「私がダダだ。生命の仕組みは全てわかった。
私の体を構成するために、お前たちの炭素ユニットを頂く」
1993年に円谷プロがアメリカで製作した特撮作品『
ウルトラマンパワード』に登場した
怪獣(電子生命体)。
初代『
ウルトラマン』に登場した怪獣達のリメイク版である、通称「
パワード怪獣」の1体だが、
宇宙人であった原典のダダと異なり、本作では電子生命体である。
別名「三面怪人」あるいは「コンピューター生命体」。企画段階では「ダダ・プラス」「ダダ2185」という名前だったらしい。
吹き替え版では
田原アルノ
氏が声を担当している。
天才だったが性格が悪かったことを理由に、
医療器具用コンピューター制作会社「ニューロネット・インダストリー社」を解雇された、
元社員のリチャード・マーリンが逆恨みから報復のためのコンピューターウイルスを製作中に、偶然生み出した電子生命体。
パソコンや電子制御の自販機の中から現れて人間を襲い、
電子に変えてコンピューター内の特殊空間「ダダ・フィールド」の中に引きずり込み、
シリコンを残して炭素ユニットを奪い取り肉体を得る能力を持つ。
なお、出現する時は液晶画面に「ダダ・パターン」と呼ばれる幾何学模様が発生する。
マーリンの指示によりニューロネット関係者を次々と襲撃し炭素ユニットを奪っていったが、
やがて自我に目覚めて「自分の体を得る」事に目的を変更し、創造主であったマーリンをも殺害して炭素ユニットを奪った。
ニューロネット社によって電子の檻の中に閉じ込められ、研究対象にされそうになったが逆に同社を占拠し、
重役二人を自分と同じダダに変え(素材になった人間が違うからか、三体共顔が違う)、
救援にやってきたW.I.N.R.を三体で一蹴する。
そして、カイがウルトラマンパワードに変身すると、対抗すべく三体が合体して送電線を伝って巨大化。
手からアームレーザーを発し、サイコキネシスで物体を操るという攻撃能力や、
体の密度を変化させてパワードの攻撃を避けたり、テレポートによる瞬間移動や自らを電気信号に変化する、
といった不可思議な能力でパワードを翻弄するが、
本体がコンピューターの中のプログラムと見抜いたパワードのメガスペシウム光線でニューロネット社の発電機を破壊され、
本体がインストールされたパソコンの電源を落とされたことで消滅した。
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しかし… |
エピローグは、破壊処分が決まり配線を外されたはずのコンピューターが密かに起動した挙句、
「ダァ~ダァ~……」という不気味なダダの声が響き渡るというもので、
要はパワードによって倒されたのは炭素ユニットで構成された「肉体」であり、
コンピューター生命体である本体のデータは無傷で復活の可能性があるという、
非常に後味の悪い、ホラーなラストで当時の子ども達を震え上がらせた。
ボツになったが、初期設定では生物をダダ化させる能力を有していたらしく、
重役がダダ化した部分などに名残が見られる他、ダダ化した犬のラフ等が残っているらしい。
また、当時はまだインターネットはそれほど発達しておらず、
「もしインターネット技術が発達した現代に出現していればもっと脅威であっただろう」ともよく言われており、
後述する『 ウルトラマントリガー』ではその考察が現実のものとなった。
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余談だが、本作と同じく伊藤和典氏が脚本を担当した映画『
ガメラ2
レギオン襲来』では、
現場に残されたシリコンの砂から敵の痕跡を見出すという、本作のオマージュらしき場面がある。
放映時期が近い『
電光超人グリッドマン』のグリッドマン怪獣とは「悪意から生まれる電子生命体」
「送電線などを伝って襲撃する」といった共通点が見られる。
実際、グリッドマンや自らデータ化出来る
メビウス、
エックスならもっと楽に戦えたであろう、とも。
また、スーツは当初光らせるために電飾等が施される予定であったようだが、
製作を担当したアメリカ側のスタジオは全身スパンコールで製作した。
これによってほとんど劣化せずに保存出来ていたらしく、
その後発掘され、2017年のBlu-ray発売イベントで展示されていた
(厳密には、頭部は後述する3DOのゲームのイベント時に製作されていたもの。頭部以外は当時のアクション用スーツ)。
ただし、頭部の造形は日本版の初期デザインが元になっている為、三体とも違う。
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外部出演 |
第三部でパワード流門下生の一人、Pダダとして登場。
2021年(令和3年)に、なんとパワードダダがまさかの再登場を果たす。
登場前には児童誌の記事やソフビの発売が予告されており、「まさか久々に出てくるのか!?」と界隈がざわめいた中でのそのまさかであった。
『ウルトラマンパワード』の版権そのものは製作した米国の製作会社にあるとされており、仮に登場の許可があったとしても、
怪獣のスーツの再現度やスーツ新造予算などから「パワード怪獣のTVシリーズ再登場はかなり難しい」と言われていたのだが、
前述の通りスーツが現存していたことで登場の機会に恵まれたようだ(現存していたといってもかなり縮んでいたらしい)。
