706 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 16:52:34.86 ID:WKyDyCbD0
― ハンガー ―

シャーリー「ああ、通るついでに案内しとくと、ここがハンガーだ。……あ、やぁウーシュ、整備中か」

ハンガー入り口に背を向け、ストライカーの側に蹲っていた少女が振り返り、こくりとうなずいた。頬に黒い液体がこびりついている。

シャーリー「オイルついてるぞ。ここ」

シャーリーは笑いながら自分の頬を指差した。ウルスラは指差された方の頬を手の甲で拭ったが、その手にもオイルが付いていたようで、
さらに頬が汚れてしまった。

シャーリー「あーあー。ちょっと貸してみな。……はい」

シャーリーはタオルを取ると、ウルスラの頬をごしごしと拭ってやった。ウルスラはされるがまま拭かれていたが、終わると

ウルスラ「ありがとう」

とポツリと呟いた。

シャーリー「よしよし。ああそうだよっさん、紹介しよう。この娘はウルスラ・ハルトマン。さっき滑走路にいたエーリカの双子の妹さ。
    で、ウーシュ。こっちがさっき到着したオストマンからの応援の、よっさんだ」

ウルスラ「よろしく」

707 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 16:57:30.11 ID:WKyDyCbD0

シャーリー「ん?よっさん?おーい?」

余「<●><●>」ジー

ウルスラ「……何?」

ウルスラをじっと見つめていた男は、当のウルスラに尋ねられるとおもむろにその手を掴んで、言った。

余「余の妃にならないか?」

ウルスラ「え?」

シャーリー「はぁぁ!?」

余「おっと、名乗るのが遅れた。余の名はよっさんではない。余に名は必要ない。余は唯一無二の空の王であるがゆえに。
    ウルスラ・ハルトマン、余の妃にならないか。いや、なれ。」

ウルスラ「嫌」

余「何故だ。」

ウルスラ「いきなり言われても、困る」

余「ふむ。良かろう。余の方も少し性急すぎたようだ。だが覚えておけ、これは至上の名誉であるぞ。」

709 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 16:59:06.15 ID:ZPzWZZf30
ミーナさん、こっちです
708 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 16:58:06.96 ID:uK4k6P930
いきなりかよwwww
710 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 16:59:20.84 ID:TCdeGqIm0
まさかのwww
711 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 17:01:19.65 ID:HCbz3b+h0
くるしいwwww
712 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 17:02:00.34 ID:dWpdO6/30
手が速すぎます、殿下・・・
>>712『陛下』、だ。

713 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 17:03:24.54 ID:WKyDyCbD0

言うだけ言って、男はスタスタとその場を去ってしまった。
シャーリーはまた笑いを堪えられないといった様子で肩を小刻みに揺らしており、
普段は無表情なウルスラでさえ、僅かに唖然とした様子を見せていた。

と、そこへもはや耳慣れたサイレンの音が鳴り響いた。ネウロイによる空襲である。

シャーリーは真顔に戻ると、すぐに自分のストライカー、P-51マスタングを履いて飛び出した。
ウルスラもすばやく整備を終えると、それに続く。その間にも続々と乙女達が基地中からハンガーへ飛び込んできており、
ハンガーは一気に喧騒と怒号が飛び交う戦場の空気に染まった。

714 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 17:08:27.48 ID:WKyDyCbD0

程なく、12人の乙女達は基地上空を編隊を組んで飛行していた。遠距離索敵能力を持つサーニャが告げる。

サーニャ「敵機、方位310。まっすぐこちらに向かってきます」

ミーナ「いつもの小型機ね。……ええと、あの人は?」

シャーリー「あれ?そういえば置いてきちゃったな」

坂本「腕を見る良い機会だったんだが。まぁ、ストライカーもまだ輸送機から降ろしていなかったからな。
    彼の力を見るのは、次回に――」

エイラ「な、なんだアレ?基地からなんか飛んでくるゾ!」

それはストライカーとは似ても似つかないシルエットだった。というか、ただの一枚の舟型の板にしか見えない。
その上に突っ立っているのは、他に誰あろう、かの男である。

ペリーヌ「……サーフィン、ですの?」

余「否。これが余の『玉座』である。」

あっという間に乙女達と同じ高度に並んだ男が訂正する。

715 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 17:10:11.43 ID:uK4k6P930
訳がわからねぇ・・・
一体俺は何のブツをキメたんだ?

