ビキニアーマー

登録日:2011/11/24(木) 21:18:24
更新日:2025/09/06 Sat 17:41:34
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ビキニアーマーとは、フィクション作品において女性が身につける防具。時々男性もいたりするが


概要

その名のとおり、股間と胸元のみを金属製のビキニで防御すると言うとんでもない代物。
ちなみに「ビキニアーマー」は和製英語であり、本来は「メタルビキニ」と呼ばれる。

発祥は1930年代のアメリカの雑誌「パルプ・マガジン」からと思われる。
日本では1980年代の『ドリームハンター麗夢』『幻夢戦記レダ』『夢幻戦士ヴァリス』『ドラクエ3の女戦士』あたりの影響から創作界隈で更に広まったと思われる。

特徴

さて、フィクションとはいえビキニアーマーはれっきとした防具であるが、どう見ても身体の大半が剥き出しである。
素肌に着けるので布地にすら守られていないし、剣だろうが槍だろうが流れ矢だろうが流れ弾だろうが、一撃でも当たれば致命傷であろう。
動き易さを第一としたのか、肌で風や気配を読むのか、強者ゆえの最低限な装備なのか、理屈には事欠かない。

ヒラコー曰く、
「即死さえしなければ回復魔法や回復アイテムで完治するのがファンタジー世界。
 故にビキニアーマーとは貞操と心臓だけを守り攻撃に全振りした装備であり、
 さらに突き詰めれば頭と首も即死の恐れがあるため頭と首にも防具を追加した姿が究極形である」


まあ現実に当てはめても仕方ないので、こまかい理屈はこの際捨て去ろう。





ビキニアーマー


それは漢の浪漫である





想像してみてほしい。
周りが獰猛な魔物や怪物だらけ、屈強な装備に身を固める戦士、如何にも魔術めいたローブとかを纏った魔法使いなどが闊歩するファンタジー世界の中で





胸と股間以外の素肌晒したおにゃのこが必死に剣振ったりして戦っているんだぜ?


想像するだけでそのギャップに鼻血ものだよ!




ましてやそれが歴戦の戦士だったりして、涼しい顔して魔物をバッサバッサとなぎ倒して行ったり、
それでいて自分の姿には何の疑問も持たないなんて、最高にクールじゃないか。
もちろん、駆け出しのひよっこ戦士があくせくしながら必死に戦って敵に追い回されたり、
それでも懸命に汗を滴らせながら戦うシチュもまた何とも言えない可愛さがある。


もちろん、ファンタジー世界の住人にとどまらず、日常から非日常に陥った美少女がわけのわからぬままそのドスケベな姿で必死に生き延びようとする様や、
そっち向けの人々御用達のイベントとかのコスチュームとかで、やってきたお客を悩殺するためのものだったり…
一口にビキニアーマーと言っても様々なシチュエーションが存在しているのだ。


よく「そんだけ肌晒すならいっそ裸でもいいじゃん」なんて人がいるかもしれないがそれは甘い。




いや、無粋であると言うべきか


胸元と股間のみをアーマーで隠してるというファンタスティックな状況を楽しんでこそではないかと思わないかね?




とにかく、このビキニアーマーという衣装・武装には非常に膨大なロマンが詰まっていると言いたい。




…まあ言葉だけでは少々わかりづらいかもしれないので、いくつか例を挙げてみようと思う。


装着者の一例

綾小路麗夢

「ドリームハンター麗夢」の主人公。
人々の夢に入り込み、その命を奪う存在である夢魔を退治することを使命としている。
外見に反して実年齢含めたプライベートには謎の多い少女だったりする。

朝霧陽子

幻夢戦記レダ」の主人公。
異世界アシャンティへと迷い込み、レダの戦士として戦うことになるごく普通の女子高生。

麻生優子

「夢幻戦士ヴァリス」の主人公。
ごく普通の女子高生がヴァリスの戦士として選ばれて、異世界の戦いに身を投じることになる。
下半身はミニスカで覆われているので残念……と言いたいが、時折見えるパンチラに心奪われた元少年もいたに違いない。

女戦士

ドラゴンクエストⅢ」の職業の1つ。
彼女の容姿を見てビキニアーマーに目覚めた元少年たちは多いだろう。

チチ

ドラゴンボールの登場人物。
初登場時はビキニアーマーな格好だったが、とても幼女にさせて良い恰好ではない。
ちなみにゲーム「超ドラゴンボールZ」では大人のチチもこの格好をしてくれる。

