デュエル・マスターズVS(漫画)

登録日:2017/06/19 Mon 17:20:21
更新日:2025/02/13 Thu 21:07:41
所要時間:約 11 分で読めます




デュエル・マスターズVS(バーサス)』は、松本しげのぶが月刊コロコロコミックで2014年4月号から2017年3月号まで連載していた漫画である。

アニメ版についてはこちらを参照。


【概要】

前作「デュエル・マスターズ ビクトリー」の続編であり、中学生になった切札勝太の活躍を描いた6作目。
アニメ版とは同時進行かつそれぞれ違ったベクトルでストーリーを進める方式になっていった。
アニメ版は作風が大きく変わった事・作画がトゥーンレンダリングから手書きに戻った・丹下桜を筆頭とした大物声優を多数採用etc...といった要素で人気を集めた。
一方漫画版は、連載開始当初は妖怪ウォッチのブームによりTCG・漫画版共に人気が低迷していた時期であり、更に作者の松本しげのぶ氏が色々あって鬱状態に陥っていた。
これによりキャラクターの設定や作風に大きなバラツキが生じてしまい
  • アニメでは良い性格のキャラクターが悪く、逆に性格の悪いキャラクターがマトモになる。
  • アニメにおける魅力であるギャグが描写されない。
  • 割と全体を通して暗い話が連続する(これは勝舞編の頃の作風に戻ったとも言えるが…)。

等、アニメを見た人が漫画版を読んで違和感を覚える箇所が多い。

それでも
  • 古いカードが意外な活躍をして登場。
  • アニメでは描かれない登場人物の心の闇
  • 駆け足ながらも独自の熱いドラマ
等の漫画版ならではの見所もあるので決して見所が無い訳では無い。


【あらすじ】

  • デュエマ甲子園予選編(1〜4巻)
前作から2年後、主人公の勝太は同じ病院に入院していた幼馴染の滝川るると再会する。

  • デュエマ甲子園編(5〜8巻)
デュエマ甲子園の出場が決まった勝太。福岡県から東京都にあるデュエマーランドを目指して日本全国を縦断するが、その途中で禁断の力を使い世界の破滅を目論むレアキラーズの存在を知る。

  • ハムカツ編(9〜12巻)
ビクトリーモードを解放した事によりペットのハムカツと普通に話せるようになり、カツえもんとボスカツを加えたハムカツ団を結成する。
レアキラーズの活動が本格化し、勝太達の最後の戦いが幕を開ける。


【登場人物】

メインキャラクター

カレーパン大好きでお馴染みの主人公。中学生になりビクトリー中学の2年生となる。
最大の変更点はアニメとは特徴が逆転した事。つまり小学生の頃は漫画では「イタズラ好きな外道」アニメでは「ヤンチャではあるが割と正統派な熱血漢」だったのが今作から入れ替わった。
中学生になった事で身体・精神的にも成長し、良く言えば兄のように主人公らしくなり悪く言えばアニメよりキャラが薄くなったと言える。
使用デッキはアニメ以上に歴代のカードを満遍なく使っておりかなり強い。だが販促の展開上新カードも活躍させなくてはならないので、デッキに風穴を(物理で)ブチ空けられる、銃火器で燃やされる、など外道過ぎる戦法も取られる。
また中盤まで重要な局面では勝ちを拾えない、アニメと違いルシファーを目の前で救う事が出来なかった(後に生きていた事が判明したが)、など全体的に作者から試練を与えられている。


今作のヒロインで勝太とは入院していた頃の幼馴染
アニメとは異なり病気は完治したようで、顔芸や怪力を披露する。
また、アニメには多くみられた勝太とのラブコメ要素が少ない代わりに、着替え中の下着姿を見せる等サービスシーンはアニメより多め。
なお、アニメとは異なりルシファーとの絡みは少なく兄妹であるか不明なまま最終回を迎える。(あちらとは違い兄妹ではないのかもしれない)


  • ぶっちゃけ/武家茶太郎
勝太の小学校からの友達で、同じくV中に通うクラスメイトでもある。今作では勝舞編のれく太と似たような立ち位置になる。
中学生となり淫毛が生えた事に驚いたりするが、アニメとは違いドルオタである描写は無い。
デュエマ甲子園予選にて佐々木コジローとデュエマするが敗北し、その後はギャラリーとして勝太を応援する。
また予選に挑む前に決意を新たする為にアフロヘアーから丸刈りにする。


