登録日:2020/04/01 Wed 00:34:02
更新日:2025/03/19 Wed 08:57:52
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長い長い夜がやってきて
星の明かりすら見えなくても
太陽のような君がそばにいてくれたら
僕は怖くない
だからそばにいておくれ
『劇場版R/B』で正体不明なまま退場し、『
ウルトラギャラクシーファイト』や『タイガ』でタロウの元親友などの情報が判明してなお、
多くの謎のベールに包まれたトレギアの来歴を彼の視点で追う物語となっている。
また児童誌関連媒体や各種小説媒体などで出た設定が登場するなど、小ネタも少なくない作品となっている。
【登場人物・怪獣】
・ウルトラマントレギア
『
ウルトラマンR/B』、『ウルトラギャラクシーファイト』、『ウルトラマンタイガ』などにおいて、数多くの悲劇を齎してきた闇のウルトラマン。その名は光の国の言葉で「
狂おしい好奇心」、七つの宇宙では「
禁忌・厄災・誘惑」を意味する。幼いタロウにも変わった名前と思われていた。
名を体現したかのように幼い頃から未知なるものへの探究心の塊でアーカイブから知識を得ることを日課としていた。
反面、ブルー族とはいえ体力はあまりない面もある(タロウとの初対面ではあることのために彼の力を借りていた)。
幼き日にタロウと小さな冒険に出かけ、彼に庇われて以降太陽のように眩しい彼を心の支えとし共に並び立つことを夢見ていた。
・ウルトラマンタロウ
『
ウルトラマンタロウ』、『ウルトラマンギンガ』などにおいて、地球人と共に戦った
光の国を代表するウルトラマン。
学生生活や宇宙各地を巡る青春の日々を二人で過ごしたトレギアの唯一無二の大親友。
トレギアにラブレターの添削をしてもらったり、トレギアの作った文章(項目冒頭)をほめたりしていた。
義兄の影響だろうか
「ウルトラマンタロウ ひみつ大特集」等において「タロウ」という名前は光の国の言葉で「勇気を持ち正義を愛する者」という設定があったが、
本作でも「勇気があり正義を愛する者」という表記で使用されている。
・フローベラ
トレギアとタロウの
小学校の担任教師。
・ウルトラマンヒカリ
『
ウルトラマンメビウス』において、活躍したウルトラマン。
命の固形化技術を開発しスターマークを授かった科学技術局長官。トレギアの才能を見抜き開発部門に引き抜いた。
バット星人との戦争の責任を取り辞職し惑星アーブに移住。その後、
ボガールによるアーブの滅亡に伴いハンターナイトツルギへと変貌した。
ヒカリの名は『メビウス』作中で地球人に名付けられたためか、本作ではヒカリの名はトレギアの独白とも言える地の文でしか使用されておらず、単に「長官」と呼ばれている。
・エンペラ星人
『ウルトラマンメビウス』などM78星雲の存在する世界の闇の頂点に立った暗黒の皇帝。
トレギアが覗いたアーカイブに光の国にない闇のエネルギーを会得した、
ウルトラマンの対の存在であると記されていた。
・ガゴゼ
惑星ティカ=ドゥの伝説に語られた謎の
巨大生物。
タロウとトレギアが目撃した際は、カニと
コウモリを接合させたような姿をしていたが、
正体はヒルのような生き物で他の生物の遺伝情報に入り込み複数の生物を同化させる能力を持つ。
遺伝子プールに干渉する生態と、封印されていた洞窟に太古の言語で記された石碑が遺されていたことからトレギアは宇宙誕生以前の原始的生物と推測した。
本作と同じく中野氏が脚本を担当したアニメ作品『エレメントハンター』第17話には、ほとんど同じ外見と正体のカサネセッタというQEXが登場していた。
・スナーク
惑星チュッオラに
星間連盟が捨てたゴミを元にトレギアが創り出した生命体。
外見は
ナメゴンに似ている。
・邪神たち
光も闇もまだない宇宙誕生より以前の太古に蠢いていた混沌そのものである数百体もの邪神。
無意識の海の井戸の奥深く「深淵」に封じられながらも、悪夢や創作家のインスピレーションとして多くの命の精神に干渉していた。
惑星ボルヘスの遺跡を暴いたトレギアに解き放たれ彼の体内に取り込まれた。
【トレギアの来歴】
ウルトラ小学校でタロウに声をかけられ小さな冒険に出かけ友達となった少年期、
