登録日:2012/10/17 (水) 21:20:34
更新日:2024/12/10 Tue 20:11:23
所要時間:約 5 分で読めます
失ったものと 守ったものと 奪ったもの
その選択と結果を俺達は背負って生きていく
前を向いても…過去は消えないのだから
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY THE EDGE』とは、
ガンダムエースにて連載されていた漫画作品。
作者は久織ちまき先生。
■概要■
そのため、アスランの心情描写がより詳しく描かれており、台詞も多い。
少し詳しく例を挙げると、最終決戦の時にシンに対して、
「お前は一体何を守っているつもりだ。お前が守っているのは国でも人でもない、従わない者を焼き払うためだけの兵器だぞ」
と批判するなど、(ある意味発言が不器用なアスランらしからぬが)発言がより具体的になっていて分かり易く、物語をすんなり呑み込み易い点も評価されている、
また、アスランだけでなく、シンの心情を表した台詞、キラの
デスティニープランに対して正鵠を射た批判の台詞、
ハイネがアスランに助言するシーン等、この漫画ならではの要素もあるのがポイント。
ガンダムを始めとする機体も丁寧に描かれており、魅せ方もポイントの一つで、TV本編での描写不足の補足、各キャラクターの活躍のバランスの調整など、
高山瑞穂氏によるボンボン版と共に評価されている。
尤も、機体は細かく描かれているが、高山版のようなケレン味は少なく若干絵が硬い。
その上やたらショタショタしく描かれたシンの描写も相まって、「少女漫画版種運命」と言われることも。
本編は全部で5巻だが、シンの過去話、キラの心情を描いた話、アスラン脱走後のイザークとディアッカの話、ミーアを襲った絶望の話などを描いた『Desire』もある。
こちらは全2巻。
■登場人物■
「人は過去を消す事なんて出来ない…。 過去があるから明日を願うんだ!」
この漫画の主人公。上記の通り、彼の視点で物語が進むため、彼の葛藤が詳しく描かれている。
やはり口下手なようで、シンとは衝突が絶えなかったが、2年前の自分やキラと良く似ているシンを心配していた。
また、前大戦で出会ったカガリとの関係も深く描かれている。
搭乗機体は
セイバー、
∞ジャスティス。
「俺だって!!守りたかったさ、俺の力で全てを!」
「だけど…俺が撃ってるのは敵じゃないって、撃つのは奪う事だって…力で解決出来る事なんて何も無いって!!アンタが俺に言い続けてきたんじゃないか!!」
ザフト軍ミネルバ隊の
エースパイロット。
アスランに対して挑発的な言動などが目立つが、原作とは違いアスランとメイリンが乗っていたグフを撃墜した時の悲痛な表情や台詞など、彼の感情が細かく描かれている。
「Desire」では過去話の他にも、アスラン&メイリン脱走後は彼が苦しみながら戦っていた事が描かれ、
「どっちも人殺しの道具なら、レクイエムはデスティニーと何が違う?」と、死んだ魚のような目で心情を明かしている(これに対して、ヴィーノは
「大違いだ!デスティニーが落ちたらシンが死ぬだろ!!」と一喝している)。
最終決戦における、アスランとの名言のぶつけ合いは、必見シーン。
搭乗機体は
インパルス、
デスティニー。
尚、ちまき氏はシンのファンを公言している。
「遺伝子によって役割が決まる世界なら、今よりもっと優秀な人間を作ろうとする人が出てくるんじゃないかな?」
「戦争を終わらせる事も、国を守る事も…難しいな」
オーブ連合首長国代表首長。この漫画では実質ヒロイン。
原作と同様、半ば無理矢理説得される形で
ユウナ・ロマ・セイランと政略結婚させられそうになったところをフリーダムに拐われ、キラ達と行動を共にすることとなる。
今作では、アスランとの関係がより深く丁寧に描写されている。
搭乗機体はストライクルージュ、アカツキ(オオワシパック装備)。
「残ったのは、この命一つだ。…さて、どう使う?」
ファントムペイン所属、不可能を可能にする男。
シンとの約束を破ってステラを戦場へ送り出したことを後悔しており、「奪うだけ奪って、守りたいものも守れず、約束も破った…」と語っている。
原作とは違い、メサイア攻防戦では出番無し。アカツキにも乗らない。
そのため、今作ではアスランがデスティニーのアロンダイトを奪ってレクイエムの砲口に突き立て、単独で破壊している。
