フルアーマーガンダム(サンダーボルト)

登録日:2013/11/11(月) 23:11:23
更新日:2025/09/09 Tue 17:19:52
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ガンダム、俺を夢中にさせてみろ!


画像出典:機動戦士ガンダム サンダーボルト©サンライズ



この項目では、漫画機動戦士ガンダム サンダーボルト」に登場するモビルスーツ(MS)「フルアーマーガンダム」について解説する。
「MSV」のフルアーマーガンダムにあたる機体だが、本作では様々な箇所が異なっている。
機体色も青色と赤色で、MSVでの緑色とはかけ離れており、どちらかと言えば「プラモ狂四朗」に登場した時のカラーリングに近い。


【緒元】

型番
FA-78-1
武装
・二連装ビームライフル
・ロケットランチャー
・大型ビーム砲
・6連装ミサイルポッド
ビームサーベル(×4)
・増加装甲内マイクロミサイル
シールド(×4)
・ビームライフル
・ハイパーバズーカ

パイロット:イオ・フレミング

【概要】

RX-78 ガンダムに強化装甲と追加装備、大推進力バックパックを搭載した連邦軍の試作MS

関節部にはデブリが入らないように防塵処理が施されているほか、肩や膝を中心に無数のスラスターを装備。空間戦闘をより重視した設計となっている*1
プロペラントタンクを兼ねた2基の大型ロケットブースターによる機動力は高機動MSに匹敵する。
また強化装甲にある肩口と両膝の白いハッチ、腰にある赤いアーマーにはリング型のミサイルを仕込んである。
これはMSV版でもミサイル・ベイとしてすでに実装されており、最後の手段的な武装とはいえフルオープンした際の火力は侮れない。
増加装甲は非常時にすべてパージが可能であり、素体のガンダムは我々が見慣れているものとあまり大差はない。
強いて言えば、肩が陸戦型ガンダムに似ている事ぐらいか。
ただし本機はスリングバーではなく、重装化により難しくなった機動制御用のアポジモーターユニットである。
また頭頂部にはガンダム・ヘッドに付けられたロッドアンテナが追加されている。

ちなみに本作では、ガンダムタイプは戦意高揚のためRX-78の試作機である8機とは別にいくらか生産されていることになっている。
この機体もムーア同胞団が地球連邦軍に金を貢いで作って貰ったとイオは推測していた。
だが「サンダーボルト」の舞台は一年戦争末期な事、陸ガンのように上記8機とは別のガンダムは生産されている。
更に戦争の大勢は決まりかけていて、連邦が戦後に「ガンダム伝説」を根付かせようとしたことを考慮すれば不自然ではない。
もっともそれがパイロットにも不幸を招く一因となったのだが……。
尚、本機もコア・ブロック・システムを搭載しているが、コア・ファイターではなくジムと同じ簡易型のコア・ブロックである。


【装備概要】

右腕の二連装ビームライフルはEパック方式で、バックパック上部にカートリッジが設置されている。
長時間放射が可能であり、劇中では巨大なビームサーベルめいた形でダリルの隠れていた大型デブリごとビッグ・ガンを両断していた。

左腕には通常のシールドの裏にロケットランチャーを5基装備しており、このロケットはサブアームで取り外し可能。
単独でデブリ等に突き刺して推進器として利用することで、劇中では損壊したムサイ級を動かすほどの推力が確認できた。

高出力ビームサーベルはブースターと併用する事で、MSの何倍もあるデブリごとビッグ・ガンを両断して見せた。

バックパックには右肩に大型ビーム砲、左肩にミサイルポッドを装備。MSV版(左肩にロケット砲一門)よりも重装化している。
大型ビーム砲は一撃で巨大なデブリを複数まとめて溶解貫通する威力があり、更に連射も効く優れもの。
ミサイルポッドは発射後四方に分散するマイクロ式の物と、通常のミサイルが使い分けられていた。
他にもバックパックにはビームサーベルと予備のエネルギーパック、更にサンボルおなじみのサブアームや追加バーニアも設置されている。
かなりの機動性と重火力を手にしたが、裏を返せばバックパックに多くの機能が集約されているため、ここにダメージを受けると一気に戦力が落ちるのは否めない。
シーリングはされているが特に装甲材もないので、マシンガンの直撃を受ければ破壊されてしまう。