この時に自身の好奇心が招いた過ちをタロウに庇われ、その負い目を吹き飛ばすかのような笑顔に救われ、プラズマスパークに照らされ逆光となったタロウの姿を刻んでいる。
学業に励む傍ら、タロウと共に宇宙各地を訪ねた青春。
惑星ティカ=ドゥにて宇宙創世以前の混沌の一片に捕らわれ、自身か遠方で危機に陥る人々のどちらかしか助けられない状況で、
自身を見捨て人々を救う選択をするようにタロウに懇願するが、その両方をタロウは救ってみせた。
この頃から光の国に存在しないが故に闇への実感を得られぬまま
エンペラ星人がウルトラマンの対の存在であることを知り、
形のないエネルギーに過ぎない光と闇が何なのか考えるようになり、タロウを太陽に見立てたポエムを綴り始めている。
タロウと共に並び立つために宇宙警備隊入りを目指し、地獄の特訓を繰り返すが夢破れ味わった初めての挫折。
技術開発局に入りヒカリに才能を見初められるが、そのヒカリが────スターマークを与えられるほどの英雄がバット星人との戦争の責任を取りリタイアしたことでウルトラマンと言えど苦悩することを実感。
ヒカリ辞職の混乱で、自身の発明に必要な外宇宙に派遣された戦士のデータを得られず無為に過ごす日々、
光の国に帰還したタロウの協力を得て発明品が完成。タロウスパークという命名を却下され、タロウが提案したタイガスパークを採用する。
この時に何を壊され何度倒れても立ち上がる地球人の素晴らしさをタロウに説かれるが、アーカイブで戦争や犯罪や過ちを何度も繰り返す地球人の愚かさを識っていたため響くことはなかった。
ヤプールの暗躍を察知しタロウが再び光の国を去り、心に孔の空いた日々を過ごしながら防衛のための開発を進めるが、
光の国が護りを固めれば固めるほど同等に攻勢を強める尽きることのない侵略者から光と闇の表裏一体性に気付き、解決のために闇についての研究を始める。
アーカイブを漁り、
レイブラッド星人に憑かれ光の国で唯一闇に堕ちたウルトラマン、ベリアルが目に止まり、
誰でも知る反逆の顛末ではなく内面について調査を進めていた折に、惑星アーブがボガールに滅ぼされ、
ヒカリがアーブギアを纏い復讐者ハンターナイトツルギに変貌したとのニュースが届く。
ベリアル、そして尊敬したヒカリが闇に堕ちたことで、光の国の住人も図体が大きいだけで、
自身がかつて危惧した地球人と変わらない未熟なメンタルであることに気付き、
そんな未熟者が正義を名乗り力を振るう現状に恐怖を覚え半狂乱となり光の国を出奔。
ゴミの惑星チュッオラにたどり着き、ウルトラマンとして使い物にならなくなった自身もゴミなのだと隠居を決める。
惑星チュッオラで過ごす日々の中、
ゴミから生命を生み出し、
チビスケを意味する「スナーク」と名付け自覚もないまま孤独を癒やす友とするが、
星間連盟が持ち込む無限とも言えるほどに膨大なゴミによってスナークは暴走、人々を護るために友を手にかけ苦しみ藻掻く最期を目にしたことで、何もない宇宙空間に居を移す。
真の孤独に包まれ長い月日を経て過ごす中、光と闇は同じものという考えは闇を極めることは光を極めることと同一という希望を生み、
かつて始原の混沌の欠片を目撃した際に得た手がかりから混沌そのものである邪神を探す旅に出る。
邪神を求め
深淵を覗き続ける孤独で過酷な果てなき旅はトレギアの正気を削り、
友と並び立つ光となるために闇を欲した青年はいつしか光からも闇からも価値を見失い、全てのものは虚無であるという妄執に囚われてしまう。
探し求めた邪神達の力を手に入れた彼は、邪神達に引き寄せられるがままに出遭った、夢を失った者に野心と力を与え、力持つものを歪め破滅に導くことを目的とするようになっていた。
全ては、故郷の――――友の信じた絆と光を否定し友の影であり続けるために……。
タロウ、私は君が生きられなかった反面だ。
ようやく私は君の「影」になれたんだ。
【映像化】
ヒカリ辞職→タロウ帰還→ヤプール討伐にタロウ出張→ヒカリ
闇堕ち
タロウ帰還→(惑星アーブの件で)ヒカリ失踪・闇堕ち→タロウの調査任務にトレギア同行
【余談】
本作によって
『R/B超全集』の小説でも示唆されていたルーゴサイト暴走の元凶がトレギアと確定、また『
劇場版オーブ』で登場したムルナウもトレギアによって宝石化能力を与えられたことが判明。
同様に
