上空 Ju-52機内

俺「……」

ネウ子「……」

ミーナ「……」

司令部にお呼び出しを受け、俺たち三人は空の旅となった

先日到着した扶桑艦隊についてと、エフィについていろいろ

エフィはこれからも、俺の保護下の元、基地に居座ることになった

やはり、様々な意見というかなんと言うかはあるもので、

エフィをカールスラントの技術省に送ってしまえという輩もいた

俺が半分脅してふざけた口を閉じさせたが

軍上層部の石頭は、どの時代も世界も同じらしい

そういえば、扶桑の戦艦大和、エフィが妙に興味を示していた

その興味の示し方がちょっと変わっていて、好奇心に溢れているが警戒心もあるという感じ

まぁ、エフィの興味関心の対象が増えるのはいいことだろう……多分

とりあえず、今はそんな事よりこの機内の気まずい雰囲気を何とかしたい

マルセイユ「……」ジー

ネウ子「……」ガクブル

ミーナ「……」シランプリ

俺「……」ナミダメ

……こん畜生

俺「た、大尉?」

マルセイユ「ん?」

俺「エフィは、その、敵ではないので、睨み付けないであげてください」

精一杯の説得

マルセイユ「睨みつけ……ああ、いや、ネウロイだからと警戒しているわけではないんだ」

俺「え?じゃあなんで……」

マルセイユ「いや~……」チラッ

ネウ子「キュ?」

マルセイユ「夏なのにセーターで暑くないのかな~、と」

俺「……そこ!?」


 第七話 "Calm before the Storm"


マルセイユ「怖がらせてしまったみたいだな。すまない」

ネウ子「キュー」フルフル

俺「気にしてないみたいですよ」

マルセイユ「そうか、よかった」

……意外といい人なのかな?

マルセイユ「それはそうと、ハルトマンは元気にしてるか?」

俺「? 中尉と、お知り合いなんですか?」

ミーナ「ハルトマン中尉とマルセイユ大尉、それにバルクホルン大尉は、昔同じ部隊にいたのよ」

俺「へー」

ネウ子(興味無さげ…)

マルセイユ「で、元気にしてたか?」

俺「ええ、元気ですよ。私生活はずぼらですが、戦闘ではいつも結果を出してます」

マルセイユ「そうか……そうか!」

俺(すごいうれしそう…)

パイロット「間も無く基地上空です。着陸態勢に入ります」

ミーナ「わかったわ、ありがとう」

ネウ子「疲れた…」

俺「輸送機で空を飛ぶのは初めてだもんな」

マルセイユ「……」ウズウズ

大尉が突然そわそわし始めた、と思ったら

マルセイユ「」スクッ

急に立ち上がった

俺「大尉?もうすぐ着陸ですから、座っていたほうが――」

――安全、と言おうとしたら、

<ガラッ!ブォォォ!

大尉がドアを開け放った

ネウ子「キュッ!?」

俺「なっ!?」

高度は下がっていたので、気圧の問題は無いが、強風が機内を吹き荒れる

ミーナ「マルセイユ大尉!」

中佐が風に負けない勢いで叫ぶが、

マルセイユ「」ニッ

彼女のファンが見たら体中の穴という穴から出すもん出して倒れそうな笑顔を見せた後、

マルセイユ「とうっ!」シュタッ

飛び降りた

俺「あの人正気か!?」

いい人だなんて一瞬でも考えた自分がバカだった…あの人、クールビューティー気取ったじゃじゃ馬だ

ネウ子「~~っ!」キィィ、バタン

エフィが何とかドアを閉め、機内に吹き荒れる風は収まった

窓から外を見ると、飛び降りたマルセイユ大尉が使い魔を発現。華麗に着地しているのが何とか見えた

俺「……昔からああなんですか?」

ミーナ「JG52に居た頃から、自信家で傲岸不遜な性格だったの。アフリカでだいぶ丸くなったと聞いていたけど…」

ハァァ、と、いつもよりちょっと長めのため息が漏れる

ネウ子「キュー…」

俺「…心中、お察しします」




 基地 ブリーフィングルーム

今までブリーフィングは談話室で行っていたが、ちゃんとしたブリーフィングルームができてからは、基本こっちだ

ただ、談話室のほうが個人の部屋に近いというのもあり、朝の通達は談話室でやってる

今日は、夜間哨戒組みも徴収され、数日後に行われるスレッジハンマー作戦のブリーフィングが行われる



スレッジハンマー作戦――ようするにマルタ島奪還作戦だ

マルタ島に居座るドーム型ネウロイを、内部から破壊するという、少々無茶な作戦なのだが、

俺(航空機の格納・射出機能を持った大型潜水艦……扶桑も変わったもんを作るな)

