「しょおがねえなああああああああ!」
暁なつめ氏によって、かつて小説投稿サイト『小説家になろう』で連載され、
後に角川スニーカー文庫より書籍化された作品『この素晴らしい世界に祝福を!』の主人公。
上の台詞が口癖であるが、リトル・フィートを操る暗殺チームのスタンド使いではない…がアニメでは同じ声になった
担当声優はドラマCD版では
逢坂良太
氏、アニメ版は
福島潤
氏。
フルネームは「佐藤和真」だが、作中の表記は基本的に「
カズマ」で統一されているため、本項目名もそれに従って記載する。
元々は地球の現代日本で引き籠りをしていた男性だったが、
買い物に行った帰り、女子高生がトラックに轢かれそうになったと誤認して、その女子高生を突き飛ばして助けたつもりになり、
自身はトラックに轢かれたと勘違いして恐怖のあまり失禁しながら気を失い、そのまま目を覚ます事なく心臓麻痺で死亡するという失笑モノの出来事
*1の後、
死後の世界で
駄女神
アクアに出会い、天国に行く代わりに魔王退治のために異世界への転移を持ちかけられる。
この時、アクアに死因をバカにされまくった事に憤慨したカズマは、
嫌がらせ半分で「異世界には望むもの(能力・アイテム)を1つだけ持っていける」特典の規約を逆手に取り、特典にアクア当人を指名した所、
天界がゴーサインを出したため、アクアを
本人の抵抗を無視して道連れにする形で同行させて異世界に降り立つ事になる。
『ああっ女神さまっ』を汚くしたみたいな導入部……と言うか第1巻の副題が「ああっ駄女神さまっ」なので故意犯である
なお、このせいで今まで口八丁で異世界への転生のデメリットを上手く包み隠していたアクアがいなくなってしまい、
後任の天使が洗いざらい話すもので転生を断られる事が続出し、本編開始以降の転生者はカズマが最後だという。
普通の現代市民だったため身体能力は一般人の域を出ず、初期ステータスは低め。
それ自体は他のチート持ち日本人も同じだがその中でもカズマは能力値が低く、職業「冒険者」以外になれる職業が無かった。
一応知力と運は高水準だが、冒険者家業には重要度が低いとされる。
作中の「冒険者」は冒険家業の最弱職として扱われており、
「ステータスは全職業中最弱だが、他の職業の持つ全てのスキルを自由に習得する事が可能。しかし能力値があまり上がらないため技の完成度は本職には及ばない」
という特性がある。
なりたい職業には能力値が足りなくて最初は「冒険者」にしかなれても、レベルを上げて転職できる能力値になり次第転職するのが普通とされる。
しかし、カズマの本質は上記のように高い運と凄まじい悪知恵であり、
田畑用の土を生成する魔法「クリエイト・アース」と風を吹かせる魔法「ウインドブレス」を併用して
目潰しとして使用する、
コップ数杯程度の水を生成する魔法「クリエイト・ウォーター」と弱い冷気を放つ魔法「フリーズ」を併用して即席の滑る氷のトラップを作るなど、
弱いスキルでも巧みに活用して要所で戦闘に役立てている。
また、運が高いほど命中率が上昇する「
狙撃」や、同じく運が高いほど対象から価値あるアイテムを奪取できる「窃盗(スティール)」など、
運に左右されるスキルも多数取得している。
カズマの運の高さは、劇中で
幸運を司る女神・エリスに負けるまでじゃんけんで負けた事が無かった、と称するほどの高さであり、
これらのスキルはカズマの運と連動する形で作中で高い成果を上げている。
……何故か女性に「窃盗」を使用すると毎回下着を入手してしまうが。いや確かに大当たりだけれども。
ただしカズマの運の良さは、サイコロ2個を振るのを10回やると8回程度は幸運に偏って「6・6」が出るがたまに不運に偏って2回ほど「1・1」が出てしまうという、
運の高さに反して大きなトラブルに見舞われやすいタイプである。
とりわけ運が最底辺のアクアと行動を共にしている時は、自前の幸運で相殺できない程の不幸に巻き込まれがち。
この他のスキルも潜伏、敵感知、千里眼など前線での戦闘を避けた隠密や後方支援向きのものを備えている。
ちなみにWeb版では、触れた相手に対して、複数の状態異常が個別に判定がかかる「不死王の手」というスキルを取得していたのだが、
普通ならば状態異常のどれか1つが成功すればOKという扱いのスキルだったのに対して、
カズマが使い手だった場合、
運が高すぎるせいで毎度ほとんどの状態異常が成功判定・滅多に成功しないレベルドレインも連発可能という壊れスキルと化していた。
流石に作者も強すぎたと判断したらしく、書籍版では相手の体力・魔力を奪う「ドレインタッチ」に変更された。
また、何度か商才に長けた描写があるが、アクアが度々負債を抱えるせいで金銭管理には厳しい。
