ムサイ級軽巡洋艦

登録日:2012/09/02 Sun 23:26:05
更新日:2025/07/09 Wed 19:47:12
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「ムサイ!! ミサイル発射!!」


ムサイ級軽巡洋艦とは、アニメ『機動戦士ガンダム』に登場するジオン公国軍の宇宙軽巡洋艦。
宇宙世紀で初めてモビルスーツ(MS)の運用を前提とした多目的艦として開発された。


●目次



【性能諸元】

ムサイ級軽巡洋艦
Musai-class Light Cruiser

所属:ジオン公国軍
   ジオン共和国軍
   デラーズ・フリート
   ティターンズ
   ニューディサイズ
   アクシズ(ネオ・ジオン)
   新生ネオ・ジオン
   カラード
   袖付き
建造:ジオン公国軍
全長:234.0m(後期型:248m)
全幅:103.2m(後期型:162m)
全高:65.0m(後期型:69m)
基準排水量:13,000t
満載排水量:26,200t
推進機関:熱核ロケット×2
MS搭載数:本体4機+コムサイ2機(後期型も同数)

《武装・通常型》
連装メガ粒子砲 ×2〜3基
145型大型ミサイルランチャー ×2門
C型ミサイルランチャー ×10門

《後期型》
連装メガ粒子砲 ×5基
120mm連装機関砲 ×10基
ミサイルランチャー ×10門

《最終型》
連装メガ粒子砲 ×2基



【概要】

ジオン公国軍が建造・運用した宇宙巡洋艦。

宇宙世紀史上初めてMSの運用を前提として開発された為か、艦橋とMSデッキから成る部分を中心に支柱が伸び、その先端にエンジンブロックや船体があるという非常に特異な三脚構造となっている。
一説によれば、このような構造なのはエンジンの間にHLVや大型モビルアーマー(MA)を係留して輸送する為だとされる。

設計段階でMSとの連携を想定していた為、パプア級の様な旧式艦には無い熱核融合炉の冷却装置を備えており、MS黎明期の母艦としては優れている。
また、連装メガ粒子主砲3基6門や大小2種類のミサイルランチャーを備え、仮想敵である連邦軍サラミス級よりも(正面の)火力面では勝る。

本体から離れた場所にエンジンがあるので、さぞやダメコン能力も高い……と思いきや、実際にはエンジンが爆発するとムサイ本体も粉々になってしまう。
むしろエンジンが大きいぶん被弾しやすいともいえ、下記の砲配置の問題もあって防御力は低い。
実際、艦隊戦の時はサラミスやマゼランによくボコボコにされていたという。
火力配置もグワジンと同様に正面に偏っていて上下や後方に撃てる火器が皆無か極わずかな上、最後期より前の型だと対空兵装の類いも無く、総合的に見れば扱いづらい物であった。

また、MS搭載機能は確かに革新的だったが、なぜかMSデッキが艦橋の真下にあり傍目にも狭いうえ、ハッチが後ろ向きについている。
そのため発進後にMSが自力でムサイの前に回るか、艦の後部を敵に向けた状態で射出する必要がある。
しかし前者の場合MSのただでさえ少ない推進剤を余計に消耗する上に、もしムサイが高速で航行していた場合は置いて行かれかねない(ザクよりムサイの足が遅いということは無いだろう)。
後者の場合は後方に向けられる武器が無いのも合わさりムサイが無防備となってしまう。距離が離れているならいいのだが……

その後MS搭載艦は急速に普及したが、射出口が後ろにしかない宇宙船というのは存在しなかった。

手探りで作られたためか、全体的に洗練されていない不合理さが垣間見える設計である。
当のジオン軍も満足しなかったのか、ムサイより旧式のチベ級重巡洋艦を主力艦として扱っている描写もある。

艦首下部には「コムサイ」という宇宙往還機が仕込まれていて、必要に応じて射出・合体が可能である。
コムサイについては後述。

かなりの数が生産され、「ジオン在るところにムサイ在り」と断言出来るくらいに、まさしくジオンの顔とも言うべき存在である。
なお、ムサイ級のネームシップになった「ムサイ」がどの艦を指すのか、そもそも映像作品を始めとした各媒体に出てきているのかは、はっきりしていない。


