博多駅

登録日:2020/08/16 Sun 18:10:38
更新日:2025/10/20 Mon 00:01:54
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博多駅(はかたえき)は、福岡県福岡市博多区にあるJR九州JR西日本、福岡市交通局の駅である。

■概要

福岡県の代表駅であり、九州地方最大のターミナル駅。

山陽九州新幹線が乗り入れており、鉄道においては九州の玄関口となる駅である。1975年に山陽新幹線が開業し終点となり、2011年の九州新幹線全線開業に伴い山陽新幹線との直通運転を開始した。
東京方面からの東海道新幹線の列車は山陽新幹線には乗り入れるが、当駅から先の九州新幹線には乗り入れないため、東海道・山陽新幹線系統は当駅が終点となっている。

また、在来線においても九州地方の各都市へアクセスする特急列車がたくさん走っており、名実ともにJR九州の中心駅となっている。2004年から2011年の九州新幹線全線開業までは、「リレーつばめ」が運行されていたことから日本一特急列車の発着本数が多い駅だった。

博多駅の利用者数は九州地方のみならず、3大都市圏以外の地方のJRターミナル駅の中で最も多い。
また、首都圏の東京23区以外の地域(東京都多摩、神奈川県千葉県埼玉県)のターミナル駅と比較した場合、流石に横浜駅大宮駅よりは少ないものの、実は八王子駅や大船駅、千葉駅、浦和駅よりも多く、武蔵小杉駅や柏駅と同じくらいである。

地下鉄は空港線と七隈線が乗り入れており、空の玄関口である福岡空港駅や、福岡市の繁華街に近い天神駅へ向かうことが可能。
福岡空港は中心市街まで約5kmと至近距離にある利便性の良さから年間利用者も多く、空港から博多駅・繁華街天神までを結ぶ利便性の良さと近さは福岡最大の強み。

ちなみに、福岡県に「福岡」という名前の駅は存在しない
かつては西鉄天神大牟田線のターミナル駅が「西鉄福岡駅」を名乗っていたが、2001年からは「西鉄福岡(天神)駅」に改称し、車内放送などでは「ふくおかてんじん」と案内されている。
なお、「福岡駅」という駅自体は富山県あいの風とやま鉄道線に存在する。

■駅構造

JRは在来線、新幹線ともに高架駅であり、新幹線ホームは在来線のさらに上に存在する。

  • 地上階
改札、みどりの窓口、お土産売り場がある。常に甘い香りが漂う空間*1
南北に長い駅なので出入り口は東西に存在している。北側は土産売り場が集中するデイトス、南側は博多阪急に接続。

西側出口が「博多口」と呼ばれどちらかと言えば正面口となる。博多バスターミナルや路線バスの停留所、タクシー昇降場などに接続。
アニヲタ向け情報としては博多バスターミナルにゲーマーズやnamcoが入居している。
非アニヲタ向け情報としてはクリスマス~年明けの時期にこちらの出口は綺麗にライトアップされ、デートスポットや映えスポットとして人気。

東側は新幹線側の改札とみどりの窓口がある。東側出口は「筑紫口」と呼ばれ、観光バスの降車場があることから修学旅行生の集合場所や乗り換え場所として並ぶ姿が見られる。
ヨドバシカメラマルチメディア博多があるのは筑紫口側の南の方で、AMU出口が近い。
かつては地下鉄改札口に繋がる階段沿いに世にも珍しい「途中から階段になるエスカレーター」*2が存在しネットニュース等でも取り上げられたが、2021年に全通した。

  • 地上2階
主に在来線のホームが占め、店舗などは少ない。ホーム詳細は後述。
北東側の新幹線改札近くには博多麺街道があり、博多名物であるラーメン店が多数出店している。
博多口側には博多バスターミナルやKITTE博多との連絡通路がある。

