面接の時間は、11:30から、隊長室で行うという連絡を受けた。
 その1時間前までに書類を提出するよう言われたので、その書類を書いていた。
 内容は、元の世界における経歴やメディカルデータがほとんどだった。

 整備俺「身長180cm、体重60kg、血液型A型、健康状況:良好」
 操縦俺「身長168cm、体重70kg、血液型O型、健康状況:良好」
 自由記入欄もあったので、セールスポイントも何点か簡潔に書いておいた。
 整備俺「まるでエントリーシートだ。就職活動していた頃を思い出すぜ…」

 面接。
 それも、就職活動で言うなら、採用の可否が決まる最終面接だ。
 面接で大事なのは、自分の意思と、自分に何ができるかを、しっかり示すことだ。
 特に今回は、新卒ではなく、経験者向けの中途採用と同等だということになる。
 よって、正規士官として、自分の経験や能力をアピールすることが重要となってくる。
 (もちろん、それらのやりとりを通じて、人間性もアピールしていかなければならない)

 娯楽室のアイロンを拝借し、制服にプレスをかけ、俺達は隊長室に向かった。
 整備俺「カミソリプレスなんて、滅多にやらないんだからな///」
 操縦俺「あんたはいつもプレスしてないじゃないですか…」

 11:30(z)。
 ここが…隊長室か…!
 今まで何度も繰り返してきた入室要領で、重厚な木製の扉を開く。
 俺達から見て左側に坂本、右側にバルクホルンが直立不動で仁王立ちしていた。
 そして、その真ん中のデスクに座っている赤髪の女が、例の隊長だった。

 整備俺「整備俺少尉及び操縦俺候補生は、隊長のもとへ参りましたッ!」
 ミーナ「第501統合戦闘航空団“ストライクウィッチーズ”隊長、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐です」
 物腰の柔らかさと、経験豊富な余裕を感じさせる声色。

 整備俺「航空自衛隊、第*航空団所属、3等空尉、整備俺。認識番号はAO**-******です」
 操縦俺「同じく第*輸送航空隊所属、飛行幹部候補生、操縦俺。認識番号はAE**-******です」
 整備俺「お忙しい中、我々のために時間を取っていただき、誠にありがとうございます」
 バルクホルン「ふん。能書きはいい」
 ありゃ?
 俺達、この大尉さんからはずいぶん嫌われてるみたいだな。

 ミーナ「それでは、面接を開始します。まず、生年月日を教えてください」
 整備俺「1987年10月21日。現在は23歳です」
 操縦俺「1986年6月30日。現在は25歳です」

 そして、俺達は、ミーナから色々な質問を受けた。

 ――軍隊(自衛隊)に入る前までの経歴。
 整備俺:中学受験→中高一貫の私立進学校→国公立大(経済学部経営学科)→空幹候
 操縦俺:公立中学→公立工業高校→陸一般

 ――なぜ、軍隊に入隊したのか。
 整備俺:社会情勢や歴史に興味があり、国際貢献活動等に参加したかった。
 操縦俺:他に進路の選択肢がなく、また、軍事に興味があった。

 ――なぜ、空軍の士官(&パイロット)を目指したのか。
 整備俺:実家の近くに空自基地(小牧・岐阜)があったため、親近感があった。
     下士官として分野のスペシャリストになるよりも、士官になり、安全保障や戦史について広い視野で研究したかった。
 操縦俺:元々飛行機やパイロットに興味はあったが、実際に自衛隊に入ることで、更に憧れが強まった。
     士官になることで、下士官兵では出来ない研究がしたかった。

 ――元の世界の軍歴は。
 整備俺:1 奈良基地幹部候補生学校一般幹部候補生(一般)課程学生
     2 第*航空団○○隊付幹部、曹長→3尉
     3 浜松基地第1術科学校整備幹部課程学生
     4 第*航空団***飛行隊整備小隊付幹部
     5 百里基地航空観閲式実行部隊、報道部記者統制班長

 操縦俺:1 朝霞駐屯地教育隊員、2士→1士
     2 第**普通科連隊員、1士→士長
     3 防府基地航空学生、士長→3曹
     4 静浜(T-7)→芦屋(T-4)→輸送機に転換→美保(T-400)、士長→2曹→1曹
     5 第*輸送航空隊***飛行隊飛行班員、1曹→曹長
     6 百里基地航空観閲式実行部隊、報道部記者統制班員

 ――軍歴で一番の思い出は。
 整備俺:同期と難波に飲みに出かけ、国の将来について一晩中語り明かしたこと。
 操縦俺:T-400で離陸上昇中、スラストリバーサが不時作動して墜落しかけたこと。

 ――なぜ、この世界でも軍人を続けたいと思うのか。
 整備俺:異世界で生きるためには、仕事をして金を稼がなければいけない。
     そのため、今までの経験を活かせる職業として軍人(空軍士官)を希望する。
     また、軍隊にいれば衣食住は保障されるので、ゼロから生活をスタートさせる環境として魅力的。
     参考→故事成語『国破れて山河在り』
 操縦俺:整備俺に同じ。

 ――この世界で、何ができる、もしくは何がしたいか。
 整備俺:士官という立場でしか出来ない仕事は沢山ある。
     ウィッチでもパイロットでもない、地上勤務の普通の士官として、後方から運用を支えていきたい。
     参考→故事成語『先ず隗よりはじめよ』『鶏鳴狗盗』
 操縦俺:願わくば、パイロットとして空を飛び続けたい。
     機種は特に希望しませんが、輸送機なら即戦力になると思います。
     パイロットとしてではなくても、歩兵でも、事務仕事でも、何でもやる。

 ミーナからも質問は、大体こんな感じだった。
 坂本やバルクホルンからも補足として色々聞かれたが、上手く対処できたと思う。

 ミーナ「わかりました。貴男達の身分は、しばらく当部隊で預かることにします。
    まず隊付将校として実務訓練を実施したのち、こちらで然るべきポストを用意します。
    あと、お2人には、今日の終礼で挨拶をしてもらうので、よろしくお願いします」
 俺達「はい、よろしくお願いします!!」

 そうして、俺達は直立不動の態勢からガッツポーズをした。
 坂本「はっはっはっ、よかったじゃないか!」
 俺達は、坂本から手荒い祝福を受けた。
 いつのまにか芳佳とリーネも隊長室に入ってきて、一緒に喜んでくれた。
 バルクホルンの表情が、ほんの少しだけ緩んだように見えたのは気のせいだろうか。

 そう――。
 そのときの俺達は、確かに前を向いていた。
 これからも、ずっと、前を向いていられるかどうかわからないけど、
 このときの気持ちは、これからも、ずっと、忘れないようにしていきたいと思う。

 ミーナ「では、お2人の処遇が決まったところで――」
最終更新:2013年03月30日 01:58