レムネア

極黒の翼バルキサス」の主人公。
伝説の勇者の1人である銀の勇者として、両親の敵を追っている。
元がたわし大先生の作品ということもあって色気は抜群。

クリス

「甲竜伝説ヴィルガスト」の主人公と共に戦うパーティーの女戦士。
元々王国の第1王女だったが、そのお転婆ぶりで近衛戦士団のクイと共に冒険の旅に出る。
第1装備のビキニアーマーを脱ぐときちんとビキニ姿になるので、わざわざ水着姿になることはない。
ただしタコとかイカとかに襲われたらヤバイ

エスパーガール

SaGa2 秘宝伝説」に登場する種族。
エルフ耳に金のウェーブヘアー、そして紫のマイクロビキニ姿で、その上ビキニ部分は紐ではなく金の鎖でできている。
彼女の容姿を見てビキニアーマーに目覚めた元少年たちは多いだろう。
なお、DSリメイク版では露出度はかなり減っており、かつての元少年たちを落胆させたとか……

クローデット

「クイーンズブレイド」の主人公レイナの異母姉。
露出度が高いコスチュームのキャラが多いが、その中でも最もビキニアーマーに近いのが彼女である。
妹のエリナも近いのだが、股間ガードがない。

ナイトメアブラッド

アイドルマスター」での追加衣装で、血と悪魔をイメージしたかなり過激なデザイン。
ビキニアーマーというよりただのビキニかもしれないが、ファンタジー的要素を考えるとビキニアーマーと言えなくもない。
これを着て「I want」を歌う天海春香は色んな意味で閣下である。
因みに某イラストサイトではこれを着たあるアイドルにナイトメアフラットという通称がついていたり(ry

ペルソナ3女性メンバー

「ハイレグアーマー」という女性専用防具として装備できる(ビキニかどうか微妙な形状ではあるが)。
岳羽ゆかり()、桐条美鶴(黒)、ハム子()とそれぞれ色違いが用意されている。

世界樹の迷宮シリーズ

新2に登場。
一貫して「炎・氷・雷」といった属性攻撃耐性を持ち、男性でもパンダやわんこでもゴリラでも装備できるというある意味恐ろしい仕様。幸いグラフィックには反映されない。
Ⅲだけ突出して高い性能だが、再登場した後は防御力1という実にビキニアーマーらしい性能に落ち着いた。
Xの公式アートブックではビキニアーマーを装備した女ヒーローが表紙である。ひむかいさんだからしかたがない

レベッカ

ONE PIECE」ドレスローザ編の登場人物。
ドフラミンゴを討ち取るべく、メラメラの実を求めコロシアムで戦う剣闘士で、露出の激しい衣装に加えてワンピのキャラらしく巨乳
軽装の防具と見聞色の覇気を用いたスピード戦法を得意とする。

黒神めだか

めだかボックスの主人公。
第2回オリエンテーリングでイミテーションだが着用した。

エリザベート・バートリー(ブレイブ)

Fate/Grand Order」の2016年ハロウィンイベントで登場したサーヴァント。
「80年代スタイル」と他のサーヴァントに言われるほど由緒正しい赤色のビキニアーマースタイルだが、着ているのがスレンダー体形なのであまり色気がない。

ゴブリンスレイヤー

戦女神の信徒が着用する防具という設定であり、メインキャラに装備者はいないがTRPG版でPCが装備することが可能。
社会的にはシスターの修道服やお坊さんの袈裟に近い正装らしいのだが、やはり一般人から見ると痴女めいた装備という認識らしく、
劇中では、重戦士への女性らしいアピールになるかと思いつつ購入するか迷う女騎士に(たまたま武具屋で居合わせたので)相談された我らがゴブリンスレイヤーは、
防御面積の極端な低さに「正気の沙汰とは思えん」とコメントし、女騎士も同意していた*1
なお、戦女神の信徒の正装という認識は二人とも恐らく持っていなかったと思われる。
ちなみに設定によると戦女神の信徒であれば男も着るローマの剣闘士に似た男性用のビキニアーマーがあるらしいが)。

