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イギリス料理

登録日:2011/12/12 Mon 19:31:46
更新日:2026/09/30 Wed 00:02:35
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――まともな飯をイギリスで食べたいなら

朝食を三回食べるべきだ――

(by サマセット・モーム)

イギリス料理とは、イングランド及び、北部アイルランド、スコットランドにて食されている料理。



■概要

イギリス、というかヨーロッパでは『穀物を主食とする』という自覚が乏しく、いわゆるパン食ではあるのだがパンが主食かと聞いても理解は得られ辛いらしい。
パンは、薄切りにしてカリっとトーストしたものが好まれるが、必ずしもいつも食べるわけではない。
一方で三食共にじゃがいもを大量に付け合わせるので、まぁこれが主食と言えないこともないが以下略。
また、小麦やコメから作る『プティング(ヨークシャー・プディング)』というモチモチのシュー皮のようなものも大変好まれているなど、何だかんだ言って穀物がかなり多用されている。

故に太る。

基本的な調理法は焼き、煮込みといったシンプルなもので、時間をかけてじっくり作る傾向はあるがその調理法そのものは質素。
食材には基本的に味付けをしないので、食べる時点で各テーブルの塩胡椒や酢等で味付けするのが一般的。
10時と15時(正確には16時)のお茶であるアフタヌーンティーも有名で、意外にも砂糖をたっぷりいれる上、唐辛子粉等を入れたりもする。

だからこそ太る。


■味について


ま、ま、まぁ―――ッ!
不味いなんてもんじゃないッ!
あれは燃料と同じよ!ガソリンよ!
胃が消化できるものなら何だっていいのよ!いいえ消化できるだけタチが悪いわ!
連中はッ、日々の食事を、楽しく、美味しくしようとする脳の神経がっ、全く、一切、無いっ!
―――イギリス料理について、遠坂凛

さて、ここからが本題。
イギリス料理最大の特徴。それは、世界有数の不味さである。
ある国の料理の味がどうしても口に合わない、受け入れがたい、というのは誰しも一度は感じたことがあるだろう。
例えば日本東部では朝食のお供にお馴染みの納豆だって、専門店が出来るほど日本各地で食べられている卵かけご飯*1だって外国人から見れば立派なゲテモノ料理。

ただ、それは大抵の場合、食べ慣れていないせいで美味しいと思えないだけだったり、
その国の文化に理解が足りず食わず嫌いになっているだけだったりする(そもそも美味しいかどうかは個人の感じ方に寄る部分が大きい)。
だが、イギリス料理の場合は、単純に不味いことに起因する。

その不味さたるや、当のイギリス人すら認め、ジョークのネタにするほど。
  • イギリス人の記者が書いた『イギリスの伝統料理20選』の記事が皮肉たっぷり。
  • フランスの前大統領がイギリス料理を貶めた際に当時のイギリス外相が賛同した。
などなど。

前述の通り調理法そのものはシンプルなのだが基本的に時間をかけてじっくり作る……つまり、野菜も肉も、とにかく原形を留めないほどに茹でたり焼いたりするので、ぐちゃぐちゃだったり黒焦げだったりするのが普通。
更には個人で味付けをするのが前提なので、基本的に薄味。
給仕のマナーにおいて、料理のソースを別添えで出し、客に好みの量を訊いてからかける方式をイギリス式と呼ぶ点からも、
イギリスの料理文化の特徴(よく言えば食べる側が自分の好みに味付けできる、悪く言えば最終的な味付けを食べる側に丸投げしている手抜き料理)がよく分かる。

そもそも、食事そのものに対して無頓着なので、皿には前回の食事の汚れ、もしくは洗剤の泡がついたままということも日常茶飯事なのだ。

衛生観念も先進国の中では異質なほどに低く『加熱して殺菌されるから』と言って床に落とした食品を再利用する、そもそも床に置くなどの行為も珍しくない。*2

この食事に対する消極的姿勢については、上で凛が叫んでる内容の通り清教徒の国故に美食を贅沢とし戒める考えが根底にあることが原因の1つと言われている。
お隣のフランスが快楽主義なのとは真逆である。
とはいえ、あまりに無頓着すぎるが……。

ただし、洗剤の洗い流しが不十分な点はイギリスに限らず、ヨーロッパのような歴史的に水不足に悩まされがちだった国ではありがちなこと。
たとえばフランス人の風呂嫌いと強烈な香水のイメージも、元々は水の確保や上水道の整備が進まず、頻繁に風呂に入る習慣が根付かなかったことが主な原因。
月1の入浴が『異様な潔癖症』扱いだった時点でお察しください


■不味い理由

さて、ではなぜイギリスはこんなにメシマズ国家になってしまったのだろうか?
『囲い込み運動(エンクロージャー)と産業革命が最大の原因だった』が有力な説である。

元々、イギリスの農村部などにはそれなりの食文化があったことが近年の研究で判っている。まあ、農業やって家畜育てて食文化が育たないわけがないのだが。
ただ、イギリスの国土は肥沃とは言えない*3、食材が豊富な国と比べて元々多様性に欠けていた面も否めない。
しかも、囲い込み運動によって休耕地でのハーブ栽培や入会地での自然の幸の採取はされなくなり、産業革命によって都市部の工業化が進むと大量の人手を必要とする機械化のために農村部から人が引き剥され、文化が途絶えてしまう。
これがまず一つ目。

次に流通事情がある。
それまでは農村部、あるいはその近くにある都市ぐらいで消費される作物や家畜は、距離の関係もあって鮮度はそれほど重要視されなかった。
しかし、都市部に人口が集まり、大量の食料が必要となると事情が変わる。
例えば牛乳。それまでは農村部やあるいは近くの街で新鮮なものを新鮮なまま飲んでいた。
ところがそれが、急激な人口増加のために都市に運ばれるようになる。殺菌も加熱もしないで……。
かくして都市部では大量に集まる鮮度の悪い食材が消費されることになる。
また食材そのものの偽装についても凄まじく、出がらしの茶葉や適当な木の葉をあつめたものに 銅で着色して 紅茶に見せかけていただの、パンには 石膏を混ぜて白くする だの、マスタードに 漆喰を混ぜる だの、 チョーク入り牛乳 だの、産地偽装どころか食い物ですらないものが平然と流通する始末であったという。
そんな食材どうするかって?過度に焼いたり煮ることで対処。「思いっきり火通せばなんとかなるんじゃね、知らんけど。」という事である。
次第に、下処理すら碌にせずそのままこれでもかと焼いたり煮たりし、調味料を大量にぶっかけて食べるおおざっぱ豪快な食事が基本スタイルとして確立されることに。

