ワードナ


"W E R D N A casts Tiltowait"

(ワ ー ド ナ は ティルトウェイトを唱えた)

コンピュータRPGの古典的名作『Wizardry』シリーズの登場キャラクター。
登場作品はシナリオ#1と#4。
長いひげを生やした老人の魔術師。#4の時点で100歳である。多分宿屋でレベル上げようとしたら老衰でロストする
名前の由来は製作者の一人アンドリュー・グリーンバーグ(Andrew Greenberg)氏のファーストネームを逆さに綴ったもの(Andrew→Werdna)。
後述のOVA版では 内海賢二 氏が演じた。

なお、タイトーのアクションゲーム『ワードナの森』はスペルがWardnerなので無関係。
日本版Wizのビジュアルデザイナーである末弥純氏に『ワードナの森』の絵を描かせるという大胆極まりない企画が通ってしまった事もあるが


シナリオ#1「狂王の試練場」におけるワードナ

狂王トレボー*1から魔除け(アミュレット)を盗んだ悪の魔術師。*2
アミュレットを手にしたワードナは、トレボー城砦の近くに10層にも及ぶ地下迷宮を建造してその最下層に立て籠り、
プレイヤーキャラであるアミュレット奪還の命を受けた冒険者達と戦う。
所謂ラスボスポジションの敵である。*3

普通にゲームを進めると対決するのはおおよそレベル13前後。
このレベル帯だとワードナの唱える最強攻撃魔法「ティルトウェイト」の一撃でパーティーが半壊するほどのダメージを受けてしまう。*4

ラスボスらしからず敵の呪文使用を封じる僧侶呪文「モンティノ」が効く事があるので、これで何とか呪文を封じたとしても、
今度は毒(毎ターンダメージ)、麻痺(一切の行動不可)、石化(一切の行動不可。麻痺よりも高位の治療呪文を使わないと復活出来ない)、
4Lvエナジードレイン(一気に4レベル下げられ、失われたレベルは戦闘後も戻らない)、
そしてクリティカルヒット(発動すると残りHP関係なく即死)の追加効果を持つ物理攻撃により、
パーティメンバーを前衛から一人ずつ無力化させながら追い詰めてくる上に、お供として引き連れているヴァンパイアロードとヴァンパイアも相当な強敵。

ただしこちらの魔術師もティルトウェイトを習得可能なレベルなので、
ワードナよりも先にティルトウェイトや、
これまたラスボスらしからず即死呪文が効く事があるので、僧侶が覚える単体即死呪文「バディ」、
単体瀕死呪文「マバディ」(敵の残りHPを一桁まで削る)を唱えられれば、
呪文を無効化されてしまう可能性はあるものの、相手を追い詰める事も出来る。

当てにはできない低確率ではあるが、アンデッドモンスター1匹を破壊する呪文「ジルワン」を冒険者に向けて唱えてくる事があるので、
これをやってくれれば1ターンパスしてくれるのも同じ(冒険者側には不死系モンスターなどいないので誰も被害を受けない)。
だが、この幸運を引き当てるまでリセットを繰り返すよりは、まともにレベルを上げた方が早いだろう。

最後の手段として、唱えるには13レベル以上が必要、かつ唱えた者は1レベル低下してしまうが、
奇跡的な効果をランダムで得られる呪文「ハマン」か「マハマン」によって「モンスターをテレポートする」を引き当てる事が出来れば、
相手がラスボスだろうと強制勝利出来る(こちらは敵に呪文無効化される事が無い)ので、これで無理矢理勝ちをもぎ取る事が出来る。
また「敵の呪文を確定封印」「敵の呪文無効化能力を消去」などの効果を引き当てればかなり有利になるため、
3/5ないし3/7で戦局を覆せることを考えれば、対ワードナ戦におけるハマン・マハマンの使用は十分考慮に値する戦術である。
レベルを上げてパーティが強くなっていく様を楽しむゲームで自ら1レベル低下を選ぶのは厳しいペナルティだが、
前述のように一発で4レベル下げられるエナジードレインを使う相手だという事を考えると、逆に安いと考えられなくも無いのが恐ろしい……。

ちなみにラスボスではあるものの、アミュレットを所持していない、あるいはクリアの証明である「称号」を持ったキャラがいなければ、
いくらでもワードナと戦う事が出来る。
そしてアミュレットもその度に取得出来るので、迷宮の入り口にアミュレット保管用のキャラを一名常駐させ、
そいつにアミュレットを預けてワードナと繰り返し戦い、アミュレットを全員分揃えるなんて荒業が可能
(機種によっては称号を持っていてもワードナが出現し、アミュレットの量産が可能)。
なんでわざわざこんな事をするのかというと、彼の持つアミュレットは持たせているだけで、
  • 戦闘中毎ターン、フィールドでも一歩動くごとにHPが自動回復(しかも他の自動回復アイテムの5倍の回復量)
  • 全状態異常及びクリティカルヒット、エナジードレインに対する完全耐性獲得
  • 全モンスターから受ける物理攻撃の緩和(体感的には分かりにくいが、1/2の確率で攻撃を無効化する)
  • 敵から受ける呪文ダメージの緩和(機種によっては、この効果を全員が持っていると敵が全く呪文を唱えてこなくなる
  • 炎属性・氷属性ダメージの緩和(当時はこの二つしか属性は無く、続編などに登場する際は「ゲームに存在する全属性を緩和」になる事もある)
  • 敵から受けるブレス*5によるダメージの緩和*6
  • テレポート呪文「マロール」が無限に使える
  • スペシャルパワー解放でパーティー全員のHP全快(こちらも使用回数無制限)
という、正に公式チートアイテムだからである。
また、通常は城に持ち帰った瞬間エンディングが始まって没収されてしまうのだが、なんとか手を尽くして(手段は移植された機種によって様々)城に持ち込み、
商店に売却すると4999億9999万9999ゴールドで売却出来る
(冒険者が豪遊するとしても宿屋の最上級の部屋が7泊で500ゴールド。6人が100年泊まったとしても1560万ゴールドしか使えない)。
呪われている(一度装備すると基本的に外せなくなる)ため商店の棚には並ばないので買い戻す事は出来ないが、
設定されている購入額*7は9999億9999万9999ゴールド。
普通に売買される事は無いはずの品なので、ゲーム中に設定出来るカンストの数値を設定された模様。