716 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 17:13:31.59 ID:WKyDyCbD0
ミーナ「ええと……それ」

余「『玉座』だ。」

男が繰り返す。
そのネーミングセンスはどうなんだ、っていうか立ってるじゃん……と数人の乙女が心の中で突っ込む。

ミーナ「その『玉座』が、あなたのストライカーなんですね?」

余「いかにも。エーテルの波をとらえて滑ることができる。」

芳佳「やっぱりサーフボード……」

余「『玉座』、だ。」

芳佳「……」

ミーナ「分かりました、分かりました。とにかく、あなたは戦えるということでいいですね。
    私たちはこれからネウロイの迎撃に向かいます。あなたはとりあえず私と美緒と編隊を組んでもらいます」

坂本「おいでなすったぞ」キィン

眼帯を外した坂本が告げる。日が傾き始めた北北西の空に、染みのような黒点が現れ始めていた。その数40機余り。
警報から警戒空域内侵入が早すぎる。ミーナは唇を噛んだ。

ミーナ「いくら最前線とは言え、もっと見張りを強化してもらわないとね……。皆さん、フォーメーション――」

余「控えよ。」

ミーナ「え?」

717 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 17:19:02.10 ID:TCdeGqIm0
これなんてエウレカセブン?
陛下が良すぎるwww
718 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 17:21:09.36 ID:1/iP0nay0
トラパーか

720 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 17:30:18.69 ID:WKyDyCbD0

ミーナの言葉を遮って、男がズイと編隊の先頭に乗り出した。
ミーナはその意図を問おうとし、坂本は編隊を乱したことを咎めようとした。
しかしそれらのいずれもが言葉になる前に、戦闘は終わっていた。

余「頭が高い。」
余「<●><●>」ギン!

その一言、そして一睨みで。
基地に向け殺到していたネウロイの一群、その全てが塵に帰した。

ネウロイたちは巡航速度のまま白く自らの欠片で尾を引いて、やがて消えた。
時間にしてほんの数秒。目撃した乙女達が呆けていた時間の方がよほど長かった。

ミーナ「……サーニャさん、索敵を」

ミーナがいち早く立ち直ったとき、男は既に基地へ向け降下を開始していた。

サーニャ「……ネウロイの反応、消滅しました」

エイラ「な、なぁ。あいつ今、何したンダ?」

答えられる者はいない。

721 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 17:32:15.91 ID:VZfk4qQ/O
へっ……?

王様スゲー
722 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 17:33:02.50 ID:ZPzWZZf30
>>721
陛下
723 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/09(日) 17:35:21.03 ID:XgcKExflP
こりゃ随分と濃いいのが来たなおい

724 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 17:35:27.05 ID:WKyDyCbD0
着陸後、男はハンガーで皆を待っていた。
皆この不可解な(しかしどうやら只者ではなさそうな)男についてどう接していいか分からないでいたが、男の

余「王は空腹である!」

の一言で場は和んだ。基地に到着後初めて表したごく常識的な人間味の発露だった。
一旦空気が緩むと、次に乙女達は自分達は (想像を遥かに超えて) 強力な援軍を得たのだと実感し、基地は久々に明るい雰囲気に包まれた。


― 食堂 ―

余「王は空腹であるぞ!」

ルッキーニ「よっさんまた言ってるー」ケラケラケラ

芳佳「はいはい。すぐ準備しますね」ニコニコ

シャーリー「なぁなぁ、さっきの戦闘、お前一体何したんだ?」

725 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 17:40:40.81 ID:WKyDyCbD0