「変化は不安を生む。故に疑問を投げ掛ける事は容易い」
ザフト軍所属の
エースパイロットにして、
ラウ・ル・クルーゼと同じ理由で生み出された、アル・ダ・フラガのクローン。
「Desire」では、アカデミー時代の話などで彼のシンへの友情が強調されている。
家族やステラの悪夢に魘されるシンを心から心配し、「戦争の無い世界を作り、シンの苦しみを終わらせたい」と願うシーンや、
ダイダロス基地攻略戦後に抱き合うシンとルナマリアを見て優しく微笑むシーンなど、本編では見られなかった彼の一面が見られる。
最後は原作と同様にデュランダルを銃撃するが、キラの発言だけでなく、アスランが「シンの心が軋み叫んでいたこと」を訴えた発言が理由の一つとなっている。
「…言っただろう? 人は痛み等直ぐ忘れる…」
プラント議長。原作より悪役っぽく見える。
キラに対して「本当は君が力になってくれれば…」と語っていたが、これに対して、キラは「僕は兵器じゃない!」と反論している。
「見てきたものが違うんだ。そう簡単にはいかないさ」
中の人が同じ
ミゲルと同様、頼れる兄貴。
原作通り戦死してしまうが、それまでにアスランに対しての助言やアスランとシンとの関係改善のアドバイスなとま、出番が増えている。
大人の意見を言える、良き先輩。
「アスランには分からない!!分からないわよ…最初から持ってるあなた達には…人から奪ってでも…しがみつきたい気持ちなんて…! そうじゃなきゃ失くなっちゃうって怯える気持ちなんて!!」
デュランダルがプロパガンダのために作り上げた、「偽物の
ラクス・クライン」。
ラクス達との邂逅での悲痛過ぎる叫びと、Desireにおける偽物と暴露された時とデュランダルに遠回しに「お前の役目は終わった」と言われた際の絶望の表情が、彼女の心理を物語っている。
持っていた全てを、「
ラクス・クライン」を演じる事で得られた全てを本物のラクスに唐突に奪われ(※元々はそのラクスから奪った形ではあるが)茫然自失だった最中、
新たなマネージャー兼監視人であるサラに「プラントの民の心を癒していたのは貴女なのに」と囁かれ……。
…と、アスランの心理描写は勿論、シンの苦悩、キラの考えや守るという信念…。
この他にもアニメでは尺の都合などで原作では描かれなかった様々なキャラの見せ場が増えている。
心情描写は無くとも、表情からでもキャラクターの心情を読み取れる(アスラン撃墜直後のシン、「Desire」でレイが見せた儚い微笑みなど)。
原作のキャラクターや機体など、素材の良さを証明出来た作品である。
■余談■
- 久織先生は大のSEEDファンらしく、SEED放送時からイラストを描かれていたらしい。
最終巻の巻末にラフスケッチ集もあるので、興味のある方は見てみては如何だろうか?
- また、久織先生がSEEDの漫画を描きたいと思った切っ掛けは、例のキラVSアスラン後のカガリとアスランの名シーンを観て描きたいと思ったとのこと。
- コメントでは、「担当の方々ともキャラについてしつこく熱く語り合い、それ等をEDGE版での解釈として盛り込んだ。ファンの多い作品でその様な試みは勇気のいることだった」と述べている。
「人は間違いを追記するなんて出来ない…。 それでもおかしいと思う箇所があるから修正するんだ!」
※本作や原作アニメに関する批判や中傷、愚痴などは止めましょう。違反した場合はIP規制などの措置が取られる場合があります。
- コメントのリセットと警告を追加しました。 -- 名無しさん (2020-04-18 00:25:28)
- 当時のだと小説版と並んでSEEDの話への理解度が高いと思う。当時だとファンもアンチもゲームなどのメディアサイドでさえ誰がどんな人物か理解してないような状況だった覚えがあるし… -- 名無しさん (2022-08-21 08:56:03)
- 新装版、発売中 扉絵も追加されとる -- 名無しさん (2024-01-03 21:32:54)
- キラの懸念してた事がドンピシャで当たったのが映画だった訳で…。おまけに本編が始まる20年近くも前から計画されてたのがほんま… -- 名無しさん (2024-07-23 09:26:48)
- Desireの新装版が発売決定 書き下ろしもあるぞ! -- 名無しさん (2024-12-10 20:11:23)
最終更新:2024年12月10日 20:11