なのだ。

「そして君はね無惨 何度も何度も虎の尾を踏み 龍の逆鱗に触れている」
「本来ならば一生眠っていたはずの 虎や龍を君は起こした」
「彼らはずっと君を睨んでいるよ 絶対に逃がすまいと」

余談ながら、無惨の追い求めてやまなかった「青い彼岸花」は現代を舞台にしたエピローグにおいてようやく発見されたが、
一年に二、三日、日中のほんの数分から数十分しか咲かないという希少すぎる生態をしており、そもそも人間にさえ見つけるのが至難の業で、
日中に行動できない無惨や配下の鬼では完全な無理ゲーであった事が判明した。
しかも、実は炭治郎の母はその生息地と生態を知っており、幼い炭治郎も母に連れられて目にしていた事が分かっている。
つまり無惨はまたも自分で彼岸花への手がかりを潰した挙句、自分の天敵となり得る存在と、太陽への耐性を獲得する個体を全てスルーしたという、
物語開始時点で芸術的なまでのトリプルチョンボをかましていた事になる。……無惨にとって本当に何処までも自業自得の物語である。


「しつこい 」
「お前たちは本当にしつこい 飽き飽きする 心底うんざりした」

「私に殺されることは大災に遭ったのと同じだと思え」
「お前たちは生き残ったのだからそれで十分だろう」

「自分は幸運だったと思い元の生活を続ければ済むこと」
「何故お前たちはそうしない?理由はひとつ 鬼狩りは異常者の集まりだからだ」
「異常者の相手は疲れた いい加減終わりにしたいのは私の方だ」

自らを「限りなく完璧に近い生物」と嘯き、己の行いを天変地異と同列に語った挙句、自分を仇として付け狙い続ける鬼殺隊を、
家族の死を受け入れられず狂した行いに邁進する異常者の集まりとまで言い放った。
そんな尊大を通り越した彼の傲慢な態度に、今まで自分と対峙してきた鬼達に妹と同様の元人間として同情し、
救いを以て倒してきた底抜けに優しい炭治郎さえも、
お前は存在してはいけない生き物だと一切の感情を捨て去りながら、恐ろしい形相で吐き捨てた程。
???「てめーさえよけりゃあいいという…もはや、この地球上に生きてていい生物じゃあないなこいつは…」
ファンブックにおいては上記を総して「人間的感性がなく、共感性が極めて低い、人間というよりも昆虫に近い」と記載されていた。

それでいて非常に生き汚く臆病な一面を持っており、自分が絶対に敵わぬと見た相手と対峙した際には下記の能力を総動員して全身全霊をもって遁走し、
天敵の寿命が尽きるまでの数十年間を潜伏して逃げ切った
というある意味凄い実績を持つ。
その後、天敵に匹敵する人物が再び出現しないよう、血縁者や関連人物を徹底的に殺して回ったという念の入りよう。
毒の能力を持つお気に入りの部下が死んだ際にも「毒を与えたならそのまま戦わずに(相手が毒で死ぬか弱るまで)逃げればいいじゃん(意訳)」と言っており、
「逃げる」という行為に対して恥も外聞も全く無い事が窺える
(なお、本当に「逃げる」選択をされていたら、恐らく炭治郎達は負けている)。
雑踏の中で炭治郎に察知された時は耳飾りや痣を警戒してか、圧倒的な戦力差があるにも拘らず、自分は戦わずに即座に逃げを選んでいる。
後述のパワハラ会議も併せ、ファンからも同じジャンプ作品になぞらえて「『ジョジョシリーズ歴代ラスボス悪い所の煮凝り」等と評され、
その非常に強烈なキャラクター故に、主役の炭治郎に劣らぬ作品の顔としてネタ的な意味でも人気を博した名悪役で、
2020年に行われた「ネット流行語100」では一位に輝いている。
他にも、煉獄杏寿郎(3位)、禰豆子(9位)、冨岡義勇(28位)等、登場人物はもちろん、『鬼滅』に関するワードが多数ランクインしている。
なお、炭治郎は圏外だった模様

+ 能力
上記のように、自身の血を用いて人を鬼に変えて操る力を持つ。
ただしこの血は与えられれば誰でも鬼になるわけではなく、適量を超えれば対象を死に至らしめる猛毒であり、
禰󠄀豆子等のように血に適合した者だけが鬼化し、それ以外の者は死に至る。
これを利用して、わざと許容量を超えるであろう量の血を送り込み、毒殺する使い方もできる。
直接血を与えなくても上弦の鬼が気に入った人間を鬼にしたいという意思を無惨に伝える事で、無惨が了承した場合に限り遠隔で鬼にする事も可能。
この鬼化はあくまで無惨の細胞によるものであり、何らかの特殊な手段を用いない限りは無惨の支配下から逃れる事は出来ない。
洗脳能力はもたないが、「(人間の前で)無惨の名前を言うと死ぬ」「鬼化した配下の位置を大まかに特定できる」
「鬼化した配下が近くにいるのなら、その心を読む事が出来る」といった力を持っており、
配下達は恐れ敬っている。