  • 地上3階~10階
博多口側はJR博多シティとハンズが入居。Tジョイ博多もこちらにある。
筑紫口側の地上3階は新幹線のホーム。詳細は後述。その上の北東側はクリニックや薬局、テナントオフィスが入居。
南東側はJRの事務所等があり、一般人は出入り不可。
8Fにあったポケモンセンターフクオカは2025年6月27日に隣の博多マルイ2Fに移転。跡地に任天堂直営オフィシャルストア「Nintendo FUKUOKA」が2025年末に開業予定。

  • 屋上
つばめの杜ひろばと呼ばれる庭園と展望台の併設空間。
建設に関わった人の名前が彫られた石碑なんかも存在している。
また夏場には職員が飼育したホタルが展示されることも。
地下鉄で5分の距離にある福岡空港の影響で航空法による高さ制限があるため、現状この高さが限界。

  • 地下1階
福岡市地下鉄の改札(博多口、筑紫口)があるフロア。
基本的に東西は分断されており、細い連絡通路兼飲食店街のPeace Valley Streetで接続されている。
博多口側は飲食店が並ぶ博多1番街。更に多数の近隣ビルまで接続している博多地下街が広がる。
何なら地下鉄空港線の隣駅にあたる祇園までなら地下通路で行ける。
筑紫口側も飲食店や衣料店が入るAMU。2019年に都ホテル博多の改装が終了し地下でも接続されるようになった。
前述の高さ制限が緩和されない代わりに、このように地下空間を広げる計画「博多コネクティッド」が進行中。

  • 地下2階
福岡市地下鉄空港線の改札(中央口)がある。

  • 地下3階
福岡市地下鉄空港線のホームがある。筑紫口改札や博多口改札からだと一発で行けるので地下2階と思われがちだが実は地下3階とのこと。

  • 地下4~5階
福岡市地下鉄七隈線の改札及びホームがある。


◇在来線

在来線はJR九州が管理している。島式ホーム4面8線。
駅番号は起点駅ということで、両線区とも路線記号のつかない「00」が使用される。

1~4番のりばのいずれかから出発する。5番のりばは一部列車のみ。
  • 鹿児島本線下り(二日市、鳥栖、大牟田、熊本方面)
3~7番のりばのいずれかから出発する。
ほとんどが8番のりばから出発し、一部列車のみ7番のりばを使用する。

◇新幹線・博多南線

当駅は山陽新幹線九州新幹線の境界駅である。他にも新幹線の車両しか乗り入れない特殊な在来線の博多南線も乗り入れている(博多南線は特急料金の計算上は在来線特急扱いである)。
山陽新幹線と博多南線はJR西日本管理、九州新幹線はJR九州管理となっている。

九州新幹線開業後は島式ホーム3面6線となっている。実はこれは新幹線の駅としてはかなり規模が大きいものである*3
11番のりばのみ行き止まりホームとなっており、下り方向にしか進めない。

  • 山陽新幹線上り(小倉、広島岡山、新神戸、新大阪、京都、名古屋、東京方面)
12~14番のりばのいずれかから出発する。
11、14~16番のりばのいずれかから出発する。
11番のりばは折り返しの当駅始発列車の専用ホームである。

◇福岡市地下鉄

空港線は島式ホーム1面2線を有する。
1番のりばが福岡空港方面、2番のりばが天神、姪浜方面となる。
西行きの一部列車はJR筑肥線(九大学研都市、筑前前原、唐津方面)に直通する。

七隈線は島式ホーム1面2線を有する。
始発駅のため、3・4番のりばの全列車が天神南、橋本方面に向かう。
博多駅開業に伴いそれまで天神~天神南間で実施していた改札外乗り換えが廃止された。

■駅周辺

現在の駅舎は計画的な移転によって建設されたこともあって、線路がほぼ真っ直ぐに南北を貫く配置となっている。
一方で周辺の幹線道路は旧駅舎及び旧線路に並行または垂直に交わる形で伸びていたためか、現在の駅舎とはおよそ45度前後の角度で交わる道が多い。