そしてトドメに、時間がなくなったこと。
産業革命による工業化は、イギリス国民から時間を奪った。
ほぼ18時間労働が常態という異常な労働環境は家庭の時間というものを奪った。ブラックなんてレベルじゃない

初期の労働者にとって、家庭とはただ睡眠と食事を取る場所でしかなかった。
賃金は低い、長い労働のせいで時間も体力もない。料理に費やせるだけの時間的、経済的リソースなどあるはずもない。
これもまた上で凛が叫んでる通り質の悪い材料を使って短時間で栄養を補給するためだけの、
それこそ燃料・ガソリンのような、胃が消化できるものなら何でもいいようなものが必要とされるようになり、手間暇かけて食事を作るという文化が途絶する。

ならば労働者ではない中流階級や上流階級は?と見ても、彼らは彼らで家事を雇った使用人に任せっぱなしだった。そうすることがステータスであるという見栄もあった。
ただ、この使用人として雇われるのは前述の労働者階級の人たちなわけで……。
結局、金と余裕のある家庭でもほとんど労働者階級と同じものしか食べなくなってしまっていった。
なお、どうしても食に拘りたい美食家はフランスから料理人を呼び寄せてフランス料理を食っていた。

じっくりと時間をかけて(火を通しまくって)作る、という上記の記述と矛盾しているようにも見えるが、時間がないのに料理には時間をかけるということからお察しの通り、
1回作ったらそれを時間をかけて食べるという行為に繋がっており、毎回手間をかけて料理をするということはしないという事である。
貴族の間では日曜日に牛を締めてステーキを喰い、当然1日では1頭丸々なんて食えるわけもないので残った肉を適当に温めたりスープにしたりするなどして1週間かけて消化していく習慣が当たり前のようにあったという。

そんな世の中なので、当時のイギリスの料理人の地位やら志も高くなりようがなく、
『食べられるならいい』的なモノがイギリス伝統料理として完全に浸透することになった。
かくしてイギリスから料理は消えた…と言われている。いや、言われていた。



■現在

英仏海峡トンネルの開通で食品の輸入が容易になった上に、料理番組の放映も増えており、国を挙げて食文化の改革・向上につとめている。

ちなみに、イギリスの料理番組はエンタメ性重視。
料理人のトークやライフスタイルそのものをウリにする番組が多く、肝心の料理のほうは突っ込みどころ満載やや大雑把である。
平野レミと速水もこみちと彦麻呂を足して3で割らないのが当たり前と思っていい。

ともかく食に関わる環境が大きく改善されたため、昔のように食べ物に無関心ということはなくなり、料理下手な人は減ってきているという。

……伝統的なイギリス料理は相変わらずのようだが。
つまり、近代に改革された「新しい」イギリス料理は言うほど不味くない、どころか美味いものも少なくないが、
それはあくまで伝統的イギリス料理を改革したものであって、昔のイギリス料理はやっぱり不味いというレッテルを拭い去ることはできない(諦めている?)様子。

なお、中華料理店やインド料理店が多いので、イギリス料理が口に合わなくても都市部では大丈夫である。
直近ではロンドンオリンピック開催時、選手村で一番行列ができたのはマクドナルドだったっという話もあるほど。

最近では日本のカツカレーも人気だとか。なお、「カツカレー」と言ってもカツが乗っていないものもあり、日本式カレーのことを一纏めにして「カツカレー」と呼ばれている模様である。
そもそも日本のカレーはイギリスから伝来してきたものをアレンジした料理なので、ある意味先祖返りというか逆輸入である。CoCo壱番屋もイギリスに進出しており、盛況らしい。

「イギリスの料理は最近美味しくなった」と言ってこれらの料理が挙がりがちなのはご愛嬌。

一方でいわゆるエスニックジョークとしては日本においてすら今なお定番ネタであり、割と最近の作品でも「イギリスキャラ」と「料理下手」「味音痴」がセットにされていることは散見される。
例として『艦これ』ではアンソロジーコミックにおいて「金剛*4は火加減がわかんないので結果的に料理が上手くできない」という内容の作品にokが出ていた巻があるし、金剛型戦艦そのものをイギリス生まれと数えるのであれば、ブラウザ版の描写である「比叡の料理は提督がコメントに困るような内容」もこれが元ネタとする解釈もできる*5。

実際の所、「現在の実態には合わない過去の話で国家ヘイト」と言うのはあまり褒められたものではないのだが、まあ昔は当のイギリス人もネタにしていたくらいなので仕方ない所ではあるだろう……。

■主なイギリス料理


前述の通り、イギリス料理と言っても別に全部が全部不味いわけではない。日本でも普通に好まれているメニューだってあるし。
また、作った料理を時間をかけて食い繋ぐという性質上、その起点となる「日曜日」「朝食」のメニューは中々評価が高い。
皆大好きベーコンエッグとかの玉子料理がたっぷりだ。

……ん? 幼稚園児でもできるって?

