偽マフティー


「連邦政府閣僚各位に申し上げる。わたしは、マフティー・エリンだ」

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の登場人物で、ジャック・オ・ランタンのようなかぼちゃマスクの男。
本名は不明かつ「偽マフティー」はユーザー間での通称であり、
原作小説内での呼称は「かぼちゃマスク」、劇場版でのクレジットは「ハイジャック犯」、
『Gジェネ』では「ハイジャッカー」など統一されていないが、本項目では便宜上MUGENキャラ名の表記準拠で記載する。
担当声優は『Gジェネ』では 柴本浩行 氏、劇場版では 新祐樹 氏。
『Gジェネ魂』版(6:25~)
劇場版

宇宙世紀0100年代に、アデレードで行われる連邦政府の中央閣僚会議に参加するために地球連邦政府の高官やその家族らが搭乗した、
月と地球を移動するスペースシャトル「ハウンゼン」を襲撃したハイジャッカーの中心人物である男性。
反地球連邦組織「マフティー・ナビーユ・エリン」のマフティー・エリンを詐称しているが、
その正体はオーストラリア北部の街を拠点とした不穏分子オエンベリ軍の一派の所属者。
オエンベリ軍は、マフティーの基地がオエンベリにあると信じた者達が集まった事で形成された反連邦政府組織で、
連邦軍地球方面軍の将軍が作り上げたマフティーとは一切関係が無い組織であったが、
マフティーは「地球連邦政府の高官を粛正する組織」と世間から認知されていた事から、
オエンベリ軍所属である彼らは、彼らの世間からの注目度を利用してマフティーを騙る事で閣僚達を威圧していた。

自身を含め4人でハイジャックを敢行するが、
そこに本物の「マフティー・ナビーユ・エリン」を演じるハサウェイ・ノアが居合わせた事が彼らの命運を決定付けた。
名前の意味もスーダン語、アラブ語、古いアイルランド語のつぎはぎ合成で「正統なる預言者の王」を意味す造語であり、
ハウンゼンに同乗していた本作のヒロイン、ギギ・アンダルシアからも酷いメドレーと言わしめたのだが、
映画のかぼちゃマスクはこの意味を全く知らなかった事から偽物と看破された。
小説と劇場版アニメでは行動の順番など細かい部分が一部変更されているものの、
自らに対して危機感の無い口調で語りかけてきた保健衛生大臣ハイラム・メッシャーに苛立ち、彼を容赦無く射殺。
その凶行に動揺した彼の妻まで撃ち殺すという非道に及んだ事で、ハサウェイの怒りを買って叩きのめされた挙句、
ハウンゼンに搭乗していた地球連邦軍のケネス・スレッグ大佐の手引きにより不時着先で他のメンバー共々軍施設に収容される事となった。*2
その後の行方は語られていないが、連邦高官を狙ったハイジャックに加えて二人を殺害という罪の重さを考えると、どうなったかは想像に難くない

しかしねぇ、劇場版では高高度を進むシャトル襲撃のために何処からか可変MSギャプラン*3を調達して来るなど、侮れない存在ではあるものの、
所詮チュートリアルボスにすらなれず生身のハサウェイに一瞬で制圧されたぽっと出の暴漢でしかなかったのだから…
だが……。

+ 連邦政府に反省を促す

「やってみせろよ、マフティー!」

「何とでもなる筈だ!」

「ガンダムだと!?」

全ての元凶
全ての元凶の元凶

……とまあ、前述の通りに非道の限りを尽くしたのだが、YouTube上で『劇場版機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の冒頭が公開された際に、
偽マフティーの「神経が苛立つ!」の部分の字幕が「陰茎(チソチソの事)が苛立つ!」という卑猥な単語に誤変換されてしまい、
スクリーンショットがSNSに拡散されてバズり、彼はネタキャラ街道まっしぐらな扱いを受ける羽目になってしまった。
人質という立場が分かってるのか不明な保健衛生大臣との若干とぼけたやり取りもネタにされがちである。
余談だが、ほぼ同時期に公開された『名探偵コナン』の映画『ハロウィンの花嫁』でもかぼちゃマスクが大量に現れるシーンがあるため、
こちらももらい事故的にネタにされていたりする。まああっちも安室だの赤井だのがいるから多少はね?

