「トビウオは夢を見る」
その娘を
初めて見たのは、入学式の日だった
新しい環境、新しいクラス、新しい仲間達の中で、その娘はなかなか馴染めずにオロオロしていた
どうしてだろうか?いつもだったらそんな暗そうな奴は無視して
「きっと3年間関わらないんだろうなー」
なんて思いながら早速できた新しいツレとバカ話していたはずなのに
どうしてもその娘を目で追ってしまう自分がいた
トビウオ「なぁ、あの娘の名前なんてぇの?」
友「あぁ、ビショップだよ
リネット・ビショップ」
トビウオ「ふ~ん」
【零時間 港湾地区】
渦巻く海、荒れ狂う波
港湾地区に停泊していた貨物船は破壊され海の藻屑へと変わる
普段は季節によらず、学園都市でも指折りのデートスポットとして人気のこの華やかな港が、まるで世紀末の様相を示しているのは海に座する黒い影
世界最大級の哺乳類である鯨に似た姿をした大型ネウロイの仕業だった
大きなヒレで海流を操作し、破壊の限りを尽くす
今、ネウロイはここ一週間ほど自分を追い続けた小さな厄介な者を海から吹き飛ばし
実質的に海の支配者となった
そんなネウロイに陸から攻撃をしかける少女
彼女の攻撃も、魚の鱗のように何枚も重なっている厚い装甲に阻まれる
多少装甲を削ってはいるものの、ダメージは少ない
ネウロイの反撃のビームを避けながらシャーリーが見たままの感想を叫ぶ
彼女がネウロイを引きつけている間に、相方である卿は吹き飛ばされ気を失ってしまったトビウオを比較的安全な位置まで運んでいた
卿「シャーリーちゃんお待たせ」
敵の強大さを感じながらも、いつもの調子を崩さない少年
彼の年不相応な落ち着きっぷりはどこから来る物なのだろうか?
人格形成に大きな要因を占める親が見てみたいと、日頃からシャーリーは思っていた
ビームを撃ち終わり、シャーリーが物影に隠れた事によって敵がいなくなったと勘違いしたネウロイは海へと潜伏してしまう
卿「うーん、海にいられるとキツイね」
シャーリー「でもどうすんだよ?おびき寄せて陸にあがってくるようには見えないぞ」
モデリング
卿「魚は、釣るものさ“魔力造形”」
言葉と同時に卿の腕に魔力で形成された巨大な釣り竿が出現
シャーリー「ちょっ、釣るって!?本気か!?」
卿「俺はいつだって本気さ、浮気で人に接した事なんて一度もないよ」
シャーリー「それはそれで問題だろ!」
卿「さぁ!綾香ちゃん直伝の釣りテクだよ!
マグロじゃない事祈ってる、いい反応見せてくれよ!!!」
風を切り裂いて海に沈むルアー
ルアーはトビウオ少年の姿を象っている
シャーリー「おいおい、本当に釣れるのかよ?」
卿「俺思うんだ、魚ってのは女の子と一緒だって
みんなどこかで寂しがってる、だから・・・的確に望む物を与えれば・・・」
卿「!?」
ガクンと、釣り竿がしなる
卿「ほらきた!!!」
シャーリー「マジかよ!!??」
驚きを隠せないシャーリー
しかし驚いたままではいられない、卿の体が海へと引っ張られている
急ぎ魔力を込めて卿を抱え込み、一緒になって引っ張る
卿「マグロどころか、かなり積極的だったね・・・」
シャーリー「冗談言ってる場合か!このままだと2人共海に引きずり込まれるぞ!!」
2人共ありったけの魔力を込めて踏ん張っている
しかし敵はそもそも大きさが段違いなのだ
ズルズルと地面のアスファルトを削りながら海へと引き寄せられる
卿・シャーリー「「やっば」」
2人が覚悟をした瞬間、6本の腕が伸びて竿を支える
ミーナ「信じてたわ、あなた達ならここに一番乗りするって」
