Episode12 『ペルソナ

決戦の翌日・・・

世間ではネウロイが完全に消滅したと騒ぎになっていた。

その騒ぎの通り、世界中からネウロイの巣とネウロイの姿が忽然と消えたのだ。

世界中の新聞やラジオといったメディアでもネウロイ消滅のニュースが飛び交っていた。

ネウロイはこの世界から完全に消え去った・・・


---俺の部屋---

慣れた気配を感じる・・・

アニマ「おはよう。」

俺「う・・・ん・・・?うおっ!?」ガバッ!

俺は驚いて飛び起きた。

俺「おま・・・なんでこんな時間に!?」

アニマ「あれ?言わなかったっけ?終わったらまた来るよって。」

俺「だからって朝は・・・ビックリするって・・・」

アニマ「そうだね・・・陽の出てる時間に会うのは初めてだね。」

アニマ「いい天気だ・・・今朝は本当の意味で新しい朝だ。」

アニマ「君にとっても・・・そして僕にとっても・・・」

俺「どういう意味だ?」

アニマ「今まで集まっていた僕の記憶のカケラが・・・全部集まったんだ。」

アニマ「僕は、僕自身の役割がはっきりと分かった。」

アニマ「来るべき時の訪れだ・・・」

俺「そうか・・・そりゃ良かったな。」

アニマ「うん・・・君が友達になってくれたおかげだ。ありがとう。」

俺「俺は特に何もして無いけど・・・」

アニマ「ううん。君がいたから僕は記憶を取り戻せたんだ。」

アニマ「・・・それとね、辛いことだけど言うよ。」

アニマ「お別れしなきゃ・・・君と。」

俺「お別れ・・・?」

アニマ「今だから分かるよ。君と僕が友達になれたのは・・・僕にとって奇跡のようなことなんだ。」

アニマ「でもね・・・奇跡は永遠には続かない・・・」

アニマ「永遠だったら良かったのに・・・」

俺「・・・・・」

アニマ「君と会えたことは僕にとって大切な宝物だ。」

アニマ「たとえ今日が最後になっても、君との絆はいつまでも僕たちを繋いでくれる。」

アニマ「どうか・・・僕のことを忘れないで欲しい・・・」

俺「ああ。約束する。お前のこと、絶対に忘れたりしないよ。」

俺が手を差し出す。

アニマも応えるように手を出し、2人は固い握手をかわす。

アニマ「ありがとう・・・僕の大切な親友・・・」

アニマ「元気でね・・・」スー…

アニマは消えてしまった・・・

俺(もう会うことも無いのかな・・・)

---基地内廊下---

ガヤガヤ…

俺「なんか騒がしいな・・・」

坂本「俺!」

俺「少佐、おはようございます。」

坂本「ああ、おはよう・・・じゃない!今外には出るなよ!」

俺「はぁ・・・何かあったんスか?」

坂本「いやな・・・先日我々がネウロイを討ち滅ぼしたとニュースが世界中で飛び交っているようでな・・・」

坂本「朝から基地に記者やら野次馬やらが押しかけて大変なんだ・・・」

坂本「おかげで碌にに訓練も出来ん・・・」

俺(訓練はもういいんじゃないだろうか・・・)