ふかふかダンジョン攻略記

奇跡も魔法もない世界でガチダンジョンを現実にあり得る力のみで攻略する異色ファンタジーもので、一切のファンタジー的な力が存在しない世界観。
だが、 現代チート*1を制限する方向にだけはなぜか不可知の運命論が働いており、これらを利用しようとしても絶対に上手くいかない
この世界において「女性冒険者」の地位は原則として 男性冒険者の半分 というのが基本。そりゃ奇跡も魔法もなければガチ肉体労働で女が男に勝てるわけない*2ので。
そんな女性冒険者たちの基本装備は「ビキニアーマー」というほど露出度は高くないが、遠目から見て間違いなく女性であることがわかる程度には女性性を強調した作りになっている。
もちろん、伊達や酔狂でこんな作りになっているわけではなくちゃんとした理由があり、 ゴブリンオークなどの亜人は繁殖のために女性を常に求めているから である。
つまり、「男だったら遠距離からの狙撃で即抹殺」が基本の相手だったとしても、「女性であること」がわかれば、生け捕りにするために手心を加えてくれる可能性が大幅に上がるわけである。
要は「女であるとわかる鎧」は多少鎧自体の防御力を犠牲にしたとしても、何よりも優秀な「防御性能」を付与してくれるのである。
ある意味では「ビキニアーマー」を装備する最も合理的かつ潔い理由付けであると言えるかもしれない。
じゃあ女性っぽく肌っぽく見えるデザインの鎧にすればいいじゃんとかは禁句だ

Eternal Dreadシリーズ

海外のHitbear Studioが開発・販売するインディーズゲーム
世界を魔族に殆ど支配され、若い男性が魔族との戦いでほぼ死に絶え、残された女性が僅かな生存をかけて武器を手に戦っていると言う末期的な世界設定。
その女性たちは全員ビキニアーマーを着ている。なんでも防具に使える資源が枯渇しているのが理由らしく、主人公が拾う防具も作る防具も全部ビキニアーマー
属性違いなどを加味すれば10種類を優に超えるビキニアーマーが登場する。その羽とか角とか伸ばす素材で少しくらい露出減らしたほうが…とは言わないお約束。
砂漠のような荒野に配備されているNPCも雪が積もる寒冷地に配備されているNPCも全員ビキニアーマー。魔物との戦闘以前の理由で命を落とさないか心配である。


余談


冶金技術の発達する前の古代社会(例:シュメール時代のメソポタミア、エジプト古王国)や金属資源に乏しい地域(メソアメリカ、アフリカ等)においては、
装備は腰巻きや褌を身に付けた程度の半裸の兵士たちが戦場で普通に戦っていた。

こうした地域では、敵を出血させる鋭利な刀剣は身分の高い将官にのみ所持が許される貴重品で、
大多数の兵士は棍棒のような打撃系の武器を近接戦のメインウェポンにしていた。
また、遠距離で戦う槍や弓矢は金属が使われているものの、大きな盾と兜さえあれば十分に防御できたという背景から、
鉄器と刃物が普及するまで1000年以上の間こうした状態は続いた。

また、古代ローマのような武具が高度に発達した社会においても、剣闘士が頭や腕・心臓など必要最低限の範囲を守る防具を身に付けて戦う例があり、
おそらくこれがフィクションにおけるビキニアーマーに最も近い形態と思われる。

更に、古代ケルトの社会は、甲冑を作成するだけの高度な技術を持っていたにもかかわらず*3
戦士たちの中には勇猛さを示すために鎧どころか衣服すら殆ど身に付けず、素肌(股間含む)を剥き出しにした状態で戦う者が多くいた。
彼らのように、甲冑が普及していても敢えて防具を身に付けず戦う者は少なからず存在した。 言うまでもなく、兵士の9割9分は男だっただろうが。 *4
そもそも、乳幼児死亡率が高く、産褥死のリスクも高かった前近代では、大半の女性が立て続けに妊娠・出産しないと人口の維持が難しかったので、
15年以上かけて育てた「子供が産める女性」の価値が高く、故に下手に戦場に出して戦死させたくなかったであろうことにも留意する必要がある*5


追記・修正はビキニアーマーを着用してお願いします

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最終更新:2025年09月06日 17:41

*1 ちなみにビキニアーマー以外の女性らしいアピールの仕方の相談に関しては、「そういうことを俺に相談する時点で正気を疑われるだろう」と女騎士にクリティカルヒットを加えつつ、平時、特に祭りの日なんかには鎧を脱いで平服を着ればいいと無難な答えを返している。

*2 非常に大まかに言って、女性の筋力は同体重男性の8割程度である

*3 世界で最初に鎖帷子を開発したのは彼らだと言われている

*4 若い女子の体育を奨励していた文化はスパルタやエトルリア、戦国時代以前の日本等世界各地に存在しており、そのような文化圏で本拠地に攻めてきた敵を迎撃するとなると「戦える人間は女でも動員」という事は起こり得るし、アマゾネスの伝承の起源になったスキタイ人の一派は女にも兵役を課していたので、国と時代、戦況によって差異は有るだろう。

*5 医療や衛生学が発達していたローマ帝国でも人口の45%が20歳未満だったと推計されている