アミュレットの力に魅入られ、それを手放す事なく迷宮を徘徊するようになった冒険者達は、
もはや第二のワードナと言ってしまっても良いのかもしれない…………。

7:15頃
おじいちゃんの本気

いずれにせよ最終的にワードナは倒され、アミュレットも奪い取られる事となる。
しかしその遺体はいかなる手段を用いても破壊する事が出来ず地下迷宮に封じられた……。


シナリオ#4「ワードナの逆襲」におけるワードナ

「フッフッフッフッフ、墓守の諸君、
 復讐とアミュレットを求め、わしは今ここに蘇った!」

そしてシナリオ#4「ワードナの逆襲」ではなんと主人公として登場する。
死後もアミュレットへの執着が消えずに蘇り、アミュレットを取り戻すべく地下迷宮から地上を目指すというストーリー。
プレイヤーが魔王で、魔物達を率いて勇者をやっつける」という構図のゲームは近年ではよく見られるようになったが、
この作品はそうした作品群のルーツの一つと言えるだろう。
復活したワードナは見る影もなく弱体化しており(しかも復活当初はHP1、スタート地点のすぐ近くで回復しても初期値は10)、
呪文も初歩的なものしか使用出来ず*8
かつては使えた僧侶系呪文は全部忘れているので自力でHPを回復できず(しかも覚え直す事はできない)、
多彩な追加効果を持っていた物理攻撃も数ポイントのダメージを与えるだけのものとなっている一方で、
敵となる冒険者達は異常に強く*9、迷宮の謎はもはや異常という言葉ですら生温いレベルで、罠が至る所に仕掛けられている。
中でも「コズミックキューブ」と呼ばれる区画は、「階段を上がったと思ったら下の階に降りていた」なんて事もある、全RPG中でも屈指の攻略難易度。
その結果、せっかく復活したのにあっという間に為す術も無く殺されるという悲惨な場面が続出した。
復活時間20数秒どころか、下手すりゃ一歩動く前に殺されている
+ その理不尽な死に様の数々
  • 基本事項
    • 迷宮を歩いていると狂王トレボーの幽霊がうろついており、接触すると死亡。
      ゲーム後半でトレボーの霊を成仏させるイベントがあり、それまでは突然の死に悩まされつつ進行しなければならない。
  • 戦闘関連
    • ゲーム開始の地点のすぐ側に最初の魔方陣があるのだが、そこに辿り着くまでにランダムエンカウントで冒険者と遭遇する事がある。
      上記のようにHP1、呪文無し、配下モンスター無し。逃走に失敗したら死亡。
    • 地下10階(最初のフロア)のボスキャラ「アウターガーディアン」は攻撃呪文マハリトを使う。
      この呪文は4~24ポイントのダメージを受けるのだが、この時点のワードナの最大HPは10。唱えられたら死亡。
    • 冒険者達が7レベル以下の敵全員を確殺する呪文マカニトを使う。その頃ワードナはまだ8レベルには届かないので唱えられたら死亡。
      このゲームは経験値を溜めてレベルアップという事はできないので、しばらく危険すぎる冒険を続けなければならない。
    • 当然ながら、冒険者の忍者はクリティカルヒット(即死攻撃)を使う。喰らったら死亡。
    • 冒険者達が即死呪文ラカニトを使う。『ドラクエ』のザラキのような呪文。喰らったら死亡。
    • 核撃呪文「ティルトウェイト」を名乗る冒険者が出てくる。『ドラクエ』で言えば「イオナズン」という名前の魔術師、
      『ファイナルファンタジー』で言えば「メガフレア」という名前の魔術師という感じの謎の人物である。
      そいつが本当にティルトウェイトを唱えてきて死亡。「TILTOWAIT は TILTOWAIT を唱えた 君は 殺された!」の表示に呆然。
    • このゲームは重要アイテムが大量にあるのだが、戦闘中に冒険者の盗賊が盗んで逃げていく事がある。重要アイテムでも容赦無く。
      盗まれたらまた入手イベントの場所まで戻らねばならない。
      また、大量のアイテムを内包できる「ブラックボックス」というアイテムがあるが、それを丸ごと盗まれる事すらある。
      他のゲームなら「ブラックボックスに入れておいたアイテムは盗まれない」などの救済措置があるのだろうが、このゲームはそんな甘い代物では無かった。
    • コズミックキューブは構造の難解さが有名だが、ここで出てくる冒険者達は最強の呪文を惜しみなく連発してくる。どれもこれも喰らったら死亡。
    • ……などなど、苦難の限りを続けて行く間にトレボーに捕まって死亡。
  • イベント関連
    • 踏み込むとダメージを受ける地雷原の中に重要なアイテムがあるのだが、どこが地雷なのかは踏み込んでみるまで分からない。
      そして前述の通りワードナはHP回復呪文を使えない。マッピングしていたらHPが尽きて死亡。正に「死んで覚えろ」である。
    • 地雷地帯の中に泉があり、HP回復の泉かと思って飛び込んだら酸の泉で死亡。
      耐え切れれば重要アイテムを入手できるが、つまり地雷原の中で被害必須のイベントである。
    • 迷宮内にジグラットというピラミッド型の建物があり、外周部を移動するのに飛び降りてダメージを受けながら行かなければならない。
      そのためHPが尽きたら容赦なく死亡。普通のゲームならまだ分からないでも無いが、このゲームは移動中にHPを回復する呪文を使えない。
