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・・・初めに異変に気付いたのは、大尉の二人だった。
ゲルト「さて、小型機を片付けるとするか・・・?!」
エーリカ「・・・そういえば、俺が中型を倒すのばっかり見てたから気付かなかったね」
シャーリー「逃げられたか!?」
ゲルト「ミーナ!ネウロイ共の行方は!?」
ミーナ「・・・何故か上空へ向かっていきます・・・何をしようとしているのでしょうか」
・・・!
そのとき。扉を破壊した俺の身に、・・・覚えのある感覚が走った。
・・・この感じ・・・!?
俺「っ!」
ミーナ「・・・俺さん?」
坂本「ミーナ、俺がどうしたんだ?」
ミーナ「俺さん!?聞こえていますか!?」
俺「・・・マズい!」
俺はそう言って、真上に上昇した。
サーニャ「俺さん!?」
坂本「俺、どうした!?」
みんなが俺に何事かと尋ねているが、答えている余裕はなかった。
もし、この感覚から連想されることが正しかったら・・・
上昇しながら、俺は以前の出来事を思い返した。
『異世界への扉を繋げることができるんだ』
・・・扉。たった今倒したあのネウロイ・・・扉のような形。
『俺君の力が必要らしいってこと。僕達だけじゃダメらしいんだ』
・・・あの扉を破壊したのは俺のあの力。
・・・しまった。繋がった。繋がってしまった!俺が繋げてしまった!
ネウロイ共の狙いも見当はつく!
俺「ネウロイ共・・・テメーら!!」
「気付きましたね?でももう遅いですよ」
『!?』
ゲルト「何!?」
宮藤「・・・まさか・・・」
リーネ「また・・・喋るネウロイ?」
・・・喋るネウロイがまた出たのか。でも今はそんなのどうでもいい、俺は早く昇らないと!
上昇する俺の目の前には小型のネウロイが20匹。高速で上昇している。
その中の6匹が、突然減速して俺のほうを向いてきた。そして・・・
ビュインッ
俺「!?」ドシュッ
・・・ビームを放ってきやがった!?
ミーナ「俺さん!?何が起こっているの!?」
俺「・・・ぐぁっ!?」
不意打ちだった・・・くそっ!
宮藤「俺さん!?・・・あ」ピッ
リーネ「・・・これ・・・」
ペリーヌ「血!?」
ゲルト「俺!?ビームに当たったのか!?」
シャーリー「なんだって!?」
ルッキ「え!?撃てないはずじゃ・・・」
エーリカ「『撃たなかった』だけってこと!?」
左の脇腹を撃ち抜かれた・・・だがこの程度で止まるわけにはいかない。このまま、見過ごすわけにはいかない!
俺「うおおぉぉぉぉぉ・・・っ!」
坂本「宮藤!俺を追え!治療するんだ!」
宮藤「は、はい!」
シャーリー「宮藤!私がお前を投げる!」
・・・
・・
・
間に合え・・・間に合ってくれ!
ビュインッ
俺「!?」ブシュッ
俺「がぁっ!」
今度は右の肩を撃たれた、体勢が崩れた・・・だが、止まるわけにはいかない。
早く、早く・・・そう思い、進行方向へ左手を伸ばす。
そんな俺の思いは虚しく散った。・・・『それ』は、小型ネウロイ十数体の上に落ちた。
俺「あ・・・ああ・・・」
・・・『それ』は、ネウロイの手に落ちた。間に合わなかった。その現実が、俺の身体から力を奪っていった。
キュイィィィィン・・・
ネウロイ「無事に保護できましたか?」
キュイイィィィイン
一体の丸いネウロイが、ネウロイのクッションから離れてなにやら言っている。
俺「・・・」
ミーナ『俺さん!何が起こったというの!?』ザザ
俺「・・・っ」
キュイイィィィィン
ネウロイ「そうですか、了解しました」
俺「・・・やめろ」
宮藤「俺さあぁん!!」ドヒュウゥゥン
ネウロイ「では、早速連れて帰りなさい」
キュイイィィィン・・・
『それ』を高速で連れ去っていくネウロイを見て、俺は叫んだ。
俺「やめろおおおおおおおおおぉぉぉおぉぉぉぉぉ!!!」
サーニャ『俺さん!?』ザ
ネウロイ「私は人類に説明しますので、あなた達は」
俺は、やり場のない怒りを声にしてブチ撒けた。
俺「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ネウロイ「『召喚成功』と伝えてください」
―――――
・・・宮藤に治療され、シャーリーに補助されながら、俺はみんなのところへ降りてきた。
俺「ハァーッハァーッ」
サーニャ「俺さん・・・」
ネウロイ「・・・さてと、皆さんお揃いのようですし、私もそちらへ行きましょう」
ミーナ「・・・ネウロイが降りてくるわ」
俺たちの目の前に現れたネウロイは、以前の喋るネウロイより小さいが、同じく球体の型をとっていた。
ネウロイ「はじめまして、人類の皆さん」
坂本「・・・」
ゲルト「・・・貴様!」チャキッ
・・・バルクホルンは銃を構えたが、それを見たネウロイが言った。
ネウロイ「私を殺すのは構いませんが、ご質問はないのですか?」
『・・・』
エイラ「・・・あるナ」
ミーナ「俺さんに尋ねようにも、今の状況では無理そうね」
俺「ハァーッ、ハァーッ・・・」
エーリカ「・・・トゥルーデ、今は我慢して」
ゲルト「くっ・・・」
ネウロイ「ありがとうございます。なんでもどうぞ」
坂本「何故わざわざネウロイが説明など・・・」
ネウロイ「俺さんの説明のみでは真実が全て伝わらないと判断するからです」
ペリーヌ「真実ですって?・・・それを伝えてどうするおつもりなのかしら」