その為、「古参の事情通」程この再登場には驚きを隠せず、「令和の世になってパワードダダがツイッターのトレンドにのる」という珍現象が起きている。
本作での正式な表記は 「ダダ(POD-3)」
(Pはパワード、DO-3は頭部の出展元である3DOのアナグラムと思われる。三体はそれぞれ「POD-3A」「POD-3B」「POD-3C」と表記される)。
別名も「三面怪人」と元のダダと同じになっているが、
怪獣や宇宙人に詳しい宇宙海賊イグニスや メトロン星人マルゥルが特に反応していない辺り、
そもそもダダはトリガー世界には存在しないか、いたとしてもまだ人類から確認されていないものと思われる。
ダダという名も、乗っ取られたコンソールに表記された「dada」の文字と、聞えてくる声が「ダァ~ダァ~……」だった事から、
便宜上ヒジリ・アキトに命名されたものに過ぎない。
また、実体化に炭素ユニットが必要だったパワードダダと異なり、こちらはある程度自由に実体化出来る様子。
本作では突如街中に飛来した「ダダ因子」から発生。
街中のスマートフォンや周辺の電子機器のコントロールを奪取、
ネットワークを通じて世界中の主要都市や防衛部隊の中枢システムを瞬く間に制圧してしまう。
対処に乗り出そうとしたGUTS-SELECTの ナースデッセイ号のコントロールも一時掌握してしまい、
主砲で街を破壊しようとしたが、操縦をマニュアル操作に切り替えられて失敗。
即座に二発目を放とうとするも、今度は主砲のエネルギーバイパスを物理的に破壊されて断念。
GUTS-SELECT隊員達が「デジタルがダメならアナログで」と尽力した事もあり、GUTS-SELECTを侵略の邪魔になると判断。
前話で ウルトラマンゼット及びナツカワ・ハルキと共に別次元からやってきたものの、
(この世界の技術では修理不可能なので)とりあえず放置されていた キングジョー・ストレイジカスタム(以下SC)のシステムを乗っ取り、
街を破壊しナースデッセイ号をも撃沈しようとするが、駆け付けたウルトラマントリガー、ウルトラマンゼットと交戦。
搭乗者不在という利点を駆使してキングジョーSCの超機動や分離合体機能を使いこなし、二人のウルトラマンと互角以上に渡り合う。
ナースデッセイ号のシステムから完全に追い出されてからは、巨大化してキングジョーSCと共にタッグ戦を展開。
街中の自動車を大量に飛ばす攻撃でウルトラマン二人を追い詰め、その隙にキングジョーSCとの完全な同化を試みるが、
実体化した核と思われる部位をコントロールを完全に奪還したナースデッセイ号の主砲によって撃ち抜かれて爆散。
なおも残ったデータがキングジョーSCを操り二大ウルトラマンに襲いかかるも、機体を完全に破壊された事で沈黙した。
割と饒舌だった原典と違い、「ダァ~ダァ~」以外の言葉を発することはなく、
本当に侵略目的だったのか、侵略行為だったとして送り込んだ黒幕がいるのか等は一切不明であったが、
それがかえって「異質な存在」として描写されていた。
また、ナースデッセイ号のシステム奪還時には『 電光超人グリッドマン』の演出のオマージュがあったり、
対抗プログラムが何故かファミコンの縦スクロールシューティングゲーム風で、
ラスボス(ダダのプログラム中枢)を倒すのに256発撃ちこむ必要があるなどの小ネタがあった。
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ゲーム作品におけるパワードダダ
3DO版『ウルトラマンパワード』では操作キャラの1体として登場している。
ジャンプ力は高めな他、体を電子化して一時的に無敵化するゲージ技も存在。
必殺技は青い半透明球の光弾や電撃光線などの飛び道具が強力。
このゲームではよく見ると、頭部の造形が特撮版本編とは異なっている。
こちらも実際の造形物が作られており、こちらは現存している。
MUGENにおけるパワードダダ
カーベィ氏による『パワード』版と『トリガー』版の2種類が公開されている。
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カーベィ氏製作 パワード準拠 |
本家ダダよりも先にMUGEN入りしたパワード怪獣である。
性能は上記の3DO版を参考にしつつアレンジされている。
超必殺技はいずれも1ゲージ技であり、「ダダ静止光線」や「電弧カッター」の他に、
一定時間全ての技を強化する「電子化」がある。
また、12Pでは常に電子化状態となる。
AIはデフォルトで搭載されているが、自我に目覚めることは無い……はず。
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カーベィ氏製作 トリガー準拠(PDO-3) |
ファイル名は「Dada(PDO-3)」となっているが、本体はキングジョー・ストレイジカスタムで、
戦闘中自動で現れるパワードダダがスタンドのように援護する仕様となっている。
ダダに攻撃が当たると自身のライフが減り、さらにダダの防御力は本体の半分なので注意。
AIもデフォルトで搭載されている。
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出場大会
最終更新:2023年10月07日 12:31