    • ジグラットの祭壇に捧げ物を置くイベントで捧げるアイテムを間違えたら死亡。
    • 地獄の中に突入して重要アイテムを取ってくるイベントがあるのだが、
      その時必要なアイテムが揃っていなかったらそのまま地獄の業火に焼き尽くされて死亡。
      ……ところで#5の地獄では突入しただけで死亡はしないんだが。
    • ある場所に踏み込むと「永遠に通じる新しい道に踏み込んだようだ」と表示され、それ以降一歩も動けない。
      「脱獄カード」というアイテムがあると一歩戻れるので脱出できるが、持っていなければ詰む。モノポリーの監獄が元ネタのイベント。
    • 難易度を極めた構造の迷宮「コズミックキューブ」。ワープゾーンが大量に設置され、階段の上下が一致しないとてつもない複雑さであり、
      ここのマッピングを終えないとゲームクリアへのヒントが見つからない。
    • ……などなど、苦難の限りを続けて行く間にトレボーに捕まって死亡。
  • アイテム関連
    • 不確定名が「USE ME(使って)」というアイテムがあるのだが、装備すると呪われてHPが自動的に減っていき死亡。罠アイテム。
    • 手榴弾で壁を吹っ飛ばすイベントがあるのだが、その手榴弾が呪われており、間違って装備すると取れないまま爆発して死亡。
      正しく使えばきちんと設置してイベントを進められる。
    • 冒険者「トーリン」を殺すとカード「モルドールチャージ」が手に入る(トーリン、モルドールいずれも元ネタはトールキン作品)。
      これは、迷宮を徘徊する御言葉師MRONから神託(ゲーム攻略のためのヒント)を無料で聞くことができるようになるアイテム。
      本来は有料のところを、他人名義のクレジットカードを使って代金を支払うわけである。まさに戒律:極悪。
      しかし、15%の確率でそれが発覚し、MRONから制裁を受けて死亡。
    • メイジマッシャーという魔術師殺しの短剣があるのだが、#1では魔術師は装備できなかったこの短剣を何故かワードナは装備できる。
      もちろん装備すると呪われてHPが自動的に減っていき死亡。
    • ロード(僧侶系呪文を使える戦士。他のゲームで言えば聖騎士などにあたる)だけが装備できる、
      「ガーブオブロード」(君主の聖衣。聖なる鎧とも)という神聖防具があるのだが、何故かワードナが装備できる。
      やった最強防具だ! ……とは行かず、悪の魔術師が神聖防具を無理矢理装備した所で聖なる力が得られるわけが無い。
      呪われた挙句、本来の常時HP回復効果が逆に常時HP減少に転換され、最終的に死亡。
      ……ところでこの装備、#1では悪のロードが装備しても別に呪われたりしなかったんだが。
    • 侍だけが装備できる最強の武器「ムラマサブレード」を入手できる……が、ワードナは装備できないので何の役にも立たないゴミアイテム。
      召喚したモンスターの侍に装備させる事は出来ない。
    • ……などなど、本筋とあんまり関係無いところで四苦八苦してる間にトレボーに捕まって死亡。
  • モンスター関連
    • ワードナの前には3グループのモンスターを配置し、ワードナは4列目に位置する。しかし冒険者は4列目のワードナをいきなり直接攻撃できるため、
      実はモンスターは肉壁にもなっていない(一応、攻撃される確率が少なくなると言う意味での壁にはなる)。
    • 敵冒険者逹は正面から立ち向かっても勝ち目が無いほど強い者ばかりなので、配下のモンスター逹は麻痺・石化・即死攻撃を持つ者が望ましい。
      アンデッドモンスターに多いのだが、アンデッドは僧侶のディスペルで一瞬にして全滅する。
    • 敵冒険者があまりにも強すぎて恐れをなしたか、#1では強かった魔神マイルフィックや不死王ヴァンパイアロードがワードナを見捨てて逃走する。
      後述のメディアミックス作品で題材になった彼らは非常に強くかっこいいのだが、この醜態を見ると泣けてくる。
      特にアドリアン!お前だけは信じてたのに!!
    • コズミックキューブの中に、最弱クラスのモンスターを強制的に召喚させられる魔方陣が存在する。
      そこに踏み込むとそれまで召喚していた最強のモンスターとはお別れ、戦力は一気に激減。そこに容赦なく襲いかかる冒険者達……。
    • ……などなど、苦難の限りを続けて行く間にトレボーに捕まって……の前に冒険者にやられて死亡。
  • 最終イベント
    • 最後に立ちはだかる最強の冒険者パーティー「ソフトーク・オールスターズ -1」の5人を撃破し、さらに先に進むと、
      先述の軍団が「-1」であった理由が明かされる。通常6人で構成されるパーティーが5人、つまり一人メンバーが欠けていたのだ。
      その最後の一人である最強の忍者ホークウィンドはありとあらゆる攻撃が全く通じず、挙句ワードナの前で昼寝をしたり、寿司の出前を注文したり、
      ペットのドラゴンに寿司を食べさせたりとやりたい放題の挙句、ワードナを捕縛して神への犠牲に捧げてしまい、ワードナ死亡。

