東方スペルバブル

登録日:2020/04/28 Tue 22:09:48
更新日:2024/04/09 Tue 12:55:10
所要時間:約 9 分で読めます





東方スペルバブルとは
東方Projectを原作とした対戦型リズミカルパズルゲームである。
だが他の二次創作ゲーと違うのは、制作販売したのが同人サークルではなくなんと タイトーという一流ゲーム会社 である。
Nintendo Switchにて販売されている。フルプライスで
つまり立派な「商品」で、同人ショップのみならず一般的なゲームショップなどにもずらりと並んでいる。


■あらすじ


5色の玉に霊力を乗せ、音楽に合わせて投げてぶつけて消しあって…

この遊びは、幻想郷に住まう人外たちの新たな嗜みとして急速に普及していた。
そんなある日、大規模な大会の開催が決定されたが、そのスポンサーには、レミリアをはじめとした怪しいメンバーが勢ぞろい!
紫に煽られ、調査せざるを得なくなってしまった霊夢は強者たちとの対戦を余儀なくされていく。
これは新たなブームに浮かされた幻想郷が、奇妙なワクワクで満たされた、幾日かのお話である。
(公式サイトより)

ちなみにストーリーモードは豪華声優陣によるパートボイス制だが、一部フルボイスのセリフがある。
なんでその台詞にボイスがあるんだって部分がやたら多い。
また東方の原作の雰囲気を尊重しているのか割とみんな煽り合う


■ゲームシステム

すごくバッサリ説明すると「東方キャラを使ったパズルボブル」である。
パズルボブルというのは、様々な色をしており同色で3つ以上揃うと消えると「バブル」をシューターで飛ばし消していくというパズルゲームである。
基本ルールはそちらと同じだが、スペルバブルは以下の違いが存在する。

  • キャラクターごとにスペルカードが使用可能
自分のフィールドを有利にしたり、相手フィールドの玉の色を変えたりする特殊能力。
幻想少女と言えばスペルカード

  • 落とした玉の数で勝負
対戦型と言ったが、このゲームは玉が一番下に達してもゲームオーバー(負け)にはならない。
ゲームが終わるときは、後ろで流れているBGMが終わった時である。
その時、落とした玉の数が多いほうが勝利となる。
落とした玉は勝利のためのポイントだけでなく、相手フィールドへの攻撃にもなる。

  • 覚醒・反撃
玉を消し続けるとフィールド上の全ての玉がリセットされ、覚醒状態になる。
その時は大量の玉を落とす大チャンスとなる上、覚醒終了後のフィールドは初期状態となる。
つまり大ピンチでも覚醒さえすればチャラにできるのだ。
また健闘むなしく一番下まで玉が来てしまっても前述の通り負けではない。
相手のポイントになってしまうものの同じようにフィールドがリセットされ、「反撃」という特殊なモードとなる。
有り体に言うとフィーバーモードに近い。

  • 拍撃
そしてこのゲーム一番の特徴は、パズルゲームにぶちこまれたリズムゲーム要素
大量の玉を消す際に数字が発動し、リズムにあわせてボタンを押すと拍撃が発動し、ポイントと攻撃力が大幅に上がる
遅い曲ならリズムもゆったりだが、激しい曲ならリズムも非常に早く押すだけで苦戦する。
ただし普通の音ゲーのようなシビアな判定ではない上、キャラクターが声で合わせてくれる為言うほど難しくはない。


■BGM

音ゲーの要素を持った対戦型リズミカルパズルゲームともあって、楽曲も豪華。
「IOSYS」や「幽閉サテライト」「Silver Forest」と言った、東方アレンジ音楽の著名同人サークルが多数提供している。
とはいえあくまで「提供」なので「Bad Apple!! feat. Nomico」や「チルノのパーフェクトさんすう教室」といった有名なアレンジ曲がそのまま使われているのがほとんど。
だが勿論過去に使われた曲ばかりではなく、新曲を提供しているサークルもある。