扶桑の潜水艦「伊400」のおかげでできちゃうのだ

ドームの半分は湾は覆っていて、伊400で内部に侵入後、浮上、ウィッチ二名を発艦後、急速潜航する、というわけ

浮上~潜航の間に攻撃されるのではないか?と思ったが、伊400は一分で急速潜航できるそう……恐ろしいわぁ

魚雷発射管は外されているとのこと。(忠実では53cm魚雷発射管が艦首に8門付いている)

ネウロイと水中戦することは無いだろうが、魚雷発射管の無い潜水艦って…

エイラ「……どこがおかしいんだ?」

こっちの世界じゃ半ば当たり前のようです



ミーナ「では、突入部隊のウィッチを発表します」

前に、俺かサーニャが作戦に参加できるように頼んだけど…

ミーナ「まず、今回の作戦の援軍として参加することになった、第31飛行隊の、ハンナ・マルセイユ大尉」

バルクホルン「どういうことだ中佐!突入部隊は、私とハルトマンのはずでは!?」ガタッ

ネウ子「落ち着いて…」

立ち上がって抗議するバルクホルンを、大尉の隣に座るエフィがなだめる

俺(やっぱり無理だったか…)

結構重要な作戦だし、上が口出ししてくるのは当たり前か……

ミーナ「上層部からの指示です。我が501から作戦に参加するのは一人のみ。バルクホルン大尉、あなたです」

マルセイユ「無理だ」

ずいぶんはっきりと言う

マルセイユ「バルクホルン。あんたじゃ私のパートナーは務まらない」

バルクホルン「ッ!?」

口調からして、大尉への挑発か、かなりの自信家か…

俺「……」

ネウ子「……」

宮藤「……」

エーリカ「……」

皆が見守る中、

バルクホルン「……何が、何が言いたいんだ?マルセイユ……ッ」

怒気を抑えようとするが抑え切れていない口調で、大尉がこぶしを握りながら言う

マルセイユ「言葉通りさ。あんたの力量じゃ、私といっしょに戦うの無理だって言ってるんだ」

ミーナ「大尉」

マルセイユ「私の力量とつりあうのは…」

中佐が注意するが、大尉の口は止まらない

大尉は視線をある一人に集中させた――黒い悪魔、エーリカ・ハルトマンだ

エーリカ「?」

興味なさげに頬杖をついていたエーリカは、視線に気づき、マルセイユのほうを向く

その視界を、バルクホルンの背中がさえぎった

バルクホルン「どこを見ているんだマルセイユ」

つかつかと靴音を立てながら、席から離れたバルクホルンが、マルセイユに近づく

バルクホルン「カールスラント防衛戦の頃から、お前の上官を上官とも思わないその態度……変わってないな!」

ピョコンと使い魔を発現させ、バルクホルンはマルセイユに掴み掛かる体勢を取る

宮藤「ハワワ…」

ネウ子「キュゥ…」

リーネ「どうしよう…」

ミーナ「バルクホルン大尉!」

再度制止するが聞かない

マルセイユ「フッ。今は同じ階級だ」ピョコン

こちらも大鷲の使い魔を発現させ、ファイティングポーズをとる

俺(あ、これヤバイな)

AK担いで瓦礫の山を走り回っていた頃に培った危機察知能力が赤信号を示した

俺「エイラ!サーニャ!伏せろ!」

俺の隣の座る二人に向かって叫ぶが、



<ドォンッ!



一瞬遅かった

魔力と魔力のぶつかり合い

力をぶつけ合う二人の足元には魔方陣。周りには重力場ができ、部屋の中に嵐ができる

バルクホルン「~~っ!」

マルセイユ「――っ!!」

<バギッドゴォッ!

耐えられなくなった床が、破片を風に乗せて撒き散らせながらえぐれる

その破片がこっちに飛んでくる

俺「いっ!?」

何とかかわす

サーニャ「はわぁっ!?」

エイラ「アッチデヤレー!」

ミーナ「二人とも!!」

中佐が三度目の制止をかけるが、二人は止まらない

俺(畜生!埒があかねぇ!)

