無限泡影(遊戯王OCG)

登録日:2019/11/19 Tue 23:35:45
更新日:2024/11/10 Sun 22:38:06
所要時間:約 5 分で読めます




「俺の場にはこのターンX召喚に成功した《外神アザトート》がいる。
よってお前はモンスター効果…すなわち手札誘発モンスターを使えない!
増殖するG》は通っているが関係ねえ!
俺のソリティアの前に何もできずにバーンで死ぬがいい!
俺は《灰流うらら》を召喚し《外神アザトート》とL召喚!現れろ!《水晶機巧-ハリファイバー》!
そして《水晶機巧-ハリファイバー》の効果発動!デッキから…」

「《水晶機巧-ハリファイバー》を対象に手札から罠カード《無限抱影》発動。《抹殺の指名者》などありますか?」

「…ないです。《水晶機巧-ハリファイバー》の効果無効化されます。ターンエンドします。」


【概要】

無限泡影(むげんほうよう)》とは遊戯王OCGに登場するカードの1つ。分類は通常罠カード。
初収録パックは「FLAMES OF DESTRUCTION」。
夢幻泡影」や「無限抱擁」ではない点には注意。

カード名の由来は上に誤表記の例として挙げた「夢幻泡影」と思われる。
仏教由来の四字熟語であり、人生や世の中の物事は実体がなく、非常に儚いことの例え。
OCGでは《外神アザトート》や《墓穴の指名者》を使って挑んだ先攻制圧が、このカードの前に崩れる事も多いため中々皮肉が効いている。

イラストでは《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》が崩壊していく様子が描かれている。
しかし、このカードが出来ることは《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》の効果の無効化のみであり、破壊などの除去まではできない。
カード名の「無限」はこのカードに描かれている《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》にもかかっていると思われる。


【効果】

通常罠
自分フィールドにカードが存在しない場合、このカードの発動は手札からもできる。
(1):相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの効果をターン終了時まで無効にする。
セットされていたこのカードを発動した場合、
さらにこのターン、このカードと同じ縦列の他の魔法・罠カードの効果は無効化される。

まず特徴として「手札から罠だと!」ができる事が挙げられる。
アニメ放送当時では散々ネタにされたが現在では、環境が高速化し過ぎて伏せてからじゃないと使えない罠カードの使用率が低下し過ぎた苦肉の策として特定の条件で手札から発動可能な罠カードが増えている。
この様な性質を持つため、罠カードだが汎用手札誘発として使う事が可能。

このカードの手札からの発動条件は自分のフィールドにカードが存在しない事
基本的には、先攻1ターン目もしくは自分の後攻1ターン目開始直後に使うための条件と考えてよい。
現実問題、この期間に使えるなら不足を感じることはそんなにない。
相手に何かカードを押し付けられたり、自分が後攻0ターンから動くカードを使う場合にだけ注意することになる。
あくまで手札から発動する為の条件であり、セットして使う場合には何も影響しない。というかセットしたらカードがフィールドに存在するので一生発動できないことに……

メインとなる効果は相手のモンスター1体を対象に取ったターン終了時までの効果無効と非常にシンプルな物。
汎用手札誘発としては、ほぼ《エフェクト・ヴェーラー》と同じと考えても良い。
手札誘発としての運用方法も似ているがモンスターと罠、発動できるタイミングの違いから少し異なる点もある。