だがここからがタイトーの本気。
なんとZUNTATA*1のメンバーがアレンジした曲をプロの声優が歌っている曲がいくつか存在している。やりすぎである。
特にラスボス八雲 紫の曲は伊藤静氏の熱唱と難易度の高さも相まって印象に残りやすい。人によってはトラウマとして刻まれるかもしれないが。


■キャラクター

地霊殿までのキャラで非常に無難な人選でまとめられている。
各キャラクターには一定確率で発動し盤面を有利にする「能力」と、対戦前に選べゲージが貯れば任意に発動できる「スペル」が設定されている。


博麗 霊夢 CV:諏訪彩花
ご存知主人公。今回も巻き込まれキャラである。
ストーリーモードの初期キャラクターで二次創作ではおなじみの防御系スペルが多く、初心者向けである。

霧雨 魔理沙 CV:大空直美
ご存知霊夢の永遠のライバル?今回も引っ掻き回す役目であるが…。
大空直美氏の幼いボイスも相まって妙にアホの子っぽさが全開な気がするが、ストーリーモードではいろいろな知略を巡らせる。
性能もおなじみの攻撃一辺倒だが、タイミングを考えて使わないと無駄打ちになるスペルも多く、非常にピーキーである。
しかしハマったときの魔符「イリュージョンスター」の威力はやばい。というかこれがないと隠しストーリーのクリアは夢のまた夢だろう。
大空氏はED曲の歌唱も担当している。

パチュリー・ノーレッジ CV:松田利冴
ご存知引きこもり…と言いたいが今回は割と積極的。最近病弱設定忘れられてない?
ダメージボイスは勿論「むきゅ
スペルは全て直接的な妨害系。

十六夜 咲夜 CV:庄司宇芽香
ご存知メイドさん。今回は無愛想度が高め。
パチュリーと同じく妨害系だが、こちらは間接的で相手の冷静さを奪いミスを誘発させるような効果が多い。
彼女を相手にする場合は冷静に行こう。

レミリア・スカーレット CV:上坂すみれ
ご存知吸血鬼。非常にカリスマ溢れる言動だが、妹に対してはとちっている。
非常に攻撃力が高いもののタイミングを失敗すると何も起こらないスペルに反撃前提の能力と、防御をかなぐり捨てている。

フランドール・スカーレット CV:和多田美咲
ご存知吸血鬼の妹。今回も癇癪を拗らせている。
というわけで紅魔館のメンバーはほぼ全揃いである。美鈴は泣いていい。
こちらは能力を捨てているがスペルが適当に打っても強力という、姉とは違う意味でパワー全振りである。
ここまで見て貰ったら分かる通り今回美鈴はお休みです。

チルノ CV:大和田仁美
ご存知バカ妖精。…と言いたいが子供らしい感性が見事にマッチしたのか、スペルバブル界では一躍強敵に。
最もストーリー的な扱いは噛ませ犬だが。
相手の盤面を文字通り「凍らせ」身動きを封じる彼女らしい能力。

アリス・マーガトロイド CV:瀬戸麻沙美
ご存知人形遣い。今回は魔理沙、パチュリーと共にスペルバブルを広める。
アリスで瀬戸麻沙美声ではあるがおとぎの国の戦争とは関係ない。
能力は強いがスペルは微妙というフランの真逆。

魂魄 妖夢 CV:山村響
ご存知半霊。相変わらず真面目な性格である。
スペルは劣勢の時に輝くという使いにくいものだが、ハマったときの逆転力はとても高い。能力の事は忘れてやれ。

西行寺 幽々子 CV:照井春佳
ご存知亡霊の姫。残念ながらゲームには余り興味はない。
自分は能力のおかげで防御力が高く、相手には妨害を送り込み邪魔をするという耐久型の性能。

