Episode14 『語られる真実』
数日後・・・
先日選出された三人はブリタニアの地に降り立った。
1日だけ暇ができ、基地で当日を待つのも退屈だろうと気を利かせた司令の言もあり、三人はその日車で町へと繰り出していた。
---ブリタニア本国:市内---
ミーナ「こうした町並みも久々ね・・・」
芳佳「そうですね・・・もうあれから2年くらいですか・・・」
場所は違えど久々に見るブリタニア特有の景色に、
ガリア開放作戦時の記憶が鮮明に蘇る。
そんな思いを馳せる中・・・
俺「うぷ・・・」ヨタヨタ
芳佳「だ、大丈夫ですか・・・?」
俺「大丈夫っス・・・ちょっと車に酔っただけっスから・・・くぅ・・・」
ミーナ「それにしても、迎えが来るまでまだ時間があるわね・・・」
ミーナが近くの時計を見る。
基地へ帰るための車は、今から2時間後に市内の広場へ迎えに来るそうだ。
ミーナ「2人も、お腹減ってるでしょう?」
芳佳「そうですね、お腹すきました。」
俺「お菓子・・・」
ミーナ「フフ・・・それじゃあ迎えが来るまで少し街を歩きましょうか。お店があればそこで何か食べましょう。」
市内をしばらく歩き、
ミーナ「あら、あそこなんてどうかしら。」
とミーナが一軒のカフェを見つけ、指差す。
芳佳「いいですね。俺さん、お菓子もあるみたいですよ。」
俺「マジスか!?」
ミーナ「フフフ、それじゃああそこにしましょうか。」
そこで休憩することになった。
一方・・・
---501基地内ラウンジ---
サーニャが一人ラウンジで佇んでいる。
そこへ・・・
リーネ「あ・・・サーニャちゃん。こんにちは。」
サーニャ「リーネさん・・・こんにちは・・・」
リーネ「今日は・・・一人?」
サーニャ「はい。エイラは今日は哨戒に出てますから・・・」
リーネ「そっか・・・じゃあサーニャちゃんがよければ、少しお話ししない?」
サーニャ「え・・・?」
リーネ「あ・・・嫌だったら無理しなくていいんだよ・・・?ただ私、サーニャちゃんとゆっくりお話ししたかったから・・・」
サーニャ「私も、リーネさんとお話ししたかったです・・・」
リーネ「本当に!?嬉しいな~!あ、それで・・・」
それからしばらく会話を続ける内に、お菓子を求めて彷徨っていたエーリカも加わり、話題はいつの間にか定番の所謂コイバナへとシフトしていった。
エーリカ「そうそう、それでサーニャは最近俺とどうなの?」モグモグ
リーネの作ったパイを頬張りながらたずねるエーリカ。
サーニャ「どうって・・・?」
エーリカ「ほら、前と比べてなんか変わったこと、ない?」
サーニャ「・・・あ・・・あります・・・」
リーネ「ど、どんなこと?」
サーニャ「その、うまく言葉では言えないんですけど・・・」
サーニャ「俺さんが近くにいると、熱に浮かされたみたいに、なんだか頭がポワポワして・・・胸の奥が、きゅって・・・締め付けられるみたいで・・・」
エーリカ「うんうん、それで?」
サーニャ「・・・でも、なんだかそれが嫌じゃなくて・・・もっと、近くに居たいなって・・・思うようになって・・・」
リーネ「それって・・・///」
サーニャ「私、おかしくなっちゃったんでしょうか・・・」
エーリカ「ううん。おかしくなんかなってないよ。サーニャはね、俺に恋してるんだよ。」
サーニャ「恋・・・?」
エーリカ「そう、恋。サーニャは俺を、男の人として好きになったってことだよ。」
サーニャ「男の・・・人・・・」
エーリカ「にゃはは~。ま、あんな事もあったしね~」
リーネ「あんな・・・事?」
サーニャ「・・・?」
エーリカ「あれ、サーニャ、覚えてないの?あの交流会のときに・・・」
---ブリタニア市内:カフェ店内---
ミーナ&芳佳「キ・・・キスゥゥゥ!?」ガタッ!
俺「だー!ちょっと声でかいっスよ!」
一方、こちらでもミーナの恋人の話からはじまり、内容がコイバナへと発展していた。
芳佳「だって・・・キスって・・・口吸いのことですよね!?」
ミーナ「クチスイ・・・?でも、多分そういうことね・・・」
俺「お、俺だって望んでやったわけじゃないっス!・・・ただ、あの時後ろにいた誰かに蹴られた不可抗力で・・・」
ミーナ「そ、そうなの・・・(配役的にきっとフラウね・・・)」
俺「あの後俺、何回も土下座して謝ったんスよ・・・」
―――(回想)―――
俺「ほんっとにすみませんでしたァ!!」ガン!