勝太の小学校からの友達。志望通りの名門校天才学園に入学する。
ガールフレンドと楽しい学園生活を送っていたアニメ版に対し。過酷な教育方針故に暗く冷たい性格になってしまい、かのデュエルの神殿のような「メガネだらけのデュエル塾」の塾長になる。
ルシファーとのデュエマでの勝太の戦いぶりを見て、小学生の時より劣化したと酷評。
塾で修行して強くなった勝太とのデュエマを通して、デュエマ甲子園の出場を決意する事になる。


勝太のライバルの1人。詳細は項目先を参照。本名が「滝川るしあ」である事が明かされている。
元々担当者の要望により嫌々生み出されたキャラクターであり、性格はMTG時代の白凰そのものである。
しかし闘病日記や死亡シーンの執筆によって大先生の鬱を完治させた功労者と言える。
るるの項にも書いた通り、アニメとは異なりるるの兄であるかどうかは不明なままである。


勝太のライバルの1人。
アニメでは弟想いな熱血漢であり、勝太よりも主人公らしいと言われる程。
しかし漫画ではMTG時代の黒城凶死郎そのものであり、他人を容赦無く罵倒したり勝太のデッキをパンチで穴を開ける等非道なキャラになってしまった。弟達は登場しないのでアニメのような弟想いな所もギャグ要素も無い。
1回目の登場はデュエマ甲子園予選。ぶっちゃけを撃破して決勝戦まで登り詰めた末に勝太に敗北。
2回目はデュエマ甲子園本戦。禁断のカードを手に入れた赤城山バサラにデュエマを挑むが敗北、ドキンダムに重傷を負われて以降は出番がない。


  • 奇成ギョウ
語尾に「~ニョロ」と付けて話す。
アニメでは何かと悪名高いキャラクターであったが、漫画では勝太の新たなる仲間であり一言で表すと「仏様」である。
トラックに轢かれそうになった勝太を助け自分が大怪我をしたが、デュエマのティーチングをする事を条件に許しを得た。
その後デュエマ甲子園に出場して順調にポイントを稼いだが、コジロー同様ドキンダムに重傷を負わされた。


  • デュエマウス
デュエマ甲子園本戦から登場した謎のご当地キャラ。
アニメとは違いデュエマーランドとの関係は描写されておらず戯ける事もあまりない、忠次郎は登場しないので最後まで正体不明。どちらかというと某電気ネズミのような感じである。
バサラに襲われていた所を勝太に助けられ共に行動する。最初は革命のカードの剥奪を目論んでいたが、勝太の活躍に感銘を受けて良き協力者となる。


  • ハムカツ
カツドンに似たハムスター
ルシファーに負けて落ち込んでいた勝太の前に現れて飼われるようになる。


  • ドギラゴン
燃える革命 ドギラゴンがSD形態になって実体化した姿。
ちなみに、アニメ版のとある回では漫画版作画の《蒼き団長 ドギラゴン剣》が登場した事がある。


レアキラーズ

デュエマ甲子園編から登場した赤城山バサラ率いる敵組織。
漫画版における彼らの悪事は犯罪レベルの無差別テロばかりであり、コミカルな要素は少ない。

レアキラーズのリーダーであり、今作のラスボス
プロレーサーの赤城山ジゴロの一人息子であり、父を早くにして亡くした為に16歳という若さでバイク製造会社で仲間と共に元気に働いていた。
しかし新型バイクの完成と同時に会社のオーナーの裏切りによって仲間を殺され、クリーチャー《轟く侵略 レッドゾーン》となった新型バイクがオーナーを惨殺した現場を近くにいた警察にみられてしまう。
信用していた大人の裏切りに加えて未成年連続殺人犯の濡れ衣を着せられてしまい、社会から迫害された*1バサラはレッドゾーンと共に世界の破滅を目論むようになった。

  • No.2
バサラの親友。
登場当初は匿名希望という名でデュエマ甲子園に出場していた。
彼も不慮の事故で父親を失い、バサラと共に行動するようになる。

  • ハカセ
レアキラーズの幹部で、バサラの側近。
デュエマ甲子園会場のコンピューターをハッキングしてパニックに陥れた他、大分県立デュエマ図書館をシステムジャックして中にあった革命のカードの始末を企む。
喋り方やギャンブル好きなのはアニメと変わらない。