ただし、「金を稼ぐ」事には人並みに積極的で、短編集で聖獣・白虎の子供を欲に目が眩んで毛皮として売り飛ばそうとした場面もあったが、
「金や財産」そのものへの執着は薄く、ダクネスを助けるためにバニルの足元を見た要求に応じて全財産や知的財産権を惜しみなく手放している。
作者曰く「カズマはもしアクアを連れて冒険者にならなかったら商人として成功していた」らしい。
なろう作品の主人公はチート能力を持っていたり、
一見役立たずに見えてその世界の常識外の能力を秘めている存在が多く、
『このすば』でもそうしたキャラが別に出てきているのだが、カズマは一般人出身で特典の権利もアクアへの嫌がらせで使ったため、そうした能力は持っていない。
カズマ自身、自分が他の上級職達と比べれば体力も戦闘力も遠く及ばない凡人である事を理解しており、
戦闘時には「冒険者」の特徴であるスキルの手数の多さ、自分の運の強さ、何より
己の機転と悪知恵を総動員して戦う戦術を基本にしている。
アクアを道連れにした咄嗟の機転をはじめとして、上記のように弱い初級魔法をトラップや不意打ちに徹底的に活用するだけでなく、
勝負を仕掛けて来た相手に「よし乗った」と即答して間髪いれず不意打ちを仕掛けるなど、敵対する相手にはどんな手段も辞さない。
弱小技を予想外の手法で攻め立ててくる上に、搦め手、口八丁も含めたダーティーな手段を頻繁に使うため、
なろう連載当時の読者からは
「カスマ」「クズマ」など酷い(けど間違っていない)渾名を付けられ、後に本編でも実際に呼ばれるようになった。
中盤以降はもっぱら「(一癖も二癖もあるパーティーメンバー達の)保護者」とか言われてるけど
こうした「手段を選ばず役に立たなそうなモノでも活用用途を見出せる」特技はパーティの指揮でも存分に発揮されており、
アクアをはじめとした癖が強すぎるメンバー達を巧みに使い、魔王軍幹部を幾人も倒している。
戦術こそゲスなものが多いが、カズマ自身は勘違いとはいえ死因から分かるように、危機に陥った人間を見ると助けずにはいられない性格である。
このため、パーティの女性達からは無類の信頼を置かれている。なろう作品たるものハーレムは作らないとね
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習得スキル詳細 |
- スティール
- 盗賊のスキル。
- 使用対象の所持品や装備品が1つ自身に手に転移する。盗めるものはランダム。
- 成功率は運以外に相手との強さの差が影響するため、レベル差があり過ぎる相手には弱体化させないと通用しない。
- 潜伏
- 盗賊のスキル。
- 気配を消す事ができる。触れている味方にも効果がある。
- なお、アンデッドは五感以外の感覚で生者の生命力を感知してくるため潜伏は効かない。
- 敵感知
- 盗賊のスキル。
- 周囲の敵意を抱く者の気配を感知できる。
- 罠発見
- 盗賊のスキル。
- 罠解除
- 盗賊のスキル。
- 逃走
- 盗賊のスキル。逃げる際に早く走れる。
- バインド
- 盗賊のスキル。
- 縄が敵に巻き付いて拘束する。
- 消費魔力が多めだが、カズマはドレインタッチで魔力回復して連発可能。
- 片手剣
- 近接戦闘職のスキル。片手剣の扱いが上手くなる。
- 千里眼
- アーチャーのスキル。遠くを見る事ができる。暗視も可能。
- 弓
- アーチャーのスキル。弓の扱いが上手くなる。
- 狙撃
- アーチャーのスキル。飛び道具の飛距離が伸びる。
- 運で命中率が上がる効果もあるので運が高いカズマが使うと高い命中精度を得られる。
- なお、スキル名や魔法名は現地語がカズマの知っている単語に変換されて理解している設定(簡単な英単語が多いのはカズマの語彙力のせい)だが、
- これは過去にチート持ち日本人が編み出して日本語で名付けたスキルなので、現地人にとっては「ソゲキ」と発音する謎の異国語のスキルだったりする。
- 初級魔法
- 初級魔法に属している全ての魔法をこのスキル1つで使えるようになる魔法使い系のスキル。
- 魔法の名前を唱えるだけで使用可能。習得に必要なスキルポイントはたったの1。
- しかしあまり戦闘向きではなく、スキルポイントは1レベルに1ずつしか溜まらない貴重な物なので、魔法使いはまずは中級魔法から習得するのが普通。
- 以下の5つはカズマが作中で使用した初級魔法。
- ティンダー
- 手から火が出る火属性の魔法。
- 着火、カップに入った飲み物を温める、食べ物を炙る、などに使われる。
- クリエイト・ウォーター
- キレイな水が手から出る水属性の魔法。飲み水に使用可能。