      これは特殊なイベント戦闘で、あるモンスターを連れていなければ絶対に勝つ事は出来ない。
    • ここまでのありとあらゆる苦難を越えて、遂にアミュレットをその手に掴んだ瞬間、アミュレットの力に体が耐え切れず死亡。
      アミュレットの強大なパワーから身を守るためのアイテムが必要だったのである。
      ……ところで#1ではそんな事は無く、冒険者達は普通に装備可能だったし、むしろHPが回復する効果があったんだが。
      • 実はその経緯は#4の説明書に書かれたストーリーがヒントになっている。
        #1の経験だけで考え、説明書を読んでいなかったプレイヤーへの最後の罠だったのだ!
    • それをも越えてようやくアミュレットを取り戻し、遂にエンディングを迎える。あるいはカドルト神に成り代わって新たな神となり、
      あるいはトレボー亡き後の城塞都市の王となり……しかし常にワードナは思う。何か忘れた事は無いか?
      そう、実はこれでもまだ真のエンディングには至っていない!!
    • ……かくして二周目のプレイが始まり、苦難の限りを続けて行く間にトレボーに捕まって死亡。

しかしその遺体はいかなる手段を用いても破壊する事が出来ず地下迷宮に封じられた。
死後もアミュレットへの執着が消えずに蘇り、アミュレットを取り戻すべく地下迷宮から地上を目指す。
……要するにゲームスタートからやり直し。いっそ殺して。*10
業界一死にやすい勇者がこの人なら、こっちは業界一死にやすい悪の魔王である。


マルチエンディング制になっており、暴君として君臨したり、良き王として名を残したり、神の座に就いたりと、
様々な運命が分岐はほぼノーヒントでワードナを待っている。
ベストエンドでは世界の真理を悟った賢者となって、アミュレットを創造者に返還すべく旅立っていく。
ただし、ベストエンドに辿り着くには日本人はまず知らない幅広い宗教知識を問われる*11上に、
アミュレット入手時にも性質の悪い罠が二重で仕掛けられているため、一筋縄ではいかない。
また、家庭用のアレンジモードでは登場するアイテムを全て揃えると魔女のババアと無理矢理結婚させられるという、
嫌すぎるバッドエンディングが新たにもう一つ加わった。

PCエンジン版
PS版(ゆっくり実況)


メディアミックス作品におけるワードナ

『ウィザードリィ1』は多くのメディアミックスがなされており、ワードナもちょくちょく登場している。

最も著名な派生作品である小説『隣合わせの灰と青春』では、ダンジョンの最奥に君臨する恐るべき魔術師という点は同じだが、
既にアミュレットにその魂を封じており、事実上の故人であるという衝撃の真実が明かされた。
トレボーの野望とアミュレットの力を警戒したワードナは、どうにかして世界を守るためにアミュレットを封じねばならなかったのだ。
そしてワードナの側近であるヴァンパイアロードは、ワードナから「死ぬ事ができる」力を授かったことで彼に終生仕える事を誓っており、
ワードナの目的であるアミュレット封印のため、より強い冒険者が最下層に辿り着くよう迷宮を運営していたのであった。
終盤、主人公パーティによってワードナは打倒され、その影響で真の脅威である魔神マイルフィックが復活してしまうのだが、
ワードナの遺志を託された主人公達とヴァンパイアロードは一致団結してマイルフィックに挑む、という流れとなる。
そして生還した主人公達はトレボー城塞を訪れて、アミュレットが100個に分割された事を報告。
さらに村正を用いてトレボーの心臓付近に傷をつけ、興奮して破裂しないよう穏やかに統治を続けることを忠告して旅立った。
無論、パーティメンバーの一人がアミュレットの欠片を一つ持ち出しており、これを何処かに隠した事で、
アミュレットが完全な力を取り戻す危険性は完全に失われた。
その後、ダンジョンと城塞都市は相変わらず賑わっていたのだが、そこにリルガミン王国から聖剣ハースニールを求める若き騎士が訪れ……。
物語は100年後を舞台にした『風よ。龍に届いているか』に続くのであった。

上記の小説の著者であるベニー松山氏が協力している石垣環氏の漫画版『ウィザードリィ』では、
物語の開始から20年ほど前、侵略戦争の最中に窮地に陥った狂王トレボーの前に忽然と姿を現し、
「古き者」と総称される人外のモンスターを召喚し、トレボーを包囲する五ヶ国連合軍を一夜のうちに壊滅させてみせた魔術師として登場。
褒美として領地を授かったワードナはトレボーの魔除けを盗んで領地に築いた迷宮に立てこもったため、
トレボーはワードナ討伐のお触れを出し、それによって名誉や褒美を望む腕自慢たちが冒険者として城塞都市に集うようになった。
それから20年、ワードナは今も迷宮の主である。既に幾度となく冒険者によって斃されているにも関わらず。
そして、トレボーは冒険者がワードナを斃して魔除けを持ち帰るたびに褒美を与えている。20年間ずっと。
そのうちに、ワードナを斃した冒険者は再度迷宮の奥までたどり着いてもワードナに会えないという現象まで知られるようになる。
……実のところ、これらは全て原作再現なわけだが、作中世界の住人にとっては当然不可思議極まりない現象であり、
しかし誰もこの謎を解き明かすことができないまま時は流れ続け、やがて物語が始まることになる。
+ それほど「真実」が知りたくば教えてやろうぞ
その正体は、トレボーの影と言うべき非実体の存在。

この世界を見下ろす意志(一人称「私」)は楽園のように平和なゆえ変化の無い世界を退屈に思い、
世界を変えるべく試行錯誤を繰り返した結果(その過程で、今や一大勢力となった「人間」種族がこの世界に姿を現した)、
とにかく急激な変化を望んだ「私」は「戦いによって進化を促す」という方針を選んだ。
そのうちに人間の中から現れた狂王トレボーは「私」の想像以上の存在であった。しかしそれが災いしてトレボーは自らを窮地に追い込み、
稀代の逸材がこのまま失われることを惜しんだ「私」はトレボーの中で抑圧されていた防衛本能を抽出し、ワードナを創り出した。
それ以後のワードナの行動は上記の通りだが、それらは人の進化の促進という「私」の目的のための行動であり、
人を鍛えるための戦場として古き者で満ちた迷宮を築き、人を集めるための目標としてトレボーの魔除けを盗んだのである。

しかし、トレボーはここでも「私」の想像を超えたのであった。
トレボーはワードナが自分自身の影であると看破したのみならず、その背後にいる「私」の存在まで察知し、全てを吸収して自己と化した。
これによって、トレボー、ワードナ、世界を見下ろす「私」、この三者は同一の存在になった
(原作ゲームにおいても、トレボーとワードナはゲームの制作者の名前から取られているので、ある意味これと同様の関係と言える)。
こうしてトレボーは、迷宮にワードナと魔除けを配置し、ワードナを斃して魔除けを取り戻すという冒険を行わせることで、
「私」の目論見である「戦いによる進化」を人に起こさせてきたのである。

