ツフル人

登録日:2020/03/19 Thu 22:36:29
更新日:2025/03/31 Mon 12:17:22
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たとえ神が許したとしてもワシはサイヤ人を絶対に許さん…!



ツフル人とは、漫画ドラゴンボール』の派生作品に登場する宇宙人及び種族。

●目次

【概要】

『ドラゴンボールZ』を初めとするアニメシリーズのみに登場するアニメオリジナル宇宙人…なのだが、少し特殊な事情がある。

実はツフル人の設定自体は原作連載当時から鳥山明の資料集やメモなどに登場しており、ちゃんと原作にも関係している。
つまり、「アニメに使うために用意された裏設定」や「原作の設定のみの存在をアニメに使った」と表現する方が正しい。
近年でも鳥山氏のインタビューでも名前が出されることがあり、忘れられてはいない模様。

外見は地球人と酷似しているが、
地球の10倍の重力を持つ惑星プラントに住んでいたため、身長は大人でも平均的なサイヤ人や地球人の約半分程度の小人の星人。
身体的な問題で戦闘力は高くないが、その代わりに科学技術面が大きく発達しているなど文明としては優れていた。
科学面では革新的な道具を開発しており、滅亡以降も宇宙ではサイヤ人やフリーザ軍を中心に大きな影響力を与えた。
メタ的な視点で言えば、「野蛮で横暴なサイヤ人が異様にレベルの高い科学道具を使う」という疑問に対するフォローである。

種族名の由来はフルーツを弄った名前と思われる。
フルーツ由来の個人名が全てツフル人とは限らない.

【活躍】

◆本編前

エピソード・オブ・バーダック』の時代の大昔の惑星プラントには別の宇宙人が暮らしており、ツフル人の姿は見当たらなかった。
そこから何があったのかは不明だが、惑星プラントにてツフル人は高度な文明を築いて暮らしていた。

エイジ550頃、母星だった惑星サダラの消滅によって宇宙を漂流していた原始サイヤ人が謎の宇宙船で惑星プラントに流れ着く。
ツフル人は救命を訴える彼らサイヤ人の惑星プラントへの移住を許可し、惑星プラントはツフル人とサイヤ人の人種が混ざった文明となる。
その頃のサイヤ人は文明的な概念を持たない原始的な狩猟民族だったが、ツフル人と文明を営む数百年の間にツフル人の文明を取り込みながら数を増やしていった。

エイジ720~730頃、ツフル人並の知能を持つベジータ王を指揮官にサイヤ人による反乱が発生し、全面戦争が勃発。
身体を生かした単純で暴力的な攻撃をするサイヤ人に対して、ツフル人は科学兵器で抵抗を試みる。
ところが科学兵器でも戦闘力の差は埋められずに劣勢であり、ベジータ王が計算していた惑星プラントにおいて八年に一度迎える満月の効果でサイヤ人が一斉に大猿化したことで戦争はサイヤ人の勝利に終わる。

ツフル人は滅亡に追いやられ、宇宙(『』『DAIMA』設定なら第7宇宙から)からその姿を消した。
そして惑星プラントはベジータ王の名を持つ惑星ベジータと名前を変え、ツフル人が残したスカウターや戦闘服などの科学技術はサイヤ人が受け継ぐことになる。
その科学技術はサイヤ人を通じてフリーザ軍にも流入し、フリーザ軍の科学者によって改良されて運用されていく*1

一方で、戦争時の絶滅寸前の際にサイヤ人を抹殺するための兵器を残していた事が後続作品では明らかになる。

◆ドラゴンボールZ外伝 サイヤ人絶滅計画

時期的には人造人間編の頃。アニメ版は『ドラゴンボールZ 燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦』の騒動が起きた後にセルゲームが直前に迫っている世界。

サイヤ人との戦争の最中にドクター・ライチーに開発されて宇宙へと旅立った怨念増幅装置『ハッチヒャック』が、暗黒惑星内に存在する『宇宙の墓場』へと到着。
今まで吸収した怨念やツフル人以外のサイヤ人に殺された者たちの怨念をも取り込み、莫大なエネルギーを得る。
そのエネルギーを理由にドクター・ライチーの怨念「ゴーストライチー」が誕生し、サイヤ人の生き残りが存在する地球を襲う。