【派生型】

通常型

一年戦争開戦時から活躍するオーソドックスなタイプ。
間違いなくジオンで最も多く建造された宇宙艦であろう。
船体色は大抵、緑系で統一されている。

艦本体への搭載可能MS数は4機。
ちなみに運用上の問題から、コムサイ側の搭載数は含んでいない(コムサイの項で解説)。

火力も高いが、概要通り全火器が前面に集中しているので死角だらけという、宇宙艦としてそれはどうなんだという短所がある。
また対空火器の類いも無く対空防御はMS頼り。肉薄した宇宙戦闘機や連邦製MSにも自力では対処出来ない。
それどころか幾らミノフスキー粒子散布を前提にしているとはいえ、ミサイルすら迎撃できず回避するしかなかった(劇中を見る限り、ミサイルもなんだかんだ誘導されて命中しているシーンが多い)。
如何にジオンがMSの運用戦術を重視し、艦船を戦艦・駆逐艦方面よりも母艦として追及したかが解る。

結果としてこうした防御力の低さが災いして多くのムサイが宇宙の藻屑となった。
事実、圧勝と言っていい程の勝利を収めたルウム戦役であっても参加した78隻の内22隻が撃沈または大破または損傷(異説有り)している。

戦中を通して大多数が建造されたが故に固有名が確認されている物も多い。
初代ガンダム劇中に登場したものは命名則が「~メル」となっている。
ドズル・ザビ中将がシャア・アズナブル少佐に譲った“ファルメル”(ブリッジがヘルメットのような形になっている)やコンスコン艦隊の“クワメル”などが有名か。

古い艦ではあったがジオンにしては大量生産されたためか残存数も多く、ジオン共和国で「ムサイ改」として近代化改修して運用している他にも、戦力に乏しいアクシズ(ネオ・ジオン)で輸送などの後方任務に就いていた他、U.C.0096年にもジオン残党の寄り合い所帯であるアクシズよりも財政難な『袖付き』に至ってはそのまま運用しているのが確認出来る。

THE ORIGIN』では、民間向け宇宙貨客船「アルカナクラス」を改装して巡洋艦に仕立てているという設定。つまり一種の仮装巡洋艦的艦艇である。
このアルカナクラス、上下逆さまであることなどを除けば非常にムサイ級に近い船で、一年戦争に向け密かに多数建造された後、開戦時に上下反転の上艤装を施して巡洋艦として運用している。
デザインはややリファインされており、船体の厚みを増やし正面や側面から見て少し膨らんでいるように見える他、第1艦橋やメガ粒子砲塔も丸みを帯びた形状になっている。



簡易生産型

一年戦争後期に増え始めた戦時量産タイプ。砲塔を2基に減らすなど、デチューンにより生産効率を向上させている。
大戦後期にもなると陳腐化していたムサイを更に劣化させるというジオンの苦しい台所事情が窺える。

流石に前線に出せる代物ではなかったのか、パトロール等が主任務だった模様。
ドレン大尉率いるキャメル・パトロール艦隊旗艦の“キャメル”が有名。

実は作画ミスで主砲が少ないムサイを描いてしまった事への言い訳らしい……



後期生産型

一年戦争後期に生産された改良型。
船体色は通常の緑系の他、海兵隊所属のブラウン系が存在する。

艦橋下部に配置されていたMS格納庫を左右へと改め(中央部は整備スペースに変更)、併せて電磁リニア式の展開型カタパルトを前後に搭載する事で、MS運用能力が大幅に強化された。
またメガ粒子砲と対空機関砲の追加で死角も削られており、攻防共に従来型のムサイの欠点を克服している。
なお武装強化に伴うジェネレーターの負担増加に対応する為、艦体左右に放熱板が3枚ずつ設置されている。

だが、この改設計によって製造工程の複雑化を招いた為、ある程度量産した後に下記の最終生産型へと切り替えられた。

投入された時期が遅かった為に一年戦争中は殆ど活躍が見られなかったものの、シーマ艦隊やデラーズ・フリート、アクシズの主力としてデラーズ紛争期に数多くが確認されている。


メタ的には下の最終生産型共々、ムサイのデザインを(90年代当時の)現代風にアレンジしただけで通常型と同一の存在であったが、
後の設定変更でバリエーション違いという扱いにされたとか。


最終生産型

大戦末期に開発された、後期生産型の簡易型。
1番艦の名前から「ジークフリート級」とも呼ばれる。

武装は最小限に抑えてMS運用能力を維持しつつ、航続距離と機動性を強化しながらも生産性が高められた。
曲面を多用しつつ鋭角的でシャープな艦に変わっており、コムサイも流線形なものになった。

