クラスカード(Fate)

登録日:2018/04/13 Fri 02:54:37
更新日:2024/01/27 Sat 04:40:23
所要時間:約 10 分で読めます





クラスカードとは、『Fate/stay night』から派生したスピンアウト漫画『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』に登場するアイテムの総称。
なお項目名は他のFateシリーズの用語項目との統一化の為に「クラスカード(Fate)」としているが、シリーズの他の作品には登場しない今作オリジナルの設定。

※作中のエピソードの根幹に関わるネタバレ注意



―――告げる!

汝の身は我に! 汝の剣は我が手に!
聖杯のよるべに従い この意この理に従うならば応えよ!

誓いを此処に!
我は常世総ての善と成る者! 我は常世総ての悪を敷く者――!

汝 三大の言霊を纏う七天!
抑止の輪より来たれ 天秤の守り手―――!

夢幻召喚(インストール)!!!


●目次


◆概要

美遊のいた世界における聖杯戦争で使用される魔術礼装。なお「クラスカード」という名称はイリヤの世界の魔術協会が付けた仮称であり、正式名称は「サーヴァントカード」という。

製作者は「美遊の世界」における魔術の大家・エインズワース。7枚のカードを1枚ずつ所持した状態で開始し、カードに宿る力を駆使してカードを奪い合うバトルロイヤルがこの世界での聖杯戦争。
一部を除き宿っている英霊の自我は存在しないため、その力をほとんどノーリスクでほとんど自由に使用できる(こちらも例外あり)。
それだけでも破格の性能だが、カードの性質上英霊の座に帰ろうとする英霊の魂を留めておくためのストッパーである小聖杯が不要なため、原典の聖杯戦争と比較するとかなりコンパクトに儀式を行える。これならガス会社が情報操作で濡れ衣を被ることもないやっぱり押し着せられたよ……

その名の通り見た目はカード型をしており、各クラスに対応する絵柄が描かれている。クラスは「セイバー」「アーチャー」「ランサー」「ライダー」「キャスター」「アサシン」「バーサーカー」の7つ。
カードはそれぞれ英霊の座の英霊と繋がっており、『夢幻召喚(インストール)』や『限定展開(インクルード)』によって使用者にその英霊の力を与える。これらについては後述。

英霊の座にカードを繋げるには、通常の英霊召喚に用いるような聖遺物の類が必要。しかもそのままではカード内部に英霊の意志が残ってしまうため、エインズワースは「ピトスの泥(詳細不明)」を使い英霊の自我を汚染することで、カードを「英霊の力が宿った魔術礼装」に落とし込んでいる。
なお、汚染の影響なのか、引き出せるステータスは普通にサーヴァントとして召喚した場合より弱体化する傾向にある。

非常に高度な魔術理論で編まれているため、魔術協会でも全貌の解析は不可能。分かっていたのは「カードには英霊の力が宿っている」「他の魔術礼装等に使用(インクルード)することでその力の一端を引き出せる」「一度限定展開を解除すると一時的に英霊の座にアクセスできなくなり、しばらくは再使用できない」ことくらい。物語開始当初はどこの誰が作ったのか、どこから来たのかも不明だった。

第五次の勝者である「美遊の世界」の衛宮士郎の願いによって美遊と共に「イリヤの世界」に来たが、カードはその狭間の虚数域「境界面」で引っ掛かり、そこで冬木の地脈から魔力を吸い上げたことで黒化英霊に変貌。
魔術協会がクラスカードの存在を知ったのも周辺の地脈の流れが滞っていたからで、これを解決するために協会はバゼット・フラガ・マクレミッツゼルレッチが介入してからはマジカルルビー、マジカルサファイアらカレイドステッキを貸し与えられた遠坂凛ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトを派遣。調査及びカードの回収任務にあたっていた。*1