坂本「とにかく、事態が落ち着くまで外には出るなよ!いいな!」

俺「了解っス。」

坂本「それと、この後は食事だからな。遅れるなよ。」

俺「はいっス。」

---食堂---

俺「おはようっス。」

芳佳「あ、おはようございます俺さん!」

リーネ「おはようござます。」

今朝の朝食は宮藤とリーネが作ってくれていた。

ミーナ「おはようございます、俺さん。」

俺「おはようございます、隊長。・・・あれ?マルセイユ大尉は?」

ミーナ「それがね・・・彼女、取材が来てるからって張り切って出て行っちゃったのよ・・・」

俺「さすがはスーパースター・・・」

芳佳「これ、俺さんの分の朝食です。どうぞ。」

俺「あ、どうもっス。」

朝食を受け取り席へと移動する。

俺「おはようっス。お2人とも。」

エイラ「おーっス。」

サーニャ「おはようございます。」

俺「隣いいっスか、サーニャさん?」

サーニャ「はい、どうぞ。」ニコッ

サーニャの隣の席に腰掛ける。

俺「こうしてみんなで飯食えるのも、もうすぐ終わっちゃうんスね・・・」

サーニャ「・・・・・」

エイラ「・・・・・」

皆が暗い顔をし始める。

俺「っと・・・空気悪くしたっスね・・・申し訳ないっス・・・」

俺「でも、戦いが終わっても、もう会えなくなるわけじゃないっスから・・・」

芳佳「そうですよ!・・・そうだ!一回落ち着いたらみんなでまた会いましょうよ!」

リーネ「うん!いいね、それ!」

坂本「それなら扶桑に来るといい!みんなで花見をしようじゃないか!」

芳佳「坂本さん!そうです、桜の咲いたころにお花見しましょうよ!」

俺「桜か・・・何年ぶりだろうな・・・」

サーニャ「あの・・・桜って・・・?」

俺「そっか、オラーシャにはないっスもんね。」

芳佳「桜っていうのは、扶桑だけに咲いてるピンク色で綺麗な花なんだよ!」

俺「扶桑人はその桜が満開になった季節に花見って言って、親しい人たちで集まって桜の木の下でご飯食べたりする風習があるんスよ。」

坂本「いわば一種の祭りといったところだな。」

エイラ「へー・・・なかなか綺麗そうじゃないカ。」

シャーリー「祭りか~。扶桑人は本当に祭りが好きなんだな。」

坂本「そうかもしれんな。はっはっは!」

ミーナ「いいかもしれないわね。それでそのお花見が出来るのはいつごろなのかしら?」

坂本「そうだな・・・大体3月の初めころだろうな。」

ミーナ「それじゃあ、そのころにもう一度このメンバーで集まりましょう、ね!」

全員が同時に頷く。

501のメンバーは再び会うことを誓った。


---基地内滑走路---

ミーナ「もう帰っちゃうのね・・・夜に祝勝会をやろうと思ってたのだけれど・・・」

ハンナ「ああ。私の仲間も心配してくれているだろうから。」

坂本「お前のおかげで助かった。ありがとう。」

ハンナ「礼には及ばない。私は自分のやりたいようにやっただけさ。」

坂本「そうか・・・」

ハンナ「それじゃあ行くよ。ハルトマンにはいつか決着をつけると言っておいてくれ。」

ミーナ「はいはい。」フフフ

ハンナ「頼んだぞ。じゃあ。」

そう言ってハンナはタラップを駆け上がり・・・入り口で一度立ち止まり、振り返る。

ハンナ「銀獅子にも頼むぞ。」

ミーナ「わかったわ。」

ハンナは満足そうな笑顔を見せ、機内へ乗り込んだ。

そしてアフリカの星は仲間の元へ帰っていった。


---大ホール---

この夜、祝勝会が行われることになった。

ホールにはにはいつものメンバーに加え、整備班や清掃班など基地にいる全ての人間が集まっていた。

俺「うわ・・・すごい豪華・・・」

テーブルの上には調理班が腕によりをかけて作ったご馳走がたくさん並んでいた。

芋はいつもより少し控えめなようである。

ルッキーニ「これ全部食べていいの?」

ミーナ「ええ。好きなだけ食べてちょうだい!」

エーリカ「いただきまーす!」パクパク

シャーリー「うん!うまいなコレ!」モグモグ

エイラ「サーニャ、どれ食べたいんダ?」

サーニャ「自分で取るから大丈夫よ、エイラ。」

芳佳「すごい・・・お寿司もある・・・」

坂本「うむ・・・やはり寿司はうまいな・・・」モグモグ

リーネ「芳佳ちゃん、お寿司ってどれがおいしいの?」

芳佳「んっとねー・・・」

ペリーヌ「少佐・・・あの、それは・・・?」

坂本「ん?これはウニと言ってだな・・・」

ゲルト「うまい・・・」モグモグ

ゲルト「・・・・・」ボロボロ

シャーリー「お・・・おいバルクホルン・・・なんで泣いてるんだ・・・」

ゲルトの頬には涙が伝っていた。

ゲルト「な・・・泣いてなど・・・いない!」ゴシゴシ

エーリカ「うそつけ~」