グリーザにも干渉しようとしたが、「無」そのものにはどうすることもできないとして、手出しできず放置を決めており、
間接的に太陽に叩き落としたうえ、15年間も封印した
エックスの評価が上がった。
むしろウルトラフレアだけで済んでるってどうやったんだろうか、あの無愛想な人
トレギア自身のフィジカルは低く、これまでに見せた技の殆どが邪神由来だった他、『
劇場版R/B』やトライストリウム戦で倒された際に
ガチで死亡していたことが判明。
邪神の加護により多元宇宙に無限に存在する平行宇宙のトレギアがバックアップとなり、ほぼ不滅の存在となっている。そのため、『劇場版R/B』に登場したトレギアと、『タイガ』TV本編に登場したトレギア、『ニュージェネクライマックス』に登場したトレギアは、それぞれ記憶を引き継いだ「別人」に等しい存在となっている。
また、タロウの力で変身しているからロッソは狙われたのではないかというネタ混じりの考察が、まさかの真実であった。
共用アイテムなのにタイガの名を冠していたことでタイタスとフーマの不興を買ったタイガスパークだが、タイガ誕生より以前に造られていた。
語感を気に入ったタロウが息子が生まれた際に使うことを決めており地球語では「太陽を抱く勇気あるもの」という意味を持つ。
タイガスパーク本来の機能は光の国のウルトラマンを外宇宙で活動させることであり、
肉体をアストラル体化させ現地の住人のインナースペースを借りることで一定時間の戦闘を可能とするものであった。
追記・修正お願いします。
- 作中でクトゥルフ神話のクの字も出てないのに、ここまでクトゥルフ神話イメージが共有されてるのも面白いな -- (名無しさん) 2020-04-28 17:31:46
- 映像作品の補足どころじゃない情報量だな、どっちみち嫌らしく質の悪い奴だが前よりキャラクターは見えてきた -- (名無しさん) 2020-05-13 20:46:51
- 「だからそばにいておくれ」。これがトレギアにとって全てなんだろうな。タロウの影であろうとしてタロウを否定しつつ絆を求めている。動揺してタイガにタロウを重ねた時の反応見るに、子供の頃のようにタロウに手を差し伸べて欲しいとどこかで思っていたんだろう…… -- (名無しさん) 2020-05-26 09:44:16
- ↑4 アンチマター「とっくの前に宇宙誕生前からいる怪獣はいますよ?」 -- (名無しさん) 2020-05-29 17:42:35
- ↑君はM78世界の住人じゃないから…M78世界でバド星人より明確に歴史古い存在が現れたのは今回が初かな?バド星人の地球が火の玉うんぬんも本当に事実か不明だけど -- (名無しさん) 2020-06-17 07:44:56
- 拗らせる前はウルトラ族らしい自己犠牲の精神もあるんだよなぁ・・・まぁトレギアの場合は合理的判断をしたともとれるけど -- (名無しさん) 2020-07-08 10:04:53
- 生き帰りの手法が完全にD4C。絶対殺すマンぶち込まなきゃ -- (名無しさん) 2020-07-19 01:34:05
- 殺しても死なない…つまり巨大キュゥべえじゃな? -- (名無しさん) 2020-07-19 01:57:54
- ↑タロウという光に焦がれて魔道に堕ちた点ではまどかに惹かれて悪魔に堕ちたほむらとも通ずるものも感じるよね、トレギア -- (名無しさん) 2020-07-19 06:49:35
- トレギアを真の意味で倒すには、トレギアを理解した上で、トレギアを正気に戻して邪神の力を手放させた上で介錯させなきゃならん。……でも本人の言動と行動が外道すぎるから誰も理解をしようという考えには至らんという罠 -- (名無しさん) 2020-07-20 00:29:59
- たった二人でも「神の如き力がありながら自分達は危険な地球人と同じ精神性だったんだ」と思い至る辺り、それほど光の国のウルトラマンは清廉潔癖かつ高尚な種族だと信じていたのか… -- (名無しさん) 2020-07-23 11:19:31
- ↑そらベリアル以外の犯罪者が一切居ないからな。他の宇宙では神として崇められてるような所もあるだろうし。それが下に見てた地球人と同じかもしれないという現実に耐えられなかったんだろう -- (名無しさん) 2020-07-25 17:00:55