◆性能

前述の通り、魔術礼装等に使用することでその礼装を変化、その英霊の使用する宝具や武具に変化させることができ、これを『限定展開』と呼ぶが、クラスカードの本質は別にある。
それが『夢幻召喚』――「英霊をその身に宿し己自身を英霊と化す」というもの。

人の身で伝説の武器やその英霊の逸話を昇華した道具を扱えるようになる『限定展開』の時点で大概だが、『夢幻召喚』になるとその英霊の持つスキル、戦闘技能、運動能力をほぼそのまま扱えるようになるのだ。
さらに複数のカードを続けざまに使用する「上書き(オーバーライド)」も可能。これは、上書き元のカードがバーサーカークラスだった場合限定で「狂化」スキルを上書きし、先のカードに引き継がせることもできる。

なお、夢幻召喚中は使用者に合わせて衣服や髪型がカードに宿る英霊の意匠が入ったものに変化する。その英霊が魔眼などの魔術的な身体的特徴を保有していた場合、使用者との相性で引き出せる度合が変わるものの、それも引き継がれる。
また自我を持つカレイドステッキ特有の現象か、限定展開の媒介に使用されても変わらず喋ることが可能なほか、ステッキで転身した状態から夢幻召喚した場合も衣服や武器に変化し何事もなく会話している。

英霊の座と繋がっていない、または繋げることに失敗したカードは「屑カード」と呼称される。そのままでも「無名」として限定展開は可能だが、描写を見る限り使い捨てである模様。
「無名」ゆえか剣や斧、盾など様々な形状に変化させられるほか、複数枚を同時使用して威力・防御力を高めることもできる。
さらに触媒があり、英霊の座の英霊が応えてくれさえすれば英霊を宿らせることができるが、その場合英霊の自我は汚染されていないと思われるので、どんな代償があるかは不明。

基本的にクラスカードには英霊の自我はなく、「バーサーカー」のカードでなければ目立ったリスクもなくその力を行使できるが、中には相当な代償や欠陥のある「例外」が存在。型月のお約束よな

『バーサーカー』のクラスカードは長期間夢幻召喚していると狂化スキルの影響により自我を失ってしまう。
『ヘラクレス』のカードにはアンジェリカによって「使用者が狂化で自我を失う前に自動解除する」機能が追加されたため、多少安全に使用できるが、他のカードにそのような機構はないため、狂化の度合いが深くなって暴走状態に陥る様子もしばしば見られている。

『アーチャー:エミヤ』のカードは、美遊の兄である士郎が自身を触媒にして屑カードに「英霊エミヤ」を召喚したものだが、「自分自身のカード」を使い続けたせいで肉体が徐々にエミヤに浸食され、カードなしでも英霊の力を引き出せる代わりに途轍もない速度で寿命を消費するという事態に陥っていた。
他にこのカードを使用した人物にはイリヤがいるが、エミヤに自我を乗っ取られるようなことは起きていなかった。『2wei』以降はクロの核になっているがこちらも独自の人格を形成しており、エミヤの人格が表出している訳ではない。
これは、そもそもエミヤは真っ当な英霊ではない守護者であるため他の英霊と比べると魂の比重は大きくないと“推測”されるほか、彼自身進んで肉体を乗っ取ろうとする性格ではないのも理由のひとつだろう。*2

『アーチャー:ギルガメッシュ』に至っては製造過程こそ普通のカードと同様だが、そもそも自我が汚染出来ていないため、使用者はものの数十秒で英雄王に肉体を乗っ取られるという重大すぎる欠陥を抱えている。
このカードを使用していたエインズワース家の僕・アンジェリカも一見すると影響を受けていないように見えるが、ドール化して感情を9割喪失したはずの彼女にはないであろう慢心や傲慢を引き継いでしまっていた。
美遊が使用した際に表層化したギルガメッシュが「人形遊びにも飽いた」と発言している点からも、夢幻召喚時のアンジェリカも半ばギルガメッシュに呑まれていたと思われる(それでも完全に肉体の制御権を奪われた美遊よりは制御出来ているが)。

