登録日:2014/05/12 Mon 21:03:26
更新日:2025/02/10 Mon 23:09:47
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【スペック】
型式番号:F70
頭頂高:14.8m
本体重量:8.2t
全備重量:22.5t
出力:3,850kW
スラスター総推力:27,440kg、113,300kg(異説)
装甲材質:ガンダリウム合金セラミック複合材
アポジモーター:48基
【武装】
【パイロット】
【概要】
再設計するにあたって原型機から不要な機能を排除し、オプションだった装備を固定化するなどして砲撃による支援仕様に寄らせてはいる。
そのせいか、F90の面影は腕や脚などで僅かに見る事ができる程度で、全体的なシルエットはむしろ後のGキャノンに近い。
8000系ニューロコンピュータ及び疑似人格OSも搭載されていないが、サナリィの優秀なアビオニクスのおかげでそれ無しでも火器管制能力はF90と同程度になっている。
スラスター総推力は当初は27,440kgと
ボール並みの数値に されていたが『F90FF』での設定で「113,300kg」に改められたものが存在する。
ただし、よく勘違いされているが展開当時の初出資料では「スラスター総推力」ではなく各スラスター推力の内訳の設定で表記されていて
その内のメインスラスターと思しき数値が「2,860kg」と明らかにメインスラスターの数値とは言いがたい数値が記載されておりこれが誤植と疑われている。
先述の「27,440kg」の数値は当時の設定に準じて合算して出された数値である。
ちなみに当時の誤植を訂正したとされる物に基づいた場合のスラスター総推力は「78,920kg」とGキャノン(「89,260 kg」)より僅かに劣る程度。
後者の資料ではアポジモーターとの組合せで
ドッグファイトと一撃離脱の両方で高い性能を発揮することができたとされる。
またバックパックや脚のスラスターなどには開発途中だった
ガンダムF91に採用されている技術などを反映している。
コクピットもF91と同じく胸に設置されているが、これは耐弾性を考慮した結果らしい。
「ガンダム」と冠されているが、頭部センサーはバイザーに覆われておりV字型アンテナも持たない。
外観にガンダムタイプの特徴は少なく、F90にあまり似ていない要因の一つとなっている。
ちなみにこの頃の連邦では「ガンダム」という名前は「抵抗とニュータイプの象徴である」と考えられるようになっており、
その名を付けるのは憚られていたとされているが、開発に関わっていた技術者(おそらくジョブ・ジョン直属配下陣)達は「古い時代に抵抗していく」という気概から敢えて「ガンダム」と名付けたらしい。
ミッションパックシステムについては不明だが、オプション装着用のハードポイントが存在していることから採用されていない訳ではないようだ。
このため、汎用性もかなり高い。
両肩に装備された3連マシンキャノンはオプションとして用意された150mm高速レールキャノンやビームキャノンへの換装(後述)が可能で、緊急時には
パージもできる。
ビームライフルやビームサーベルは
ヘビーガンと同じ物を使用する。
こうして完成した本機は一部で原型機以上の性能を持った非常に優秀な機体となり、早速この機体の量産を開始……と行きたかったのだが、とある問題にブチ当たる。
サナリィにはMSの大量生産が出来る様な設備がなかったのである。そしてそうした設備を持つのは連邦軍の軍工廠か、
ライバル企業である
アナハイム・エレクトロニクス社にしかなかった。
しかも、キャノンガンダムは確かに高性能ではあったが、構造が複雑であり整備性や生産性が悪く、燃費を含むランニングコストも高い。
また一部
動作しない機能もあるなど確実性や信頼性に欠けていた。
さらにサナリィはキャノンガンダムに汎用型並みのスペックを出せる様に設計開発していたが、当時の連邦軍の仮想敵は暴動レベルの反政府勢力だった。
つまり要求に対してオーバースペックだったため、当然そこを削ってでも安くできるなら安くしたかった。