シールドは両腕、二連装ビームライフルとロケットランチャーの外側に1枚ずつ、更にサブアーム2基にも持たせ、計4枚装備。
ジムの物と比べて堅牢さが増しているらしく、劇中ではビッグガンの直撃ですら防ぎ、マシンガン程度では破壊されない。
このシールドはRX-78オリジナルの物と比較しても大型化しており、更に下半分には強化装甲が追加されている。
やや装備過剰と言われがちな枚数だが、当機が相手にしているのが多数のビッグガン持ちやサイコ・ザクである事を考えると十分だと言える。
増加装甲は爆発で吹っ飛ばされてデブリにめり込むほどの勢いで衝突しても、本体が無事で済むという耐久性を誇る。
一方で増加装甲を施していない頭部はマシンガンの直撃とバックパックの爆発に巻き込まれ、メインカメラを片方潰されていた。

増加装甲の全身にはマイクロミサイルが配置されていて、劇中ではバックパックを喪失した後の戦闘で撃ち放った。

ビームライフルとハイパーバズーカは、MGのウエポン&アーマーハンガー版がプレミアムバンダイ限定で発売が決まった際に新規で追加された装備。
それぞれ2基連結する事も可能で、装甲パージ後の追加装備を想定していた模様。


【劇中での活躍】

登場は早く、3話目に補給物資として支給。
1~2話の出撃で生存したパイロット達の内、階級が一番上(少尉)であったイオに与えられることになった。受領後に単独での宙域強襲を命じられる。
ただ上層部としてはムーアの首長の息子であったイオが人柱となることを望んだので、いずれにしろイオにガンダムが与えられる予定だったと思われる。
イオはその思惑を察しながらも出撃し、その機動性と破壊力でリビング・デッド師団のスナイパー部隊を潰していき、師団を恐怖のどん底に叩きこんだ。
そしてフィッシャーが乗るリック・ドムを斃そうとした瞬間、ダリルが乗る旧ザクの一撃にやられかけるが雷がビームを歪め生還。
そのまま正面から突撃し合うチキンレースを繰り広げ、バックパックをパージしながらもダリルのビッグガンを潰すが、結局は照明弾を使われ逃げられた。

直後の艦隊戦ではこの戦闘のダメージ回復のため出撃しなかったが、この後、多くの少年兵パイロットと共に総攻撃のため再出撃。
練度の低い子供達を盾にしながら師団の艦隊に辿りつき、敵空母ドライドフィッシュをはじめとする多数の艦をMS隊と共に潰していった。
この時のドライドフィッシュのブリッジに立ち銃口を向けるガンダムは死神そのものである。

敵艦隊を全滅させ、ドライドフィッシュは情報源として戦闘力を封じた直後、ムーア同胞団の艦隊が全滅したとの知らせが入り、サイコ・ザクを斃すため1対1の決闘を開始。
互いに斬りあいと撃ちあいが続く中、敵のマシンガン(アニメ版ではジャイアント・バズ)で顔半分とバックパックを潰される。
それでもサイコ・ザクの突撃に合わせてミサイル・ベイとビームライフルを叩きこむが、相手の左腕と共にライフルを失う。
爆発で吹っ飛びデブリにめり込み、イオは最後の手段として使えなくなった武装と強化装甲を全てパージして機体も再起動。
本体バックパックに残されたビームサーベルを持ち、「絶対に殺す」と念じながら最後のセッションに向かい、擱座したザクを見つけトドメを刺そうとした。
が、その瞬間、機体が雷を受けたことでダリルが復活したのと同時にサイコ・ザクのサブアームに残っていたシュツルムファウストが放たれ、頭を吹っ飛ばされる。
サーベルも敵のコクピットを逸れて頭部を刺すに留まり、両機共に大破したがパイロットはお互い無事に終わる。
サイコ・ザクは直しようがなかった為、爆破処理。ガンダムはジオンの援軍であるセイレーン艦隊に回収された。

その直前に、ザクから脱出したダリルを目撃したイオは彼が義足どころか四肢全て義肢化していたことを知り、「こんな奴に負けたのか…!?」と愕然とする。
同時に彼の中には拭いきれない敗北感が残り、その因縁は大戦後も彼らの生死が決するまで続く事となる。

ちなみに少年兵たちがガンダムと共に記念写真を撮るシーンで、イオが「お前らガンダムを大仏扱いか!?」と言う(大仏知ってんのか)
だが本機が納入された意図が戦意高揚のための人柱であり、ガンダムのネームバリューを利用した幻想の「英雄」…一種のアジテーションでしかない。
それに惑わされ命を散らした多くの少年兵、そしてイオにも容赦なく「ガンダムの呪い」を憑りつかせた本機は大仏というよりむしろ死神であろう。
せめて、涅槃にて死者に安らかな時を与えてほしいものである。