少し乱暴だが、無理やり止めさせる

右腰からSAAを抜き取り、銃口を天井へ向ける

コックし、引き金に指をかける

<ダァン!

一同「っ!?」

銃声に驚いた二人(と一同)の動きが止まる。重力場も消え、嵐は収まった

俺「味方同士で争ってどうする!お互いカールスラント軍人だろう!?」

SAAをホルスターに戻しながら叫ぶ

俺「挑発して、喧嘩して、周りに迷惑かけて、まるで子供じゃないか!」

バ・マ「……」

エイラ「……俺?」

いつもと違う何かがある俺に、エイラが違和感を覚える

俺「バルクホルン大尉、怒りたくなるのはわかりますが、もう少し冷静に」

バルクホルン「……すまん」

俺「マルセイユ大尉、旧友に会えて嬉しいのかもしれませんが、喧嘩っ早いのはご遠慮願いたい」

マルセイユ「……調子に乗りすぎた、すまない」

口では謝っているが、どこか腑に落ちないような顔をしている

俺「はぁ…穏便に済ませてくださいよ。自分はちょっと出てきます」

SAAを再度抜き、シリンダーの空薬莢を排出

あたらしい45LC弾を込めながら、ブリーフィングルームの出口へ向かう

バルクホルン「どこ行くんだ!」

俺「設備班のところです。床の修理を頼みに行くんです」

ミーナ「それなら私が行くけど」

俺「あいつらには顔が利くんで。今日中に終わらせます」

ミーナ「……そう、じゃあ、お願いするわ」

ここに居ずらいんだよ、という俺の意図を汲み取ってくれた

俺「はい」

エイラ「わ、私もいっしょに行っていいか?」

俺「男だらけのむさいとこだぞ?」

エイラ「俺が行くなら、私も………///」

俺「…///」

マルセイユ「ヒュー」

俺「っ」ギロッ

マルセイユ「おっと…」

………

俺「大尉、こういうことは言いたくないんですが……」

エイラ「あ……俺」

俺の只ならぬ雰囲気を感じ取ったのか、エイラが止めようとするが、



俺「あなたみたいな人が一番最初に死ぬんだ」



一同「!?」

ダメだった

エイラ「俺!」

俺「フン」

それだけ言うと、俺は大股で歩き始めた

エイラ「待てって!」タッタッタ

慌てて追いかけるエイラ

マルセイユ「………――っ」

唖然としていたが、すぐに険しい表情になるマルセイユ

ミーナ「……」ハァ

胃に穴が開きそうなミーナ中佐だった





 宿舎廊下

エイラ「俺!待てってば!」タッタッタ

先を行く俺を追いかけていると

俺「……」ピタッ

エイラ「わっぷ」ドン

突然立ち止まった俺の背中にぶつかってしまった

エイラ「俺……?」

俺「……ハッ、俺もバカだよな。子供なのはどっちだ」

自嘲するように笑った後、毒を吐く

エイラ「なんで、あんなことを…?」

俺「向こうにいた頃、似たような性格の奴を何人も見てきた……同じ数だけの、死に様もな」

エイラ「……」

俺がポケットに手を突っ込み、ゆっくりと歩き出した

私も、後に続く

俺「ああいう自信家は、いつも先に死んでいく。自分に酔って、周りが見えなくなるんだ」

エイラ「確かに、大尉は自信家ダケド、そんなへまをするような…」

俺「カリスマと自信家は別物だよ」

戦場で生き残るのは、知識と経験を兼ね備え、冷静さと情の分別が付く奴だけだ

間違った知識で部隊を動かせば全滅し、経験がなければ苦難は乗り越えがたい

冷静に物事を判断することも重要だが、時に感情的になるのが人間。それを自分で制御できなければならない

冷徹と冷静は違う。味方を簡単に見捨てるものには、誰もついて行こうとしない

俺「…ある種のトラウマかな」

歩く速度を少し速めた

エイラ(あ…)