ゲルト「う・・・嘘なんかじゃ・・・ない・・・」ボロボロ

大粒の涙がとどめなくあふれる。

ゲルト「く・・・うぅ・・・」ボロボロ

エーリカ「そっか・・・そうだよね。必ず私達の手で取り戻すって約束したもんね。」

そう言ってエーリカはゲルトを抱きしめる。

ゲルトとエーリカは必ず自分達の手で祖国の空を取り戻すと誓っていた。

その願いがようやく果たされ、ゲルトは嬉し涙を流したのだ。

ギュッ…

2人の上からミーナがさらに抱きしめる。

ミーナ「ありがとう2人とも・・・あなた達がいたから、私はここまで頑張れたわ・・・」

ミーナ「本当に・・・ありがとう・・・」

エーリカ「ミーナ・・・」

ゲルト「・・・・・」ボロボロ

しばらく3人は抱き合った。

その数時間後・・・

ミーナ「えー、みなさん。本日は連合国軍総司令官がお見えになっています。」

ミーナ「それでは閣下よりお言葉をいただきます。どうぞ・・・」

司令「えー・・・本日はお日柄もよく・・・と冗談はさておき・・・」

司令「諸君。本当に良くやってくれた。言葉も無い。」

司令「本来ならばこのカールスラントを取り戻し、ネウロイ攻略の拠点とするはずだったのだが・・・」

司令「元凶であるアルカナネウロイが滅ぼされたことで世界中からネウロイが消え去った。」

司令「これは紛れもなく偉大な功績だ。世界中の人々も認めてくれる。」

司令「特にウィッチーズの諸君らは本当に良くやってくれた。そしてただ見ているだけしか出来なかった不甲斐ない私達をどうか許して欲しい。」

司令「我々はまだ若い諸君らにいろいろなことを背負わせてしまった・・・」

司令「これ以上は何も背負う必要は無い。諸君らには若さの本分を謳歌する権利がある。」

司令「今夜24時をもってこの第501統合戦闘航空団及び他のウィッチ戦隊を全て解散とする。」

芳佳(解散・・・)

司令「戦いに身を投じる必要はもう無い。」

司令「明日からはこの平和な空の下、大手を振って元の生活に戻ってくれたまえ。」

司令「と・・・堅い話はあまり得意じゃないんだ。ここまでにさせてもらうよ。」

司令「さぁ、今夜はどうか楽しんでくれ。」

さらに数時間後・・・

午前0時前になっても祝勝会はまだ続いていた。

ゲルト「なぁみんな。ちょっといいか?」

俺「どうしたんスか、大尉?」

ゲルト「せっかくの機会だ。ここで集合写真を撮ろうと思うのだが・・・」

ミーナ「いいわね。撮りましょう。」

坂本「そうだな。この基地で撮れる機会ももう少ないからな。」

ゲルト「よし・・・じゃあまずは私達だけで撮ろう。その後は基地の者全員だ。」

数分後・・・

整備班の男「それじゃあ撮りますよ・・・笑って笑って~・・・」

全員が並ぶ。

整備班の男「はい、いきまーす。」

カシャ!

また1つこの基地での思い出が増えた。

その後は司令も交えて基地の者全員の集合写真も撮った。

祝勝会も収束に向かおうとしていた・・・その時・・・

深夜0:00

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

突如、地面が揺れ始める。

ゲルト「な・・・なんだ!?」

俺「地震!?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・

ペリーヌ「止まり・・・ましたの・・・?」

リーネ「みたいです・・・」

芳佳「まって!なにか・・・何か聞こえる・・・」

リーン…ゴーン…リーン…ゴーン…

ミーナ「これは・・・鐘の音・・・?」

司令「なんだというのだ・・・」

鐘の音は一向に鳴り止む気配を見せない。

ミーナ「管制班!至急レーダーの確認をお願いします!」

管制班「了解!」

ミーナ「整備班は至急ストライカーの準備を!」

整備班「了解!」

ミーナ「ウィッチーズ隊員は至急ブリーフィングルームに集合。閣下は安全な場所へ!」

司令「わかった・・・」

ミーナ(いやな予感がするわ・・・)

---ブリーフィングルーム---

ミーナが神妙な面持ちで話し始める。

ミーナ「・・・先ほどの地震の後、北海海上に謎の物体が出現したそうです。」

ミーナ「今から私達でそれを確認しに行きます。各自、出撃準備を行ってください!」

全員「了解!!」

---北海上空---

ここは基地からかなり離れた北海。その途中、海上に何かが見える。

俺「あれは・・・塔・・・?」

そこには巨大な黒い塔がそびえ立っていた。

エーリカ「さっきの地震の正体ってこいつ?」

シャーリー「そうみたいだな・・・」

塔の外装にはネウロイの多角形の模様が刻まれている。

ミーナ「俺さん、この塔からコアは確認できますか?」

キュイイイイイイ!!