これが、「狂王の試練場」の真実である。

大出光貴氏による『小説 ウィザードリィ〈1〉狂王の試練場』でもラスボスとして登場。
本作のワードナはやはり悪人であり、トレボーの宮廷魔術師であったがアミュレットの力に目が眩んでこれを強奪した。
さらに地下10階で対面した主人公達に「貴様らもこの護符が欲しいだけだろう?」とWIZプレイヤーの痛い所を指摘する。
主人公パーティの中にはかつてワードナに挑むも返り討ちにあい、たった一人だけ生き延びた戦士ノーディックがいたのだが、
彼は10階でワードナと対面した時、今までずっと胸に秘めてきた思いをぶつける。
自分は二十年前、宮廷魔術師だったお前と貴族の娘との間に生まれた子供なのだ、と。
しかしこれに対しワードナは「それでどうしろというのだ、息子よ。生きてまた帰りたいのか? 親子の情けでも期待しておったのか」と嘲笑。
そして激高したノーディックが命と引換えに放った一撃によって護符を握る右手を斬り飛ばされ、ワードナは敗北した。
その後、仲間を失いながらも生還した主人公達はトレボー城塞に忍び込み、護符を携えてトレボーと対面。
護符に執着するトレボーによって父を死に追いやられた主人公は復讐を考えていたが、ここにいるのはただの哀れな老人であると見限り、護符を両断。
トレボーは自らの尊厳を守らねばならんと狂乱して剣を抜き、立ち去ろうとする主人公目掛けて斬りつけ、村正の露となったのであった。

竹内誠氏による短編連作小説『ウィザードリィ異聞 リルガミン冒険奇譚』では、短編の一つにワードナが登場。
ワードナ討伐後の地下迷宮を舞台に、侮られている職業の評価を覆そうと転職せずに奮闘する熟練の盗賊が、
地下10階の隠し通路を辿った最奥にて、いつかの復活に備えて力を蓄えているワードナの霊と遭遇、対決する。
また、別の話では復活後に賢者となる真エンドを経た後、世界の守護者「ゲートキーパー」となるが、
弟子である魔女ソーンに封印され冒険者の救援を待つ身となる
(ただし、後に発売されたアレンジ版#4では周回プレイによってワードナがゲートキーパーを召喚出来るようになり、
 さらに#1#4のトレボー城塞と#2#3#5のリルガミンを同一視する日本独自の設定だと、#5は#4の過去の話になっている)。

多摩豊氏による外伝小説『ウィザードリィ正伝 トレボーと黄金の剣』では、本編以前のワードナとトレボーの来歴が語られ、
若き日のトレボーによって父母を殺されたワードナが、復讐を誓ってアミュレットを狙うようになるまでが描かれている。

OVA版『ウィザードリィ』でもラスボスとして登場。
かつてはトレボーの宮廷魔道士であったがアミュレットに魅入られ、迷宮に立て籠もったとされている。
本作では純然たる大悪人で、アミュレットの封印を解いてさらなる力を手中に収めようとする一方、
ヴァンパイアロードに命じて、地下奥深くまで踏み込んだ冒険者を怪物に作り変えて自らの軍勢を強化し、
自身を止めに来た旧友である僧侶ジュウザすら手にかけるという冷酷さを見せ付けた。
……が、最終的にはマハマンによって呪文を封じられ、ムラマサブレードの真の力力+1を解放した主人公によって両断されるという、
原作再現な最期を迎えたのだった。

手塚一郎氏による小説『ワードナの逆襲』では視点が一転、「地下迷宮から脱出せんと迫り来るワードナから逃げ惑う冒険者達」の物語となっており、
ぶっちゃけワードナが凄まじく恐ろしい存在として描かれている。
これはこれで非常にかっこいいのだが、ゲーム本編と違いすぎる……

ちなみに本人ではないが、ワードナをモチーフにしたキャラは『ウィザードリィエンパイア』シリーズや『エルミナージュ』等にも登場している。
……っていうか、グラがまんますぎてそれでいいのかと言いたいレベル。

ゴブリンスレイヤー』の外伝作品「鍔鳴の太刀」でも、巨大な地下迷宮の主である何者かの存在が示唆されていたが、
その正体こそは迷宮の主を抹殺してすべてを我が物とした冒険者であったという、前述の第二のワードナをモチーフとしたラスボスが登場している。


TAS動画におけるワードナ

00:40~
Man in robes is Decapitated
(ローブを着た男は首をはねられた!)
上記のゲーム内容の紹介と、確率を操るTASさんの手が加わることでなんとなく察せられると思うが、
案の定、忍者のクリティカルヒット一撃で沈んだ。ラスボスであろうとも即死攻撃が効くRPG。これがウィザードリィ。
アミュレットでクリティカルヒットを無効化しているんじゃなかったのかよ…
なお、移動は宝箱の罠「テレポーター」のランダムテレポート*12の逆利用とアイテム「転移の兜*13」の使用、本来は大変な「忍者への転職」も、
「盗賊の短刀(スペシャルパワー解放で盗賊を忍者に転職させることが出来る)」を前述の転移の兜と共に宝箱から一発で引き当てる事で終わらせている。

+ 余談・他のウィザードリィシリーズのTAS動画
第二作目(ファミコン移植版は第三作)『ダイヤモンドの騎士』では、
宝箱の罠のテレポーターでどんどん迷宮の深部に突入し、転移の兜を使いながら通常の攻略順序を逆から回るという奇抜な攻略法を用いて突破。

第三作目(ファミコン移植版は第二作)『リルガミンの遺産』では、
やはり宝箱の罠のテレポーターで迷宮内を自在に飛び回り、重要アイテムをゲットして即帰還するという、
悪魔城の変態どもを彷彿とさせる攻略法を見せ、

さらにメモリ改竄で冒険の目的である、世界を救う宝珠が街の商店に0Gで売られているという状況を作り出して無理矢理クリア。
12.86秒で世界を救う様は、その時間を「1リルガミン」という単位にされてしまった。

第五作目『災渦の中心』でもやはりメモリを改竄し、会ってもいないラスボス・ソーンがいつの間にか殺されたことになっている。
1.0123マクシームという惜しい記録
旧記録。こちらの方が内容の説明が多い