ポケットに突っ込んでいる俺の手。小刻みに震えているのに気が付いた

エイラ「……」ギュッ

黙って握ってあげる

俺「!」

エイラ「……」ニコッ

俺「……///」

幸せは、一人の笑顔で作れます




 ブリーフィングルーム

がんばって話し合いで解決しようとした結果、マルセイユ大尉の寮機はエーリカになった

エーリカ本人は、しぶしぶというか、面倒くさそうな顔をしていたが

ネウ子「あ、あの…」オズオズ

マルセイユ「?」

ネウ子「俺兄さんを、怒らないで、あげて」

マルセイユ「兄さん?」

ネウ子「あ…///」

人前では俺のことを彼で統一してたのに……うっかりしていた

マルセイユ「ずいぶん、信頼しあってるんだな。互いに」

ネウ子「うん……彼は、大切な、家族」

マルセイユ「そうか」

実の兄のことのように、うれしそうに話をするエフィを見て、思わず笑みがこぼれる

ネウ子「あの、それで…」

マルセイユ「大丈夫だ、突然殴りかかったりとかはしない」

ネウ子「そう…わかった」

マルセイユ(人にしか見えない…)

言わなければ、街中で静かに本を読んでいても分からない

坂本「マルセイユ大尉!訓練飛行の時間だ!」

マルセイユ「わかった!…じゃ」

ネウ子「キュ」




その後、マルセイユ大尉は、俺を避けるような行動は取らなかった

しかし、俺は少し引け目を感じていたのか、なるべく関わらないように立ち回っていた

マルセイユ大尉から俺に何か話がある場合は、エフィが言伝を担当した

大尉は、エフィがネウロイであることは知ってる。だが、俺が異世界人であることは知らない

エフィやエイラは、そのことを大尉に話そうと提案したが、俺が頑なに拒否

結局、若干間柄がピリピリしたまま、作戦の日を迎えてしまった





 ――マルタ島上空 スレッジハンマー作戦戦闘空・海域


エーリカとマルセイユを除く全員が編隊を組み、マルタ島上空を飛んでいた

海上にはキングジョージV、ビスマルク、リットリオ、秋月などの連合艦隊が並び、

海中では、エーリカとマルセイユを乗せた伊400が、ドーム型へ近づいていた

ミーナ「聞こえる?マルセイユ大尉、ハルトマン中尉」

マルセイユ『良好だ』

ミーナ「目標はネウロイによって占拠されたマルタ島。この前、扶桑艦隊を襲ったネウロイも、ここから出現したと予想されるわ」

俺(大和を襲ったあれか)

忠実で大和を沈めた爆弾の形をしてたそうな

ミーナ「ネウロイは地上で要塞化していて、手が出し辛いの。だから、内側から潜水艦を使って侵入して倒す。準備はいい?」

マルセイユ『いつでもいける』

エーリカ『こっちも良いよ』

ミーナ「作戦開始!」



伊400が水門をくぐり、ドーム内部へ侵入

そのまま緊急浮上。ハッチを開き、二人のウィッチを射出する

エーリカ「!」ブォォン

マルセイユ「接敵!」ダダダダ



ミーナ「始まったみたい」

中佐が固有魔法の空間把握を発現。内部の状況を確認する

エーリカ『敵数、多分40くらい!』

リーネ「40!?」

バルクホルン「多いな…」

俺「中佐、内部にコアはいくつありますか?」

ミーナ「見た感じ、一つだけね」

俺「一つ!?」

坂本「どうかしたのか?」

俺「いえ…」

エフィは、内部にコア持ちの個体が複数いると予想していたが……

インカムからは相変わらず、MG42とMG34の銃声、二人の撃墜報告が聞こえていた

エーリカ『3!』ダダッダ

マルセイユ『2!』ダッダダ

エーリカ『1!』ダダダン

<ダダパァン!

マ・エ『ゼロ!!』

ミーナ「あとはコアだけ」

俺「……」

おかしい、あまりにも簡単すぎる。何かの罠か?

マルセイユ『これで…』ダダダ

エーリカ『終わりっ!』ダダダ

<キィンッ!パリーン!

7.92mm弾の銃撃を喰らったコアは砕け散り、ドーム型が上部から崩壊し始めた

バルクホルン「終わったな…」

宮藤「すごい…」

坂本「あれがエースの力だ…」

俺「……」

崩壊を始めたドーム型

その崩壊の速度が若干遅くなった

<ピカッ

俺「ん?」

ドーム内部の中央付近で、何かが光ったような気がした

俺(赤い光……だったよな………まさか)


赤く光るもの。そんなの、決まってる


俺「っ!」ブォォン!

魔導エンジンに限界まで魔力を送り込み、最高速でドーム型へ向かう

エイラ「俺!?どこ行くんだよ!!」

その時、ドーム型の崩壊が止まり、逆に再生を始めた

ミーナ「一体、何が……」

サーニャ「っ!?ネウロイの反応が復活!ドーム型の中には、まだコアがあります!!」

バルクホルン「なんだって!?」

ドーム型の再生スピードが上がる

坂本「急げ!入り口が閉じる!」ブォォ

エイラ「俺!」ブォォン!