俺がメガネを外し、魔眼を開放する。

俺「いえ・・・今のところ見当たらないっス・・・それに魔導針も反応しなかったっスから・・・」

ミーナ「サーニャさんのほうにも反応はなかったかしら?」

サーニャ「はい、反応ありません・・・」

そこへ突然あの2人組みが現われる。

イヴ「お見事です・・・」

ゲルト「お前達・・・」

アダムとイヴ・・・グレゴリの2人組みだ。

イヴ「あなた方は12のアルカナネウロイを全て討ち果たし、見事本懐を遂げられた。」

ミーナ「あなた達は12体のネウロイを全て倒せばネウロイはこの世から消えると言った・・・」

ミーナ「でもこれは何?この模様・・・これはどう見てもネウロイの生み出した産物よ。」

イヴ「その通り。12対全てのネウロイを倒せばネウロイが滅ぶと言うのは嘘・・・」

ミーナ「最初から知っていたのね・・・」

アダム「せや。ま、気づくんがちょっと遅かったなぁ。」

芳佳「そんな・・・」

ペリーヌ「騙してたってことですの・・・?」

イヴ「全ては私達の思惑通り。」

アダム「消えるはずあらへん。お前らはむしろ逆のことをしてたさかい。」

サーニャ「逆?」

イヴ「12のアルカナネウロイはいわば破片・・・元々は1つになるべきものだった・・・」

イヴ「しかし、あなた方が一つ一つ、全てに接触したことでそれらは再び1つになった・・・」

イヴ「間もなく蘇るのです・・・滅びを呼ぶもの。13番目のアルカナを持つネウロイ・・・」

イヴ「『デス』とよばれた究極の存在が・・・」

エイラ「デス・・・『死神』カ・・・」

ゲルト「何を言っているんだ!?お前達の目的はなんだ!?」

アダム「せやから分かるやろ。オレらはな・・・『滅び』が欲しいんや・・・」

イヴ「そう・・・私達が望むのは確実な滅び・・・」

イヴ「世界大戦程度ではまだ生き残りが出てしまう・・・私達は生きとし生けるもの全てに平等に死を与えたい・・・」

イヴ「それ唯一行えるのが『デス』。彼の者は死をもって我々を救うのです。」

リーネ「死が救いって・・・」

エイラ「狂ってル・・・」

アダム「なんとでも言えばええわ。オレらはもう後先短いさかい。ここで滅ぼうが関係あらへんのや。」

俺「後先短いって・・・どういう意味だよ・・・?」

イヴ「アダム・・・少し口が過ぎますよ・・・」

アダム「これは失敬・・・」

イヴ「・・・まぁいいでしょう。あなた方の冥土の土産に1つ私達のことを教えましょう。」

俺「死ぬのは確定なのな・・・」

アダム「安心せぇや。話が終わったら一瞬で葬ったる。」

イヴ「今から11年前・・・私達はネウロイ大戦の戦災孤児だった。」

―――――――――――
――――――――
―――――

女の子「おとうさん・・・おかあさん・・・どこ・・・?」

家族も、友達も、居場所も奪われた私達は軍の孤児収容施設に集められた。

そこには数え切れないほどの孤児がいた。皆、私と同じ境遇を持つものばかりだった。

施設での生活は快適だった。

衣食住全てが与えられ、何一つ生活に困ることはなかった。

そうして私達が平和に過ごしていたある日・・・

私の友達であった孤児の何人かが施設から姿を消していた。

女の子「せんせい。――はどこへいったの?」

先生「ごめんね。教えることは出来ないの。」

女の子「?」

初めは理由が分からなかった。

女の子「ねぇ、――は帰ってくるの?」

先生「そうね。きっと帰ってくるわ。」

私は先生の言葉を信じた。

でも、私の友達は何日たっても帰ってくることはなかった・・・

私は疑問を持ち始めた。

でも施設の外へ出ることは許されていない・・・

私はじっと耐えることしか出来なかった。

そしてそれから数ヶ月が過ぎたある日・・・

軍服の男「さあ、こっちへ来るんだ。」

私とそれ以外にも何人かが軍人に連れられ外へ出ることになった。

しばらく施設から外に出ていなかった私はうれしい反面、どこか嫌な予感がしていた。

・・・その予感は的中した。

私達が連れて行かれたのはどこかの研究所。

肌を刺すような寒さだったのを覚えている。

軍人に連れられるがまま私達は研究施設へと入った。

そこで私は絶望した。

施設に入ってまず私の目に飛び込んできたのは巨大な容器の中で薬漬けになった私の友人だった。

女の子「――!――!!」ドンドン!