シンプル・イズ・ベストという言葉を知らないのか貴様。

イギリス料理の中でも最も知られているであろう一品。
貴族はかつて、日曜日に牛を一頭丸々使用して作っていた。いわゆる「サンデー・ロースト」と呼ばれるものである。
出来立ては旨いが、前述の通り伝統的なイギリス料理として見た場合には、量が量なだけに平日の間はずっとローストビーフ共々残り物を食べる*6ので、やがて鮮度が落ちて不味くなる。
そもそも昔は冬に家畜を飼い続けるのも楽ではなく、秋に屠殺して冬中その肉を食べるのも普通だったとか。
香辛料(肉の臭みを誤魔化せる)がもてはやされる訳である。サンデー・ローストが一番美味いと言われていたのもうなずける。

つまりは、元々はごちそうであると同時に保存食でもあり、当時は「新鮮な食材を食べる分だけ」などという事が難しかった事を考慮しなくてはならない。
そのため、現代では新鮮な牛肉が一年中流通しているので、事情が大分異なる。
食べる際はソースとホースラディッシュを添えたい。西洋ワサビではない方のワサビもイケる。
日本でも人気の高い料理であり、「ローストビーフ丼」は高級感あるアレンジとして知られている。
ちなみにこのローストビーフ、フランス語ではロスビフというのだが「こんな田舎臭い料理ぐらいしか知らないイギリス野郎」みたいなひっでえニュアンスがあったりする。要はそれだけイギリス人がローストビーフばかり食べていたということである。

  • プディング
いわゆるカスタードプリンを想像しがちだが、元々プディングとは、小麦粉、卵、牛乳、バターなどに調味料を加えて混ぜ加熱して固めた料理全般を指す。
なので日本でおなじみのカスタードプリンの他、トウモロコシや小麦粉で作ったプディングが食事の際にも出る。
例えばローストビーフやステーキの付け合わせにされるヨークシャープディングは、シュークリームの皮みたいな見た目。
作り方次第ではムチャクチャに固くなる。

  • フィッシュ&チップス
イギリス人のおやつ。衣を付けて揚げたタラなどの白身魚の切り身と、フライドポテトのセット。
非常にシンプルな料理のため、ちゃんとした店を引き当てられれば美味いものを食べられる。

ただし、イギリスに多い屋台形式の店のものは、食中毒防止のためか揚げ過ぎな上に油や魚の鮮度にも無頓着なのでなんか臭いことがあるので注意。
また、基本的に味付けはモルトビネガー(酢)であり、これが味や匂いが独特なので、好き嫌いが分かれる(これは、誕生当時は気軽に使える味付けが他に塩*7程度しかなく、ビネガーでもかけなければ味気がなくて仕方がなかったと言う事情もある)
日本で食えば普通に美味いというのが専らの評判であるが、単に魚や油の鮮度・日本人好みの味付けといった程度の話でしかない。

ちなみにワザと冷蔵庫に入れて味を落とすのが伝統製法……と言う話もあるが、真偽不明。
実際の所、「とにかく早く安く食う」と言う目的で作られた料理にそんな謎のひと手間をかける事はしないと思うのだが。
作り置きのために放置して鮮度が落ちたと言うのはありそうだが。

なお、この料理は伝統的に新聞紙などの紙に包んで提供されていたのだが、お下品なタブロイド誌、
特にイギリス版東スポことザ・サンで包むといつまでもホット(意味深)で美味しいというジョークがある。
とはいえ流石に衛生面への配慮から、現在では新聞紙を包装とする事は禁止されている。

とあるスピンオフ漫画では主人公のイマジナリーフレンドの一人がこの料理を推していたが、一度も採用されなかった*8

  • シェパーズパイ(コテージパイ)
マッシュポテトと羊(もしくは牛)の挽き肉を使ったパイ料理。
シェパーズパイに限らず挽き肉を使用したミートパイ全般は伝統的なイギリス料理である。
これもきっちり作れば美味しく仕上がるのだが、イギリス料理にありがちな薄味&焼き過ぎの失敗が起こりやすい。
また、羊肉を使ったものの場合は、下処理や肉選びを少しでも間違えると羊肉の臭味が丸出しになって台無しとなる。

  • スターゲイジーパイ
主にピルチャード(大型のイワシ)をまるごと使ったパイ料理。
16世紀に危険極まりない冬の海で漁をして飢えに苦しむ村を救ったとされる、勇気ある漁師を讃えるために作られた由緒正しい料理であり、
その村辺りでその漁師の祭日である12月23日に食べるコーンウォール地方でもマイナーな行事料理だった。
ちゃんと魚を使っていることを示すためにある(・・)工夫がしてある。

……まあそのギョッとするようなインパクトで語り草になっているが、実際の所は「鯛のおかしら付き」等と同様にただの飾りに過ぎない。
実際、食べにくいので、現地のお祭りでは魚の頭を避けて切り分けている。
上記の通り由緒正しい祭の縁起物であり、その見た目で馬鹿にするのは良い事とは言えないだろう。
あと、イギリスの奇食代表みたいな扱いをされる事も多いが、そもそも「ごく一部の地域で祭りの時だけ作る特別な料理」であり、実際の所はイギリス料理と言って良いのかどうかも微妙。

なお、オリジナルレシピでは獲れた7種類の魚が全部使われていたが、そこまで再現されることはほぼない*9。
味はと言えばぶっちゃけ見た目以外はただの魚のパイであり、ちゃんと作れば特筆するような味ではない。
ただ魚料理の常として、失敗すると絶望的に不味くなる。
そもそも魚が新鮮ではなかったり、下拵えに失敗したりすると、魚の生臭さがモロに出るのだ。

ちなみによく関連を疑われる魔女の宅急便に出て来る【ニシンのパイ】とは別物なので注意。

  • ヤツメウナギのパイ
中世イギリスの美食家たちの大好物。
レバー味の吸血エイリアンフィッシュ、ヤツメウナギを使ったパイ料理。
ヘンリー1世の死因はこれの食べ過ぎとされる。
因みにヤツメウナギ自体は意外なことに世界中様々な地域に食用にする文化があり、日本でもカワヤツメを蒲焼きにして食べる地域もある。

  • ステーキ&キドニーパイ
牛の腎臓を使ったモツ料理。
腎臓をエールで煮込んで、牛ブロック肉と共にパイで包んでいる。
臭みの強弱と食べる人が臭みに慣れているかどうか次第で評価が真っ二つに割れる。
なお、この場合のステーキとは「肉の切り身」という意味であり、事前に焼いたりはしない。