1番艦“ジークフリード”と2番艦“ワルキューレ”はサイド6への核攻撃作戦に投入された。
最終的にリボーコロニーへの核攻撃を巡る戦闘で少なくともどちらか一隻が撃沈された模様。

試験的に建造された艦であった為、現在確認されている限り他にはジオン残党に数隻、ジオン共和国に少なくとも1隻が運用されている位しか存在が確認されておらず、はっきりとした性能はよく解っていない。
そのため、ゲーム『ギレンの野望』ではコムサイの分離が可能だったりと、設定が安定していない。


ムサイ改級

一年戦争後、ジオン共和国が所有するムサイに近代化改装を施したタイプ。
しかし「近代化改修」といっても対空機銃(それも単装砲)を二基増設、胴体脇に放熱板が追加されただけで、ほとんど変わっていない。
同じく近代化改修された「チベ改」が旧チベから大きく発展したのと比べるとその差は歴然。
旧ムサイの「MSデッキが狭い」「ハッチが後ろ向きなのでMS投射能力に問題がある」「砲撃がしにくい」などの問題点はムサイの基礎デザイン自体に由来しており、改修では克服できないとみなされ、小改装に終わったのかもしれない。

グリプス戦役ではティターンズに召集されたジオン共和国軍が地球連邦の艦と肩を並べて戦う光景も見られた。



【コムサイ】

上記の通り、コムサイとはムサイの艦首に上下逆の状態でドッキングした宇宙往還機である。
ムサイから直接射出されることで燃料を最小限に大気圏突入が出来る。
また、全方位からの物資搬入が可能で、艦底には物資投下用のハッチもある。
武装は機首の機関銃2門。大気圏内でもコアファイターとの空中戦をこなせる程度には機動力も高い。
MSは2機搭載可能だが、発着は艦底のハッチから行う必要があり、ムサイから分離している時限定(=ドッキングしたままMS格納庫として使うには不向き)という欠点がある。

往還機として単独での大気圏突入と離脱が可能。
ガウ攻撃空母が往還機空母として、発進することが可能であり弾道軌道で味方基地近辺に送り出すことでコムサイの生存率は単独離脱をしていた頃より著しく向上したとされる。
重駆逐戦闘機として地球上でのザンジバルの護衛として使われたケースや緊急時の脱出艇として使用されたケースもあった。

割と多機能な一方で「コックピットの都合上、下方の視界が見づらい」「機関銃の照準システムが甘く外れやすい」等の本来の用途が戦闘用ではないが故の欠点もあった。


コムサイⅡは後期型ムサイに装着されたタイプで、本体同様こちらも改良されている。
通常のコムサイから大きく形状が変わっていて、コックピットがポップアップ方式に改められたので以前のタイプよりも下方視界が広く、武装も3銃身ガトリング砲にパワーアップした。
こちらは大気圏離脱にはブースターを装備する必要がある。


W・コムは『THE ORIGIN』に登場した大型コムサイ。
ザク4機を搭載可能で、木馬降下妨害作戦の際にはこちらが用いられた。
そりゃあザクが4機出撃するのに緊急回収が2機までしか出来ないのはマズいでしょう、大佐



【同型艦】


通常型

  • ファルメル CC-102
物語初期にシャアが指揮を執っていた、所謂「シャア専用ムサイ」。
ファルメルは艦橋部がヘルメットのような大型のものになっているが、これは通信設備を強化した・司令部要員を増強した「旗艦型軽巡洋艦」である為。
それ以外の性能は通常タイプに準ずる。
ブリッジ内部のレイアウトが凄まじく邪悪なことで有名。

元々はドズルの乗艦だったが、ルウム戦役での功績を称えてシャアに譲られたものだという。
サイド7入港~大気圏突入までホワイトベースを追いかけ回したが、シャアの地球降下以降の消息は不明。


  • バロメル
率いるソロモン救援艦隊の一隻。
ソロモン陥落後はテキサスコロニー宙域でマ・クベがガンダムと交戦している隙にホワイトベースと交戦した。
途中で損傷を受けて隠れていたが、味方の救援要請を受けて飛び出したところをセイラのGファイターに発見され、僚艦(名称不明)共々撃沈された。