なお代償や欠陥等があるわけではないが、『アサシン:ハサン・サッバーハ』には「使用者の適正に合わせて歴代の“山の翁”から適したハサンが召喚される」という特性があり、イリヤの場合は百貌、美遊の場合は静謐……
等々、使える能力は使用者ごとに千差万別。ちなみに黒化アサシンは百貌だった。

またゲームマスターであるダリウス/ジュリアンの持つカードには、並の宝具では対処不可能な性能であるにも関わらずギルガメッシュですら知らない宝具が限定展開されるカードが複数存在している。

そしてこの世界の聖杯戦争のシステム自体謎があり、劇中で凛が言っているように「英霊の力を思い通りにできるシステムがあるのならそもそも願いを叶える力を持った英霊をカードにすればいいのであって、わざわざ手間のかかる聖杯戦争なんか開く必要はない」という疑問もある。


◆クラスカード一覧

第五次におけるセイバー。使用者は夢幻召喚で美遊、イリヤ、ザカリー・エインズワース。限定展開ではイリヤのみ。
限定展開では『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』が展開される。
美遊が夢幻召喚した場合はセイバー(Fate)、イリヤが夢幻召喚した場合はセイバー・リリィ、ザカリー・エインズワースが夢幻召喚した場合はセイバー(Prototype)に近い外見になる。 
また、イリヤはエインズワースとの決戦の最中で力をより引き出せるようになり、外見も『Grand Order』での霊基再臨第3段階に近い外見へと変化している。
ダリウスに破壊され、一時使用不可能になったカードの1枚。

  • 『アーチャー:エミヤ』
使用者は夢幻召喚でイリヤ、士郎。限定展開ではイリヤ、凛(回想)。『2wei!』以降はクロの核になっているため、使用不可となっている。
限定展開ではアーチャーの洋弓が展開されるが、矢が出てこないためぶっちゃけ使えない。凛が限定展開した際は手近にあった黒鍵を撃ち出していたらしい。なぜ魔術協会に黒鍵が?
第五次におけるアーチャー……なのだが、前述の通りこれは不正に生み出された非正規品。言うなれば「偽アーチャー」。
ダリウスによって破壊され、一時はクロの命共々失われた。

使用者は夢幻召喚で美遊、イリヤ、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト。限定展開で美遊とイリヤ。
限定展開ではゲイ・ボルクが展開され、『刺し穿つ』と『突き穿つ』どちらでも真名解放が可能。
原典通り非常に使い勝手のいい宝具であることからか、合理主義の美遊がよく使用している。誰が呼んだか「当たるゲイボルク」
ダリウスに破壊され、一時使用不可能になったカードの1枚。

第五次におけるライダー。使用者は夢幻召喚で美遊、イリヤ、間桐雁夜。限定展開は描写はないが美遊が使用とされる。イリヤの場合相性が悪く、夢幻召喚しても魔眼が片目にしか発現しない。
限定展開では彼女の持つ鎖のついた杭が展開される。
またバーサーカーからの上書きで夢幻召喚された際はバーサーク・ライダーとなり、ゴルゴーンに近い容姿となる。
ダリウスに破壊され、一時使用不可能になったカードの1枚。

第五次におけるキャスター。使用者は夢幻召喚でイリヤ、アトラム・ガリアスタ。限定展開では美遊、イリヤ。
限定展開では『破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)』。
ルールブレイカーが本当にルールブレイカーすぎるせいでジュリアンに破壊されたため、現在は使用不可。