余「何、とは?」

坂本「ネウロイを撃ち落とした攻撃のことだ。おまえは丸腰に見えたが……。何か特別な武器を持っているのか?あるいは固有魔法か?」

余「ふむ。」

男は食卓を見回す。その場の全員が、興味津々といった面持ちで男を見つめている。
普段は読書や機械以外にはとんと無関心なウルスラまでもが、手を止め興味深げな視線を向けていた。

余「余は武器など持たぬ。戦うのは王の仕事ではない。王は君臨するのだ。なんと言うこともない、余は王権を行使したに過ぎぬ。
    空にある全てに対する生殺与奪権を、余が握っているのだ。」

答えになっていない。
そんな乙女達の怪訝顔に気づいた男は、説明を続けた。

余「さきほど何をしたのか。具体的には、余はかの黒い奴ばらを睨みすえ、『墜ちよ』と命じたのだ。
    奴ばらは命に従い墜ちた。余はこの業を『勅視』と呼んでいる。」

坂本「なるほど、ようは視線で相手を攻撃する固有魔法か」

余「……ありていに言えば、そうと言えるかも知れぬ。」

726 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 17:43:38.41 ID:ZPzWZZf30
よっさん「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」

727 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 17:44:54.66 ID:WKyDyCbD0

バルクホルン「視界全てが射程範囲か」

ウルスラ「しかも、少なくとも小型ネウロイには、一撃必殺」

リーネ「すごいですね……はぁー」

ミーナ「あの書類の戦績も、あながち大げさじゃないのかも知れないわね」

芳佳「はいはい、ご飯の用意が出来ましたよ。よっさんも是非たくさん召し上がってくださいね。今日は腕によりをかけて作ったんですから!」

ペリーヌ「って、宮藤さん!?新人の方にこの腐った豆をいきなり出すって、いったいどういう了見ですの!?」

芳佳「えー、体にいいんですよ?」

余「うむ、いただこう。」

一同「「!?」」

リーネ「あの……平気なんですか?その……匂いとか」

余「空の王に好き嫌いなどない。……どうした?そなたらも食事を始めるがいい。
    王が手をつけねば下々の者は食べ始められぬだろうが、見ての通り余は既に始めている。遠慮はいらんぞ。」

坂本「……わっはっは!すばらしいな、空の王。わっはっは!」

728 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 17:48:48.20 ID:HLmEi68/0
ギアス持った英雄王かwww
期待支援

729 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 17:50:29.25 ID:WKyDyCbD0
― 次の日、ハンガー ―

ウルスラ「……」カチャカチャ...

余「おはよう。ウルスラ・ハルトマン」

声をかけられた少女は、振り向いてこくり、と頷くと、再び整備作業に戻った。

余「余の妃になる決心はついたか?」

さすがにウルスラも作業を中断し、改めて振り向いた。

ウルスラ「そんな話は知らない」

余「昨日話したはずだ。」

ウルスラ「いきなり言われても困る、と」

余「なればこそ、一晩待ったぞ。」

ウルスラ「……」

730 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 17:52:09.90 ID:ZPzWZZf30
失…ウーシュ√なのか?

731 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 17:58:39.68 ID:WKyDyCbD0

余「何故悩むのだ。これは至上の名誉であるぞ。」

ウルスラ「興味ない」

余「世俗の名誉には興味がないか。ますます余の妃に相応しい。」

ウルスラ「……。恋愛にも、今は興味ない」

余「では何になら興味があるのだ?」

ウルスラは沈黙した。そういえば、自分は何に興味があるのだろう。
自分が熱意をもってやってきたことを思い浮かべてみる。武器開発、ストライカー開発、空戦。
戦争に関わることばかりだ。自分は戦争に興味があるのだろうか?
興味があるのは、間違いないだろう。そう冷静に自分を分析する。
好きだから、興奮するからといった正の感情ではなく、憎しみや恨み・怒りという負の感情に基づく興味ではあるが。