第2部の南洋同盟編では久しく姿を見せなかったが…



【立体化】

2013年にHGでガンプラが発売された。なおフルアーマーガンダムの1/144サイズとしてはかなり久しぶりだったりする。
基本的な装備はすべて付属しており、さらにサブアームは差し替え式でシールドを持たせることが出来たりとプレイバリューも高い。
ディティールも細かく、通常のガンダムとは全然違う感触が味わえる。
装甲のパージはできないが、1/144サイズでそれは高望みであろう。

また、2016年4月には劇中カラーをイメージした新バージョンが発売され、その3ヵ月後にはMGにてVer.Kaのプラモも発売された。
このMGではHGではできなかったミサイル・ハッチの開閉や装甲の脱着が可能になっており、特徴の一つである間接部分のシーリング処理はポリエチレン製の筒をはめ込むことで再現。
設定のみで原作では詳しく描かれなかったコア・ブロック・システムであるエマージェンシー・ポッドも再現している。

2017年にはプレミアムバンダイ限定で、頭部とシールドが破損したラストセッションVerが発売されている。
更にウエポン&アーマーハンガーVerでは、新規で設定されたビームライフルやハイパーバズーカが付属。2基を分裂・合体する事で違った扱いができる。


【ゲームでの性能】

第4作目『Extreme VS MAXIBOOST ON』で新規追加機体として参戦。
同時にサンダーボルトのメインテーマもBGMとして追加されており、劇中さながらにフリージャズを聴きながらプレイする事が可能。
EXVS2OBに至るまでチャージ攻撃を有さない珍しい機体だった。
ただし代わりに個々の武装は癖が少なく実直な性能で、特殊格闘の突撃時には固有の弾数消費による攻撃を仕掛けるため、弾切れに苦しむような展開は少ない。
射撃は通常時は本体装備の火器を、特殊格闘使用中はバックパックの装備を使い分け、格闘はビームサーベルや二連装ビームライフルを使った技などフルアーマーらしい手数の多さを見せつける。
一方で降りテクが無いので着地の隙の多さは庇いきれず、攻撃技の多くは押し付け性能が低い奇襲タイプなので見切られると非常に弱い短所を持つ。

『GENESIS』のDLCにて初登場。残念ながらイオは未登場。
基本性能はMSV版とは変化なく、武装が大幅に異なっている。多数の実弾は一斉射撃として統合されており、通常武装はビームに偏っている。
DLCによる優待もあってか、開発先が歴代のフルアーマー機体となっており、DLC代を払えばゲーム序盤からフルアーマーΖΖやフルアーマーユニコーンが入手可能。

  • ガンダム バトルオペレーション2
宇宙適正持ちの強襲機。リリース当時は最大コストの500で登場している。
手数が多くビームと実弾の双方を併せ持ち、即よろけの取れる武装も多いため真正面からの勝ちあいに強い。
4枚持つシールドも全て防御判定を持つため堅牢さも健在。シールドが破損する毎に機動力が上がっていく。
しかし旋回性能が著しく悪く、足を引っ張ってしまうため側面からの攻撃などには気を付けたい。

LINXTAGE01からパイロットのイオと共に初参戦。 最高レアリティで収録されている。
地上適正が宇宙がS。それ以外がCと宇宙以外は性能が落ちてしまう。
本機はコスト8のアビリティが「鉄壁」で、機体のコストが高いほどダメージ軽減率が増加する「鉄壁」で軽減率が最高かつ上限限界ギリギリのコストになっている。
本機の「鉄壁」とダメージ軽減効果をもつパイロットのアビリティと合わせれば、簡単には落ちなくなる。
制圧機として、速やかに処理しにくい運用として押し付ける運用が強く、片方の拠点で時間稼ぎしてるうちに、もう片方の拠点にも制圧機を押し付ける運用が一時期流行した。
ほうっておくと本機自体の火力もそこそこ高いので無視できない存在となる。
ただし、上記の運用は制圧機としては、コストが重いので、簡単に倒されてしまうとこちらのコストがジリ貧になりがちなるので注意。




ジャズが聞こえたら、追記・修正の合図だ

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最終更新:2025年09月09日 17:19

*1 作者としては、宇宙での戦闘をしてスラスターが壊れたら帰れなくなるので多数あれば生きて帰れる可能性が高くなるためとしている