  • ランボー
レアキラーズの行動隊長で、バサラの側近。
バサラとデュエマして敗北したプレイヤーのデッキを実弾のバズーカで焼き払う。これにより勝太はドラゴン・サーガ以前のカードをお釈迦にされてしまう。
更にドギラゴンを始末する為に新幹線に爆弾を仕掛け、乗車していた勝太諸共爆破というシャレにならない犯罪行為を行った。
最終的にはデュエマウスとデュエわんこ王子の活躍により爆弾は発見され、逃げ出した矢先に爆弾を投げつけられ自滅。生きてたけど。

  • 意地悪清盛
レアキラーズのメンバーにして最下位の『No.9』の異名を持つ。
大の意地悪好きでありうつぼみかづらと共に勝太のクラスに転校してくる所はアニメ版と共通。
アニメでは勝太とデュエマして敗北しては転出・転入を繰り返すギャグキャラであったが、漫画版では奪い取ったドギラゴンのカードを粗末に扱ったり体育館にスライムを撒き散らすバイオテロを引き起こす等、悪辣さが上昇している。
アニメ同様青単の【ワルスラ】デッキを使用。切り札は《D2S 皇帝ワルスラ

  • うつぼみかづら
レアキラーズのメンバーにして紅一点。
アニメ版では終盤まで勝太達や視聴者にレアキラーズである事は隠されていたが、漫画版では初登場時からレアキラーズの一員である事が読者に明かされていた。
意地悪清盛とはアニメ版ではほとんど絡みが無かったが、漫画版では「姐さん」と慕われていた。ちなみにレアキラーズでの地位は『No.3』と、No.2に次ぐ実力者である事も明かされていた。
また、アニメ版においてはレアキラーズには利害一致で所属しており他のメンバーにはほとんど思い入れが無かったが、漫画版では純粋にバサラを慕っていた。
そのため、デュエマ甲子園編にてバサラを敗北させた原因である《燃える革命 ドギラゴン》を封印した。


サブキャラクター

  • 切札 勝舞
先代主人公であり、勝太の兄。
前作でメジャーリーグや映画俳優としてアメリカで荒稼ぎしていたが、その貯まった資産でビクトリー王国の王様という名ばかりの只のニートになってしまった。
勝太は本来の記憶を思い出させる為にデュエマする。
デュエルへの情熱を忘れて四苦八苦していたが、少年期の自分自身に諭され見事勝太に勝利する。
その後は王国を後にし、勝太に新たな切り札を幾つか渡し再び放浪の旅に出た。

荒稼ぎの影響で地獄の支配者となり、弟に敗北したアニメ版とは真逆である。


  • 世出原ルイ/ヨーデル
勝太の小学生からの友達。
小学校卒業後は聖エンジェル中学を裏口入学した。
案の定学校生活について行けず友達も出来なかったが、ルシファーにスカウトされ聖歌隊の一員となる。
ルシファーをデュエマ甲子園に優勝させる為に他の出場者のカード資産を狭めようと、八尾町のカードショップからエキスパンションを買い漁り燃やそうと画策した。
その愚行を勝太に叱責され、小学生の頃の友情を思い出させた。


  • ホカベン/岡部太郎
ビクトリー中学3年の野球部員。アニメ版では第1話からのレギュラーだったのに対し、漫画版で登場したのは計3回だけでありレギュラーではない。
1回目はエンジェル中での勝太vsルシファー戦の観客。他のギャラリーの邪魔をした為に大ブーイングを喰らう。
2回目はデュエマ甲子園本戦。広島スタジアムに潜伏し勝太とデュエマする。
3回目はデュエマ甲子園優勝の祝勝パーティ。



【余談】

漫画版デュエル・マスターズVSを語る上で欠かせないのが、中盤以降の巻の付録カードの豪華さである。
4巻の《燃えるメラッチ》をはじめとして最初は無難な付録カードが多かったが、6巻の《怒英雄 ガイムソウ》から一変。というのもガイムソウは
等が原因でシングル価格が高騰しているカードであった。
(後に再録された際にレアリティがスーパーレアに設定されており、公式からもガイムソウはSR相当の価値のあるカードとして扱われているようだ)
以降も7巻の《ジ・エンド・オブ・エックス》、8巻の《終末の時計 ザ・クロック》、11巻の《友愛の天秤》、12巻の《トレジャー・マップ》など、需要の高い有用なカードが多く付録カードに選ばれている。


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最終更新:2025年02月13日 21:07

*1 アニメではオーナーとその取り巻きを殴り倒してそのまま逃走ということになり、殺人は丸々カットされている