年頃の娘として、これはあまりに不健全だ。唐突にウルスラはそう思った。
時代が悪いといえばそれまでだ。しかし、こんな時代でも明るく瑞々しく生きている娘もいる。
例えば、彼女の姉のエーリカ・ハルトマンだ。

余「ふむ。」

お決まりの劣等感と嫉妬に沈みかけていたウルスラの前で、男は一言呟いた。
はっとしてウルスラが顔を上げたとき、男は既に背を向けていた。

733 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 18:00:59.27 ID:WKyDyCbD0

つまらない女と思われただろうか?
ウルスラはそう思った。
思ってから、そう思っている自分に、そう思われたから何だというのか、と言い聞かせた。
自分はこの男に好意的に見られたいなどとは思っていないだろう、と。
ただ、自分のこの情けない自己評価を一部でも他者に悟られるのが嫌なのだ、ウルスラはそう分析した。

気づくと、男はごそごそと自分の (サーフボードのような) ストライカー、『玉座』を準備していた。

ウルスラ「どこへ?」

余「空だ。」

ウルスラ「出撃命令は出ていない。許可もない」

余「余が自らの君臨する空へ赴くのに、誰の許しが必要であるというのか。」

それ以上抗弁する暇を与えず、男は『玉座』に飛び乗ると、具風を捲いてハンガーを飛び出していってしまった。


その後ミーナがハンガーに現れて、離陸許可を出していないのに飛び出して行った何者かについてウルスラに尋ねた。
ウルスラは無言で空いている『玉座』のスペースを指差し、ミーナは苦笑した。

735 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 18:06:28.16 ID:WKyDyCbD0

男はその日の夕方、たっぷり日が翳ってから帰ってきた。
金や銀、宝石でできたアクセサリー類をじゃらじゃらと大量に携えて。

余「ウルスラ・ハルトマン。おまえにこれらの宝物を下賜しよう。伏して受け取り、余の妃になれ。」

ウルスラ「……いらない」

余「ぬぅ。女人はみな、こういった宝物に目が無いものと聞いておるぞ。」

ウルスラ「興味ない」

余「そうか……。だが王たる者、一度下賜すると決めたものはおいそれと引っ込められぬ。受け取れ。」

ウルスラ「困る」

押し問答の末、最終的には強引に押し付けるように、男はそれらをウルスラのもとへ置いていった。
珍しくいささか落胆した風に、男は部屋に戻っていった。

シャーリー「けどすごいな。どこから持ってきたんだ。こんなもの」

リーネ「綺麗……」

ウルスラ「欲しければ、あげる」

リーネ「そんな、もらえませんよ!」ブンブン

737 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 18:10:26.42 ID:WKyDyCbD0

エイラ「ウルスラはすごいの引っ掛けたナ」

ウルスラ「困る」

エーリカ「いいじゃんウーシュ、昨日の今日でこれだもん。ベタ惚れだね彼」

エイラ「玉の輿じゃナイカー」

サーニャ「エイラ、そんな言い方しないの」

ウルスラ「……困る」

男とウルスラのやるとりは、娯楽が乏しい軍事基地内の、さらに暗く沈みがちな持久戦にくたびれた乙女たちの格好の餌食となった。
やいのやいのと、姦しい雀たちの囀りがその日は遅くまで続いた。

結局宝石類はウルスラが一時的に預かるが、来るべきカールスラントの復興の際に資金の足しにしようということで落ち着いた。


その日、ネウロイは現れなかった。

738 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 18:12:47.70 ID:ZPzWZZf30
ネウロイさん…

739 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 18:16:33.86 ID:WKyDyCbD0
― 次の日 ―