  • シュレスヴィヒ
第32戦隊に所属するムサイ。
ルウム戦役の折、連邦軍の砲撃で真っ先に撃沈させられてしまった。


  • ケンプテン
第91パトロール艦隊所属。
僚艦と共にヨーツンヘイムをア・バオア・クー Eフィールド目標地点に先導した。
途中で僚艦がやられる中目標地点まで辿り着いたが、オッゴ発進直後にミサイルの直撃を受けて撃沈。


  • ノルトハウゼン
ア・バオア・クーから退却していた艦の内の一隻。
損傷した熱核融合炉が臨界点を越えて暴走し、爆散。


  • レムリア
ビショップ計画」における実験母艦。
サイコミュ試験用ザクのテスト中に連邦軍と会敵してこれを撃退するも実験は中止となり、その後は機動砲台スキウレの運用実験に回された。
戦争末期にはマルコシアス隊の母艦となった。


  • リミア
配置転換後のレムリアの僚艦。
レムリアと共にスキウレの実験を行った。


  • プリムス
ジョニー・ライデン少佐率いる突撃機動軍第2方面特務中隊第8パトロール艦隊の旗艦。
同隊は本艦から名を採って「プリムス艦隊」と呼ばれていた。
ジョニー転属後の動向は不明。


  • ハヴォック / ホーカム
高機動型ザクR-3型のビームライフル試射実験を行っていた艦。
試験中のところを連邦軍に発見されてハヴォックは撃沈されたが、ホーカムはザクを回収してグラナダへの退却に成功した。


  • レムル
ソロモン防空本隊第1方面軍別動隊に所属する艦。
中尉時代のシン・マツナガの乗艦だったとされる。


  • ブレイブ
アクシズのトワニング提督率いる先遣艦隊に属していたムサイ。
既に老朽化している為か、武装を外してゾディ・アックの輸送艦として運用されていた。
ネオ・ジオンに合流しなかったニューディサイズメンバーへの餞別としてゾディ・アックと共に譲渡された。
ゾディ・アック出撃後の消息は不明。

なお、艦名は先の戦いで戦死したニューディサイズ首領ブレイブ・コッドから取られたもので、ネオ・ジオン時代の名称は不明。


  • キンメル
漫画『C.D.A. 若き彗星の肖像』に登場。
本来はソロモンのグワラン艦隊の所属で記録上は撃沈したことになっていたが、実際は生き延びてアクシズに逃れていた。


  • チェール
漫画『宇宙のイシュタム』に登場。
宇宙攻撃軍所属で、本作の主要人物であるエリザ・ヘヴンの母艦。
宣戦布告と同時にサイド2宙域でマゼラン級トータチスと交戦、これをスペースコロニー「アイランド・イフィッシュ」まで追い込んだが…


  • 狩人号
漫画『黒衣の狩人』及び『アグレッサー』に登場。
ウォルフガング少佐率いる独立遊撃隊「狩人部隊」の母艦。


  • ブルメル
漫画『MS戦記 機動戦士ガンダム0079外伝』に登場。
主人公フレデリック・ブラウンらパイロット候補生をグラナダまで送り届けた。


  • アハメル
漫画『バニシングマシン』に登場。
ジオン共和国に帰順せずジオン残党となった艦の一隻で、ビグロを有する。
ゼダンの門に改装される前のア・バオア・クーの視察に赴いたジャミトフを襲撃するも、シロッコのメッサーラに沈められる。


  • ゲンマ / アルフェッカ / 名称不明
『ジョニー・ライデンの帰還』に登場。
シャア率いる新生ネオ・ジオンに参加、その戦力として運用された。


  • パムプレードー / エニューオー / デイノー
『ジョニー・ライデンの帰還』に登場。
第一次ネオ・ジオン抗争の際に連邦に亡命した艦で、その後はFSSに譲渡・運用されていた。
宇宙に上がったアーガマ級ニカーヤに合流して艦隊を結成、乗員はFSSに協力したジオン残党潜水艦部隊のメンバー*1が務めた。


  • メイルメル
漫画『U.C.0096 ラスト・サン』に登場したジオン残党の艦。
共和国に帰順しなかったジオンの敗残兵とその家族が潜伏生活を送っていた。


  • フュールド
漫画『審判のメイス』に登場。
アクシズ(ネオ・ジオン)軍に参加した艦で、ハマーン派とグレミー派の内紛に巻き込まれず難を逃れていた艦。
艦長は「アクシズの騎士」の位を賜った戦闘狂の美男子アルノー・ワイゼンベルガー。
ネオ・ジオン壊滅後も投降せず、僚艦ヴィスマールと共に極左テロ組織カメラ―ドと手を結んで「審判のメイス」作戦に参加した。