サーニャ「あ、あのっ・・・もう・・・いいです・・・///」
俺「よくないっスよ!だって・・・不可抗力とはいえ俺、サーニャさんに・・・うわあぁぁぁぁぁ!!」ガンガンガン!
サーニャ「ほ、本当に気にしてないです・・・だから何度も地面に頭打ちつけるの、止めて・・・」
俺「俺を・・・許してくれるんですか・・・?」ウルウル
サーニャ「はい・・・それに・・・」
サーニャ「私は・・・別に嫌じゃ・・・///」ボソッ
俺「・・・へ?」
サーニャ「と、とにかく、もう気にしてないですっ!///」タッタッタ
俺「あ、ちょっと!サーニャさん!?」
―――(回想終わり)―――
俺「それからは、今までどうり普通に接してくれるから多分許してもらえたんだと思うんスけど・・・」
ミーナ「それで?」
俺「・・・はい?」
ミーナ「あなた自身、サーニャさんに対する心境の変化とかはあったのかしら?」
俺「俺自身・・・ですか?」
芳佳「なにも、無いんですか・・・?」
俺「・・・・・」
俺「・・・無い事は・・・ないっスけど・・・」
---501基地内ラウンジ---
リーネ「き・・・キス・・・しかもあの演技の時に・・・なんだかロマンチックだね・・・///」ウットリ
エーリカ「そうか~?ま、そんな事あったら気になる人にはなっちゃうよね~。」
サーニャ「・・・///」
耳まで真っ赤にして俯くサーニャ。
リーネ「でも、どうしてハルトマン中尉がそれを・・・?」
エーリカ「ま、世の中色々あるからね~」ニシシ
リーネ(絶対この人の仕業だ・・・)
エーリカ「でさ、サーにゃんは俺にどうしてほしい?」
サーニャ「・・・? どうって・・・?」
リーネ「その・・・もっと一緒に居たいとか・・・思う?」
サーニャは気恥ずかしそうに頷く。
サーニャ「・・・はい・・・もっと、一緒に居たいです・・・もっと、私を見てほしい・・・です・・・///」
エーリカ(へぇ・・・サーニャって・・・)
リーネ(結構大胆なこと言うんだ・・・///)
リーネ「でも、俺さんのほうはどんなんでしょうね・・・あの人、ちょっと鈍いみたいですから・・・」
エーリカ「そうだよねー。と言うよりも、もしかしたらエイラに気を使ってるのかもしれないよ?」
リーネ「あ・・・そうかもですね・・・」
サーニャ「エイラが、どうしたんですか?」
リーネ「えっと・・・こればっかりはサーニャちゃんが気付いてあげないと・・・なんて・・・」
サーニャ「・・・?」
エーリカ「それよりも、気づいてもらえてないんだったら、まずは俺に振り向いてもらわなきゃだよ。」
サーニャ「俺さんに・・・」
リーネ「い、いいんですか・・・!?ハルトマン中尉・・・!?」ヒソヒソ
エーリカ「なにが?」
リーネ「だ、だって・・・エイラさんはサーニャちゃんの事好きなんですよ・・・?それじゃあエイラさんが・・・」ヒソヒソ
エーリカ「う~ん・・・確かにそうなんだけどさ、私としては、サーニャの今の気持ちを応援してあげたいな。だって、サーニャは俺のこと、好きなんだからさ。」
リーネ「そう・・・ですね・・・」
サーニャ「あの・・・」
エーリカ「あぁ、ごめんねサーにゃん。えっと・・・俺はお菓子大好きだから何か作ってあげるといいかも。」
サーニャ「お菓子・・・ですか?」
リーネ「うん、いいですね!俺さんが帰ってきたときに作ってあげたらきっと喜ぶと思うよ!」ニコ
サーニャ「でも、俺さんに喜んでもらえるようなお菓子・・・作れるでしょうか・・・」
エーリカ「心配しなくても俺はもらったものを突き返すような奴じゃないから大丈夫だって。なんだったらあたしも手伝ったげるよ。」
リーネ「私も手伝います。あ、でも・・・ハルトマン中尉は厨房出入り禁止じゃ・・・」
エーリカ「何言ってんの?私は味見係だよ?第一作るのめんどくさいし~」
リーネ「そ、そうですか・・・じゃあサーニャちゃん、一緒に練習しよう?」
サーニャ「うん。ありがとう2人とも。」ニコ
その一方
---ブリタニア市内:カフェ店内---
俺「その・・・あれからなんとなく目で追っちゃうって言うか・・・多分・・・好きになっちゃった・・・っていうか・・・」
ミーナ(もっと鈍感な子かと思ってたけど、ちゃんと自分の気持ちには気づいてたのね・・・)
俺「でもまぁ、サーニャさんにはエイラさんが居ますし・・・年下の子を好きになっちゃうってのもおかしな話・・・」
芳佳「そこで諦めてどうするんですか!」ガタッ!