一度は離脱したエーリカとマルセイユも反転し、再度ドーム型へ向かう

だが、一瞬遅かった

俺「っ」ブォォン!

再生が間に合わなかったドームの天頂部から俺が内部に侵入

侵入後、ドームの再生は完了し、入り口は閉ざされた

エイラ「喰らえ!」ダダダダ

ドームに向け銃撃を開始するが、

<キンッキンッ!!

エイラ「効いてない…」

ミーナ「サーニャさん!」

サーニャ「はい!」バシュゥッ!バシュゥッ!

中佐の指示を受け、サーニャがフリーガーハマーを発射する。が、

<ヒュゥゥドーン!!

サーニャ「ダメです!効果なし!」

シャーリー「マジかよ…」

エイラ「俺……」

マルセイユ(……なぜだ、なぜあいつだけあんなにすばやく反応できた……?)

……いや、そうじゃない

マルセイユ(なぜあいつだけ中に入れた?)

あいつが動き始めた瞬間、狙ったようにドームが閉まり始めた

マルセイユ(中で何が起こってるんだ………くそっ!早死にするのはどっちだ!)

無駄とは分かっていても、銃弾を叩き続ける




 ドーム内部

俺「ハァ……ハァ……」

全速力で飛んできたので、息が上がってしまった

だが、警戒は怠らない。背中に担いでいたPPsh41を構える

スオムス経由で入手した新しい"私物"である

問題が多々ある71発ドラムマガジンは、リベリオンのトンプソンを参考に銃弾装填後にゼンマイを巻く方式に

木製曲銃床を外し、お手製の木製銃把と鉄製のワイヤーストックを装着

元の姿はどこへやら、というぐらい改造が施してある

ちなみに、いつものプラズマライフルは、この前暴発事故を起こしたので調整中だ

俺(どこだ…)

<ヒュンッ!

俺「!?」

背後で風の切れるような音がし、慌てて振り返る

<ダダダダン!

振り向き様にぺペーシャの引き金を引き、トカレフ弾を数発お見舞いする

だが、

<キキンッキンッ!!

俺「なっ!?」

放たれた銃弾は、光の壁にふさがれた

正五角形、赤の半透明の壁。ウィッチでいうシールドを展開していたのは、



ネウ女「いきなり撃つなんて、ひどいんじゃない?」



エフィとは別の、人型ネウロイだった

ネウロイユニットに縦セーターのような上半身

黒一色で表情のない顔。そこまではエフィのネウロイ形態時と同じだが、

黒い髪の毛は、エフィのそれより長く、腰の辺りまであった

身長も若干エフィより高く、エフィを少女型とするなら、彼女は女性型と言ったところだ

俺「そっちから呼んでおいて、背後に立つのが悪い」

ネウ女「驚いた?」

俺「そりゃあな。そのシールドは?」

ネウ女「私たちは日々進化している。今、この瞬間も」

俺「俺の妹分から何度も聞かされた」

ネウ女「フッ」

人型はコアを胸元のコアを露出させ、自身の周りに光の粒子を纏わせた

数秒、その状態が続き、光の粒子が晴れたとき、

ネウ女「どう?」

人型はエフィのように、人の容姿を真似た姿になっていた

黒髪はそのまま、肌の色は扶桑人のような黄色に

服装は白のワイシャツの上にこげ茶色のジャケット。ジャケットの前は開けている

脚はネウロイユニットのままだ

俺「誰を真似たんだ、その姿は」

ネウ女「この島の住人。名前は確か、"セルヴィス"」

俺「……殺したのか?」

ネウ女「私がやったんじゃない。このコロニーの最初の主がやった」

俺「最初の主?」

ネウ女「このコロニーは、私が急進派から奪取したものなの」

俺「つまり、お前は穏健派?」

少し期待を込めて問う

ネウ女「正確には、急進派の中の革新派。穏健派と似た思想を持つ個体たちよ」

彼女の話によると、急進派の内部にも様々な派閥があり、急進派内での争いもたえないという

彼女はその革新派で、このコロニーは元々急進過激派のものだったそう

俺「何でコロニーを奪った?アパートでも追い出されたか?」

ネウ女「そんなところ。私たち急進革新派も過激派の粛清を受け始め、逃げ延びたものは一握りだった」

俺(半分冗談だったんだが)