  • ヴィスマール
漫画『審判のメイス』に登場。
アクシズ(ネオ・ジオン)軍に参加した艦で、一年戦争、グリプス戦役、第1次ネオ・ジオン抗争を戦った歴戦の艦。
艦長は同じく歴戦の勇士オーラフ・デール。
ネオ・ジオン壊滅後も投降せず、僚艦フュールドと共に「審判のメイス」作戦に参加した。


  • メドガーエバース
ダブルフェイク』に登場。
反連邦テロリスト・カラードの母艦で、コムサイが無い代わりに艦首にもMSデッキを増設している。


簡易型

  • キャメル CC-45
大尉に出世したドレンが指揮を執るキャメルパトロール艦隊の旗艦。
僚艦2隻とリック・ドム6機の戦力をもってシャアのザンジバルとホワイトベースの挟撃を目論むも、シャアが到着する前にガンダムによって撃沈された。


  • トクメル
キャメルパトロール艦隊所属。
ホワイトベースの砲撃によって轟沈。


  • スワメル
キャメルパトロール艦隊所属。
直上からのガンダムの攻撃によって轟沈。


  • クワメル
コンスコン艦隊所属。
TV版では艦隊中央にいた為に集中攻撃に晒されて轟沈。
劇場版では先にサイド6領域(中立地帯)を出たホワイトベースの先制攻撃によって応戦出来ないまま轟沈した。


後期型

  • ペール・ギュント
デラーズ・フリート所属。
ガトーの乗艦であり、彼の副官であるヴィリィ・グラードル少佐が艦長を務める。
「星の屑」作戦終盤にガンダム試作3号機の大型ビームサーベルで艦橋を破壊され、撃沈。


  • ニーベルング
シーマ艦隊所属。
シーマ様と紅茶の人の裏取引に同行するも、取引が何も知らないアルビオンに露見しかけた為に「偶発的な遭遇戦」を演出する目的でバーミンガムによって撃沈される。



最終型

  • ジークフリート / ワルキューレ
1番艦並びに2番艦。
ルビコン作戦において旗艦グラーフ・ツェッペリンの僚艦として投入された。
陽動・核攻撃の両方に参加したものの特に活躍する場面は描かれず、撃沈または投降したとされる。


  • ヴィムメル / ウーメル / ケルメル
漫画『C.D.A. 若き彗星の肖像』に登場。
ジオン残党として戦後も活動しており、連邦軍の攻撃を受けた同じジオン残党のヴァールシカ基地への救援に向かう。


  • バルムンク
漫画『機動戦士ガンダムUC 星月の欠片』に登場。
ジオン共和国の所属だが右翼政治団体「風の会」に属しており、『連邦の庇護の下にジオンの魂を晒している』というアホみたいな理由でインダストリアル7の戦争博物館を襲撃した。
最終的に艦載機のハイザックはガンダムの活躍で全滅するが、バルムンクの顛末は不明。


ムサイ改

  • グルトップ、ドローミ、ビフレスト
原作小説版『UC』に登場。
ジオン共和国軍第41演習艦隊の護衛として参加していたが、「風の会」所属メンバーによりグルトップとドローミが艦隊を離脱してネェル・アーガマの制圧に参加する。
しかし最終的にネェル・アーガマは奪還され、グルトップとドローミはハイパーメガ粒子砲の餌食となった。

アニメ版ではこの展開そのものが削除されたが、次回作『NT』にてグルトップの名前だけ再利用された。



【武装】

  • 連装メガ粒子砲
主船体と艦橋部をつなぐ支柱の正面に階段状に配置された連装砲塔であり、ムサイ級の主砲。
軽巡級にしては大口径のメガ粒子砲で、火力を集中しやすく一斉射の火力はかなりのもの。
一年戦争開戦初期のシーンでスペースコロニーを艦隊で破壊する描写は印象に残りやすいだろう。

だが、概要の通り後方・下方に向けられないため対応力に劣る。

構造を簡略化した簡易型や火力を重視していない最終型は2基に減じているが、後期型は艦橋下部や艦底部にも1基ずつ増強して合計5基装備となり、火力を増強すると共に死角を減らしている。