鈴仙・優曇華院・イナバ CV:三上枝織
ご存知月からきたウサギ。と同時に今回一番の不憫キャラ。頑張れ…。
スキルはタイミングを見計らって使えば非常に強力だが、タイミングをミスれば相手が有利になるというものだが…。
このゲーム、システム上相手の盤面を見ている余裕が少ないため非常に使いにくい性能となっている。こんなところでも不憫とは…。

蓬莱山 輝夜 CV:相沢舞
ご存知ニート姫。と言いたいが今回は積極的に動いている。
余りにも積極的で鈴仙の扱いがブラック企業並になっているが。
ちなみに妹紅の事は互いに無視しているのか会話ゼロ
能力はパチュリーと似ており、スキルは相手をじわじわと追い詰める意地悪なもの。

藤原 妹紅 CV:斉藤佑圭
ご存知男前の不死身娘。だが今回は声も相まって妙に少女度が高い。
こちらも能力はパチュリーと似ている。スキルは「一度死んで、生き返る」本人さながら盤面リセット力が高い。

射命丸 文 CV:佐倉綾音
ご存知天狗。
新聞を使いスペルバブルを流行させる一因を担いながら大会の司会を務めると大活躍だが、その記事には勿論捏造もあり…。
とにかくスペルの貯まる速度が早く連射が可能であるが、若干使いづらい玉を自分フィールド上に出すものでありそういう意味では制御が効かない。

河城 にとり CV:長江里加
ご存知かっぱ。残念ながらストーリー上では通りすがりの少女Aという扱いである。
その扱いの割に性能は非常にピーキーで使いづらい超上級者向け。

東風谷 早苗 CV:伊藤かな恵
ご存知巫女その2。保護者の二神をほったかして1人で盛り上がっている。
幻想郷に流れ着いた古いゲーム機を拾ってきて修理に成功するという奇跡を引き起こす。
おそらく彼女が拾ったゲームはパズルボブルのアーケード媒体と思われる。
懐かしいゲームにテンションMAXで、大会の司会を文と共にノリノリで努めている。
スペルカードは3つとも性格がだいぶ違う為、万人向けのキャラとなっている。

古明地 さとり CV:下地紫野
ご存知サトリ妖怪。シスコンっぷりが半端ない11点。
フランクラスのスペルの強さで激しい妨害を繰り広げてくる。ストーリー、チャレンジ共に鬼門の1人。

古明地 こいし CV:ゆかな
ご存知心を閉じた妖怪。ゲームで対戦している間は相手に認識してもらえるということから、スベルバブルにドハマリしている。
姉と違いこちらは自分の火力を上げて殴るタイプである。

比那名居 天子 CV:早見沙織
ご存知天人で、今回のラスボス…に近い存在。
スベルバブルが非常に強いが、そのせいでとにかく相手を煽り倒すトラブルメーカーと化している。良い子は真似しちゃ駄目だよ。
能力が反則だがスペルはそれほど強くない。

八雲 紫 CV:伊藤静
ご存知スキマ妖怪で、今回の正真正銘のラスボス。
勿論スペルも反則級に強く、霊夢編で使う罔両「八雲紫の神隠し」に苦しめられたプレイヤーも多いだろう。
大物感丸出しで実際異常なほど強いが、勝利すると彼女もまだまだ少女だということがわかる可愛らしい一面を見せてくれる。
前述の通り伊藤静氏は歌も熱唱している。必聴。

  • DLCキャラ
洩矢 諏訪子 CV:佐藤聡美
出遅れてしまった土着神の頂点。大会に出なかったのをちょっと後悔しているとか。
能力・スペカともに強烈。覚醒しやすく、スペカは地味に効く妨害からカウンター攻撃まで取り揃えている。
キャラクターパックにはそれぞれ1曲ずつ、そのキャラクターの楽曲が同梱されている。諏訪子だけ道中曲が元。