余「ウルスラ・ハルトマン。ヒスパニアの……余にはよく分からぬが、タルタとかいう菓子を買ってきたぞ。下賜するゆえ、余の妃になれ。」

ウルスラ「嫌」

余「何故だ。女人はみなこういった甘露に目がないと聞くぞ。」

ウルスラ「甘いものは嫌いじゃないけれど」

余「なら――」

ウルスラ「妃になれというのは、困る」

余「そうか……。だが王たる者、一度下賜すると決めたものはおいそれと引っ込められぬ。妃になれとは言わぬゆえ、受け取れ。」

ウルスラ「困る……」

押し問答の末、最終的には強引に押し付けるように、男はそれらをウルスラのもとへ置いていった。
今日もいささか落胆した風に、男は部屋に戻っていった。

エーリカ「あーこれおいふぃい」モグモグ

ウルスラ「姉さま……勝手に」

740 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 18:19:56.72 ID:WKyDyCbD0

リーネ「これ、ヒスパニアの有名なメーカーのタルトですよ」

芳佳「有名なんだ……」

シャーリー「まぁ細かいことは置いておいて、いただこうよ。ウーシュ、いいだろ?」

ウルスラは、諦めたようにこくりと頷く。

エイラ「おー美味イ!サーニャも食べてみろよ」

サーニャ「……美味しい」

ペリーヌ「まったく他人の贈り物にこうあっさり手を出すなんて。浅ましいですわ」

エイラ「お前も食ってみろ、ヨ!」グイ

ペリーヌ「むぐ!?む~!」モグモグ

ペリーヌ「あ、あら美味しい。じゃありませんわ!何てことをなさいますのエイラさん!」

エイラ「何てことないサ~」ニヒヒ

741 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 18:24:28.60 ID:WKyDyCbD0

ミーナ「でもありがたいわね。ここ最近、おちおち街に買い物にも出かけられなかったもの。息抜きにちょうどいいわ」

坂本「そうだな。だが……」

ミーナ「どうしたの?」

坂本「いや、あいつどうやってこんなものを手に入れたんだろうと思ってな。まさかヒスパニアまで飛んでいったとは思えんが……」

ミーナ「まさか。ストライカーで、半日で、しかもネウロイの勢力圏を突っ切って往復なんて」

坂本「まぁ、そうだな。大方どこかで取り寄せたものがあったのだろう。ヒスパニアへの民間ルートが残ってるとも思えんから、地元で作ったライセンス品かも知れんしな」



その日も、ネウロイは現れなかった。

743 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 18:28:02.07 ID:WKyDyCbD0
― 次の日 ―

余「ウルスラ・ハルトマン。ガリアから脱出したデザイナーの仕立てたドレスを入手してきたぞ。下賜するゆえ、余の妃となれ。」

ウルスラ「嫌」

余「ぬぅ。何故だ。女人はみなこういった服に目がないと聞くぞ。宝石、甘露、服。女人の大多数が好むはずのこれら全てを撥ね付けるとは、おまえは――」

ウルスラ「そういう意味で言ってたんじゃない……」

余「ぐぬぬ……」

余「……まぁ良い。だが王たる者、一度下賜すると決めたものはおいそれと(ry」




746 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 18:32:35.18 ID:WKyDyCbD0

シャーリー「だっはっはっは、今日は服か!次辺り家とか持ってきそうだな、だっはっは!」

ウルスラ「笑い事じゃない……」

さすがのウルスラもいささかげっそりした風である。

リーネ「ウルスラさんは……」

ウルスラ「?」

リーネ「嫌いなんですか?あの人のこと」

ウルスラ「嫌い……ではないけれど。苦手」

芳佳「お妃様になれ、っていうのは困っちゃうけど、私だったらちょっと嬉しいな。こんな情熱的にアプローチされたら」

リーネ「憧れちゃうよねー」

ウルスラ「他人事だと思って……」

バルクホルン「そ、そうだぞ宮藤!押しの強さに流されるなんて、なんて危ない!」

エーリカ「トゥルーデ何うろたえてるの?」


ウルスラ「……何で、私なの?」

747 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 18:37:19.68 ID:WKyDyCbD0
そんな浮ついた空気をよそに、司令室ではミーナと坂本が真剣な顔で会議していた。