その流れを受けて、偽マフティーがかぼちゃマスクをしている事から、海外のネットミーム「The Pumpkin Dance」
(海外の低予算尺稼ぎニュースバラエティ番組『KXVO』で、キャスター兼コメディアンのMatt Geiler氏がハロウィンの放送回に、
 かぼちゃマスクと全身タイツ姿で『ゴーストバスターズ』のテーマに乗せて即興で踊ったダンスを基にした動画)
と組み合わされた結果『閃光のハサウェイ』主題歌「閃光」のスピード感と妙な親和性の高さを発揮してしまい、
この「 連邦に反省を促すダンス 」或いは「マフティーダンス」は新たなネットミームとしてバズり、多くのフォロワーを生んだ。
中にはこのダンスの振付一つひとつに宇宙世紀への問題提起と反省を促す意味があるのだと怪文書を書き散らす熱烈なフォロワーも存在した。
挙句、何か気に入らない事があるとかぼちゃマスクを関係者の顔と置き換えて踊り狂わす「〇〇に反省を促す」動画が量産される事にもなった。

先述の台詞はそれぞれマフティー所属のガウマン・ノビル、同作の主人公であるハサウェイ、
そしてマフティーと敵対する連邦軍・キルケ―部隊のエース、レーン・エイムのものであり、
動画の途中で三人のやり取りが突如差し込まれ、ごく自然にダンスに移行するのがこれら派生作品のお約束となっている
(マフティー構文の初出は『ウマ娘』のトウカイテイオーと『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の黛冬優子を絡めたネタ)。
挙句に公式も『UCエンゲージ』のCMにてガウマンとハサウェイの中の人である津田健次郎氏と小野賢章氏を顔出し出演させ、
「やってみせろよ!UCエンゲージ!」「(ながらでも)なんとでもなるはずだ!」等と言わせる始末。
なお残念ながらレーン役の斉藤壮馬氏は出ていない。そこは彼が「もらえるだと!?」と締めるべきじゃなかったのか

こうした偽マフティーの流行は皮肉にも『閃光のハサウェイ』本編における、本物のマフティ・ナビーユ・エリンの扱いとも符合する。
本物のマフティー・ナビーユ・エリンである人物は、何か行動を起こさねばならないと思いつつも、
マフティーの掲げる理念そのものを信じておらず、かといってそれ以外の理念を見出す事ができず、
マフティーに疑問を抱く人々への反論をする事もできず、ただそれでも何かをしなければと足掻く若者に過ぎなかった。
そしてそれ故に、結果的にマフティーは以降の宇宙世紀には何一つ足跡を残す事ができなかったのだ。
人々は瞬間的な流行として、マフティーという存在の上っ面だけを見て騒ぎ、深く考える事もなく、そして忘れていった。
だが本物のマフティーである人物は、ただ無意味で無価値な存在だったわけでは決してない。
彼は、マフティーではない彼と深く関わった人々の心にだけ、鮮烈なものを残して消えていった。
とは似て非なる……閃光のように。

こちらは真面目なMAD

+ ゲームにおける偽マフティー
『Gジェネレーション』シリーズにおいては「ハイジャッカー」名義で、
閃光のハサウェイのシナリオが再現されている『GジェネF』『Gジェネ魂』『Gジェネジェネシス』の全作品に登場している
(尤もハサウェイがケネスとギギに出会うきっかけになった出来事なので外せないエピソードだからだろう)。保健衛生大臣はモブグラだったけど
『Gジェネ魂』においてはちょい役NPCながらステータスもあるのだが、
射撃・格闘・反応といった戦闘用のステは最低値の5、指揮・通信・操舵・整備・魅力といった補助用のステは全て最低値の1という始末
(戦闘用のステが全て5のキャラは他にもいるものの、NT装備を使用するために必要な覚醒が高かったり、指揮等の補助ステが優秀だったりする)。
これがどれくらい酷いかというと『機動戦士ガンダム0080ポケットの中の戦争』に出てくる主人公アルの同級生である小学生の子供達よりも酷い
(彼らは戦闘用ステは一律5だが補助用のステが全て5であるため)。
この頃から既にネタキャラ扱いだったかもしれない


「よくしゃべるッ……!」


MUGENにおける偽マフティー

2023年のハロウィンにaxois氏による手描きキャラがまさかのMUGEN入りを果たした。本物の方はまだMUGEN入りしてないと言うのに
主にアサルトライフルを乱射する遠距離戦が得意な性能をしている。
また、保健衛生大臣や仲間のハイジャック犯をストライカーとして呼び出す技も持つ。
超必殺技ではギャプランに搭乗してメガ粒子砲を浴びせたり、連邦に反省を促すダンスで広範囲攻撃を行ったりする。
AIもデフォルトで搭載されており、対応ランクは狂ランク全般との事。