しかし、悟空の活躍によってドクター・ライチーの野望は叶うことはなかった。

ドラゴンボールGT

本格的にツフル人関係に関してピックアップされたのは本作が初めてとなる。

ツフル人がサイヤ人との戦争の際に残した置き土産であるベビーが登場。
宇宙に放出されたベビーは漂流しながら徐々に成長を遂げる最中に「全宇宙ツフル人化計画」を発案。
ベビーの目論見によって、エイジ740にツフルの科学技術・データをプログラムしたマシンミュータントであるドクター・ミューが製造される。

ドクター・ミューの研究所にて悟空一行に身体を破壊されるが、飛散した組織片の一部が逃亡を試みるドクター・ミューの体内へに侵入。
後に肉体を再構築してドクター・ミューを破壊し、医療惑星ピタルにてトランクスへの寄生を試みるが失敗に終わった事で潜伏状態に。

その後は星々を転々としながら生命エネルギーを吸収してパワーアップをし、生き残りのサイヤ人のいる地球へ出現。
悟空の息子達を寄生能力で支配したベビーは、純血サイヤ人であるベジータの肉体に寄生して「ベジータベビー」へと進化する。
そして寄生能力を利用して数日の間に殆どの地球人の洗脳に成功し、地球の支配を達成。

地球に帰還した悟空を撃破すると、究極のドラゴンボールによって、ツフル人の故郷である惑星プラントをツフル星として地球付近へ復元。
新生ツフル人として扱うことにした地球人を移民させていく。

しかし、生きていた悟空と再び激突することとなり、悟空は黄金大猿を経由して超サイヤ人4へと覚醒。
ベビーも肉体を利用した黄金大猿へと進化して抵抗するが、激戦の末に倒されてベジータの肉体から追い出される。
重宝していたブルマを初めとした新生ツフル人の配下を見捨てて逃亡するが、悟空によって追撃の一撃を受けて太陽へとぶち込まれて死亡した。

ベビーの死によってツフル人は完全絶滅となった。
復元されたツフル星は、復元の際に究極のドラゴンボールを使用したことで爆発寸前となった地球から地球民の避難所として使われることになる。

ドラゴンボール超

力の大会における第2宇宙の選抜メンバーにツフル人がいるとの設定が明かされている。
しかし、説明がないので誰がツフル人なのかまでは分かっていない。
ラバンラという戦士がハッチヒャックの容姿に少し近いので彼なのではという説もあるが、ハッチヒャックはツフル人その物ではないので何とも言い難い。

ちなみに、第2宇宙はツフル人以外にもヤードラット星人などの第7宇宙の種族が何故かいるようだが、詳細は不明。

◆スーパードラゴンボールヒーローズ

『超』の力の大会後の世界観設定で描かれるオリジナルストーリー『宇宙争乱編』においても、名前のみ登場。
全王抹殺を企むハーツ一味に参加しているカミンオレンが、第6宇宙のツフル人が造った戦闘用の人工生命体という設定。
一部ファンの「第6宇宙にもツフル人がいるのでは?」という推測をフォローした形となった。

カミンとオレンは予想外に強かったためにツフル人は恐れを抱き、逆に抹殺しようとしたらしい。
勝手に生み出された挙句に殺されかけるという理不尽な目にあったカミンとオレンは、人類自体に憎しみを持つようになった。
その後に姉弟が第6宇宙に与えた被害を見る限り、結果としてツフル人は相当なやらかしをしたことになる。

第6宇宙のツフル人は科学力こそ第7宇宙と変わっていないが「物騒な生命体を作った時点で悪い種族なのでは?」という説がやはり出ている。


【ツフル人の謎】

歴史だけ見れば理不尽に滅ぼされた悲しい種族…なのだが、作中ではツフル人は本当に単なる被害者なのか? と思える点が多い。

何しろ、これまでのシリーズに出てきているツフル人は残虐な人間ばかりだからである。
メタ的な視点で言うと主人公の種族であるサイヤ人と対立する種族なので、嫌でも悪役としての起用になってしまう点も大きいのだが。
Z初期ではサイヤ人が野蛮な悪役と描写されたのに対し、徐々に悪くない一面もピックアップされるようになった作風の変化の影響もあるか。