  • 145型大型ミサイルランチャー
支柱の船体側付け根の左右に設けられたミサイルランチャー。
こちらは対艦・対施設用の「145型大型ミサイル」を発射する。

小説版だと、上記の大型ミサイルにあたる「タム・タイプのミサイル」4発を搭載可能とされている。劇中で実際に発射もされているが、ランチャーに関する描写は無い。

後期型と最終型ではオミットされた。


  • Cクラス小型ミサイルランチャー
支柱左右のスリットの様なものは艦隊防空用に用いるC型ミサイルを発射するランチャー。
上記の大型ミサイルに比べて小型だが門数も多く、速射性が高い。

最終型のみオミットされている。


  • 120mm連装機関砲
後期型にのみ装備された対空砲。
連邦軍にもMSが登場し始めた事を受け、艦橋やエンジンの周囲など重要区画に配置された。


  • ミサイル発射管
最終型のみの装備。
艦首周りに左右で合計6門備える。
これまでのミサイルランチャーと違ってハッチ展開式。


  • 単装メガ粒子砲
ムサイ改にのみ装備された小口径のメガ粒子砲。
対空砲を兼ねた副砲として機能する。



【パラレルワールドのムサイ】

機動戦士ガンダム THE ORIGIN

本作では民間用の貨客船アルカナクラスに艤装を施した改装艦という設定。
デザインは正史とほぼ同様だが、砲塔が丸みを帯びた形状になり、艦後方に向けた固定式対空機銃が追加された。
ついでにコムサイ用の排気管も横ではなく斜め後ろ向きとなった。

漫画版初期のルウム戦役のシーンでは全てファルメルと同型の艦橋で描かれていたが、途中からいつもの平たい艦橋が登場するようになった。

  • 戦術軽巡洋艦ファルメル
本作におけるファルメルはドズルの座乗艦ではなく、V作戦の探索を行うシャアに与えられた新造艦となった。

単艦での特殊任務を着実に遂行することを目的に、標的を確実に追跡する為に推力を強化、ヘルメット状の艦橋は高性能レドーム並びにブレードアンテナの追加による索敵能力を増強したものとされ、量産型のムサイに比べて単艦での性能が引き上げられているのが特徴。

  • ムサイ改型艦隊指揮艦 ワルキューレ
ドズルの座乗艦にしてルウム戦役におけるジオン艦隊旗艦。
艦隊指揮専用に設計し直されたもので、普通のムサイに比べて約30%も巨大化している。

艦橋は最上部に作戦の立案や全体の指揮を行う提督ブリッジが追加された3重構造に変更。エンジン部には巨大なフィンが追加された。
船体に比例して砲塔も巨大化したことで火力は戦艦並みと、全面的にパワーアップしている。


機動戦士ガンダム サンダーボルト

デザインそのものは正史と大差ないが、艦橋周りや前部船体ブロックに対空機銃を追加、艦底部にも主砲が2基設けられているなど武装面が上方修正されている。

劇中ではムサイそのものよりもスパルタンへの特攻を命じられた傷病兵のコムサイの方が印象的だろう。


クソッタレぇぇぇ!こんな作戦考えた野郎は死んじまえぇぇぇ!

連邦もジオンも滅んじまえぇぇぇ!


機動戦士Gundam GQuuuuuuX

シルエットこそオリジナル版ムサイを踏襲しているが、船体各部をパイプ状の構造材で繋ぎ合わせたような構造などディテールが大きくことなり、他のパラレルワールドに比べてアレンジが強め。



【ムサイ級の発展型】

ジオンを象徴する艦船だけあって、後のジオン系の組織でも発展型が開発されている。


エンドラ級

所属:アクシズ(ネオ・ジオン)
   ネオ・ジオン残党(袖付き)
建造:アクシズ
全長:410.0m
MS搭載数:6機
《武装》
単装メガ粒子主砲 ×5基
連装メガ粒子副砲 ×1基
単装砲 ×1基
対空レーザー砲 ×8基
*2


アクシズ(ネオ・ジオン)において開発・建造された巡洋艦。
ムサイ級の発展型で、従来のムサイよりもかなり大型になっており、コムサイ*3はブリッジ後部に移された。
船体構造はムサイを踏襲した前後2つに分かれたもので、後部船体にはエンジンや艦橋を、前部船体にはMSデッキとカタパルトが配された。
変わった点としてカタパルトが船内でX字型に交差しており、艦載機は左右斜め前方に射出される。