  • ウナギのゼリー寄せ
ウナギをぶつ切りにして塩茹でして冷やしたもの。うなぎのゼラチン質でゼリー状に固まっている。
日本で言えば煮凝り相当の物ではあるが、その見た目は宇宙生物の卵の塊みたいでハッキリ言ってグロい。
テムズ川でたくさん獲れていたヨーロッパウナギを使った、ロンドンの貧民街イーストエンドのローカル料理。安くてボリューミーだったので労働者に好まれた。
現在でも缶詰めとして流通しているが、やっぱり旨いものではない。というか本当にただ「茹でただけ」なので味が無いし、骨もそのままで食べにくいことこの上ない。
味も臭み消しも調味料頼みなので、そのまま食ってはいけないのだ。
是非チリビネガーを用意しよう。ビネガーはイギリス料理の基本である。
しかし、なぜこんなことに……。

余談だが、近年では材料であるヨーロッパウナギも、ニホンウナギと同様に乱獲などで絶滅の危機に瀕している。
近い将来、この料理も食すことが出来なくなるのかもしれない…。

  • ハギス
羊の胃に羊の内臓や香草、タマネギ、スパイスなどを詰め込んだソーセージのようなもの全般。
もともとは土地の痩せたスコットランドであまり食されない部位の肉を何とかして食べるために生み出された伝統料理。
ハギスを大仰に讃え、憎っくきイングランドのお偉方が食うフランス料理をバカにする詩の朗読を聞きながら食べるのが作法である。
なお、スコッチ・ウイスキーやスコッチ・ウイスキーベースのソースをぶっかけて食べるのが基本なので、
間違って単品で食べた場合は愛好家からもブーイングをくらう可能性が割と高い。
大雑把な説明から察することが出来るが、これも色々な種類がある。
ちなみに伝統的なハギスは入手し辛かったからかスパイスは特に使われていなかったらしく、現代のハギスとはまるで別物と考えても良いだろう。

肝心の評価については……、やはりと言うかなんというか好き嫌いがハッキリしている料理である*10。
見た目が何かの生物のキン○マみたいなものにしか見えないし
ちなみに前述の「フランスの前大統領が貶めたイギリス料理」がコレである。
EU首脳による会合で*11饗され、「こんなマズいもん食う国と外交なんざ出来るか」という発言が飛び出し、大衆紙経緯でガチで国際問題のタネにもなりかけた*12。
エスカルゴなんか食ってる奴らに言われたくないと言いたい所だが少なくともハギスよりはまだマシだろう…
むしろよりによって外交の席にこの料理を出した方も出した方である*13
シ〇ク「ブッシュもおふざけで『エディンバラG8でハギスが出る事は懸念する』とか言ってたじゃないか、解せぬ」
ただ、近年はチーズと一緒にパンに挟んでホットサンドにするという調理法があり、そちらは大好評。専門店が日本に出店するほどである。

ご存知パリッとジューシーな美味いやつ。
だが、ハギスがご覧の有り様なのだから、こっちの国のソーセージだって一味違う。
その製法は材料の約半分がパン粉*14という最早ソーセージの皮を被った何か。ドイツ人も恐れさせたほどである。
フワフワと言うよりフニャフニャな食感で、大量の香辛料で味を誤魔化している。
豚の腸を使うので太さはフランクフルトサイズ。
リーキ(西洋ネギ)なども入っていたりする。パン粉&リーキ入りソーセージと餃子、どうして差がついたのか…。
他にはリンゴ入りなんてのもある。
「バンガーズ」(破裂するもの)とも呼ばれる。*15

茹でると悲惨なことになるので、必ず焼いて食べること。イギリスでも茹でることはほとんどない。
パブではグレービーソースをかけてマッシュポテトと一緒に「バンガーズ&マッシュ」として出していることが多い。
1980年代以降、普通のソーセージのほうが美味くね?という層が増えており、パン粉入りを作らないメーカーも多いが、
コンフォートフード(懐かしの味的なもの)として一定以上の需要は保たれている。

普通、ソーセージは製造工程で加熱処理してあるが、イギリスでは製造工程で加熱処理していない生ソーセージが多い。
調理前の生ソーセージは当然ながら生の豚肉と同程度にE型肝炎ウイルス(HEV)を持っている。
豚はほぼHEVを持っているが、仔豚は血中にもHEVを持っているもののほとんどの場合は成豚になると血中には居なくなる。
ただし成豚でもレバーには普通にHEVを持ったままである。
臓器・汚物・年齢などがキチンと管理・処理された生の豚肉のHEV保有率は1%程度なのだが、
2014年に報じられたイングランド産・ウェールズ産の生ソーセージや生肉ハム(生ハムではなく焼くか茹でる必要がある)など非加熱の豚肉加工食品のHEV保有率は10%。
基本的にソーセージの表面が黒く焦げるまで焼くのがイギリス流だが、
温度適当・時間適当で焼いて内部温度が高くなってない物はわりと洒落にならない確率でHEVのアタリ付き。*16

なおソーセージやコンビーフに近い食品であるSPAMに関する詳細はリンク先参照。

  • トーストサンドイッチ
トーストしたパンを食パンで挟む。それだけ。
お好みでバターや塩コショウで味付けするとより美味しく頂けます。

元は病人向けの食事として大真面目に考案されたもの。「物凄く口がパサパサになるんじゃね?」とツッコミそうな人もいるかもだが、一応当時は流石にこれだけで出すようなトチ狂った料理ではなく、肉類などを食べやすく加工した上で合わせたりすることも紹介されていた。
そもそも当時は医療も栄養学も未発達で、「とりあえず病人には淡白な物を食わせておけば良い」と思われていたことに留意したい。
その制限の中で精一杯に工夫された料理が、これなのである。……まあそれはそれとしてやっぱり調理法のインパクトは強いが。

しかし時の流れと共に一時忘れ去られてしまっていたが、時は流れ2011年に王立化学会がやっぱり大真面目に紹介したことで再注目。
「イギリスを代表する名物サンドイッチ」とする声すら挙がるまでになった。……なんで??

