ミーナ「う、うーん……あら?私……」
坂本「ミーナ。気付いたか」
ミーナ「美緒。私どうしてこんな所で……」
坂本「……」
ミーナ「美緒?」
坂本「ん?ちょっと疲れてたんじゃないか?いきなり寝てしまってびっくりしたぞ。あんまり根を詰め過ぎるなよ」
ミーナ「そうだったかしら……」
坂本「そうそう。はっはっはっは!」
宮藤(も、もみけした……)
ミーナ「あら、そういえば俺軍曹はいる?」
坂本「え゛?な、なんの用だ?」
ミーナ「俺軍曹のストライカーユニットが届いたのよ。友中尉と一緒に確認してもらおうかと思って」
坂本「そ、そうか」ホッ
ミーナ「それで俺軍曹は……」キョロキョロ
俺「ごごでず」ボロ
ミーナ「俺軍曹!ど、どうしたの!?」
俺「ごれば友が……」
友「フン!」ドボォ
俺「ゴフゥ!」
ミーナ「俺軍曹!一体なにが……」
友「さぁ。悪いモンでも食ったんじゃねーっすか」
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/26(日) 07:06:24.37 ID:GgpJ6CQw0
ハンガー
ガココォ……ン
宮藤「これが……俺軍曹の……」
リーネ「ストライカーユニット……」
ハルトマン「おっきい……」
シャーロット「軍曹の奴もデカイが、これはまた……」
バルクホルン「ジェットストライカー以上だ……」
宮藤「俺軍曹!すごいですねこのストライカーユニッ……」
その時、私は俺軍曹の顔を見て言葉を失ってしまいました。俺軍曹は嬉しいような、悲しいような、説明しがたい複雑な表情を浮かべていました。
そして、ぽつりと「またお前と一緒に飛ぶんだな」と呟いて押し黙ってしまったのです。友中尉はそんな軍曹とストライカーユニットを悲しそうな目でじっと見つめていました。
さっきまでキラキラと輝いて、とても神々しく感じていたストライカーユニットが二人の表情を見た後だと
なぜだかとてもおぞましいものに見え、私は軍曹のストライカーユニットに恐怖を感じてしまいました。
50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/26(日) 07:07:20.70 ID:GgpJ6CQw0
ハルトマン「これ、普通のストライカーユニットじゃないですよね」
俺「……うん。これはね、友が俺のために造ってくれた機体なんだ」
宮藤「えっ!友さんが!?」
友「……そんないいもんじゃない。前の部隊ではウィッチはコイツ一人だった。だから一人でも戦えるよう、生き残れるように改造を重ね……」
友「気付けばこのザマさ」ペシッ
友「みっともない話さ。性能を追求するあまり、こんなブサイクになっちまった。今じゃ俺しか乗れる奴はいない」
友「あんたらのストライカーユニットみたいに美しいフォルムや着用者への配慮を捨てた、ただネウロイを叩き潰すためだけの俺軍曹専用のクソッタレストライカーユニット」
友「ストーム1だ」
宮藤「俺さん専用って……」
友「そっ。だからオレはオマケなの。コイツがいなかったらこのストライカーユニットはただのガラクタだからね」
ハルトマン「よくそんなピーキーな改造にゴーサインがでましたね」
友「それしか手が無かったのさ。俺たちは藁にも縋る思いでこのガラクタと俺に全てを背負わせた。無理矢理な。でもコイツはそれに答えやがった」
友「かくして馬鹿でかい粗大ゴミは最強のストライカーユニットに大変身ってわけだ」
バルクホルン「最強とはまた大きくでたな」
友「単なる事実ですよ、大尉どの。このガラクタを穿いたコイツは、誰にも負けない」
俺「お、おい友……」
友「お前は俺が整備したコイツを穿いて、負けることがあると思うのか?」
俺「……まぁ、それは……」
シャーロット「ほっほー!面白いじゃん」
バルクホルン「大した自信だな。一つ
模擬戦でもしてみるか?」
シャーロット「そりゃいい。実際、お仲間の戦力がどれ程のもんか気になるしな。どうだい中佐?」
ミーナ「うーん、そうね……。うん、許可します」