- ウインド・ブレス
- 手から風が吹く風属性の魔法。
- クリエイト・アース
- サラサラの土が出る土属性の魔法。
- この土を使うと植物がよく育つ。また砦の補修にも利用されている。
- 最高品質のマナタイト結晶を使えば大量の土を出現させて防壁代わりに使える。
- ウインド・ブレスと併用する事で目潰しに応用可能。
- フリーズ
- 冷気を放つ凍結魔法。
- ドアノブを回せなくしたり、剣を鞘から抜けなくしたりもできる。
- クリエイト・ウォーターと併用する事で、水で濡らした地面を凍結させて敵を転倒させたり、水で濡らした体を冷気で凍えさせたりできる。
- 顔面を掴んだままクリエイト・ウォーターで口と鼻に水を流し込み、そのままフリーズで凍らせて口鼻から喉まで氷が詰まった状態にするという、
- 急いで治療しないと窒息死するえげつない応用も可能。
- ドレインタッチ
- アンデッドモンスターのスキル。
- 触れた相手から体力と魔力を吸収して回復できる。
- 逆に、触れた相手に体力や魔力を送り込んで回復させる事も可能。
- 読唇術
- 口の動きから会話を読み取れる。
- 鍛冶
- 鍛冶屋のスキル。
- 商品開発や鎧の補修などに使える。
- 料理
- 料理人のスキル。
物語終盤に大量のスキルポイントを獲得し、アクセルの街の冒険者達に教えてもらって大量のスキルを習得している。
- 転移魔法
- 魔法使い系のスキル。
- 登録した場所に一度に最大4人まで瞬間移動する魔法「テレポート」を使える。
- 3ヶ所まで登録可能で、新しく登録する際は現地に行った上で既存の登録をどれか上書きする必要がある。
- 魔法抵抗力が低い敵なら強制的にテレポートさせる事も可能。火口に行って登録しておいて即死攻撃として使用する事もできる。
- また登録場所ではなくランダムな場所に送る「ランダムテレポート」も使える。
- ゴーレム製造魔法
- 土からゴーレムを生み出す魔法「クリエイト・アースゴーレム」を使える。
- 材料になる土がない場所では初級魔法「クリエイト・アース」で土を用意する必要がある。
- カズマの魔力量では腰の高さサイズにしかならないが、最高品質のマナタイト結晶を用いれば巨体のゴーレムを製造可能。
- 中級魔法
- 中級魔法に属している全ての魔法をこのスキル1つで全て使えるようになる魔法使い系のスキル。
- 習得に必要なスキルポイントは10。
- ただし、カズマは魔力が低いので攻撃魔法を使ってもろくな威力は出ない。
- 攻撃魔法以外にも状態異常系や補助系など様々な魔法が中級魔法には含まれている。
- 初級魔法と違って使用には魔法の名前を言うだけではなく少し手順が必要。
- なおmスキル「上級魔法」は詠唱・身振りや手振り・魔力の流れなど、複雑な工程を全ての上級魔法について覚えるのが習得条件のため、
- 急いでいたカズマには習得できなかった。
- 以下の3つはカズマが作中した使用した中級魔法。
- ファイアーボール
- 火球が爆発する火属性の魔法。
- カズマは魔法抵抗が低いモンスターであるオーガに使用したがろくにダメージを与えられなかった。
- ライトニング
- 雷で攻撃する雷属性の魔法。
- 最高品質のマナタイト結晶を使用する事で、カズマでも魔王の攻撃魔法を相殺できるほどの威力を出す事ができた。
- フラッシュ
- 強い光で目潰しする閃光魔法。
- 暗闇で目立ったり自身や味方の目が眩む危険もあるなど「クリエイト・アース」&「ウインド・ブレス」の目潰しより不便な点もある。
- 罠設置
- レンジャーのスキル。罠作りや罠の効果に補正がかかる。
- 盗聴
- ダークストーカーのスキル。
- デッドリーバックスタッブ
- アサシンのスキル。相手に気付かれていない状態で背後から攻撃すると確率で致命傷を与える。
- 自動回避
- モンクのスキル。確率で攻撃を自動的に回避できる。
- ヒール
- 聖職者系のスキル。体力を回復する魔法。
- 爆裂魔法
- 究極にして最強の攻撃魔法「エクスプロージョン」を使える。
- 複数の属性を混ぜ合わせる事で純粋な魔力爆発を引き起こす爆発系魔法の最上級であり、
- 霊体や神や悪魔であろうと関係なくあらゆる存在にダメージを与えられる。
- ただし、威力も効果範囲も大きすぎて強敵や軍相手でもオーバーキル、ダンジョンでは放つと崩れて生き埋めになってしまうため使用不能、
- おまけにアダマンタイトすら砕く「炸裂魔法」や炸裂魔法より威力と効果範囲が大きい「爆発魔法」といった、
- もっと扱いやすくて充分過ぎる威力もある爆発系魔法が存在するため、リッチーや邪神のようなスキルポイントを持て余した存在が暇潰しに覚える、