結局、連邦軍はこうした問題点からキャノンガンダムを差し戻し、再設計した物をアナハイム社でOEM生産を行うように指示。
サナリィ視点からすると権力でごり押しされた形だが、上記の通り実際の運用を考えると問題が色々とあったことも確かだった。
(F90から始まる小型MS開発の主眼は「膨らむコストの削減」にあるため、高性能高コスト化なキャノンガンダムは問題大ありであった。それでなくても、整備性の高さは
初代ジム以来、連邦が量産型MS開発の重要項目としてきた要素である)
仕方なくこれを受け入れることにしたサナリィは結局嫌々ながらアナハイムの技術力に合わせて再設計することになってしまったのであった。
【作中の活躍】
『FastestFormula』で登場し、サナリィ本社の演習場でジョブ・ジョンが乗り込んで
テストを行った。
その後、FastestFormula隊に配備されてハジメ・タスカー少尉が搭乗。
放棄されたコロニーに潜んでいた宙賊の掃討任務などで運用されたが、最後は
MSA-0120と遭遇してメガブーストによる急接近で懐に入られ、ビームサーベルでコクピットを貫かれてしまった。
【バリエーション】
◆ビームキャノン搭載型
重爆撃仕様。
F90 Bタイプの武装が追加されており、バックパックにビームキャノン、腕部にグレネードランチャー、肩と脚に
ミサイルコンテナを装着している。
あと、地味にビームキャノンやグレネードランチャーのカラーリングがBタイプから変わっている。
Bタイプ自体が拠点攻撃用の重爆撃仕様だったため「これ程の重武装は低強度紛争には要らん」と言われてしまい、Gキャノンでは採用されなかった。
◆レールキャノン搭載型
重砲撃仕様。
F90 Sタイプの武装が追加され先祖返りしたモデルで、腕には4連装ビームキャノンと2連装ミサイルポッドを持つユニット、脚にクルージングミサイルを装着。
背中のキャノンはメガビームキャノンではなくレールキャノンに変更されている。
こちらもGキャノンでは不採用となったが、後に勃発したコスモ・バビロニア建国戦争が激化した際、これを再設計した機体が産み出されたという説があるという。
【関連機体】
キャノンガンダムの再設計機にして、連邦軍が採用を決めた完成品。
再設計自体はサナリィによるものだが、OEM生産を請け負ったアナハイム側が勝手に
ヘビーガンとのパーツ共用化のための更なる設計変更を行っている。
完成した本機を見たサナリィ側のスタッフ達は露骨に嫌そうな顔をしていたという。
アナハイムが設計の変更をしたのはサナリィが製造に必要な技術提供を渋ったため仕方がなかった面もあり、
この件についてはサナリィにも非があるが、おいそれと重要な技術を開示しないことも至極当然の話であり、こういう場合は現実でもどちらかがどうにかパーツを用意することが多い。
連邦としては信頼性や整備性、生産性が上がるためむしろ喜んでいたようだが。
一方、アナハイムの開発部もキャノンガンダムに対して批判的だったらしい。
特にMSA-0120の設計者の一人だったロメロ・マラべルからは
「パーツは全部特注かつ異様な程の高精度品だから下請け工場では手に負えないし、現場でもサナリィから訓練された技術者がいないと修理できない。
アビオニクスのチップとOSもブラックボックスだらけで特別な許可がないといじれない。
レーシング・マシンをファミリー・エレカとしてそのまま売りたがっているとしか思えないような現実的じゃないプラン」
と酷評したのだとか。
……この批判は、明らかに色々盛ったMSA-0120の問題点をそのまま指しているのだが、そういう経緯と反省点があったからこそAEとロメロにはキャノンガンダムの失態がよく見えたのかも知れない。
そもそも連邦はコスト削減のため小型機開発を依頼したのであり、製造・修理・運用に多大なコストと労力と手続きを要するスーパーマシーンを提出されても、採用できるはずがなかったのである。
その意味では「ヘビーガンとの共通化」という選択はむしろ合理的であった。
ちなみにアナハイムで生産されたタイプとサナリィで後発生産されたタイプが存在し、