ネウロイ「あなた方に『ある感情』を植えつけておきたいのです」
リーネ「・・・え?」
ネウロイ「それだけですよ。説明する理由は」
ルッキ「・・・前にいたのと喋り方違うね」
ネウロイ「ええ。我々にも『個性』があります。
あなた方人類のデータを参考にしていますから」
エーリカ「・・・本当に、質問に、答えてくれるんだよね?」
ネウロイ「ええ。嘘は申しません」
ミーナ「・・・随分親切ね」
シャーリー「戦いにおいても親切でいてくれたらなぁ」
ネウロイ「それは無理な相談ですね」
ゲルト「・・・」
――――――
シャーリー「・・・まず、何が起こったんだ?」
シャーリーが尋ねる。
ネウロイ「俺さんと同じく『異世界の人類』を召喚することに成功しました。女性でしたね」
サーニャ「え!?」
俺以外の全員に動揺が走ったのを感じる。
・・・『植えつけておきたい感情』ってのは恐らくこれのことだろう。
ペリーヌ「・・・なんですって?」
宮藤「・・・どうやって、そんなこと・・・」
ネウロイ「異世界への扉を繋げたのです」
リーネ「・・・そんな・・・」
ネウロイ「以前、あなた方に接触したネウロイがいたはずです」
坂本「・・・覚えている」
ネウロイ「あの方が言ったはずですね、『異世界への扉を繋げることができる、
そのためには俺君の力が必要だ』と」
ゲルト「・・・扉」
ネウロイ「ええ。あの扉は今までは巣の中から動かせなかったのですが、
なんとか動かせるように、また攻撃もできるように改造することができたのです」
エーリカ「じゃあ・・・俺が倒したのって・・・」
ネウロイ「そのとおり。あれが異世界への扉を繋げる装置です」
俺「ハァー・・・ハァー・・・」
坂本「そもそも・・・その装置はどういった仕組みなんだ?」
ネウロイ「あの装置は俺さんの魔法力に反応し、俺さんの魔力の中の思念を解釈、増幅して、
時空と次元を歪め異世界への扉を繋げ、両世界間の移動を可能としたものです。ま、人類には到底作れそうにないものですね」
ネウロイ「俺さんを元の世界に戻すために苦労してわざわざ作ったのに、必要なくなってしまったので、
しかし破棄するのは勿体無いし、一回だけでもどうにかして利用できないだろうかと我々も考えていたのですが・・・」
シャーリー「・・・」
ネウロイ「気付いたのです。『繋げる』のだから、『戻す』だけでなく『連れてくる』ことも可能だろう、と」
サーニャ「・・・」
ネウロイ「だから、効果をいじったあの装置と、現在の俺さんの魔力を利用して、異世界の人類を連れてきたのです」
俺「・・・俺を無理矢理戻そうとは思わなかったのか?」ハーハー
ネウロイ「先程申したように、俺さんの思念を増幅するわけですから、
あなたが『この世界で生きる』と思っている以上、扉を繋げても戻すのは難しい」
サーニャ「・・・あの・・・」
ネウロイ「なんでしょう?」
サーニャ「どうして・・・その女性は連れてこられたのでしょうか?
『この世界で生きる』では、『この世界へ連れてくる』とは結びつかないのでは・・・?」
ネウロイ「それに関しては・・・
以前あなた方に接触したあの方が、消滅する間際にデータを送ってきました。
俺さんは『仲間を大切にしたい』という想いも強いようです」
シャーリー「俺・・・」
俺「・・・」
ネウロイ「その想いがあれば、装置の効果と複合して、
元の世界の人間というカテゴリーの
『仲間』を呼び寄せる可能性は充分にあるだろう、と我々は推測していました。
多少強引な解釈なのでこの辺りは『賭け』でしたが」
ゲルト「そして・・・」
エーリカ「君達が賭けに勝ったってわけか」
宮藤「でも・・・」
リーネ「芳佳ちゃん?」
宮藤「異世界の人を連れてきて、どうするつもりですか?」
エイラ「・・・私も同じく疑問ダ。連れてきて、どうするンダヨ?」
ネウロイ「俺さんを見ればおわかりになりませんか?」
サーニャ「え・・・?」
ネウロイ「どんなに守りの堅い我々でも、問答無用で崩壊させる異世界の力。それは、この世界の人類には持つことができない力です」
ミーナ「・・・」
ネウロイ「時空と次元を越えるほどの影響を受けなければそれほどの力は手に入りません」
エイラ「ってことは・・・」
ネウロイ「あの女性も、俺さんと同じく異質な力を持っているというわけです。まだ詳細はわかりませんがね」
坂本「・・・まさか!」
ネウロイ「お気づきになりましたね。・・・異世界の力と、我々の技術を融合させれば、とても心強い我々の味方になるというわけです」
『!』
ネウロイ「以前、あの方は『わざわざ敵を増やす必要はない』と言っていましたが、人類側に回さなければいいだけの話ですからね。
全て計画通りに進みました。みなさんには感謝しなければいけませんね」
『・・・』
ネウロイ「あの装置、作るのに本当苦労したんですよ。・・・もう二度と作りはしないでしょうね。
俺さん、そこは安心していいですよ」
・・・一瞬、ネウロイに余裕という感情が現れた気がした。ネウロイに感情なんてあるのかどうかわからないが。
俺「黙れ。・・・もう、話はいいだろ」ググッ
サーニャ「お、俺さん?」
宮藤「俺さん!治療したっていっても、すぐに動くのは・・・」
俺「・・・殺す」チャキッ
『・・・』
ネウロイ「わかりました。伝えるべきことは全て伝えましたから。どうぞ」
俺「・・・」
最終更新:2013年01月28日 16:05