機動戦士ガンダムSEED DESTINY THE EDGE

登録日:2012/10/17 (水) 21:20:34
更新日:2020/03/29 Sun 13:01:27NEW!
所要時間:約 5 分で読めます





失ったものと 守ったものと 奪ったもの

その選択と結果を俺達は背負って生きていく

前を向いても…過去は消えないのだから



ガンダムエースにて連載されていた漫画作品。
作者は久織ちまき先生。

基本的には原作アニメと殆ど同じ展開だが、この作品はアスラン視点で物語が進行していく。

その為、アスランの心情描写がより詳しく描かれており、台詞も多い。
少し詳しく例を挙げると、最終決戦の時にシンに対して、
「お前は一体何を守っているつもりだ。 お前が守っているのは国でも人でもない、従わない者を焼き払う為だけの兵器だぞ」
と批判する等、(ある意味発言が不器用なアスランらしからぬが)発言がより具体的になっていて分かり易く、物語をすんなり呑み込み易い点も評価されている、

また、アスランだけでなく、シンの心情を表した台詞、キラのデスティニープランに対して正鵠を射た批判の台詞、
ハイネがアスランに助言するシーン等、この漫画ならではの要素もあるのがポイント。

ガンダムを始めとする機体も丁寧に描かれており、魅せ方もポイントの一つで、TV本編での描写不足の補足、各キャラクターの活躍のバランスの調整等、
高山瑞穂氏によるボンボン版と共にこちらが本編とよく言われる。


尤も、機体は細かく描かれているが、高山版の様なケレン味は少なく若干絵が硬い。
その上やたらショタショタしく描かれたシンの描写も相まって、「少女漫画版種運命」と言われる事も。

本編は全部で5巻だが、シンの過去話、キラの心情を描いた話、アスラン脱走後のイザークとディアッカの話、ミーアを襲った絶望の話等を描いた「Desire」もある。
こちらは全2巻。



■登場人物■



「人は過去を消す事なんて出来ない…。 過去があるから明日を願うんだ!」

この漫画の主人公。 上記の通り、彼の視点で物語が進む為、彼の葛藤が詳しく描かれている。
やはり口下手な様で、シンとは衝突が絶えなかったが、嘗ての自分やキラと良く似ているシンを心配していた。
また、前大戦で出会ったカガリとの関係も深く描かれている。
搭乗機体はセイバー、∞ジャスティス。



「俺だって!! 守りたかったさ、俺の力で全てを!」
「だけど…俺が撃ってるのは敵じゃないって、撃つのは奪う事だって…力で解決出来る事なんて何も無いって!! アンタが俺に言い続けてきたんじゃないか!」

ザフト軍ミネルバ隊のエースパイロット。
アスランに対して挑発的な言動等が目立つが、原作とは違いアスランとメイリンが乗っていたグフを撃墜した時の悲痛な表情や台詞等、彼の感情が細かく描かれている。
「Desire」では過去話の他にも、ステラ戦死後は彼が苦しみながら戦っていた事が描かれ、
「どっちも人殺しの道具なら、レクイエムはデスティニーと何が違う?」と、死んだ魚の様な目で心情を明かしている(それに対して、ヴィーノは「大違いだ! デスティニーが落ちたらシンが死ぬだろ!!」と一喝している)。
搭乗機体はインパルス、デスティニー。
なお、ちまき氏はシンのファンを公言している。



「遺伝子によって役割が決まる世界なら、今よりもっと優秀な人間を作ろうとする人が出てくるんじゃないかな?」

前作主人公。 残念ながら出番・台詞はやや少なめ。
しかし、デスティニープランに対して、自分の立場からハッキリと批判している事もあり、TV版とは印象がかなり異なる。
「Desire」ではアークエンジェルを守らなければならない立場から、フリーダムを落とされた後もストライクルージュで戦おうとするが、カガリに諭されている。
エンジェルダウン作戦後、シンの気迫に圧倒されつつ実力を認めており、「会ってみたい」と呟く。
搭乗機体はフリーダム、ストライクフリーダム、ストライクルージュ(ストライクカラー)。



