マゼラン改級戦艦

登録日:2012/07/12 Thu 17:34:41
更新日:2024/01/09 Tue 19:49:53
所要時間:約 6 分で読めます





◆マゼラン改級戦艦

Refit Magellan-class Battle Ship

所属:地球連邦軍
   ティターンズ
建造:地球連邦軍
全長:327m
全幅:102m
全高:96m
本体重量:62,900t
推進機関:熱核ロケットエンジン ×4基
MS搭載数:搭載不可(異説有)
武装:連装メガ粒子主砲 ×7基
   対空レーザー砲 ×16基
   各種ミサイルランチャー ×多数



一年戦争以前からの地球連邦軍の主力戦艦であるマゼラン級戦艦改良型
カラーリングはバーミンガム級戦艦と同じく白色となっている

“改”とは言っても推力が多少強化されて対空砲が対モビルスーツ(MS)用に実弾の機銃からレーザー砲に変わり、やや船体が大きくなっただけ。
連装メガ粒子砲の口径が統一されているので火力は向上したと思われる。


ただし、本級は戦後建造されたにもかかわらず、ほとんどの艦がMS母艦としての能力を備えていなかった。
一応、戦争終盤のビンソン計画で建造されたマゼランを改修した物や、一部の物にはMSの搭載が可能であったが、それでもカタパルトなどの本格的な設備は無く、やはりMS運用能力は低い。


にもかかわらず、デラーズ紛争当時も連邦艦隊の主力戦艦として用いられているのは、未だに軍上層部に根強い大艦巨砲主義への未練が残っている事に他ならなかった。

同時期のサラミス改級が一年戦争期から大幅に仕様変更されていたので、
マゼラン改はそのあおりを食って本格的な改装が後回しにされていたのかもしれない。


ただ、上層部も皆が大艦巨砲主義の亡者だった訳ではない。
一部の者はMSの戦略的価値はちゃんと理解していたし、艦船だけではMSに太刀打ち出来ないことも知っているということも留意しておいて頂きたい。
0083』でもグリーン・ワイアット大将がそのことを言及している。

そもそもマゼラン級は艦隊旗艦が前提なので、わざわざMSを積む必要はない。んなもん随伴艦に載せればいいのだ。
この時期にはMS搭載を前提としたアレキサンドリア級重巡洋艦が就航していたほか、
コロンブス改級の一部はMS運用まで視野に入れた改装が行われていたという。


一年戦争以降は大規模な艦隊を組むような大戦から比較的小規模の紛争にシフトしていったため、デラーズ紛争以降は改装を施してMS母艦としての機能を持って生まれ変わることとなる。





◆マゼラン改級戦艦(センチネル)

Refit Magellan-class BattleShip

所属:地球連邦軍
   ティターンズ
   ニューディサイズ
建造:地球連邦軍
全長:327m
全幅:102m
全高:96m
本体重量:62,900t
推進機関:熱核ロケットエンジン ×4基
MS搭載数:12機
武装:連装メガ粒子主砲 ×5基
   対空レーザー砲 ×16基
   各種ミサイルランチャー ×多数


本物の宙戦を見せてやれ!
砲戦距離1500! 各個砲撃! 撃てッ!

ガンダム・センチネル』に登場した、マゼラン改にMS搭載・運用能力を持たせたタイプ。「改マゼラン改」とも。
艦首のメガ粒子砲塔2基を撤去して、新たに格納庫と上下2基のカタパルトデッキを装備した。

サラミス改級がもともとの船体をくりぬく形でMS格納庫を作ったのに対して、同級は何もない空間に新しく増設する形で格納庫とカタパルトデッキを作った。
そのため、改造の手間や設備はサラミス改級よりも好条件であったものと推測される。
さらにもともとの船体も大きいため、MS運用能力などサラミス級を上回っていたことは確実である。

その搭載数はマゼラン改一隻で12機にも及ぶ。
この数値はサラミス改級が3~4機であったことに比べると驚異的であり、MS運用の専用艦として名高いアレキサンドリア級重巡に匹敵する
また、カタパルトデッキは船体の大きさに比例して長大であり、かつ艦の上面・下面で二基もあることから、戦場投射能力もサラミス改級やジオン共和国のチベ改級をしのいでいた。

一方、MS運用能力を与えるために艦首の砲塔二基を削減したので艦そのものの火力は下がったが、
それでもかなりの高火力だったことと、マゼラン級本来の全方位をカバーする射角は維持し続けており、
さらにMSの搭載が可能になったことから相対的に戦力は増しており、問題にはならなかった。


基礎設計そのものは古い艦ではあったものの、航空戦艦としては必要十分な性能を備えていたことと、
グリプス戦役当時にあっても連邦宇宙軍の主力艦の世代交替は進んでいなかったことから、以前と同じく主に連邦正規宇宙軍の艦隊旗艦として運用されていた。

というか、最新鋭艦のアレキサンドリア級重巡洋艦ドゴス・ギア級大型戦艦がことごとくティターンズに独占されていたので、連邦正規軍は古くともマゼラン改やサラミス改などを使わざるを得なかったという事情もある。

宇宙世紀0087年に勃発したグリプス戦役においては、当の連邦正規軍があまり主体的でなかった事情もあって目立った活躍は無かったが、
宇宙世紀0088年の「ペズンの反乱」では討伐艦隊と反乱部隊の双方で運用され、激しい戦いを繰り広げた。


ちなみに、本級を主力としていたのは連邦の正規軍で、他にはティターンズに1隻、エゥーゴが独自にマゼラン級の後継として建造したアイリッシュ級が確認されているくらいであった。
ただしTV版Zガンダムをリメイクした漫画「DeFine」においては連邦正規軍のほかティターンズやエゥーゴでも運用されている。
もっとも本作ではなぜか旧式のマゼラン改に近く*1、カタパルトタイプは登場していない。