アギト「よく耐えた、後は任せろ」
槍「なぜ俺が・・・」
Bルートを走破し、2位につけたのはミーナ・アギト・槍の3人
信頼の言葉と共にミーナが“最速コンビ”の栄誉を称える
武骨で不器用な副部長は既に変身を済ませ、珍しく労いの言葉を吐いてその頼もしい背中を見せる
困惑の言葉と共になぜかミーナに引っ張られてしまった風紀委員執行部隊1番隊隊長はその強大な魔力を持って支える
卿「う”ぃるるん!アギトちゃん!槍ちゃん!!」
シャーリー「かーっ!いいタイミングで現れるぜ!!ヒーローさん達は!!」
ミーナ「こうしてまた3人で一緒に戦う事になるなんてね・・・偶然とはかくも恐ろしわね」
アギト「だが、悪くない!!」
槍(戒めろ、甘えるな、己を律しろ!これで最後だ・・・俺は罪を清算しなければならない
例え、彼女がすべてを許してくれていたとしても・・・)
言葉通り、嬉しそうな特活部の部長・副部長とは対照的に、槍の表情はやはり暗かった
過去の傷が彼の心に落とした闇は、色濃いようだ
結論から言えば、5人の力でもってしてもネウロイの引力には勝てそうもなかった
その暴力とも言える膂力には、学園都市内でも有数の力自慢であるアギトを有しても叶わなかったのである
徐々にだが、やはり海へと引かれる
最初に異変に気付いたのはシャーリーだった
シャーリー「おい卿!!お前大丈夫か!?」
彼女が叫ぶのも無理は無い、卿の顔面は魔力の酷使によって蒼白だったから
ミッドナイトラン決着の一手を打った魔力の道だけでもかなりの魔力を消費したはずなのに、今この時にも彼はまだ魔力を使い続けている
卿「よゆうよゆう、ほら俺って追いつめられる程実力発揮するタイプだし」
言葉とは裏腹に、魔力によって形成されている釣竿のあちこちにヒビ割れが入り始めていた
シャーリー「無理すんな!ミーナ!卿が限界だ!!」
変な所で頑固な相方のために、ミーナへと進言する
卿「・・・よっゆ・・う」
魔力が切れると同時に釣竿が崩壊する
卿は膝から崩れ落ち、シャーリーに肩から支えられる
ミーナ「卿君!」
ミーナは後輩を心配し、駆け寄る
アギトと槍は振り返らずに肩を並べて港の先に立つ
双眸は大海を見据え、その先にいる強敵に気を当てる
槍「お前はミーナの側にいて彼女を守れ、それが部に残ったお前の役目だろう」
アギト「断る、俺はお前の代わりではない
それに・・・ミーナはお前を望んでいる」
海水を迫り上げて、赤いラインを体に這わせた異形が顔を覗かせようとする
対峙するは迷える戦鬼と、主を失った騎士
槍「相も変わらず強情な男だ…」
アームストライカーを構える槍
アギト「貴様にだけは言われたくはない」
両手を大きく広げた後、古来より大陸に伝わる必殺の拳
八極拳の構えを取るアギト
互いに魔力と頸を練り、相手のフィールドである海へと向かわんとした時
2人の間を疾風の如き風と、旋ぐ風が駆け抜ける
海水を切り裂いて、飲み込んで巻きあげる
やがて風は竜巻を、局地的異常気象を引き起こしてネウロイを天高く突き上げる
途中にネウロイの破片と思われる光の塊があちこちに落ちていた
遥か天高く、その異常を引き起こした2人は竜巻の上で手を繋いで回転を続ける
エーリカの疾風を無職の旋風が包み込み、すべてを飲み込む風となった2人
道中に大量のネウロイと遭遇し、この大技でもって殲滅と進行を同時に行ってきたようだ
アギトと槍の間を吹き抜け、海に潜むネウロイを海から引きずり出す
無職「窮鼠猫をかむ!無職なめんな!」