『ウィザードリィ』はゲーム内のアニメーションは乏しく、文章によって描写される世界をプレイヤーが想像するのが楽しいゲームであるが、
これらのTAS動画で突破されていく迷宮の様子を想像すると、まさしく悪魔城クラスの変態共の世界が浮かび上がってくるのだ。
俺が遊んだWizはこんなんじゃねえ


MUGENにおけるワードナ

夫氏による、ファミコン版の一枚絵を使用したキャラが存在する。
夫氏の製作したキャラとしてはかなり初期のもの(ゆっくり魔理沙より前)にあたる。

常時アーマーで投げ無効と、後に夫氏が製作したさいごのスターマンと似たような性能。
ただしそちらと違い、動く事は出来ない。
「モンスターの体力はランダムで決まる」という仕様の再現として、ラウンド開始時に体力が3000~12000の間でランダムに決定する。
さらに「ヒーリング+5」の再現として5秒経過につき体力が50回復する仕様もあり、体力次第では非常にタフになる。

原作で使用した術に加え、20%の確率でクリティカル(即死)となる通常攻撃や、矢が発射される罠入りの宝箱を設置する技を使う。
これまた原作再現としてダメージはランダムで決定されるため、運次第ではかなりのダメージを叩き出す。
特に3ゲージ消費の「ティルトウェイト」は当たり方次第で500~600ほどの大ダメージ。

AIは未搭載だが、MUGEN本体の処理(AIが無い場合ランダムで技を出す)に任せても普通に戦える。
ランダム要素が強いとはいえ体力と攻撃力が高く即死技も持つため、強さは狂クラス相当と思われる。

出場大会

プレイヤー操作



*1
作品にもよるが、実はトレボーも狂王と呼ばれるだけあって大概だったりする。
その解釈も作品によってまちまち(詳しくは上項「メディアミックス作品におけるワードナ」を参照)だが、
「実はトレボーが悪の元凶だった」という展開はあっても「トレボーは善人だった」という話は無い。

ちなみに、狂王トレボーの名はもう一人の作者ロバート・ウッドヘッド(Robert Woodhead)氏のファーストネームを逆さにしたもの(Robert→Trebor)。
他作品でいえば『機動警察パトレイバー2 the Movie』等で耳にした方も多いだろう(同作の監督、押井守氏はWizardryのファン)。
おまけとして、みんな大好き(EXP的な意味で)マーフィーズゴーストはテストプレイヤーだった友人のポール・マーフィー氏からだそうだ。

*2
日本版『1』の説明書だと「戒律:極悪」と設定されている。
+ ウィズの有名テンプレ「道を渡るおばあちゃん」
ウィザードリィでは、プレイヤーキャラを作成する際に「戒律」(『D&D』でいう属性)というものを設定しなければならない。
善・中立・悪の3種類から設定可能で、この戒律によって就ける職業が変化する。
ただし、戒律は「戦いにおける信条」といったニュアンスであり、戒律が悪だからといっても必ずしもイコール悪人というわけではない。
しかし、犬猿の仲なのであろうか、仕様上「善属性のキャラと悪属性のキャラは一つのパーティーに編成混在出来ない」という制限があるため、
「善&中立」または「中立&悪」のキャラでパーティー編成をする必要がある(抜け道もあるが)。

で、日本語版が発売された時に、この戒律を上手い事説明するために作られた例え話がコレ。

問題
「交通量の多い通りで、あなたは道を横断出来ないおばあちゃんと出会いました。さあどうする?」

善の人…無償で手を差し伸べ、渡るのを手伝う。
中立の人…自分も同じ道を行くのであれば手伝う。
悪の人…謝礼が貰えそうなら手伝う。

ワードナは極悪なので、
極悪の人…道を横断出来ないおばあちゃんから荷物を奪った上で道の真ん中に置き去りにする

となる。
確かに極悪っちゃあ極悪だけど…小物すぎじゃね?


『4』のパラメータ画面ではもちろん「悪」。
シナリオの進行によっては中立、そして善へと変化していく場合もある。

*3
『ウィザードリィ』では遭遇したモンスターについて、普通に戦闘が始まる場合の他にも、
「こちらに気付いていない(プレイヤー側の先制攻撃)」「突然襲いかかってくる(モンスター側の先制攻撃)」がある他、
さらにシリーズ独自の仕様として「友好的である」というケースがあり、この場合は戦うかやり過ごすかのどちらかの行動を選べる
(なお、このような「友好的なモンスター」に対する行動によって前述の戒律がキャラごとに一定確率で変化し、
 戦った場合は善→悪に、やり過ごした場合は悪→善になる。ただし中立は一切変化せず、善もしくは悪から中立になる事も無い)。
なのだが、一部の機種ではラスボスであるにもかかわらず友好的な場合がある。そして普通にやり過ごす事も出来てしまう。
更には苦労して辿り着いたワードナの部屋の前には、
「営業時間9:00~15:00(日本語版だと17:00の場合も)」「お約束のある方のみ(一部の日本語版では存在しない)」
と書かれた看板があるなど、何かと突っ込み所満載のラスボスである
(システム的にはキャラの年齢を除いて時間の概念は無いので、時間外だから留守とかいう事は無い。
 ただし称号持ちのキャラがいると、看板が「不在」に変わっていたりもする)。