ただし、ツフル人自体はアニオリで一部の人物がピックアップされただけで集団で描かれた訳でもないので、種族性は結局よく分からない。
しかもドクター・ライチーなどに関しては、怨念体だったことやツフル人の末路から悪い方向に人格が歪んでしまっても仕方ないと言えるだろう。

まあ何だかんだでサイヤ人の犠牲になったのは確かなので、「滅亡の悲劇に見舞われた種族」なのは間違いない。以下、指摘されるツフル人の疑問。

◇ベビーの人物像から見えるツフル王

まず一番指摘される点は、ツフル王の実質クローンとも言えるような存在であるベビー。
クローンと言っても単純に肉体に遺伝子を組み込んだ程度であればほぼ別人なのだが、回想から見るにその組み方が「ツフル王の肉体自体をベビーのベースの肉塊に移植させている」という手法であり、限りなくツフル王その人が肉体を変えただけとも言えるレベルのクローンになっている。
つまり、ベビーの「全宇宙のツフル人化」という過激な思想はツフル王の思想でもあり、生前のツフル王自体が相当な野心家で危険な人物だったと解釈できる。

ただし「上の王様がヤバい奴なので一般の民もヤバい連中」という図式が必ずしも成り立つ訳でもない。
ベビーの末路を見るにツフル王は一般のツフル人のことなどは考えるような性格ではなかったとも推測できるので、むしろ民はツフル王に振り回された可能性もある。
サイヤ人との関係性を抜きに、ツフル人単体でも色々と種族内に複雑な事情はあったのかもしれない。

また、実質同一存在と言ってもあくまでもクローンであるため、ベビーの過激な人格が必ずしも生前のツフル王の人格と完全に一致するとも言いにくい。
上述した様に一応ベビーはツフル王と自分を別の存在として扱っている口調なので、少なくとも本人の意識としてはツフル王と自分を分けて見ている。
仮に同一の性格だったとしても、ツフル人の絶滅という歴史やツフル王は有していなかったであろう強大な力の影響で悪い方向に増長して歪んだ結果とも考えられる。

◇サイヤ人を奴隷扱いしていた?

ドクター・ライチーが「命を助けてやった」との主張に対し、ベジータは「オレたちの祖先を奴隷代わりに扱き使いやがって」と反論している。

上述のツフル王が過激思想の持ち主だったという仮説を採用すれば、案外本当に奴隷のような待遇や利用をされていた可能性も否定できない。
実際、屈強な肉体を持ち、学力が未発達だったサイヤ人は、肉体労働をさせるには向いている。
原住民と移住民の対立は定番の問題でもあり、そういった流れで攻撃的なサイヤ人に悪感情を抱いていたツフル人もいただろう。
サイヤ人側から見た場合、完全な誤解やいちゃもんだったとしても奴隷だったと主張する何か要素はあったのかもしれない。
だが、奴隷扱いとしての共存だったとしても、結果としてツフル人が行き場を失ったサイヤ人に住処を与えていたことは確かなのも難しいところではある。

また、奴隷説を主張するベジータ自身は別にツフル人がいた時代には生まれておらず、ツフル人との歴史はベジータ王やナッパ*2など年長者から聞いた話と思われる。
ベジータ王やナッパも人間的に立派な人物ではないので、ツフル人像やサイヤ人の歴史を都合良く脳内解釈していた可能性も十分高い。

『サイヤ人絶滅計画』のOVAで描写された一枚絵では、サイヤ人と仲良く交流しているツフル人が描かれており、奴隷扱いには見えない。
逆に一部のサイヤ人が、ガラの悪い雰囲気でツフル人に絡もうとしている様子も映されている。

◇実は侵略者?