坂本「おいおい、いいのか?」
ミーナ「ええ。実際どれだけ戦力になるのか気になるし……あの資料のこともある」
坂本「ふむ……では明日同じ時間に模擬戦を執り行う。相手役は……」
シャーロット「はいはい!私私!」
バルクホルン「少佐、ここは私にお願いします」
友「モテモテだなオイ。しかしどちらか一人でお願いしますよ。まだ調整もあるんでね」
坂本「うーんそうだな……では今回は……
シャーリー。お前に任せる」
シャーロット「いよっしゃ!」
バルクホルン「な、なぜですか少佐!」
坂本「今回の模擬戦では俺軍曹が高速戦でどれだけ対応できるか見てみたくてな。堪えてくれバルクホルン」
バルクホルン「しかし……」
シャーロット「へっへー、見苦しいぞー?」
バルクホルン「うるさい!……わかりました」
坂本「俺軍曹も、問題ないな?」
俺「はい。問題ありません少佐どの」
坂本「決まりだな」
シャーロット「そんじゃ明日はよろしく頼むぜ、大魔神さん!」ポンポン
俺「はっ。こちらこそよろしくお願いいたしますイェーガー大尉」
シャーロット「ん!……それとさっきは本当に悪かったな。勘違いとはいえ随分酷いこと言っちまった」
俺「問題ありません。大尉どの。あの件に関しては俺の責任も大きいですしお気になさらず」
シャーロット「そういってくれると助かるよ。……でもあの時のプロポーズ紛いの宣言は結構かっこよかったぜ!」
俺「は、はぁ……」
シャーロット「私もあれぐらい情熱的に口説かれてみたいもんだ」
俺「大尉どのはお美しいので問題ないと思いますが」
シャーロット「おお?なんだなんだ見かけによらず軍曹は口が上手いなー!」
俺「いえ。大尉どのはお美しいです」
シャーロット「え……」
俺「……」ジッ……
シャーロット「あ、えっと……そんなこと言っても明日は手なんか抜かねーぞ!」
俺「は、はぁ」
シャーロット「ま、まぁ明日はお互い楽しもう!全力でな!」
俺「楽しむ、ですか」
シャーロット「そうそう、せっかく飛ぶんだ。楽しまなきゃ損だろ?」
俺「楽しむ……」
シャーロット「明日は私の速さで目ぇ回すなよ?そんじゃなー!」
俺「あ、はい」
俺「飛ぶことを楽しむ、か……」
俺「考えたこともなかったな……」
翌日
坂本「では二人とも準備はいいか?」
シャーロット「オッケーだ!」
俺「問題ありません」
坂本「では……始め!」
ゴゥ!
シャーロット(よっしゃ!いい
スタート!これで……)チラッ
俺「……」
シャーロット「うわっ!」
シャーロット(な、なんだあいつ!なんでこんなに近くにいるんだ!追いついたってのか?あの重そうな機体で!)
シャーロット(と、とにかく一回距離をとらないと!この距離はマズイ!)ババッ
シャーロット「これで……どうだっ!」グイン
俺「……」ズン
シャーロット「え……」
シャーロット(なんで、そこにいるん……)
バババババッ!
58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/26(日) 07:16:31.39 ID:GgpJ6CQw0
坂本「俺軍曹!1ポイント!」
シャーロット「クッ!」
俺「……」
シャーロット(どうなってんだ?私がスピードで負けてるってのか!?)
俺「……」
シャーロット(スカしてくれちゃって……見てろよー!)
坂本「第二試合……はじめ!」
ゴゥ!
シャーロット(今度こそ……)チラッ
シャーロット(え?いない……)
俺「……」チャキッ
シャーロット「!?」
シャーロット(逆!?なんで!?)
バババババッ!
坂本「俺軍曹!2ポイント!」
シャーロット「くっそー!!」
シャーロット(もーいい!細かく考えたりはしない!ただ全力でぶつかってやる!)
坂本「第三試合……始め!」
ゴゥ!
シャーロット「うおおぉぉぉぉっ!」グワァッ
俺「……!」
シャーロット「まだまだあぁぁぁ!」
俺「……クッ」
シャーロット「ここで!!」
俺「しまっ……!?」
シャーロット「つ……っかまえ……ったーーー!!」
バババババッ!