セットしてから発動した場合には追加効果としてこのカードを発動した同じ縦列の魔法・罠カードの効果が無効化されるも適用される。
魔法・罠のメタとなる効果だが、わざわざこのカードを発動した縦列と同じ場所で発動するということはまずない。
そのため、後伏せで縦列を合わせるのが基本となる。永続魔法・罠やペンデュラムカードが狙いやすい。
伏せ除去魔法のメイン採用率が低い現代、致命的なロック系永続罠を食らった時にこのカードだけが最後の望みとなる……という場面もある。
場合によっては今無効化する必要がない効果を持つモンスターを対象にして発動して、この効果の適用を狙う事もある。
ただし、この効果はあくまで追加効果であるためモンスター効果の無効化に失敗してしまうと適用されず、対象にとる相手の効果モンスター自体は必要。
この効果の存在から、あらゆるデッキにおいて魔法・罠カードの発動位置やセットする位置を、適宜相手の伏せ魔法・罠から外すように気を配る必要が出た。
なお、この効果は「無効化効果がフィールド上で正しく適用された場合」にのみ発動する。
そのため対象モンスターが対応してフィールドを離れ不発に終わったり、発動にチェーンされて《サイクロン》などで墓地へ送られてから適用された場合などは、列効果も発動しない。

……なお「わざわざ発動するということはまずない」とは言ったが、《無限泡影》は永続罠ではなく通常罠なので、当然使用した後に墓地に送られる。
そのため、使った/使われた事を忘れてうっかり同じ列で発動してしまい無効にされたり、逆に無効にされるはずの効果をそのまま通してしまうと言う凡ミスが、使用された側/した側の双方に少なからず発生したりする。
特にこれが問題となったのはスピーディかつ自動でカードが処理されるマスターデュエルで、無効にされなくても良い魔法・罠が無効にされる事が頻発。
そのためか2023年5月のアップデートで、追加効果発動時に列全体へ専用エフェクトが出るようになり、同7月にはターン終了時までエフェクトが残るようになった。

そんなのが語り草になるのも、このカードの使用率の高さを示すエピソードの一つであり、
登場以来、3積み必須とはいかないまでも、ほとんどのデッキに採用される手札誘発カードとしての地位を保っている。


【エフェクト・ヴェーラーとの比較】

やはり、このカードを語る上で避けて通れないのは《エフェクト・ヴェーラー》との比較だろう。
前述した通り似ている点は多いがモンスターと罠、発動条件の違いがあるため一概に優劣をつけられない関係になっている。

カード分類

《エフェクト・ヴェーラー》は《墓穴の指名者》をはじめとした手札誘発モンスターへの汎用的な対策で妨害されてしまうので、信頼性がやや低い。
本命の手札誘発を通すための囮として使うこともできるが、妨害されないほうが良いのは言うまでもない。
しかし、ステータスこそ貧弱だが光属性のチューナーモンスターのため、妨害に使わずともL素材に加えてS素材にもなり、利用手段が多い。
さらに墓地へ行けばカオスのコストや《神聖魔皇后セレーネ》の蘇生対象などにもなれる。
ただし、相手のビーステッドの餌になったり、《照耀の光霊使いライナ》で利用されることもある。

《無限泡影》は罠のため対策しにくく、《エフェクト・ヴェーラー》を対策出来ないもののうち汎用的なものであれば《レッド・リブート》や《禁じられた聖槍》程度。
いわゆる制圧盤面においても、モンスター効果を妨害するカードはない方が珍しいが、罠対策は当然ながら軽視されるので対処できないこともよくある。
初動のモンスターに使われてしまった場合、《抹殺の指名者》しか対処法がないことも多いだろう。
そのため、通りやすさで言えば、《無限泡影》の方が勝っていると言える。
ただ、書いてある効果以外の機能がないため、罠発動をきっかけに何かするような罠専門デッキでない限りはそれ以上の役割は望めない。
逆に相手が罠専門デッキだと、相手の罠の発動も活用できてしまう《迷宮城の白銀姫》《セラの蟲惑魔》などが出てきてしまい困ることも。

発動タイミングと条件

《エフェクト・ヴェーラー》は発動条件が場に左右されないが、発動タイミングが相手のメインフェイズに限定されている。
そのため相手の展開終了後のトップドローで引くと、素材にしかならず残念な気持ちになりやすい。上記のように、腐るにしてもモンスターであるおかげで意外と役立つこともあるが。
また、「墓地へ送る」コストであるため、《ディメンション・アトラクター》のような墓地送り対策が発動していると発動できない。