ただ実際の所、味の方はちゃんと美味い。
味付きトーストと生食パンでは食感も味も大きく異なるので、割とサンドイッチとして成り立っているのだ。
ただし、トーストの味付けはかなり濃いめにすること。

主にトーストに塗って食されるパッと見はチョコレートクリームのようなペースト状の何か。
その正体はビールの製造過程で生まれた沈殿物(酒粕のようなもの)を凝縮したようなものであるらしいが、製造過程などは企業秘密。
その味は「薬品臭い」「塩辛い」などの感想が見られ、大きく好みが分かれるものである。要は激マズ
マーマイト好きであっても直接塗って食べるのは厳しく、間にバターやマーガリンを塗っておくなりするのが基本。
適量使う調味料の様なポジションであり、直接食べるのは多量のワサビや醤油を一気に口に含む行為と同義と言える。

番組のロケでイギリスを訪れたイモトアヤコがこれを食した際、「くそマズい!」とキレ気味に感想を吐き捨てた。
しまいには「これを毎日食ってる奴を信用できない」とまでぶっちゃけた。
筆者は真偽を知らないが、WWⅡ時にドイツ兵捕虜の健康のためという理由で支給したら捕虜虐待と訴えられた逸話もあるとか*17。
癖の強い食べ物の例に漏れず好きな人はとことん好きなのだが、そもそもイギリス人の間ですら好き嫌いが分かれる。
あまりの味に味覚がこれに適応されていくらしく、マーマイトから離れて最初はせいせいした人ですら、次第にこの味がないと物足りなくなるなんて場合も。
愛好家の有名人ではミュージシャンのエルトン・ジョンがおり、海外ツアーの際には必ず携帯するんだとか。

なお、味の系統が八丁味噌に近いため、日本人は愛知県東部など出身地方によっては割とイケる方だったりする。*18

煮る さらに煮る とにかく煮る もうちょい煮る 念の為にもう少し煮る。
んで、ブッヨブヨのベッチャベチャになるのでした。うへぇ

因みに〈英国製ミリメシ〉のネタに出現する「パスタ缶」はコレの事である。

  • イングランド風インゲンサラダ
塩ゆでしたインゲン豆にバターを乗っける。これだけ。お手軽。

  • タマネギのピクルス
タマネギをスパイス入りの酢に漬けた物。

  • ポットヌードル
イギリスの代表的なカップ麺であり、カップ麺自体がポットヌードルという呼称で通じるほど。
近年ではネットを中心に「世界一不味いカップ麺」と注目を集めている。
その不味さの要因として、麺の粉っぽさが日本人の舌には合わないらしく、在英日本人からの評価もかなり悪いらしい。
最近だと、北海道発の某ローカル旅番組に「CHOZEN NOODLE」というブランドが登場。
出演者の一人とディレクターがグリーンカレー味とダック味を購入していたが、口にするなり「おっと」「うわっ」等、到底食べ物を食したとは思えない感想を口にしていた。
出演者達曰く、
「麺がモタつく」
「(かけたはずの)つゆがないよ」
「なんだコレ」
「ムリです」
最終的にはコレをめぐり、出演者ともう一人のディレクターの間でみみっちい押し付け合いが発生していた。

「おたくらふたりで盛り上がって食ってたんだからおたくらふたりで食って下さいよ」
「みんなでHTBのお金で買ったんだからみんなで食べましょうよ」

……もっとも、味のフレーバーは幾つかあり、モノによってはそれなりに食べられるらしいが。


■しかし美味いものもある


  • イングリッシュ・ブレックファースト(フル・ブレックファスト)
イギリス人の食事としては唯一まともなもの、というか欧州でここまで(日本人の感性と照らし合わせて)まともな朝食は珍しい。
そのまともさは、この項目冒頭のお言葉で皮肉られる程。ただしソーセージを除く
朝からこんなに喰えねえよ!ってぐらい山ほど出てくるほど豪華だったが、近代では昼飯と夕飯がまともになるにつれて朝食は簡素化*19が進んでいる。
いわゆる民宿のようなところでは、未だにこのタイプの朝食が出されるらしいが。

  • ベイクドビーンズ
イングリッシュ・ブレックファーストといえばまずこれ。トーストや目玉焼きに乗せて食べる。
「ベイクド(焼いた)」とあるので炒めたり焼いたりしたものを想像するかもしれないが、実際にはいんげん豆をトマトソースで煮たもの。
いんげん豆自体がアメリカ大陸由来のものであるため、元はアメリカから伝わった料理である様子。
原典のレシピではソースで豆を蒸し焼きにするものであるとの事。
アメリカでは甘みの強い甘辛ソースで味付けするので、ケチャップの味を想像して食べるとその甘さにビックリするのだが、イギリスではあくまでトマトソースで煮込んだ料理として扱われている模様。
例によって薄味調整なようなので、おかずとして食べたいならしっかり味付けをする等、一手間加えよう。

  • ブラックプディング
豚の血と穀物を詰めた大きなソーセージ。見た目は炭化したナニかだが、栄養豊富でクセもそれほどではない。

  • トースト、スライストマト、ベーコン、マッシュルーム、目玉焼き
一つのフライパンでまとめて焼くのが特徴。シンプルに不味くなる要素がない。
トーストをフライパンでカリカリに炒め揚げてたり、スライストマトもしっかり火が通るまで炒めた焼きトマトなど、字面とイメージは少し異なるかもしれない。
ベイクドビーンズと同じ1つの皿で出てくる。味が足りないと思ったら食卓に塩の瓶があるはずなので遠慮なくかけよう。
しかしトースト用に上述のマーマイトが置かれている場合もあるので、食べたくなければ注意。知らない人がチョコレートクリームと間違える悲劇もあったり。

  • キッパー
ニシンの燻製をグリルして食べる。見た目も味も魚の干物そのもので、日本人としてはお米ご飯が欲しくなる一品。
なのに何故か下品な食べ物扱い。美味いのに…*20。
元が保存が効くだけに外れが少ないように見えるが燻製は時間がかかる都合上、これですらも質の悪いのが当然の如く含まれることには注意。