62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/26(日) 07:20:14.72 ID:GgpJ6CQw0
俺「やられました……」
シャーロット「なーにいってんだ2ポイントもとっといて!いやーしかし軍曹強いんだなー。予想以上だったよ」
俺「イェーガー大尉こそ。正直2ポイントはマグレのようなものでした」
シャーロット「シャーリーでいいよ!私も俺って呼んでるしな!」
俺「はい、了解しました。シャーリー大尉」
シャーリー「しかし最後の一瞬、なんか驚いてなかったか?なんかトラブルでも?」
俺「ああいえ……」
シャーリー「?」
俺「その、風を裂いて飛ぶシャーリー大尉が綺麗だったので……つい」
シャーリー「へ!?」
俺「すみません、訓練中だというのに……。自分は未熟者です」
シャーリー「へ、へー……そう。そうなんだー、あはは……」
俺「はい」
シャーリー「……」
俺「シャーリー大尉?」
シャーリー「わ、私ちょっと機体のチェックしてくるな!また後で!」タタタタ
俺(流石大尉……訓練終了直後でも気を抜かない……。俺も見習わなければならんな)
ポン
俺「ん?これは大尉どの」
バルクホルン「ああ、私もバルクホルンでいいぞ。皆そう呼んでいる」
俺「了解しました。バルクホルン大尉」
バルクホルン「うむ。しかしあのシャーリーに食らいつくとはな。やるじゃないか。どうやら口だけではないようだ」
俺「恐縮です」
宮藤「俺さんすごいですー!」
ルッキーニ「やるなー大魔神!」
わいわい
坂本「……どうだ?」
ミーナ「確かに優れた技術だと思うけど……それでも正直あの資料は信じ難いわ」
坂本「同感だ……しかしそれでもあの資料に間違いが無いとなると……」
ミーナ「俺軍曹はまだなにか隠してる、ということかしら」
坂本「……」
ミーナ「でも……」
わいわい
ミーナ「あの様子じゃ、俺軍曹が何か企んでいるようには見えないわね」クスクス
坂本「おかしな奴だよ全く。命令至上主義の軍人然とした奴かと思えば、妙なところで熱くなる」
ミーナ「そうね。でも……」
坂本「でも、悪い奴とは思えんのだな。あんな見た目で、不思議な事に」
ミーナ「同感」クスクス
宮藤「あ、あぶないよルッキーニちゃん!」
俺「ルッキーニ少尉、ここで肩車は少々危険なのでは……」
ルッキーニ「だいじょうぶだー!いけー大魔神!」
数日後
友「しっかしお前大分なれたよなーここに」もぐもぐ
俺「そうか?」もぐもぐ
友「ああ。この間ルッキーニ少尉となにか話してたじゃん」
俺「ああ、それか。あれは……」
―――
ルッキーニ「おーい大魔神ー!」
俺「はい。なんでありましょうルッキーニ少尉」
ルッキーニ「へへー見てこれ!」
俺「これは……笛ですね」
ルッキーニ「そー!」
俺「この笛がどうかしたんですか?」
ルッキーニ「うむ!これから大魔神はあたしがこの笛を吹いたら颯爽と駆けつけるように!」
俺「は?」
ルッキーニ「これは命令だー!」
俺「命令ですか」
ルッキーニ「うん!」
俺「了解しました。少尉どの」
―――
俺「と、いうことがあったのだ」
友「お前……それアッシーってやつじゃ……」
俺「なんだそれは?暗号か?」
友「……いやわかんねーならいいや」
俺「そうか。よく分からないが、友がそういうならそうなんだろうな」
友「ああ、そうだ」
友「まぁでもそれだけじゃなくてまだあったろホラ……」
俺「まだなにかあったか?」
友「ホラ昨日……」
―――
シャーリー「おい俺!」
俺「は、はっ!何でしょう大尉どの!」
友「なんだなんだ」
シャーリー「お前昨日夜中にルッキーニにお菓子あげなかったか……?」ゴゴゴ
俺「あげて……いません……」
シャーリー「んー?なんで目を逸らすのかなー軍曹」
俺「い、いえ……その……」
シャーリー「……まったく。あんまり甘やかすなよー。なんでも与えてばかりじゃだめだぞー」コンコン
俺「……そうですね。確かにそうだ」
シャーリー「ん。あいつのためを思うならたまには厳しくしないと。分かったな?」
俺「はい。大尉の言う通りです。これからは俺も心を鬼にして……」
ルッキーニ「あーなにそれおいしそー!ちょーだい!」ひょい
俺「あ、はいどうぞ。最後の一つですが」
ルッキーニ「ありがとー!」タタタ
シャーリー「……」
俺(っは!)