サナリィ仕様はV.S.B.R.の搭載が可能などスペックがキャノンガンダム寄りのアッパー調整になっている。
キャノンガンダムの原型機。
ガンダムF90の遠距離支援用装備で、砲撃性能に優れる。
シルエットフォーミュラプロジェクトで造られた機体。
キャノンガンダムの概要仕様の内、主力
汎用機として必要な部分を自社の主力汎用型であるヘビーガンの改良型に盛り込んで開発した機体。
かつてはキャノンガンダムのデータ盗用によって開発されたダーティな出自のパクリMSとされていたが、『F90FF』ではサナリィからキャノンガンダムの実機を提供・研究させた上で開発された機体ということになり、ジョブ・ジョンからも好意的に見られている。
こちらは汎用主力量産型として連邦軍から開発受注されているという違いがあるが、ハードポイントによるオプション換装機能を引き継いでいるので複数の派生機が開発された。
性能もGキャノン・マグナ以上のスペックとなっている。
表向き開発されていた
ジェムズガンや
ジャベリンに主力
量産機の座は譲るが、割と大々的に販売したらしく、連邦軍以外にもマハが興味を示していることが語られた他、自治コロニーの防衛隊に配備されたようだ。
シルエットフォーミュラプロジェクトで造られた機体である意味真の「アナハイム版Gキャノン」。
追記・修正をお願いします。
- ウルトラ怪獣で例えたらゼットンと二代目ゼットンの様な関係だろうか。 -- 名無しさん (2014-05-12 21:25:14)
- この機体の経緯に関しては完全にサナリィに非があるよなぁ。いくら技術流出させたくないからってライセンス生産なのに技術提供しないとかないわ…… -- 名無しさん (2014-05-12 21:32:38)
- ↑まさか天下のAEがそこまで落ちぶれてるとは思いもしなかったんだろう -- 名無しさん (2014-05-13 01:29:25)
- デラーズ紛争からラプラス紛争時の優秀なスタッフが退社したりしてとことん落ちてしまった。 -- 名無しさん (2015-11-29 23:47:07)
- ↑ そんなAE社に嫌気がさした技術者が結構サナリィの方に行ったらしいよ。 -- 名無しさん (2018-11-11 19:54:36)
- 最近だとサナリィも結構真っ黒なんでね。結局主力量産機の受注を獲得出来てない時点で幾ら技術があっても顧客に要望を一切聞かないんじゃ物は売れない。 -- 名無しさん (2022-08-30 16:52:47)
- 元々サナリィ経営陣にやる気がなく、技術陣がノリノリでやった結果「売れるもの」よりも「作りたいもの」を作り始めてしまってるのは技術屋主導の製品開発っぽくて却って生々しいな -- 名無しさん (2022-12-30 14:01:17)
- まあハーディガンまでは(やってることに目をつむれば)ともかくとして、ここから行きついた先がジェムズガンでは論外ではあるが -- 名無しさん (2022-12-30 14:14:20)
- 連邦「国家や軍全体の予算や出納がこれぐらいなんで、コスト面の改革をしたいんです。と言っても弱くなってはたまらないので、各種コストの低減と軍全体の能力維持、できれば向上を視野に入れつつ開発していただきたいんですね。方針としては小型機という方向で進めてくださ」サナリィ「凄くいい小型機が作れたぞ!! 買え!!」連邦「話聞いてました?」 -- 名無しさん (2022-12-30 15:46:18)
- ↑アナハイムもかつてMSA-120で「スゴいのが出来たよ!買ってね!」連邦「なんじゃコリャ?オーダー内容分かってる?しかも対抗馬にボロ負けしてるし……」ということをしでかしてるので、この時代の風潮なのかもしれない…… -- 名無しさん (2023-06-11 03:24:00)
- キャノンガンダムのオーバースペックっぷりは批判されがちだけど、FF隊の戦闘経歴とか見るとまぁ高性能化にもなる気もしない(メタ的な話、クロスボーンバンガードとかオールズモビルも後に来るし -- 名無しさん (2023-08-18 23:05:29)
最終更新:2025年02月10日 23:09