私は容器を叩いてその子の名を呼び続けた。

でもその子は全く反応を示さなかった。

軍服の男「こら!やめろ!!」グイッ

女の子「はなして!はなしてよ!!――!!」

そのまま軍人に担がれ私は別の容器の前へと連れて行かれる。

研究員「その子はそこのサンプルポッドへ。」

軍服の男「了解。」

軍服の男「ほら、入るんだ!」ドン

女の子「いたっ・・・」ドタッ

そしてポッドの蓋が閉められた。

女の子「やだ・・・やだよ!あけてよ!!」

研究員「容器内のエーテルを抽出・・・完了。投与開始。」

そう・・・

ここで行われていたのは『人工ウィッチ』の開発だった。

それも、『ネウロイの力』を持つウィッチのだ・・・

私はその後薬漬けにされ、容器の中で研究員達のされるがまま、日々をすごした・・・

容器の中での日々は苦痛でしかなかった。

身動きが取れない上、他の薬漬けにされた孤児達がゴミのようにうち捨てられていくのを何度も見た。

私は目を瞑ってすごすしかなかった・・・

?「君は実に有能なサンプルだ・・・」

ある日私の前に白衣を着た黒髪の老人が訪れた。

老人は隣に居る士官服の男となにやらもめあっていた。

仕官服の男「これ以上はやめろ、――!」

?「なぜやめる必要があるのだ――。」

?「この研究が成功すれば、もはやネウロイなど恐れる必要はなくなるのだぞ?」

仕官服の男「ふざけるな!そのためにこの子達の命が奪われるのはおかしいだろう!お前は命をなんだと思っているのだ!?」

?「命など・・・無意味だ。」

仕官服の男「なに!?」

?「無意味なのだよ。生きている以上人はいつか死ぬ。その時期が少し早いか遅いかの違いだけだ。」

仕官服の男「血迷ったか、――!!」

?「血迷ってなどいない。私は正常だ。」

仕官服の男「いや、お前はおかしい!今のお前は紛れもない悪魔だ!」

?「なんとでも言うがいいさ。」

仕官服の男「くっ・・・このわからずやめ!」ツカツカ…

?「フッ・・・あの男もいずれ思い知るだろう・・・私の偉大な研究の成果を・・・」

?「あぁ・・・私の可愛いサンプルよ・・・」

その男は冷酷な笑みを浮かべ、私の入った容器をさする。

本当に気味が悪かった。

?「このサンプルの経過は?」

研究員「はい、コアとのシンクロ率を90パーセント以上維持しています。このまま行けば後数日で100パーセント到達も可能かと。」

私の隣の容器にはネウロイのコアがあった。

私はそいつと融合させられるためにこの容器に入れられ続けている。

?「それで・・・――のほうは?」

白衣の男が話しているのは私の居る場所から見て、一番奥にある容器の中のネウロイのことだ。

この研究員達は『人工ウィッチ』だけに飽き足らず、『人工ネウロイ』をも作り出していた。

白衣の男の話では、その人工ネウロイは滅びを齎す力を持っていると言う。

研究員「依然、不完全な状態が続いています。ですが、間もなく最終段階へ移れるかと・・・」

?「クックック・・・そうか、ならばいい。早急に仕上げに掛かるぞ。」

研究員「はい・・・」

その日の夜だったか・・・

私の前に研究員の女性が現われた。

なぜかよく覚えている。白くて長い髪の、綺麗な女性だった。

白髪の女性「ごめんなさい・・・」

その女性は突然私に謝りだした。

白髪の女性「所長も昔はあんな人じゃなくて、もっと理想のためにはどこまでも純粋で真っ直ぐだったの・・・」

白髪の女性「それが・・・所長はネウロイの力に魅入られて・・・今は悪魔のような人になってしまった・・・」

白髪の女性「こんなこと絶対にいけないことだってわかってる・・・でも・・・私達はあの人に従うことしか出来ない・・・」

白髪の女性「本当に・・・本当にごめんなさい・・・」

その女性は頬に涙を伝わせながらその場から立ち去った。

彼女は罪悪感を感じているようだった・・・でも、研究を止めることはできなかった。

そして私とネウロイが完全に融合を果たした日・・・

研究員「所長、いかがいたしますか?」

?「サンプルを一度外へ出す。まずはこの子の力を見せてもらおう。」

?「テスト用ストライカーを持って来い。実験セクションへサンプルを移し、早速実験に移る。」

研究員「了解。」

そして何十日かぶりに蓋が開けられる。

されるがまま私は実験場へと移され、ストライカーを履かされた。

長かった・・・

私はこの時を待っていた・・・

今こそ・・・

復讐の時。

?「さぁ、可愛いサンプルよ・・・よく顔を見せておくれ。」

私は顔をゆっくりと上げ、手を前にかざした。

?「・・・?どうした?・・・何をする気だ!?」

シュンシュンシュン!!