「戦争を終わらせる事も、国を守る事も…難しいな」

オーブ連合首長国代表首長。この漫画では実質ヒロイン。
原作と同様、半ば無理やり説得される形でユウナ・ロマ・セイランと政略結婚するところでフリーダムに拐われ、キラ達と行動を共にする事となる。
今作では、アスランとの関係がより深く丁寧に描写されている。
搭乗機体はストライクルージュ、アカツキ。



「残ったのは、この命一つだ。 …さて、どう使う?」

ファントムペイン所属、不可能を可能にする男。
ステラを戦場へ送り出した事を後悔しており、「奪うだけ奪って、守りたいものも守れず、約束も破った…」と語っている。
原作とは違い、残念ながらメサイア攻防戦では出番無し。 アカツキにも乗らない。
その為、アスランが一人でレクイエムを破壊している。



「変化は不安を生む。故に疑問を投げかける事は容易い」

ザフト軍所属のエースパイロット。 クルーゼと同じ、アル・ダ・フラガのクローン。
「Desire」では、アカデミー時代の話等で彼のシンへの友情が強調されている。
家族やステラの悪夢に魘されるシンを心から心配し、「戦争の無い世界を作り、シンの苦しみを終わらせたい」と願うシーンや、
ダイダロス基地攻略戦後に抱き合うシンとルナマリアを見て優しく微笑むシーン等、本編では見られなかった彼の一面が見られる。


「…言っただろう? 人は痛み等直ぐ忘れる…」

プラント議長。 原作より悪役っぽく見える。
キラに対して「本当は君が力になってくれれば…」と語っていたが、これに対して、キラは「僕は兵器じゃない!」と反論している。



「見てきたものが違うんだ。 そう簡単にはいかないさ」

中の人が同じミゲルと同様、頼れる兄貴。
原作通り戦死してしまうが、それまでにアスランに対しての助言やアスランとシンとの関係改善のアドバイス等、出番が増えている。
大人の意見を言える、良き先輩。



「アスランには分からない!! 分からないわよ…最初から持ってるあなた達には…人から奪ってでも…しがみつきたい気持ちなんて…! そうじゃなきゃ失くなっちゃうって怯える気持ちなんて!!」

デュランダルがプロパガンダの為に作り上げた、「偽物のラクス・クライン」。
ラクス達との邂逅での悲痛過ぎる叫びと、Desireにおける偽物と暴露された時とデュランダルに遠回しに「役目は終わった」と言われた際の絶望の表情が、彼女の心理を物語っている。
持っていた全てを、「ラクス・クライン」を演じる事で得られた全てを本物のラクスに唐突に奪われ(※元々はそのラクスから奪った形ではあるが)茫然自失だった最中、
マネージャー兼監視人であるサラに「プラントの民の心を癒していたのは貴女なのに」と囁かれ…。


…と、アスランの心理描写は勿論、シンの苦悩、キラの考えや守るという信念…。
この他にもアニメでは尺の都合などで原作では描かれなかった様々なキャラの見せ場が増えている。
心情描写は無くとも、表情からでもキャラクターの心情を読み取れる(アスラン撃墜直後のシン、「Desire」でレイの見せた微笑み等)。


原作のシナリオはイマイチだったが、キャラクターや機体等、素材の良さを証明出来た作品である。

■余談■


・久織先生は大のSEEDファンらしく、SEED放送時からイラストを描かれていたらしい。
最終巻の巻末にラフスケッチ集もあるので、興味のある方は見てみては如何だろうか。

また、久織先生がSEEDの漫画を描きたいと思った切欠は、例のキラVSアスラン後のカガリとアスランの名シーンを観て描きたいと思ったとの事。

コメントでは、「担当の方々ともキャラについてしつこく熱く語り合い、それ等をEDGE版での解釈として盛り込んだ。 ファンの多い作品でその様な試みは勇気のいる事だった」と述べている。


・本作の連載終了後、久織先生はガンダムエースにて『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア BEYOND THE TIME』を連載した。


・『機動戦士ガンダム Extreme vs.』シリーズでは、シン・アスカの台詞の一部に本作から輸入された台詞が存在する。




「人は間違いを追記するなんて出来ない…。 それでもおかしいと思う箇所があるから修正するんだ!」

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