  • アフタヌーンティー
イギリス人といえば外せないのが紅茶。
我らが日本において家庭毎に味噌汁の味が異なるように、彼らイギリスにおいては家庭毎に紅茶の味わいと、そして付け合わせるものが異なる。
その付け合わせたるや、どうしてこのこだわりを昼食や夕食に向けないのかと真剣に問いたくなる程だ。
サンドイッチやらスコーンやら、そしてそれに使うジャムやらと、凝りだすと全てにつけとことんまでこだわり抜くのがイギリス人なのだ。
とはいえ、現在ではめっきり紅茶を飲む人も減り、もっぱらコーヒーを飲む人の方が多い。
そもそも、イギリスが紅茶を飲むようになったのは19世紀以降の安い茶葉を植民地から大量に入手できるようになった上に、害虫などによってコーヒー産業がほぼ壊滅した後の話。
イギリスで紅茶が主流だったのは極短い期間なのである。

ちなみに、アフタヌーンティーの習慣はベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアが1840年代に発案したとされており、
英国文化の代表格扱いをされているアフタヌーンティーだが、実は歴史的には新参者。
当時のイギリスでは1日のうち朝夕の2食で昼食が無く*21、その夕食も社交の時間帯との兼ね合いで夜8時以降とかなり遅めだったので、
腹ごしらえをしてそれまでの空腹を紛らわしつつ友人と歓談する目的で始められた経緯がある。

この文化は徐々に貴族階級から中流階級へと広まって行ったが、庶民の家ではテーブルも狭く使用人も1人とか2人だったので、
大人数分のティーやお菓子の類を一気に運んで並べることができなかった。
それを解消するため、あの「スコーンやサンドイッチを三段ケーキスタンドにまとめて乗せて提供する」というスタイルが確立された。
食に関する雑さが良い具合に作用したと言えなくもない。

+ 汚い話題
イギリスと紅茶は切っても切れない関係なのだが、これは茶葉の値段が下がったことに加えて当時の排水事情が大きく関係している。
工業・生活の廃水、さらに死体などがそのまま川に垂れ流された結果、水は悪臭を放ち不衛生だったのだ。
これによって「お茶を沸かして飲む」という習慣ができた。つまり汚染された水の味や臭いをごまかせたのだ。
さらにこの習慣が広まったことで、はからずも「病原体を殺菌する」文化が広まったってわけ。
ちなみに最近の研究によると、紅茶を沸かして飲むようになったことで元々水質の悪かった地域では25%も死亡率が下がったというデータまである。
当時は水質と病気の関係は知られておらず、単にそのままだと不味いからお茶を沸かしていたのだが、それがたまたま健康にもつながったのである。

  • スコーン
速成パンの一種で、クロテッドクリームやジャムを塗って食べる。ちなみにスコットランド発祥の料理。
ケンタッキー・フライド・チキンで取り扱われている「ビスケット」だと言えば分かりやすいか。
アメリカでは実際に「ビスケット」と呼ばれている(ただし微妙に使われている材料が違い、スコーンはバターを、ビスケットはショートニングやラードを使う)。
コイケヤのスナック菓子のことではないので「わかる~!! (バーベキュー味うまい!!)」などと勘違いしないよう注意。
冗談抜きで結構勘違いされる。
ちなみにイギリスの「ビスケット」は日本でいう「ビスケット」や「クッキー」とほぼ同じものだったりする。

  • キューカンバーサンドイッチ
キュウリだけを挟んだサンドイッチ。ろくに野菜が取れないイギリスでは、温室栽培したキュウリは貴族階級の贅沢の象徴であった。
いかにも貧相だが、キュウリの味が濃厚で意外と侮れない。
現在ではマスタードとか調味料を塗るが、かつては本当にキュウリを挟んだだけのものだった。


  • ラバーブレッド
ウェールズ地方に伝わる珍味。ドロっとした黒っぽいような緑っぽいような感じのもの。
見た目が溶岩っぽいのでその名がついたとも言われている。
その正体は海苔の佃煮(コンソメ味)である。トーストに乗せたり肉料理に混ぜ込んだりして使う。
遠くイギリスにも海苔を食う文化があったのだ(板海苔は受け付けないかもしれないが)。日本の佃煮でも近いものが作れる。

名前のlaver breadのブレッドの部分は直訳すると「パン」だが、古来ではブレッドという言葉はパンだけではなく食べ物全般をまとめて言うのに使われていたらしく、
語源だけで考えれば「溶岩っぽい食い物」と見た目そのまんまな訳となる。
なので別に肉料理に混ぜ込んで焼いてもそのまま食べても、料理名としてはラバーブレッドはラバーブレッドのまま。

かつての植民地より伝わったインド料理。
主にスパイスと具を炒めてから煮込むインドのカレーと違い、シチューのように小麦粉とスパイスを炒め合わせてルーを作ってから煮込んだ具と合わせるという点がイギリス式カレーの特徴*22。
イギリスの食文化に深く根付いており、日本でも「カレー」と言えば本場インドのカレーではなく、イギリスより伝わったいわゆる「欧風カレー」から発展したものがポピュラーである。肉入りカレーが主体なのも同じ。
インド風イギリスカレーとしては「チキンティッカマサラ」が有名。なんとインドに逆輸入されるぐらいの人気メニューである。
ちなみに肉入りが主体なのはサンデー・ローストの影響であるとされる*23。
本場インド式の野菜や豆を豊富に使ったカレー*24もよく食べられている。
イギリスでもハズレがなく安心して食べられる美味しい料理の一つ。
ちなみに、WWEでも活躍したプロレスラーのTAJIRIが公私ともに仲の良かったウィリアム・リーガルに「イギリスって料理おいしくないって聞くけど」と聞いたら、「何を言ってるんですか。イギリスはインド料理が絶品なんですよ!」という落語のオチみたいな返答が帰ってきたらしい。