駅の西側(博多駅前)は観光客向けのシティホテルが立ち並びどちらかと言えば商業地区。
キャナルシティや屋台の並ぶ中州にも近く、福岡タワー・福岡ドームや天神方面へアクセスするバスも主にこちら側から出ている。
居酒屋や飲食店も観光客を意識した、落ち着いていてちょっと値の張る店が目立つ。

駅の東側(博多駅東・博多駅南)は合同庁舎やNTTを中心にビジネス街の傾向が強い。ホテルもいくつか例外はあるものの、主にリーズナブルなビジネスホテルが占める。
居酒屋はサラリーマン・出張者向けの大衆酒場が多く、安く飲んだり大人数ならこちら側の方が選択肢は多い。


前述の大通りについては、市が道路愛称を定めている42の通りに含まれている。
  • 北東方面:福岡空港の北側を迂回して国内線ターミナルに接続する「空港通り」
  • 北西方面:博多港やマリンメッセがあるベイサイドに伸びる「大博通り」
  • 南東方面:鹿児島本線下り方面と並走し、ららぽーと福岡前を通ってベッドタウン*4へ向かう「筑紫通り」
  • 南西方面:住吉神社の前を通って柳橋連合市場や薬院、六本松に繋がる「住吉通り」
  • 西方面:キャナルシティ博多の前を通り、天神の南側にアクセスする「はかた駅前通り」

地元民は日常会話で良くこの道路名を使う他、バスの行き先表示に記載されていたりするので、覚えておけば多少は土地勘が掴みやすくなる。

■沿革

現在の駅舎は実質4代目。場所としては2か所目。
元々は貨物併設駅であったが、戦後の発展で客数激増に伴い混雑が見られるようになった上に当時の土地が手狭だっため、3代目駅舎と共に現在の位置に移転した。
ちなみに移転前は駅の下り方面にほぼ90度に近い急カーブが存在していたが、移転に際して駅の方角を改める事で線形が改善し、前後の駅間も少し短くなっている。

その後半世紀近くに渡って3代目駅舎だったが、正直言うと当時の博多駅は地味だった。
百貨店*5は入っていたし周辺にも店舗はあったものの、全体としてどちらかと言えばビジネス街の趣が強かった。
当時の福岡県民には「通勤・通学や出張・旅行でなら博多駅も使うけど、買い物したり遊んだりするなら天神」という意識は少なからずあったと思われる。

転機となったのは2010年前後の九州新幹線開通とそれに伴う大規模改装だろう。
駅ビルだけでなく郵便局の併設ビル等も建て直しが行われ、阪急百貨店・東急ハンズ・マルイ・Tジョイと言った他地方資本の店舗を誘致することで、独自の商業圏を確立。
同時期に国全体で観光業を推進する流れもあったため、飲食店を中心に観光向けのメニューも積極的に提供して行くようになった。
さらに空港・新幹線からの良好なアクセスを活かして観光やビジネスの拠点となることを構想し、市として2019年から「博多コネクティッド」と呼ばれる政策を推進している。
その中心計画の一つだった、在来線ホームの真上にホテルや商業施設の複合ビルを建設する「博多駅空中都市プロジェクト」は残念ながら建設費の高騰を理由に中止が発表されたが、
周辺ビルの建て替えや拡張は25年現在も継続して行われている。


■駅前道路陥没事故

当駅を語るのに欠かせないのが、2016年11月8日に発生した駅前の陥没事故であろう。
七隈線の延伸工事の作業中に起きたこの事故は、幅約30メートル四方深さおよそ15メートルにわたって陥没。近所のホテルから撮影された徐々に穴が広がっていく動画がTV報道やSNSで拡散され大きなインパクトを残した。
一方で工事作業員がいち早く道路の異変に勘づき、陥没前に全作業員の退避および道路の封鎖が完了していたため、
事故が原因のケガ人・死者が一切出なかったことで大きな話題を呼び、海外メディアでも報じられることになった。