エーリカ「追いつめられてないけどね、私達だけ無傷だし」
軽口を叩き、徐々に回転を緩める2人
エーリカ「海から出しちゃえば後は副部長がタコってくれるでしょ」
巻きあげられたネウロイは当然、先程トビウオに海から突き飛ばされた時のようにヒレを展開させグライダーのように滑空する
無職「な!?」
エーリカ「うそ!?そんなのアリ!?」
当然さっきの光景を見ていなかった2人は驚く
空を滑りながら、ネウロイは己の上方へと赤い閃光を収束させて放つ
エーリカ「危ない!シュトゥルム!!」
手をつなぎ合わせる2人に疾風が横殴りに吹き抜けて空中で方向を転換
間一髪でビームをかわす
方向転換先は港、急落下する2人をアギトと槍が抱きとめる
エーリカ「あんなの反則だよ!」
卑怯だ!とでも言いたそうにエーリカがふくれっ面になる
アギト「確かに厄介だ、まさか空まで飛ぶとは・・・」
無職「あ、ども」
槍「・・・いえ」
突如、ネウロイの放つビームに近い閃光が瞬き、上空で滑空するネウロイのヒレに穴が開く
続いて響く銃声、今度は逆のヒレにも穴が開く
スタゲ「35匹!!どうだ一年坊主!!」
ヘイヘ「同じく!!35匹!!」
商店街から道が続くFルートから銃撃は行われたようだ
スタゲ「やるじゃん、大口叩くだけはあるわな」
ヘイヘ「お褒めにあずかり光栄です」
スタゲ「ケッ、相変わらず可愛げの無い小僧だ
なにはともあれ互いに撃破数は同じ」
ヘイヘ「残る敵は一体」
互いに視線をぶつけ合う
瞬時に思惑を察知しあったようだ
スタゲ「狙い打つ!!」
ヘイヘ「狩り取る!!」
エイラ「まだやんのかヨ・・・」
呆れた声を発するエイラ、商店街でのネウロイとの戦闘は白熱した2人の意地の張り合いで驚く程はやく殲滅が終わった
間違いなく最高峰のスナイパー2人の本気の前に、エイラも3番隊の隊員も出る幕は無かった
次々と砕け散っていくネウロイに脱力した3番隊の隊員達は皆帰ってしまった
エーリカ「スタゲ!!」
中学時代からの旧友の久しぶりに見せる凛凛しい姿にエーリカは喜びを隠せない
次々と撃ちこまれる銃弾によってネウロイのヒレは穴だらけになり、滑空の機能を困難な物とする
徐々に高度を下げるネウロイ、風を受ける事のできないヒレでは海へと還る事はできない
自分を地へと堕とそうとする忌々しいスナイパー2人を探すネウロイ
1人の姿は探して見つからない、仕方が無く怒りは大型のライフルを持った男にぶつける事とする
今度は下方にエネルギーを収束させ、射出
スタゲ「悪いな、痛いの嫌いなんだ」
スタゲの口が、かすかに動く、聞きとれない程の声で
その口の動きは、あ・す・ぽ・ー・と
左手を前にかざし、ワームホールを展開させる
ワームホールはビームを飲み込み、すぐ隣に開いた転送先から前方に向かって射出
ネウロイのヒレの片方を吹き飛ばす
片ヒレを失ったネウロイは陸へ急落下、砂塵を巻き上げて墜落する
ミーナ「ようこそ陸へ、ここがあなたの死に場所よ」
ミーナとシャーリー、立ちあがれる程度に回復した卿が敵を見据える
堕ちた大魚の先には騎士と戦鬼
アギト「果てろ!!」
槍「穿て!!」
互いに、練り上げた頸を、高めた魔力を込めた拳を超至近距離から
彼等の得意距離からネウロイへと叩き込む
誰もがネウロイの装甲は砕け、その衝撃はコアまで届くと信じて疑わなかった
しかし、ガキンと硬い音が響く
アギトの拳も、槍によるシールドを纏った突きもその装甲に傷一つつける事は叶わなかった
シャーリー「そんなバカな!!海にいた時は私の銃でも多少はダメージ通ってたぞ!!
