コンコン
部屋のドアがノックされた。
俺「・・・」
何も言わず、俺はドアを開けた。
―――――――
ガチャ
ドアを開けたら、目の前にサーニャとエイラがいた。
サーニャ「・・・」
俺「・・・どうした」
サーニャ「・・・俺さん」
俺「・・・」
サーニャ「・・・」
エイラ「・・・」
静寂が俺達の周りを包む。
・・・サーニャが口を開いた。
サーニャ「・・・帰っちゃっても、私のこと、忘れないでください」
・・・なんだ。そんなことか。
俺「・・・サーニャ」
サーニャ「・・・はい」
俺「心配するな」
サーニャ「・・・それは」
俺「ん?」
サーニャ「どっちの意味で、ですか?」
俺「・・・」
サーニャ「・・・忘れないから心配するな、なのか・・・それとも・・・」
俺「サーニャ」
サーニャ「・・・はい」
俺「・・・」ニコッ
サーニャ「・・・!」
俺が笑いかけたら、サーニャは驚いたような顔をして、
サーニャ「・・・し、失礼します」コツコツコツ
部屋に戻っていった。
その空間に、俺とエイラが取り残された。
俺「・・・行かないのか?」
その問いに対し、エイラは
エイラ「その前ニ、お前に言っておくコトがアル」
と言った。
俺「なんだ?」
エイラは、目を閉じ、少し怒ったような表情で、きっぱりとした口調で言った。
エイラ「サーニャを泣かせたら、承知シネーからナ」
俺「・・・フッ」
エイラ「・・・」
俺「ああ、わかった」
エイラ「・・・約束ダカラナ」
俺「ああ」
エイラ「・・・早く、寝ろヨ。もう決まったんダロ?」
俺「なんで知ってるんだ?占いでもしたのか?」
エイラ「そんなんじゃない。誰がお前なんか占ってヤルカヨ、バカヤロー。
・・・吹っ切れたような顔してたからダ」
俺「・・・そうか」
お前も吹っ切れたような顔してるけどな。
・・・
やっぱり、俺ってわかりやすいのか?
部屋に戻っていくエイラの後姿を見ながら、自分の頬をつねりつつ、俺は思った。
―――――――――翌日・午前
飛び立つ準備を整えた俺に対し、ミーナは言った。
ミーナ「・・・もう、決まったのかしら?」
俺「ああ」
ミーナ「・・・そう」
坂本「・・・」
・・・そんな顔しないでくれ。
そう言おうとしたが、なんとなく、言わないでおいた。
俺「・・・発進!」
ドヒュンッ
俺は、曇り空の中、例の場所に向かっていった。
―――――――
ブウゥゥゥゥゥン
数日前、あいつが『待つ』と言っていたあの場所に向かう。
・・・例のネウロイが見えた。
俺「・・・よお」
ネウロイ「やあ、俺君。決まったのかい?」
俺「・・・」フオオォォォォン シャキンッ
何も言わず、俺は紫色の魔力に切り替え、刀を構えた。
それを見たネウロイが、尋ねた。
ネウロイ「いいのかい?」
俺は答える。
俺「いいんだ。やっと、俺がこの世界に居る理由ができたんだ」
元の世界では出来なかった、他人との関係。
生まれて
初めて、
『仲間』というものができた。だから。
俺「俺は、この世界が好きだ。仲間の居る、この世界が。
だから、俺はこの世界と生きていく。この世界を、この世界の人達を、守る」
ネウロイ「元の世界に悔いはないの?」
俺「正直言うと、少しだけある。でも、いいんだ」
ネウロイ「何故?」
俺「どこにいたって、人の繋がりは途切れたりしないんだ」
ネウロイ「別の世界に居るのに?」
俺「・・・生きていく世界は、関係ないんだ」
ネウロイ「・・・わかったよ。ほら、僕を殺して基地に帰りなよ。
そうしたら、君は今度こそ、完全に僕達の敵だ。これまでどおり、君達を殺しに行くよ。待っててね」
俺「望むところだ。待ってるぞ」
ネウロイ「・・・じゃあね」
俺「・・・ああ」
そう言って、俺は目の前の『敵』に、刀を突き刺した。
――――――――基地