ドゴオオオオオオオオ!!

私は自分が得たネウロイの力で全てを焼き払った。

忌々しい研究員共。そして私をこんな体にした最も憎いあの黒髪の老人。

誰も彼も全て殺した。

同時に奴らの人工ネウロイも解き放ってやった。

私たちをこんな目に合わせた世界など滅ぼしてしまいたかった。

でも、解き放たれた人工ネウロイは不完全だったようで、いくつかの破片があちこちへ散らばっていった。

――――――――
――――――
―――

イヴ「その時の人工ネウロイこそが『デス』。」

イヴ「そして飛び散った破片があなた方が倒してきたあのアルカナネウロイ達です。」

ミーナ「つまり・・・あなた達のせいでデスが解き放たれたってこと・・・?」

ゲルト「・・・・・」

イヴ「勘違いしないでいただきたい。デスはいずれにせよあの研究者達の手により解き放たれるはずだった。」

イヴ「遅かれ早かれ、彼の者は私達に死を与える運命なのです。」

ペリーヌ「でも・・・あなたの隣のその方は・・・」

アダム「オレか?オレはイヴが研究所を破壊してくれた時に、ついでに助けられただけや。」

アダム「イヴには感謝してもしきれへんわ。あの地獄の日々から救い出してくれたんやからのぉ。」

イヴ「さぁ、あなた方への冥土の土産もこのくらいでいいでしょう。」

イヴ「あなた方はもはや用済み。ここで消えていただきます。」

エーリカ「消すって・・・私達を倒すってこと?」

イヴ「互いの力と運命が残るべきものを決めるでしょう。」

アダム「そういうこっちゃ。せやから大人しく・・・」

アダム「逝ねや。」ギロッ…


フッ…

突然アダムが全員の視界から消える。

リーネ「え!?」

俺「・・・!!」シュイン!

直感で危険を察知し、俺が咄嗟に抜刀する。

ガキィィン!

と突如、金属音が響き渡る。

アダム「なんや、少しはやるみたいやな。」

気づけば目の前にはアダムの姿。

俺「そりゃどうも・・・って、あんたも剣使うのか・・・」

アダムの手にはいつの間にか巨大な大剣が握られていた。

アダム「せや。なめとると痛い目みるで。」

キイイィン!

お互いが一度距離をとり再び剣と剣を打付け合う。

一方・・・

イヴ『我、神の盟約に従い、前途を阻む邪(よこしま)を灼熱の業火にて焼き討つ。』ブツブツ…

エイラ「!!」

エイラが未来予知によりいち早く危険を察知する。

エイラ「みんな!何か来るゾ!!」

ミーナ「ブレイク!!」

イヴ「トリスアギオン!」

ゴオオオオオオオオオ!!

突然、海上から巨大な火柱が上がる。

ミーナの指示でウィッチたちは散開し、辛うじて攻撃を避けた。

ミーナ「どうして!?人間同士で争うのは最も醜いことだって言ったのはあなた達じゃない!!」

イヴ「そんなものは芝居の一環です。ああでも煽ればあなた方は理想のために、より熱意を燃やす・・・」

イヴ『氷刃。凍てつきし脅威は非情の刃と化し、仇なす者を斬り伏せる。』ブツブツ…

イヴ「フィムブルヴェト!」

イヴの詠唱が終わると同時に、巨大な氷の剣が頭上に現われ降り落ちる。

シャーリー「ルッキーニ!!」ブォン!