アギトや槍の攻撃が通用しないなんて事ありえるか!!」
ミーナ「いえ、シャーリーさん、ネウロイを見て」
驚いていたのはシャーリーだけでは無い
ミーナの言葉にこの場にいた全員の視線がネウロイへと集まる
陸に上がったネウロイはその姿を変貌させていた
海を泳ぐために蛇腹状だった体は全身が継ぎ目の無い強固な装甲へと
鱗状だった外殻も、すべてを繋ぎ合わせてより強固な一枚のプレートメイルの様に変化している
無職「海の中では攻撃手段無し、陸の上では超硬い・・・こんなのどうやって倒すんだよ」
陸の上で動きは鈍ってはいるものの、その暴力は変わらない
ネウロイは体中から赤光を輝かせ、周囲に破壊を振り撒く
シールドを張れる者はそれを展開させ、身を守る
最前線ではアギトと槍がビームを避けながら、なお連撃をネウロイへと加え続ける
響き続ける金属音、攻撃は未だ通っていないようだ
「トビウオは夢を見る」
この学園都市に来てから、深夜零時に不思議な体験をする事になった
時間が止まり、人が町からいなくなる
好奇心が刺激され、街をいろいろと探検する日々を過ごした
運がいいのか悪いのか、奇跡的にネウロイや他の零時間適応者と遭遇する事も無かった
彼が遭遇したのは只一人
同じクラスの少女、リネット・ビショップ
公園のベンチで途方に暮れて泣いていたのを彼が見つけたのが零時間での出会いだった
彼女は知った顔を見ると、とても安心したようで、トビウオに対して気を許してくれた
リーネ「私、この不気味な時間が大嫌い“だった”んです」
トビウオ「“だった”って事は今はそうじゃねぇんだ」
リーネ「はい、だってこの時間が無かったら
きっと私達こうやってお話する事もなかったから」
それから2人は何度も何度もこの公園で同じ時を過ごした
普段学校でできない話も沢山した
ある時から、彼は気付いた
自分が、彼女に恋をしているという事実に
続々と、ミッドナイトランを走破した者達が集いだす
ゲルト「副部長!風紀委員!!そこを退け!!」
特活部で一番の火力を誇る2人がようやく到着
早々にその大火力による攻撃を仕掛ける
試作「マジで硬ってぇ!!!牙も通りやしねぇ!!バルクホルン!そっちは!?」
ゲルト「右に同じだ!!」
試作の魔力変換によって威力が強化されたMG42による銃弾の雨も、ノ-ダメージ
試作「クッソ!!!バスターライフルがあればこんな魚野郎一瞬なのに!!」
ギリッと奥歯を噛みしめる音がする
何度も同じ事の
繰り返し、総員による攻撃をしかけても結局はノ-ダメージ
そして全方位に向け放たれるビームにより反撃を喰らう
有限なのはこちらの魔力、実際ここに来るまでの道のりで魔力を消耗している者は多い
ミーナ「このままではジリ貧ね…」
ミーナの顔が苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる
ミーナ「何か策は無いの…考えなさいミーナ、それが私の仕事よ…」
「ハッハ!難しく考える事ねぇじゃねぇか!!」
バイクの排気音が轟く
型破りな男が、型破りな策を提案しながら現れる
虎「陸で硬いなら海に帰してやればいいのよ」
ミーナ「な!?」
エーリカ「何言ってんだよ!こいつ引きずり出すのにどんだけ苦労したと思ってるんだ!?」
虎「ハッハ!パシリ!!準備は!?」
パシリ「こんな事もあろうかとーッ!!
いつでも準備は万端さ!!」
腰のホルスターからパシリが拳銃を引き抜き、懐にしまってあったカートリッジを装填
陸に上がったネウロイへと狙いをつける
虎「死にたくない野郎共は下がりな!!
アフリカ特製“魔導カートリッジ弾”は半端無いぜぇ―――――っ!!!」
ミーナ「総員退避!!急いで!!」
エイラ「あれヤバいゾ!!!」
噂に威力を聞いていたミーナと、未来予知によって少し先の未来を見たエイラが警告を促す
人のいいパシリはしっかりと全員が下がるのを確認してからトリガーを引く
一見単なる銃弾に見えるその弾は確実にネウロイに着弾
特殊弾道に仕込んだ魔力結晶が反応を起こし、信じられない規模の爆発を起こす
周囲の物をなぎ倒す衝撃波
巻き上がる黒煙
港には大きなクレーターが作られ、付近の倉庫が一つ消し飛んだ
パシリ「ま、通常兵装用にダウンサイズしてあるしこんなもんっしょ」
ホルスターに手慣れた調子で拳銃をしまい込む
そんなパシリの頭を虎がドツク
パシリ「痛って!だからパンピーしばくなよ!!」
虎「威力考えろって言ってんだろ!お前、まーたカトーに怒られるぜ」
パシリ「OMG」
アフリカのボスの「お仕置き」を想像したパシリは絶句する
ミーナ「噂通りの馬鹿げた威力ね」
全員の視線が爆心地、海と繋がった大きなクレーターに集まる
あの爆発だ、もしや?と考える者もいないでは無かった
しかし現実は非情、大きな影が浮かび、月夜をバックにネウロイは跳ねる
跳ねたネウロイに迫る一筋の光線
抜け目なくスタゲが狙い撃ったのだ、鱗型の装甲が何枚か剥がれ落ちる
先程までの異常な強度を誇る絶対装甲とはうってかわり、微弱だがダメージは通るらしい
スタゲ「あのバカが言うのもあながち間違いじゃないみたいだな。
こっちの形態ならダメージは通る」
距離を取った倉庫の屋根と言う絶好の狙撃ポイントで、スタゲは呟く
虎「誰がバカだって?」
スタゲ「お前以外にいるのかよ?」
虎がいつの間にか背後に立っていた事にも、スタゲは驚きを見せない
気付いていたのだろうか?