坂本「ミーナ、おかしいと思わないか」

ミーナ「ええ。今日で三日もネウロイの襲撃がない。最近のペースから見て、ありえないわ」

坂本「何を企んでると思う?」

ミーナ「常識的に考えるなら、襲撃に使うはずだった小型機を温存して一気に大攻勢に出る、といったところかしら」

坂本「だとしたら、いつになるだろう。すでに最大で襲撃三回分のリソースが溜まっているとして」

ミーナ「明日だとしてもおかしくないわ。連合軍ロマーニャ司令部は、今のうちに反攻作戦の準備をしたいみたいだけれど。
    とにかく、偵察を要請してみるわ。大至急で」

748 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 18:42:24.41 ID:WKyDyCbD0
― 次の日 ―

余「ウルスラ・ハルトマン。お前のフラックウルフに使えるカスタムパーツを入手してきたぞ。下賜するゆえ……何か違うな。うむ、これは違う。絶対に違う。
    まぁ妃うんぬんには関係なく、役には立つであろう。受け取れ。」

ウルスラ「……」

今日はどうするつもりかと思っていれば、真面目くさった顔で何を言い出すのか。
たしかに違う。プロポーズしながら差し出すような品物では絶対にない。
さすがのウルスラも

ウルスラ「……くす」

余「む?」

ウルスラ「くすくす、く、ふ、くふふふ、あははははは、あははははは……」ケラケラケラ

余「……ぬぅ。お前の笑顔を見ることができたのは僥倖だが、いまひとつ不本意であるな。」

751 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 19:02:12.70 ID:ZPzWZZf30
よっさん絶対ネウロイ殲滅してるだろ…
753 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 19:04:22.21 ID:HCbz3b+h0
なる。ロングフライトして撃破、近所で買出しか。

752 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 19:02:33.93 ID:WKyDyCbD0
そんな二人を、物陰から覗く影がある。

シャーリー「ほほぉーう」

ルッキーニ「ねぇねぇシャーリー。何が『ほほぉーう』なの?」

芳佳「今日はなんかいい感じかな?」

リーネ「ウルスラさんがあんなに笑ってるの、初めて見た」

エーリカ「今日はお菓子じゃないのかー……」

バルクホルン「こらハルトマン、浅ましいぞ」

755 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 19:06:28.50 ID:WKyDyCbD0
司令室。昨夜と同じく、ミーナと坂本が協議している。
坂本は昨夜と同じく真剣な顔をしているが、ミーナの顔は何故か困惑顔である。

坂本「偵察はもう出ていたのか。で、結果は?」

ミーナ「それが……ちょっと見て?」

坂本はミーナに渡された書類を一枚一枚捲っていく。
捲るごとに、その表情は変化していき、最後の一枚を捲り終えたとき、彼女は完全にミーナと同じ困惑顔をしていた。
その理由はというと

坂本「ネウロイ戦力が蓄積しているどころか、ロマーニャにいるマザー級ネウロイの数が減っている?」

ミーナ「ええ。偽装の線も考えて徹底的に調べたらしいんだけど、でも結果に間違いは無かったそうよ。
    それどころか、昨日まで会ったはずのマザー級が一晩明けたら無くなっていて、跡にわずかにネウロイの破片が残っていたこともあったって」

坂本「つまり、何者かがこの数日の間に、ロマーニャのマザー級ネウロイを撃破して回っている、ということか?しかも我々に気づかせずに?」

ミーナ「そんな馬鹿な、不可能よ。……と言いたい所だけど」

坂本「まさか……」

757 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 19:11:01.66 ID:WKyDyCbD0

