――――――――――――――――――――――――ミーティングルーム

後日。
私大尉は今、医務室で休んでいる。
一同はミーティングルームに集められ、昨日の出来事を話していた。

坂本「怒りの感情・・・?」

サーニャ「・・・はい。私大尉があの獣の姿になった時、怒りが溢れていたんです。」

エイラ「あいつが、怒っているのって滅多になかったよナ。」

エーリカ「でもさ・・・、私があれに変身する前に桜の花弁が黒くなかった?」

エーリカの言葉を聞いてあの光景を思い出す。
桜花蝶が発動した時、桜の花弁が黒かった。
それから、黒い桜の花が私を身に纏いあの巨獣へとなった。

シャーリー「謎が多すぎるな・・・。」

ペリーヌ「そもそも、私大尉は自分の過去を話していなかったですもの。だから・・・」

ペリーヌが最後に言いかけようとした時、ハインリーケは席を立つ

ハインリーケ「いい加減にせぬか!!私大尉はわらわ達の仲間であろう!?」

その一言で辺りは静寂に包まれた。
ハインリーケは医務室にいる私の様子を見に行くと言って、部屋を出た。
その時、入れ違いに誰かが部屋に入ってくる。
軍服を着た扶桑の少将だ。そう、私大尉が以前、所属していた上官である。

少将「突然の来訪を許していただきたい。私大尉の事について話があるのだ。」

リーネ「私さんの事ですか?」

少将「彼がこの部隊で元気でやっているという報告を聞いたのだが、どうやら・・・あの時の姿を見た様だね。」

あの時の姿、それは・・・あの凶獣の事を少将は知っているという事なのか?

ミーナ「可能であれば教えて下さい。私大尉の過去を・・・」

少将「良いでしょう。ですが、それはあまりにも辛い話ですから・・・。」

――――――――――――――――――――――――医務室

私「・・・まだ、生きていますね。」

生きている喜びを味わうが、しかし・・・心には影があった。
あの凶獣を皆に見られた。もはや、この部隊にはいられないだろう。
そんな事を考えている時、誰かが入ってきた。

ハインリーケ「元気にしておるか。」

私「ハインリーケ、さん・・・」

ハインリーケ「右肩は大丈夫か?」

私「ええっ・・・大丈夫ですよ。」

ハインリーケ「あまり無理するでないぞ。皆が心配するからな。」

私「はい・・・。」

椅子に座るハインリーケ。
しばらくの沈黙が続くが、私が口を開いた。

私「ねぇ・・・ハインリーケさん。よかったら聞いてくれますか・・・。」

ハインリーケ「何だ?」

私「・・・私の昔話を・・・。」

――――――――――――――――――――――――ミーティングルーム

少将「3年前の話。私大尉がまだ少尉だった頃の話だ。
   男児でありながらウィッチとしての素質を持っており彼は軍へと入り、
   ウィッチとしての才能を開花させた。」

シャーリー「12歳の頃か・・・ルッキーニと同じ年齢で戦場へと赴いたという訳か。」

ルッキーニ「うじゅー、凄ーい。」

少将「ええっ。当時の私大尉の面倒を見ていましたからね。
   ウィッチとしての使命と誇りを胸に彼は仲間と共に戦い抜いた。
   彼は立派なウィッチだった。そう、あんな悲劇が起きなければ・・・。」

宮藤「悲劇ですか・・・?」

少将「突然、現れたネウロイによって部隊は壊滅し、当時の私とその部隊の隊長だけは戦いました。
   しかし、そのネウロイの再生力が早すぎて二人の魔力も残り少なかった。
   最早、絶望だけと思っていましたが・・・。
   隊長は最後の力を振り絞ってネウロイのコアを掴み、私大尉にこう言ったのです。」

――――――――――――――――――――――――医務室

私「『私もろともネウロイを倒せと。』隊長はそう言ったのです。
  勿論、私はそんな事はできなかった。隊長を殺すなんて・・・。」

ハインリーケ「・・・。」

私「隊長は『お前は私の誇れる隊員だ。その想いと意志を受け継ぐんだ。』
  そして・・・私はこの手で・・・ネウロイごと、隊長を殺した。」

悲しい頬笑みをする私。両手は毛布をギュッと掴み震わせていた。

私「私は泣き叫びました。何がウィッチなんだ。
  仲間を護れず、隊長をこの手で殺して、たった一人だけ生き残った私を呪いました。
  ・・・それから、私はネウロイを狩る為だけに生きていた。」