出場大会

  • 「[大会] [偽マフティー]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
これまでの戦乱における反連邦系の組織のトップエース=同組織の首魁というパターンから忘れられがちだが、
これはハサウェイがマフティーに入ってからめきめきと頭角を現した事から象徴的存在とされたのであり、
真のリーダーはインチキ医者という意味を持ったコードネームの人物、クワック・サルヴァーである。
この人物は連邦軍地球方面軍の要職についていた将軍であり、こと補給と兵站の管理に関してはやり手ともされ、
アナハイム・エレクトロニクスとのパイプも持っている事から、連邦軍と互角の高性能機を保有出来た程の辣腕もあり、
「閣僚か官僚のトップの中で、一番良質な頭を持っていて短気な奴がクワック・サルヴァー」というのがケネスの見立てでもあった。
一方のアナハイム側も反連邦勢力への関与の疑いを避けるために、マフティーの量産機であるメッサーは、
外装からして徹底的に偽装を施す等もしており、同組織のフラッグシップ機たるΞガンダムも出所不明とされていた。

マフティー加入以前のハサウェイは自らの手でクェス・パラヤを殺めて以降は、全体に溶けた残留思念となったクェスに苦しむ程の鬱状態に陥り、
鬱の治療がてら植物監察官の候補生として地球に降り立ち、そこで恋人が出来たり地球の自然環境に感動した時にクワック・サルヴァーと出会い、
下記の通りの現状を教えられたり、シャアの経歴を学ぶなどして次第に政治的活動にのめり込むようになって現在へと至る。
また小説の『閃光のハサウェイ』は設定が異なり、前作に当たる小説『機動戦士ガンダム ベルトーチカ・チルドレン』にはチェーン・アギは登場せず接点も無い。
代わりにヒロインとなっているのがベルトーチカ・イルマだが、彼女は生存している。

*2
なお、経緯だけを見ればハサウェイがヒーローのように思えるが、彼が地球へ降りてきた目的も連邦高官の暗殺(保健衛生大臣も当然標的)であり、
ハウンゼンに搭乗していた理由も「最後に殺す相手の顔を見たかった」という偽マフティーより遥かに狂ったものだった。
ただし、ハイジャック犯の凶行に対するハサウェイの怒りや嫌悪感もまた本物であり、この辺りからも彼の複雑に壊れてしまった内面が窺える。
また、一見するとマフティーはスペースノイドの味方だと思われているが、その本来の主張は「全ての人類が地球を離れて宇宙で暮らすべき」という物で、
かつてシャア・アズナブルがネオ・ジオンを率いて掲げていた思想を受け継いでいるとも言える。
これまでに行ってきた連邦政府の閣僚達の暗殺も、特権階級を地球に帰還させる事を正当化する法案の成立を阻止するのが目的に過ぎない。
このようにマフティーの理想・活動目的は「連邦に虐げられている人々を救う」などという物では無いのだが、
そうした部分は地球・宇宙の双方で殆どの大衆に正しく伝わっておらず、本来の意味での賛同者・支持者は極めて少ない。
それこそ、連邦の走狗である「マン・ハンター部局(以下マハと略。アメコミヒーローヴィランとは無関係)」に対しても、
その余りに強権的な活動が広く知られているにも拘らず「地球に不法滞在するスペースノイドを宇宙に強制送還するのが仕事」だという事で放置しており、
フィリピンの現地住民からは疑問と不満を抱かれていた程である。

マハは『逆シャア』の舞台である宇宙世紀0093年から存在しており、仮にも警察機構を名乗りながらも軍用車両はおろか、
型落ち品とは言えどモビルスーツまで保有し、不法滞在者や不穏分子と見做した人間なら居住許可証持ちでも遊び半分で逮捕・拘束、
市街地でも容赦無く発砲したり寝込みを襲う等と、周囲への被害も気にしない程に腐敗している上、
民間人が金を支払う事により、殺人体験までさせてくれるという過激な噂まで流れている程である。
挙句、富野監督の小説作品『ガイア・ギア』某三十路のMAX2ではないというか多分ネタ元では、
リヒャルト・ワーグナーの狂信者の将校による「ワーグナーを愛せるようなエリートによる理想国家の建国」という野望の下、
敵対陣営のメタトロンはおろか弱体化した連邦正規軍にも牙を向く有様であった
(メタ的には『ガイア・ギア』が初出であり、その後に製作された『逆シャア』に逆輸入される形で盛り込まれている)。