ネウ女「穏健派の生き残りと革新派生き残りは手を組み、ここを最後の砦とした……皆もう逃げたけど」

それでコアの反応が一つだったわけか……大和を襲ったのは革新派かな

俺「そういうことか……このドームはどうやって維持してる?さっきコアを破壊したはずだが」

ネウ女「ドームのコアの破片と、私のコアを共鳴させている」

俺「共鳴?」

ネウ女「お互いのコアを共鳴させることで、体を共有することができる」

俺「えっと、ドーム型の管理権が、ドームのコアからあんたのコアに移った?」

ネウ女「そういうこと………………っ」

俺「大丈夫か?」

ネウ女「共鳴は、コアに負担がかかる。個体同士のサイズ比が大きいほどね……」

俺「しっかりしろ。で、話があって俺を呼んだんだろう?話は何だ」

ネウ女「……過激派が、何かをたくらんでる」

俺「何を?」

ネウ女「分からない…」

俺「おいおい…」

ネウ女「ただ、非常に、まずいことになる……特に、あなたにとって」

俺「…どういうことだ」

ネウ女「これを…」

ジャケットのポケットから、小さい円筒状のケースがついたネックレスを取り出し、俺に手渡す

俺「これは何だ?」

ネウ女「いずれ、必要になる…」

俺「もう少し物事をはっきりさせてくれ!知ってることをすべて教えろ!」

ネウ女「それは……」

その時……


<ドォォン!


ネウ女「ぐぅっ!」ビクゥ

俺「おい!」

外で重低音が鳴り響いたかと思ったら、彼女が痛みに苦しむ声を上げた

お腹を抱え前のめりになり、痛みをこらえる

俺「セルヴィス、しっかりしろ」

ネウ女「ハハッ、その名で呼ばれるとはね……」

俺「一体何が…」

ネウ女「共鳴するってことは、相手の体を、自分の体の一部にするってこと……艦砲射撃は、やっぱり痛い」

俺「おいそれって……艦隊がドームを攻撃してるってことか!?」

すぐに止めさせないと!

インカムのスイッチを入れ、外と連絡を取ろうとするが、

ネウ女「無駄よ…ジャミングされてる…空間把握も、使えないはず」


<ドォォォン!


ネウ女「ぐっ…ああっ!」グラッ

俺「セルヴィス!」

倒れかけた彼女の体を抱え、支える

俺「何でこんなことを…」


<ドォォン!


ネウ女「あなたに、伝えなきゃ、いけなかった、から……あぅ」

俺「しっかりしろ!」

ネウ女「あなた、だけでも、逃げて…」

俺「バカ言え!お前も一緒に逃げるんだ!」


<ドォォン


ネウ女「私は、このコロニーと、運命を、共にする……ぐっ」

俺「かっこつけてんじゃねぇ!いいから逃げるぞ!」

ネウ女「っ」ビームッ!

セルヴィスが片手を挙げ、ビームを放つ

<パァン!

放たれたビームは、海面付近のドーム外壁に穴を開けた

ネウ女「だぁっ!」ドンッ

俺「ぬぁ!おい!」

セルヴィスが俺を突き放す

ネウ女「早く、行って!」

その顔は苦しみで歪み、必死に痛みと戦っていた


<ドォォン!


俺「おい……」

そして、彼女の目には、

ネウ女「行 け ぇ ぇ ぇ っ !!」




涙が浮かんでいた




俺「…………っ」ブォォン!!

すまない……本当にすまない



<ドォォォン!!



ネウ女「ぐぅ……フッ、さぁ、私を殺して…」



<ドォン!ドォォン!




ネウ女「私を粉々にしてぇっ!!」




<ドォォン!ドゥグァッシャァァン!




砲弾は、ついにドームの外壁を破壊

次の砲弾が、ドーム内部に向け放たれた

内部で対ネウロイ用焼夷弾が炸裂し、

ネウ女「ああぁぁぁっ!!」

そのすべてを焼き尽くした




 ビスマルク艦橋

観測員「命中!有効弾!」

艦長「よし!やったか!」




 上空

ルッキーニ「見て!あれ!」

指差す先では、

エイラ「あ……」

<キィィィィン!!

ドームが、内部から爆発するようにして、崩壊した

マルセイユ「今度こそ、終わったのか……?」

バルクホルン「俺は?俺はどこだ!?」
最終更新:2013年02月15日 12:49