ハインリーケ「・・・では、あの凶獣は?」

私「あの時は昔の事を思い出し、ネウロイに対する怒りと復讐によって生み出された私の怨念と言えば良いでしょうね・・・。」

ハインリーケ「怨念によって生み出された獣・・・。」

私「私は、愛する隊長にプレゼントしようとした和服を着て、罪を背負い闇に生きて安らぎと愛を捨てた亡霊ですから。」

――――――――――――――――――――――――ミーティングルーム

少将「名門家に生まれ優雅で桜を愛する者。しかし、その過去は・・・
   人殺しの罪を背負って、ネウロイと戦うだけウィッチ。
   後は資料に書いてある通りアフリカ、カールスラント等と様々な場所へと転属した・・・。」

壮絶な過去。
かつて、自分が所属していた部隊は全滅し理由はどうあれ、愛する者をこの手で殺した。
それはあまりにも悲愴すぎる事だった。
和服を着ていたのは愛する人に渡す筈だったものを着て過去の苦しみに囚われた悲しみを背負った桜の亡霊。

坂本「そう、だったのか・・・」

ミーナ(私さんは・・・私と同じ・・・)

バルクホルン「・・・あいつは我々には想像のつかない重い物を背負っていたという訳か。」

エーリカ「・・・なんで、そんな事を話してくれなかったんだよ。」

ペリーヌ(私の場合は家族と故郷をネウロイに奪われましたけど・・・でも、私大尉はそれ以上に・・・)

ルッキーニ「・・・・わ゛だじぃ、がわ゛い゛ぞう゛。」

ヒックヒックッと泣いているルッキーニ。シャーリーはルッキーニを抱きしめて慰める。
エイラもサーニャも宮藤もリーネもポロポロと涙を流していた。

少将「私大尉は随分と落ち着きましたが、今でも過去の事をずっと背負っていたのでしょう。隊長を救えずにその手で殺めた自分を・・・。」

宮藤「少将さん・・・私達が、私さんを支えてあげたいと思います。それがウィッチーズとして、家族としての役目です!!」

席を立って自分が出来る事を熱く言う宮藤、坂本も立ち上がる

坂本「私も宮藤の言うとおりだ。私には何度も助けられたからな。今度は我々が私を助ける番だ。」

周りを見ると皆も同じ気持ちだった。

少将「ありがとう。皆さん。(私よ。お前の事をこんなに思って人がいるのだ。だから、過去に縛られるな。)」

かつて、心に傷を負った部下を助ける事ができなかった男は願った。
過去に囚われて欲しくない思いを・・・。

――――――――――――――――――――――――医務室

ハインリーケ「私・・・もう、我慢しなくてもいいのだぞ。」

私「何を言って・・・?」

ハインリーケ「そなたがずっと、苦しさ思いを、辛い思いを、痛い思いを耐えてきたのだ。
       だが、そんな事はしなくてもよい。わらわも一緒に受け止めてやる。」

私「・・・そんな事をしなくても・・・」

ハインリーケ「わらわは・・・その隊長の代わりになりたいのだ」

私「・・・・!!」

ハインリーケ「・・・もう一度言う。わらわはそなたの事が好きなのだ。」

私「・・・・・・いいんですか、こんな・・・・・・私を・・・・・・」

ブルブルと震えている私。泣くのを堪えているのだろう。
ハインリーケはソッと私を優しく抱きしめた。

ハインリーケ「泣いても良いのだぞ。そなたは頑張ったのだから・・・」

私「ウウウウ・・・ッ」

ハインリーケの言葉で私は歯を食いしばって泣いた。
甘えも許さず、安らぎも許さず、戦うだけ誓ったあの日。
これまでに出会った仲間との絆。そして・・・ハインリーケの温もりを感じて、忘れかけていた物を思い出した。
怒りと復讐の為だけに戦っていた亡霊は溜めていた想いが溢れ大泣きした。

ハインリーケ「・・・もう、大丈夫なのか?」

私「ありがとうございます。それと、お見苦しいところを見せてしまって・・・」

ハインリーケ「いいんだぞ。そんな事を言わなくても・・・」

私「・・・はい。」

二人はしばらく見つめ合う。
互いの心臓の鼓動がドクンッドクンッと聞こえている。
唇が重なり、二人は熱いキスを交わした。

※特別ED(僕が愛を伝えてゆく)

次回予告
エーリカだよーん♪
私も隠さずに話せば良かったのに。
そんなわけで、私が元気出る様にちょっとしたパーティーを開いたのさ。
何のパーティーかて?
それはね・・・

次回新たな誓いへ続く
最終更新:2013年02月02日 14:34