俺「はひぃ!?」
ミーナ「み、宮藤さん!?」
芳佳「確かに、エイラさんはサーニャちゃんのことが好きで、サーニャちゃんもエイラさんの事好きかも知れません!いえ、きっとそうです!」
芳佳「でも、想いも伝えないで諦めたら、それこそそこで試合終了なんじゃないですか!?」ドン!
俺「し、試合終了・・・っスか・・・」
芳佳「俺さんは頑張るべきです!むしろ当たって砕けろです!!」
ミーナ(そ、それはフォローになってないんじゃないかしら・・・)
俺「当たって・・・砕けろ・・・」
ミーナ(真に受けてる!?)
店員「あ、あの・・・白熱しているところ申し訳ないのですが、他のお客様のご迷惑になりますのでもう少し声のトーンを・・・」
ミーナ「すみません・・・ほら、宮藤さんも落ち着いて・・・」
宮藤「ご、ごめんなさい・・・///」
その時だった。
俺「!!」ヴン
突然俺の魔導針が反応を示す。
ミーナ「どうしたの俺さん?まさか・・・」
外からの声「いやあああぁぁぁぁぁ!!」
ミーナ&俺&芳佳「!?」
突然の悲鳴。
外に目をやると男性が陸を這う小型ネウロイに襲われている。
俺「クソッ!」ダッ!
ミーナ&芳佳「俺さん!」
---ブリタニア市内---
店から出るや否や彼は視界にネウロイを捕らえると同時にホルスターからハンドガンを引き抜き、
オルフェウスを召喚する。
オルフェウスが背の琴を正面で構え、弦を弾く。
途端、ネウロイが炎に包まれて燃えはじめる。
ギュオオオオ!!
ネウロイは悲鳴を上げた後、そのまま炎に浄化され焼滅した。
役目を終えたオルフェウスはその姿をゆっくりと眩ませた。
俺「大丈夫っスか!?」
急いで襲われた男性へと駆け寄る。
しかし・・・
男「ぁ・・・うああ・・・あ・・・」
俺「っ!・・・やっぱりか・・・」
俺の予想通り、男性は一点を見つめ、ただ唸るばかり・・・
所謂、無気力症へ陥ってしまったのだ。
芳佳「俺さん!」
ミーナ「その人は・・・」
俺「ダメっス・・・ネウロイにやられて・・・無気力症に・・・」
芳佳「あ!あそこ!!」
宮藤が指を指した方向。
そこには超小型ネウロイが5体、こちらへ向かって侵攻していた。
幸い、付近にいた通行人は逃げていたので誰もいなかった。
俺「お2人はそこにいてください!俺が片付けてくるっス!!」ダッ!
ミーナ「俺さん!・・・仕方ないわ、私たちはこの男の人を避難させましょう!そのあとは避難できていない人がいないか確認よ!」
芳佳「了解!」
それぞれが動き出す。
俺はネウロイたちの目の前まで来ていた。
俺(一体ずつ片付けるのは面倒だな・・・)
ふと、以前夢で会った老人の言葉を思い出した。
――――――――――――――――――――――――――――
長鼻の老人『貴方は力を覚醒する以前から複数のペルソナをお持ちだった。』
長鼻の老人『しかし、オルフェウスを覚醒させるまで彼らの真の力を引き出す術は知らなかった・・・』
長鼻の老人『ですが、これからは貴方が今お持ちのその『召喚器』を用いれば、それらの真の力を引き出せるでしょう。』
――――――――――――――――――――――――――――
俺(だったら・・・)
頭の中でオルフェウスとは別の仮面を呼び出す。
俺「チェンジ・・・」
そして引鉄を引き絞り、その名を叫ぶ。
俺「スルト!」カッ!
バァン!