また、変身能力を持ち、劇中では後述画像のような芸者の女性の他に、成人男性や少年等の様々な顔を使い分けて人間社会に潜んでいるが、
本来の姿は上記画像のワカメヘアーをした成人男性である。あと、どことなく某キング・オブ・ポップに似てる

配下の鬼と異なり、弱点である首を切られても死なない。
元々死病に冒されていた事から死への忌避が人一倍強く、その上天敵とも言えるある鬼殺の剣士に討滅寸前まで追い込まれた経験から、
偏執的なまでに不滅性を高めるための自己改造を続けており、脳髄すら体内に複数存在する事が確認されている。
頭の回転はともかく、やたら激昂しやすいのも複数の脳髄がある所為ではないかなんて考察もあったり
ただし、陽の光に弱いという弱点だけは未だに克服できておらず、配下の鬼を作り続けているのも自分の手駒にするためというより、
陽の光に耐性を持つ鬼の偶発的発生を期待してのものである。
その為、無惨本人は鬼そのものを嫌っている
人間社会に潜伏している時は一応は本性を抑え常識的に振舞っているが、不吉な事を言った酔漢を死への忌避から激昂して殺害したり、
酷い時には吉報を聞いた喜びの余り潜伏先の家族を皆殺しにした事もある。
一応、陽の光以外で殺す事も可能だが、その方法が「体内にある複数の心臓や脳(不規則に動き回っている)をほぼ同時に破壊する」というもの
(ほぼ同時なのは、超再生能力で即座に再生されてしまうから)。

「血鬼術」のような特殊な能力(例えば、「空間を越える」「限定的ながら重力を操る」等)は持たず、
基本的に逃げ隠れしている無惨だが、
自己改造によって得た人智を越えた怪力と超スピード(上位の鬼ですら認識出来ない程)を持っており、
いざその気になればこれらを武器に戦う。
武術の心得等は皆無だが、変身能力の応用か、「腕を鞭のように変質させて高速で振り回す」「触手を体から生やして高速で振り回す」といった攻撃を行う。
ぶっちゃけただでたらめに腕を振り回しているだけに等しいが、
これを「視認すら難しい超スピード」「当たれば人体など軽く粉砕出来る威力」で行うのだから非常にタチが悪い。

+ 頭を垂れて蹲え 平伏せよ

「喋ってはいけない 私のことを誰にも喋ってはいけない」
「喋ったらすぐに分かる……」

「私はいつも君を見ている」

そして、無惨を無惨たらしめている最大のものが、そのパワハラ上司ぶりである。
彼の特性として配下の鬼の生殺与奪の権は遠隔地からでも完全に無惨が支配しており、思考が読めるため内心の自由すら無い。
そのため、上記の台詞から分かる通り自身の情報の漏洩すらも決して許さず、
血みどろの暴行を受けながら、上記の台詞を告げられたロリコン沼の鬼は、怯えながら無惨の事を話さず、
彼の配下であった「毬の鬼」の朱紗丸はうっかり名前を口にしてしまった事で、彼の"呪い"によって粛清されている。

「"そんなことを俺達に言われても" 何だ? 言ってみろ」
(思考が…読めるのか? まずい…)
「何がまずい? 言ってみろ」

「違います!! 違います!! 私は…」
「黙れ 何も違わない 私は何も間違えない」
「全ての決定権は私に有り 私の言うことは絶対である」
「お前に拒否する権利はない 私が“正しい”と言った事が“正しい”のだ」

主人公達に(下位に属する下弦とはいえ)幹部格の十二鬼月が倒されてしまった事に激昂し、
下弦の残り五人を呼び集めて行った一方的な説教からの下弦の壱・魘夢を除いてまさかの下弦衆全員粛清は「パワハラ会議」として有名になり、
鬼舞辻無惨の無惨たる所以を読者に強く印象付けた。*1
劇中の十二鬼月を一番殺したのは明らかに無惨の粛清によるものなので、「実質最強の鬼狩り」との声も
実際ヒラ隊士が返り討ちに遭う強さの鬼が減った事による余裕が鬼殺隊の戦力の充実に繋がった面もあるし
前述の通り、無惨にとって全ての鬼は所詮自らが太陽を克服するための実験台に過ぎず、
十二鬼月も有用な血鬼術を覚えた者に、レベル上げのついでに必要な物の調達や露払い等の雑事を任せているに過ぎないのだ。