- いずれにしろこのウルトラマンの精神性実はそこまで崇高じゃない問題にはぶち当たっちゃったんだろうけど、たぶん傍にタロウが居るだけでもメンタル補強で比較的冷静に受け止められただろうから近くにいなかったタロウ教官が悪いよ(難癖) -- (名無しさん) 2020-07-27 00:03:23
- 「ウルトラ大戦争の戦死者(ゾフィー父やケンとベリアルの同期?)の墓が立入禁止区域扱い」「トレギアは図書館で別惑星の文化を調べた時、タロウはトレギアの説明で初めて墓を知った」 ここの描写察するに光の国の若い世代には埋葬という文化自体が定着してないのかな -- (名無しさん) 2020-08-01 08:22:49
- ↑ウルトラマンは完全に死亡すると光の粒子になって消滅してしまうのでそもそも亡骸を地面に埋めて葬る、という形式自体ない。墓というのも実質中には何も入っていない戦没者慰霊碑のようなモニュメントだと思う -- (名無しさん) 2020-08-01 08:49:33
- 劇場版観賞前に履修することを公式にオススメされたが何かあるのだろうか -- (名無しさん) 2020-08-03 01:32:13
- 映画観たが、確かにこれ先に読んどいた方がいい -- (名無しさん) 2020-08-07 12:17:14
- 確かに読んでおいた方が良いが、読んだからと言ってどうなるって感じだな…なんか特に改心するでもなく普通に滅んじゃったし、最後までタロウとは没交渉だったし -- (名無しさん) 2020-08-07 21:18:10
- エレメントハンターネタでなんか嬉しくなったわ -- (名無しさん) 2020-08-15 23:58:10
- O-50次元への干渉が多いなという感想。光のわっかは対処療法じゃなくてトレギア倒せって指示が必要だったんじゃ…そして株が上がるグリーザと不愛想な宇宙人 -- (名無しさん) 2020-09-04 23:12:35
- 経歴見てるとジャンヌとアムールはトレギアの地雷だよなぁ 皮肉交えて「落ちこぼれ以下に負けたんだよ君は」とか「どうしたのかなぁ先生?」とか煽ってきそう -- (名無しさん) 2020-09-15 23:30:00
- 知識や礼節がアレな分おそらく身体能力一本で警備隊入りしたであろうゼットもトレギアの地雷って言われてたり…地球の就活みたいに昔と今では採用基準が変わりました、とかだったらそれまでだけど -- (名無しさん) 2020-09-28 22:05:41
- Z君は最新話でエースからかなり期待されてる事が伺えるし、なんかあるんだろうとは思うけど、それはそれでギギギってなるか -- (名無しさん) 2020-11-01 22:18:18
- トレギアの心情も描写されてるけどタロウに対する嫉妬や悪意は欠片も無かったんだよね……。ずっとタロウの傍で青春を続けたいって細やかな願いがボンデージ仮面になった頃には傍にいるために対等の力が必要って手段にすり変わってる -- (名無しさん) 2020-11-28 01:46:50
- 面倒ごとは軽く流す、メンタルえぐられてもすぐ立ち直る、単純だけどバカじゃない、思考は根本的に割とドライ、腕っぷしもそこそこある、先輩にかわいがられることが多い...とゼットはトレギアの天敵中の天敵だな -- (名無しさん) 2020-12-10 15:16:15
- 今日のギャラファイでどう手が加えられるか… -- (名無しさん) 2020-12-20 04:57:51
- 「君の名前を思い出してみろ」……やっぱりこんな名前を付けた親トラマンにも問題があったんじゃあ……いやぁ少なくとも正史じゃそれは闇堕ちとは全く関係無いけどさ…… -- (名無しさん) 2020-12-25 23:26:20
- 光の国の誰よりも「光」に対して真摯で潔癖過ぎたって印象。並行同位体ともし会っても仲良くは出来なそう -- (名無しさん) 2021-06-14 06:33:27
- あかさはま -- (名無しさん) 2021-07-16 08:09:51
- トレギアがNHK人気投票13位の快挙を成した要因にこの小説での肉付けも少なからず影響あるかもなあ -- (名無しさん) 2022-09-11 23:22:34
最終更新:2025年03月19日 08:57