銃声が上がると同時に俺の体の回りを薄氷ともガラスの破片ともとれる何かが渦巻き、俺の頭上へと集まりペルソナを形成する。
今度はオルフェウスではなく、今まで共に戦ってきた力であるスルトが召喚される。
身の丈は俺の2倍ほど。赤黒い体躯に手には燃え滾る炎の剣『レーヴァテイン』が握られていた。
俺「頼む!」
俺の意思に応えスルトが剣を天に向かって振りかざす。
それに応え、激しい炎がそれぞれのネウロイの足元から上がり、彼らを焼き尽くす。
ゴオオオオオォォォォ!!
ネウロイはその業火になす術もなく灰塵へ帰した。
役目を終えたスルトも次第に姿を霞ませてゆく。
俺「よし・・・もういないよな・・・」
ミーナ「俺さん!大丈夫!?」
二人が駆け寄ってきた。
俺「お2人とも・・・そっちは大丈夫みたいっスね。」
ミーナ「ええ。住民の避難は完了しているわ。それと、先ほどの男性も近くの病院へ預けてきたわ。」
俺「そうっスか。さすが隊長っス・・・」フラ…
俺「っと・・・」
少し姿勢が崩れ、倒れそうになるが持ちこたえる。
芳佳「大丈夫ですか?」
俺「はいっス。いきなり力使っちゃったんでちょっと疲れただけっス。」
ミーナ「そろそろ迎えが来る時間ね・・・俺さん、歩けるかしら。」
俺「はい。平気っス。」
三人は広場へと向かい、基地へと戻った。
翌日
手配された車により、マロニーの居る刑務所へと向かう三人。
その道中・・・
---車内---
俺「また乗り物・・・うぇ・・・」
芳佳「俺さん、本当に乗り物ダメなんですね・・・」
俺「はは・・・情けないかぎりっス・・・あの、隊長。少し寝ても大丈夫っスか・・・?」
ミーナ「そうね。着いたら起こすからそれまでは構わないわよ。」
俺「申し訳ないっス・・・」
それから程なくして俺は眠りに落ちた。
芳佳「それにしても昨日のネウロイ・・・なんだったんでしょうね・・・」
ミーナ「そうね・・・前にも俺さんが遭遇したようだけど・・・」
運転手の軍人「ネウロイ・・・?」
ミーナ「ええ。先日、街中で小型のネウロイが現われたんです。」
運転手の軍人「そうですか・・・この街にもついに・・・」
ミーナ「この街にも・・・?どういうことですか?」
運転手の軍人「ええ。実はブリタニアの郊外のほうで、すでに陸戦型の超小型ネウロイが何体か目撃されていまして・・・」
運転手の軍人「そのネウロイから襲撃を受けた民間人が次々に生気を失ったように無気力になってしまったそうです。」
芳佳「生気を失う・・・無気力症ですか!?」
運転手の軍人「ええ。我々は『絶望病』と呼んでいます。」
芳佳「絶望病・・・」
運転手の軍人「研究者の話ではなんでも、超小型ネウロイが発する微弱瘴気によって精神崩壊を引き起こしてしまうそうです。」
運転手の軍人「それで、現在郊外では有事の際以外での外出禁止令がすでに発令されています。」
運転手の軍人「幸い、通常兵器でも十分撃破が可能なのが救いです。」
運転手の軍人「外では軍人が警備していますから現在では被害はあまり出ていないそうです。」
運転手の軍人「ですが、ここまで来たとなると・・・ここもそのうち外出禁止令が出されるでしょうね・・・」
ミーナ「様子を見る限りでは絶望病について知っている人は少ないようですが。」
運転手の軍人「ええ。市民の混乱を煽らないように政府が報道規制をかけています。」
運転手の軍人「しかし、こうも増えてしまっては市民が気づいてしまうのも時間の問題ですね・・・」
芳佳「これも・・・デスの影響なんでしょうか・・・」
ミーナ「そうね・・・それも今日の話で分かるかもしれないわ。」
---ブリタニア某刑務所前---
運転手の軍人「到着しました。」
芳佳「俺さん、着きましたよ。」ユサユサ
俺「う・・・ん・・・あ、すみません・・・」ゴシゴシ
三人が車を降りる。
ミーナ「お迎え、ありがとうございました。」
運転手の軍人「いえ、ではまた帰りに。」
ミーナ「ええ。」
二人が敬礼を交わす。
それから直ぐに別の迎えの兵がやってくる。
兵士「ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐でしょうか?」
ミーナ「ええ。」
兵士「お待ちしておりました。ご案内いたします。」ビシッ
兵士に導かれるがまま三人は刑務所へと入って行った。
最終更新:2013年01月29日 14:19