あまり触れられた事はないが地味にエンドラ級は2種類が存在し、艦橋上部に大型のアンテナがあるよく知られたタイプとアンテナが無く艦橋が左右に拡張された「一般用」なるタイプがあるが、一般用の方は殆ど登場していない。

武装は単装メガ粒子主砲を5基(正面2基・下部に2基・後部1基)、副砲として小型の連装メガ粒子砲を前部船体後部に1基備える。
これらは全て側面への指向が可能で、同航戦または反航戦でほぼ全ての火力集中が可能な配置となっている。
副砲はそのまま撃つと後部ブロックに当たってしまう(横と下方にしか撃てない)妙な配置になっているが、これは対地攻撃に威力を発揮したらしい。*4
また対空防御として、ドーム状対空レーザー砲(前部船体に6基・艦橋後部側面に2基)と単装砲(艦橋上部)も配置している。

MS搭載機数は6機とされるが、『ΖΖ』序盤のエンドラの搭載機は明らかにそれよりも多く、機体のサイズで左右されると思われる。
この他にもミンドラが後部主砲下部〜エンジン上部のスペースに臨時デッキを組み立てて艦内に収まらないサイコガンダムMk-Ⅱを収容していた他、ガルスJドライセンズサをワイヤーで曳航させていた事もある。

バリュートシステムを用いた大気圏突入及び大気圏内での飛行も可能であるが、ミノフスキークラフトを装備しているかは不明。
後部船体側面のドーム状の構造物がミノフスキー粒子の発生器とも言われているが、これはペガサス級の様な格納式メガ粒子砲という説もあり、実際のところよく解っていない。


アクシズ(ネオ・ジオン)の主力艦としてグリプス戦役から第一次ネオ・ジオン抗争の間、少なくとも十数隻が確認されており、個艦名は外伝作品を含めて「〜ドラ」で統一されている。
マシュマー・セロが指揮を執ったネームシップのエンドラの他、強化後のマシュマーに与えられたエンドラⅡ、グレミー・トトが指揮を執ったミンドラ(船体カラーは黄)やサンドラ(船体カラーは青)が有名。

この他、袖付きにおいても残存艦が運用されている。



エンプラ(エンドラ改)級

所属:ジオンマーズ
建造:ジオンマーズ
全長:不明
MS搭載数:6機
《武装》
単装メガ粒子主砲 ×6基
連装メガ粒子副砲 ×1基
単装砲 ×1基
対空レーザー砲 ×8基


ジオンマーズが開発したエンドラ級の発展改良型。
エンドラ級をベースにしつつ単装メガ粒子砲を1基増設したり、支柱を介してエンジンブロックを2つ増設したりしているため、全体的なレイアウトがムサイに近くなっている。
10隻以上がチェスターJr.率いるチェスター宇宙艦隊に配備され、第一次ネオ・ジオン抗争時にネオ・ジオンを支援するために地球圏に向かった。しかしグレミーによってネオ・ジオンが内乱状態に陥ったため、どちらにも属さない派閥を回収し、地球圏に数隻を残して火星へ帰還。いつの間にかレジオンに支配されていた火星を取り戻すべく火星降下作戦を強行するも、監視衛星エレノアのビームによって、警告を聞き入れて降伏したネオ・ジオン残党が乗る数隻のエンプラ級を除いて全て撃沈された。
なお「10隻以上が配備された」と書いてあるものの、劇中では火星降下作戦中のシーンで最大17隻が一度に描かれており、地球圏に残した数隻と合わせれば20隻以上となるため、この記述はあまりあてにならない。

ちなみに地球圏に残された数隻にはゲルググⅢが搭載されていたようで、これが後にサザビーメッサーに繋がると思われる。



ムサカ級

所属:新生ネオ・ジオン
   ネオ・ジオン残党(袖付き)
建造:アナハイム・エレクトロニクス社
全長:160.0m
MS搭載数:6機
《武装》
連装メガ粒子主砲 ×4基
ミサイル発射管 ×6門
連装対空機関砲 ×12基


シャア・アズナブル率いる新生ネオ・ジオンの主力艦。
建造はアナハイム・エレクトロニクス社で、ネオ・ジオンの高官ホルスト・ハーネスの「クラップ級と互角に戦える巡洋艦」との要望に応えて建造された。
またアナハイムか!