  • ウスターソース
日本でもレストラン、家庭を問わずどこでも目にする「洋食ソースと言ったらこれ」なお馴染みソースの帝王。
ウスターシャー州ウスターの主婦が、余った食材を適当に調味料といっしょに保存していたらいつの間にかソースになっていた、という非常に英国的な起源を持つ。
とにかく万能性が半端ではなく、色んなものにかけたり風味付けにちょっと加えたりと、あると便利な代物なので世界中で普及している。
もっとも料理に合わせてソースもそれぞれ使い分けるフランス人に言わせるとジョンブルに食べ物ででかい顔されているのが気に食わないのか「あいつらはウスターソースしかソースを知らねえからな!」だそうだが。

  • モダン・ブリティッシュ・キュイジーヌ
イギリス料理の悪評を覆すべく、多くのシェフの努力で20世紀末にようやくにして生まれた、「イギリスならではの美味しいイギリス料理」。
伝統的なイギリスの料理にフランス料理やイタリア料理の技法を取り入れている。
元が家庭料理やパブなどで出されていた料理の延長であるため、素朴であっさりとした味付け、値段もお手頃なのが特徴。
一方で見た目も華やかで「いまどき」感があってとてもおいしそう。
イギリスに行くことがあれば、ぜひ地元で評判のガストロ・パブを探して味わってみてほしい。


■イギリス料理のジョーク

イギリス料理は、その不味さを世界中で冗談のネタにされる。

  • イギリス料理を食べて言う言葉は一言。「仕方ない」

  • イギリス人はものを味わう舌は持たない。持ってるのは毒舌だけだ

  • 日本人は食べる為に仕方なく働くが、イギリス人は働く為に仕方なく食べる
  • 世界三大失敗料理
3位 スパイス無しのカレー
2位 わさび抜きの寿司
1位 イギリス料理

  • 世界で一番幸運な男とは、日本人を妻にし、アメリカ人の家に住み、イギリス人の給料を貰い、中国人のコックを雇う男だ。
    • 世界で一番不幸な男とは、アメリカ人を妻にし、日本人の家に住み、中国人の給料を貰い、イギリス人のコックを雇う男だ。
  • 日本人はフランス人にこう言う。「金持ちのくせにカタツムリなんて食ってやがる」
    • フランス人は日本人にこう言う。「金持ちのくせに海草なんて食ってやがる」
      • 世界中の人はイギリス人にこう言う。「金持ちのくせにイギリス料理なんて食ってやがる」

  • イギリス料理に必要なのは調味料では無い。麻酔薬だ。

  • 世界一薄い本=イギリスのグルメガイド


  • イギリス人の忍耐強さの秘訣は、日々の食事である

  • 実際にイギリスに行ったある人曰く、イギリスの料理の作り方は5種類である
1.煮る
2.じっくり煮込む
3.さらに煮る
4.もうちょっと煮る
5.念の為もう少しだけ煮てみる

  • イギリス人の一流コックはマクドナルドのハンバーガーを絶賛しレシピを聞いてくる。

  • イギリス料理のレシピ
1.肉や野菜、魚などを食べやすい大きさに切る
2.切った食材を鍋にぶっこみ、ひたすら煮る
3.親の仇かというほど煮る
4.鍋の中の煮汁をすべて捨てる
5.煮てクタクタになった食材にテーブルの上の調味料を好きなだけぶっかけて食す
+ 注釈
このネタレシピの元になったのは、『ビートン夫人の家政読本』という本に掲載されているバーベル(コイの仲間で淡水魚)の調理法。

1.魚を丸のまま常温の塩水に入れる
2.沸騰させると型崩れするので、常温から徐々にトロ火で長時間茹でる。水を足す場合も身が崩れないよう慎重に入れる。
3.1/2時間かそれ以上茹でる。
4.茹で汁をすべて捨てる
5.1/2パイントのポートワイン、スプーン2杯のビネガー、ハーブ、ナツメグ、レモン汁、アンチョビで味付けをする。

というのが本物のレシピ。
なおバーベルは場合によっては毒性があるという、味以前の問題でやばいレシピである。


余談だが、完璧な味覚を10とした場合、それぞれ

日本人は7~8
中国人は8~9

イギリス人は2

らしい(by伊丹十三)。


■最後に諸注意

世界的にイギリス料理の不味さが知られているとはいえ、祖国の料理を不味いと言われたら不快に感じるのは当然のこと。
毒の強いジョークであることには違いないので、場をわきまえずにネタにするのは控えるべき。
前述のイモトアヤコがテレビ番組でマーマイトを食べた際にボロクソに貶しているシーンについても、ナレーションにて、
「マーマイトは発酵食品であり、日本で言う納豆のようなもの。」
「イギリス人が納豆を初めて食べたらギョッとするのと同様で、他国の人にとっては受け入れられないもの」と注釈を入れた他、
「あくまでもイモト個人の感想であって決してイギリス人を馬鹿にする意図はありません」とちゃんとフォローしている。

たびたび飯がまずいことばかりが話題になるが、昔から金を払えばちゃんといいもんは食える。*25
コナン・ドイルの書いたイギリス文学に出てくる食事はだいたいあんまりまずそうではないが、
これは「ドイルがイギリス人だから」というほかに「ホームズやワトソンなどが当時の上流市民として描かれているから」。
つまり、主人公であるホームズやワトソンが飯のまずさに困らない立場だったことがその要因なのだ。
もっと言うと「ドイル自身がそこそこの生活を送れている『勝ち組』なのでまずい飯と縁遠かった」というのがある*26。
『ハリー・ポッター』シリーズの料理も美味しそうなもので(百味ビーンズ除く)、やはり良い料理はある。