ちなみに0096年を舞台とした『ガンダムUC』には通称としてマンハンターと呼ばれる連邦軍の特殊部隊が登場したが、
彼らは高い練度と磨き上げられた職業意識を持ち合わせた「本物のプロ」の軍人達であり、
どんな命令であっても淡々と遂行する様を揶揄したものであって、ここで言うマハとの繋がりは無い。
それから数十年後の未来である『Vガンダム』でもマハは存在していたが、この頃は連邦の権勢がすっかり堕ちていた影響からか、
規範までもが曖昧になり、ウッソ・エヴィンをはじめとしたカサレリアの住民に対しても「同じ人類なら」と取り締まりは行わずスルーしていた
(更に言えばリガ・ミリティアの重要人物であるオイ・ニュング伯爵も元マハであり、
 『F90 ファステストフォーミュラ』ではハウゼリー・ロナ宛てに反連邦組織に関するレポートを纏めて提出していた)。

*3
かつてのティターンズが開発した可変型モビルスーツ。
強大な推進力を持つため一般のパイロットでは扱い切れず、強化人間専用とされていた。

なお、一般兵でも扱えるように再設計された後期型が存在しており、それを操るのがあのヤザン・ゲーブルである。
こちらは急遽設計された弊害で全天周囲モニター下方に死角が出来てしまい、動きが硬いとも言わしめたのだが、
それでもΖガンダムを追い詰めたほどの凄腕。
終盤では敵も味方も強豪パイロットはニュータイプ(新人類)か強化人間だらけで、
オールドタイプ(旧人類。と言っても、ニュータイプから見た旧人類=現人類だが)はまるで相手にならないという状況下でも、
なお脅威とされ続けた伝説の強豪めいた男であり、彼を一般兵のカテゴリーに入れていいものか議論が尽きない。
実際、それ以降の回ではクワトロ大尉が駆る百式を大気圏に叩き落したりもした(Zガンダムが居なければ燃え尽きていた)。
まぁネタ的には「古い地球人(『ガンダムΖΖ』のOPより)」が持つ「野生の勘」と言った所だろう
(宇宙世紀ではない『ガンダムAGE』では、ニュータイプに相当する「Xラウンダー」に対し、
 自身もXラウンダーである人物(ラスボスの師匠)が「人類の退化(野生化)」と忌み嫌っているという描写が存在する)。

劇中ではハイジャックのため偽マフティー一行を輸送しただけでモビルスーツ戦までは行わなかったのだが、
そのパイロット(強化人間orヤザン級のエース)の調達もこの組織はどうやったんだろうか。
宇宙世紀105年でも現役パイロットやってたヤザン本人じゃないだろうな……
まぁ『ガンダムUC』でも娼館市井に強化人間が隠れていた訳だし、探せば見つかるのだろう。
と言うか前述の通り「輸送しただけ」なので、一般パイロットだった可能性も十分有り得る
(強化人間でなければ耐えられない動きなんてしたら、パイロットが気絶する前に偽マフティー一行がミンチになる。え、アニメだから大丈夫?)。
なお、身の丈を上回る程の増槽兼長距離ブースターを装備すれば大気圏離脱が可能な機体でもある。

ちなみに、原作小説でベースジャバー(MS輸送機)だった物がギャプランに差し替わった件について公式のスタッフの回答によると、
「本作の登場MSが少なすぎるため、どうにか増やせないか皆で検討した結果、高高度で運用出来るギャプランに白羽の矢が立った」
「機体はどこかの基地に組立途中で放棄されていた物を引っ張り出したので塗装が中途で、色もロールアウトカラーの緑のまま」
と説明されている。つまり、元々は「ギャプランを運用できるようなパイロットを抱えた組織」というわけでは無かったのである。
オエンベリのあるオーストラリアは『ガンダムUC』であの旧式MS大同窓会があったトリントン基地がある事や、襲撃者の中にはマラサイもあっただけに、
ギャプラン一機位なら確かにどこかに放置されてそうだなと一瞬思ってしまう程ガバガバ管理の連邦軍に反省を促したい


最終更新:2024年02月25日 00:53