一応ムサイ級の発展系とされるが、ムサイの問題点を徹底的に研究して建造されたため、赤色のカラーリングも含めて構造としては寧ろチベ級に近い印象を受ける。
側面に描かれた個艦識別用のラインと、艦底部の巨大な放熱パネルが特徴的。
従来のムサイ級と比べるとかなり小型であり、それでいてMS搭載機数は6機と多い。
武装はレウルーラの副砲と同型の連装メガ粒子主砲を4基、艦首のミサイルランチャーと連装機銃を12基と基本的な物は一通り持つ。

第二次ネオ・ジオン抗争では13隻が建造されており、残存艦や戦後に建造された艦は袖付きにおいて緑色にリペイントされて運用された。


なお、元々の設定では「新生ネオ・ジオンの巡洋艦の5番艦の名前がムサカ」だったため、ネームシップが5番艦というなんだか変な状態となっている。
ちなみにムサカ以外で個艦名が判明しているのは『ベルチル』に登場したムサックと小説版『UC』に登場したテニスン艦隊のガロム、グスコー、シャルネなど。
ちなみにテニスン艦隊にはこの3隻以外にもあと6隻、合計9隻のムサカ級が所属している。


ファンの間では大型MS全盛期ということで、レウルーラ共々小型すぎるサイズ設定がしばしば指摘される。
レウルーラの解説でも触れられているように、劇中の様子で比較するとやはり160mという事はなさそうである。
(20m級のMSが出入りするカタパルト正面ハッチ等)

この数値は様々な考察がある。
  • 三脚構造で無駄に全長がある旧ムサイと比べれば容積の差はさほどでもないとする説
  • 戦闘特化で長期巡航の設備を持っていない(なので余計な設備がなく小さく済む)説
  • ゲリラ戦を行うにはエンドラではデカすぎでこの程度に収めた説*5
  • コスト削減のため小さくなった説
  • サイズ設定は偽装投降のダミーバルーン説
…などなど。



RFムサイ

ゲーム『フォーミュラ戦記0122』に登場した(GジェネではF90からの参戦となっているが)、オールズモビルの主力艦。
最終生産型にそっくりな外観だが、ゲーム中ではイベントで登場するのみで詳しい性能は不明。





【余談】

  • モデルとなったのは『スタートレック』のエンタープライズ
    逆様にすれば一目瞭然。
    このことがあってか、『ぱにぽに』に登場する宇宙人の船はムサイにそっくりだが、上下が逆さまでエンタープライズ号っぽい感じになっている。
    『THE ORIGIN』では「白い船体」で「上下が反転」した原型艦のアルカナクラスも登場した。
    余談だがモデルの方が非常に特異な逆三脚構造となっているのは、後ろ二本脚にあたるワープナセルが有害な放射線を発するので離すためと、前一本脚にあたる円盤部を緊急時に切り離して非戦闘員の脱出に使い三脚の中央にあたる推進部のみで外敵と戦うことを可能とするため。


  • 直接関係がある訳ではないが、『機動戦士ガンダムSEED』第27及び第38話のオーブ軍港のシーンにモブ艦艇に混ざってムサイ(後期型?)に酷似した艦艇が登場している。
    このムサイ?はサイズもトラックくらいしかなく、設定なども存在していないのでその正体は不明。
    おそらく作画スタッフのお遊びだったのだろう。
    なお、当該シーンはHDリマスター版で修正されてムサイ?も消されてしまった。


  • SDガンダム外伝シリーズでは、ジオン族の剣士ゲルググの愛馬ムサイ、騎士(ナイト)シャアの愛馬ファルメルとして登場している。まぁファルメルの方は名前だけでムサイらしさは皆無だが。



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最終更新:2025年07月09日 19:47

*1 FSSに協力するにあたって連邦軍に所属を移している。

*2 この他、小型連装ビーム砲やミサイルランチャーを装備しているという説もある。

*3 単体の設定画が無く、実際に使用されたシーンも無い。

*4 自艦を向いた砲配置というのは旧世紀の水上艦にも見られるもので、そこまでおかしな配置でもないのかもしれない。

*5 エンドラ自体は、『ジョニー・ライデンの帰還』で新生ネオ・ジオン所属艦が登場している