航空マニアやメーデー民なんかはイギリスの航空会社を「機内食がおいしい(皮肉)」と扱うが、機内食はちゃんとおいしい。*27
これは航空アライアンスという「世界的に同盟(アライアンス)を結んで競争激化に適応しよう」という企業同盟があり、この同盟加入の条件に「機内食の味の基準」があるから*28。
つまり、おいしくないと航空アライアンスから追い出されてしまうので、ちゃんとしているのである。
しかし機内食サービスの付いた飛行機にしょっちゅう乗る人の収入って……あっ
逆に言うとイギリス料理がまずいというのは「安い飯がとことんおいしくない」「オリジナリティがない」というところが評判を確かなものにしている。
チリコンカン(アメリカ)、ルーローハン(台湾)、日式ラーメン(日本)、スパゲッティ(イタリア)などを筆頭に、他の国では安くてもそこそこの味のものが食えるが、
イギリスでは同じ値段で食える郷土料理が油ギトギトのフィッシュアンドチップスとなれば、さもありなんといったところ。


飯がまずいことがイギリスの頑強な国力を生んだという与太話がある。上述の「イギリス人は忍耐強い」という話にも通ずる。
船の中での生活でもっとも大事になってくる2つが食事と衛生なのだが、
めちゃくちゃ硬い上にウジやコクゾウムシがわいたビスケットだの、酸っぱくなったビールだの、
異臭を放つチーズだの、緑色に淀んだ飲料水だの、ぐちゃぐちゃの粥だの、
今の感覚なら食べることはおろか食べ物だと思うことすら憚られるようなものが兵糧における主食だった時代が長かったのである。
これは次第に改善されていくのだが、ライバル関係のフランスが居住性を上げることで士気を確保したのに対してイギリスのそれは非常に遅れていた。
しかし裏を返せば「粗食に耐えられる兵士(特に指揮官)」というのは長期戦においてはこの上なく頼りになる存在。
彼らは補給のできない海上戦において長期戦や根競べにおいて非常に強かった。つまり「普段食ってる飯がまずいから海軍が強い」のである。



「追記&修正!追記&修正!」「イギリスは静かにしてろ…………!」

追記・修正はローストビーフを食べながらお願いします。

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最終更新:2026年09月30日 00:02

*1 生卵を食べるのは日本を含めて衛生管理がしっかりされている一部の国だけで、それ以外の国では卵は生食しないのが一般的である。

*2 日本でも「3秒ルール」という言葉があるが、イギリスでは料理番組の中でやった例がある

*3 北ヨーロッパと同等の環境、且つ島国で天気が悪いことが多い

*4 実艦の経歴の都合からイギリスキャラを兼任

*5 ただしこれについては実艦の比叡の経歴(お召艦経歴あり、つまり天皇陛下が公務として座乗したことがある)を元に「鎮守府内での最高上司だから、として陛下向けに作る時のレシピを流用したため、単に提督が腰を抜かした」とする解釈も比較的主流寄りで存在する。嫌う提督はかなりガチで比叡はメシマズネタを嫌うので注意。

*6 例えば肉だけ見てもそのままをずっと食べるだけではなく、火を改めて通したりやばいからって火を通し過ぎたりスープの具にしたりと四苦八苦していた模様

*7 しかも塩税がかけられていたので大量には使えなかった。

*8 しかも最終的にクビになり、食べる機会が完全に無くなった。ただ前述した通り日本では普通に旨いので、食べたくないというよりそこまで興味がないといった所か。

*9 トラザメとか含まれてるし、そもそも種類が不明な魚が1種類あるので……

*10 ただし、こういった食材を効率よく使う料理は普遍的なものである。とはいえ味付けにはかなり気を付けていることが多く、そこまでしてもなお好き嫌いがはっきりするものである。

*11 恐らくちゃんとスパイスなどを入れた物が

*12 ちなみにこの発言については、イギリスの外務大臣が「ハギスに関しては同意する」と得意のブリティッシュジョークで返したことで事なきを得た

*13 なお主犯は恐らくNATOの総長を務めていたロバートソン卿(スコットランド人)。なので良かれと思って郷土料理をふるまった「おもてなし」であったと思われる。

*14 厳密にはパン粉ではなく、甘くないビスケットを砕いた「ラスク」という物が用いられている。

*15 水分含有量が多い上にケーシングが固くて裂けづらいため、空気抜きの穴をあけずに加熱すると水蒸気爆発を起こすからである。

*16 HEVを失活させるには、中心温度63℃では30分、71℃では5分、75℃では1分程度の加熱が必要。2014にイギリスで問題になったとき政府の専門家は、70℃では20分、カラメル色に変わるまでよく焼くべし、と言っている。

*17 味もさることながら、見た目も質の悪い機械グリスのようなものなので、イギリス文化を知らないとそう受けとられても無理はない。ただし似たような例が日本にもありゴボウを食べさせたら『木の根を食わされた』と誤解された人がいるとかなんとか。

*18 まぁ、それは発酵食品全般に言える事であり、これに限った話ではないが。

*19 トーストだけで済ませるような、いわゆるアメリカ式

*20 日本でも江戸時代の江戸方面ではニシンは下魚として扱われ、「こんなものを食べるのはネコか貧乏人である」と言われていた。一方で京都などでは、当時から昆布巻きなどに使われていたようだ。

*21 ちなみに日本も江戸時代の途中までは1日2食だった

*22 もともと、「牛乳が日持ちしないためシチューを食べられなかった船乗りが、代わりにカレーをシチュー風にアレンジしたのがイギリス式カレーの発祥」という説がある。

*23 要するに日にちが経って不味くなったローストビーフを香辛料とスープで誤魔化して食う手段に由来

*24 インドでは宗教上の理由でベジタリアンが多い。

*25 と言っても、金さえ払えばいいというものではなく、洒落たレストランに行こうとするとただ損しただけになる。同じお金を使うなら地元の人で賑わうようなお店で使うべし。

*26 似たような話に、ロシア文学において当時の陰惨な平民の暮らしを描いたものがあるが、まずそうに描かれた食事のシーンを読んだ平民が「作者はいい暮らしをしていますね」と言ったという話がある。本物の平民にしてみれば、その食事のシーンは割と良い食事という扱いだったのだ。作家=そこそこ恵まれた階級の人間と平民の乖離をよく表した話である。

*27 これに関してはむしろアメリカの航空会社の方が酷い。

*28 正しくは様々なサービスに厳しい基準が敷かれており、その中に機内食があるってだけのこと。