虎「こうやって、お前の前に立ったら5・6発ぶん殴ってやろうって思ってたんだがよ」
スタゲ「勘弁してくれよ、死んじまう」
虎「死ね」
スタゲ・虎「「ハッ」」
どこか、昔に戻ったような気がして2人は笑ってしまった
2人の男が奇妙なやり取りを見せている真下
クレーターの近くの倉庫内部で残されたメンバーは作戦を練る
坂本・もさなじみ・宮藤・リネット・サーニャはまだ到着しない
無職「結果的には海に帰した事は成功みたいですね
スタゲ君の攻撃が通ってます」
輪になって、皆が疲労の色を隠せない
アギト「ミーナ、策があるのだろう?」
アギトが問いかける
ミーナは一瞬驚きの表情を見せた後、苦い顔をする
ミーナ「あるわ」
槍「ならば!」
ミーナ「でも不可能なの、2つ・・・足りないわ」
ミーナ「まず第1に敵を再び上空まで巻きあげる方法…これを行うには卿君の魔力が足りない…
そして第2に上空の敵を確実に破壊する高威力かつ遠距離からの攻撃手段…」
試作「バスターライフル…」
ミーナ「そう…」
全員の間に沈黙が流れる
空気が重い、絶対的な物が二つ足りない
試作「肝心な時にこの手に無くて何のための力だ!!」
「ありますよ、バスターライフル」
全員が振り返る
飄々とした物腰、どこか聞く者に安心感を持たせる声
袖の大きな運び屋が、丁度バスターライフルを取り出していた
エーリカ「なんで?だって袖とテレポは派閥争いには関わらないって…」
袖「これは学園理事であるダルシム委員からの依頼です、無碍には断れません」
エーリカ「テレポは?」
袖「他のお仕事です、自分をここまで送ってすぐ転移しました」
試作「あの…クソ野郎が…?」
袖からバスターライフルを渡された試作は戸惑う
何の裏があってここであの男が自分の手助けをするのか?
唯一の強化成功体だから?今までたくさんの命を虫けらのように踏みにじってきたあの男が?
パシリ(あれがバスターライフルか、天才ダム・ダ・ダルシム博士が開発した今世紀最大の魔力兵装
欠陥があって使用不可だって噂だったけど…な~んかキナ臭い話しだな)
卿「って事は、後は俺次第って事ね」
未だ若干おぼつかない足取りで卿が立つ
魔力が若干は回復はしているようだが、危険な域である事には変わりない
シャーリー「おい!無茶する…」
シャーリーの顔に掌をかざし、言葉を制止させる
卿「心配してくれてありがとうシャーリーちゃん
でもね、男にはタタなきゃイケない時があるんだよ…」
卿「そして、今はタツ時だ」
卿「イケるよ、う”ぃるるん」
決意に満ちた眼
有無を言わせぬ覚悟を皆が感じ取る
ミーナ「では、作戦の説明を行います、敵新型海棲ネウロイの名称はこの時より“モビーディック”と呼称します」
ミーナから作戦の説明を聞き終わった総員は、顔を見合わせ
ミーナ「オペレーション“ヘミングウェイ”」
ミーナ「反撃開始よ!!!」
最終更新:2013年03月30日 23:33