第五次におけるアサシン。使用者は夢幻召喚、限定展開両方での使用がイリヤ、間桐慎二。夢幻召喚のみが美遊。
イリヤの限定展開ではダーク……と見せかけて、カレイドステッキに『妄想幻像(ザバーニーヤ)』のような効果が発動しイリヤに化ける。同時にイリヤ本体には気配遮断スキルが発動し隠密状態に。
慎二の限定展開は鍵縄のように短剣が結びつけられた紐状の武器が展開される。
夢幻召喚でも限定展開でもトリッキーな動きが可能になるため、ひらめきとテクニックで戦うイリヤとの相性は良く使用率はトップクラス。ぶっちゃけ『Zero』より活躍してる。が、直接戦闘力は低いためクロからは「弱い」と言われてしまっている。
上でも書いた通り使用者によって召喚するハサンが変わり、イリヤが夢幻召喚した場合は百貌のハサン、美遊が夢幻召喚した場合は静謐のハサンが召喚される。
間桐慎二が夢幻召喚した場合は呪腕のハサン……に酷似しているが宝具名が『亡奏心音(ザバーニーヤ)』となっているため、呪腕のハサンとは別のハサンと思われる。
ダリウスに破壊され、一時使用不可能になったカードの1枚。

第五次におけるバーサーカー。使用者は夢幻召喚でイリヤ、ベアトリス・フラワーチャイルド。限定展開ではイリヤのみ。
限定展開するとヘラクレスの斧剣が展開されるが、かなりの重量があるためまともには使えない。
夢幻召喚してもどこぞのゲームのようにムキムキ幼女が現れたりはしない。
イリヤと相性が良いらしく、イリヤが使う場合に限ってはギリギリの状態ではあるが長い時間自我を保っていられる。

第五次における真のアーチャー。使用者は夢幻召喚でアンジェリカ、美遊。限定展開での使用者はなし。そもそも「ギルガメッシュ」という英霊の特性上限定展開できない。
前述の通り英雄王の自我が残っているため使用すると体を乗っ取られるため「イレギュラーがすぎる」とジュリアンに破壊されかけたが、分化し半受肉状態となっていた英雄王(小)により回収された。

  • 『バーサーカー:マグニ』
ある意味で、第六次におけるバーサーカー。使用者は夢幻召喚・限定展開共にベアトリスのみ。
限定展開すると『ヤールングレイプル』という籠手と『メギンギョルズ』という力帯が展開される。
夢幻召喚時に『ミョルニル』が現れるため真名は「トール」であると思われていたが、実際はトールの息子であるマグニが正体であった。*3

使用者はドールにされジュリアンの操り人形となった間桐桜。限定展開では使用されていない。
宝具の『騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)』は「エミヤシロウ」のみならずギルガメッシュの天敵でもあるため、使用者が桜であることも併せて*4聖杯戦争に紛れ込んだイレギュラー対策としてこれ以上ない人選である。

  • 「???:???」
  • 「???:???」
  • 「アサシン:???」
ジュリアンの持つ真名の分からないカード。いずれも限定展開で使用されている。
宝具名は『三〇一秒の永久氷宮(アプネイック・ビューティ)』『黒玉皇に顔は無し(オーソリテリアン・パーソナリズム)』『両立する螺旋の右手(シャドウハンド・オブ・コード)』となっているが、ギルガメッシュ曰くどれも該当する英霊はない。


+ ちなみに、凛達は「エインズワース家は『パンドラの筐』を開けられる『パンドラのカード』を所持しているのでは」と予測していたが…
その真実は、エインズワース家が「パンドラの筐を開けられず、長き時の果てに心が摩耗し切ったパンドラ本人を極秘裏に発見・確保していた」というものだった。



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最終更新:2024年01月27日 04:40

*1 といっても凛とルヴィアが日本に到着早々仲間割れしたせいでステッキから契約を解除され、回収の任は騙されて契約させられたイリヤと責任感によって自分から契約した美遊に押し付け……任されることになるのだが。

*2 これは飽くまで「エミヤのカードにはエミヤの自我がある」という前提での推測であり、泥の浸食を受けていないから自我があると断定はできないことに注意。

*3 マグニはトールの死後にミョルニルを発掘した逸話があるため、宝具としてミョルニルを持っていてもそこまで不思議はない。

*4 「貴様よもやそこま――ガ!?!?!?」