とはいえ、博多駅前はビジネス集積地であり電気・ガス・水道のライフラインが全て寸断される言う事態となり、博多駅構内も一部エリアで停電*6になるなど混乱が生じ、最終的な復旧には1週間かかった。
復旧の様子はライブカメラにて配信されていたが、ピストン輸送される特殊土*7を高圧ポンプ車で陥没穴に流し込む様子を同年に公開された特撮映画なぞらえる声もあったとか。

ちなみに、実は1~3メートル程度の小規模な陥没は以前から年数回程度発生し地元ニュースになっている。
博多駅周辺は数千年前は海であり、川から流れ込んだ土砂や室町時代以降の埋め立て事業によって地上となった歴史がある。
その為地下にはいくつもの空洞と地下水が溜まっているのは工事関係者の間では知られた話で、日ごろから警戒されていた。
その中でも特に規模が大きかったのがこの2016年の事故だったのである。
この事故の影響で七隈線の開業が3年延期されたが、2023年3月に無事開通。


■余談

  • いわゆる「待ち合わせスポット」と呼ばれる場所がない、とローカルTV番組でネタにされている。
    • 博多口の広場にはハート型の郵便ポストや黒田武士像と言ったオブジェはあるが屋外な上、交番や地下街入り口などに遮られ余り目立たない。
    • 屋内には大型モニタ*8があるが目の前にイベントスペースがあり不定期に企業が出展する上、やや手狭で待ち合わせに向かない。
    • 筑紫口を出た所の中心位置は屋根の下で広い割に人通りもそこまで多くないが、屋内からよく見えない上に目立つオブジェがないせいか余り認知度は高くない。どちらかと言うと観光客向け写真撮影スポット。
    • ちなみに番組内で最有力とされたのは博多口2階デッキ兼連絡通路。道幅が広く通行の邪魔になりにくい上、ベンチがあるため。

  • 水曜どうでしょうの名物旅企画「サイコロの旅」では出発地の東京/新宿駅を除けば最多の到達数(5回*9)となっている。
    • 恐らく「北海道民に馴染みのない九州地方でも知名度が高く視聴者サービス枠として目立つ」「様々な経由地から新幹線や夜行バスでアクセスできる」「近隣の福岡空港から新千歳への直行便が出ており時間切れギリで寄ることになっても間に合う」と言う事でパネルに書かれる頻度が高いのが理由。勿論それを引く2人のサイコロ運も大概であるが。


追記、修正は博多南線に乗ったことがある人にお願いします。


   
最終更新:2025年10月20日 00:01

*1 主に行列のできるミニクロワッサンのお店が発生源。

*2 階段途中の踊り場より下が福岡市交通局の管轄、上がJR西日本の管轄だったため連携が取れていなかった

*3 他に新幹線ホームで3面6線以上あるのは新大阪駅(5面8線)、東海道新幹線東京駅、大宮駅だけ。基本的に新幹線ホームはターミナル駅であっても2面4線が普通である。

*4 旧筑紫郡である筑紫野市・春日市・大野城市・太宰府市・那珂川市

*5 井筒屋、北九州に本拠を置く老舗百貨店。当時の博多駅を象徴する煉瓦色のタイル外壁はこのお店に由来する

*6 JR九州管轄エリアは影響を受けなかったが、筑紫口に近いJR西日本管轄エリアが停電となった。

*7 流動化処理土と言う、水の中でも短時間で固まる性質を持つ。長期保存ができないため県内外のプラントを最優先&フル稼働させてリアルタイム生産し、随時ミキサー車によるピストン輸送を行った。

*8 と言うのも福岡(天神)駅は最も大きい北改札口を抜けた階段正面に大型テレビジョンがあってその前が待ち合わせスポットとして定着しているため、福岡県民にとって「待ち合わせ場所≒大型モニタの前」と言う意識は強い。

*9 サイコロ2~4で1回ずつ、サイコロ5で2回。サイコロ6は目的地は「博多」と書いてあったが、交通手段の関係で到着地は福岡空港。