というのも、初期の『ウィザードリィ』自体がパロディや軽いノリ、ばかばかしいジョークを盛り込んだ、今で言う「バカゲー」に近い作風だったりする
(なお日本人の感覚では「中世ヨーロッパ風の世界に侍や忍者が混じっている時点でおかしいだろJK」と思うかもしれないが、
 『バーズテイル』や『ファイティングファンタジー』(デコゲーにあらず)など他のゲームにも大真面目に登場しているので、
 どうやらあちらさんは真面目に作ってもサムライとニンジャは欠かせないものらしい。
 そもそも日本の作品でも中国人枠とか(学園物の話だが)金髪枠とかある事を考えれば言えた義理ではないのでアルヨ・デース
 なので「ナーロッ」を批判する「 じゃがいも警察 」の方が「にわか」と言える)。
しかし、それらジョークはイギリスのコメディ作品や、アメリカのフードプロセッサーメーカーなど、
日本人(さらに言うとファミコンで遊ぶ子供達)には理解出来ないものも少なくない。
『#3』のMIFUNEのように日本人にも理解できたものもあったが。というより侍や忍者が混じっているのは多分「世界のミフネ(三船敏郎)」のせい。
有名なムラサマブレード(MURASAMA BLADE)(日本語版や続編では「村正」と日本人に分かりやすく変更されている)も実は誤字ではなく、
ジェームズ・クラベルのベストセラー小説『将軍 SHOGUN』からの引用。
この作品は日本の戦国時代を舞台にしており、ドラマ化された際は三船敏郎ら多数の日本人俳優が出演した。
作品内でのムラサマの説明は妖刀村正伝説に準じており、
三船が演じた徳川家康をモデルにした武将、吉井虎長の祖父がムラサマブレードで家臣に殺されており、
これ以降、ムラサマブレードは吉井一族にとって不幸をもたらすと言われるようになったとされる。
ムラサマブレードとムラサマソードの双方の表記がされているが、
「柄や鞘は何年にもわたって何度も交換されている(だからこのソードの秘密は誰にも分からない)」とあることから、
ムラサマブレードの場合は刀身だけを表し、刀として表すときはムラサマソードとしているようだ。
つまりWizの侍は柄の無い刀身を振り回していたことになる。道理で不確定名が「剣」じゃなくて「武器」なわけだ

*4
HPと既に習得した呪文を引き継いでクラスチェンジする「転職」を考慮しない場合、
戦士のHPが100程度、魔法使いのHPが50程度しかないのに、一発で10~150、平均80ダメージを受ける。
これだけのダメージを食らえば攻撃と回復の主力を担う後衛の魔法使いと僧侶(HPは前述の戦士と魔法使いの中間程度)が全員死亡、
前衛は辛うじて生き残る可能性があるが、もはや勝ち目は全く無い。

*5
Breath:呼吸」から「炎の息」や「酸の息」等を意味する全体攻撃で、なおかついくら装備品を整えようが回避不能
格ゲー的にはエリックの「ブリザードブレス」が代表格だろう。全体攻撃出来るほど大きくないけど
バージョンによって異なる場合もあるが、基本的に『D&D』のドラゴンに倣い「使用者の残りHPの半分(端数切り捨て)と同数の固定ダメージ」を与える。
更にはほとんどの機種で先制攻撃(不意打ち)ターン時はプレイヤー・モンスター共に「呪文の詠唱なんて始めたら敵に気付かれる」
と言う理由で魔法を使用出来ないのだが、詠唱の要らないブレスは先制攻撃にも使用可能なため、
「獲得経験値の高いポイズンジャイアントを狙って狩っていたら先制される→複数体からブレスを浴びせられて何もできないままパーティが半壊(最悪全滅)」
なんて事も割とよくあるそしてリセットボタンに手が伸びる
余談だが、最弱モンスターの「クリーピングコイン?」もブレスを使うのだが、HPが1しかなく、端数切り捨てという仕様も相まって、
「ブレスダメージが常に0」と言う笑い話になっている(味方となる『IV』では端数切り上げになっているので1ダメージを与える)。

*6
正確には「ブレスのダメージを一括で緩和する」という能力は無いが、
ブレスにも炎・氷・毒・石化・エナジードレインの属性が設定されており
(装備品等の耐性によるダメージ緩和判定に使用されるだけで、ブレスによって状態異常を受ける事は無い)、
属性とは無関係に「ほのおをふいた」と表示されるがこれらへの耐性があるので、
結果としてゲーム内に存在する全てのブレスに対して耐性を持っている。

*7
全アイテム共通で、各アイテムに設定された売却額の2倍。
なお、アイテムは原則として不確定の状態で入手し、使用・装備こそ出来るものの、
商店もしくは仲間のビショップに識別してもらってアイテムの正体を確定させなければ、商店で売ろうとしても二束三文で買い叩かれてしまう。
さらに商店での識別料金はそのアイテムの売却額と同額、つまり商店で識別した場合は売ってもプレイヤー側には儲けが無い
(ビショップによる識別なら無償なので、この方法を使えば、当然売値分の儲けが出るが、
 こちらはこちらで「識別に失敗する可能性があり、更に運が悪いとビショップが呪われたアイテムを強制装備してしまう」というリスクが付き纏う。
 もし呪われたアイテムを装備してしまった場合、装備を外すには売却額と同額の解呪費用がかかり、解呪によってアイテムは消滅してしまうため、
 解呪費用分だけ赤字となる)。
そのため、上述の販売額の仕様と併せて、商店の名称「ボルタック商店」を捩って「ボッタクル商店」「ボッタクリ商店」と揶揄されている。

尤も、ビショップ(及びサムライ)は上級職ながらも種族と初期ボーナス次第では最初から作成できなくもないので
(シナリオ1ではロードとニンジャは初期ボーナス最大でも足りない)、
作り立てのビショップを酒場に待機させて
(本作は6人パーティ制だが、
 「全滅したら死体はダンジョン内に放置されたままであり、蘇生するには5人以下の救出用パーティを編成して死体を回収しに行く必要がある
 (回収した死体もパーティ枠の1人として扱われ、ダンジョン内でパーティを分割することはできないため)」
 という独自のゲームシステムが採用されている都合上、キャラは20人まで登録できる)、
識別失敗によりアイテム欄が呪われたアイテムで埋まったら追放(消去)するという外道プレイヤーも少なくない。
また、ボルタック商店で識別する際は最初に識別料金を提示してくるため、値段からアイテムの正体を推測して識別するかしないかを判断するテクニックや、
ダンジョンから緊急脱出する代わりに所持金と装備しているものを含めた全アイテムを失う高位の僧侶呪文「ロクトフェイト」のデメリットを逆利用して、
呪われたアイテムを無理矢理消去させる(金や有用アイテムは控えキャラに預けておく)等の(一応は)外道ではないテクニックも存在する
(ただし、シナリオによってはロクトフェイトのデメリット効果が「ロクトフェイトの忘却(レベルアップの際に再度覚え直し)」
 となっている場合があり、その場合はこのテクニックが使えない)。
そしてボルタック商店の品揃えはプレイヤーが売らない限り増えないので、単なる不要物売り場に成り下がる。