また、前述の通り複数の姿を使い分けているものの、女装姿については他の場面での活用例がなく、女装していた理由は言及されていないが、
上記の天敵と共通した特徴を持つ炭治郎に顔を覚えられた事を警戒して「捜査を撹乱させるための変装説」や、
パワハラ会議の前に倒された「下弦の伍・累(他の鬼曰く「お気に入り」だった)の喪に服していた」
「下弦の面々が自身の正体を見抜ける程度には実力があるか試した(それが最後通牒だった)」、
等の考察がされている。

ニコニコ動画においても原作の重い空気から一転して合コンやTRPGを始めたり、
会議中に他のキャラが乱入、『こち亀』BGMが流れたり、
魘夢以外の下弦の生存ルートが作られる等、「パワハラ会議」を使った様々なMADが投稿されている。
10代目ドクター
DIO様


MUGENにおける鬼舞辻無惨

JUS』風ドットちびキャラが存在。
Dox氏を中心とした『JUS』キャラ製作者交流サイトのメンバー達により作られたもので、MUGEN1.0以降専用。
当初一般公開はされていなかったが、現在はAkumugen氏によって代理公開されている。

遠近共に多彩な攻撃手段を持つ他、戦闘モードにチェンジする超必殺技が存在する。
当初AIは不具合により起動しなかったが、更新により修正された。
なお、サムネイルにもあるように、原作終盤のネタバレに加えてグロテスクな演出が含まれている点に注意。
あと海外製故か動きと台詞が違う違う違う違う
DLは下記の動画から
私はダンスなど踊りそうに見えるか?


「私には何の天罰も下っていない

 何百何千という人間を殺しても私は許されている

 この千年神も仏も見たことがない 」

出場大会

  • 「[大会] [鬼舞辻無惨]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
ただ、下弦の鬼達に全く落ち度が無かったとは言えないのも事実である。
粛清の直前に無惨が「上弦の鬼の顔ぶれは100年以上も変わっていないのに下弦の鬼は何度も入れ替わっているとは何事だ」という旨の質問をしている事と、
十二鬼月の一角を討ち取ることが鬼殺隊では最高幹部である「柱」になる条件として設定されていた事から、
下弦の鬼が鬼殺隊によって討伐される度にその都度補充していたものと思われる。
柱は鬼殺隊の意思決定への参加・当主への謁見が可能・金銭的支援が無尽蔵という鬼側にとって厄介な権限を持ち、
十二鬼月に弱い鬼がいると柱を増やすことに繋がるため、相応の実力が求められるという事情があった
(特にこの出来事の前に無惨が出現した時は炭治郎の嗅覚によって無惨の変身が見破られており、
 炭治郎が下弦の討伐に成功して中枢に食い込む事態を危惧したとも考えられる)。
しかし、呼び集められた下弦の鬼達はというと、各々が成果を上げられないばかりか、
  • 心の中で反抗した事で無惨の怒りを買う
  • 無惨や自分達の障害となる鬼殺隊を前に敵前逃亡を繰り返す
  • 粛清を恐れるあまり質問される前に逃げ出そうとする
  • 鬼殺隊を倒す案を満足に出せないのに血を求めてくる
と直属の精鋭集団として情けない態度を晒すばかりであったため、
無惨も先行き不安と判断して下弦の解体(物理的な意味で)に踏み切ってしまう。
唯一、魘夢(えんむ)は他の下弦の断末魔や命乞いを聞いていて楽しかった事や、最後に自分を殺してくれる事に歓喜していた旨を打ち明けた事で解体を免れた。
…が、無罪放免とはいかず、耐えて強くなれるか許容量を超えて死ぬか無惨でも分からない量の血を与えられた。
「お気に入り」でなおかつを討ち取った部下であっても、夜明けを理由に途中で撤退した事を詰ってパワハラした例や、
逆に能力が伸び悩んだとある下弦の鬼は粛清せず称号だけ剥奪した例から考えると、やる気を疑われる態度が特に無惨の逆鱗に触れるようだ
(この鬼は体質的な問題で多くの人間を食えなくなっていたが、それでも無惨への高い忠誠心と、
 実現可能性はともかく独力で取り組める問題解決の為の具体的な方法を自分で考えて実行する向上心を持っていた)。


最終更新:2024年03月13日 13:13