- 砦や城を直接攻撃するくらいしか実用性は無いネタ魔法とされている。
- 習得に必要なスキルポイントは50。
- 消費魔力が多すぎてカズマでは魔力満タンでも発動できないが、最高品質のマナタイトを用いる事でカズマにも使用可能。
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『このすば』作品概要
『この素晴らしい世界に祝福を!』は、『
Re:ゼロから始める異世界生活』や『
転生したらスライムだった件』などと並ぶ、
なろう黄金世代の作品の一つであり、その中でも頭一つ分早く抜けて商業デビューした作品である。
実は作者の前作『戦闘員、派遣します!』が運営に消された事が『このすば』が作られたきっかけなのはナイショ。
まあそっちも『Re:ゼロ』の作者の口利きで書籍化に漕ぎつけられ、アニメ化も果たしたのだが
当時台頭し始めた所謂「なろう系」は、これらの先達者である『
魔法科高校の劣等生』『ログ・ホライズン』のように、
「主人公がチート級の異能、あるいはそれに相当する他者では再現不可能な特技を保有し、なおかつ周囲から非常に慕われている」という作風がメジャーであった。
だが、本作は「異世界転移」という一見流行のテンプレを沿っているように見えながらも、
自他共に認めるゲスな最弱主人公の奮闘や、白熱のバトル展開だろうとエロいハーレム展開だろうと、
ことごとく最終的にギャグに持っていきドタバタ劇になるユニークな作風から、
なろう作品の中でも類を見ない独自の立ち位置を確立し、高い評価を獲得したのである。
特に「主人公が不器用」という作品なら前例はいくつかあったが、「主人公が自覚ありのクズ」というのはかなり珍しく、
それでいてギャグ描写で不快にならない、作者の絶妙なセンスにより、
「なろう」出身を代表する作品一つとしての数えられるまでに至っている。
アニメもスタジオディーン制作の1~2期、J.C.STAFF制作の劇場作品『紅伝説』、
『紅伝説』制作時期の2018~19年辺りからそれ以前より半分程に規模が業務縮小した
ディーンからプロデューサーが移籍した先であるドライブ制作の3期とスピンオフの『爆焔を!』、
さらにはクロスオーバー作品『異世界かるてっと』にも登場するなど、
制作会社を変えながらも長寿かつなろうのアニメ化作品で屈指の人気シリーズとなっている。
とりわけ、声優陣のフリーダムすぎるアドリブは音響監督の
岩浪美和氏による指導もあり、小説とは別の見所として知られている。
MUGENにおけるカズマ
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TrafalgarLawzz氏製作 |
現在は公開場所であった動画が削除されており、入手不可。
SantoryuMUGENJUS1氏が製作した『 JUS』風ドットを用いて作られた、 MUGEN1.0以降専用のちびキャラ。
機動力が高く、空中ダッシュも搭載されている。
必殺技は「狙撃」や魔法などの飛び道具が多い。
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RakionMugen氏製作 |
上記TrafalgarLawzz氏のものの改変版。
飛び道具の弾速が早くなったのを始め、各種性能が調整されているのに加えて、
何故か 敵から女性用の下着をスティールして動揺しながら頭を地面に打ち付け自傷するという、
特に使用するメリットの無い 超必殺技が追加されている
相手が男だろうが人外だろうが女性用の下着を盗むのは気にしてはいけない。
AIもデフォルトで搭載されている。
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Ozaler27氏 & elgrandiego氏製作 |
- Ozaler27氏 & elgrandiego氏製作
MUGEN1.0以降専用。
こちらも『JUS』風ドットを用いて製作されている。
ストライカーにアクア、ダクネス、めぐみんが加わり、攻撃が派手になっている。
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出場大会
*1
ちなみに、女子高生の前に迫っていたのはトラックではなくトラクターであり、
しかもゆっくり走行していたため女子高生が轢かれる恐れはなく、むしろ無駄に突き飛ばされただけだったりする。
客観的にはカズマの行為は
命がけの救命行為でも何でもなかったのであった。
最終更新:2025年03月23日 14:28