*8
迷宮の階層を上がり、レベルの高い魔方陣(ゲーム内では「ペンタグラム(五芒星)」と表記されている)に入る事で最大HPが上昇し、高位の呪文を思い出せる。
また、味方となるモンスターの召喚もここで行えるが、こちらも魔方陣のレベルが高くなるごとに召喚できるモンスターの種類が強くなっていく。

*9
破損したディスクを交換してもらうために会社に送られてきたディスクに入っていた冒険者達のデータを流用したらしい。
つまり、かつてワードナの迷宮で実際に戦っていた冒険者達本人であり、彼らが異様に強いのは、プレイヤー側がそこまで鍛え上げたからなのだ。
ちなみに最強クラスの悪魔グレーターデーモンのHPが11~88(平均50ほど。ただし「仲間を呼ぶ」という特殊行動があり、味方を補充することがある)、
新登場の最強戦力となる魔王デーモンロードのHPが25~300(平均160ほど)に対して、
終盤になるとHP500とかHP600とかの冒険者が普通に登場する。 けど、「俺が鍛えた冒険者はもっと強いぞ」ってみんな思うよね?
もっとも、一部モンスターには冒険者には無い呪文無効化能力やHPが残っていようが実質的に戦闘不能にさせる麻痺・石化があるため、
このような強烈な冒険者逹が相手でも勝利する事はできる。モンスターが生き残ろうが、ワードナが倒されてしまうと即ゲームオーバーではあるが

*10
ウィザードリィの世界において、死からの蘇生に失敗すると死体は灰になってしまう。
灰からの蘇生はより高度な呪文が必要になるが、それさえも失敗すると灰は失われ(ロスト)、基本的に二度と蘇生を試みる事が出来なくなる。
つまり、「いかなる手段を用いても死体を破壊する事が出来ない」とは「復活の可能性が常に残されている不滅の存在である」事を意味しており、
ワードナを封じるために作られた地下迷宮の難関ぶりの理由付けであると共に、ワードナが世界の摂理を越えた超人的な魔術師である事の証と言える。

余談だがプレイヤーキャラの死者の蘇生(と状態異常の治療)を担当する「カント寺院」も、寄付金と称して高い金を取りながらもしょっちゅう蘇生に失敗する上
(プレイヤーキャラが覚える事の出来る蘇生呪文「ディ」や「カドルト」を使うよりはカント寺院に頼む方が成功率が高いので、
 呪文を全て習得しようが結局最後までお世話になるが)、
失敗しても蘇生費用を返さないどころか、灰からの蘇生費用として更に高い金額を要求し(まぁ灰からの蘇生の方が難しいのは確かだが)、
更にロストさせてしまったとしても埋葬こそ無償でしてくれるが当然のごとく一切の謝罪は無い。
挙げ句の果てに所持金が足りないと「ケチな背教者め!出ていけ!」と怒鳴られてしまう事から、「強欲寺院」「偽善寺院」とも呼ばれている。
後のMMORPGにおけるアイテム強化の元祖と言えるかもしれない

*11
具体的には、カバラ思想における「セフィロト」。
隠しエリアに近いフロアを探索すると「生命の樹」が浮かび上がるので、最後の問いにこの単語を答える必要がある。
ただし、『ウィザードリィ4』の日本語版が出たのは1988年。
今でこそカバラ思想は『真・女神転生II』や『新世紀エヴァンゲリオン』などで取り上げられたため、多少は広まってはいるが、
それでも知っている人の方が珍しい知識に分類される。
本作発売当時で、カバラ思想の知識を持っている日本人ゲーマーはほぼ存在しなかった。
一応、NPCから与えられるヒントの中に隠しフロアの存在と併せてそれを示唆するものが含まれているので、
「初見では絶対に分からない」というような代物ではないが、そのヒント自体がこれに限らず断片的・抽象的なものがほとんどなので、
ヒントと言えるかすら怪しい所である。

*12
テレポート先が石壁の中→「いしのなかにいる」→全滅の危険で有名。
Apple版では蘇生のチャンスがある「死亡」で城に戻されるだけまだマシだが、
一部の移植版では処理がさらに凶悪化し、なんと「全員即ロスト」になってしまう。
FC版では原典に正しく「死亡で城に送還」の扱いに戻った。

*13
装備品として普通に装備する事も出来るが、アイテムとして使用するとマロールを一度だけ発動出来る(発動後はただの「兜」に変化し、防御性能も落ちる)。
なおFC版のみの仕様として「戦闘中にマロールを唱えた場合、1つ下のフロア(最下層の場合は地下1階)のランダム座標へ逃走する」というものがあり、
動画ではこの仕様も利用してワードナの部屋の前まで一気に飛ぶという離れ業を見せている
(普通に進めた場合、地下10階ではワードナの部屋に至るまでに6回+αに及ぶ雑魚敵との戦闘があり、
 ここでは前述の「友好的なモンスター」も一切出てこない上にマロールによるフロア内の移動も封じられる)。
動画のように「地下10階のランダム座標へ移動」を試した場合、地下10階の大部分が石壁となっている関係から高確率で「いしのなかにいる」となってしまうが、
もちろんTASさんが「いしのなかにいる」となる事は100%有り得ない。あっても巻き戻す
ちなみに他機種の場合は「現在のフロアのランダム座標へ逃走(つまりテレポーターとほぼ同じ)」となっているが、
「最下層で使用した場合は地下1階へ移動」は共通している。


最終更新:2024年02月29日 23:39
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