俺「このように一つだけに……」
シャーリー「……」
俺「……申し訳ありません」
友「おいおい、いきなり横で夫婦みてーなケンカはじめんなよ」
シャーリー「んな!ふ、ふふ夫婦だぁ!?」
俺「はっはっは、俺と大尉どのがか?ありえんだろう」
シャーリー「……」
俺「大尉どの?」
バキィ!
シャーリー「ふんっ!」ドスドスドス!
俺「……俺はまたなにか失礼な事を言ったのだろうか」
友「いやーそれ本気で言ってんならやっぱお前馬鹿だわ」
―――
76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/26(日) 08:18:03.99 ID:GgpJ6CQw0
友「ってことあったべ」
俺「それは慣れてきたというのか?」
友「でもまぁ隊の全員と会話できるぐらいにはなっただろ」
俺「……ああ。ここの人達はみんな良い人達だ。頭が下がる」
友「そりゃそうさ。ここは前とは違う」
俺「……」
友「……わりぃ」
俺「……いや」
友「いやオレが言いたかったのは、その、お前も随分ここに馴染んできたんだしいい加減昔の……」
俺「友」
友「……そうか」
俺「すまん……」
友「いいさ。お前がそう望むなら、オレは最後まで付き合うよ。約束したろ?」
俺「……すまん」
友「ヴァガヤロ、いつもいってんだろォが。そうじゃねーだろ?」
俺「……ありがとう、友……」
友「ハッ、いいってことよ」
ウウ――――
友「このサイレン……」
ギリリッ!
俺「ネウロイだ……ッ!」
77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/26(日) 08:20:38.37 ID:GgpJ6CQw0
ダダダッ
俺「少佐どの!」
坂本「どうした軍曹」
俺「なぜ俺は待機なのですか!?」
坂本「今回は小型のネウロイが2機だけで、お前はまだ連携訓練も終わっていないだろう。今回は留守番だ」
俺「しかし!」
宮藤「お、俺さん?」
シャーリー「おいおい……」
坂本「どうした。らしくないな軍曹。なにを取り乱している」
俺「お願いします!俺を行かせてください!」
坂本「……ダメだ。今のお前は冷静とは思えん。出撃は許可できない」
俺「ッ!もういい!」バッ
坂本「待て!どこへいく!」
俺「許可が下りないなら勝手に飛ぶだけだ!」
坂本「待て軍曹!それは軍規違反だぞ!」
俺「うるさい!行くぞ友!」
友「……」
俺「……友?」
友「悪いな……」プシュッ
俺「な、友……なんで……」
友「オレはお前の味方だ。だから言う。お前が戦うのは、今じゃない」
俺「と……も……」ドサッ
友「……すまねぇ」
78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/26(日) 08:22:45.94 ID:GgpJ6CQw0
友「ご無礼をお許しください、少佐」
坂本「お、おい。その注射……なにを打ったんだ?」
友「ただの麻酔ですよ。即効性の。……まぁこいつ相手だし濃度は普通じゃありませんが」
坂本「それは、大丈夫なのか?」
友「……オレがこいつに大丈夫じゃないものを打つとでも?」
坂本「……すまん。だが一体軍曹はどうしたというんだ?こいつがこんなに感情をあらわにしたのは
初めて見た」
友「……まぁ、色々ありましてね。オレも、こいつも」
坂本「……」
友「……すみません。こいつを運ばないといけないので。誰か、手を貸してください!オレ一人じゃこのデカブツを運べそうもない」
モブ「は、はい!」
モブ2「よっ、ぐおぉ……重てぇ……!」
友「それでは」
バタン
坂本「俺軍曹……か。気が進まんが、もう一度調べるしかないな……」
最終更新:2013年01月28日 13:13