サーニャ「・・・」フオオォォォォン
宮藤「・・・サーニャちゃん、どう?」
リーネ「俺さんとネウロイの様子、わかる?」
サーニャ「うん・・・今、接触したみたい」
ペリーヌ「・・・どうするおつもりなのでしょう」
エイラ「ワカンネー」
ルッキ「・・・行ってほしく、ないなぁ・・・」
シャーリー「ルッキーニ・・・」
エーリカ「・・・」
ゲルト「・・・」(早く戻って来い・・・)
坂本「・・・」
ミーナ「・・・」
サーニャ「!」
宮藤「サーニャちゃん!?」
サーニャ「・・・ネウロイの反応が・・・」
ゲルト「反応が、どうしたんだ!?」
サーニャ「消滅しました・・・」
シャーリー「それって・・・」
ルッキ「もしかして!?」
坂本「・・・!」フオオォォォォン
ペリーヌ「少佐、どうしましたか!?」
坂本「・・・微かにだが、見える。初めて、俺の固有魔法が発動したときと、同じ色の爆発だ」
エーリカ「・・・確定、だね」ニヤリ
サーニャ「・・・!!」
――――――――
基地に戻りながら、俺は思った。
仲間というものは、繋がっている。どこにいても途切れはしない。
ならば。・・・俺の魔法なら。
・・・ひょっとしたら。今なら、届くのではないか。本当に繋がっているのならば。
いや、繋がっているはずだ。仲間が繋がっていて、家族が繋がっていないなんて、ないはずだ。
俺は、刀に全力を込め、空に向けて、思い切り突いた。
・・・父さん。母さん。・・・この想い。
「届け!」
―――――――
・・・基地が見えてきた。
そこに向かって降下しようとしたら、・・・一人のウィッチが、こちらへ向かってくるのが見えた。
俺「・・・ん?」
そのウィッチは、綺麗な銀色の髪をしていた。物凄い速さでこちらへ向かってくる。
「俺さん!」
聞き覚えのある声だ。・・・俺が、最近しょっちゅう聞いていた声。綺麗な声。
近くまで来た。こちらに突進してくる。
そして、
俺「うおっ!?」
そのウィッチが抱きついてきた。
俺「・・・サーニャか」
サーニャ「・・・俺さん」
俺「・・・なんだ?」
サーニャ「・・・心配、しました」グス
サーニャは、俺の胸にすがり付いている。泣いてるのか?
俺「・・・言ったろ?『心配するな』って」
サーニャ「・・・でも・・・」ヒック
・・・しまった。エイラに言われてたっけ。
・・・サーニャ。
俺「泣かないでくれ」
サーニャ「!」
俺「俺は、お前のそんな顔、見たくない」
サーニャは俺の胸から顔を離し、俺の顔を見て、言った。
サーニャ「・・・じゃあ」グス
俺「ん?」
サーニャ「・・・笑って、ください」
俺「・・・」
サーニャ「私の、大好きな、俺さんを・・・俺さんの笑顔を、見せてください」ポロ
俺「・・・ああ」
いくらでも、笑ってやる。お前が笑ってくれるなら。
俺「・・・わかったよ、サーニャ」ニコッ
俺も、お前が、お前の笑顔が、好きだから。
――――――――
胸の中のサーニャの鼓動を感じながら、俺は空を見上げた。
雲の切れ間から太陽が見えた。暖かい光だ。まるで俺の心を溶かすかのようだ。
俺は最初、この辺りから落ちてきたんだ。そのときは、不安だらけだった。家族もいなかった。帰る場所もなかった。
でも、今は違う。この世界には、仲間がいる。守りたいものがある。居場所がある。
だから、・・・大丈夫だ。俺は、この世界で生きていける。
そう思った。
サーニャ「・・・俺さん」
俺「ん?」
チュッ
俺「!??」
サーニャ「・・・あ、あの!///」カァ
俺「な、なんだ・・・?///」
サーニャ「・・・これからも、よろしくお願いします、俺さん///」
俺「・・・ああ!」
胸の中のサーニャを、俺は強く抱きしめた。
ーおしまいー
最終更新:2013年01月28日 16:02