連邦軍が大規模な戦乱で動かなかったので、完全な退役はU.C.0090年代にラー・カイラム級機動戦艦が就航するまで待つこととなる。
しかしそのカイラム級も生産された数が少なく、見えないところでマゼラン改級を使い続ける部隊も多かったと思われる*2
実際、ほぼ同時期に活躍していたアイリッシュ級戦艦や、より旧式の防空型サラミス級(0083仕様)も120年代まで使われていたことが確認されている。
連邦がなんの理由もなくマゼラン改だけを目の敵にするとは思えないので、いずれはマゼラン改も登場してくるかもしれない。
少なくとも全ての艦が退役済ということはないようで、『機動戦士Vガンダム』第41話のムバラク艦隊がハイランドに集結したシーンで遠目にではあるが0083版デザインのマゼランタイプが一隻確認出来る。(その後のシーンには登場しないが。)





【主な同型艦】

赤字が旧式のマゼラン改青字は新型のマゼラン改、無着色はどちらか不明の艦。
なお、キリマンジャロとフッドに関しては表記された艦級は“マゼラン級”のままだが、劇中で運用しているMSの数がマゼラン改と一致することとGジェネなどでの扱いから判断して“マゼラン改”として扱う。


ツーロン
コンペイトウ守備艦隊旗艦。
艦隊を率いてコンペイトウ外周部の警備に当たっていた為、ガンダム試作2号機による核攻撃を逃れていた。
コロニー落としを阻止する為にコンペイトウ鎮守府司令ステファン・ヘボン中将が座乗、残存艦隊を率いて追撃を開始した。
しかし艦隊の発進を急ぐあまり予備の推進剤を積んでいなかった為、コロニーが進路を地球に変えた時には推進剤不足で追撃が不可能になってしまう。

その後、地球軌道艦隊と合流してデラーズフリートの敗残兵の殲滅戦に参加した。


◆ノースカロライナ
グリプス戦役に参加したという、コンペイトウ所属第6外周艦隊に所属しているらしい。
機動戦士Ζガンダム フィルムブック パート2』に登場する。


キリマンジャロ
ニューディサイズの艦隊旗艦。
第1突撃隊の母艦として用いられた。
エアーズ市攻防戦で行われた新討伐艦隊との砲撃戦においてα、β任務部隊の集中攻撃を受けて中破、放棄された。


フッド
ニューディサイズに参加した艦。
第2突撃隊の母艦として用いられたが、エアーズ市攻防戦で撃沈または投降するかして反乱部隊を脱落した。


ブル・ラン
ペズンの反乱の際の連邦宇宙軍地球本星艦隊X分遣艦隊(通称:エイノー艦隊)旗艦。
ニューディサイズ討伐艦隊本隊として艦隊を率いて宇宙ステーション・ペンタより出撃するが、艦隊司令のブライアン・エイノー提督がニューディサイズに同調した為、艦隊の大半ごとニューディサイズに合流する*3
月面・エアーズ市攻防戦後も損傷しつつ生き残りペンタの制圧に参加。ニューディサイズ残存部隊による地球降下作戦の時間稼ぎに立て篭り、降下部隊の陽動を果たした後に討伐艦隊に投降した。


マレンゴ
X分遣艦隊に所属。エイノー提督に同調してニューディサイズに合流した。
エアーズ市攻防戦で部隊から脱落したが、撃沈か投降かは不明。


ナガト
地球本星を防衛するべくコンペイトウの艦隊などを傘下とする、地球連邦総司令部直属である地球本星艦隊の旗艦。
ニューディサイズに同調して離反したエイノー艦隊に代わり、急遽再編成された新討伐艦隊の旗艦となる。
艦隊総旗艦としてエアーズ市への降下・制圧を目的とした「イーグル・フォール作戦」の指揮を執った。


シャルンホルスト
急遽編成された新討伐艦隊の内、本星艦隊から派出したβ、γ、δ任務部隊の統合旗艦。



この他にも、『0083』には観艦式に参加して核で消し飛んだ艦、『劇場版Ζ』にはティターンズ所属の艦(勢力図に表記があるだけで直接登場している訳ではない)が存在する。






最後に、「息子」がこの項目にとどめを刺しに来おったよ。あの追記・修正は見事だったな。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ガンダム
  • 地球連邦軍
  • ガンダム艦船項目
  • 宇宙戦艦
  • 戦艦
  • 0083
  • ガンダム・センチネル
  • 地球連邦軍
  • ニューディサイズ
  • ティターンズ
  • 大艦巨砲主義
  • 航空戦艦
  • マゼラン級戦艦
  • マゼラン改級戦艦

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月09日 19:49

*1 よく見ると砲塔がさらに増えたりしているのでちょっと違うが。

*2 ジムⅡやネモ、ジムⅢ挙げ句の果てにはザクキャノンや一年戦争初期の武器である対MS誘導弾リジーナなんかを延々使いまわした部隊もあるぐらいだし。

*3 離脱したのはサラミス改級巡洋艦2隻とエイノー艦隊各艦の離艦希望者を乗せたコロンブス級輸送艦2隻のみ。エイノー艦隊の艦隊戦力が18隻程度(マゼラン改級2隻・サラミス改級8隻・コロンブス改級強襲揚陸艦2隻・コロンブス級6隻)と考えると2割弱程度の減少に留まっている。これはエイノー提督が長らく連邦軍高騰士官学校の校長職を務めており、艦隊各艦の艦長や上級士官の多くが彼の教え子だったことも大きく影響している。