《無限泡影》はダメステ以外であればいつでも発動できるので、相手展開後のトップドローで引いても突破口を開きに行くことができる、あるいはあえて温存して自分ターンを待って使うという運用もできるのは大きな強み。
ただ、自分の場が空でなければならないので、《原始生命態ニビル》あたりを発動させた後に相手の展開が続いた時に引いてしまったり、単純にデュエルが長引いて微妙にカードが残っている時などには、相手ターンを待つ《エフェクト・ヴェーラー》同様、引いても伏せて待つしかない。
また、絶対に効果を止めたい場面で《無限泡影》を妨害された時に手札から2枚目の《無限泡影》が撃てない*1点は(《エフェクト・ヴェーラー》なら同一チェーン上でも使えるため)僅かながら劣る。
さらに、《夢幻崩界イヴリース》《盆回し》ヴァリアンツ=ワールド各種などでカードをこちらの場に送り付けられ、展開のついでに対策されてしまうことも稀にある。
セットしてから普通の罠カードと同様の発動も可能だが、罠の弱点である効きの遅さが出てしまうし、今度は魔法・罠除去カードの餌食になる可能性もある。

値段

やや番外編。
《エフェクト・ヴェーラー》は登場から長い年月が経ち、度々再録されているためシングル価格が低く、複数枚集めるのは容易。
《無限泡影》も複数回の再録は行われているものの、環境的な需要が高いため長らくシングル価格は高止まりしていた。
ただ、2024年6月発売のTACTICAL-TRY DECKでノーマル再録され、大量にばらまかれたことで価格は大幅に下がりつつある。

総評

確実性には優れるが、一部テーマが自然に対策してくる《無限泡影》と、妨害以外の利用手段も見出しやすいが、相手メインフェイズ以外だと妨害に使えず汎用手段で妨害されやすい《エフェクト・ヴェーラー》のどちらが好きか、といったところ。
一般的には《無限泡影》のほうが有効な環境が続いているため《無限泡影》の人気が高いが、結局のところデッキと環境次第である。
手札誘発のスロットが多いデッキだと両方フル投入されていることもある。

  • 無限泡影のほうが向いている例
    • 【オルターガイスト】:罠カードであることから《オルターガイスト・マルチフェイカー》を相手の先攻1ターン目から起動しに行ける。
    • 《インスペクト・ボーダー》を使用する【メタビート】:手札誘発モンスターとの噛み合いが悪いため、罠カードとしてセットしても使えるこちらの方が優先されることが多い。
    • 名推理で墓地肥やしを狙うデッキ:《エフェクト・ヴェーラー》のような特殊召喚可能なモンスターを引いたら墓地肥やしがそこで止まってしまう。
    • 【インフェルニティ】:ジャマになった時召喚権を使わずセットできるため手札を空にしやすい。
  • エフェクト・ヴェーラーのほうが向いている例
    • 【光属性】【魔法使い族】:モンスターとして各種サポートを受ける。出張だが、《水晶機巧-ハリファイバー》健在の頃の《神聖魔皇后セレーネ》とのコンボは印象的。
    • 【カオス】【ビーステッド】およびビーステッド出張構築:妨害行為が自分のカードの特殊召喚につながる。


アニメでは

遊戯王VRAINSにおいて、「道順/ブラッドシェパードvsエマ/ゴーストガール」戦でゴーストガールが使用。
後攻1ターン目に手札から発動し、《ドローン・コーポラル》の効果を無効にしようとするが、そちらの効果により無効にされた。
しかし、その後手札の《オルターガイスト・マルチフェイカー》の効果が起動し特殊召喚される…という、OCGの環境そのまんまな光景がアニメで繰り広げられ、視聴者に衝撃を与えることとなった。
…にしてもVRAINSはなぜこんなにもガチデッキ多いんだろうか。



追記・修正は無限泡影を発動した列で《左腕の代償》を発動してからでお願いします。

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最終更新:2024年11月10日 22:38

*1 処理上、フィールド上に1枚目があるため。