男はあっさりと答えた。

余「ああ。余の仕業である。」

ミーナと坂本は絶句した。
居合わせたウィッチたちも同様である。
自分たちが散々苦戦した……というか、手も足も出なかったマザー級ネウロイを、この男がこの数日の間に片手の指に余るほど撃破していたというのだから無理もない。

坂本「何故……黙っていたんだ?」

坂本はやっとそれだけ搾り出すように問いかけた。
男は特に誇る様子も無く、というより心底疑問といった風に問い返した。

余「余は余の行幸に立ち塞がる不届き者を、無礼討ちに果たしたに過ぎぬ。いちいちそちらに知らせる道理がどこにあろう?」


シャーリー「ひゅー、かっこいい」

エーリカ「むーちゃくちゃだー……」

絶句する者、感心する者、呆れる者。思い思いの反応を示す乙女たちの中で、一人男の下に駆け寄る者がいた。
フランチェスカ・ルッキーニである。

ルッキーニ「ね、ねぇよっさん?」

余「ぬ。どうした?」

758 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 19:15:26.94 ID:dWpdO6/30
よっ△
マジリスペクトっす

759 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 19:16:06.86 ID:WKyDyCbD0

ルッキーニ「ロマーニャは、助かるの?あたし、ずっと不安だった。明日にもロマーニャを見捨てるって言われるんじゃないかって。
    毎晩お祈りしてたの。どうか明日もロマーニャが見捨てられませんようにって」

シャーリー「ルッキーニ……」

シャーリーは気づいた。この絶望的な戦線で、一番苦しんでいたのはルッキーニだった。
日一日と追い詰められ、いつ戦線放棄命令がくるかと怯えながら、それでも不安の色を見せないように戦ってきたのだ。

ルッキーニ「アフリカもマルタもヴェネツィアもやられちゃって、周り中ネウロイだらけで、それで……それで……
    助けて、くれるの……?」

余「おまえは……そうか。この地の出身者か。」

男はルッキーニに向き直ると、立ち上がり傲然と胸を張って宣誓した。

余「空の王の名において誓おう。落葉の季節までには、このロマーニャの地に蔓延るネウロイばらを、一匹残らず駆逐して見せる。」

そうしてから、男はルッキーニに視線を落とし、ウィンクしながら追加した。

余「むしろ助からぬのはネウロイの方である。今夜からは奴ばらのために祈ってやると良い。」

ルッキーニはついに泣き出した。

760 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 19:19:51.70 ID:WKyDyCbD0
書き溜め尽きた。
とりあえずここまで。

今まで割りと制約ありの、強さ的には普通なキャラを書いてたので(その方が面白いだろうし)、
なんかなにもかも振り切ったキャラを作ってみたくなった。

バランスブレイカーなのは承知の上。
っていうか他のウィッチいらないよね。
まぁいいやそんなに長く書かないし。
じゃあの。

761 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 19:20:45.57 ID:wX7nbad20
乙乙
762 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 19:20:56.56 ID:ZPzWZZf30
乙乙
よっさん、その表現はどうよ…?
763 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 19:21:14.15 ID:ARwdc0Iu0

でもウルスラは渡さない
764 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 19:23:23.83 ID:XgcKExflP
このスレの初心に帰ったかのような「こまけぇことはいい」っぷりに感服した
乙乙、スゲー面白い
765 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 19:25:30.77 ID:TCdeGqIm0

なんか絵本か童話でこんなのがあった気がする…よっさん最高です
766 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 19:26:39.38 ID:IBFIbasHP
なんか逆かぐや姫って感じだな
768 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 19:52:35.03 ID:XgcKExflP
こまけぇことはいい俺の降臨と俺団?俺学園?の復活か
胸が熱くなってきた
769 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 19:53:15.75 ID:BnFmaqcZ0
いいよね圧倒的な力大好き




最終更新:2013年02月02日 13:42