多々良 小傘 CV:高橋花林
スペルバブルを密かに練習していた傘の付喪神。その腕前で驚かせることはできるか?
こちらも強力ではあるのだが、妨害型スペカの対応策が割と明確なのが痛いか。
目隠しで驚かせようとしても、慣れられたら効かないのは道理。別の搦め手もパワーで押し切られる辺りは彼女らしい。

秦 こころ CV:羊宮妃那
スペルバブルプレイヤーの感情に興味を持った面霊気。
能力が若干複雑なテクニカルキャラ。能力とスペカはうまく噛み合っている。
しかしスペカは相性が極端で、相手次第であっさり潰されることもある。同キャラ対戦が一番怖いかも?

鬼人 正邪 CV:津田美波
スペルバブルもひっくりかえしに来た天邪鬼。自身もちょくちょくひっくりかえる。
石は投げ込むわ上下やゲージを入れ替えるわとやりたい放題。
果ては重力反転まで起こし、ゲームの根本をひっくりかえす事には成功している。

豊聡耳 神子 CV:山根綺
聖徳道士だけに流行を耳にすることは多く、スペルバブルにも関心はあったらしい。
スペカではお馴染み豪族コンビも呼び出せる。妨害スペカもなかなか嫌な性能をしており、流石というべきか。

ルーミア CV:長縄まりあ
単独タイトル(奇しくもそちらも音ゲー)まである彼女も参戦。
宵闇の妖怪らしく画面が暗転するスペルカードは見た目は派手だが、対処法は案外簡単な上に練習用ステージまである始末。
他二つは充分な性能なので、彼女らしい出オチ感の演出だろう。

紅 美鈴 CV:井上麻里奈
三年十カ月もの間お留守番だった門番、ようやく参戦。周りがみんなやってるので遅れて興味を持ったらしい。
能力は拍撃を強化するチャージショット。スペカは場の玉をカラフルに変える美鈴らしいものがふたつ。残りは堅実な覚醒チャージ。
彼女とルーミアの参戦により紅魔郷キャラが全員揃った。相変わらず出席率の高い連中である。



■まとめ

今まで商業ゲーム会社の作ったゲームにそれなりに登場してきた東方キャラだが、基本的にゲストの扱いだった。
その為完全な東方二次創作ゲームを商業ゲーム会社が作るというのは前代未聞である。
ついでにいうとパズルボブルシリーズのかなり久しぶりの新作でもある。
ただし音ゲーのリズムの関係か、ネット対戦はできない。それができたらもっと評価が高かったと思われるが。
ところがどっこい、技術的困難を越えて2021年10月22日のアップデートにより待望のオンライン対戦機能が実装された。
対戦ガチ勢にもエンジョイ勢にも両対応、曲追加もされる大盤振る舞い。

ちなみにフルプライスにしては若干ボリュームが少ないのだが、理由はおそらく収録曲が豪華すぎるからだろう。


■余談

東方Projectの原作者であるZUN氏が元タイトー社員というのは有名な話。今回のゲームもその縁で作られた物だと推測される。
また、タイトーのSTG『ダライアス外伝』や『メタルブラック』を好きなSTGとして挙げており、東方Projectも2作の影響を強く受けている。
音楽面でも本人はZUNTATAのメンバーではなかったようだが影響を受けており*2、このゲームの前にタイトーの音ゲーでアレンジされる時はTwitterにて非常に喜んでいた。

発売してからも一ヶ月に一回の頻度で地味にアップデートが続いていたが、2024年3月をもって終了した。
足掛け4年である
ここまで長い間アプデが続いたゲームは本当に稀と言えるだろう。


追記修正は八雲紫の神隠しを攻略してからお願いします。


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最終更新:2024年04月09日 12:55

*1 タイトーのサウンドチームで、メンバーが変わりつつも30年近く存在する老舗サウンドチーム。

*2 名前も似ているが、ZUN氏は本名の捩りなので全くの偶然。