巨大なそれは、丁度ルッキーニの頭上へと現われていた。

ルッキーニ「うじゅ!?」

ドシャアアアアアアア…

氷の剣は海へと落ち、巨大な水飛沫を上げる。

シャーリー「ハァ・・・ハァ・・・大丈夫か・・・ルッキーニ・・・?」

ルッキーニ「シャーリー!」ギュッ

シャーリー「よしよし・・・もう大丈夫だからな・・・」

間一髪のところでシャーリーが助けに入り、ルッキーニは難を逃れた。

俺「よかった・・・」

アダム「よそ見しとる場合かッ!」

ガキィィン!ギ゙チギチ…

アダムの不意打ちを俺は間一髪で受け止める。

アダム「お前なんで攻撃せーへんねん。同情でもしとるのか?」

俺「・・・・・」

鍔迫り合いが続く。

アダム「せやったら・・・お前を戦う気にさしたるわ。」フッ・・・

突然目の前からアダムが消える。

俺「あいつ・・・どこへ・・・?」

辺りを見渡し、ようやく姿を捕らえる。
が・・・

俺「・・・!?大尉!!」

ゲルト「なん・・・!?」

アダムはすでにゲルトの背後へと迫っていた。

アダム「遅いわ。」ズバッ!

ゲルト「くッ・・・うあああああぁぁぁ!!」

アダムの大剣がゲルトの背中を斬りつける。

斬りつけられたゲルトは海へ向かって落ちてゆく。

ミーナ&エーリカ「トゥルーデ!!!」ブォン!

芳佳「バルクホルンさん!!」ブォン!

エーリカと宮藤が墜落するゲルトへと急いでストライカーを駆る。

俺「貴様ァァァァァ!!」ブォン!

激昂した俺は全速でアダムへと向かう。

アダム「ええでぇ・・・もっと昂ぶれ・・・怒れ!」

俺「おおおおお!!」

俺が切先へと魔力を集中させる。

フッ

俺「!?」

眼前の相手の姿が不意に消える。

アダム「こっちや。」

ドガッ

俺「ぐぅ!?」

背後から声が聞こえたと同時に、俺は蹴り飛ばされた。

吹き飛ばされた俺は、なんとか体勢を立て直す。しかし、

俺(勝てるのか・・・こんな相手に・・・)

先ほどから相手に振り回されてばかりである俺は、半ば戦意を喪失しかけていた。

アダム「なんや、また戦意喪失かいな。ならまた醒まさせてやるわ。」

アダム「お前ん中におる・・・『獣』をな。」フッ・・・

再びアダムが視界から消える。

俺「クソッ・・・どこだ!?」

再び辺りを見回し、消えた姿をようやく捕らえる。

俺「・・・!!サーニャさん!!!」

しかし、既にアダムはサーニャの元へ向かっていた。

とても今からストライカーを走らせて間に合う距離ではない。

ドクン…

俺「ダメだ・・・やめろ・・・」

ドクン…ドクン…

俺「やめてくれ・・・」

ドクン!ドクン!ドクン!

エイラ「・・・!サーニャ!!」ブォン!

エイラが全速力でサーニャの救出に向う。

アダム「じゃあな、譲ちゃん。」

サーニャ「っ!?」

サーニャが気づいた時には時既に遅く、背後でアダムが剣を振りかぶろうとしていた。

俺「やめろおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」

俺が叫んだその時だった。

俺「あ・・・れ・・・?」

急にアダムの動きが止まった。

否。止まっているのではなくコマ送りのようにゆっくりとだが動いている。

他の者の動きも同様に、1秒が10秒に感じられるほどとてもゆっくりだ。

俺「これは・・・」

気づけば俺の手の平には、胸ポケットに入っていたはずの鍵が握り締められていた。

そして、俺が瞬きをした次の瞬間には鍵は一丁のハンドガンへと形を変えていた。

ハンドガンのスライドには「Memento mori」の文字が刻まれている。

ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!

チャキ…

俺は無意識にそのハンドガンをこめかみに当てる。

ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!!

俺「ハァ・・・ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・」ニヤ…

俺の顔から何故か不敵な笑みがこぼれる。

俺「ペ」

ゆっくりと、擦れるような声で言葉を紡ぎ始め、

俺「ル」

引鉄にかけた指へ徐々に力を入れてゆく。

俺「ソ」

そして俺はその銃の引鉄を

俺「ナ」バァン!

引いた。


※召喚シーン参考1:24~

バリーン!

突如、俺の脳内に強烈な衝撃が走る。

同時に俺を中心にガラスを砕いたような音と衝撃波が発生し、アダムたちを吹き飛ばす。

アダム「ぐおっ!・・・なんや!?」

イヴ「!?」

俺のストライカーがこれから現われようとしている力に反応し、唸りをあげる。

そして俺の周りを硝子の破片のような目に見える力の奔流が渦巻き、彼の背後へと集まり何かを形成する。

その何かは次第に形を持ち始め、顕現する。

その姿はさながら機械人形。顔は塗りつぶされたように黒く、2つの赤い瞳が煌く。

首には赤いマフラーを巻き、背には大きな琴を背負っていた。

その現われた機械人形から声が聞こえる・・・
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―――――我は汝――汝は我――――

――我は汝の心の海より出でし者―――――

――幽玄の奏者―――オルフェウスなり――――

ヴオオオオオオオオォォォォォォォ!!