上述したように、大昔の惑星プラントを描いた『エピソード・オブ・バーダック』ではツフル人の存在が確認できない。
大昔のプラント星にいたのは、ツフル人とは似ても似つかぬ両生類のような種族である。
また、この種族が有していた治療薬などがフリーザ軍のメディカルマシーンの液体のルーツになっている可能性などが示唆されている。

これは「ツフル人もかつてのプラント星の先住民を侵略したのではないか?」とも解釈できるようになっている。しかし惑星プラント(惑星ベジータ)は地球などの惑星に比べて10倍の重力があるので、体力が優れているわけではないツフル人にとって相当つらい環境のはずである。わざわざ侵略、移住する価値のある惑星とは思えない。
この解釈が正解だった場合は、サイヤ人に対する恨み言もお前が言うなという話になってきたりする。
ただし、単に両生類型種族がツフル人とは関係ないところで絶滅か移住をし、無人となった惑星プラントにツフル人が入植しただけとも考えられなくもない。

ちなみに、上述の描写があった『エピソード オブ バーダック』という作品自体が『たった一人の最終決戦』のIFストーリーという立場である。
このようにかなり特異な立場の作品なので、この作品の描写を設定考察には純粋に取り込みにくいとする意見も一部ではある。

◇フリーザへの言及

サイヤ人も惑星プラントもフリーザによって消される末路を辿っているが、ツフル人の生き残りは特にフリーザには言及していない。
ツフル人の視点からすれば、憎きサイヤ人を代わりに滅ぼしたと同時に故郷の星自体も破壊したという複雑な人物という事になるが…。

◇どこまでがツフル人発の技術?

上記の通り、サイヤ人の持つ超技術はほぼ全てツフル人発祥と設定されており、
界王様回想シーンではサイヤ人と戦うツフル人がスカウターを着けている様子が確認出来るが、
『GT』におけるベビーのサイヤ人が惑星プラントに飛来した日の回想では無数の一人用のポッドが降り注いでいたり、
第6宇宙の、惑星サダラから離れずツフル人と接触もないサイヤ人の鎧を見たベジータが
「フリーザ軍に取り込まれる前のサイヤ人の民族衣装に似ている」と発言したりと、
一人用のポッドはサイヤ人が元々持っており、戦闘ジャケットはフリーザ軍からもたらされたとも解釈できる場面もある。
また、『ドラゴンボール超 ブロリー』では新たにスカウター、戦闘服、宇宙船などがフリーザ軍の科学者であるキコノの発明と設定された。超の世界線でのツフル人の開発力はかなり微妙なものだったのかもしれない。


【主なツフル人】

既に絶滅しているから仕方ないのだが、現状は怨霊だったりクローン的生命体だったりで純粋なツフル人は登場していない。

高度な科学力を誇ったツフル人の中でも最高の頭脳を持つと言われた科学者。
サイヤ人との戦争でハッチヒャックを開発するが、エネルギー不足を理由に宇宙へ脱出しようとした際に大猿に殺害された。
後にハッチヒャックの力で「ゴーストライチー」というゴースト戦士として蘇り、暗黒惑星を拠点にデストロンガスで地球を襲うが失敗に終わった。
身勝手な復讐鬼ではあるが背景事情のみは悟空に同情されており、孫悟飯には科学力を復讐にしか使えなかったことを不憫に思われていた。

  • ベビー
ドクター・ミューが造り上げた『ネオ・マシンミュータント』と呼ばれる機械生命体。
その実態はツフル王の遺伝子(ツフル王の肉体)を移植させたクローン的な生命体で、復活したツフル王とも最後のツフル人とも言える。
寄生能力を持ち、他者の肉体に卵を植え付けながら洗脳していくという気味の悪さが特徴的。





追記・修正はツフル人を滅ぼして惑星プラントを惑星ベジータに改名してからお願いします。

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  • 気の毒な被害者?
  • 加害者にして被害者
最終更新:2025年03月31日 12:17

*1 近年は、戦闘服およびスカウターはフリーザ軍の独自開発と設定しなおされている模様。ツフル人の技術がどの程度反映されているかは不明瞭。一応、スカウター以前の装備としてスカウトスコープというものも登場しており、それらのような改良前の前段階の装備がツフル人(あるいは先住民)由来と再設定されている可能性もある。

*2 エイジ762時点で50代なので、ツフル人が滅んだ720~730年代は最低でも十代である。