オルフェウスと名乗るそれは咆哮をあげる。

アダム「ようやく本気ってことかいな・・・」

イヴ「・・・・・・」

ズキズキッ!

俺「う・・・ぐっ・・・うあああああああああああぁぁぁぁ!!」

突然俺が頭を抑えて苦しみだす。

サーニャ「俺さん!?」

彼の動きに合わせるかのようにオルフェウスも頭を抑え、悶え苦しむ。

その時、オルフェウスの首の辺りから手が飛び出す。中から別の何かが体をを破って出ようとしているようだった。

ビキビキ!

バリーン!

グオオオオオオオオォォォォォォ!!

オルフェウスの体は微塵に砕け、中から別のものが出てきた。
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その姿はさながら死神。

身にはコートのようなものを纏い、顔は兜のような者で隠され、肩の辺りから鎖でいくつもの棺桶が繋がれていた。

獣のような雄叫びを上げた死神は腰に携えた剣を抜き、アダムへと斬りかかる。

俺「・・・・・ス・・・」ボソボソ…

アダム「来るか・・・こいやァァァァ!!」

グオオオオオオオオオオオォォォ!!!

アダムへと肉薄した死神は手に持った剣を光速で振るう。

シュイン!!

電光石火の縦一閃。

ズバッ!

アダムの右腕は死神によって斬り落とされた。

斬られた部分から血飛沫が上がり、アダムは大剣を海へと落とす。

アダム「グアアアアアアァァァァァァ!!!」

イヴ「アダム!!」

シャーリー「見るな!ルッキーニ!!」ギュッ

ルッキーニ「なに・・・どうしたの・・・シャーリー・・・?」

俺「・・・ロ・・・・ス・・・・」ボソボソ…

サーニャ「ダメ・・・」

死神が無防備になったアダムの首を掴み上げ、顔面を剣で貫こうと刃を立てる。

俺「コロス」ニタァ

が・・・

サーニャ「ダメエエエェェェ!!」

     ウタズ 
―――不討―――

俺「!!」

不意に彼の脳裏に『不討』の二文字が過る。

俺「グッ・・・ぬおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」

グオオオオオオオォォォォォォォォ!!

シュオオオオォォォォォォ…

死神は雄叫びを上げた後、霞むように消え去った。

同時にアダムは死神の手から開放される。

アダム「クッ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

俺「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

イヴ「・・・たいした見世物ですね。ならばこちらも、相応の返礼をしなければ・・・」

そう言ってイヴは両手を俺へ向けて翳す。

が、その手をアダムが残ったほうの腕で制止する。

アダム「やめときや・・・イヴ・・・」ハァハァ…

イヴ「ッ・・・何故です!?退きなさい!!」

アダム「あんさんにはまだ先がある・・・ここで無理したかて・・・意味あらへん・・・」ハァハァ…

イヴ「・・・・・」

イヴ「・・・私はもっと大きな事を成します。いずれあなた方とは決着をつけねばならない・・・」

イヴ「今はおとなしく退きましょう・・・ですが、次は必ずあなた方を確実に消します・・・」

アダム「畜生・・・ワレェ・・・覚えとれよォ・・・」

そのまま2人は飛び去っていった。

俺「クッ・・・は・・・ぁ・・・」フラフラ

サーニャ「俺さん!!」

エイラ「大丈夫カ、俺!?」

急いで2人が肩を貸す。

俺「サーニャさん・・・エイラさん・・・無事で・・・良かった・・・」ハァハァ…

俺「あの・・・バルクホルン大尉は・・・?」ハァハァ…

サーニャ「芳佳ちゃんとエーリカさんが、先に基地に戻って治療してくれてます・・・」

俺「そっスか・・・よかっ・・・た・・・」ガクッ

俺はそのまま意識を手放した。

サーニャ「俺さん!?」

エイラ「大丈夫ダ。気を失っただけみたいダナ・・・」

ミーナ「・・・・・・全機、一度帰投します・・・」

重苦しい空気を残したままウィッチーズは基地へと帰投する・・・

続き→ペルソナ13
最終更新:2013年01月29日 14:17